SES・受託開発・SIなどのIT業では、案件(プロジェクト)ごとの売上と原価が締めてみるまで見えず、工数や外注費の集計に追われているという声は少なくありません。会計・販売管理・勤怠が別々のツールに分かれ、二重入力や転記ミスが起きやすいことも、基幹システム(ERP)の見直しを考えるきっかけになります。
とはいえ、製品ごとの機能一覧を並べただけでは「自社の案件管理に本当に合うのか」はわかりにくいものです。そこで頼りになるのが、同じように案件で動くIT業の企業が実際に導入してどうだったか、という口コミ・評判です。使い勝手やサポートの手厚さ、導入後に案件採算がどこまで見えるようになったか、料金はどの程度かといった生の声は、カタログスペックだけでは得られない判断材料になります。
本記事では、IT業に向く基幹システム(ERP)9製品を案件管理の観点で横断比較します。案件別収支・工数管理・進行基準の収益認識といった、IT業が口コミ・評判で確かめたい観点に沿って、各製品の特徴・費用相場・選び方までをまとめました。資料請求する候補を絞り込むための材料としてご活用ください。
また、事業形態(SES/受託開発/自社サービス開発)から自社に合う候補を手早く把握できるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」も用意しています。あわせてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
本記事の対象範囲(IT業向け)
本記事が扱うのは、IT業の中でも案件(プロジェクト)単位で収支が動くビジネス向けの基幹システムです。具体的には、SES(システムエンジニアリングサービス)、受託開発、システムインテグレーション(SI)、Web制作・受託などが当てはまります。
こうした事業では、製品を仕入れて売る物販型のERPとは異なり、案件ごとに人の工数(労務費)と外注費を積み上げて原価を把握し、売上と対比する「案件別収支管理」が業務の中心になります。
そのため本記事では、案件別の予算・実績・原価を管理できる製品(プロジェクト型ERP/PSA=Professional Services Automation)を中心に取り上げます。製造・卸売・小売など有形商材の販売・在庫管理を主軸とする汎用ERPは、同じ「基幹システム」でも案件型ビジネスとは求められる機能が異なります。
自社サービス(SaaS等)を自社開発する企業も、受託の比率や管理したい単位に応じて、下の比較表と診断ツールで自社に合う候補を把握できます。
基幹システム全般を企業規模・提供形態・費用の観点で広く見比べたい場合は、カテゴリ全体をまとめた比較記事もあわせて参考にしてください。
ERP比較20選|統合基幹業務システムを企業規模・提供形態・費用で徹底比較
会計や販売、在庫、人事給与を別々のシステムやExcelで管理していて、部門をまたぐたびにデータを入力し直している——そんな基幹業務の分断に限界を感じていませんか。老朽化した基幹システムの保守切れや、グループ経営・海外拠点の管理を機に、ERP…
IT業が口コミ・評判で確かめたい5つの論点
ここでは、IT業が基幹システムの口コミ・評判を読むとき、どこに注目すると自社に合う製品を見極めやすいかを整理します。詳しい判断の仕方は後半の選び方で解説しますが、まずは比較表や診断を見る前の「読みどころ」として、次の5点を押さえておくと候補を絞りやすくなります。
- 案件別収支の可視化:案件ごとの売上・原価・利益がリアルタイムに見えるか。締め後にしか分からない状態から抜け出せるか。
- 工数・タイムシート連携:エンジニアの稼働工数が労務費に変換され、案件原価へ自動で積み上がるか。勤怠や工数入力の負担はどうか。
- 進行基準の収益認識への対応:受託案件で、進捗度に応じた収益認識(いわゆる進行基準)に対応できるか。
- 既存の会計・販売管理との連携:いま使っている会計ソフトや販売管理とデータ連携できるか。一体型か、外部連携か。
- 料金とサポート・カスタマイズの実感:初期・月額の実額感、導入時のカスタマイズ費用、導入後のサポートに対する利用者の評価。
これらは、製品ごとの口コミページでは別々に語られがちな観点です。本記事ではこの5つの軸で各製品を横断的に見比べられるよう、次の診断と比較表にまとめています。
