システム開発やコンサルティング、制作といった案件(プロジェクト)単位で売上と原価が立つビジネスでは、案件ごとの採算が見えづらいという悩みがつきまといます。工数は人に紐づき、外注費や経費は案件ごとにばらつき、進行中の案件がいくら儲かっているのかは月次決算を待たないと分からない――そんな状態に不安を感じていないでしょうか。
販売管理や在庫管理を軸にした一般的な基幹システム(ERP)は、モノを仕入れて売る業態に最適化されており、案件単位の収支や工数を管理する設計にはなっていません。こうした案件単位の管理に向くのが、案件・プロジェクトを軸に売上・原価・工数・損益を一元管理する「プロジェクト型ERP」です。
本記事では、案件型ビジネスに向くプロジェクト型ERP(基幹システム)の主要サービスを、案件収支管理・工数/原価配賦・会計連携・料金・対象規模といった観点で比較・解説します。汎用ERPとの違いや自社に合うサービスの選び方も整理しました。候補を絞り込んで資料請求やデモに進むための検討材料としてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
本記事の対象範囲
本記事は、システム開発・SI・ITコンサルティング・広告制作など、案件(プロジェクト)単位で売上と原価が発生する業態で、案件別の収支・工数・原価・損益を管理できる基幹システム(プロジェクト型ERP)を検討している方に向けた内容です。無形のサービスを案件ごとに提供し、人件費(工数)が原価の中心を占めるビジネスを想定しています。
製造・卸・小売のように有形商材の仕入・在庫・販売を中心に管理したい場合や、業種を問わずERP全般を幅広く比較したい場合は、以降で紹介する製品だけでは要件に合わないことがあります。その場合は、案件型ビジネスという絞り込みを外し、ERP全般を企業規模・提供形態・費用で横断的に比較した以下の記事をご確認ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
プロジェクト型ERPとは|汎用ERPとの違い
プロジェクト型ERPは、案件(プロジェクト)を管理の基本単位に据え、案件ごとの売上・原価・工数・損益を会計や販売管理とつなげて一元管理する基幹システムです。受注から見積・発注・納品・請求までの業務プロセスを案件単位で束ね、進行中でも案件別の採算をリアルタイムに把握できるように設計されています。
一般的な(汎用の)ERPは、商品や在庫を管理の基本単位とし、販売・購買・在庫・生産を軸に全社の情報を統合します。モノの流れを管理するには適していますが、案件ごとに人の工数と外注費が積み上がり、同じ顧客でも案件単位で採算が変わるビジネスでは、案件別の原価を正確に集計しづらいという課題があります。
工数を労務費に換算して案件原価に配賦する、進行中の案件の予算と実績を突き合わせる、といった管理は汎用ERP単体では不足しがちです。
両者の違いは「何を管理の軸に置くか」にあります。汎用ERPがモノ(商品・在庫)を軸にするのに対し、プロジェクト型ERPは案件(プロジェクト)を軸にします。案件単位で売上と原価が立ち、人件費が原価の中心を占める業態では、後者を選ぶことで赤字案件の早期発見や工数の見える化がしやすくなります。

案件型ビジネスがプロジェクト型ERPで解決できる課題
案件型ビジネスの管理部門が抱える悩みは、プロジェクト型ERPの導入でどう変わるのでしょうか。ここでは代表的な課題を整理します。
- 案件別の採算が見えない:工数・外注費・経費を案件に紐づけて集計し、進行中でも予算と実績の差異を把握できるため、赤字案件を早い段階で発見しやすくなります。
- 工数とコストの二重入力:勤怠・工数・経費・会計が別々のシステムやExcelに分散していると、転記の手間とミスが発生します。案件を軸に各業務をつなぐことで、入力の重複を減らせます。
- 月次決算を待たないと損益が分からない:案件ごとの売上・原価がリアルタイムに集計されるため、経営判断や追加受注の意思決定を早められます。
- 部門をまたぐ情報の分断:営業・制作・管理が同じ案件データを参照できるため、見積と実績の乖離や請求漏れを防ぎやすくなります。
プロジェクト型ERPの2つのタイプ
案件型ビジネスに向くプロジェクト型ERPは、カバーする業務範囲によって大きく2つのタイプに分かれます。自社が「全社の基幹業務まで一つの基盤に統合したいのか」「既存の会計システムは活かしつつ案件の収支・工数管理を強化したいのか」で、適したタイプが変わります。
