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暗号資産の税金はどう変わる?申告分離課税20%への改正内容と適用時期|決まったこと・未確定なことを整理

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暗号資産(仮想通貨)会計・税務・損益計算ツール比較表(2026年版)

暗号資産(仮想通貨)の税金が「申告分離課税で20%になる」というニュースを見て、それが本当に決まったのか、いつからなのか、自分の取引に関係するのかが気になっている方は多いのではないでしょうか。2025年から2026年にかけて改正の内容が固まり、関連する法律も成立しました。一方で、実際に新しい税率が適用されるのはこれからで、今年の確定申告に関わる部分と、まだ確定していない部分が入り混じっています。

本記事では、2026年9月時点で分かっている暗号資産の税制改正の内容を、公的機関の一次資料に基づいて整理します。現行の総合課税から申告分離課税へ何がどう変わるのか、いつから適用されるのか、対象になる取引とならない取引、損失の繰越、そして今すべきことまでを、「すでに決まったこと」と「まだ決まっていないこと」を分けて解説します。

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【結論】暗号資産の税金はどう変わる?今どの段階か・いつから適用か

先に結論をまとめます。暗号資産の税金は、これまでの総合課税から申告分離課税へと変わり、税率は所得に応じた累進課税(最大約55%)から一律20%になります。2026年9月時点での段階と適用時期は、次のとおりです。

  • 現在の段階:改正の内容は決定済み、関連法も成立済みで、施行を待つ段階です。改正の内容は「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)で定められ、これを実現する関連法(所得税法等の改正法・金融商品取引法等の改正法)も2026年に成立しています(成立の経緯は次章の時系列を参照)。残るのは、暗号資産に関する規制部分の施行日を定める政令です。
  • 適用開始:2028年1月1日以後の取引から(見込み)。申告分離課税が適用されるのは「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日」以後の譲渡等です。この暗号資産の規制部分の施行日は、改正法の附則で「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており(公布は2026年7月23日)、2027年中の施行が見込まれます。そのため適用開始は2028年1月1日以後になる見込みです。施行日そのものは政令で定められるため、確定はその政令を待ちます。
  • 今年(2026年分)・2027年分の申告は従来どおり。適用開始が2028年からのため、2026年分・2027年分の確定申告は、これまでと同じ総合課税(雑所得)で行います。

ニュースやSNSでは「すでに20%になった」という情報と「まだ検討段階」という情報が混在していますが、正確には「内容と法律は決まったが、税率が適用されるのは2028年から」という状態です。改正の内容を定めた大綱と適用開始日について、原文を確認しておきます。

(注1)上記①及び③の改正は、金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日(以下「適用開始日」という。)以後に行う特定暗号資産の譲渡等について適用する。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省

「税制改正の大綱」は与党・政府が示す方針をまとめた文書であり、それ自体は法律ではありません。ただし今回は、大綱で定められた内容(申告分離課税・税率20%・損失の3年繰越・対象の枠組み)を実現するための関連法として、所得税法等の改正法と、暗号資産を金融商品として位置づける金融商品取引法等の改正法が、いずれも2026年に成立しています。

したがって「20%になるかどうか」という段階はすでに過ぎており、残るのは施行日を定める政令と、2028年からの適用開始です。

一方で、損失繰越の細かな要件や、暗号資産同士の交換の具体的な取扱いなど、一部の詳細は今後の政令・国税庁の通達で定まる見込みです。本記事では、大綱と成立した関連法で確認できる「決まったこと」と、これから定まる「未確定のこと」を分けて解説します。決定までの流れを、次章で時系列に確認します。

暗号資産税制改正が決まるまでの流れと「今どこにいるか」

ここでは、暗号資産の税制改正が「要望」からどのように進み、今どの段階にあるのかを時系列で整理します。改正は思いつきで決まるものではなく、要望・審議会報告・大綱・法案成立・施行という段階を踏みます。

