「ステーブルコイン決済」という言葉を目にする機会は増えましたが、実際に日本で・日本円建てで使える手段はどこまで整っているのか、具体名で把握するのは意外と難しいものです。改正資金決済法で「電子決済手段」という枠組みが整い、2025年からは資金移動業者による日本円ステーブルコインの発行や、実店舗・ECでの決済サービスが相次いで動き出しました。
この記事では、「今、日本でどの銘柄が・どのサービス経由で・どこで使えて、手数料はいくらか」という現状の見取り図をお見せします。あわせて、なぜ今それが可能になったのかという制度の背景と、自社で導入・利用する際に押さえておきたい点を整理します。料金や制度は動きが速い領域のため、本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづいています。
目次
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日本で今使える日本円建てステーブルコインの銘柄一覧
ここでは、日本で実際に発行・流通している主な日本円建てステーブルコインを整理します。ステーブルコインは、法定通貨などと価値が連動するよう設計されたデジタル通貨で、価格が変動する暗号資産とは分けて扱われます。日本円建ての銘柄は「誰が発行し、何で価値が裏付けられ、どうやって入手するか」が銘柄ごとに異なります。
| 銘柄 | JPYC(現行) | JPYC Prepaid(旧) | JPYSC | USDC・USDT(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 発行体 | JPYC株式会社 (資金移動業者:関東財務局長第00099号) | JPYC株式会社 | SBI新生信託銀行 (SBIホールディングスとStartale Groupが開発) | Circle社・Tether社(いずれも海外) |
| 法的な位置づけ | 電子決済手段 (資金移動業者による発行) | 電子決済手段に該当する前払式支払手段 | 特定信託受益権(信託型) | 米ドル連動のステーブルコイン |
| 裏付け資産 | 日本円(預貯金・国債)で発行残高の100%以上を保全 | — | 信託により管理 | 米ドル建て資産 |
| 対応チェーン | Ethereum/Polygon/Avalanche/Kaia | Ethereum/Polygon/Avalanche ほか | Ethereum | Solana/Polygon/Ethereum ほか |
| 入手・利用手段 | JPYC EXで銀行振込により発行・償還(1JPYC=1円) | 新規発行は2025年5月30日で終了。既発行残高を「JPYC Apps」でギフト券・商品券に交換して利用 | SBI VCトレードの販売所で購入(現状は同社口座内での取扱い、1JPYSC=1円) | USDCはSBI VCトレードで購入可(USDTは国内取引所の取扱いなし)。決済サービスでの受け取りに利用 |
※2026年9月時点の各社公表情報にもとづく
まず押さえておきたいのが、名前の近い「JPYC」と「JPYC Prepaid」が別物である点です。現在新規に入手できるのは、資金移動業者としての登録にもとづき2025年10月27日に発行が始まった現行の「JPYC」で、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を通じて日本円と1対1で発行・償還できます。
一方で以前からあった「JPYC Prepaid」は前払式支払手段として発行されてきましたが、2025年5月30日に新規発行を終了しており、今から買い足すことはできません。既に保有している残高は「JPYC Apps」でギフト券や自治体連携の商品券に交換して使う形になります。
現行のJPYCは発行実績も伸びており、発行開始から約11か月の2026年9月18日時点で累計発行額が100億円を突破したと公表されています。信託型のJPYSCは、SBI新生信託銀行が発行しSBI VCトレードが取り扱う日本円建てステーブルコインで、後述する「特定信託受益権」という制度上の枠組みで発行される点が特徴です。
出典・参考資料(3件)
日本でステーブルコイン決済はどこで・どう使えるか