一括ダウンロードする
【比較表】IT業向け基幹システム(ERP)を案件管理軸で比較
ここからは、本記事で取り上げるIT業向け基幹システム9製品を、案件別収支・工数連携・進行基準の収益認識・会計/販売管理連携・料金といったIT業の選定軸で一覧にします。使い勝手・サポート・カスタマイズ性といった観点は、選び方で口コミ・評判を読むときの着眼点として整理しているので、比較表とあわせて確認してください。各製品名から、下の個別紹介にジャンプできます。
なお「進行基準の収益認識」は公式に対応を明記する製品が限られるため、確認できたもののみ記載しています(「要確認」は未対応を意味せず、問い合わせや会計連携での対応余地があります)。考え方は後半の選び方で解説します。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo導入支援(マルウェブ) | クラウドERP ZAC | freee 統合型 ERP | MA-EYES | Reforma PSA | SmileWorks | RobotERP ツバイソ | プロカン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態・対象企業規模 | クラウドERP(SaaS) 中堅〜大企業・IPO準備・海外展開企業 | クラウド(Odoo Online/.sh)・オンプレ+導入支援 中小のIT・Web系企業 | クラウドERP(SaaS) 従業員50名以上が目安 | クラウド(SaaS) 中小・成長企業(従業員2〜数百名) | クラウドERP(SaaS/一括/SaaS+) SES・受託開発・コンサル等 | クラウド(SaaS) 従業員50名以下が目安 | クラウドERP(SaaS) 小規模〜中規模 | クラウド(SaaS) 中堅・成長企業 | クラウド(SaaS) 中小のIT・制作・建設の受託型 |
| 案件別収支管理 | △アドオンのPSA(SuiteProjects)で対応 | ●プロジェクトアプリで対応 | ◎プロジェクト別収支が主軸 | ●案件別の売上・原価分析に対応 | ◎プロジェクト損益の可視化が主軸 | ◎案件別収支管理が主軸 | ●売上・仕入・工数・経費を案件単位で集約 | ●PSAモジュールで案件別の予算・実績/予測利益を管理 | ◎案件別収支管理が主軸 |
| 工数・タイムシート連携 | ●タイムシートを総勘定元帳へ自動転記 | △工数は管理(労務費連動は要確認) | ◎工数を案件別労務費へ自動集計・配賦 | ●時間単価で工数コストを算出 | ◎工数×基準単価で労務費を案件原価へ | ●工数登録をもとに労務費を配賦 | △人件費配賦は給与ワークス+配賦機能オプションが必要 | ●PSAで工数・リソース・原価を管理 | ●工数×労務単価で人件費を原価換算 |
| 進行基準の収益認識 | ●完了率など複数ルールの収益認識に対応 | 要確認(公式に記載なし) | 要確認(公式に記載なし) | 要確認(公式に記載なし) | ◎工事進行基準に対応 | 要確認(公式に記載なし) | 要確認(公式に記載なし) | 要確認(公式に記載なし) | 要確認(公式に記載なし) |
| 会計・販売管理との連携 | 一体型(会計・販売・在庫・CRMを単一基盤に統合) | 一体型(会計アプリ)+外部会計へ仕訳連携可 | 販売管理を内包/会計は仕訳連携(勘定奉行クラウド等) | 一体型(freee会計・請求を統合) | 販売管理を内包/勘定奉行クラウド等とAPI連携 | 販売管理を内包/会計はファイル連携(勘定奉行・弥生・MFクラウド) | 一体型(会計・販売・給与)+他社会計ソフトへ連携 | 一体型(会計・販売・購買をREST APIで統合) | 販売帳票を内包/会計連携はオプション(弥生・freee・勘定奉行・MF) |