全体の流れと2026年9月時点の現在地は、次の図のとおりです。

暗号資産の税制改正が決まるまでの流れと現在地を示す縦型の時系列図。2025年8月に金融庁が税制改正を要望、2025年12月10日に金融審議会ワーキング・グループが報告、2025年12月26日に令和8年度税制改正の大綱に明記、2026年3月31日に所得税法等の改正法が成立、2026年7月15日に金融商品取引法等の改正法が成立・7月23日公布。2026年9月時点は内容も関連法も決定済みで、残るのは施行日を定める政令と適用開始。見込みとして2027年中に規制部分が施行、2028年1月1日以後の取引から申告分離課税20%が適用開始。2026年分・2027年分の申告は従来どおり総合課税。
  • 2025年8月:金融庁が税制改正を要望。金融庁が令和8年度の税制改正要望として、暗号資産取引に係る分離課税の導入を含む課税の見直しを求めました。
  • 2025年12月10日:金融審議会のワーキング・グループが報告。金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が、暗号資産を決済手段としてではなく投資対象=金融商品として位置づけ直す方向の報告を公表しました。
  • 2025年12月:令和8年度税制改正の大綱に明記。与党の税制改正大綱にて分離課税化の方針が示され、同年12月26日に閣議決定版の大綱が公表されました。ここで税率・対象・繰越などの内容が定まりました。
  • 2026年3月31日:税制側の法律が成立。令和8年度税制改正を反映した「所得税法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。
  • 2026年7月15日:暗号資産を金融商品と位置づける法律が成立。暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移す「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が参議院で可決・成立し、7月23日に公布されました。
  • 今後:2027年中に施行 → 2028年1月1日から適用(見込み)。金融商品取引法の改正法のうち暗号資産に関する規制部分は、附則で「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行するとされています(公布は2026年7月23日)。2027年中の施行が見込まれ、その施行日の属する年の翌年である2028年1月1日以後の取引から、申告分離課税が適用される見込みです。

2026年9月時点では「内容も法律も決まり、施行と適用開始を待っている」段階です。「実現するかどうか分からない」という不確実な段階ではなく、残るのは施行日を定める政令と、税率20%が適用される2028年の到来です。一部の解説で見られる「2027年から適用」という記述は、施行の年(2027年)と適用開始の年(その翌年の2028年)を取り違えたものと考えられます。

出典・参考資料(4件)

現行(総合課税・最大約55%)と改正後(申告分離課税・約20%)の違い

ここからは、現行の課税と改正後の課税が具体的にどう違うのかを見ていきます。改正の背景には、暗号資産を「決済手段」から「有価証券とは異なる金融商品」へと位置づけ直す方針があり、株式などの金融商品に近い課税方式へそろえる狙いがあります。

何がどう変わるか

現行では、暗号資産の利益は雑所得として給与などほかの所得と合算され、所得が大きいほど税率が上がる総合課税です。所得税の最高税率45%に復興特別所得税と住民税10%が加わり、最大で約55%(55.945%)になります。改正後は、ほかの所得と分けて計算する申告分離課税となり、税率は一律20%です。大綱の原文では次のように定められています。

居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省

大綱が定める税率は「20%(所得税15%+住民税5%)」です。復興特別所得税(所得税額の2.1%、現在は令和19年分まで課税)を加えると、実効税率は20.315%になります。株式やFXの利益と同じ水準です。主な違いを一覧にすると次のとおりです。

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現行と改正後の比較課税方式税率損失の繰越対象損益通算
現行(〜2027年分)総合課税(雑所得)累進課税で最大約55%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)不可(その年で切り捨て)すべての暗号資産取引の利益雑所得内でのみ通算(給与などとは通算不可)
改正後(2028年〜見込み)申告分離課税一律20%(所得税15%+住民税5%。復興特別所得税を含めると20.315%)一定の要件の下で翌年以後3年間繰越可能国内の登録業者を通じた「特定暗号資産」の譲渡等分離課税の暗号資産どうしのみ(株式・FXとは通算不可)