| タイプ | 全社の基幹業務まで統合できるプロジェクト型ERP | 案件の収支・工数管理に強いプロジェクト型ERP |
|---|---|---|
| 特徴 | 会計・人事給与・販売購買など全社業務を1つの基盤に統合しつつ、案件別の収支・工数も管理できる。基幹システムをまとめて刷新したい場合に向く | 案件単位の売上・原価・工数・損益の予実管理を中核に据える。会計は外部システムとの連携を前提とするものを含む |
| 向いている企業 | 会計を含めた基幹業務を一本化したい企業、複数の業務システムの分断を解消したい企業 | 既存の会計システムは活かしつつ、案件採算と工数の見える化を優先したい企業 |
| 該当する主なサービス | Oracle NetSuite、Odoo、クラウドERP ZAC、freee 統合型 ERP、マネーフォワード クラウド ERP、SmileWorks、RobotERP ツバイソ | MA-EYES、Reforma PSA、プロカン、ジョブマネ |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別サービスの実際の機能範囲や提供形態は各社情報をご確認ください。
自社に合うプロジェクト型ERPの選び方
ここからは、案件型ビジネスがプロジェクト型ERPを選ぶときに押さえたい観点を解説します。案件収支・工数/原価配賦・会計連携は後述の比較表で製品ごとに確認でき、運用負荷は各製品の資料やデモで見極めるのが確実です。
案件別の収支(予算・実績)をどこまで管理できるか
案件型ビジネスの中心にある要件です。見積段階で立てた案件予算に対し、実際の売上・外注費・工数がどれだけ消化されたかを、進行中にリアルタイムで突き合わせられるかが確認ポイントです。案件が多段階(フェーズ)に分かれる場合は、フェーズ単位の予実まで追えるか、複数案件をまたいだ採算集計ができるかも判断材料になります。
月次決算後にしか損益が見えない運用から脱したい企業ほど、この予実管理の深さが選定の分かれ目になります。
工数・原価配賦・勤怠/経費の統合範囲
人件費が原価の中心を占める業態では、工数をどう原価に反映するかが精度を左右します。タイムシートで記録した工数を労務単価で金額換算し、案件原価へ自動で配賦できるか、間接費(管理部門費など)を一定のルールで案件へ配賦できるかも確認ポイントです。勤怠・経費精算と一体で入力できれば二重入力が減り、現場の負担も軽くなります。工数管理を別ツールで運用している場合は、その連携可否もあわせて確認しておきましょう。

会計機能は内製か、外部会計との連携か
財務会計まで製品内で完結するタイプと、案件の収支・工数管理に特化し会計は外部システムと連携するタイプがあります。基幹システムをまとめて刷新したい場合は会計まで内製するタイプが候補になり、既存の会計システムを変えたくない場合は連携前提のタイプが向きます。
連携を選ぶ場合は、自社が使っている会計ソフトとの連携実績やデータ連携の方式(API連携・CSV連携など)を確認しておくと、導入後の運用がスムーズです。
導入規模・運用負荷に見合うか
製品によって想定する企業規模や導入の重さが異なります。数名〜数十名の組織で手早く始めたいのか、数百名規模で部門横断の統制まで求めるのかによって、適した製品と費用感が変わります。
導入時の初期設定やカスタマイズにどれだけ工数がかかるか、社内だけで運用できるか外部の専門家の支援が必要かも、運用負荷を見積もるうえで重要です。現場が入力し続けられる操作性かどうかも、定着を左右する観点として確認しておきましょう。
30秒でわかる、自社に合うプロジェクト型ERP診断
ここまでの選び方を踏まえても、自社がどのタイプ・どの製品に向いているか判断が難しいこともあります。そのような場合は、いくつかの質問に答えるだけで候補を絞り込める選定診断ツールを以下にご用意しています。自社の規模や重視する機能を選ぶと、適したサービスが表示されます。
一括ダウンロードする
【比較表】プロジェクト型ERPを案件収支・工数・会計連携・料金で比較
