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M&Aの着手金はいくら?相場・支払時期・返金・会計処理まで解説

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M&Aアドバイザリー・FA比較表(2026年版)のプレビュー

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M&Aアドバイザリー・FA比較表(2026年版)

会社や事業の売却をM&Aの専門会社に相談すると、契約前に受け取る提案資料のなかに「着手金」という項目が出てきます。成約するかどうかもわからない段階でまとまった金額を先に払うと知って、金額が妥当なのか、払って問題ないのかと不安に感じる経営者は少なくありません。

本記事では、M&Aの着手金がいくらかかるのかを会社別・規模別に整理します。あわせて、何の対価として支払うのか、いつ払うのか、成約しなかった場合に戻るのか、着手金以外にかかる費用の全体像までを一覧で確認できるようにまとめました。

さらに、着手金の会計処理・損金算入の可否や、見落としやすい消費税の扱いも整理します。着手金を無料にしている完全成功報酬制の会社との違いも、両方の利点と注意点から解説します。

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M&Aの着手金はいくら?会社別・規模別の相場【一覧表】

M&Aの着手金は、依頼する会社や案件の規模によって金額が変わり、そもそも着手金を受け取らない会社もあります。まずは主要な会社ごとの着手金の有無と、案件規模による目安を確認し、提示された金額が相場の範囲内かを判断する材料にしてください。金額・料率は2026年9月時点の各社公表情報と中小企業庁の資料にもとづきます。

主要な仲介会社・アドバイザリー別の着手金

着手金の有無と料金モデルは会社によって分かれます。着手金・中間金を受け取らず、成約したときだけ成功報酬を受け取る「完全成功報酬制」を掲げる会社もあります。

会社(サービス)着手金支払うタイミング料金モデル・手数料の負担
日本M&Aセンター100万〜500万円(税抜)提携仲介契約の締結時着手金+成功報酬(レーマン方式)。譲渡側・譲受側の双方が負担
M&A Lead0円―(成約時に成功報酬のみ)完全成功報酬(レーマン方式・譲渡対価の1〜5%)。売主のみ負担
M&A総合研究所0円―(成約時に成功報酬のみ/買い手は中間金あり)完全成功報酬(譲渡企業側)
M&Aキャピタルパートナーズ0円―(中間金・成功報酬のみ)中間金+成功報酬(着手金なし)。譲渡側・譲受側の双方が負担

同じ「M&Aの支援会社」でも、着手金を受け取る会社と受け取らない会社が併存しています。着手金の有無だけで優劣が決まるわけではないため、次章以降で着手金の対価・支払タイミング・費用全体を順に確認していきましょう。

出典・参考資料(4件)

会社規模・案件規模別の着手金の目安

着手金を受け取る会社の場合、金額は依頼先の規模と案件の規模によって次のように分かれる傾向があります。中小企業庁の資料では、着手金を含む手数料の具体例として、譲渡額1億円の株式譲渡で着手金110万円(税込)という事例が示されています。

依頼先・案件の規模着手金の目安
着手金を受け取らない会社(完全成功報酬制)0円
小規模なM&Aブティック・中小案件数十万円〜200万円程度
上場している大手仲介会社・大規模案件数百万円〜数千万円に達することもある

中小企業のオーナー経営者が会社を売却するケースでは、着手金を受け取る会社でも数十万円から200万円前後に収まることが多く、案件規模が大きくなるほど金額も上がります。提示された金額がこの範囲から大きく外れている場合は、何にかかる費用なのか、成功報酬とあわせた総額はいくらになるのかを確認するとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

M&Aの着手金とは?何の対価として支払うのか

M&Aの着手金とは、M&Aの仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)に業務を正式に依頼する段階で支払う費用です。中小企業庁の整理では、M&Aの支援会社が受け取る手数料は、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬の4種類に分類され、着手金はそのうち依頼時に支払う費用にあたります。

着手金は、成約そのものへの報酬ではなく、着手時点から動き出す実務への対価という性質を持ちます。具体的には、譲渡企業の価値評価(バリュエーション)、企業概要書などの資料作成、買い手候補のリストアップと打診といった、成約前に発生する準備・探索の作業をまかなう費用です。