※令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)に基づく。適用時期・要件の詳細は今後の政令・国税庁の通達で示される見込みです。

税額はどれくらい変わるか

税率の違いが税額にどう表れるかを、暗号資産の利益額ごとに見てみます。以下はあくまで税率と課税方式だけを比べた概算で、実際の税額はほかの所得・各種控除・住民税・復興特別所得税によって変わります。ここでは「暗号資産の利益にかかる部分」だけを取り出して比較します。

暗号資産の利益(年間)現行の総合課税(最高税率区分の場合の目安)改正後の分離課税(一律20%)差の目安
100万円約55万円約20万円約35万円の軽減
500万円約275万円約100万円約175万円の軽減
3,000万円約1,650万円約600万円約1,050万円の軽減
現行は、暗号資産の利益が他の所得と合算して最高税率区分(約55%)に達する高所得者のケースの上限目安です。所得が低い場合は総合課税の税率も下がるため差は小さくなり、逆転することもあります(下記参照)。改正後は一律20%(住民税込みの実効税率は20.315%)。いずれも暗号資産の利益部分のみの概算で、実際の税額は他の所得・控除等により異なります。

利益が大きいほど、分離課税への変更による負担の軽減幅は大きくなります。ただし、上の表は「暗号資産の利益が他の所得と合算して最高税率区分(約55%)に達する高所得者」の上限目安である点に注意が必要です。同じ利益額でも、所得水準が違えば現行の税負担は変わります。

たとえば課税所得が330万円超〜695万円以下の区分(所得税率20%)にあたる会社員が、暗号資産で100万円の利益を得た場合を考えます。現行の総合課税では、その利益にかかる税率は所得税20%+住民税10%の約30%程度で、税額は約30万円です。

改正後の分離課税(20%=約20万円)との差は約10万円にとどまり、表の高所得者のケース(約35万円の軽減)ほど大きくはなりません。

一方で注意したいのは、所得が少ない場合は必ずしも分離課税が有利とは限らない点です。有利・不利は、分離課税の20%(所得税15%+住民税5%)と、総合課税での所得税と住民税を合わせた税率とを比べて決まります。

目安として、暗号資産を含めた課税所得が330万円前後を超えるあたりから分離課税が有利になり、それ以下の範囲では総合課税(所得税と住民税の合計)の方が軽く済むこともあります。自分の所得水準によって分岐点は変わるため、シミュレーションだけを頼りに判断せず、実際の申告時に確認することが大切です。

申告分離課税の対象になる取引・ならない取引

「20%になる」と聞くと、すべての暗号資産取引が対象になると考えがちですが、実際には対象が限定されています。ここでは、どの取引が分離課税の対象になり、どの取引が対象外(従来どおりの総合課税)のままなのかを整理します。

「特定暗号資産」とは

分離課税の対象は「特定暗号資産」です。大綱では、金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産を特定暗号資産と定義しています(前章の引用を参照)。実務上は、国内で登録を受けた暗号資産取引業者(現在の暗号資産交換業者)を通じて取引される暗号資産が該当します。以上から、国内の登録業者を経由した特定暗号資産の譲渡等が、一律20%の申告分離課税の対象になります。

海外取引所・DEX・マイニング/ステーキングの扱い

一方で、国内の登録業者を通さない取引は、分離課税の対象外となり、従来どおりの総合課税(雑所得)のままと考えられます。具体的には、海外取引所での取引、分散型取引所(DEX)での取引、マイニングやステーキングで得た報酬などが該当します。自分の取引が海外取引所やDEX中心の場合、改正後も20%にはならない可能性がある点に注意が必要です。

さらに、総合課税のままとなる暗号資産については、大綱で制限措置も同時に定められています。譲渡所得の特別控除を適用しないこと、5年を超えて保有した資産の譲渡所得を2分の1にする措置を適用しないこと、そして損失が出ても他の総合課税の所得と損益通算できないことの3点です。