ここからは、本記事で紹介するプロジェクト型ERPを、案件収支管理・工数/原価配賦・会計機能・対象規模・料金といった観点で横断的に比較します。自社の要件に近い製品を見つける手がかりとしてご覧ください。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo(マルウェブ導入支援) | クラウドERP ZAC | freee 統合型 ERP | マネーフォワード クラウド ERP | SmileWorks | RobotERP ツバイソ | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン | ジョブマネ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 全社統合型 | 全社統合型 | 全社統合型 | 全社統合型 | 全社統合型 | 全社統合型 | 全社統合型 | 案件収支特化型 | 案件収支特化型 | 案件収支特化型 | 案件収支特化型 |
| 案件別収支管理 | ●(PSAモジュールで案件別の予算・実績を比較) | △(プロジェクト+タイムシートで工数の計画/実績を比較) | ◎(案件別の予実・損益を一元管理) | ●(案件別の予実・収益管理) | △(個別原価モジュールで案件別原価・損益) | ●(案件別の予算入力・実績対比を標準提供) | ●(PSAで案件別の予算・実績/予測利益) | ◎(案件別の予実・損益をグラフで可視化) | ◎(実行予算入力で案件別損益をタイムリーに把握) | ◎(案件別の予算・実績・原価を一元管理) | △(案件別の採算を可視化。予実対比は公式に明記なし) |
| 工数・原価配賦 | ●(タイムシートと案件への直接費・間接費配賦) | △(タイムシートで工数管理。原価配賦は要確認) | ◎(工数の労務費化と直接/間接費の自動配賦) | ●(時間入力・時間単価で工数を原価換算) | △(個別原価モジュールあり。工数→労務費の自動連携は未確認) | △(工数入力は標準。人件費の案件別配賦は配賦機能オプション) | ●(PSAで原価計算・工数/リソース管理) | ◎(工数の労務費化と多様な基準での配賦) | ●(労務費配賦・共通費配賦。工数登録が前提) | ●(工数×労務単価で原価換算、間接費を按分) | △(作業時間から原価計算。配賦は明記なし) |
| 会計機能 | 内製(財務会計を標準搭載) | 内製(会計アプリを搭載) | 外部連携(財務会計システムへ仕訳連携) | 内製(freee会計を標準搭載) | 内製(会計Plus・連結会計を搭載) | 内製(会計ワークス、取引から自動仕訳) | 内製(決算会計を搭載) | 内製+外部連携(経理機能+勘定奉行等へ連携) | 外部連携(財務会計システムへ仕訳出力) | 外部連携(弥生・freee・勘定奉行・マネーフォワード) | 外部連携(会計機能は持たず会計ソフト連携) |
| 対象規模・対象業態 | 中堅〜大企業・海外/グループ経営(業種を問わない統合基盤) | 中小企業中心(多業種、受託型にも対応) | プロジェクト型業種(IT・広告・コンサル・士業)、ベンチャー〜上場 | 中小・成長企業(2〜数百名)、受託型(IT・コンサル・広告) | IPO準備〜中堅・上場(約51〜1,000名) | 小規模〜中堅(統合ERP、プロジェクト型にも対応) | 中堅・成長企業、IT・SI・コンサル・士業 | プロジェクト型業種(IT・SES・コンサル・広告)、小規模〜大規模 | 〜50名目安の成長企業・部門(IT・広告・コンサル・制作) | 中小〜中堅、IT・制作・広告・建設 | 個人事業主〜30名・部門(制作・コンサル・士業) |
| 料金の目安 | 要問い合わせ(年間ライセンス+初期費用) | 月22ドル/ユーザー〜(Odoo本体)+導入支援は個別見積 | 初期10万円+月額は要問い合わせ(モジュール×ID、保守6万円〜/月) | 要問い合わせ(導入数十万〜数百万円、月額は個別見積) | 要問い合わせ(導入支援費用+月額、利用人数で変動) | 初期0円〜、月額5,000円〜(税別、プランで変動) | 要問い合わせ(法人+ユーザーライセンスの従量制) | 要問い合わせ(提供形態・人数で変動) | 初期0円、月額3万円(税抜)〜 | 初期10万円〜、月額2万円〜(税込、人数で変動) | 初期無料、月額1,000円〜(税別、ビジネスプランは1人3,000円) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※本表は各サービスの公式情報(2026年10月時点)に基づく概要です。「案件別収支管理」「工数・原価配賦」欄のマークは対応度の目安で、◎=製品の中核機能として標準対応、●=モジュールや機能として対応、△=一部オプション・設定が必要または公式未確認、を表します。最新の機能・料金は各社の公式情報・資料でご確認ください。