買い手・売り手で異なる着手金の対価

着手金は依頼する立場によって、対価としての中身が少し変わります。売り手(譲渡企業)が支払う場合は、自社の魅力を整理した資料作成と、条件に合う買い手候補への打診活動が中心です。買い手(譲受企業)が支払う場合は、買収候補の探索や初期的な情報収集、交渉の枠組みづくりが主な内容になります。

どちらの立場でも、着手金は「これから本格的にM&Aを進める」という段階で動く作業への対価という点は共通です。着手金を受け取らない会社では、これらの作業を成功報酬のなかでまかなう料金設計になっています。

着手金を支払うタイミングと返金の可否

着手金は費用全体のなかでどの段階で発生し、成約しなかったときに戻るのか。ここでは、支払いの時系列と返金の考え方を整理します。

着手金・中間金・成功報酬を払う時系列

M&Aの費用は、進行の段階に沿って発生します。着手金は仲介契約・FA契約を結んで業務を正式に依頼する時点、中間金は基本合意(意向表明)が締結される時点、成功報酬は最終契約が成立して案件が完了する時点で支払うのが一般的な流れです。月額報酬を設定している会社では、契約期間中に定額を毎月支払います。

着手金はこの流れの最初に位置するため、成約前にまとまった金額が動く唯一の費用になりやすく、負担感を意識しやすい費用です。中間金や成功報酬は交渉が進んでから発生するのに対し、着手金だけは入口の段階で先に払う点が特徴といえます。

支払った着手金は原則として返金されない

着手金は、M&Aが成約しなかった場合でも原則として返金されません。これは法律で返金しないと定められているわけではなく、各社の仲介契約・FA契約で決められる契約上の取り扱いです。着手金が着手時点までの企業評価や買い手打診といった実務への対価であり、その作業は成約の有無にかかわらず発生するため、というのが返金されない理由です。

返金の条件は会社によって異なるため、契約前に「どの段階まで進めば、いくらが発生するのか」「中途で解約した場合の扱いはどうなるのか」を契約書で確認しておくことが重要です。着手金が戻らない前提だからこそ、依頼先の信頼性を見極めてから支払う判断が求められます。

着手金以外にM&Aでかかる費用の全体像

着手金だけを見ても、M&A全体でいくらかかるのかはわかりません。着手金は複数ある費用の一つにすぎないため、全体像を押さえたうえで着手金の位置づけを理解しておきます。

費用の種類内容支払うタイミング
相談料初期相談にかかる費用。無料の会社が多い相談時
着手金業務を正式に依頼する際の費用(企業評価・資料作成・打診など)依頼時
月額報酬(リテイナー)契約期間中に毎月支払う定額の費用契約期間中に毎月
中間金基本合意の締結など、一定の段階に到達した時点で支払う費用基本合意締結時など
成功報酬M&Aが成立したときに支払う費用(レーマン方式が多い)案件完了時
デューデリジェンス費用買い手が行う買収前調査で、弁護士・会計士など専門家に支払う費用調査実施時

どの費用が発生するかは会社の料金体系によって異なり、すべてを請求する会社もあれば、成功報酬のみを請求する会社もあります。着手金の有無だけでなく、これらを合計した総額で比較することが、費用面で失敗しないための出発点です。

出典・参考資料(1件)

成功報酬とレーマン方式

M&Aの費用のなかで金額が最も大きくなりやすいのが成功報酬です。成功報酬の算定には「レーマン方式」と呼ばれる、取引金額に応じて料率が段階的に下がる計算方法が多く用いられます。基準となる価額は、譲渡額そのもの、移動総資産額(おおむね譲渡額に負債を加えた額)、純資産額のいずれかが使われます。

たとえば日本M&Aセンターは、時価総資産額(営業権を含む)をもとにしたレーマン方式を採用し、5億円以下の部分は5%、5億円超10億円以下は4%というように、金額帯ごとに料率を定めています。同じ譲渡額でも、成功報酬の基準に何を使うかで金額は変わるため、料率だけでなく計算の基準もあわせて確認しておくと総額を見誤りません。

出典・参考資料(2件)