  • ⑥ 総合課税の譲渡所得の基因となる暗号資産について、次の措置を講ずる。
  • イ 当該暗号資産の譲渡益について、譲渡所得の特別控除額を控除しないこととする。
  • ロ 当該暗号資産については、5年を超えて保有した資産に係る譲渡所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しないこととする。
  • ハ 当該暗号資産に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、他の総合課税の対象となる所得との損益通算を適用しないこととする。
出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省

暗号資産同士の交換への課税

暗号資産を別の暗号資産に交換した場合の扱いも、よくある疑問です。現行制度では、暗号資産同士の交換も、交換した時点の時価で利益・損失を認識し、原則として課税の対象になります。円に戻していなくても、含み益が実現したものとして扱われる点に注意が必要です。

改正後の分離課税における交換の具体的な取扱いについては、大綱に明確な定めが見当たらず、今後の政令などの制度設計を待つ必要があります。現時点では、交換時の課税が繰り延べられると確定しているわけではありません。

出典・参考資料(1件)

損失の3年繰越と損益通算できる範囲

改正で新しく設けられるのが、損失の繰越控除です。現行では暗号資産の損失はその年で切り捨てられ、翌年に持ち越せませんでした。改正後は、一定の要件の下で損失を翌年以後3年間繰り越せるようになります。

損失の3年繰越控除の要件

大綱では、特定暗号資産の譲渡等で生じた損失のうち、その年の譲渡所得等から控除しきれない金額について、翌年以後3年内の各年の特定暗号資産に係る譲渡所得等から繰越控除できると定められています。株式やFXと同様に、損失が出た年の翌年以降に利益が出た場合、過去の損失と相殺して税負担を抑えられます。

特定暗号資産を暗号資産取引業を行う者に対して譲渡等をしたことにより生じた損失の金額のうちに、その譲渡等をした日の属する年分の特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額があるときは、一定の要件の下で、その控除しきれない金額についてその年の翌年以後3年内の各年分の特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除を可能とする。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省

大綱の段階では「一定の要件の下で」とされており、繰越控除を受けるための具体的な要件(確定申告書を連続して提出することなど)は明記されていません。株式や先物取引の既存の繰越控除では毎年の確定申告書の提出が要件とされているため、暗号資産でも同様の要件が定められる可能性があります。確定的な要件は、今後の政令・国税庁の通達で示される見込みです。

損益通算できる範囲・できない範囲

損益通算の範囲にも注意が必要です。改正後の分離課税では、特定暗号資産の損益どうしを通算できますが、株式やFXの利益・損失とは通算できません。分離課税といっても、株式・FXとは別の枠組みとして扱われるためです。

また、前章のとおり、総合課税のままとなる暗号資産(海外取引所・DEXなど)の損失は、他の総合課税の所得とも通算できません。同じ「暗号資産の損失」でも、分離課税の枠内か総合課税の枠内かで扱いが分かれる点を押さえておきましょう。

徴収手続の強化と正確な申告の重要性

今回の改正は減税だけではありません。税率が下がる一方で、税務当局が暗号資産を把握し、滞納があれば回収する仕組みも同時に整備されます。改正の全体像を正しく理解するために、徴収強化の内容も確認しておきましょう。

特定電子移転財産権の差押え・移転命令・刑罰

大綱では、暗号資産のように電子的に移転する財産(特定電子移転財産権)について、税を滞納した場合の差押え手続が整備されます。徴収職員の管理下に移す方法や、権利者に移転を命じる命令が定められ、命令に違反した場合の罰則も設けられます。法定刑は3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金です。

③ 上記①の命令について、命令違反に対する罰則を設ける。法定刑は、3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金とする。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)|財務省

この徴収手続の整備は、令和9年(2027年)4月1日から施行される予定で、分離課税の適用開始(2028年)よりも早く動き出します。これまで暗号資産は差押えが難しいとされてきましたが、滞納すれば当局が回収できる仕組みが整うことになります。

