外付けHDDやテープ、社内のNASに手作業でデータを退避させている現場では、機器の故障やヒューマンエラー、ランサムウェア、災害でデータを失うリスクが年々重くなっています。その備えとして「クラウドバックアップ」という言葉を見かける機会が増えました。
ただ、名前は聞くものの「結局それは何なのか」「今の自社のやり方と何が違うのか」がはっきりしないまま、製品選びに進めずにいる方も多いのではないでしょうか。似た言葉のクラウドストレージ(オンラインストレージ)との区別も、つまずきやすいポイントです。
本記事では、クラウドバックアップの仕組みを一言で押さえたうえで、従来の運用との違い、必要とされる背景、メリットとデメリット、種類、選ぶときに見る観点までを順に整理します。基礎を理解し、次の製品比較や資料請求へ自分の判断で進める状態を目指す内容です。
目次
クラウドバックアップとは?
クラウドバックアップとは、社内のパソコンやサーバーにあるデータを、インターネット経由でクラウド事業者の設備(仮想的なストレージ)へ複製して保管し、データが失われたときに復元できるようにする仕組みです。バックアップ用の機器を自社に持たず、事業者のデータセンター側にデータの控えを預ける形になります。
動作の流れはシンプルです。対象のパソコンやサーバーに専用のソフト(エージェント)を入れ、バックアップする範囲と時刻を設定しておくと、以降は自動でデータがクラウドへ送られます。障害や誤削除が起きたときは、管理画面から必要なデータや時点を選んで元に戻します。