「着手金あり」と「着手金無料(完全成功報酬)」の違い

依頼先を選ぶうえで迷いやすいのが、着手金を受け取る会社と、着手金を無料にして成功報酬のみを受け取る完全成功報酬制の会社のどちらを選ぶかです。それぞれに利点と注意点があるため、片方が一方的に得ということはありません。両モデルを公平に比べたうえで、自社の状況に合う方を選ぶ視点を持つことが大切です。

着手金あり(有料)モデル着手金無料(完全成功報酬)モデル
メリット着手金を払う本気度の高い依頼者に絞られ、支援会社も入口から工数を割きやすい成約するまで費用が発生せず、初期の資金負担がない
注意点成約しなくても着手金は戻らないため、依頼先選びを誤ると費用が無駄になる成功報酬の料率や最低手数料が高めに設定されている場合があり、総額では割高になることもある

「着手金あり」モデルが向くケース

着手金を受け取る会社は、入口の段階から企業評価や資料作成に工数を投じやすい体制を持つことが多く、支援の手厚さを重視する場合に選択肢となります。一方で、成約に至らなくても着手金は返ってこないため、依頼先の実績や成立可能性の見立てを事前に確かめることが前提になります。

「着手金無料(完全成功報酬)」モデルが向くケース

着手金を無料にしている完全成功報酬制の会社は、成約するまで費用がかからないため、初期の資金負担を抑えたい場合に向きます。ただし、費用が成功報酬に集約される分、料率や最低手数料が高めに設定されていることもあるため、成約時に支払う総額まで確認しておくと安心です。

着手金の会計処理と損金算入の可否【条件別の分岐表】

支払った着手金を経費(損金)にできるかは、支払う立場(売り手か買い手か)、M&Aの手法(株式譲渡か事業譲渡・合併か)、成約したかどうかによって扱いが変わります。まず全体像を分岐表で示し、それぞれの根拠を条文・通達にもとづいて解説します。会計・税務の最終的な判断は、個別の事情をふまえて税理士に確認することをおすすめします。

立場・手法着手金の税務上の扱い(原則)
売り手(法人)手法にかかわらず、販売費・一般管理費として損金算入するのが原則
売り手(個人オーナー)株式譲渡にかかる費用として、譲渡所得の計算上、譲渡価額から差し引く
買い手・株式譲渡株式の取得価額に含めて資産計上するのが原則。ただし着手金は該当性が分かれる場合がある
買い手・事業譲渡/合併取得した資産に配分される部分があり、一律に即損金とは限らない
成約しなかった場合取得すべき資産が生じないため、支出した事業年度の費用・損失として損金算入し得る

【売り手】どの手法・成否でも損金算入が原則

売り手が法人の場合、支払った着手金・仲介手数料は、何かを取得する対価ではないため、販売費・一般管理費その他の費用として損金に算入するのが原則です。法人税法第22条第3項は、損金に算入する金額として販売費・一般管理費その他の費用を挙げています。損金に算入する時期は、その費用の債務が確定した事業年度になります。

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。(中略)二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

出典:法人税法 第22条第3項|e-Gov法令検索

中小企業のオーナーが個人として自社株式を売却する場合は、法人税ではなく所得税(譲渡所得)の対象になります。国税庁の説明では、株式を譲渡した際の売却手数料等は、譲渡価額から差し引いて譲渡所得を計算するとされています。法人が支払う損金と、個人が支払う譲渡費用は扱いが異なるため、どちらの立場で支払うのかを区別して考える必要があります。

出典・参考資料(2件)

【買い手・株式譲渡】株式の取得価額に含めるのが原則

買い手が株式譲渡によって会社を買収する場合、株式の取得のために要した費用は、株式の取得価額に含めて資産計上するのが原則です。法人税法施行令第119条第1項第1号は、購入した有価証券の取得価額を「購入の代価」に「その有価証券の購入のために要した費用」を加算した金額と定めています。

取得価額に含めなくてよい費用として法人税基本通達が挙げているのは、通信費と名義書換料などに限られます。仲介手数料や着手金はこの除外リストに含まれないため、株式取得のための費用は取得価額に算入するのが原則という整理になります。