今回の改正は、内容ごとに施行時期が分かれます。徴収手続の整備は2027年4月1日から、申告分離課税の適用は2028年1月1日以後の取引から、そして次に述べる業者の報告義務は適用開始の翌年以後の取引から、という順で動き出します。

業者の税務署への報告義務化

あわせて、暗号資産取引業者に対する報告義務も新設されます。業者は、その年に特定暗号資産の取引を行った利用者の氏名・住所・個人番号や取引した暗号資産の名称などを記載した報告書を、翌年1月31日までに税務署へ提出しなければならなくなります。これは、証券会社が顧客の株式取引を税務署に報告する仕組みに近いものです。

当局が取引を把握しやすくなるため、正確な損益計算と申告の重要性が一段と高まります。これらの徴収強化・報告義務化の内容と施行時期は、いずれも令和8年度税制改正の大綱に定められています。

出典・参考資料(1件)

今すべきこと(今年の申告と改正への準備)

最後に、改正を踏まえて今すべきことを整理します。適用開始は2028年からのため、今すぐ税率が変わるわけではありませんが、準備を始めておくことで慌てずに済みます。

まず押さえておきたいのは、2026年分・2027年分の確定申告は、これまでどおり総合課税で行うという点です。今年の利益に分離課税は適用されないため、雑所得として給与などと合算して申告します。国税庁が示す現行の計算方法(総平均法・移動平均法)に沿って、年間の損益を正しく算出する必要があります。

そのうえで、改正後を見据えて取引履歴を整理しておくことが大切です。複数の取引所やウォレットを使っていると、取引履歴が分散し、後からまとめて損益を計算するのは大きな手間になります。日頃から取引履歴を取得・保管し、損益計算ツールを使って自動で集計できる状態にしておくと、毎年の申告も、2028年からの分離課税への移行もスムーズです。

取引の金額が大きい場合や、海外取引所・DEXを使っている場合、法人で暗号資産を保有している場合は、暗号資産に詳しい税理士や損益計算サービスへの相談も検討するとよいでしょう。

また、利益が大きくなり「法人化して税金を抑えられないか」が気になってきた方向けに、暗号資産の法人化のメリット・デメリットや検討すべきタイミングを次の記事で解説しています。

暗号資産の損益計算・確定申告に役立つサービス

改正後も、そして今年の申告でも、暗号資産の損益計算と確定申告は必要です。取引所やウォレットをまたいだ取引履歴を集約し、総平均法・移動平均法で損益を自動計算できるツールを使えば、計算の手間とミスを減らせます。ここでは、個人の損益計算・確定申告に向くツールと、法人の会計・監査対応に向くツールを紹介します。

また、自分で計算する時間がない場合や取引が複雑な場合は、専門スタッフが損益計算を代行するサービスを利用する選択肢もあります。

ツールを選ぶ際は、自分が使っている取引所・ウォレットに対応しているか、DeFiやNFTなどの取引種別に対応しているか、確定申告用の書類を出力できるかを確認するとよいでしょう。国内のツールは統合・再編も進んでいるため、対応範囲や料金は最新の公式情報で確認すると安心です。