| 料金の目安 | 個別見積もり(定価非公開)。年間ライセンス+初期費用 口コミ例: 導入600万円〜・年間200万円〜 | Odoo本体 22〜33ドル/ユーザー・月(カタログ掲載値)+導入支援は個別見積もり | 初期10万円+モジュール×ライセンス+保守6万円〜/月(単価は要問い合わせ) 口コミ例: 大規模で導入数千万円規模 | 導入数十万〜数百万円(個別見積もり) | 個別見積もり(公式非公開) | 初期0円・月額3万円(税抜)〜 | 販売ERP 月5,000円〜/標準 初期3万円+月1万円〜(税別) | 個別見積もり(公式非公開) | 初期10万円〜(税込11万円〜)・月額2万円〜(税込2.2万円〜) |
| 強み・留意点(公式情報) | 統合度が高い半面、導入規模・費用が大きい | 拡張の自由度が高い/日本語対応は導入支援に依存 | 案件採算の可視化が強み/大規模は費用が大きい | freee利用者が移行しやすい/受託・無形商材向け | SES・受託の原価管理に強み(業種特化) | 低コスト・短期間導入/中小の案件管理向け | 会計・給与まで一体化/小さく始めやすい | 会計士が導入支援/内部統制に強み | 案件別の収支・工数を一画面で可視化/中小の受託・制作向け |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
各サービスの特徴とIT業での向き
ここからは、各サービスの特徴を1製品ずつ紹介します。案件別収支や工数連携、進行基準への対応といった観点で、どの事業形態(SES・受託開発・自社サービス開発)に向くかを中心に見ていきます。
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

日本オラクル株式会社が日本国内での提供・サポートを担うクラウドERPで、会計・販売・在庫・CRMを単一のクラウド基盤に統合します。公式サイトでは200か国以上で利用され、27以上の言語・190以上の通貨に対応すると記載されています(2026年10月時点)。
案件型ビジネス向けには、アドオンのPSA機能(SuiteProjects)でプロジェクト管理・タイムシート・プロジェクト会計・請求を扱えます。入力した工数は総勘定元帳へ転記されて自動で会計処理されます。プロジェクト会計は労働ベース・固定・完了率など複数のルールによる収益認識に対応するため、受託案件の進捗に応じた売上計上を検討する企業の選択肢になります。
海外拠点やグループ会社を含む連結・多通貨管理を1つの基盤で行いたい中堅〜大企業、IPO準備企業に向く位置づけです。料金は定価が非公開で、年間ライセンス料と初期費用による個別見積もりとなります。
2. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

ベルギーの Odoo S.A. が開発するオープンソースERP「Odoo」を、株式会社マルウェブが日本企業向けに導入・カスタマイズ・運用定着まで支援するサービスです。販売・在庫・会計・CRM・プロジェクトなど必要なアプリを選んで追加でき、日本語での支援はマルウェブが担います。
Odooのプロジェクト・タイムシート機能では、計画工数と実績工数を比較し、案件・タスク別に請求可能時間を把握できます。マルウェブは要件定義・Fit & Gap分析から外部システム連携・データ移行・運用定着までの工程を支援し、販売・在庫からのスモールスタートにも対応します。
Odoo本体のライセンスは利用アプリ数によらずユーザー数での課金(カタログ掲載値でスタンダード22ドル/カスタム33ドル・ユーザー月、初回ユーザーへの12か月割引適用後)で、導入支援費用は要件に応じた個別見積もりです。販売・在庫・会計が部門ごとに分断している中小のIT・Web系企業が、段階的に一元化したい場合の候補になります。
部門ごとに分断した業務を一度に統合するか、一部から段階的に一元化するかは、導入範囲と費用を左右する判断です。マルウェブはこの進め方について次のように説明しています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。