令第119条第1項第1号《購入した有価証券の取得価額》に規定する「その他その有価証券の購入のために要した費用」には、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額を含めないことができる。

出典:法人税基本通達 2-3-5|国税庁

ただし着手金は、買収する相手が具体的に決まる前の契約段階で支払われることが多く、特定の株式の取得と結びつく費用といえるかどうかで扱いが分かれる場合があります。実際に、M&Aに関する費用が株式の取得価額に含まれるかが争われた事例もあります。買い手が支払う着手金を取得価額に算入するか、支出時の費用にできるかは、費用の性質や支払時期によって判断が変わり得るため、税理士に確認することをおすすめします。

出典・参考資料(2件)

【買い手・事業譲渡/合併】取得資産に配分される部分がある

買い手が事業譲渡や合併によって事業を取得する場合、支払った仲介手数料には、取得した資産(のれんを含む)の取得価額に配分される付随費用としての性質を持つ部分があります。このため「事業譲渡なら全額をその場で損金にできる」と単純に言い切ることはできません。合併の場合も、取得のために要した費用の扱いはスキームによって分かれます。

買い手が支払う着手金の会計処理は、株式譲渡か事業譲渡・合併かというスキームの違いに加え、費用が取得する資産にどう対応するかによっても変わります。分岐表の内容はあくまで原則の方向性として捉え、実際の処理は取引の内容にもとづいて税理士に確認してください。

【成約しなかった場合】費用・損失として損金算入し得る

M&Aが成約しなかった場合は、買い手側でも取得価額に振り替えるべき株式や資産が生じません。そのため、支払った着手金は、その事業年度の費用や損失として損金に算入し得ます。売り手・買い手を問わず、成約に至らなかった着手金は期間の費用として扱える点は、支払う前に知っておくと安心です。

勘定科目と実務上の仕訳

着手金を支払った時点では、M&Aが成立するかどうかがまだ確定していません。そのため実務では、いったん仮払金などの科目で仮に計上しておき、成立して株式や資産を取得したら取得価額へ、成立しなければ費用へ振り替える処理が一般的です。これは会計実務上の慣行であり、法令や通達で勘定科目が定められているわけではありません。自社の会計方針や税務上の扱いにあわせて、税理士や会計士に確認しながら処理してください。

着手金にかかる消費税の扱い

着手金は、M&Aの支援会社が提供する役務(サービス)への対価であるため、消費税の課税対象です。要点を先に示すと、売り手は「支払う着手金に消費税がかかり、仕入税額控除の可否は自社の課税売上割合による」、買い手が株式取得のために支払う場合は「共通対応となり全額は控除できないことがある」という2点です。前掲の相場の事例でも、着手金は税込で計算されていました。売り手が支払う着手金にも消費税はかかりますが、仕入税額控除の可否は自社の課税売上の状況によります。

特に注意が必要なのは、買い手が株式取得のために着手金を払い、仕入税額控除を行う場合です。ここからは、用途区分が問題になりやすい買い手のケースを中心に説明します。

国税庁の質疑応答事例では、子会社化などの保有目的で株式を取得する際に支払った株式購入手数料について、個別対応方式では「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(共通対応)」に区分するとされています。株式の譲渡そのものは非課税取引であるため、その取得のための手数料は課税売上にのみ対応する費用とは扱えない、という考え方です。

C社に対して支払った株式購入手数料は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分することとなります。

出典:質疑応答事例「保有目的株式を取得した場合の用途区分」|国税庁

共通対応に区分されると、課税売上割合に応じた分しか仕入税額控除ができません。着手金にかかる消費税を「課税仕入だから全額控除できる」と考えると、控除できる金額を過大に見積もるおそれがあります。消費税の具体的な処理は課税売上割合や採用する計算方式によって変わるため、税理士に確認してください。

出典・参考資料(1件)

着手金を払う前・依頼先を選ぶ前に確認すべきこと

着手金は原則として戻らない費用のため、支払う前に契約条件と依頼先を見極めることが欠かせません。中小企業庁の中小M&Aガイドラインは、契約締結前に支援会社が説明すべき事項を定めており、これは依頼者側が確認すべきチェックポイントにもなります。

