サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

サービス比較の記事一覧

余剰資金を有効活用したい(預金・投資・運用)
法人保険でリスクに備えたい
カーボンクレジットを活用したい

その他の金融課題を解決したい

自動音声応答システム(IVR)
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

IVR決済サービス比較10選|費用・カード情報の非保持化・受注フローへの影響で選ぶ

IVR決済 サービス比較のサムネイル画像

電話で注文を受けるたびに、オペレーターがお客様のカード番号を口頭で聞き取り、復唱しながら端末に入力します。通販やコールセンターの現場では長く当たり前だった手順ですが、聞き間違いによる決済エラー、通話録音に残る番号、手元のメモの扱いなど、気になる点を挙げ始めるときりがありません。

この受注フローを変えずに、カード情報の入力部分だけを自動音声に切り替えるのがIVR決済サービスです。決済のタイミングで通話を自動音声に転送し、お客様自身が電話機のプッシュ操作でカード番号を入力します。オペレーターが番号を聞かず、自社の受注管理システムにも番号が流れない状態を作れます。

とはいえ、いざ導入を検討すると判断材料が足りません。初期費用と月額がいくらになるのか、今契約している決済代行会社をそのまま使えるのか、オペレーターの操作や受注管理システムをどこまで変えることになるのか。本記事では、電話受注のカード決済をIVRで受け付けられる10サービスを、こうした観点で比較します。

この記事を読むとわかること

また、自社の状況に合わせて候補を絞り込めるよう、30秒で終わる選定診断ツールを記事の前半に用意しています。どのタイプから見ればよいか迷う場合は、こちらもご活用ください。

IVR決済サービスの2つの提供形態

IVR決済サービスは、電話受注のうちカード情報を入力する部分だけを自動音声に切り替える仕組みです。導入を比べ始めるとすぐに気づくのが、同じ「IVR決済」でも提供のされ方が二通りある点です。

ひとつは、IVRの仕組みだけを単体で導入する形。もうひとつは、決済代行会社が扱う決済手段のひとつとして追加する形です。どちらを選ぶかは機能の優劣ではなく、今の決済まわりの契約をどうしたいかで決まります。ここで自社がどちら側かを決めておくと、以降の比較表と各サービスの詳細が読みやすくなります。

決済代行の契約はそのままに導入できるタイプ

IVRの部分だけを提供し、決済処理は加盟店がすでに契約している決済代行会社やカード会社に流す構成です。IVR側が複数の決済代行会社に接続できるよう作られているため、決済の契約・手数料・入金サイクルを変えずに、カード情報の入力方法だけを差し替えられます。

決済代行会社との関係が長く、手数料や入金条件に満足している事業者に向きます。複数の決済代行会社を併用していて、そのすべてに対応させたい場合もこちらです。反面、IVRの契約と決済の契約が別になるため、請求書も問い合わせ窓口も2系統に分かれます。

決済代行サービスの一機能として使えるタイプ

決済代行会社が提供する決済手段の一覧に、IVR決済が並んでいる形です。カード情報は決済代行会社の環境で処理されるため、加盟店側で新たにセキュリティ対応を組み立てる範囲が狭くなります。契約・請求・サポートの窓口が1社にまとまることが多いのも利点です。ただし決済代行会社によってはIVRの部分を外部の事業者に委ねており、決済の契約とIVRの契約が2本になる場合があります。

これから決済代行会社を選ぶ事業者や、決済まわりの見直しをまとめて進めたい事業者に向きます。ただし、多くの場合はその決済代行会社の決済サービス本体を契約していることが前提になります。今の決済代行会社がIVR決済を扱っていなければ、決済ごと乗り換える判断が必要です。

どちらのタイプが自社に向くかの見分け方

判断は「今の決済代行会社との契約を動かしたいか」の一問でほぼ決まります。動かしたくなければ単体で導入できるタイプ、決済まわりごと整理したいなら決済代行サービスの一機能として使えるタイプが候補になります。

加えて、電話受注の規模も効いてきます。着信が多く同時通話も重なる事業者は、回線数や着信数に応じた料金体系を細かく設計できる単体導入型のほうが、コストを読みやすい傾向があります。以下の表で両タイプの違いを整理しました。

← 横にスクロールできます →
特徴決済の契約契約・請求・問い合わせ窓口向いている企業該当する主なサービス詳細
決済代行の契約はそのままに導入できるタイプIVRの仕組みだけを提供し、決済処理は加盟店が契約中の決済代行会社へ流すそのまま維持できる
複数社の併用にも対応しやすい
IVRと決済で2系統に分かれる今の決済手数料・入金条件を変えたくない
着信量が多く回線設計を細かく詰めたい
カード決済IVR、CyzoPHONE ほか計4サービス比較表を見る
決済代行サービスの一機能として使えるタイプ決済代行会社が扱う決済手段の一つとしてIVR決済を追加するその決済代行会社との契約が前提になることが多い1社にまとまることが多いこれから決済代行会社を選ぶ
決済まわりの管理を一本化したい
クロネコwebコレクト IVR決済サービス、DGフィナンシャルテクノロジーのIVR決済 ほか計6サービス比較表を見る

それでも、自社の受注量や既存システムを踏まえるとどちらが妥当か判断しづらい場合があります。以下の診断ツールでは、決済代行会社の契約状況・月間の着信数・受注管理システムとの連携要否の3点から、候補を絞り込めます。

あなたへのおすすめ
条件にマッチしたサービスを表示しています
本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

【比較表】IVR決済サービス比較10選

ここからは、電話受注のカード決済をIVRで受け付けられる10サービスを、提供形態別に比較します。初期費用・月額費用・従量課金に加え、接続できる決済代行会社、受注管理システムとのAPI連携、カード情報の入力方式まで並べました。

費用を公式サイトで公開しているのは10社のうち3社にとどまります。残る7社は、決済サービス全体の見積もりに含めるか、回線構成と業務範囲に応じて個別に見積もるかのいずれかで、金額そのものを出していません。理由の詳細は費用で整理します。

金額は公開されているものだけを記載し、公開されていない項目は推定で埋めず「公式に記載なし」と表記しました。相見積もりを取る際は、この表の空欄がそのまま各社への確認事項になります。

決済代行の契約はそのままに導入できるタイプ

← 横にスクロールできます →
サービス名カード決済IVRCyzoPHONEVポータルダイレクト
クレジットカード電話決済システム
beecall
提供会社株式会社電話放送局株式会社NTTデータNJKNTTドコモビジネス株式会社株式会社グッドクロス
初期費用400,000円〜
(決済代行会社がパッケージ化済みの場合)
100,000円〜(税別)
IVR決済専用プランはなく、インバウンドサービス全体の料金
公式に記載なし公式に記載なし
月額費用200,000円〜
(月間4,000件の着信を含む)
300,000円〜(税別)
着信数によらない固定制(同じくインバウンドサービス全体の料金)
公式に記載なし公式に記載なし
従量課金・超過料金4,001件目から1件25円
電話回線の工事費・使用料・通話料は別途
着信数による従量課金なし
電話番号の追加は1番号あたり初期・月額とも50,000円(税別)
公式に記載なし公式に記載なし
カード情報の入力方式顧客が直接入力/オペレーターが代理入力
(選択可)
顧客が直接入力顧客が直接入力顧客が直接入力
接続できる決済代行会社・カード会社複数の決済代行会社に接続可能
公式に確認できる提携先はゼウス・SBペイメントサービス(旧ソフトバンク・ペイメント・サービス)
他社は個別確認
既存の決済代行会社に接続できるかは公式に記載なし
(連携システムとの通信はWebAPIでカスタマイズと記載)
問い合わせで確認が必要
既存の決済代行会社に接続できるかは公式に記載なし
問い合わせで確認が必要
契約中の決済代行会社をそのまま活かせると記載
具体名は公式に記載なし
受注管理システムとのAPI連携導入企業側での開発が必要WebAPIでのカスタマイズと記載(仕様は非公開)公式に記載なし公式に記載なし
回線数(同時通話数)の考え方同時通話数は公式に記載なし
1顧客あたり2回線を同時に使える設備が前提(独自インタビューより)
同時着信数は無制限
基本パッケージに本番用・テスト用の各1番号を含む
Vポータルダイレクト全体の仕様
ベストエフォート型は最大92回線/最大184回線
ギャランティ型は同時2〜6回線(超過は要相談)
公式に記載なし
カード情報の非保持化・PCI DSS非保持化に対応
PCI DSS認証取得(対象範囲はカード情報を取り扱うIVRシステム)
公式に記載なし
(オペレーターが聞かないことによる漏えいリスク低減の説明にとどまる)
公式に記載なしオペレーターがカード情報に触れない運用でPCI DSS対応の設備投資が不要と説明
認証の取得主体は公式に記載なし
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト

決済代行サービスの一機能として使えるタイプ

← 横にスクロールできます →
サービス名クロネコwebコレクト
IVR決済サービス
IVR決済(音声自動応答)IVR決済サービス
(SBペイメントサービス)
IVR決済サービス
(GMOペイメントゲートウェイ)
音声応答システム(CTI)IVR(自動音声応答)決済システム
提供会社ヤマト運輸株式会社株式会社DGフィナンシャルテクノロジーSBペイメントサービス株式会社GMOペイメントゲートウェイ株式会社株式会社AXES Payment株式会社ゼウス
初期費用330,000円(税込)
(回線等開発費)
公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし
月額費用33,000円(税込)
(基本3回線を含む)
公式に記載なし公式に記載なし
電話回線数(同時通話数)に応じた料金体系
公式に記載なし
月額固定費は本番環境の提供開始日から発生(日割りなし)
公式に記載なし公式に記載なし
従量課金・超過料金同時接続回線の追加は1回線ごとに月額11,000円(税込)
決済手数料は公式に記載なし
公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし
カード情報の入力方式顧客が直接入力顧客が直接入力顧客が直接入力顧客が直接入力顧客が直接入力公式に記載なし
接続できる決済代行会社・カード会社クロネコwebコレクトのラインナップ内のオプション
本体契約が前提かは公式に記載なし
IVR経由の対応カードブランドも記載なし
同社の決済環境で処理
対応カードブランドは公式に記載なし
同社オンライン決済ASPのカード決済契約と、IVRを提供する事業者との契約が前提
連携先の具体名は現行のサービスページには記載なし
PGマルチペイメントサービスのカード決済契約と本番審査通過が前提(単体契約は不可)
対応カードブランドは公式に記載なし
同社の決済代行サービスの12種類のオプションの一つとして提供
対応カードブランドは公式に記載なし
公式に記載なし
(非保持化対策ページでの案内のみで単独の商品ページなし)
受注管理システムとのAPI連携管理システムとのAPI連携が可能と記載オプション(受注システムと決済金額を連携)受注システムとのデータ連携標準搭載公式に記載なし公式に記載なし
回線数(同時通話数)の考え方基本3回線(ベストエフォート式=加盟店間で共有)
「回線使用状況により、接続ができない場合がございます」と公式に注記
追加は1回線ごとに月額11,000円(税込)
公式に記載なし電話回線数(同時通話数)で料金が決まる
席数・オペレーター人数では変動しないと記載
回線数の上限は公式に記載なし
5回線のベストエフォート型
プッシュ信号と三者間通話に対応した電話機・PBXが必要
固定電話・携帯電話など回線を問わないと記載
同時通話数は公式に記載なし
公式に記載なし
カード情報の非保持化・PCI DSSオペレーターがカード情報を聞かず、自社システムを通過しないと記載
PCI DSS認証の明記は公式になし
カード番号はPCI DSSに準拠した同社環境で処理・保持し、非保持化を実現と記載カード情報がコールセンターのシステムを通過しない非保持化対応サービスと記載
PCI DSS認証のIVR決済への適用範囲は公式に記載なし
自社のPCサーバ・ネットワーク上でのカード情報の非保持・非通過を実現と記載
PCI DSSに準拠した環境で提供
公式に記載なし
(PCI DSS等のロゴ掲載はあるが取得の明記なし)
自動音声応答により事業者がカード情報に触れずに決済を完了できると案内
IVR決済固有のPCI DSSの記載はなし
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイトの記載に基づきます。料金・機能の最新の提供条件は各社にご確認ください。

各IVR決済サービスの詳細

比較表で目に留まったサービスについて、料金体系の内訳・接続できる決済代行会社・カード情報の入力方式を掘り下げます。同じIVR決済でも、料金が回線数で決まるものと着信数で決まるものがあり、想定する受注量によって有利なサービスが変わります。

料金や仕様をどこまで公開しているかは各社で大きく異なり、単独のサービスページを持たず問い合わせから始まる会社もあります。この公開度の差自体が、問い合わせ前に知っておきたい情報になります。

決済代行の契約はそのままに導入できるタイプ

決済の契約を動かさずに、電話受注のカード情報入力だけを切り替えたい事業者向けの4サービスです。共通するのは、決済処理そのものは加盟店側の契約に委ねる構成をとる点で、料金を公開しているのは4社のうち2社にとどまります。

1. カード決済IVR(株式会社電話放送局)

カード決済IVRのウェブサイト

お客様がプッシュ操作で入力する直接入力方式と、オペレーターが聞き取った番号を代理で投入する代理入力方式の両方を選べるサービスです。IVRを自社開発する株式会社電話放送局が提供しており、プッシュ操作が難しいお客様には代理入力を充てるといった使い分けができます。

料金は初期費用400,000円から、月額200,000円からで、月額には月間4,000件までの着信が含まれ、4,001件目からは1件25円が加算されます。ただしこの金額は、契約中の決済代行会社が同社側ですでにパッケージ化されている場合のもので、パッケージ化されていない場合は都度の開発・設定費用が発生します。電話回線の工事費・月額使用料・通話料は、IVRの利用料とは別枠の実費です。

接続先の決済代行会社を1社に縛らない設計で、手数料の都合で決済代行会社を変更した後もそのまま使い続けられます。公式に確認できる提携先は、株式会社ゼウス(2018年5月8日発表)とソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社(現SBペイメントサービス株式会社、2018年5月29日発表)の2社です。それ以外の会社との接続可否と料金は個別確認になります。

受注管理システムやCRMとのAPI連携にも対応しますが、連携には導入企業側での開発が必要です。

導入前に確かめておきたいのが回線です。独自インタビューによれば、通話中の回線を保持したまま、もう1回線で同社へ外線発信する仕組みのため、1顧客あたり2回線を同時に使える設備が前提になります。同社はカード情報を取り扱うIVRシステムを対象範囲としてPCI DSS認証を取得しており、導入期間は最短約2週間とされています。

導入企業の変化としては、複数拠点の運用でオペレーター全員へのタブレット端末配備が難しく非保持化への対応が課題だった通販事業者の事例が公開されています。導入後は運用コストが47%、処理工数が75%削減され、月間500件程度あったカード有効期限切れの通知業務(返信用封筒の送付)が不要になったと報告されています。

出典・参考資料(1件)

2. CyzoPHONE(株式会社NTTデータNJK)

CyzoPHONE(サイゾフォン)のウェブサイト

株式会社NTTデータNJKが提供するクラウド型のIVRで、あふれ呼への自動対応や着信の振り分け、アウトバウンドの一斉発信までを1つの基盤で扱います。電話でのカード決済はその用途のひとつです。オペレーターが通話を転送すると決済専用のフローが起動し、お客様のボタン操作で入力された情報を決済システムへ送り、承認・否認の結果を案内したうえで通話をオペレーターへ戻す流れです。

料金はIVR決済だけを切り出した専用プランがなく、インバウンドサービスの体系の中で見積もられます。公開されているのは初期費用10万円(税別)から、月額30万円(税別)からという水準で、月額は着信数によって増減しない固定制です。同時着信数は無制限とされ、電話番号を増やす場合は1番号あたり初期・月額とも5万円(税別)がかかります。

接続できる決済代行会社やカード会社の具体名は公式サイトに記載がなく、連携システムとの通信をWebAPIでカスタマイズするという説明にとどまります。今の決済代行会社をそのまま使えるかは、問い合わせで確認する必要があります。最少契約期間は1ヶ月で、期間限定のキャンペーン受注のような短期利用にも対応します。

3. Vポータルダイレクト クレジットカード電話決済システム(NTTドコモビジネス株式会社)

Vポータルダイレクト クレジットカード電話決済システムのウェブサイト

すでに使っているカード決済システムに、音声自動応答による受付チャネルを足す構成のサービスです。お客様は電話をかけ、ガイダンスに従ってプッシュボタンでカード番号や有効期限を入力します。通信販売の注文受付と、有償サポートセンターの課金決済が想定用途として挙げられています。

このサービスはクラウドIVRプラットフォーム「Vポータルダイレクト」の利用シーンのひとつとして提供され、回線の考え方もプラットフォーム共通の仕様に従います。複数の契約事業者で回線を分け合うベストエフォートタイプは最大92回線と最大184回線、回線を占有するギャランティタイプは同時2〜6回線で、6回線を超える場合は相談になります。最短1ヶ月からのスポット利用も可能です。

初期費用も月額費用も公式サイトでは公開されておらず、金額は問い合わせで確認することになります。接続できる決済代行会社やカード会社の具体名、カード情報の非保持化に関する説明も公式サイトには見当たりません。パッケージには標準のコールフロー構築、ナレーター収録、音声編集が含まれます。