銘柄が分かったら、次に気になるのは「実際にどのサービス経由で・どこで使えるのか」です。ここでは、事業者が決済に使える/受け入れられるサービス、実店舗・EC・BtoBでの実証や導入の事例、そして裏側にある市場の構造の3つに分けて見ていきます。
今使える決済サービス(Stablecoin Pay・DG SPS・取扱取引所)
店舗やECがステーブルコインを「受け入れる」ための決済サービスと、銘柄を「入手する」ための取引所・プラットフォームが出そろってきました。加盟店側の受け入れ手段としては、複数のステーブルコインに対応するゲートウェイ型のサービスが登場しています。
| サービス | Stablecoin Pay | DG SPS | JPYC EX | SBI VCトレード(JPYSC取扱) |
|---|---|---|---|---|
| 役割 | 受け入れ(加盟店) | 受け入れ(加盟店・決済事業者向け) | 入手・償還 | 入手(購入) |
| 提供会社 | 株式会社ネットスターズ | 株式会社デジタルガレージ(JCB・DGフィナンシャルテクノロジーへ提供) | JPYC株式会社 | SBI VCトレード株式会社 |
| 対応銘柄 | USDC/USDT/JPYC | USDC(JPYCは今後対応予定) | JPYC | JPYSC |
| 対応チェーン | Solana/Polygon(Aptos対応予定) | Base(Ethereum・Polygonへ拡大予定) | Ethereum/Polygon/Avalanche/Kaia | Ethereum |
| 導入・利用手段 | QRコード(顧客提示型)。既存の決済運用のまま、追加端末なしで導入可能 | API接続による既存システムとの統合 | 銀行振込で発行・償還する入手/償還プラットフォーム | 販売所での購入(1JPYSC=1円) |
| 提供状況 | 2026年7月13日本格始動 | 2026年8月10日 商用展開開始 | 提供中 | 提供中 |
※2026年9月時点の各社公表情報にもとづく
ネットスターズの「Stablecoin Pay」は、同社の決済ゲートウェイ「StarPay」の基盤の上で複数のステーブルコインをまとめて受け付けられる点が特徴で、加盟店側は日本円ベースで管理できます。
デジタルガレージの「DG SPS」は、JCBやDGフィナンシャルテクノロジーといった決済事業者へ提供し、API接続で加盟店が導入する構えです。入手側では、現行JPYCはJPYC EXで、信託型のJPYSCはSBI VCトレードの販売所で、それぞれ日本円と1対1で扱えます。
出典・参考資料(2件)
実店舗・EC・BtoB の実証/導入事例
「本当に店舗で使えるのか」を確かめるうえで参考になるのが、実際の実証・導入の事例です。ネットスターズの「Stablecoin Pay」は、羽田空港(2026年1〜2月)や兵庫県姫路市のトレーディングカード店(4月〜)での実証を経て、2026年8月にはローソンでの実証も行われました。
ローソンでの実証第2弾(2026年8月17日)では、USDC・USDT・JPYCの3種類を3つのブロックチェーンで検証し、決済はおおむね5秒以内に完了したと報じられています。
BtoBの領域でも動きが出ています。デジタルガレージのDG SPSは、JCBの加盟店ネットワーク(国内外約7,200万箇所)を見据えた提供を掲げています。
日本円建てステーブルコインでは、物流のAZ-COM丸和ホールディングスが2026年7月に協力会社約2,300社への委託費支払いにJPYCを導入すると発表するなど、企業間の支払いでの活用も始まっています。一方で、店舗実証では「USDTを最終的にどう日本円に換えるか(円転)」の設計は今後の課題として残っており、実運用に向けた検討が続いている段階です。
出典・参考資料(2件)
終了・日本非提供のサービス(市場構造)
使える手段を見極めるうえでは、「今は使えないもの」を知っておくことも役立ちます。かつて国内で提供されていたビットコイン決済サービスのうち、bitFlyerの「bitWire SHOP」やコインチェックの「Coincheck Payment」は終了・停止しています。
海外の大手決済サービスも、Coinbase Commerceが米国・シンガポール以外の加盟店向けサービスを2026年3月末で終了し、後継サービスも日本では提供されていないなど、日本の事業者がそのまま導入できるとは限りません。