契約条件を確認する

中小M&Aガイドラインは、手数料に関する事項(算定基準・金額・支払時期)、専任条項、テール条項、契約期間、中途解約に関する事項などを、契約締結前に説明すべき重要な点として挙げています。着手金・中間金・成功報酬の内訳と支払時期、専任か非専任か、途中で解約する場合の扱いを、契約書で具体的に確認してください。

契約締結前に依頼者に対し仲介契約・FA 契約に係る重要な事項について明確な説明を行い、依頼者の納得を得る。説明すべき重要な点は以下のとおりである。(中略)手数料に関する事項(算定基準、金額、支払時期等)/専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)/テール条項(テール期間、対象となるM&A等)/契約期間/中途解約に関する事項

出典:中小M&Aガイドライン(第3版)|中小企業庁

専任条項を設ける場合、ガイドラインは契約期間を最長でも6か月から1年以内を目安とすべきとしています。また、契約終了後も一定期間は手数料を請求できるテール条項については、テール期間を最長でも2年から3年以内とし、対象は支援会社が実際に紹介した相手に限定すべきとされています。提示された契約がこの目安から外れていないかは、妥当性を判断する具体的な物差しになります。

出典・参考資料(1件)

依頼先の信頼性・実績・支援体制を確かめる

着手金を払ってから後悔しないためには、依頼先が自社の案件に合った実績と支援体制を持つかを確認します。仲介(売り手・買い手の双方に立つ)とFA(一方の依頼者の利益を専任で追求する)の違い、対応できる業種や企業規模、法務・税務など専門家との連携体制を確かめておくと、着手金に見合う支援を受けやすくなります。

自社側の準備と成立可能性を見立てる

着手金は成約を保証するものではないため、自社のM&Aがどの程度成立しそうかを事前に見立てておくことも大切です。決算書などの資料を整理し、譲渡の希望条件を明確にしておくと、支援会社との初回相談で成立可能性の見通しを立てやすくなります。多くの会社は初回相談を無料で受け付けているため、正式な依頼と着手金の支払いに進む前に、複数社に相談して比較することをおすすめします。

着手金0円の会社・着手金ありの会社を料金モデルで比較

着手金の相場と料金モデルの違いを押さえたら、実際に相談する会社を数社に絞り込む段階です。ここでは、この記事の冒頭の一覧表で挙げた4社のうち、対照的な2つの料金モデル——着手金0円の完全成功報酬制で相談できる会社と、着手金ありのレーマン方式を採用する会社——の代表として2社を取り上げ、料金モデルの違いを確認できるよう紹介します。

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比較項目M&A Lead日本M&Aセンター
着手金0円100万〜500万円
(簿価総資産額に応じる/税抜)
成功報酬完全成功報酬制
レーマン方式(譲渡対価の1〜5%)
レーマン方式
(時価総資産額ベース・最低2,000万円/税抜)
手数料を負担する側売主のみ
(買主からは受領しない)
譲渡側・譲受側の双方
取引形態売主専門のFA
(片手取引)
M&A仲介
(両手取引)
無料相談あり(相談料無料)要問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式サイト

日本M&Aセンターは、着手金を簿価総資産額に応じて算定し、成功報酬は時価総資産額をもとにしたレーマン方式で計算します。着手金と成功報酬で基準となる指標が異なる点に注意してください。M&A Leadは着手金・中間金がかからず、成約したときの成功報酬のみが発生します。

出典・参考資料(2件)

M&A Lead(着手金0円・売主専門のアドバイザリー)

M&A Lead

M&A Leadは、M&A Lead株式会社が運営する、売主だけのために働く譲渡企業専属のアドバイザリーサービスです。売主・買主の双方から手数料を受け取る一般的な仲介と異なり、売主からのみ手数料を受け取る片手取引を採用しています。着手金・中間金・月額報酬はいずれも0円で、成約したときにのみ成功報酬(レーマン方式・譲渡対価の1〜5%)が発生する完全成功報酬制です。

買主から手数料を受け取らないため、譲渡価格や雇用条件など売主に有利な条件の追求に専念できる立場を明確にしている点が特徴です。他社のM&A仲介会社・独立系アドバイザーとも連携する買い手ネットワークを活用し、事業承継から上場企業の子会社譲渡まで幅広い案件を扱っています。