たとえば「まずは販売と在庫と会計だけでスタートしましょう」という形で始めて、使い方に慣れてきたら会計やCRMを段階的に追加していく、といった進め方をご提案することもあります。カスタマイズがあまり必要でなければスモールスタートをお勧めしますし、業務が特殊な場合はカスタマイズに時間はかかりますが、そこはしっかり作り込んでいきましょうとご提案しています。いずれにしても、お客様の今の状態と予算感をヒアリングした上で決めていく形です。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・プロジェクト単位で業務が進むIT・広告・コンサルなどの業種に特化した統合型クラウドERPです。提供元は東証プライム上場の株式会社オロで、プロジェクト別の収支管理を軸に、販売・購買・勤怠/工数・経費・管理会計を一元化します。導入実績は1,100社超(公式、基準時点の記載なし)とされています。
工数管理で担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数は、案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件に直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。電子承認ワークフローや操作ログによる内部統制機能も備え、IPO準備や監査対応を見据えたIT・受託系企業に向きます。
会計システムは仕訳データのインポート機能があれば連携でき、料金は初期費用10万円に加え、機能(モジュール)×ライセンス数の従量課金と保守費6万円〜/月(各単価は要問い合わせ)です。従業員50名以上の規模が目安とされています。
4. freee 統合型 ERP(freee株式会社)

「クラウド会計 freee」で知られる freee株式会社が、2023年8月に提供を開始した中小・成長企業向けのクラウドERPです。会計・請求・工数管理・案件管理・経費・給与・人事労務を単一のプラットフォームに統合します。
IT・コンサル・広告など無形商材を扱う受託型・請負型ビジネスを主対象とし、プロジェクト単位の予実管理、時間単価による工数コストの算出、案件別の売上・原価分析ができます。既存のクラウド会計 freee の利用企業が基幹システムへ広げる場合の候補になります。
導入費用は数十万〜数百万円の個別見積もりで、従業員2名〜数百名規模の企業を対象としています。一方、製造・流通など有形商材を扱うビジネスや、多通貨・多言語を要する大企業・海外拠点の統合は対象外とされています。
freee 統合型 ERP(受託型・請負型ビジネス向け)は2023年に提供が始まった比較的新しい製品で、会計を軸に時間単価による工数コストと案件別の売上・原価を一体で管理できます。会計から案件管理まで一つにまとめたい場合は、無料トライアルや資料で自社の案件の管理単位に合うかを確かめるとよいでしょう。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

工数・原価をリアルタイムに集約し、プロジェクト単位の損益を可視化するクラウド型ERPです。提供元は東証グロース上場の株式会社ビーブレイクシステムズで、システム開発・SES・受託開発・コンサルティングなどのプロジェクト型ビジネスに特化します(IT業向けの「V ver.」と広告業向けの「A ver.」の2ラインナップ)。
入力した工数はマスタの基準時間単価(個人別またはジョブグレード別)と掛け合わせて労務費に変換され、案件原価へ積み上がります。月別に原価の予算と実績をグラフで比較でき、着地予測で締め後の赤字を事前に察知できます。工事進行基準(進捗率に応じた売上・売掛金・引当金の計上)にも対応します。
配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数などの情報も設定でき、勘定奉行クラウドとのAPI連携で仕訳の手入力を削減できます。料金は提供形態(SaaS/一括/SaaS+)と利用機能・人数で変わり、公式では非公開のため要問い合わせです。
6. Reforma PSA(株式会社オロ)

クラウドERP「ZAC」と同じ株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト型ビジネス向けの案件管理システムです。ZACの機能を案件管理に必要な標準機能へ絞ってパッケージ化しており、販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を一元化してプロジェクト別の予実・損益を可視化します。