こうした流れが示すのは、決済に使われる対象が価格変動の大きい暗号資産から、価格が安定したステーブルコインへと移りつつあることです。日本で実際に導入できる選択肢は、日本円建てステーブルコインの発行体と、それを受け付ける国内の決済サービスに絞り込まれてきています。プレイヤーが限られているぶん、対応銘柄・手数料・導入手段で自社に合うものを見極めやすい状況です。
ステーブルコイン決済の手数料・コストの実際
導入を検討するうえで避けて通れないのが手数料です。受け入れ側の加盟店手数料と、銘柄そのものの入手・送金にかかるコストは分けて考える必要があります。
受け入れ側の加盟店手数料では、ネットスターズの「Stablecoin Pay」が0.98%(非課税)を公表しています。経済産業省の「キャッシュレス決済実態調査アンケート」では、クレジットカード等の加盟店手数料は3%台前半が多いとされており、この水準と比べても低く、複数のステーブルコインを1つの契約で受け付けられる点が訴求されています。
一方、デジタルガレージの「DG SPS」は加盟店手数料を公表しておらず、導入時に個別の確認が必要です。受け入れ側のコストは公表状況にばらつきがあるため、複数のサービスに問い合わせて比べるとよいでしょう。
銘柄を入手する側では、現行JPYCはJPYC EXでの発行・償還手数料が無料(銀行振込手数料やブロックチェーンのガス代=送金時にチェーンへ支払う手数料は利用者負担)とされ、1回あたりの発行上限は100万円です。信託型のJPYSCはSBI VCトレードの販売所でスプレッドなしで売買できるとされています。送金はチェーンのガス代相当で、少額・短時間での資金移動がしやすい設計です。
コスト面では、従来の国際送金の負担が背景にあります。少額の国際送金では手数料が数%規模になることや着金までに時間がかかることが課題とされ、ステーブルコインによる決済・送金はこうしたコストと時間を圧縮できる可能性があるとされます。ただし削減効果は取引条件によって幅があるため、自社の取引に当てはめて試算することが欠かせません。
国境を越えた取引そのものの手段や手数料の全体像を押さえておくと、ステーブルコインがどこでコスト削減に効くのかを判断しやすくなります。従来の決済方法との比較は以下の記事で整理しています。

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出典・参考資料(3件)
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なぜ今できるのか|改正資金決済法と「電子決済手段」
日本でステーブルコイン決済が現実的な選択肢になったのは、法制度が整ったからです。ここからは、その背景にある改正資金決済法と「電子決済手段」という枠組みを、答えの裏づけとして押さえておきます。
2022年(令和4年)の資金決済法改正により、ステーブルコインを位置づける「電子決済手段」という類型が新設され、関係する政令・内閣府令は2023年6月1日に施行されました。電子決済手段は暗号資産とは別のカテゴリで、資金決済法第2条第5項で次のように定義されています。
この法律において「電子決済手段」とは、次に掲げるものをいう。一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(…)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(第三号に掲げるものに該当するものを除く。)(…)三 特定信託受益権 四 前三号に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの
資金決済に関する法律 第2条第5項(e-Gov法令検索)
ここで重要なのが、第1号(通貨建ての財産的価値を、不特定の相手への代価弁済に使え、電子的に移転できるもの)と、第3号の「特定信託受益権」という区分です。
制度の構造上、電子決済手段の発行主体は、為替取引を担える銀行・資金移動業者か、信託の仕組みを使う信託会社に限られます。現行のJPYCは資金移動業者として発行するタイプ(第1号)、信託型のJPYSCは信託の受益権として発行するタイプ(第3号)にあたります。