日本M&Aセンター(着手金あり・レーマン方式)

日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、株式会社日本M&Aセンターが運営する、着手金を受け取る料金体系の大手M&A仲介会社です。公式の手数料ページでは、着手金を受け取る理由として、本気度の高い会社に相手探しを絞れること、事前準備によって確度の高いマッチングにつなげられることを挙げています。成功報酬は、時価総資産額を基準としたレーマン方式で算出されます。

着手金ありのモデルは、入口の段階から資料作成やマッチングに工数を投じる体制と結びついています。着手金0円の会社と比較する際は、着手金の有無だけでなく、成功報酬の料率や基準額を含めた総額で見比べるとよいでしょう。

着手金の有無や料金モデルの違いを踏まえて、依頼先を数社に絞り込んで比較したい段階になったら、M&Aアドバイザリー・FAを横断的に比べた記事が参考になります。着手金や成功報酬といった料金体系だけでなく、支援範囲・対応できる業種や企業規模・実績など、依頼先を選ぶときに見るべき観点まで整理しているため、自社に合う相談先を検討する材料になります。

まとめ

M&Aの着手金は、依頼する会社や案件の規模によって0円から数百万円以上まで幅があり、中小企業のオーナーが会社を売却するケースでは、着手金を受け取る会社でも数十万円から200万円前後が目安です。着手金は成約前の企業評価や買い手打診への対価で、原則として返金されないため、支払う前に契約条件と依頼先を見極めることが欠かせません。

会計上は、売り手は損金算入が原則、買い手の株式譲渡は取得価額への算入が原則ですが、着手金の支払時期やスキームによって扱いが分かれる場合があるため、税理士への確認が安心です。着手金の有無だけで判断せず、成功報酬まで含めた総額と支援内容で複数社を比較し、自社に合う依頼先を選んでください。

MCB FinTechカタログでは、M&Aアドバイザリー・FAの資料を無料で一括請求できます。気になる会社の料金体系と支援内容を、資料で見比べてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. M&Aの着手金とは何ですか?

A. M&Aの着手金とは、仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)に業務を正式に依頼する段階で支払う費用です。中小企業庁の整理では、M&Aの支援会社が受け取る手数料は着手金・月額報酬・中間金・成功報酬の4種類に分かれ、着手金はこのうち依頼時に支払うものにあたります。成約への報酬ではなく、企業価値評価・資料作成・買い手候補への打診といった、成約前の準備・探索作業への対価という性質を持ちます。

Q. M&Aの着手金の相場はいくらですか?

A. 中小企業のオーナーが会社を売却するケースでは、着手金を受け取る会社でも数十万円から200万円前後に収まることが多く、着手金0円の完全成功報酬制の会社も増えています。中小企業庁の資料では、譲渡額1億円の株式譲渡で着手金110万円(税込)という事例が示されています。

案件規模が大きくなるほど金額は上がり、大手・大規模案件では数百万円以上になることもあります。提示額がこの範囲から大きく外れている場合は、何の対価か・成功報酬まで含めた総額はいくらかを確認するとよいでしょう。

Q. M&Aの着手金はいつ支払いますか?

A. M&Aの着手金は、仲介契約・FA契約を結んで業務を正式に依頼する時点で支払います。中間金は基本合意の締結時、成功報酬は最終契約の成立時に発生するのに対し、着手金は費用の流れの最初に位置します。そのため、成約前にまとまった金額が動く唯一の費用になりやすく、負担感を意識しやすい費用です。

Q. M&Aの着手金は成約しなかった場合に返金されますか?

A. M&Aの着手金は、成約しなかった場合でも原則として返金されません。これは法律で定められたものではなく、各社の仲介契約・FA契約で決まる契約上の取扱いです。着手金が着手時点までの企業評価や買い手打診への対価であり、その作業は成約の有無にかかわらず発生するためです。中途解約時の扱いは会社によって異なるため、契約前に契約書で確認しておくことが重要です。