4. beecall(株式会社グッドクロス)

beecall(ビーコール)のウェブサイト

決済システムのテクニカルサポート窓口として発足した経緯を持つコールセンター・BPOのブランドで、クレジットカードIVR決済はそのメニューのひとつです。オペレーターが電話注文を受けた後、カード番号の入力用回線に切り替えることで、オペレーターが番号を知らないまま決済処理を進めます。

訴求されているのは、契約中の決済代行会社と決済環境をそのまま活かして導入できる点です。ただし接続できる決済代行会社の具体名は公式サイトで確認できず、自社の契約先に対応するかどうかは問い合わせでの確認になります。初期費用・月額費用も公開されていません。

運営拠点は東京と福岡の2か所です。24時間365日の対応はコールセンター事業全体として掲げられているもので、IVR決済単体の受付・保守時間は明示されていません。決済に関するカスタマーサポートやチャット対応をあわせて委託できるメニューも用意されています。

決済代行サービスの一機能として使えるタイプ

決済代行会社が提供する決済手段としてIVR決済を追加できる6サービスです。決済処理と同じ環境でカード情報が扱われるため、加盟店側で用意するものが少なく済みます。料金は決済サービス全体の見積もりに含まれることが多く、単独の価格を公開している会社はほとんどありません。

5. クロネコwebコレクト IVR決済サービス(ヤマト運輸株式会社)

クロネコwebコレクト IVR決済サービスのウェブサイト

ヤマト運輸の決済サービス「クロネコwebコレクト」のラインナップに置かれたオプションで、カタログ販売やラジオ・テレビショッピングの電話受注が想定シーンとして挙げられています。お客様がカード払いを選んだ時点でオペレーターが通話をIVRへ転送し、お客様自身が手元の電話でカード情報をダイヤル入力します。

初期費用は330,000円(税込、回線等開発費)、月額費用は33,000円(税込)で、基本の同時接続回線数は3回線です。この3回線は加盟店間で回線を分け合うベストエフォート式で、公式ページには「回線使用状況により、接続ができない場合がございます」と注記されています。追加する場合は1回線ごとに月額11,000円(税込)が加算されます。

決済手数料はIVR決済サービスのページには記載がなく、問い合わせでの確認になります。

加盟店ごとに専用のIVR電話番号が付与され、IVRシステムと自社の管理システム間でのAPI連携も可能とされています。一方、IVR経由で使えるカードブランドや、クロネコwebコレクト本体の契約が利用の前提になるかどうかは、同ページには明記されていません。申し込みと料金の相談は問い合わせフォーム経由です。

6. IVR決済(音声自動応答)(株式会社DGフィナンシャルテクノロジー)

DGフィナンシャルテクノロジーのIVR決済(音声自動応答)のウェブページ

オペレーターが金額を確認したところで、株式会社DGフィナンシャルテクノロジーが用意するIVR専用の電話番号へ通話を転送します。あとはお客様が自動音声の案内に従ってカード情報をプッシュ入力するだけで決済が完了する、というのが基本の流れです。同社の旧社名はベリトランス株式会社で、コンタクトセンターを介したカード決済認証の仕組みについて特許第5457498号を保有しています。

導入に必要なのは転送機能のある電話機とインターネットに接続したPCだけで、加盟店側のシステム改修は不要と公式サイトに記載されています。カード番号はすべてPCI DSSに準拠した同社の環境で処理・保持し、カード情報の非保持化を実現するとしています。

オプションとして、決済後にオペレーターや指定窓口へ通話を切り替える機能と、受注システムと決済金額を連携するAPIが用意されています。初回にカードを登録すれば2回目以降の入力が不要になるので、電話やはがきで注文を受ける定期購入にも向きます。料金は初期費用・月額費用・決済手数料のいずれも公開されておらず、導入形態や売上規模に応じた個別見積もりです。

7. IVR決済サービス(SBペイメントサービス株式会社)

SBペイメントサービスのIVR決済サービスのウェブページ

2018年1月に提供が始まった、コールセンターの電話受注向けの非保持化サービスです。SBペイメントサービス株式会社の決済基盤と、外部のIVR専業事業者のシステムを連携させる形をとります。同社のオンライン決済ASPでのクレジットカード決済契約と、IVR事業者との契約の2つが利用の前提です。

連携先の具体名は現行の公式ページには記載がないため、問い合わせ時に確認する項目のひとつです。ただし2018年5月29日のプレスリリースでは、株式会社電話放送局のIVRとの連携が発表されています(本記事で1番目に挙げたカード決済IVRと同じ提供元です)。

料金は電話回線数(同時通話数)に応じて設定され、コールセンターの席数やオペレーター人数では変動しないと公式に説明されています。金額そのものは公開されておらず、個別の見積もりになります。

IVRの受電番号はコールセンターで共通の番号を使うため、拠点の変更や席数の増減があっても設定変更が要りません。決済完了後に担当オペレーターへ通話を戻す機能、受注システムとのAPI連携、日本語・英語・中国語・広東語・韓国語・スペイン語の音声案内にも対応します。カード番号の変更手続きを含む継続課金も扱えます。

8. IVR決済サービス(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)

GMOペイメントゲートウェイのIVR決済サービスのウェブページ

GMOペイメントゲートウェイ株式会社の決済サービス「PGマルチペイメントサービス」に、オプション機能として追加する形のIVR決済です。利用にはクレジットカード決済の契約と本番審査の通過が前提とされており、IVR決済だけを単体で契約することはできません。

オペレーターは受注情報を基幹システムかIVR管理画面に入力したうえで、お客様を自動音声へ転送します。お客様がカード番号・有効期限・セキュリティコードをプッシュボタンで入力する方式で、公式サイトは自社のPCサーバ・ネットワーク上でのカード情報の非保持・非通過を実現すると説明しています。決済後にオペレーターとの通話へ自動的に戻る機能と、受注システムとのAPI連携は、いずれも標準搭載です。

回線は5回線のベストエフォート型で、プッシュ信号と三者間通話に対応した電話機や構内交換機(PBX)が必要になり、利用は国内に限られます。本番環境の提供は毎月1日と15日の2回のみのため、切替日から逆算して準備を進めることになります。料金は公開されておらず、月額固定費は本番環境の提供開始日から発生し、日割りでの請求はないと案内されています。

9. 音声応答システム(CTI)(株式会社AXES Payment)

AXES Paymentの音声応答システム(CTI)のウェブページ

株式会社AXES Paymentは、クレジットカード・銀行振込・電子マネーをまとめて扱う決済代行会社です。電話での決済は単独の商品ではなく、同社が用意する12種類のオプションのひとつ「音声応答システム(CTI)」として提供されています

加盟店にかかってきた電話を同社の音声応答センターへ転送し、自動音声ガイダンスに従ってお客様がカード番号を入力します。決済結果は加盟店とお客様の双方へ通知されます。固定電話・携帯電話のいずれからでも使え、回線を問わないと公式に記載されています。

公式サイトでは従量制課金や後払い課金と組み合わせる使い方が案内されており、導入事例のカテゴリには電話占いサイトの課金が挙がっています。継続課金や与信認証といった他のオプションと合わせた課金設計もできます。料金もIVR経由で使えるカードブランドも公式には示されていないため、いずれも問い合わせて確認することになります。

10. IVR(自動音声応答)決済システム(株式会社ゼウス)

ゼウスのカード情報非保持化対策のウェブページ

株式会社ゼウスは、2018年5月に株式会社電話放送局と提携してIVR決済サービスの提供を開始したと発表しています。ただし現在の公式サイトにIVR決済の単独ページはなく、カード情報の非保持化対策を紹介するページの中で、専用タブレット端末や業務の外部委託と並ぶ選択肢のひとつとして案内されているだけです。

そこに載っているのは、自動音声応答を利用することで事業者がカード情報に触れずに決済を完了できる、という説明です。申し込み導線も料金表も公開されておらず、回線数や入力方式、対応ブランドといった仕様も確認できません。検討する場合は、現在の提供条件そのものを問い合わせるところから始めることになります。

電話受注向けには、別の方式として「電話登録(CTI決済)型」のページも公開されています。こちらはお客様が事業者ごとに発番された決済専用ダイヤルに電話し、事業者がゼウスの売上管理画面から決済処理を行う仕組みで、すべての電話機種から利用できるとしています。自動音声でお客様が入力するIVRとは手順が異なるため、どちらを指しているかを確かめたうえで相談するのが確実です。