以下は、ここで紹介するサービスの比較表です。

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サービス名クリプタクトクリプトリンク暗号会計RIKYUCRYPTO Governance
主な対象個人投資家中心
(税理士・法人向けプランあり)
個人・法人
(会計事務所向けプランあり)
個人・法人
(税理士・会計事務所向けプランあり)
法人
(上場・IPO準備・DAT事業企業、会計事務所)
対応取引所・チェーン179の取引所・ブロックチェーン/33,575銘柄に対応(2026年8月時点、公式発表値)国内外の取引所・ウォレットに対応
DeFiはEthereum・BSC・Polygon等
66以上の取引所・ブロックチェーン・会計ソフトに対応(Ethereum・Polygon・Solana等)国内・海外の主要CEX、Solana・主要EVMチェーン、Hyperliquid等(個別名は非公開)
対応取引種別現物・DeFi(スワップ/レンディング/ステーキング)・NFTを自動識別現物・DeFi・NFT・ステーキング・レンディング現物・DeFi(スワップ/ブリッジ/ステーキング)・NFT・エアドロップ・ステーブルコインノード報酬・ステーキング・DeFi収益・MEV報酬・エアドロップ
(NFT・レンディングは公式に明記なし)
損益計算方式総平均法・移動平均法(選択可)総平均法・移動平均法(選択可)総平均法・移動平均法(選択可)移動平均法
(総平均法対応は公式に明記なし)
確定申告・会計連携個人の確定申告向け損益計算に対応
会計ソフト連携は公式に明記なし
個人: 収支計算報告書を出力
法人: 弥生会計へ仕訳データ連携
個人: 確定申告用の税務レポート出力
freee連携(API)、マネーフォワード/XeroはCSV
freee・マネーフォワード・勘定奉行・SAP等の形式で出力(法人の会計・監査向け)
料金無料プランあり(損益計算結果の表示は年間50件まで)
有料プラン: 年額6,600円〜77,000円(税込)
個人: 年額3,960円〜(500件まで)
法人: 年額19,800円〜
個人: 無料〜年額11,000円
法人Biz: 月額2,480円〜4,980円(エンタープライズは要相談)
※子会社化に伴いプラン見直し予定(最新は公式で要確認)
会計フォーカス: 月額5,000円〜(税別)
内部統制・取引執行を含む上位プランは個別見積もり
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る

1. クリプタクト(株式会社pafin)

クリプタクト(cryptact)の公式サイト

クリプタクトは、株式会社pafinが運営する暗号資産の損益計算・確定申告支援ツールです。取引所のAPI連携・CSV・ウォレットアドレスから取引履歴を取り込み、総平均法・移動平均法で損益を自動計算します。個人の確定申告を主な用途としつつ、税理士・会計事務所向けのプランも用意されています。

公式サイトによると、179の国内・海外取引所およびブロックチェーンと、33,575の暗号資産に対応しています(2026年8月時点)。ウォレットアドレスを入力するだけで、DeFiのスワップ・ステーキングやNFT取引を自動で識別・分類する機能も備えます。

無料プランでも海外取引所・DeFiの自動計算を利用できますが、損益計算結果を表示できるのは年間50件以下の取引に限られ、それを超える場合は有料プラン(年額6,600円〜)が必要です。

2. クリプトリンク(クリプトリンク株式会社)

クリプトリンクの公式サイト

複数の取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、損益計算から確定申告資料の作成までを担うのがクリプトリンクです。個人向けの基本プランは年額3,960円(取引件数500件まで)と低価格で、少額から中規模の個人投資家が導入しやすい料金設定になっています。

総平均法・移動平均法の両方に対応し、個人向けには確定申告に使える収支計算報告書を作成できます。DeFi・NFT・ステーキングなど多様な取引種別に対応し、法人向けには弥生会計にインポートできる仕訳データの出力や期末時価評価にも対応します。日本円建てステーブルコイン「JPYC」の会計処理にも対応しています。

3. 暗号会計RIKYU(株式会社RIKYU)

暗号会計RIKYUの公式サイト

個人の確定申告と法人の会計処理の両方に対応する暗号資産の会計クラウドが、暗号会計RIKYUです。ウォレットアドレスを登録するだけでオンチェーンの取引データを自動取得し、損益計算から仕訳生成、会計ソフト連携までを行います。個人向けには税務レポートを出力するプラン、法人向けには決算画面で月次締め・期末時価評価に対応するプランが用意されています。

66以上の取引所・ブロックチェーン・会計ソフトに対応し、総平均法・移動平均法を会計方針に合わせて選べます。freee会計とはAPI連携し、マネーフォワード クラウド会計やXeroとはCSVで連携できます。個人投資家から暗号資産を保有する法人まで、幅広い利用者の申告・会計を橋渡しするツールです。