クラウドストレージ(同期)との違い
混同されやすいのがクラウドストレージ(オンラインストレージ)です。こちらは複数の端末やメンバーが常に同じ状態のファイルを見られるようにする「同期」の仕組みで、ある端末で加えた変更は、共有しているすべての端末へ反映されます。
この性質のため、同期はバックアップの代わりにはなりません。誤って削除したファイルやランサムウェアで暗号化されたファイルは、その状態が同期先にも波及し、過去の正常な時点へ戻せなくなります。バックアップは、ある時点のデータを別に保管し、後からその時点へ復元することを目的にした仕組みで、目的そのものが異なります。
従来のバックアップ(HDD・テープ・オンプレNAS)との違い
ここからは、外付けHDD・テープ・オンプレNASといった自社設備でのバックアップと、クラウドバックアップの違いを整理します。自社の現状を当てはめながら読めるよう、費用・運用負担・災害耐性・拡張性・復旧速度・通信依存の観点で並べます。
| 比較の観点 | 従来のバックアップ(外付けHDD・テープ・オンプレNAS) | クラウドバックアップ |
|---|---|---|
| 初期費用・導入 | 保存用の機器やメディアを自社で購入する初期投資が必要 | 専用機器を持たず、月額の利用料で始められることが多い |
| 運用の手間 | メディアの交換・保管や取得状況の確認を手作業で担うことが多く、担当者依存になりやすい | スケジュールを設定すれば自動で取得され、日々の手作業を減らせる |
| 災害・遠隔地対応 | 保存先が社内にあると、地震・火災・水害で本番データと一緒に失われるおそれがある | 遠隔地のデータセンターに預けるため、被災時もデータが残りやすい |
| 拡張性(容量) | 容量が足りなくなると機器やメディアを買い増す必要がある | 契約容量を変更して増減でき、機器の増設を伴わない |
| 復旧速度 | 手元のメディアからの復旧は速い一方、遠隔保管分の取り寄せには時間がかかる | ネットワーク経由で必要な時点・範囲を選んで戻せるが、大容量の復元は回線速度に左右される |
| 通信・ネットワーク依存 | ネットワークがなくても取得・復元できる | 取得・復元にインターネット回線が必要で、回線品質の影響を受ける |
自社設備での運用は、機器を手元に置けるぶん復旧が速く、ネットワークにも依存しません。一方で、機器の初期投資・買い増しや、同一拠点に保存することによる災害時のリスクが残ります。クラウドバックアップはこの弱点を補いますが、通信への依存や大容量復元の時間といった別の制約が生まれる点も押さえておきたい要素です。
クラウドバックアップが必要とされる理由(ランサムウェア・災害・BCP)
ここからは、なぜ今クラウドバックアップの必要性が語られるのかを、ランサムウェア・災害・事業継続(BCP)の3つの観点から確認します。導入を上長や経営層へ説明する際の、客観的な理由づけにもなります。
まず、ランサムウェアによる被害が高い水準で続いています。警察庁によると、令和6年のランサムウェアの被害報告件数は222件で、組織規模別では大企業の被害が減る一方、中小企業の被害件数は前年から37%増加しました。対策が比較的手薄な中小企業に被害が広がっている状況です。
見落とされがちなのは、バックアップを取っていても復旧できないケースが多い点です。同じ調査で、バックアップからの復元結果に有効回答があった110件のうち、復元できなかったのは81件(約74%)にのぼりました。復元できなかった理由の有効回答74件のうち54件は「バックアップも暗号化された」ことで、本番環境と同じ場所に置いたバックアップは、攻撃者に一緒に暗号化されてしまうことを示しています。
この点について、警察庁は次のように対策を促しています。バックアップを本番環境から分離して保管する必要があることが読み取れます。