JPYC株式会社は、2025年8月18日に資金移動業者として登録(関東財務局長第00099号)を受けています。これは金融庁の資金移動業者登録一覧でも確認でき、決済サービスを手がけるネットスターズやJCB、DGフィナンシャルテクノロジーも同じ一覧に登録されています。
さらに2025年に成立・公布された資金決済法の再改正が2026年6月1日に施行され、信託型ステーブルコインの裏付け資産の運用の柔軟化や、電子決済手段等・暗号資産サービスの仲介業の創設などが盛り込まれました。制度が段階的に整えられてきたことが、足元での提供拡大につながっています。
出典・参考資料(4件)
ステーブルコインの銘柄タイプの違い(信託型・資金移動業型・海外ドル建て)
日本円建てステーブルコインは、発行の仕組みによっていくつかのタイプに分かれます。自社の使い方に関係する型はどれかを見分けるうえで、違いを押さえておきましょう。

- 資金移動業型(例:JPYC):日本円で入手して送金・決済に使いたい事業者の中心的な選択肢。資金移動業者が発行する電子決済手段(第1号)で、発行残高の100%以上を日本円(預貯金・国債)で保全すると説明されています。
- 信託型(例:JPYSC):裏付けを信託で管理する点を重視する場合の選択肢。信託の受益権として発行する「特定信託受益権」(第3号)で、受け入れた金銭を預貯金や国債などで管理します。
- 海外ドル建て(例:USDC・USDT):海外顧客・越境取引での受け取りに向く米ドル連動の海外発行銘柄。国内では米ドル建てのUSDCをSBI VCトレードが取り扱っており(コインチェックも2026年8月に電子決済手段等取引業の登録を完了し取扱いを準備中)、USDTは2026年9月時点で国内取引所での取扱いがなく、決済サービスでの受け取りが中心です。
- 前払式支払手段型(例:旧JPYC Prepaid):もともと前払式支払手段として発行された銘柄。流通性などを踏まえ電子決済手段として扱われる場合もありますが、JPYC Prepaidは新規発行を終了しており、これから入手する銘柄には該当しません。
自社が「日本円建てで入手して使う」のか、「店舗・ECで受け入れる」のかで、選ぶ銘柄と組み合わせる決済サービスは変わります。たとえば入手・送金が目的なら資金移動業型のJPYC、海外顧客の受け入れなら米ドル建て対応の決済サービス、といった組み合わせが基点になります。
信託型の「特定信託受益権」は、資金決済法で次のように定義されています。裏付けを信託で管理する点が、資金移動業型との制度上の違いです。
この法律において「特定信託受益権」とは、金銭信託の受益権(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(…)に表示される場合に限る。)であって、受託者が信託契約により受け入れた金銭の総額のうち預貯金により管理する額の当該金銭の総額に占める割合が内閣府令で定める割合以上であること(…)その他内閣府令で定める要件を満たすものをいう。
資金決済に関する法律 第2条第9項(e-Gov法令検索)
自社で導入・利用する前に押さえる運用の勘所
最後に、自社でステーブルコイン決済を「使う」または「受け入れる」ときに、事前に確認しておきたい実務上のポイントを整理します。
受け入れ側になる場合、まず確認したいのは既存の決済オペレーションのまま導入できるかどうかです。たとえばStablecoin Payは、追加の端末・機器なしで既存の決済運用のまま導入でき、加盟店側は日本円ベースで管理できるとされています。既存レジやECのチェックアウトにどう組み込むか、対応するQRコードやAPIの形式を確認しておくとよいでしょう。
次に、受け取ったステーブルコインを日本円に換える「円転」の運用です。日本円建てのJPYCであればJPYC EXで日本円に償還できますが、米ドル建てのUSDT・USDCを受け取る場合は、いつ・どのレートで日本円に換えるかの設計が必要になります。実店舗の実証でも円転の方法は今後の設計課題として挙げられており、自社での扱いをあらかじめ決めておくことが重要です。
会計・稟議の面では、電子決済手段としてのステーブルコインが日本円資産で裏付けられている点や、発行体の登録状況(資金移動業者登録など)を確認材料にできます。導入の判断にあたっては、対応銘柄・手数料・入手や受け入れの手段を、自社の取引に当てはめて比較することをおすすめします。