従業員がプロジェクト・作業内容ごとに入力した工数をもとに労務費を配賦し、仕掛中の案件でも損益をタイムリーに把握できます。「プロジェクト別工数(労務費)予実対比」では予定工数と実績を案件単位で対比でき、労務費の上振れを早期に把握できます。
初期費用0円・月額3万円(税抜)から、導入期間は1〜2か月程度で、ZACより小規模(従業員50名以下が目安)の企業に向きます。会計システムは勘定奉行クラウド・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計などへのファイル連携に対応します。
7. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売・仕入・在庫・会計・給与計算・経費・勤怠・ワークフローを1つにまとめた、中小企業向けの統合型クラウドERPです。提供元は株式会社スマイルワークスで、プロジェクト別収支管理を主軸に据え、各業務の入力が自動で会計仕訳まで連動する設計になっています。
案件(プロジェクト)ごとに売上・仕入・経費・社内工数を集約し、予算入力と実績対比、関連帳票の出力までを標準機能で行えます。ただし稼働報告の工数を人件費として案件別に自動配賦するには、給与ワークスの契約と配賦機能オプション(月額5,000円・税別)の追加が必要です。
料金は、販売管理に絞った販売ERPプランが月額5,000円(税別)から、販売・会計・給与を機能単位で選べる標準プランが初期費用30,000円+月額10,000円(税別)からです。会計・給与まで含めて一本化したい小規模〜中規模のプロジェクト型事業に向きます。
8. RobotERP ツバイソ(ツバイソ株式会社)

会計・債権債務・人事給与などの「ERP」を中核に、案件管理を担う「PSA」など5つのクラウドサービスをREST APIで連携させる構成の、中堅・成長企業向けプラットフォームです。提供元はツバイソ株式会社で、各サービスは単独でも導入でき、必要に応じて組み合わせて拡張できます。
PSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)では、案件に紐づく売上プロセスと調達プロセスを一元管理し、案件別の予算管理・実績/予測利益の測定、原価計算、工数・リソース管理に対応します。対象業種としてソフトウェア開発・システムインテグレータ・IT/WEBサービス・コンサルティングなどが挙げられています。
代表者が公認会計士・税理士で、会計・業務・内部統制に精通したコンサルタントが導入を支援すると案内されています。2026年8月には外部AIから自然言語でERPを操作できる「Tsubaiso Intelligence」の提供を開始しました。料金は公式サイトで金額が非公開で、資料請求・問い合わせによる個別見積もりです。
9. プロカン(株式会社PROCAN)

株式会社PROCANが提供する、案件単位で進行する受託型ビジネス向けのクラウド型プロジェクト収支管理システムです。IT・システム開発向けの「プロカンIT」、制作・広告向けの「プロカン制作」、建設・工事向けの「プロカン建設工事」の3ラインナップを展開しています。
案件(プロジェクト)ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。Googleカレンダーに登録した作業から工数入力を支援し、工数×労務単価で人件費を原価に換算します(労務単価の設定方法は公式に明記なし)。見積・請求・発注・経費精算・稟議承認を1つの入力データから続けて処理できます。
業種別ページでは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの会計連携が案内されています。料金は初期費用100,000円(税込110,000円)から、月額20,000円(税込22,000円)からで、利用人数に応じて変動し、IT導入補助金の対象とされています。中小のIT・制作・建設の受託型事業に向きます。
IT業向け基幹システムの費用相場