紹介するプロジェクト型ERP(サービス個別紹介)
ここからは、各サービスの特徴・案件管理の機能・料金・対象規模を個別に紹介します。前述の2つのタイプ別に分けているので、自社に合う範囲の製品から読み進めてください。
全社の基幹業務まで統合できるプロジェクト型ERP
会計・人事給与・販売購買などの全社業務を1つの基盤に統合しつつ、案件別の収支・工数も管理できるタイプです。基幹システムをまとめて刷新・一本化したい企業に向きます。
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

日本オラクル株式会社が提供する、会計・販売購買・在庫・CRMなどを単一のクラウド基盤に統合するERPです。公式サイトでは200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応し、海外拠点を含むグループ経営や連結決算も1つの基盤で扱えると説明しています(2026年10月時点)。
案件管理は、PSA(プロフェッショナル サービス オートメーション)のアドオンモジュール「SuiteProjects」が担います。タイム・アンド・マテリアルや固定価格など複数タイプの案件で、予算・見積・実績コスト・請求マイルストーンを監視でき、タイムシートで記録した工数は総勘定元帳に転記されて会計と連動し、案件別の収益・経費・収益性を管理できます。
料金は、会社規模に応じたベースライセンスに利用ユーザー数とデータストレージ量を組み合わせる年間ライセンス制で、金額は非公開(要お問い合わせ)です。導入はパートナー経由になることが多く、基幹システムを全社で一本化したい中堅〜大企業やIPO準備企業に向きます。
業務を1つの基盤に統合するという設計が生まれた背景について、日本オラクル株式会社の福宮氏は次のように話します。
もともとは、創業者のEvan Goldberg(エバン・ゴールドバーグ)が自身の経営経験の中で感じた課題が出発点になっています。会計は会計のシステム、在庫は在庫のシステム、というように業務ごとにシステムが分かれていると、データが分断されてしまって、経営者が全体を見ようとしてもなかなか正確な数字がつかめません。実際に彼自身がその苦労をしていました。そこで、あらゆる業務を一つの基盤で一元管理して、経営者がどこからでもリアルタイムにデータを確認できるようにしたい、という発想からクラウドERPという形にたどり着きました。
2. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブが提供する、オープンソースERP「Odoo」の導入・カスタマイズ・業務統合支援サービスです。Odooは販売・会計・在庫・CRM・プロジェクトなど必要なアプリを選んで組み合わせられるERPで、マルウェブが要件定義とFit&Gap分析からカスタマイズ開発・外部連携・データ移行・運用定着までを一貫して支援します。
案件収支はOdooの「プロジェクト」アプリ、工数の予実は「タイムシート」機能が担い、計画工数と実働時間を比較して請求可能時間を案件・タスク別に把握できます。会計アプリと組み合わせれば、販売・在庫・会計を1つの基盤に統合しながら案件管理まで広げられます。導入期間は標準機能中心で2〜3ヶ月、カスタマイズや外部連携を含むと3〜6ヶ月が目安です。
Odoo本体のライセンスはアプリ数によらずユーザー数に応じた課金で、カタログ掲載値ではスタンダード22ドル/ユーザー・月、カスタム33ドル/ユーザー・月(初回ユーザーへの12ヶ月割引適用後、2026年10月時点)です。マルウェブの導入支援費用は要件により変動し、別途個別見積もりとなります。
どの業務から着手し、どこまでの範囲をシステムに載せるかをどう決めるのか。導入支援を手がける株式会社マルウェブの若林氏は、相談の現場での判断軸を次のように説明します。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム上場の株式会社オロが提供する、IT・広告・コンサル・士業などプロジェクト型ビジネスに特化した統合型クラウドERPです。プロジェクト別の収支管理を軸に、販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理・管理会計・内部統制を一元化します。