日頃からのログの取得・保管やバックアップのオフライン環境での保管といった対策が求められる。
出典:令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁
災害への備えも理由の一つです。地震・火災・水害では、本番データと同じ拠点に置いたバックアップが同時に失われるおそれがあります。遠隔地のデータセンターへ控えを預けておくと、拠点が被災してもデータが残り、事業の再開につなげられます。
事業継続の観点からも、平時の備え(BCP)がある組織ほど早く復旧できています。警察庁の同じ調査では、1週間未満で復旧した組織の23.1%がサイバー攻撃を想定したBCPを策定していました。一方、調査・復旧に「1,000万円以上」かつ「1か月以上」を要した組織で同種のBCPを策定していたのは11.8%にとどまりました。
出典・参考資料(1件)
バックアップはランサムウェア対策の中でも「感染してしまった後に復旧する」層を担う手段です。感染そのものを入口・端末・ネットワークの段階で防ぐ対策まで含めて備えを見直したい場合は、次の記事で対策の全体像と製品の選び方を確認できます。
クラウドバックアップのメリットとデメリット・注意点
ここからは、クラウドバックアップの利点と、導入前に知っておきたい弱点を対で整理します。デメリットを含めて把握しておくと、導入後の想定外を減らせます。
遠隔地保管による災害耐性・容量の拡張性・通信への依存は、前掲の「従来運用との違い」の表で触れたとおりです。ここでは表に収まりきらない、運用と費用の実務面を中心に整理します。
メリット
- 初期投資と保守の負担を抑えられる:専用の機器を自社に持たないため、機器の故障対応やメディアの寿命管理から解放され、担当者依存の運用も減らせます
- 自動取得で人的ミスが起きにくい:スケジュールを設定すれば以降は自動で取得され、手作業のバックアップで起こりがちな取り忘れや、世代(保存する時点)の付け間違いを防げます
- 確認できる基準のセキュリティを利用できる:転送・保管時の暗号化(AES-256など)、ログインの多要素認証、データセンターの情報セキュリティ認証(ISO/IEC 27001など)を事業者側の仕組みとして使えます。自社で同水準を整えるより手間が小さく済みます
デメリット・導入前の注意点
- 初回転送に時間がかかる:最初は対象データ全体を送るため、容量が大きいほど完了までに時間を要します。運用に乗れば変更分だけを送る仕組みが一般的ですが、最初の1回は計画的に進めるのが安全です
- 復元時に費用が生じる場合がある:サービスによっては、クラウドからの復元時にダウンロード量に応じた料金が発生します。ファイル単位で戻せるか・システム全体を戻せるか・どの時点まで遡れるかも異なるため、復元の条件を事前に確かめておきましょう
- セキュリティは自社でも確認が要る:暗号化方式・ログイン認証・データの保管国・第三者による情報セキュリティ認証の有無は、事業者任せにせず選定時に見ておきたい項目です。これらを開示しているかどうか自体が、事業者を見極める材料になります
クラウドバックアップの種類(イメージ型・ファイル型)
ここからは、バックアップの取り方の種類を確認します。大きくイメージ型とファイル型に分かれ、目的に応じて使い分けます。
イメージ型は、OSやアプリケーション、設定を含めてシステム全体を丸ごと保存する方式です。サーバーやパソコンが起動しなくなった場合でも、環境ごと復元して業務を再開できます。ハードウェアの故障やランサムウェアで端末そのものが使えなくなる事態に強い方式です。
ファイル型は、指定したフォルダやファイルを単位として保存する方式です。必要なデータだけを選んで戻せるため、誤って消した書類の復元など、日常的なデータ保護に向きます。両方に対応し、対象に応じて使い分けられるサービスもあります。