IVR決済サービスとは?電話受注でカード情報を非保持化する仕組み

IVRは Interactive Voice Response の略で、着信した電話に自動音声で応答し、プッシュボタンの操作を受け付ける仕組みを指します。IVR決済サービスは、このIVRを決済の場面に使い、お客様自身にカード番号を入力してもらうサービスです。IVRという仕組み自体の成り立ちや決済以外の使われ方は、IVR(自動音声応答システム)とは?で解説しています。

カード情報はIVRを提供する事業者の環境で処理され、加盟店の機器やネットワークを通さない構成をとります。オペレーターが番号を聞かず、受注管理システムにも番号が残らない状態を作れる仕組みです。どこまで実現できるかはサービスと入力方式によって変わるため、各社の説明は比較表の該当行で確認してください。カタログ通販・テレビ通販・宿泊予約・保険の申込受付など、電話で申し込みを受ける業務で使われています。

オペレーター転送から決済完了までのコールフロー

実際の通話は、これまでとほとんど同じ流れで進みます。お客様からの電話をオペレーターが受け、商品や数量、お届け先を確認するところまでは変わりません。

IVR決済のコールフローの図解。オペレーターが受注応対し、カード払いなら決済用IVRへ転送、自動音声の案内でお客様がカード番号・有効期限・セキュリティコードをプッシュ入力、オーソリの結果が音声で伝えられ、通話終了またはオペレーターへ戻すコール戻しに分かれる

変わるのは支払いの場面です。お客様が「カードで」と答えたら、オペレーターは通話を決済用のIVRに転送します。あとは自動音声が案内し、お客様がカード番号・有効期限・セキュリティコードをプッシュ操作で入力します。入力が終わるとオーソリ(利用可否の照会)が行われ、結果が音声で伝えられます。

決済が終わった後は、そのまま通話を切る設計と、オペレーターに通話を戻して受注内容の確認まで続ける設計があります。後者は「コール戻し」と呼ばれ、オプションとして用意しているサービスがあります。お礼や案内までオペレーターが担当したい場合は、この機能の有無が効いてきます。

入力の担い手には二通りあります。お客様自身がプッシュ操作で入力する方式と、オペレーターがお客様から口頭で聞き取った番号をIVRに投入する方式です。前者はオペレーターが番号に一切触れませんが、後者は聞き取り自体が残ります。どちらを選ぶかは既存の応対をどこまで変えられるかで決まるため、選び方であらためて整理します。

音声認識で発話を受け取るIVRが広がるなかでも、決済の入力手段はプッシュ操作が使われ続けています。その理由について、電話受注向けのIVR決済を提供する株式会社電話放送局は次のように説明しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

音声入力(音声認識)による番号入力も技術的には考えられますが、当社としては現時点ではプッシュ入力(DTMF)の方が確実性は高いと判断しています。音声だと周囲の人に聞かれるリスクがありますし、通話録音装置などの音声ログの残り方も気になります。音声認識の精度も完璧ではなく、誤認識の問題もあります。決済という分野では「確実に処理できること」が何より重要です。

どんな電話受注で使われているか

導入が多いのは、電話が注文の主要な入り口になっている業種です。カタログ通販・新聞広告からの受注、テレビ通販やラジオ通販、定期購入の申し込み受付などが典型で、いずれもオペレーターが受注と決済を続けて処理します。

宿泊や交通機関の予約、イベントの申込受付、保険や会員サービスの契約手続きでも使われます。共通するのは、お客様がWebフォームでの入力に慣れていない、あるいは電話の場で支払いまで終わらせたいという事情がある点です。

逆に、受注のほとんどがWebで完結していて電話が例外的な問い合わせに限られる場合は、IVR決済の月額に見合う件数が集まらないことがあります。その場合は後述する別の手段のほうが費用対効果は高くなります。

また、決済の場面だけでなく、問い合わせの一次対応やあふれ呼、時間外の自動応答まで含めて電話業務そのものを見直したい場合は、決済以外の用途を軸にしたIVRのほうが候補になります。以下の記事では、そうした用途のIVRをタイプ・費用・選び方から比較しています。

IVR決済サービスを導入するメリット

導入すると、電話受注の現場では次の4点が変わります。いずれもオペレーターの手順が変わることから生じる効果です。

電話口でカード番号を聞き取らずに済む

最も大きい変化は、カード番号がオペレーターの耳と手を経由しなくなることです。番号を復唱する必要がなくなり、周囲に聞こえる場所で読み上げる場面も消えます。メモ用紙に控えて後で破棄する運用も不要になります。

加盟店の機器やネットワークをカード情報が通らない状態は、後述するカード情報の非保持化が求める状態と重なります。決済代行会社やカード会社から対応を求められている事業者にとっては、これが導入の直接の動機になります。ただし代理入力方式ではオペレーターの聞き取りが残るため、どの方式を採るかによって効果は変わります。

聞き間違い・入力ミスによる決済エラーが減る

16桁の番号を口頭でやり取りする限り、聞き間違いと打ち間違いはゼロにできません。桁を取り違えればオーソリが通らず、その場でやり直しです。お客様に番号を読み直してもらう時間も発生します。

お客様自身がプッシュ操作で入力する方式では、伝達の段階が丸ごと消えるため、この種のエラーが構造的に起きません。押し間違いへの備えとしてどこまで用意されているかはサービスによって異なるため、入力をやり直せるかは選び方で扱います。

オペレーターの応対時間と心理的負担が軽くなる

カード番号の聞き取りと確認、決済端末への入力は、1件あたりでは短くても件数が積み上がると無視できない時間になります。自動音声に任せている間、オペレーターは次の対応に移れる設計も可能です。

他人のカード番号を扱うこと自体がオペレーターの負担になっている面もあります。番号に触れない運用にすることで、取り扱いを誤らないよう気を張り続ける状態から離れられます。教育の内容も、番号の管理手順からお客様への案内へ重心を移せます。

この負担を感じているのはオペレーターだけではありません。導入相談の場で聞く声について、株式会社電話放送局は次のように話しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

オペレーターがカード番号を聞くということに対して、実は三者全員が不安を抱えています。オペレーター自身は、「万が一情報が流出したらどうしよう」、「間違えてメモしてしまったらどうしよう」、と心理的な負担を感じている。お客様側も、「この人に番号を伝えて大丈夫なのか」という不安がある。運営している企業側も、人がカード番号を聞くこと自体がリスクだと認識している。三者とも何も良いことがないのです。

夜間・繁忙期の受注取りこぼしを防げる

決済部分を自動化すると、1件あたりの通話時間が短くなり、同じ人数でさばける件数が増えます。テレビ放映後や広告出稿直後のように着信が集中する時間帯では、この差がそのまま受注数に表れます。

受注から決済までを完全に自動音声で完結させる設計にすれば、営業時間外の申し込みも受け付けられます。ただし同時に処理できる件数は契約した回線数で決まるため、繁忙期を想定した設計が前提になります。回線数の考え方は費用の項で扱います。

電話受注のカード情報非保持化と関連法令・ガイドライン

IVR決済を検討する事業者の多くは、決済代行会社やカード会社から「カード情報の非保持化」への対応を求められています。ただ、自社の今の運用が何に照らして問題なのかまで説明されることは多くありません。ここでは根拠となる法令とガイドラインの原文にあたり、電話受注の事業者に何が求められているのかを確認します。

割賦販売法が加盟店に求めるカード番号等の適切な管理

出発点は割賦販売法です。2018年(平成30年)6月1日に施行された改正で、加盟店にもカード番号等の適切な管理が義務づけられました。現行の第35条の16第1項は次のように定めています。

クレジットカード番号等取扱業者(次の各号のいずれかに該当する者をいう。以下同じ。)は、経済産業省令で定める基準に従い、その取り扱うクレジットカード番号等(略)の漏えい、滅失又は毀損の防止その他のクレジットカード番号等の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

出典:割賦販売法 第35条の16第1項|e-Gov法令検索

この条文が挙げる「次の各号」のうち、商品の販売やサービスの提供を行う加盟店は第2号に当たります。つまり電話で注文を受けている通販事業者も、この義務の名宛人です。

もっとも、条文は「必要な措置を講じなければならない」までしか書いておらず、委任先の割賦販売法施行規則第132条も「必要かつ適切な措置を講ずること」と定めるにとどまります。何をすれば足りるのかは法令の文面からは読み取れません。その橋渡しをしているのが所管省庁の監督の基本方針です。

この「必要かつ適切な措置」については、最新の技術動向等を踏まえて毎年見直しが行われるガイドラインに掲げられる措置が実務上の指針となるものであり、ガイドラインに掲げる措置又はそれと同等以上の措置を講じている場合には「必要かつ適切な措置」が講じられているものと認められる。