また、2026年7月に企業向けウォレットを手がけるdouble jump.tokyoの子会社となり、プラン体系の見直しが予告されているため、最新の料金は公式サイトで確認してください。

4. CRYPTO Governance(株式会社ICHIZEN HOLDINGS)

CRYPTO Governanceの公式サイト

暗号資産を保有・運用する法人向けに、内部統制・会計処理・監査対応をまとめたのがCRYPTO Governanceです。上場企業やIPO準備企業、暗号資産を自己保有資産として扱う企業を主な対象とし、取引枠管理・承認フロー・監視・取引執行・会計処理を1つのシステムで扱います。徴収強化や報告義務化で正確な申告が求められる法人にとって、取引の証跡を残しながら会計処理を行える点が特徴です。

取引の取得原価を移動平均法で自動計算し、実現損益・含み損益をリアルタイムで集計します。すべての操作の改ざん不可ログを保存し、監査人専用の閲覧アカウントを発行できるため、監査法人への対応を効率化できます。会計処理を中心とした「会計フォーカス」プランは月額5,000円〜(税別)から始められ、内部統制・取引執行の機能を事業フェーズに応じて追加できます。

ここで紹介した4サービスのほかにも、暗号資産の損益計算・確定申告ツールは複数あります。対応取引所・料金・法人対応といった条件で主要なツールを横並びに比較し、自分の取引に合うものを選びたい場合は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。

まとめ

暗号資産の税制改正は、2026年9月時点で内容も関連法も決まり、施行と適用開始を待つ段階にあります。税率は総合課税・最大約55%から申告分離課税・一律20%へ変わり、損失の3年繰越も新設されます。

ただし対象は国内の登録業者を通じた特定暗号資産に限られ、海外取引所・DEXなどは従来どおりの総合課税のままです。適用開始は2028年1月1日以後の取引からと見込まれ、今年(2026年分)・2027年分の申告はこれまでどおり総合課税で行います。

減税の一方で、差押え手続の整備や業者の報告義務化といった徴収強化も同時に進みます。今できる準備は、取引履歴を整理し、損益計算ツールで正確に損益を把握できる状態にしておくことです。取引が大きい・複雑な場合や法人での保有は、暗号資産に詳しい税理士や損益計算サービスの活用も検討しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 特定暗号資産とは何ですか?

A. 特定暗号資産とは、金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産のうち、国内の登録業者(現在の暗号資産交換業者)を通じて取引されるものを指します。今回の税制改正で導入される申告分離課税(一律20%)の対象は、この特定暗号資産の譲渡等に限られます。海外取引所やDEX(分散型取引所)で取引される暗号資産は特定暗号資産に当たらず、対象外と考えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 暗号資産の申告分離課税はいつから適用されますか?

A. 暗号資産の申告分離課税が適用されるのは、2028年1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡等からと見込まれます。大綱では「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日」以後の譲渡等が対象と定められ、この規制部分の施行が2027年中と見込まれるためです。

ただし施行日は政令で定められるため、確定はその政令を待ちます。今年(2026年分)・2027年分の確定申告は、これまでどおり総合課税で行います。

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Q. 暗号資産の税制改正はもう決まったのですか、それともまだ検討段階ですか?

A. 暗号資産の税制改正は、改正の内容も関連する法律もすでに成立しており、残るのは施行日を定める政令と2028年の適用開始を待つ段階です。改正内容は令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)で定まり、所得税法等の改正法は2026年3月31日に、暗号資産を金融商品と位置づける金融商品取引法等の改正法は2026年7月15日に成立しています。

「実現するか分からない」という不確実な段階ではありません。

Q. 海外取引所やDEXでの暗号資産取引も申告分離課税の対象になりますか?

A. 海外取引所やDEXでの取引は、申告分離課税の対象外で、従来どおりの総合課税(雑所得)のままと考えられます。申告分離課税(20%)の対象は、国内の登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡等に限られるためです。取引が海外取引所やDEX中心の場合、改正後も20%にはならない可能性がある点に注意してください。