工数管理では、担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数が、自動的に案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定案件に直課し、間接作業は部門配下の案件に再配賦する仕組みで、共通費・販売費・一般管理費の配賦にも対応します。
料金は「機能(モジュール)×ライセンス数」の課金で、ZAC初期設定費用10万円、保守費用6万円〜/月(単価は要お問い合わせ)です。導入実績は1,100社超(公式、基準時点の明示なし)で、電子帳簿保存法・インボイス制度には自動アップデートで対応すると公式に記載しています。
4. freee 統合型 ERP(freee株式会社)

freee株式会社が2023年8月に提供を開始した、受託型・請負型ビジネス向けのクラウドERPです。IT・コンサル・広告など無形商材を扱うサービス業を主な対象とし、会計・請求・工数管理・案件管理・経費・給与・人事労務を単一プラットフォームで統合します。
プロジェクト単位の予実管理に加え、時間単価による工数コストの算出、案件別の売上・原価分析ができます。クラウド会計 freee のプラットフォーム上に構築されており、既存の freee 会計から基幹業務全体へ広げる選択肢になります。
料金は導入企業ごとの個別見積もり(数十万〜数百万円)で、詳細プランはヒアリング後に提示されます。従業員数人〜数百人の中小・成長企業を対象としており、有形商材(在庫・製造・物流)や海外拠点の会計統合を主目的とする企業には機能面で制約があります。
5. マネーフォワード クラウド ERP(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが提供する、必要な基幹システムだけを組み合わせて使えるコンポーネント型のクラウドERPです。会計Plus・連結会計・固定資産・個別原価・請求・経費・債権債務・勤怠・給与・人事労務などのモジュールを1つから導入でき、事業の成長に合わせて構成を変えられます。
案件別の原価は「個別原価」モジュールが担い、会計を中心に請求・経費・勤怠などのデータを連携してバックオフィス業務を統合します。IPO準備〜中堅・上場企業を対象に、ワークフロー・アクセス管理・ログ管理・SAML認証によるSSOなど内部統制の機能も備えます。
料金は要お問い合わせで、初期設定の導入支援費用が発生します。導入期間は最短1ヶ月(公式)で、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応(JIIMA認証取得)しています。マネーフォワード クラウド共通の1ヶ月無料トライアルがありますが、会計Plusの全機能は対象外です。
6. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

株式会社スマイルワークスが提供する、中小企業向けの統合型クラウドERPです。販売管理・仕入/購買・在庫・財務会計・給与計算・経費精算・勤怠・ワークフローを1つのシステムに統合し、各業務の入力から会計仕訳までを自動で連動させる設計です。
プロジェクト別収支管理を主軸に据え、売上・仕入・経費・社内工数を案件単位で集計し、予算入力と実績対比までを標準で提供します。ただし、入力した稼働工数を人件費として案件別に自動配賦するには、給与ワークス契約に加えて配賦機能オプション(月額5,000円・税別)が必要です。
料金は月額5,000円(税別)の販売ERPプランから、標準プラン(初期30,000円・月額10,000円〜)、カスタム・Enterpriseプランまで幅があり、機能をモジュール単位で追加できます。申込月の翌月末まで無料で試せますが(公式表記は「最大2ヶ月無料」)、恒久的な無料プランはありません。
7. RobotERP ツバイソ(ツバイソ株式会社)

ツバイソ株式会社が提供する、中堅・成長企業向けのクラウド型基幹プラットフォームです。会計・販売・購買・固定資産・人事給与を担う基幹業務を中核に、案件管理・在庫管理・連結経営管理・タレントマネジメントの各機能で構成されています。各機能はREST APIで相互に連携します。
案件型ビジネスを担うのがPSAモジュールで、売上プロセス(見積〜受注〜納品〜請求)と調達プロセス(発注〜検収〜原価)を案件に紐付けて一元管理します。案件別の予算管理・実績/予測利益の測定、原価計算、工数・リソース管理に対応し、部門別・プロジェクト別のリアルタイムな多次元損益管理ができます。
