取引先の入金が遅れている、あるいは大口の新規取引を前に「もし相手が倒産したら」と不安を感じる。売掛金という形で会社の資金が外に出ている以上、回収できなくなるリスクは常に隣り合わせです。こうした未回収を防ぐための事前・事後の備えを、実務では「債権保全」と呼びます。
債権保全の手段は、契約前に打てるものから、取引が始まってからのモニタリング、支払遅延や倒産の兆候が出てからの緊急対応まで幅広く、それぞれ使える場面や前提条件が異なります。どの手段を、いつ、どういう順番で検討すればよいのかが分かりにくいと感じる方は少なくありません。
本記事では、債権保全とは何かという結論から、売掛債権を守るために打てる手段の全体像を「契約前の予防/取引中のモニタリング/兆候が出てからの緊急対応」という時間軸で整理します。あわせて、各手段の使いどころと前提条件、自前でやるか外部サービス・専門家に頼るかの判断材料までを解説します。経理・財務・管理部門の担当者や経営者が、自社の売掛債権を守る次の一手を決めるための材料としてご活用ください。
目次
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債権保全とは(定義と目的)
債権保全とは、取引で生じた売掛金などの債権が回収不能になることを防ぐために、あらかじめ、あるいは回収困難の兆候が出た段階で打つ備えの総称です。「債権保全」という言葉自体は法律で定義された用語ではなく、担保・保証・相殺・仮差押えといった民法や民事保全法上の制度を、回収不能リスクへの備えという目的でまとめて指す実務上の呼び名として使われています。
債権保全が必要になるのは、掛け取引の構造そのものに理由があります。掛け取引では商品やサービスを先に提供し、代金は後から受け取るため、その間は代金分の資金を取引先に預けているのと同じ状態です。取引先の資金繰りが悪化したり倒産したりすれば、売掛金は回収できず自社の損失になります。備えの有無で、いざというときに取り戻せる金額が大きく変わります。
債権保全の手段は、大きく「回収不能になる前に備える予防的な手段」と「回収が危うくなってから資産や権利を確保する事後的な手段」に分かれます。前者には担保・保証・契約条項の工夫などが、後者には内容証明郵便による督促・仮差押え・相殺などが含まれます。次章以降で、それぞれの位置づけと使いどころを整理します。
債権保全・債権回収・与信管理の違い
ここでは、混同されやすい「債権保全」「債権回収」「与信管理」の関係を整理します。この3つは時間軸と目的が異なり、どこの話をしているのかを押さえると、自社が今取るべき行動が見えやすくなります。
| 用語 | タイミング | 目的・中身 |
|---|---|---|
| 与信管理 | 取引の前〜取引中 | 取引相手の信用力を見極め、取引の可否や上限(与信枠)を決める。そもそも焦げ付きそうな相手と大きな取引をしないための入口の管理。 |
| 債権保全 | 取引の前〜回収困難の兆候が出た時 | 発生した(あるいは発生する)売掛債権が回収不能にならないよう、担保・保証・相殺・仮差押えなどで備える。 |
| 債権回収 | 支払期日を過ぎた後 | 実際に滞った代金を取り立てる行為。督促、交渉、法的手続きによる回収まで含む。 |
与信管理で「取引してよい相手か」を見極め、債権保全で「万一のときに取り戻せる」状態をつくり、それでも滞ったら債権回収で取り立てる、という流れです。本記事は中央の債権保全を中心に扱いますが、予防の入口として与信管理にも、事後の出口として債権回収にも自然につながります。入口となる与信管理の意味や与信枠を決める実務の流れは、「与信」とは?意味・与信管理/限度額/審査との違いで詳しく解説しています。
債権保全で打てる手段の全体像(時間軸×手段の一覧)
ここからは、売掛債権を守る手段を時間軸で一望します。同じ「債権保全」でも、契約前に仕込む手段と、取引が始まってから使う手段、支払遅延や倒産の兆候が出てから打つ手段では、目的も前提条件も違います。下表は、各手段が「いつ打つものか」「何を守る・担うか」「相手の同意が必要か」を一枚に整理したものです。自社の現在地からどの手段が候補になるかを把握するための一覧として使ってください。