クラウドバックアップ運用の基本(3-2-1ルール・世代管理)
種類を選ぶ前に、バックアップの取り方の設計で広く参照される原則を押さえておきます。代表的なのが「3-2-1ルール」です。情報処理推進機構(IPA)は、バックアップ運用の基本として次のように示しています。
データはコピーして3 つ持ち、2 種類のメディアでバックアップを保管し、バックアップの1 つは違う場所で保存するというルールがある。ランサムウェアに対しては「3-2-1-1-0 ルール」も提唱されているので参考にするとよい。
出典:情報セキュリティ10大脅威 2024 セキュリティ対策の基本と共通対策|情報処理推進機構(IPA)

この原則に照らすと、クラウドへの保管は「違う場所での保存」を担う手段として位置づけられます。あわせてIPAは、複数の時点に戻せるよう過去のバックアップも残しておくこと(世代管理)の重要性を示しています。
最新だけでなく、過去のバックアップも保管し、複数の時点に復旧できるようにしておくことが望ましい。データの破損からそれを認知するまでに時間がかかると最新のバックアップもすでに破損しているおそれがあるためである。
出典:情報セキュリティ10大脅威 2024 セキュリティ対策の基本と共通対策|情報処理推進機構(IPA)
破損や暗号化に気づくまで時間がかかると最新の控えも壊れていることがあるため、何世代まで遡れるかはサービス選びで具体的に確認したい観点です。この「違う場所での保存」と「世代管理」を、次の選び方で見るべき点として引き継ぎます。
クラウドバックアップの選び方(見るべき観点)
ここからは、基礎を踏まえてサービスを見比べるときの観点を挙げます。具体的な製品ごとの比較は次の段階に譲り、まずは何を見ればよいかを押さえます。
- 料金体系:容量課金か台数課金か、初期費用の有無、復元時のダウンロード料金の有無を確認しておきましょう。自社のデータ量と端末数のどちらで費用が伸びるかを見極めると、規模に合う体系を選べます
- バックアップ対象:サーバー・パソコン・NAS・仮想環境・クラウドサービス(Microsoft 365やGoogle Workspaceなど)のうち、自社が守りたい対象に対応しているかを確かめておきたい観点です
- 災害対応・遠隔地保管:保存先が本番環境と地理的に離れているか、被災時に別拠点や別環境へ復元できるか(ディザスタリカバリ)も見ておきたい点です。3-2-1ルールの「違う場所での保存」を満たせるかが目安になります
- セキュリティ:転送・保管時の暗号化方式、ログインの認証、データの保管国、情報セキュリティ認証(ISO/IEC 27001など)の有無を確認することが重要です。認証の保有主体がサービス本体かデータセンターかまで見ておくと正確です
- 世代管理・復元速度:何時点まで遡って戻せるか、復元がファイル単位・システム単位のどちらに対応するか、大容量を戻す際の所要時間も確かめておきましょう
- 重複排除・転送効率:変更分だけを送る仕組みや重複排除に対応していると、通信量と保管容量を抑えられます。回線が細い環境ほど効いてくる観点です
基礎を押さえたら、実際のサービスを見比べる段階に進めます。自社の対象データや規模に照らして、料金や対応範囲を具体的に比較していきましょう。
クラウドバックアップサービスの活用
ここでは、クラウドバックアップに対応した代表的なサービスを軽く紹介します。本記事は基礎の理解が目的のため、料金や対応範囲を細かく突き合わせる本格的な比較は、記事末尾で案内する専用の比較記事に譲ります。まずは「こういうサービスで解決できる」というイメージをつかんでください。
| サービス名 | 使えるデータプロテクト | BackStore | FIT-Cloud バックアップサービス | USEN GATE 02 クラウドバックアップ | WideNetのCLOUD BACKUP | EASYクラウドバックアップ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 要問い合わせ | 0円 | 要問い合わせ | 0円(AJ)/10万円〜(Va) | 0円 | 0円 |
| 月額費用 | 2,400円〜(プラン例。最適構成は個別見積もり) | サーバー 1TB 52,000円〜/PC 1ユーザー 1,000円〜 | 要問い合わせ(容量課金) | 21,000円〜(AJ 500GB、税別)/19,000円〜(Va) | PC 1,780円〜/サーバー 13,180円〜(税別・1台あたり・容量別) | 要問い合わせ |
| 課金体系 | 月額制(個別見積もり) | 容量課金(重複排除・圧縮後の容量が基準) | 容量課金(台数無制限、契約容量100GB〜) | 容量従量(AJ)/容量プラン(Va)/個別見積もり(Druva) | 容量課金(1台あたり容量プラン制) | 容量課金 |
| バックアップ対象 | PC・サーバー・仮想マシン・Microsoft 365・Google Workspace | サーバー(物理/仮想/NAS/DB)・PC・SaaS(Microsoft 365/Google Workspace/Salesforce) | サーバー・PC・NAS(エージェント導入型) | サーバー・仮想マシン・PC・NAS・SaaS(プランにより異なる) | PC・サーバー(Microsoft 365等のSaaSは対応予定) | サーバー・PC |
| バックアップ種類 | イメージ型 | イメージ型・ファイル型 | イメージ型・ファイル型 | イメージ型・ファイル型(プラン単位は要確認) | イメージ型・ファイル型 | イメージ型・ファイル型 |
| 世代管理 | 要問い合わせ | 無制限 | 多世代保持 | 要問い合わせ | 対応(日次世代・週/月保持) | 要問い合わせ |
| 災害対応・BCP | 国内(長野)自社DCへ保管、DR機能で仮想マシン切替 | AWS上にDR環境構築(VMware対応)、ランサムウェア対策 | 富山のDCへ遠隔分離、DR・異環境リストア対応 | ランサムウェア対策/DR(Druva PhoenixはAWSフェールオーバー) | 群馬の自社DCへ保管、DR/BCP対応(クラウド代替起動はオプション) | 国内DCへ保管 |
| セキュリティ | AES-256暗号化、DCがISO 27001認定 | データ・通信の二重暗号化(認証は要問い合わせ) | 要問い合わせ | AES-256(保存)/SSL・TLS(通信) | 暗号化+SSL通信、DCがISO27001(ISMS)認定(暗号化方式は要確認) | SSL経路で暗号化、国内DC保管 |
| 無料トライアル | 30日間 | 30日間 | 要問い合わせ | あり(申請制) | 30日間 | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
1. 使えるデータプロテクト(使えるねっと株式会社)

使えるねっと株式会社の使えるデータプロテクトは、中小企業向けに提供されてきた統合型のデータ保護サービスです。システム全体を丸ごと守るイメージ型で、パソコン1台からサーバー・仮想マシン・Microsoft 365・Google Workspaceまでを1つの管理画面で扱えます。
料金はプラン例で月額2,400円から、30日間の無料トライアルがあり、HDDやテープからの置き換えを最初に検討する際の候補になります。
出典・参考資料(1件)
2. BackStore(株式会社BackStore)