各サービスは単独でも導入でき、必要に応じてAPIで組み合わせて統合ERPへ拡張できます。2026年8月には、画面を介さず外部のAIから自然言語でERPを操作できる「Tsubaiso Intelligence」の提供を開始しました。料金は公式サイトで非公開のため、具体的な金額は問い合わせが必要です。
案件の収支・工数管理に強いプロジェクト型ERP
案件単位の売上・原価・工数・損益の予実管理を中核に据えたタイプです。既存の会計システムは活かしつつ、案件採算と工数の見える化を優先したい企業に向きます。
8. MA-EYES(エムエーアイズ)(株式会社ビーブレイクシステムズ)

システム開発・SES・受託開発・コンサルティングといったプロジェクト型ビジネスに特化したクラウド型ERPで、株式会社ビーブレイクシステムズが提供しています。システム開発向けの「V ver.」と広告業向けの「A ver.」の2ラインナップがあり、見積から請求までのライフサイクルと工数・原価・売上を一つのシステムで扱います。
日々の工数は勤怠と連動して登録でき、マスタに設定した基準時間単価と作業時間を掛けて労務費を算出し、案件原価へ反映します。間接費の配賦では、工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も配賦基準に設定できます。月別に原価の予算と実績をグラフで比較し、着地予測で締め後の赤字を事前に把握する機能も備えます。
振替伝票や残高試算表などの経理(会計)機能を標準で持ち、勘定奉行クラウドとはAPI連携して仕訳データを引き渡せます。導入形態はSaaS版・SaaS+版・一括版の3種類で、料金はいずれも公式サイトで非公開のため要お問い合わせです。30日間の無料トライアルが用意されています。
9. Reforma PSA(リフォルマ PSA)(株式会社オロ)

プロジェクト型ERP「ZAC」の機能を、より小規模な案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したクラウドERPです。株式会社オロが提供し、IT業・広告業・制作業・コンサルティング業など案件単位で業務が進む業種を対象に、従業員50名以下を一つの目安としています。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに入力した工数をもとに労務費配賦・共通費配賦を行い、案件別の原価を自動計算します。実行予算(利益計画)を入力しておけば、仕掛中の案件でも損益と工数の予実差異をタイムリーに確認できます。
会計は内蔵せず、勘定奉行クラウドや弥生会計、マネーフォワード クラウド会計などへ仕訳データを出力するファイル連携で財務会計システムとつなぐ構成です。料金は初期費用0円・月額30,000円(税抜)からで、販売管理や勤怠などの機能ライセンスを人数分積み上げる従量制です(最低利用期間6ヶ月)。
10. プロカン(株式会社PROCAN)

IT・システム開発、制作、建設工事など業種別に3つのラインナップを用意する、株式会社PROCANのクラウド型プロジェクト収支管理システムです。案件ごとに予算・実績・工数・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化することを主眼とします。
社内人員の工数は労務単価を掛けて人件費に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を把握します。Googleカレンダーに登録した予定から工数入力を支援する機能や、予算実績対比表による予実の確認にも対応します。会計処理は内蔵せず、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードといった会計ソフトとの連携で対応します。
料金は初期費用100,000円〜(税込110,000円〜)、月額20,000円〜(税込22,000円〜)で、利用するID数・機能に応じて変動します。IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。無料で試用できる制度の有無は公式に明記がないため、資料請求やデモで確認するとよいでしょう。
11. ジョブマネ(株式会社サウスエージェンシー)

個人事業主から従業員30名程度までの中小企業や部門単位での利用を想定したクラウド型の業務管理ツールです。株式会社サウスエージェンシーが運営し、スケジュールやワークフローなどのグループウェア機能と、案件管理・工数管理・原価管理・見積/請求といった基幹業務を1つのサービスにまとめています。