| 局面 | 手段 | 何を守る・担うか | 相手の同意 | いつ使う・効き方 |
|---|---|---|---|---|
| 契約前の予防 | 物的担保(抵当権・根抵当権、動産・債権譲渡担保) | 特定の財産から優先的に回収する権利 | 要(設定契約) | 継続取引や大口取引の開始時。担保物から他の債権者に優先して回収できる。 |
| 人的担保(連帯保証・保証会社) | 本人が払えないときの第三者の支払責任 | 要(保証契約・書面) | 取引開始時。主債務者が払えなければ保証人に請求できる。 | |
| 契約上の工夫(所有権留保・相殺予約・期限の利益喪失条項) | 回収に有利な立場・タイミング | 要(契約条項) | 基本契約の締結時に仕込む。滞納や信用不安が生じた際に効く。 | |
| 与信管理 | そもそも焦げ付かない取引先選び(保全の入口) | 不要 | 取引前。信用調査で取引可否・与信枠を決める。 | |
| 取引中 | モニタリング(信用情報・入金状況の把握) | 取引先の信用悪化の早期把握 | 不要 | 取引継続中。悪化の兆候を早期に察知し、次の手を前倒しする。 |
| 兆候が出てから (緊急対応) | 内容証明郵便による督促 | 請求の証拠・時効の管理 | 不要 | 支払遅延の初期。催告として時効の完成を一定期間猶予できる。 |
| 仮差押え | 相手の財産の保全 | 不要(裁判所へ申立て) | 財産の散逸のおそれがある時。判決を待たず資産を仮に押さえる。 | |
| 相殺 | 自社の債務との差引きによる回収 | 不要(一方的に可) | 相手にも自社が債務を負っている時。対当額を差し引いて消す。 | |
| 代物弁済・商品の引き上げ | 現物での回収 | 要(合意) | 現金回収が難しい時。商品や資産で代替弁済を受ける。 |
相手の同意欄は各手段の一般的な性質を示すもので、個別事案では要件・可否が異なります。
表からわかるのは、契約前に打てる手段の多くは相手の同意(契約)を前提とするのに対し、相殺や仮差押えのように相手の同意なしに打てる手段は限られるという点です。だからこそ、取引先の協力が期待できるうちに予防策を仕込んでおくことが、いざというときの選択肢を広げます。次章で各手段の中身を掘り下げます。
各手段の中身と使いどころ
ここからは、一覧で掴んだ各手段を実務の言葉で掘り下げます。それぞれに前提条件があり、自社と取引先の状況によって使えるかどうかが変わります。順に見ていきましょう。
契約前の予防
回収不能リスクへの備えは、取引先の協力が得やすい契約段階で仕込むのが基本です。担保・保証・契約条項の3つの角度から準備できます。
物的担保
物的担保は、取引先の特定の財産に担保権を設定し、その財産から他の債権者に優先して回収できるようにする手段です。不動産に対する抵当権のほか、継続的な取引で生じる複数の債権をまとめて担保するには根抵当権が使われます。根抵当権は、あらかじめ定めた極度額の範囲で不特定の債権を担保できる仕組みです。
抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
出典:民法 第398条の2第1項|e-Gov法令検索
在庫や機械などの動産、取引先が持つ別の売掛債権を担保に取る動産譲渡担保・債権譲渡担保もあります。これらは民法に固有の条文を持たない担保手法ですが、債権を担保に取る場合は、債務者への通知や承諾といった対抗要件(第三者に自社の権利を主張するための手続き)を備えておくことが重要になります。いずれも設定には相手との契約が必要で、相手の協力が前提です。
人的担保(保証)
人的担保は、取引先本人が支払えないときに、代わりに支払う責任を負う人や会社を確保しておく手段です。代表的なのは連帯保証人ですが、後述する保証会社(債権保証サービス)に保証を引き受けてもらう方法もあります。
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
出典:民法 第446条第1項・第2項|e-Gov法令検索