BackStoreは、セイコーソリューションズ株式会社の子会社が運営する、対応範囲の広い法人向けクラウドバックアップサービスです。物理・仮想サーバーやNAS・DB・PCに加え、Microsoft 365やGoogle WorkspaceなどのSaaSまで一元的に保護でき、イメージ型・ファイル型の両対応で世代管理は無制限です。
国内1,700社以上の導入実績を公表しており、対象範囲の広さと復元力を軸にサービスを選びたい企業に向きます。
出典・参考資料(1件)
3. FIT-Cloud バックアップサービス(北電情報システムサービス株式会社)

災害への備えを重視するなら、北陸電力グループの北電情報システムサービス株式会社が提供するFIT-Cloud バックアップサービスが候補です。自然災害が比較的少ない富山県のデータセンターへ遠隔分離して保管する点が持ち味で、イメージ型・ファイル型の両方に対応し、多世代の保持でランサムウェア感染前の状態にも戻せます。
料金は容量課金で、契約容量内であれば対象台数を増やしても台数課金が発生しない設計です。守りたい端末が多い環境でも、費用を容量基準で見通しやすくなります。
4. USEN GATE 02 クラウドバックアップサービス(株式会社USEN ICT Solutions)

USEN GATE 02 クラウドバックアップサービスは、方式の異なる複数プランから自社に合う入口を選べるのが特徴です。クラウド従量型の「AJ」は初期費用0円・500GBで月額21,000円(税別)から小さく始められ、ハイブリッド型の「Va」やDruva製品を用いるプランでは、オフライン保管によるランサムウェア対策やAWSへのフェールオーバーも選べます。
物理サーバー・仮想マシン・PC・NAS・SaaSと、プランによって対応範囲が分かれるため、守りたい対象を先に決めてからプランを絞り込むのが実務的です。
5. WideNetのCLOUD BACKUP(株式会社ネディア)

料金の分かりやすさで選ぶなら、株式会社ネディアが「WideNet」ブランドで提供する完全クラウド型のバックアップサービスが挙げられます。システムイメージ型とファイル・フォルダー型に対応し、増分バックアップで転送量を抑えつつ日次の世代を週・月単位で保持でき、自社データセンターはISO/IEC 27001(ISMS)認定を取得しています。
初期費用0円で、パソコンは月額1,780円から・サーバーは月額13,180円から(いずれも税別・1台あたり・容量別)と金額が明示され、価格と手軽さで検討したい入門層に合います。
出典・参考資料(1件)
6. EASYクラウドバックアップ(株式会社セキュアイノベーション)

EASYクラウドバックアップは、セキュリティ専業の株式会社セキュアイノベーションが、ランサムウェア対策の一環として提供するサービスです。バックアップエンジンにAcronisの技術を採用し、OSごと保存するイメージ型とファイル単位のファイル型の両方に対応、専用機器が不要で初期費用なしで小さく始められます。
容量別の料金や世代管理、第三者のセキュリティ認証は公式での明示が限られるため、要件が固まっている場合は公式への確認をおすすめします。
出典・参考資料(1件)
7. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

最後は、バックアップを含みつつ性格の異なる選択肢です。株式会社SYNCHROのKATABAMIは、予防(脆弱性診断)・復旧(隔離バックアップ)・補償(サイバー保険)を束ねた、ランサムウェア対策に特化したパッケージ型サービスで、バックアップは復旧を担う一要素という位置づけになります。
復旧を担う「KATABAMI CRA」は、本番のネットワークから隔離した経路でセンター内のNASへデータを自動退避させ、バックアップごと暗号化される事態を避ける設計です。
本番環境に置いたバックアップが攻撃者に暗号化されるという先の論点について、開発元のSYNCHROは独自インタビューで背景を次のように説明しています。