案件ごとに売上・仕入・外注費・作業工数・経費を紐づけて採算を可視化し、入力した作業時間をもとに原価を計算して円グラフで把握できます。見積書を作成すると納品書・請求書まで連続して作成でき、帳票の重複入力を避けられます。会計機能は持たず会計ソフトとの連携を前提とした構成で、在庫管理機能はありません。
料金は初期費用が無料で、グループウェアプランは1〜100人で月額1,000円(税別)、案件・工数・原価などを使うビジネスプランは1人あたり月額3,000円(税別)です。必要な部署だけビジネスプランを併用することもできます。全機能を30日間試せる無料トライアルがあります。
料金・費用相場と導入規模の目安
プロジェクト型ERPの料金は、利用人数(アカウント数)やモジュールの組み合わせ、導入時の設定・カスタマイズの範囲によって幅があります。月額制のクラウドサービスでは、利用人数に応じた基本料金とアカウント単価で構成されるものが多く、全社統合型で導入設定を伴う製品や大規模導入では個別見積(要お問い合わせ)となるケースが一般的です。
費用を見積もるときは、月額のライセンス費用だけでなく、初期の導入設定費用・カスタマイズ費用・保守サポート費用まで含めた総額で比較することが大切です。
本記事で紹介する製品では、案件の収支・工数管理に特化したタイプに初期費用0円・月額数千円から始められるものがあり、少人数でも導入しやすい傾向があります。一方、全社の基幹業務まで統合するタイプは初期費用が数十万円以上になることもあり、月額はユーザー数に応じた個別見積(要お問い合わせ)とする製品が多く見られます。
料金を公開していない製品も少なくありませんが、これは利用人数や導入範囲によって費用が大きく変わるためです。具体的な金額は各サービスの比較表と資料で確認するのが確実です。
導入・運用で失敗しないための注意点
プロジェクト型ERPは導入して終わりではなく、現場が使い続けて初めて効果が出ます。導入・運用でつまずきやすいポイントを押さえておきましょう。
過度なカスタマイズを避け、標準機能に業務を寄せる
自社の既存業務にシステムを完全に合わせようとすると、カスタマイズ費用が膨らみ、導入期間も長期化します。まずは製品の標準機能に業務プロセスを寄せ、どうしても譲れない部分だけをカスタマイズする方針にすると、コストと運用負荷を抑えられます。標準機能でどこまで自社の案件管理をカバーできるかを、導入前に資料やデモで具体的に確認しておくことが重要です。
現場が入力し続けられる運用を設計する
案件別の採算管理は、現場が工数や経費を正確に入力してこそ成り立ちます。入力画面が煩雑だったり、現場にメリットが伝わらなかったりすると、入力漏れが増えてデータの信頼性が下がります。操作性の確認に加え、入力ルールの整備や、入力したデータが現場にも役立つ形でフィードバックされる運用を設計しておくと、定着しやすくなります。
会計・勤怠など既存システムとの連携を事前に確認する
会計を外部連携する製品を選ぶ場合は、自社が使っている会計ソフトや勤怠システムとの連携可否・連携方式を導入前に確認しておきましょう。連携できないと二重入力が残り、導入効果が半減します。既存データの移行範囲や移行方法も含めて、導入時のスケジュールに織り込んでおくと、稼働後の混乱を避けられます。
まとめ
案件単位で売上と原価が立つビジネスでは、モノを軸にした汎用ERPよりも、案件を軸に収支・工数・損益を管理できるプロジェクト型ERPが適しています。製品は、会計まで含めて全社業務を統合するタイプと、案件の収支・工数管理に特化し会計は外部連携するタイプに分かれます。
自社が基幹システムをまとめて刷新したいのか、既存の会計を活かして案件管理を強化したいのかを起点に、案件別の予実管理の深さ・工数や原価配賦の仕組み・会計連携・導入規模で比較すると、候補を絞り込みやすくなります。
気になるサービスが見つかったら、比較表や診断ツールで候補を2〜3製品に絞り込み、資料を取り寄せて機能と料金を具体的に比べてみてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. プロジェクト型ERPとは何ですか?
A. プロジェクト型ERPとは、案件(プロジェクト)を管理の基本単位に据え、案件ごとの売上・原価・工数・損益を会計や販売管理とつなげて一元管理する基幹システムです。受注から見積・発注・納品・請求までの業務を案件単位で束ね、進行中でも案件別の採算をリアルタイムに把握できるよう設計されています。