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
保証契約は書面(または電磁的記録)でなければ効力を生じない点に注意が必要です。口頭の約束だけでは保証として機能しないため、取引開始時に書面で取り交わしておきます。
契約上の工夫
担保や保証のほかにも、契約条項の設計で回収に有利な立場をつくれます。代表的なのが、期限の利益喪失条項です。分割払いや掛け取引では、本来は期日まで支払いを待つ約束(期限の利益)がありますが、一定の事由が生じたときにその約束を失わせ、残額を一括請求できるようにする条項です。
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
出典:民法 第137条|e-Gov法令検索
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
民法137条が定めるのは、法律上当然に期限の利益を失う最小限の3つの事由です。実務では、これに加えて「一度でも支払いを遅延したとき」「手形が不渡りになったとき」「信用不安が生じたとき」などを契約書で期限の利益喪失事由として定め、より早い段階で一括請求に踏み切れるようにします。法律が定める事由と契約で上乗せする事由は別物である点を押さえておきましょう。
このほか、代金を完済するまで商品の所有権を売主に残す所有権留保、相殺できる状態をあらかじめ整えておく相殺予約なども、契約で仕込む備えです。これらは判例や契約実務で確立した手法で、いずれも相手との合意(契約)が前提となります。
各手段の根拠となる条文は、以下から原文を確認できます。
出典・参考資料(1件)
取引中のモニタリング
備えは、仕込んで終わりではありません。取引が続く間、取引先の信用情報や入金状況を継続的に把握し、悪化の兆候を早めに察知することが、次の手を前倒しで打つ土台になります。
入金の遅れが目立ち始めた、取引先に関する悪い噂を聞いた、といったサインを見逃さず、与信枠の見直しや担保の追加、緊急対応の準備につなげます。信用情報の継続的なチェックは、後述する売掛保証サービスに付随していることも多く、外部の仕組みを使って自動化することもできます。
遅延・倒産の兆候が出てからの緊急対応
支払遅延や倒産の兆候が現れたら、予防から回収局面へ切り替えます。ここでは「まず任意で督促する」「資産を仮に押さえる」「既存の権利・関係を使って回収する」の順で、打てる手を見ていきます。
まず任意で督促する(内容証明郵便)
支払いが滞ったら、まずは書面で支払いを求めます。内容証明郵便は、いつ・誰が・どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明するサービスで、それ自体に法的な強制力があるわけではありません。ただし、支払いの督促(催告)は、民法上、催告のときから6か月を経過するまで時効の完成を猶予する効果があり、時効の管理という点で意味を持ちます。相手にこちらの本気度を伝え、任意の支払いを促す第一手として使われます。
資産を仮に押さえる(仮差押え)
相手が財産を処分・隠匿しそうな兆候があるときは、仮差押えで資産を仮に押さえます。裁判の判決を待っていては相手の財産がなくなってしまう、という事態を防ぐための民事保全法上の手続きです。
仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
出典:民事保全法 第20条第1項|e-Gov法令検索
仮差押えは相手の同意なく裁判所へ申し立てられ、権利があることと保全の必要性を疎明(一応確からしいと裁判所に示すこと)すれば足ります。ただし実務では担保金の供託を求められることが多く、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
既存の権利・関係を使って回収する(相殺・代物弁済など)
取引先に対して自社も買掛金などの債務を負っている場合は、相殺が有力な手段です。相殺は、互いに同種の債務を負い、双方が弁済期にあるときに、対当額を差し引いて消す仕組みで、相手の同意なく一方的な意思表示で行えます。