出典:割賦販売法(後払分野)に基づく監督の基本方針(令和7年9月)Ⅱ-2-2-5-5|経済産業省

ここで押さえておきたいのは、ガイドラインそのものが法律ではない点です。求められているのはガイドラインに掲げる措置、またはそれと同等以上の措置であり、書かれたとおりの手段しか選べないわけではありません。

では対応しなかった場合に何が起きるのか。実は、加盟店は同法第35条の17が定める改善命令の対象から明文で除かれています。代わりに効いてくるのが、カード会社や決済代行会社の側に課された義務です。

同法第35条の17の8は、加盟店の措置が基準に適合しない、または適合しないおそれがあると認めるときは、契約を締結してはならないと定めています。締結済みの契約についても、解除その他の経済産業省令で定める必要な措置を講じなければならないとされています(第2項・第4項)。決済代行会社から対応を迫られるのは、この条文が背景にあります。

クレジットカード・セキュリティガイドラインにおける非対面加盟店の扱い

実務上の指針とされているのが、クレジット取引セキュリティ対策協議会がまとめる「クレジットカード・セキュリティガイドライン」です。現行は2026年3月公表の6.1版で、毎年3月に改訂されています。

このガイドラインは、まず取引を対面と非対面に分け、非対面をさらに2つに区分しています。電話受注の事業者がどちらに当たるかは、次の記述で判定できます。

さらに、非対面取引を行う加盟店を以下の2つの区分に分類している。
EC加盟店:インターネットによりカード情報が通知される取引を行う加盟店
MO・TO取引取扱加盟店:電話・FAX・はがき等によりカード情報が通知される取引を行う加盟店
※MOはメールオーダー、TOはテレフォンオーダーの略

出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】4-1|クレジット取引セキュリティ対策協議会

電話で注文を受けている事業者は、MO・TO取引取扱加盟店に当たります。同じ非対面でも、ECサイトを運営する事業者とは求められる対策が異なるため、ここを取り違えると必要のない対応まで抱え込むことになります。

MO・TO取引取扱加盟店に示されている指針対策は、次の1行です。

カード情報を保持しない非保持化(非保持と同等/相当を含む)、又はカード情報を保持する場合は PCI DSSに準拠する。

出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】5-2-3-1|クレジット取引セキュリティ対策協議会

PCI DSSはカード情報を扱う事業者向けの国際的なセキュリティ基準です。同ガイドラインの用語集は、12の要件に基づく約400の要求事項から構成され、該当する要求事項にすべて対応できている状態を「準拠」と呼ぶと説明しています。

現行バージョンは v4.0.1 です。準拠すれば要件を満たせますが、対応範囲が広く、電話受注のために取り組むには負担が大きいのが実情です。多くの事業者が非保持化を選ぶのはこのためです。

「非保持化」「非通過型」「非保持と同等/相当」は何が違うのか

この分野の説明には「非保持化」「非通過型」「非保持と同等/相当」といった語が並び、同じことを言い換えているように見えます。実際には、達成すべき状態と、それを実現する方式が混在しています。

カード情報の「非保持化」「非通過型」「非保持と同等/相当」の関係を示した図解。非保持化は自社の機器・ネットワークでカード情報を保存・処理・通過のいずれも行わない状態で、実現する方式が非通過型(EC加盟店)と外回り方式(対面取引加盟店、MO・TO取引取扱加盟店)。非保持と同等/相当はMO・TO取引取扱加盟店に認められる第3の状態で、実現する方式が内回り方式(PCI P2PE認定ソリューション)

非保持化は状態を指します。自社で保有する機器・ネットワークにおいて、カード情報を「保存」「処理」「通過」のいずれも行わない状態です。非通過型(外回り方式)は、その状態を実現する方式のひとつで、カード情報を自社内に電磁的情報として通さない経路を作ります。電話受注(MO・TO取引)では、この方式をガイドラインが「外回り方式」と呼びます。ガイドラインの概要表では次のように整理されています。

非保持化/各々の特徴:非通過型(EC加盟店)又は外回り方式(対面取引加盟店、MO・TO取引取扱加盟店)等によりカード情報を一切保持しない

出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】5-2-4|クレジット取引セキュリティ対策協議会

もうひとつ、MO・TO取引取扱加盟店には「非保持と同等/相当(内回り方式)」という第3の状態が認められています。自社のシステムを介してカード情報を処理せざるを得ない場合でも、カード番号を特定できない状態にし、自社内で復号できない仕組みにすることで満たせるという考え方です。PCI P2PE認定ソリューションの導入がこれに当たります。

ECサイト向けの記述にはこの選択肢がないため、EC向けの解説をそのまま読むと「非保持化でなければPCI DSS準拠しかない」と受け取ってしまいます。

ガイドラインが挙げるMO・TOの導入例は3つです。決済専用端末を使う外回り方式、タブレット端末を使う外回り方式、そしてPCI P2PE認定ソリューションを使う内回り方式で、IVR決済という名称は登場しません。

IVR決済が非保持化に当たるかどうかは、「自社の機器・ネットワークで保存・処理・通過のいずれも行わない」という定義に照らして判断することになります。各社が非保持化への対応をどう説明しているかは、比較表の該当行で確認できます。

通話録音やオペレーターのメモは「保持」に当たるのか

電話受注の事業者から必ず出るのが、通話録音の扱いです。応対品質の管理やトラブル対応のために全通話を録音していれば、そこにカード番号が含まれます。手元のメモも同様です。この点について、ガイドラインは明示的に答えています。

なお、以下ア.~ウ.の状態でカード情報を保存する場合には、「保持」とはならない。
ア.紙(クレジット取引伝票、カード番号を記したFAX、申込書、メモ等)
イ.紙媒体をスキャンした画像データ
ウ.電話での通話記録(音声データを含む)
(注 1)上記ア.~ウ.以外において非保持化(非保持と同等/相当を含む)が実現されていることが前提。

出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】5-2-3-1|クレジット取引セキュリティ対策協議会

読み方には注意が必要です。通話録音や紙のメモにカード番号が残っていても、それだけで「保持」とはなりません。ただし(注1)にあるとおり、それ以外の部分で非保持化が実現されていることが前提です。オペレーターが聞き取った番号を自社の受注管理システムに入力している状態では、前提のほうが崩れています。

もうひとつ、原文には(注2)として、PCI DSS準拠を目指す加盟店はガイドラインの扱いにかかわらずPCI DSS準拠の対象になる、という留保が置かれています。非保持化とPCI DSS準拠のどちらを選ぶかで、通話録音の扱いも変わります。

では録音をそのままにしてよいのかというと、協議会自身が同じ問いに答えています。

ただし、情報保護の観点から、PCI DSSや個人情報保護法等を参考に自社の情報管理基準で保護を図ってください。

出典:クレジットカード・セキュリティガイドラインFAQ 項番8|クレジット取引セキュリティ対策協議会

IVR決済を導入すると、決済の場面での発話がそもそも発生しなくなるため、録音にカード番号が入り込む経路自体を断てます。録音を止めずに済ませたい事業者にとっては、この点が導入の実利になります。

出典・参考資料(4件)

自社の現行運用がどの状態に当たるかを確かめたら、次は各社が非保持化への対応をどう説明しているかを突き合わせる段階です。

IVR決済サービスの費用

費用は「初期費用と月額」だけでは決まりません。電話のトラフィックで変わる部分と、決済のたびに発生する部分が別々に積み上がる構造です。ここを分けて把握しておくと、見積もりを取る前に自社の月額の見当がつきます。

IVR決済サービスの費用の構成を示した図解。IVRサービスの利用料は初期費用・基本の月額費用・回線数や着信数で変わる分に分かれ、これとは別に決済手数料と電話回線の費用(工事費・回線使用料・通話料)がかかる

初期費用と基本の月額費用

金額を公式サイトで公開しているのは、本記事で扱う10サービスのうち3社です(2026年8月時点)。内訳は3つの体系に分かれます。

ひとつは月間4,000件の着信を含む月額200,000円〜・初期400,000円〜。もうひとつは3回線ベストエフォートで月額33,000円・初期330,000円(いずれも税込)。3つ目は、IVR決済専用のプランを設けず着信数にもよらない月額300,000円〜・初期100,000円〜(いずれも税別)です。

具体的な社名と条件は比較表で確認できます。

金額を並べるときは税区分に注意してください。税込表記の会社と税別表記の会社が混在し、税区分を明示していない会社もあります。

残る7社が金額を公開していないのは、決済代行会社が提供するタイプでは決済サービス全体の見積もりに含まれるため、IVRを単体で提供するタイプでは回線構成や業務範囲によって見積もりが変わるためです。数字の幅が大きいのは、想定している受注規模と、料金に何を含めるかが各社で異なるためで、相場として1本の目安に丸めることはできません。