案件型ERPの料金は、利用人数・導入する業務範囲・カスタマイズの有無によって大きく変わるため、公式サイトでは「個別見積もり」としている製品が多いのが実情です。ここでは、各社が公式に公開している料金を手がかりに、費用感をつかんでおきます。
中小・小規模の案件管理から始める場合は、クラウド型で初期費用を抑えた製品があります。Reforma PSAは初期費用0円・月額3万円(税抜)から、プロカンは初期10万円(税込11万円)・月額2万円(税込2.2万円)から、SmileWorksは標準プランが初期3万円+月額1万円(税別)からと、月額数万円規模でスモールスタートできます。
Odooはユーザー数課金で、本体ライセンス1ユーザー月22〜33ドル(カタログ掲載値)に導入支援費用が加わります。
全社の基幹業務を本格的に統合するクラスや、海外拠点・多通貨を含む大規模な導入では、料金を個別見積もりとする製品が中心です。Oracle NetSuite・freee 統合型 ERP・MA-EYES・RobotERP ツバイソはいずれも定価非公開で、利用規模・モジュール・カスタマイズに応じた見積もりになります。
ZACは初期費用10万円+月額の保守6万円からに、利用するモジュール×ライセンス数に応じた費用が加わります。
料金は利用規模とカスタマイズの量で変わります。見積もりの段階では、初期費用・月額だけでなく、カスタマイズ・追加開発・保守費用まで含めた総額で比較することが、導入後の想定外を防ぐポイントです。
導入・運用で注意したいポイント
案件型ERPの導入では、製品を問わず共通してつまずきやすいポイントがあります。良い面だけでなく、次の点を事前に押さえておくと、自社での運用イメージを具体化しやすくなります。
初期設定・カスタマイズで工数と費用が膨らみやすい
多機能なERPほど、初期設定のままでは自社の業務に合わず、作り込みが必要になりがちです。案件の原価構成や承認フローは企業ごとに異なるため、標準機能でどこまで賄えるか、カスタマイズがどの程度必要かを、導入前に要件を洗い出して見極めることが重要です。カスタマイズ費用が都度発生する製品では、総額が当初見積もりから膨らみやすい点にも注意が必要です。
既存システムとの連携でつまずくことがある
すでに会計ソフトや勤怠・工数管理ツールを使っている場合、それらとの連携がうまくいくかは見極めが必要な部分です。API連携の可否やデータの受け渡し方法を確認しないまま導入すると、結局手作業での転記が残ってしまうことがあります。自社の既存ツール構成を前提に、連携実績のある製品かを公式情報や問い合わせで確かめておきましょう。
サポート体制は規模・プランで差が出る
導入後の問い合わせ対応やトラブル時のサポートは、製品やプランによって手厚さが異なります。担当者の体制やレスポンスの速さ、日本語でのサポート有無などは、特に少人数で運用するIT企業にとって運用負荷を左右します。自社に近い企業規模での導入実績やサポート内容を、公式情報や問い合わせで確認しておくと安心です。
IT業に合う基幹システムの選び方
ここからは、先ほど挙げた論点を「自社の選定にどう当てはめるか」という視点で掘り下げます。案件型のIT業では、次の5つの軸で候補を見極めると、口コミの印象だけに流されずに自社に合う基幹システムを選べます。
案件別収支の可視化で選ぶ
最初に確認したいのは、案件(プロジェクト)ごとに売上・原価・利益をリアルタイムで把握できるかです。受託やSESでは、1つの案件に複数のメンバーの工数と外注費が積み上がるため、進行中に採算が見えないと、赤字案件の発見が締め後になってしまいます。見積もり時の予算と実績を案件単位で対比でき、原価の内訳(労務費・外注費・経費)まで分解して見られる製品であれば、採算管理の精度が上がります。
案件数が多い企業ほど、この可視化の有無が効いてきます。
工数からどう人件費原価が組み上がるのか、製品のタイプによって収支の見え方がどう変わるのかをもう一歩掘り下げたい場合は、IT業に限らずプロジェクト収支管理システムをタイプ別に整理した次の記事もあわせてご覧ください。案件別原価の作り方や間接費の配賦まで解説しています。
工数・タイムシート連携で選ぶ