ステーブルコイン決済を始める・受け入れるためのサービス
ここからは、ステーブルコイン決済に関わる代表的なサービスを、目的別に紹介します。自社の店舗・ECで受け入れたい場合はStablecoin PayやDG SPSといった決済サービスが窓口になり、日本円ステーブルコインを自分で入手して送金・決済に使いたい場合はJPYC EX(現行JPYCの発行・償還)やSBI VCトレード(JPYSC)が入手先になります。
既にJPYC Prepaidの残高を持っている場合は、JPYC Appsがその使い道です。まずは主なサービスを、受け入れ/入手の役割とあわせて一覧で確認してください。

| サービス名 | Stablecoin Pay | DG SPS | JPYC(JPYC EX) | JPYSC(SBI VCトレード) | JPYC Apps |
|---|---|---|---|---|---|
| 役割 | 受け入れ(加盟店) | 受け入れ(加盟店・決済事業者向け) | 入手・償還 | 入手(購入) | 既存残高の利用 |
| 対応銘柄 | USDC/USDT/JPYC | USDC(JPYCは今後対応予定) | JPYC(資金移動業型の電子決済手段) | JPYSC(信託型) | JPYC Prepaid(既存残高のみ) |
| 入手・受入手段 | QRコードで受け付け (追加端末なしで既存運用のまま導入) | API接続で既存システムに統合 | JPYC EXで銀行振込により発行・償還 (1回100万円まで) | SBI VCトレードの販売所で購入 (1JPYSC=1円) | ギフト券・JPYC商品券への交換、残高譲渡 |
| 手数料 | 加盟店手数料 0.98%(非課税) | 非公表(導入時に個別確認) | 発行・償還とも無料 (振込手数料・ガス代は利用者負担) | 販売所スプレッドなし | 公式サイトに明示なし(2026年9月時点) |
| 提供状況 | 2026年7月本格始動 | 2026年8月 商用展開開始 | 提供中 | 提供中 | 新規発行は2025年5月30日で終了 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式資料を見る |
個々の銘柄やサービスだけでなく、暗号資産・ステーブルコイン決済サービスを法人の導入メリットや手数料、適法性、選び方まで含めて横断的に比較検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
暗号資産・ステーブルコイン決済サービス比較9選|法人の導入メリット・手数料・適法性と選び方を解説
クレジットカードの決済手数料や、売上が入金されるまでのサイクルに負担を感じていませんか。訪日客や海外顧客への対応を広げたい実店舗・ECでは、暗号資産やステーブルコインを支払い手段として受け入れる動きが少しずつ広がっています。一方で、「自社で…
Stablecoin Pay(ネットスターズ)

Stablecoin Payは、決済ゲートウェイ「StarPay」を手がけるネットスターズが提供する、店舗・EC向けのステーブルコイン決済サービスです。USDC・USDT・JPYCに対応し、QRコードで支払いを受け付けます。
加盟店は追加の端末・機器なしで既存の決済運用のまま導入でき、日本円ベースで管理できる点が特徴です。加盟店手数料は0.98%(非課税)を公表しており、羽田空港や姫路市の店舗での実証を経て2026年7月に本格始動し、2026年8月にはローソンでの実証も行われました。店舗やECでステーブルコイン決済を受け入れたい事業者の窓口になります。
DG Stablecoin Payment Service(DG SPS)

DG SPSは、既存の決済システムにAPIで組み込むタイプのステーブルコイン決済基盤です。株式会社デジタルガレージが開発し、JCBやDGフィナンシャルテクノロジーといった決済事業者へ提供する形をとります。
対応銘柄はBaseチェーン上のUSDCで、JPYCへの対応も予定されています。JCBの広範な加盟店ネットワークを見据えており、2026年8月に商用展開を始めました。決済事業者や、API連携で自社システムにステーブルコイン決済を組み込みたい事業者に向くサービスです。
日本円ステーブルコイン JPYC(JPYC EX)