初期費用には、音声ガイダンスの作成、電話番号や回線の手配、決済代行会社との接続確認が含まれるのが一般的です。既存の受注管理システムと連携する場合は、その開発費が別途かかります。

回線数(同時通話数)と着信数で変わる部分

月額を左右するのが、同時に何本の通話を処理できるか(回線数)と、月に何件の着信を受けるかです。料金体系は大きく二通りあり、回線数で決まるものと、月間の着信数を含む定額に超過分の従量課金を足すものがあります。

回線数で決まる体系では、基本契約に含まれる回線を超える分を1回線あたりの月額で追加します。着信数で決まる体系では、契約に含まれる件数を超えた分に1件あたりの単価がかかります。どちらの体系でも、繁忙期のピークに合わせて回線を確保すると、閑散期には余剰になります。逆に平常時に合わせると、放映後や広告出稿直後に話中が発生します。

この点は費用だけの問題ではありません。回線が足りずに話中になれば、その通話はそのまま失注です。契約回線数の変更にどれくらいの期間がかかるか、繁忙期だけ一時的に増やせるかは、見積もり時に確認しておく価値があります。

決済手数料と電話回線の費用(サービス利用料以外にかかる分)

ここまでの費用とは別に、決済が成立するたびに決済手数料がかかります。これはIVRの利用料ではなく、決済代行会社やカード会社との契約で決まる料率です。

決済代行の契約をそのままにIVRだけを導入する場合、この料率は変わりません。決済代行会社が提供するタイプに乗り換える場合は、IVRの利用料と決済手数料をまとめて比べる必要があります。月額が安くても料率が高ければ、取扱高によっては総額が逆転します。

ただし、IVR決済経由の料率を公式サイトで示している会社はありません。決済代行会社としての標準料率を公開している会社はありますが、IVR経由で同じ料率が適用されるかは別の話です。

見積もりを依頼するときは、IVR経由の決済に通常の料率と異なる扱いがあるのか、IVRの利用料と決済手数料の内訳をそれぞれいくらで見ているのかを、明示的に確認してください。この2点を聞かずに月額だけを比べても、総額の比較にはなりません。

加えて、電話回線そのものの費用(工事費・回線使用料・通話料)を別途請求する事業者があります。フリーダイヤルを使う場合は着信課金も発生します。見積書のどこまでが含まれているかは、必ず確認してください。

自社の受注量から月額を見積もる手順

見積もりを依頼する前に、次の4つの数字を手元に用意しておくと話が早く進みます。1つ目は、電話受注のうちカード決済を選ぶ件数(月間)。2つ目は、そのピーク時の同時通話数。3つ目は、1件あたりの決済にかかる通話時間。4つ目は、平均の決済単価です。

この4つがあれば、着信数ベースの体系では「基本料+(月間件数−含まれる件数)×超過単価」で、回線数ベースの体系では「基本料+(必要回線数−含まれる回線数)×追加単価」で概算が出せます。決済手数料は「月間件数×決済単価×料率」で別途積み上げてください。

ピーク時の同時通話数がわからない場合は、既存の電話システムの統計を確認するか、放映・出稿直後の30分間の着信件数から推計できます。ここを低く見積もると、導入後に話中が増えて受注機会を失います。

IVR決済サービスの選び方

比較表の各項目を何のために見るのかを、選定の観点から整理します。金額の比較は最後で構いません。先に決めるべきは、決済の契約をどうするかと、既存の受注フローをどこまで変えるかの2点です

今契約している決済代行会社をそのまま使えるか

最初に確認するのは、候補のIVRが自社の決済代行会社に接続できるかです。単体で導入できるタイプでも、接続実績のある決済代行会社は各社で異なります。すでに接続実績がある組み合わせなら追加開発が不要で、導入期間も費用も抑えられます。

実績がない組み合わせの場合、接続のための開発が必要になり、期間と費用が上振れします。見積もりを取る際は、決済代行会社名とカードブランドを具体的に伝え、既存の接続かどうかを確認してください。複数の決済代行会社を併用している場合は、そのすべてに対応できるかもあわせて確認してください。

決済まわりを一本化したい場合は、逆の順番になります。先に決済代行会社を選び、その会社がIVR決済を扱っているかを確認する流れです。この場合、決済手数料と入金サイクルの条件が乗り換えの判断材料に加わります。

決済代行会社の選定から始めるなら、手数料率・入金サイクル・対応できる決済手段を横並びで確認しておくと、IVR決済の可否だけで選んで後から条件が合わないという事態を避けられます。各社の条件は以下の記事で整理しています。

既存の運用とシステムをどこまで変えるか

導入の難易度を決めるのは、料金よりもこちらです。オペレーターの操作、通話録音の設定、受注管理システムとの連携という3つの確認点があり、どれも現場の手順に直接影響します。

カード情報の入力方式(顧客が直接入力/オペレーターが代理入力)

お客様自身がプッシュ操作で入力する直接入力と、オペレーターが聞き取った番号をIVRに投入する代理入力の2方式があります。両方に対応するサービスもあれば、片方だけのサービスもあります。

直接入力は、オペレーターが番号に一切触れないため、聞き取りそのものが業務から消えます。一方で、お客様に電話機の操作をしてもらう必要があり、操作に不慣れな層が多いと入力の途中で離脱する可能性があります。代理入力は現場の手順の変更が小さく済みますが、聞き取りは残ります。

離脱への備えとして確認しておきたいのが、入力の途中で止まった通話をどう扱えるかです。入力をやり直せるか、オペレーターに通話を戻して代理入力に切り替えられるか、その切り替えに別料金がかかるかは、サービスによって扱いが異なります。高齢のお客様が多い事業では、この受け皿の有無が完了率を左右します。

顧客層の年齢や電話機の種類(プッシュ操作ができるか)を踏まえ、どちらを主にするかを決めてください。段階的に切り替えたい場合は、両方式に対応するサービスを選んでおくと、運用を見ながら比率を移せます。

気になるのは、代理入力を残したままでセキュリティ基準との関係がどうなるかです。この点と実際の使い分けについて、株式会社電話放送局は次のように説明しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

PCI DSSの要件上、代理入力は禁止されているわけではないので、そこはセンターごとに判断が異なります。お客様に確認して、直接入力したいかどうかを聞いているところもありますし、高齢者の方やプッシュ入力がしにくい環境にある方には代理入力で対応するケースもあります。

オペレーターの転送操作と通話録音の切り分け

決済の場面でオペレーターが行う操作は、転送ボタンを押すだけの設計から、専用の画面から起動する設計までさまざまです。既存の電話システムやCTIとの相性で選択肢が変わるため、現行の構成を伝えたうえで確認する必要があります。

通話録音については、決済部分だけ録音を止めるのか、録音は継続したままカード番号の発話が起きない設計にするのかで運用が変わります。直接入力にすれば決済部分での発話自体が発生しないため、録音設定を変えずに済みます。応対品質の管理で全通話を録音している事業者は、この点を先に整理しておくと導入がスムーズです。

決済後に通話をオペレーターへ戻すかどうかも、ここで決めておく必要があります。戻さない設計は通話時間が短くなりますが、決済後の案内をオペレーターが担当できません。

受注管理システムとのAPI連携方式

決済結果を受注管理システムに自動で書き戻すには、API連携が必要です。連携がなければ、決済の成否を管理画面で確認して手作業で転記することになり、自動化の効果が削がれます。

確認したいのは、連携の可否だけでなく、開発を誰が担うかです。サービス側が用意したAPIに対して、加盟店側でシステム改修が必要になるケースが一般的で、自社の開発体制または委託先の工数が発生します。連携の仕様書がいつ受け取れるかも、導入スケジュールに直結します。

受注管理システムがパッケージやSaaSの場合は、そのシステム側で外部連携が可能かも先に確認してください。ここで詰まると、IVRの導入自体は済んでいるのに運用に乗らない状態になります。

繁忙期を想定した回線数の設計とサポート体制

回線数は費用と失注の両方に効く項目です。平常時の着信で設計すると繁忙期に話中が出ますが、ピークに合わせると平常時の月額が重くなります。一時的な増設に対応できるか、その手続きにどれくらいかかるかを確認しておくと、無理のない設計にできます。

サポート体制では、障害時の連絡先と受付時間を確認しておくと安心です。決済が止まればその時間の受注がすべて止まるため、夜間や休日に受注している事業者は対応時間が重要な判断材料になります。監視の有無と、障害発生時の連絡方法もあわせて確認してください。

対応決済手段とオプション機能で確認すること

扱えるカードブランドは、既存の決済代行契約に準じるのが基本ですが、IVR経由では一部のブランドが対象外になることがあります。海外発行カードを受け付けている事業者は、この点を明示的に確認してください。