Q. 着手金無料(完全成功報酬)のM&A会社は何が違うのですか?裏はありますか?

A. 着手金無料の会社は、着手金・中間金を受け取らず成約したときだけ成功報酬を受け取る料金設計で、成約前の作業にかかる費用を成功報酬に含めている点が違いです。裏があるわけではありませんが、費用が成功報酬に集約される分、料率や最低手数料が高めに設定されていることもあります。

初期の資金負担がない利点がある一方、成約時に支払う総額では着手金ありの会社と変わらない、あるいは割高になる場合もあるため、着手金の有無だけでなく総額で比べることが大切です。

Q. M&Aでは着手金以外にどんな費用がかかりますか?

A. M&Aでは着手金のほかに、相談料・月額報酬(リテイナー)・中間金・成功報酬・デューデリジェンス費用がかかります。どれが発生するかは会社の料金体系によって異なり、すべてを請求する会社もあれば、成功報酬のみの会社もあります。

なかでも金額が最も大きくなりやすいのが成功報酬で、取引金額に応じて料率が下がるレーマン方式で算定されることが多く、着手金の有無だけでなくこれらを合計した総額で比較することが重要です。

Q. 支払ったM&Aの着手金は経費(損金)にできますか?

A. M&Aの着手金を損金にできるかは、支払う立場と手法によって分かれます。売り手(法人)は販売費・一般管理費として損金算入するのが原則、買い手が株式譲渡で支払う場合は株式の取得価額に含めて資産計上するのが原則です。

買い手でも、事業譲渡・合併や成約しなかった場合は扱いが変わります。ただし着手金は買収先が特定される前に支払われることが多く、取得価額に算入するか支出時の費用にできるかは費用の性質や支払時期によって分かれ得ます。最終的な処理は個別の事情をふまえて税理士に確認することをおすすめします。

出典・参考資料(2件)

Q. 中小企業のオーナーが個人として自社株式を売る場合、着手金はどう扱われますか?

A. 個人オーナーが自社株式を売却する場合、着手金などの売却手数料は、譲渡所得の計算上、譲渡価額から差し引きます。会社を売る場合でも、法人が支払う仲介手数料の損金算入とは異なり、個人が支払う費用は所得税(譲渡所得)の対象になります。

国税庁も、株式を譲渡した際の売却手数料等は譲渡価額から控除して譲渡所得を計算すると説明しています。どちらの立場で支払うのかを区別して考える必要があるため、判断に迷う場合は税理士に確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. M&Aの着手金に消費税はかかりますか?全額を控除できますか?

A. M&Aの着手金は支援会社の役務への対価であるため消費税の課税対象で、買い手が仕入税額控除を行う場合は全額を控除できるとは限りません。国税庁の質疑応答事例では、子会社化など保有目的で株式を取得する際の株式購入手数料は、個別対応方式で「共通対応」に区分するとされています。

この場合、課税売上割合に応じた分しか控除できないため、「課税仕入だから全額控除できる」と考えると控除額を過大に見積もるおそれがあります。具体的な処理は課税売上割合や採用する計算方式によって変わるため、税理士に確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. M&Aの着手金を払う前に確認すべきことは何ですか?

A. M&Aの着手金は原則として戻らない費用のため、支払う前に契約条件と依頼先の信頼性を確認することが欠かせません。中小M&Aガイドラインは、手数料の内訳・支払時期、専任条項、テール条項、契約期間、中途解約の扱いを契約締結前に説明すべき重要事項として挙げています。

専任は最長6か月〜1年、テール期間は最長2〜3年が目安とされ、提示された契約がこれらから外れていないかが妥当性の物差しになります。あわせて、依頼先の実績・支援体制も確かめておきましょう。

Q. 着手金ありと着手金無料のM&A会社は、どちらを選べばよいですか?

A. どちらが得かは一概に決まらず、初期の資金負担を抑えたいなら着手金無料、入口からの手厚い支援を重視するなら着手金ありが向きます。着手金ありのモデルは入口から企業評価や資料作成に工数を投じやすい一方、成約しなければ着手金は戻りません。

着手金無料のモデルは成約まで費用がかからない一方、成功報酬の料率が高めに設定されていることもあります。着手金の有無だけで判断せず、成約時に支払う総額と支援内容で複数社を比較して選ぶのがおすすめです。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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