Q. マイニングやステーキングで得た暗号資産の報酬も20%の申告分離課税になりますか?

A. マイニングやステーキングで得た報酬は、申告分離課税の対象外で、従来どおりの総合課税(雑所得)のままと考えられます。申告分離課税の対象は国内の登録業者を通じた特定暗号資産の「譲渡等」であり、報酬として新たに取得する暗号資産はこれに当たらないためです。ただし細かな取扱いは、今後の政令・国税庁の通達で示される見込みです。

Q. 改正前に購入した暗号資産を2028年以降に売却した場合、税率は20%になりますか?

A. 税率は取得した時期ではなく譲渡(売却)を行う時期で判断されるため、2028年1月1日以後に国内の登録業者を通じて特定暗号資産を売却すれば、購入が改正前でも申告分離課税(20%)の対象になると考えられます。適用の基準は「適用開始日以後に行う特定暗号資産の譲渡等」であり、いつ買ったかは問われません。

Q. 暗号資産の損失を株式やFXの利益と損益通算できますか?

A. 暗号資産の損失は、株式やFXの利益とは損益通算できません。改正後の申告分離課税でも、特定暗号資産の損益は株式・FXとは別の枠組みとして扱われ、通算できるのは特定暗号資産どうしに限られます。また、海外取引所・DEXなど総合課税のままの暗号資産の損失は、他の総合課税の所得とも通算できません。

Q. 暗号資産で損失が出た場合、翌年以降に繰り越せますか?

A. 改正後は、一定の要件の下で、特定暗号資産の損失をその年の翌年以後3年間繰り越して控除できるようになる見込みです。現行制度では暗号資産の損失はその年で切り捨てられ翌年に持ち越せませんが、改正後は損失が出た年の翌年以降に利益が出た場合、過去の損失と相殺して税負担を抑えられます。繰越控除を受けるための具体的な要件(確定申告書の連年提出など)は、今後の政令・国税庁の通達で示される見込みです。

Q. 暗号資産を別の暗号資産に交換した場合も課税されますか?

A. 現行制度では、円に戻していなくても、暗号資産を別の暗号資産に交換した時点の時価で利益・損失を認識し、原則として課税の対象になります。改正後の分離課税で交換時の課税が繰り延べられるかどうかは大綱に明確な定めがなく、今後の政令などの制度設計を待つ必要があります。現時点で繰延が確定しているわけではありません。

Q. 暗号資産の税金は、法人と個人でどちらが有利になりますか?

A. 法人と個人のどちらが有利かは、所得水準・取引規模・保有目的によって異なり、一概には言えません。個人は申告分離課税(20%)の導入で高所得帯の税率が大きく下がる一方、所得が少ない層では総合課税の方が軽くなることもあります。法人は保有する暗号資産の期末時価評価など個人とは異なる論点があるため、法人での保有を検討する場合は、暗号資産に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。

Q. NFTの取引や暗号資産の相続・贈与も今回の改正で変わりますか?

A. NFTの取引や暗号資産の相続・贈与の扱いは、今回の申告分離課税の対象として大綱に明示されておらず、現時点では従来どおりと考えられます。証券の特定口座に相当する仕組みの導入も、大綱には示されていません。これらの取扱いが変わるかどうかは、今後の政令・国税庁の通達を確認する必要があります。

Q. 所得が少ない場合でも、申告分離課税(20%)の方が有利になりますか?

A. 所得が少ない場合は、必ずしも申告分離課税(20%)が有利とは限りません。有利・不利は、分離課税の20%(所得税15%+住民税5%)と、総合課税での所得税と住民税を合わせた税率とを比べて決まります。

目安として、暗号資産を含めた課税所得が330万円前後を超えるあたりから分離課税が有利になり、それ以下では総合課税の方が軽くなることもあります。自分の所得水準によって分岐点が変わる点に注意してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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