オプションでは、多言語の音声ガイダンス、決済後にオペレーターへ通話を戻す機能、定期購入向けの継続課金への対応が比較の分かれ目になります。外国人のお客様からの注文がある事業者は多言語対応、定期購入を扱う事業者は継続課金の可否が効いてきます。

申し込みから本番切替までの流れと期間

導入は、申し込みと審査、音声ガイダンスと決済フローの設計、決済代行会社との接続確認、テスト、本番切替という段階を踏みます。期間は既存の接続実績があるかどうかで大きく変わり、実績のある組み合わせなら短く、新規の接続や受注管理システムとの連携を伴えば長くなります。

事業者側で準備が必要になるのは、主に3つです。電話番号と回線の手配(フリーダイヤルを新設するか、既存番号を転送するか)、受注管理システム側の改修、そして決済代行会社との契約内容の確認です。これらは並行して進められるため、着手の順番を最初に決めておくと全体が短く済みます。

繁忙期の直前に本番切替を置くのは避けてください。テスト期間を確保し、少数の回線で試験運用してから全面切替に移すほうが、受注を止めるリスクを抑えられます。

IVR決済以外に電話受注で非保持化する方法

電話受注でカード情報を自社に通さない方法は、IVR決済だけではありません。決済の場面を電話から切り離し、お客様に別の手段で入力してもらう選択肢があります。

選び分けの軸は3つです。その場で決済を完結させる必要があるか、お客様の年齢層と端末環境はどうか、そして後日の入金でも許容できるか。この3点で見ると、それぞれの手段が向く場面がはっきりします。

メールリンク決済との使い分け

メールリンク決済は、受注後に決済用のURLをメールで送り、お客様がそのページでカード情報を入力する方式です。決済ページは決済代行会社が用意するため、カード情報は加盟店を通りません。IVRのような回線の契約が不要で、月額を抑えやすいのが特徴です。

一方で、決済は通話が終わった後になります。お客様がメールを開かなければ入金されず、督促の手間が発生します。メールアドレスを聞き取る必要もあり、聞き間違いのリスクはカード番号から宛先に移るだけとも言えます。

向くのは、後日の入金でも構わない受注や、法人相手で担当者のメールアドレスが確実な取引です。逆に、その場で決済を確定させたい単発の通販では、未入金が積み上がるリスクを見込む必要があります。

メールリンク決済を候補に残す場合は、決済URLの発行方法や料金体系、対応している決済代行会社まで踏み込んで確認しておくと、IVR決済との費用比較がしやすくなります。

SMS決済との使い分け

SMS決済は、決済用のURLをショートメッセージで携帯電話に送る方式です。宛先は通話中の電話番号をそのまま使えるため、メールアドレスを聞き取る必要がありません。開封率もメールより高い傾向があります。

ただし、固定電話からの着信では使えません。カタログ通販のように固定電話からの注文が一定割合を占める事業では、SMSで完結しない層が残ります。スマートフォンでURLを開いてカード情報を入力する操作も、慣れていないお客様には負担になります。

向くのは、携帯電話からの着信が中心で、通話を切った直後に決済してもらえる見込みが高い受注です。IVR決済と組み合わせ、固定電話からの注文はIVR、携帯電話からはSMSと振り分ける運用も選択肢になります。

この振り分けを検討するなら、SMS側で使えるサービスと料金の水準も押さえておきたいところです。仕組みと法人向けの主なサービスは以下にまとめています。

まとめ

IVR決済サービスは、電話受注の流れを大きく変えずに、カード情報の入力部分だけを自動音声に置き換える仕組みです。オペレーターが番号を聞かず、自社のシステムにも番号が残らない状態を作れるため、決済代行会社から非保持化への対応を求められている事業者にとって現実的な選択肢になります。

選定は、次の順番で進めると迷いが減ります。

  1. 提供形態を決める: 今の決済代行会社との契約を動かしたくないなら単体で導入できるタイプ、決済まわりごと整理したいなら決済代行サービスの一機能として使えるタイプを選びます。
  2. 既存フローへの影響を確認する: カード情報の入力方式、オペレーターの転送操作と通話録音、受注管理システムとのAPI連携の3点で、現場の手順がどこまで変わるかを詰めます。
  3. 受注量から費用を積み上げる: 月間の決済件数とピーク時の同時通話数を用意し、基本料・従量課金・決済手数料・回線費用を分けて見積もります。

予算の見当としては、公開されている条件で月額33,000円から始められる体系がある一方、月額200,000円からという体系もあります。前者は同時通話数を基準に少ない回線から始められるため、電話受注の件数がそれほど多くない事業者に向きます。後者は月4,000件までの着信を月額に含むため、コールセンター規模の受注量がある事業者に費用が合いやすくなります。

金額を公開しているもう1社は、IVR決済専用のプランではないインバウンドサービス全体の料金として月額300,000円〜・初期100,000円〜を示しています。残る7社は金額が非公開なので、これらの体系を物差しにして見積もりを読むと判断しやすくなります。

金額の比較から入ると、月額の安いサービスを選んだ後に接続や連携で追加費用が出て、判断をやり直すことになりがちです。契約と運用の条件を先に固め、そのうえで各社の資料を突き合わせてください。

IVR決済サービスに関するよくある質問(FAQ)

Q. IVR決済サービスとは何ですか?

A. IVR決済サービスとは、電話で注文を受ける際に、カード情報を入力する部分だけを自動音声応答(IVR)に切り替えて決済するサービスです。オペレーターが金額を確認したところで通話を決済用のIVRに転送し、お客様自身が電話機のプッシュ操作でカード番号・有効期限・セキュリティコードを入力します。

お客様自身が入力する方式なら、カード情報はIVR事業者の環境だけで処理され、オペレーターは番号を聞きません。オペレーターが聞き取った番号をIVRに投入する代理入力方式もあり、この場合は聞き取り自体が残ります。仕組みの詳細はIVR決済サービスとはで解説しています。

Q. IVR決済サービスは今契約している決済代行会社を変えずに導入できますか?

A. 提供形態によって変わります。IVR決済だけを単体で導入できるタイプであれば、決済代行の契約・手数料・入金サイクルを動かさずに、カード情報の入力方法だけを差し替えられます。一方、決済代行サービスの一機能として提供されるタイプは、その決済代行会社との契約が前提になることが多く、今の会社がIVR決済を扱っていなければ決済ごと乗り換える判断が必要になります。

ただし単体導入型でも、接続実績のある決済代行会社は各社で異なります。実績のない組み合わせでは接続のための開発が発生し、期間も費用も上振れします。見積もりを依頼する際は、決済代行会社名とカードブランドを具体的に伝えて既存の接続かどうかを確認してください。2つの提供形態の違いはIVR決済サービスの2つの提供形態で整理しています。

Q. IVR決済サービスの初期費用と月額費用はいくらくらいかかりますか?

A. 金額を公開しているサービスで見ると、初期費用は100,000円から400,000円、月額の基本料は33,000円から300,000円に分布しています(2026年8月時点の各社公式サイトの記載による)。税区分の表記は各社で異なります。決済代行サービスの一機能として提供されるタイプは決済サービス全体の見積もりに含まれることが多く、IVR決済単独の価格を公開している会社はほとんどありません。

これとは別に、決済が成立するたびの決済手数料と、電話回線そのものの費用(工事費・回線使用料・通話料、フリーダイヤルを使う場合の着信課金)がかかります。各社の実額は比較表に、受注量から月額を組み立てる手順はIVR決済サービスの費用にまとめています。

Q. IVR決済サービスは何回線契約すればよいですか?

A. IVR決済サービスの回線数は、ピーク時に何本の通話が同時に決済へ入るかで決めます。平常時の着信数に合わせて設計すると、繁忙期に話中が発生し、その通話はそのまま失注になります

見当をつけるには、電話受注のうちカード決済を選ぶ月間件数、そのピーク時の同時通話数、1件あたりの決済にかかる通話時間の3つを手元に用意してください。

公開されている条件に当てはめてみます。月4,000件込みで月額200,000円・超過1件25円という体系では、月2,000件でも月6,000件でも基本料は同じ200,000円です。6,000件のときだけ超過2,000件分の50,000円が乗り、月額は250,000円になります。

3回線ベストエフォートで月額33,000円・追加1回線あたり11,000円という体系なら、5回線必要と見込む場合は33,000円+22,000円で55,000円が月額の起点です。

前者は件数、後者は同時通話数で効いてくるため、自社がどちらで詰まるかによって有利な体系が変わります。月間の件数はそれほど多くないが特定の時間帯に着信が集中するなら回線数で決まる体系、件数が読めず平準化しているなら着信数を含む定額の体系が合いやすくなります。