JPYCは、JPYC株式会社が資金移動業者として発行する日本円建てステーブルコインで、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を通じて日本円と1対1で発行・償還できます。
2025年10月に発行が始まった現行の銘柄で、発行残高の100%以上を日本円(預貯金・国債)で保全すると説明されています。対応チェーンはEthereum・Polygon・Avalanche・Kaiaの4種類で、用途や地域に応じて選べます。
JPYC EXでは口座を開設し、銀行振込で入金するとウォレットへJPYCが発行され、逆に指定アドレスへ送ると日本円で払い戻しを受けられます。発行・償還の手数料は無料(振込手数料・ガス代は利用者負担)で、1回あたりの発行上限は100万円です。
企業の基幹システムとの連携や、法人間の支払いでの採用など、法人ユースの事例も広がっています。新規に日本円ステーブルコインを入手したい場合の入り口となるサービスです。
JPYC Apps

JPYC Appsは、日本円ステーブルコイン「JPYC Prepaid」の保有残高を使うためのアプリです。JPYC Prepaidは新規発行を2025年5月30日に終了しているため新たな購入はできず、これから決済に使う銘柄を入手したい場合の窓口ではありません。既に保有している残高の使い道として位置づけられます。
Vプリカギフト・giftee Box・ちょコムeマネーといったギフト券への交換や、自治体と連携したJPYC商品券(宿泊券・ふるさと納税返礼品など)の購入に利用でき、発行済みの各ブロックチェーン上での残高譲渡にも対応します。
まとめ
日本のステーブルコイン決済は、改正資金決済法による「電子決済手段」の枠組みが整ったことを背景に、2025年から2026年にかけて実際に使える段階へと進みました。日本円建てでは資金移動業型のJPYCや信託型のJPYSCが発行され、受け入れ側ではStablecoin PayやDG SPSといった決済サービスが登場し、実店舗・EC・BtoBでの実証・導入も動き出しています。
導入を検討する際は、対応銘柄・手数料・入手や受け入れの手段を自社の取引に当てはめて比較し、円転や会計上の扱いといった運用面も併せて確認するとよいでしょう。まずは各サービスの資料で条件を見比べることから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ステーブルコインとは何ですか?暗号資産とはどう違いますか?
A. ステーブルコインとは、法定通貨などと価値が連動するよう設計されたデジタル通貨で、価格変動の大きい暗号資産(仮想通貨)とは制度上も分けて扱われます。
日本では改正資金決済法で「電子決済手段」という区分が新設され、日本円建てのステーブルコインはこの枠組みで発行されます。ビットコインなどの暗号資産が需給で価格が変動するのに対し、日本円建てステーブルコインは1コイン=1円を基準に発行・償還される点が最大の違いです。
Q. 日本で今使える日本円建てステーブルコインにはどんな銘柄がありますか?
A. 現在、日本で新規に入手できる主な日本円建てステーブルコインは、資金移動業型の「JPYC」と信託型の「JPYSC」の2銘柄です。JPYCはJPYC株式会社が発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を通じて提供し、JPYSCはSBI新生信託銀行が発行してSBI VCトレードの販売所で購入できます。
名前の近い「JPYC Prepaid」は2025年5月30日に新規発行を終了しており、今から買い足すことはできません(既に保有している残高は「JPYC Apps」で利用します)。
Q. ステーブルコイン決済は日本のどこで使えますか?
A. ステーブルコイン決済は、ネットスターズの「Stablecoin Pay」やデジタルガレージの「DG SPS」といった決済サービスを通じて、実店舗・EC・BtoBで利用が広がりつつあります。
実店舗では羽田空港(2026年1〜2月)・兵庫県姫路市の店舗(4月〜)・ローソン(8月)での実証が行われ、BtoBでは物流企業がJPYCを協力会社への委託費支払いに導入するなどの事例が出ています。ただし多くはまだ実証・提供開始の段階で、どの店舗でも当たり前に使えるほど普及しているわけではありません。