IT業の案件原価の大半は人件費です。そのため、エンジニアが入力した工数(タイムシート)が労務単価と掛け合わされ、案件原価へ自動で反映される仕組みがあるかは重要な選定軸になります。勤怠・工数管理を別ツールで行っている場合は、その連携がスムーズかも確認します。工数入力から原価集計までが分断されていると、月末にまとめて転記・集計する手間が残り、リアルタイムの採算把握が実現しません。
入力のしやすさ(スマートフォン対応など)も、現場の入力率を左右するため口コミで確かめておくとよいでしょう。
進行基準の収益認識で選ぶ
受託開発では、長期の案件を進捗に応じて売上計上する「進行基準」への対応が、基幹システム選定の分かれ目になることがあります。現在の会計ルールでは、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)により、一定の期間にわたり充足される履行義務については、「財又はサービスの性質を考慮して進捗度を見積り、当該進捗度に基づいて収益を認識する」こととされています(同基準41項)。
かつての「工事進行基準」(企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」)は、この収益認識基準に包含される形で廃止されており、受注制作のソフトウェアもこの基準の適用対象に含まれます。
この基準は2021年4月1日以後に開始する事業年度から、上場企業や監査対象の企業を中心に適用されています(中小企業など監査対象外の企業は従来の会計処理も認められています)。自社が進捗度に応じた収益認識を行う場合、案件の進捗や出来高を管理し、それを収益計上に結びつけられる製品かを確認しましょう。
ERPの機能として「進行基準対応」と表記されていても、対応範囲は製品によって異なるため、自社の案件の性質に合うかは、導入前に具体的に確かめることをおすすめします。実際の会計処理の判断は、顧問の税理士・会計士など専門家に相談するのが確実です。
出典・参考資料(2件)
既存の会計・販売管理との連携で選ぶ
基幹システムを案件管理に特化したPSA型にするか、会計・販売管理まで一体化した統合型にするかで、選ぶ製品が変わります。すでに自社に合った会計ソフトがある場合は、その会計ソフトと連携できるPSA型を選び、案件管理の部分だけを強化するのも有効です。逆に、会計・販売・勤怠がばらばらで二重入力が負担になっているなら、一体型のERPで全体を統合する選択肢が効きます。
導入後に手作業の転記が残らないよう、外部会計ソフトとの連携方式(APIかファイル連携か)と、自社の既存ツールが連携対象に含まれるかを確認しましょう。
料金・サポート・カスタマイズの口コミで選ぶ
最後に、料金とサポート・カスタマイズに関する口コミを、自社に近い企業規模の声に絞って読むことをおすすめします。前述のとおり、案件型ERPは利用規模とカスタマイズ量で費用が大きく変わり、初期導入が安価でも作り込みで総額が膨らむことがあります。
自社と同程度の従業員規模・案件数のユーザーが、料金に見合う効果を感じているか、サポートやカスタマイズ対応に不満がないかを確認すると、導入後のギャップを減らせます。候補が絞れたら、複数製品の資料を取り寄せ、機能と費用を具体的に突き合わせて判断しましょう。
ここまでの5つの軸を自社の選定の手順に落とし込みたい場合は、ERP選定を8つのステップに分け、必要機能の整理の仕方やクラウド型とオンプレミス型の違い、導入時に避けたい失敗までまとめた資料も手引きになります。
まとめ
IT業の基幹システムは、物販型の汎用ERPとは選ぶべき観点が異なり、案件別収支の可視化・工数(タイムシート)連携・進行基準の収益認識への対応・既存システムとの連携・料金とサポートの実感という5つの軸で見極めるのが近道です。同業のIT企業が実際に導入してどうだったかという利用者の評価は、こうした観点が実際にどこまで機能するかを確かめる手がかりになります。
自社の事業形態(SES・受託開発・自社サービス開発)や案件数、既存ツールの構成を踏まえ、本記事の比較表と診断で候補を絞り込んでみてください。気になる製品が見つかったら、資料を一括で取り寄せ、機能と費用を具体的に比較して検討を進めてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. IT業向けの基幹システム(案件型ERP)とは何ですか?