同時通話数がわからない場合は、既存の電話システムの統計を確認するか、テレビ放映後や広告出稿直後の30分間の着信件数から推計できます。一方でピークに合わせて常時確保すると閑散期の月額が重くなるため、繁忙期だけ一時的に増設できるか、その手続きにどれくらいかかるかを見積もり時にあわせて確認してください。

Q. IVR決済を導入すると、既存の受注フローはどこまで変わりますか?

A. 変わるのは支払いの場面だけで、商品や数量、お届け先を確認するところまでのオペレーターの応対は従来のままです。お客様がカード払いを選んだ時点で、通話を決済用のIVRに転送する操作が加わります。

実務で影響が出るのは3点です。オペレーターの操作(転送ボタンだけで済むか、専用画面から起動するか)、通話録音の設定(決済部分だけ録音を止めるか、録音は継続したままカード番号の発話が起きない設計にするか)、そして受注管理システムとのAPI連携(決済結果を自動で書き戻すか、手作業で転記するか)です。それぞれの確認事項はIVR決済サービスの選び方で扱っています。

Q. IVR決済サービスはオペレーターを介さず注文から決済まで自動で完結できますか?

A. 技術的には可能ですが、実際の運用では注文受付をオペレーターが担当し、決済の場面だけをIVRに転送する形が一般的です。注文内容の確認や在庫・配送の案内が通話に含まれる以上、最初から最後まで自動音声で受け切れるのは、聞き取る項目が固定されている業務に限られるためです。

完全自動化が向くのは、商品が1点に絞られた放送直後の受注や、会員が番号を入力して支払う課金など、受注内容が定型的な場合です。営業時間外の申し込みを受けたい事業者にも選択肢になります。逆に、決済後のお礼や案内までオペレーターが担当したい場合は、決済完了後に通話をオペレーターへ戻す「コール戻し」機能に対応しているかが選定の分かれ目になります。

Q. IVR決済サービスの導入に特別な設備は必要ですか?

A. 必要な設備はサービスによって大きく異なります。転送機能のある電話機とインターネットに接続したPCがあれば導入できるとするサービスがある一方、プッシュ信号と三者間通話に対応した電話機・構内交換機(PBX)や、1顧客あたり2回線を同時に使える環境を前提とするサービスもあります。

自社の電話設備をそのまま使えるかどうかは、導入費用にも期間にも直結します。現行の構成(クラウド型かオンプレミス型か、PBXやCTIを使っているか)を伝えたうえで確認してください。各サービスが前提としている条件は各IVR決済サービスの詳細に記載しています。

Q. IVR決済サービスは海外発行カードや外国語の音声案内に対応できますか?

A. 扱えるカードブランドは既存の決済代行契約に準じるのが基本ですが、IVR経由では一部のブランドが対象外になることがあります。多言語の音声ガイダンスも、オプション扱いのサービスと非対応のサービスに分かれます。日本語・英語・中国語・広東語・韓国語・スペイン語の音声案内に対応すると公表しているサービスがある一方、対応言語を公開していないサービスもあります。

海外発行カードを受け付けている事業者や、外国人のお客様からの注文がある事業者は、対応ブランドと対応言語を名指しで確認してください。利用を国内に限定しているサービスもあるため、この点も候補を絞る段階で確かめておくと手戻りがありません。

Q. IVR決済サービスの導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. IVR決済サービスの導入期間は、決済代行会社との接続実績があるかどうかで大きく変わり、最短約2週間としているサービスがある一方、新規の接続や受注管理システムとの連携を伴えばそれ以上かかります

工程は、申し込みと審査、音声ガイダンスと決済フローの設計、決済代行会社との接続確認、テスト、本番切替という順に進みます。本番環境の提供日を毎月1日と15日に限っているサービスもあるため、切替日から逆算して準備を組む必要があります。繁忙期の直前に本番切替を置くのは避け、テスト期間を確保してから全面切替に移してください。

Q. 電話受注の通話録音にカード番号が残る運用は、カード情報の「保持」に当たりますか?

A. クレジットカード・セキュリティガイドラインでは、電話での通話記録(音声データを含む)や紙のメモにカード情報を保存する場合は「保持」とはならないとされています。ただし、それ以外の部分で非保持化が実現されていることが前提です。番号を聞き取ってそのまま自社の受注管理システムに入力していれば、その前提のほうが崩れます。

また、「保持に当たらない」ことと「そのままにしてよい」ことは別です。クレジット取引セキュリティ対策協議会自身がFAQで、情報保護の観点からPCI DSSや個人情報保護法等を参考に自社の情報管理基準で保護を図るよう求めています。

IVR決済を導入すると決済場面での発話自体が発生しなくなるため、録音にカード番号が入り込む経路を断てます。詳しくは電話受注のカード情報非保持化と関連法令・ガイドラインをご覧ください。

Q. カード情報の「非保持化」と「非通過型」は何が違いますか?

A. 非保持化は達成すべき「状態」を指し、非通過型(外回り方式)はその状態を実現する「方式」のひとつです。クレジットカード・セキュリティガイドラインは非保持化を、自社で保有する機器・ネットワークにおいてカード情報を「保存」「処理」「通過」のいずれも行わないことと定義しています。

電話・FAX・はがき等で注文を受ける事業者(MO・TO取引取扱加盟店)には、もうひとつ「非保持と同等/相当(内回り方式)」という状態も認められています。カード情報が自社のシステムを通る場合でも、カード番号を特定できず自社では復号もできない形にすれば満たせる、という考え方です。

ECサイト向けの解説にはこの選択肢がないため、「非保持化でなければPCI DSS準拠しかない」と読み違えないよう注意してください。3つの語の関係は電話受注のカード情報非保持化と関連法令・ガイドラインで整理しています。

Q. IVR決済を導入しないと割賦販売法違反になりますか?

A. 割賦販売法が加盟店に求めているのはクレジットカード番号等の適切な管理であって、IVR決済という特定の手段の導入ではありません。同法第35条の16第1項は「必要な措置を講じなければならない」と定めるにとどまり、実務上の指針とされるガイドラインについても、掲げる措置「又はそれと同等以上の措置」を講じていれば足りるとされています。

加えて、加盟店は同法第35条の17が定める改善命令の対象から明文で除かれています。実際に効いてくるのはカード会社や決済代行会社の側の義務です。同法第35条の17の8は、加盟店の措置が基準に適合しないおそれがあると認めるときの契約締結の禁止と、締結済み契約の解除等を義務づけています(詳細は関連法令・ガイドライン)。

放置した場合のリスクは行政処分ではなく、カード決済そのものを続けられなくなることです。この構造を押さえておくと、社内での説明もしやすくなります。

Q. IVR決済を導入すればクレジットカードの不正利用も防げますか?

A. 防げません。カード情報の適切な管理(割賦販売法第35条の16)と、利用者による不正利用の防止(同法第35条の17の15)は別々の義務で、IVR決済の導入は前者への対応です。第三者が盗んだカード番号をIVRに入力すれば、決済自体は成立してしまいます。

しかもMO・TO取引については、協議会の「EC加盟店におけるセキュリティ対策 導入ガイド【附属文書20】」がこう整理しています。「非対面取引でありながら、決済時に本人の介在しない取引であり、EMV 3-Dセキュアの導入ができないため、その他の不正利用対策が必要となる」。

ECサイトの標準的な不正利用対策であるEMV 3-Dセキュアが使えないため、オーソリゼーション処理の体制整備や、リスクと被害状況に応じた非対面向けの対策を別に組み立てる必要があります。

Q. 電話受注の件数が少なくてもIVR決済サービスを導入すべきですか?

A. IVR決済サービスは受注件数にかかわらず月額の基本料が発生するため、電話受注が例外的で件数が集まらない場合は、別の手段のほうが費用対効果は高くなります。料金が回線数や着信数を前提に組まれている以上、件数が少ないほど1件あたりのコストが重くなるためです。

代わりになるのは、受注後に決済用のURLをメールで送るメールリンク決済や、同じURLをショートメッセージで送るSMS決済です。どちらも決済ページを決済代行会社が用意するためカード情報は加盟店を通りませんが、決済が通話終了後になり未入金が残りうる点、SMSは固定電話からの着信では使えない点が制約になります。選び分けの条件はIVR決済以外に電話受注で非保持化する方法で整理しています。

IVR決済サービスの料金・手数料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、IVR決済サービスの料金体系・接続条件・サポート内容をまとめて取得できます。1社ずつ問い合わせて回答を待つ必要がなく、比較検討に時間を使えます。資料ダウンロードは無料で、すぐにご利用いただけます。

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修者は記事の内容について監修しています。
自動音声応答システム(IVR)の関連サービス資料

PR

本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

関連記事

新着記事

自動音声応答システム(IVR)
おすすめの診断サービス