Q. ステーブルコイン決済の手数料はいくらですか?
A. 受け入れ側の加盟店手数料は、ネットスターズの「Stablecoin Pay」で0.98%(非課税)が公表されており、一般的なクレジットカード決済の水準と比べても抑えめです。
一方、銘柄の入手・償還にかかるコストは別で、現行JPYCのJPYC EXでの発行・償還手数料は無料(銀行振込手数料やブロックチェーンのガス代は利用者負担)とされています。加盟店手数料と入手・送金コストは分けて考える必要があります。
Q. 日本円ステーブルコインはどのブロックチェーンに対応していますか?
A. 対応チェーンは銘柄ごとに異なり、現行のJPYCはEthereum・Polygon・Avalanche・Kaiaの4チェーン、信託型のJPYSCはEthereumに対応しています。
チェーンによって送金にかかるガス代や連携できるサービスが変わるため、用途や連携先に合わせて選ぶことになります。決済サービス側では、Stablecoin PayがSolana・Polygon、DG SPSがBaseに対応するなど、受け入れ側が扱うチェーンも確認が必要です。
Q. JPYCなどの日本円ステーブルコインに金額の上限や規制はありますか?
A. 銘柄によって上限が設けられており、現行のJPYCはJPYC EXでの1回あたりの発行上限が100万円とされています。これは資金移動業型として提供されていることによるもので、発行残高の100%以上を日本円(預貯金・国債)で保全すると説明されています。信託型のJPYSCなど銘柄ごとに扱いが異なるため、大口で利用する場合は各発行体・取扱事業者の条件を確認してください。
Q. 日本円ステーブルコインの価格が1円からずれる(ディペッグする)ことはありますか?
A. 日本円建てステーブルコインは、発行体が1コイン=1円で発行・償還する設計で、発行残高に相当する日本円資産(預貯金・国債)や信託によって裏付けられています。このため発行・償還のレートは1円に固定されますが、販売所などでの二次的な売買では需給によって一時的に価格が乖離する可能性はゼロではありません。裏付け資産の保全方法(資金移動業型か信託型か)を確認しておくと、安定性を判断する材料になります。
Q. 受け取ったステーブルコインは日本円に換えられますか?
A. 日本円建てのJPYCはJPYC EXで日本円に償還でき、1JPYC=1円で払い戻しを受けられます。一方、米ドル建てのUSDT・USDCを受け取る場合は、いつ・どのレートで日本円に換えるか(円転)の設計が別途必要になります。実店舗の決済実証でも円転の方法は今後の設計課題として挙げられており、受け入れ側になる場合はあらかじめ自社での扱いを決めておくことが重要です。
Q. 店舗やECがステーブルコイン決済を受け入れるには何が必要ですか?
A. 受け入れ手段として、「Stablecoin Pay」のように追加の端末・機器なしで既存の決済運用のまま導入できるサービスがあり、加盟店側は日本円ベースで管理できます。
受け入れ方式はQRコード(顧客提示型)やAPI連携などサービスによって異なるため、既存のレジやECのチェックアウトにどう組み込むか、対応する形式と対応銘柄を事前に確認するとよいでしょう。あわせて、受け取ったコインの円転や会計上の扱いも運用設計に含めておくと安心です。
Q. 日本でステーブルコイン決済を使うのは合法ですか?なぜ今できるようになったのですか?
A. 日本では改正資金決済法で「電子決済手段」という枠組みが整い、登録を受けた事業者が発行・取り扱うステーブルコインを適法に利用できます。令和4年改正で電子決済手段の区分が新設され、関係する政令・内閣府令が2023年6月1日に施行されました。
さらに令和7年の再改正が2026年6月1日に施行され、信託型の裏付け資産運用の柔軟化や仲介業の創設などが加わっています。電子決済手段の発行主体は、為替取引を担える銀行・資金移動業者か、信託会社に限られており、たとえばJPYC株式会社は2025年8月に資金移動業者として登録(関東財務局長第00099号)を受けています。
出典・参考資料(3件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