システム開発・SI・コンサルティング・広告制作など、案件単位で売上と原価が立ち、人件費(工数)が原価の中心を占める業態に向いています。
Q. プロジェクト型ERPと汎用ERPは何が違い、どちらを選べばよいですか?
A. 迷ったときは、原価の中心が「人の工数」か「モノの仕入」かで選び分けます。案件ごとに人件費(工数)や外注費が積み上がり、案件単位で採算が変わる業態ならプロジェクト型ERP、仕入・在庫・販売を中心とする有形商材の業態なら汎用ERPが向きます。両者の設計思想の違いは本記事のプロジェクト型ERPとは|汎用ERPとの違いで詳しく解説しています。
Q. プロジェクト型ERPでは案件別の工数や原価はどこまで自動で集計できますか?
A. 多くのプロジェクト型ERPでは、タイムシートで記録した工数を労務単価で金額換算し、案件原価へ自動で配賦できます。間接費(管理部門費など)を一定のルールで案件へ配賦する機能を持つ製品もあります。
ただし、配賦をどこまで自動化できるかは製品によって差があり、人件費の案件別配賦を標準ではなくオプション機能として提供する製品もあります。本記事の比較表では、製品ごとの「工数・原価配賦」の対応度を目安のマークで示しているので、自社が必要とする精度に合うかを確認してください。
Q. プロジェクト型ERPは既存の会計ソフトと連携できますか?
A. プロジェクト型ERPには、財務会計まで製品内で完結するタイプと、案件の収支・工数管理に特化して会計は外部システムと連携するタイプがあります。連携タイプには、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードといった会計ソフトへ仕訳データを出力して連携する製品があります。
既存の会計システムを変えたくない場合は連携前提のタイプが向きますが、自社が使っている会計ソフトとの連携実績や連携方式(API連携・CSV連携など)を導入前に確認しておくと、稼働後の運用がスムーズです。
Q. プロジェクト型ERPの導入期間はどのくらいかかりますか?
A. プロジェクト型ERPの導入期間は製品や導入範囲によって幅があり、クラウド型で標準機能を中心に使う場合は比較的短期間で始められ、全社の基幹業務まで統合したりカスタマイズや外部連携を多く含んだりすると長期化します。たとえば本記事で紹介する製品では、標準機能中心で数ヶ月、カスタマイズや外部連携を含むと数ヶ月以上を目安とするものがあります。
導入設定やカスタマイズの範囲が期間を左右するため、具体的なスケジュールは資料請求やデモで自社の要件を伝えたうえで確認するのが確実です。
Q. プロジェクト型ERPの料金・費用相場はどのくらいですか?
A. 案件収支特化型は初期費用0円・月額数千円から始められる製品があり、全社統合型は初期数十万円以上や個別見積(要お問い合わせ)が中心です。利用人数や導入範囲で費用が変わるため、月額だけでなく初期設定・カスタマイズ・保守まで含めた総額で比べます。製品ごとの目安は本記事の料金・費用相場と導入規模の目安と比較表をご確認ください。
Q. 小規模な会社や個人事業主でもプロジェクト型ERPを導入できますか?
A. プロジェクト型ERPには、数名〜数十名の小規模組織や個人事業主からでも始められる製品があります。初期費用0円や1ユーザーから利用できる製品、月額数千円から使える製品もあり、必要な部署や機能だけ段階的に導入できるものもあります。
一方で、数百名規模で部門横断の統制まで求める製品は導入の重さと費用が大きくなります。自社の人数規模と、手早く始めたいのか全社の統制まで求めるのかによって適した製品が変わるため、想定規模に見合う製品かを比較表で確認してください。
Q. Excelでの案件管理と比べて、プロジェクト型ERPを導入するメリットは何ですか?
A. Excel管理と比べたプロジェクト型ERPのメリットは、工数・外注費・経費を案件に紐づけて集計し、進行中でも予算と実績の差異をリアルタイムに把握できるため、赤字案件を早い段階で発見しやすくなる点です。勤怠・工数・経費・会計が別々のシステムやExcelに分散していると発生しがちな転記の手間や二重入力、入力ミスも、案件を軸に各業務をつなぐことで減らせます。
月次決算を待たないと損益が分からない運用から脱したい企業ほど、効果を実感しやすくなります。
プロジェクト型ERPの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、案件型ビジネス向けのプロジェクト型ERP・基幹システムの最新資料を無料で一括請求できます。案件収支管理や工数管理の機能、料金プランをまとめて比較できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