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。
このコメントの「約8割近く」と、本記事前半で示した警察庁の数値は、指す範囲が異なります。前半の数値は、復元できなかった理由の有効回答74件のうち54件(約7割)でバックアップも暗号化されていた、という母集団を指し、上記コメントはベンダーが実務で見聞きする同種の傾向を表した表現です。いずれも「本番と同じ経路のバックアップは一緒に潰されやすい」という同じ問題を示しています。
料金は公式サイト記載で1台あたり月額1,250円から、デバイス単位の課金です。バックアップ単体ではなく、脆弱性診断や保険まで一体で備えたい場合に向く選択肢です。
出典・参考資料(1件)
ここで取り上げたサービスも含め、法人向けのクラウドバックアップをより多くの製品で見比べたい場合は、次の記事が参考になります。料金や対応範囲(イメージ型・ファイル型)を一覧で突き合わせ、失敗しない選び方まで確認できます。
まとめ
クラウドバックアップは、社内のデータをインターネット経由でクラウド事業者の設備へ複製して保管し、失われたときに復元できるようにする仕組みです。同じ状態を保つクラウドストレージ(同期)とは目的が異なり、過去の時点へ戻せる点がバックアップの役割になります。
外付けHDD・テープ・オンプレNASでの運用と比べると、初期投資や運用の手間を抑えつつ、遠隔地保管による災害耐性と容量の拡張性を得られます。一方で、通信への依存や初回転送の時間、復元時の挙動や費用条件といった注意点もあり、メリットと合わせて把握しておくことが大切です。
種類はイメージ型とファイル型に分かれ、3-2-1ルールや世代管理といった原則を踏まえて設計します。選ぶときは、料金体系・対象範囲・災害対応・セキュリティ・世代管理・転送効率の観点で見比べると、自社の規模と要件に合うサービスを絞り込めます。次の一歩として、気になるサービスの資料で料金や対応範囲を具体的に確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. クラウドバックアップはクラウドストレージ(同期)で代用できますか?
A. 同期はバックアップの代わりにはなりません。同期では、誤って削除したファイルやランサムウェアで暗号化されたファイルの状態が共有先すべてに波及し、正常だった過去の時点へ戻せないためです。過去のある時点のデータを別に保管して後から復元するバックアップとは、目的そのものが異なります。
Q. クラウドバックアップがあればランサムウェアに感染しても復元できますか?
A. クラウドバックアップがあれば復旧できる可能性は高まりますが、本番環境と分離して保管していないと復元できないことがあります。本記事前半で触れた警察庁の調査でも、復元できなかった主因は「バックアップも一緒に暗号化された」ことでした。本番環境から切り離したオフライン・隔離環境に保管し、複数の世代を残しておくことが重要です。
Q. クラウドバックアップはどのくらいの頻度で取ればよいですか?
A. クラウドバックアップの頻度は、「どの時点のデータまでなら失っても許容できるか」(RPO=目標復旧時点)を基準に決めます。業務データが頻繁に更新される場合は、1日1回以上の自動取得が一つの目安になります。あわせて、取得したデータが実際に復元できるかを定期的にテストしておくと、いざというときの復旧に備えられます。
Q. クラウドバックアップのセキュリティは安全ですか?
A. クラウドバックアップの安全性は、転送・保管時の暗号化(AES-256など)、ログインの多要素認証、データセンターの情報セキュリティ認証(ISO/IEC 27001など)といった、確認できる基準で見極められます。これらを開示しているサービスを選ぶことが目安になります。あわせて、データの保管国や、認証の保有主体がサービス本体かデータセンターかまで確認しておくと正確です。
Q. クラウドバックアップの料金はどのように決まりますか?
A. クラウドバックアップの料金は、保管する容量で決まる容量課金と、対象端末の台数で決まる台数課金に大きく分かれます。初期費用の有無や、クラウドから復元する際にダウンロード量に応じた料金が発生するかも、サービスによって異なります。自社のデータ量と端末数のどちらで費用が伸びるかを見極めると、規模に合う体系を選べます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