A. IT業向けの基幹システム(案件型ERP)とは、SES・受託開発・SIなど案件(プロジェクト)単位で収支が動くビジネス向けに、案件ごとの売上・原価・利益を管理できる基幹システム(ERP)やPSA(Professional Services Automation)を指します。
製品を仕入れて売る物販型の汎用ERPと違い、エンジニアの工数(労務費)と外注費を案件に積み上げて原価を把握し、売上と対比する「案件別収支管理」を業務の中心に据える点が特徴です。
Q. IT業向けの基幹システムは、製造・小売向けの汎用ERPと何が違いますか?
A. IT業向けの基幹システムは、在庫や仕入ではなく「案件(プロジェクト)ごとの工数・外注費と売上」を管理の中心に据える点が、製造・卸売・小売向けの汎用ERPと異なります。汎用ERPが有形商材の販売・在庫管理を主軸にするのに対し、案件型ERPはエンジニアの稼働工数を労務費に換算して案件原価へ積み上げ、案件別の採算をリアルタイムに可視化することに重きを置きます。
そのため、案件型ビジネスであるIT業では、汎用ERPより案件型ERP/PSAを選ぶのが適しています。
Q. 案件別収支管理とは何ですか?
A. 案件別収支管理とは、案件(プロジェクト)ごとに売上と原価(労務費・外注費・経費)を集計し、案件単位の利益を把握する管理手法です。IT業では1つの案件に複数メンバーの工数と外注費が積み上がるため、案件別収支管理ができていないと、赤字案件の発見が締め後になってしまいます。見積もり時の予算と実績を案件単位で対比できる基幹システムを使うと、仕掛中の案件でも採算を確認でき、早期に手を打てます。
Q. IT業向けの基幹システムは、進行基準の収益認識に対応していますか?
A. IT業向けの基幹システムが進行基準の収益認識に対応しているかは、製品によって対応範囲が異なるため、導入前の確認が欠かせません。現在は収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)により、一定の期間にわたり充足される履行義務は進捗度に基づいて収益を認識することとされ、かつての工事進行基準はこの基準に包含される形で廃止されました。
受注制作のソフトウェアも適用対象のため、自社が進捗度に応じた収益認識を行う場合は、案件の進捗・出来高を収益計上に結びつけられる製品かを確かめてください。実際の会計処理の判断は、顧問の税理士・会計士など専門家に相談するのが確実です。
出典・参考資料(1件)
Q. IT業向けの基幹システムは、既存の工数管理ツールや勤怠と連携できますか?
A. IT業向けの基幹システムと既存の工数管理・勤怠ツールを連携できるかは、製品ごとに対応範囲が異なり、API連携かファイル連携かも含めて事前の確認が必要です。IT業の案件原価の大半は人件費のため、工数(タイムシート)が労務単価と掛け合わされて案件原価へ自動反映される仕組みがあると、採算把握の精度が上がります。
連携方式や自社の既存ツールが連携対象に含まれるかを確認しないまま導入すると、結局は手作業での転記が残ってしまうことがあります。
Q. 中小のIT企業でも、費用を抑えて基幹システムを導入できますか?
A. 中小のIT企業でも、クラウド型で初期費用を抑えた案件型ERPを選べば、月額数万円規模からスモールスタートできます。本記事で取り上げた製品にも初期費用0円・月額3万円台から始められるものがあり、IT導入補助金の対象とされる製品もあります。
ただし、初期導入が安価でもカスタマイズや追加開発で総額が膨らむことがあるため、初期・月額だけでなく保守・カスタマイズ費用まで含めた総額で比較することが、導入後の想定外を防ぐポイントです。
Q. SESと受託開発では、選ぶべき基幹システムは違いますか?
A. SESと受託開発で選ぶべき基幹システムは、管理の重心が異なるため、重視すべき機能が変わります。常駐・準委任が中心のSESでは要員の稼働工数と要員別・案件別の採算管理が、受託開発では案件ごとの予算・実績管理と進行基準の収益認識への対応が、それぞれ選定の鍵になります。もっとも、どちらも「案件別収支の可視化」と「工数から原価への自動集計」が土台となる点は共通です。
自社の事業形態に合う候補は、本記事の比較表と選定診断ツールで絞り込めます。
IT業向け基幹システム(ERP)の料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、IT業の案件管理に強い基幹システム(ERP)の最新資料を無料で一括請求できます。案件別収支や工数連携、料金を具体的に比べて検討できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