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
出典:民法 第505条第1項|e-Gov法令検索
相手の資金繰りが悪化していても、自社が相手に支払う予定の債務があれば、その分は確実に回収したのと同じ効果が得られます。相手が倒産する前に相殺できる関係を整えておくことが、いざというときに効きます。
このほか、現金での回収が難しいときに、商品や資産で代わりに弁済を受ける代物弁済もあります。代物弁済は債権者と弁済者の契約が前提で、相手の合意が必要です。納入した商品がまだ相手の手元にあり、所有権留保を設定していれば、その商品を引き上げて損失を抑えることも考えられます。これらの手段の根拠条文は、以下から確認できます。
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取引先の協力が得られない場合の打ち手
ここまで見た担保・保証・契約条項は、いずれも取引先の同意(契約)が前提です。しかし実務で最も悩ましいのは、相手が担保設定や保証に応じてくれない、あるいは相手に交渉を持ちかけると取引そのものが気まずくなる、というケースです。ここでは、相手の協力が得にくい場面での現実的な打ち手を整理します。
まず、契約条件そのものを見直す方法があります。取引の一部または全部を前払い・代金引換にする、掛け取引の上限額を下げる、支払サイトを短くする、といった条件変更は、相手の担保提供を求めずに未回収リスクを小さくできます。新規の大口取引では、いきなり大きな与信を与えず、取引実績を積みながら徐々に枠を広げる進め方も有効です。
もう一つが、相手の同意を得ずに使える外部の枠組みです。売掛保証(債権保証)サービスや、損害保険会社が提供する取引信用保険は、自社が保証会社・保険会社と契約する仕組みで、取引先に知られずに未回収リスクを移転できます。「担保も保証も取れないが、貸倒れは抑えたい」という場面の現実解です。外部サービスに頼るべきかどうかの判断軸は、次章で整理します。
自前でやるか外部サービス・専門家に頼るかの判断
債権保全は、どこまでを自社で行い、どこから外部に頼るかの見極めが要になります。判断の軸になるのは、債権の金額、取引先の状況(まだ予防段階か、すでに遅延・紛争が起きているか)、そして社内に割ける人員や専門知識です。ここでは、外部の依頼先を役割ごとに整理します。
大きく分けると、外部の力は次の3つに整理できます。
- 回収不能リスクの移転:売掛保証(債権保証)サービス・取引信用保険。貸倒れが起きたときに損失を補填してもらう。予防段階から使える。
- 回収実務の委託:請求代行・回収代行サービス。与信から請求書発行、入金管理、督促までの事務を外部化する。掛け取引の未回収を予防的に減らす。
- 法的回収:弁護士。支払いを拒む相手との交渉や、訴訟・仮差押えなどの法的手続きを任せる。紛争性のある回収の受け皿。
ここで注意したいのが、他社の債権について報酬を得て取り立て交渉などの法律事務を代行できるのは、原則として弁護士に限られる点です(弁護士法72条)。一般の請求代行・回収代行サービスが適法に担えるのは、請求書の発行・送付や入金案内といった事務代行・事実行為の範囲であり、紛争性のある債権の取立て交渉そのものではありません。相手が支払いを明確に拒み、争いになっている債権は、弁護士に相談するのが基本です。
債権回収を専門に行うサービサー(債権回収会社)は、法務大臣の許可を受けた株式会社に限られます。ただし扱える債権はサービサー法上の「特定金銭債権」(金融機関の貸付債権や、倒産手続・取引停止処分を受けた者の金銭債権など)に限定されており、通常の売掛債権はその対象に含まれません。
したがって、一般的な売掛債権の法的回収の依頼先は、まず弁護士と考えておくのが正確です。少額で件数が多い滞納の予防や事務負担の軽減には請求代行・回収代行、貸倒れそのものの備えには売掛保証・取引信用保険、というように、課題に応じて使い分けます。関係する法令は以下から確認できます。
売掛債権を守るサービスの活用
ここからは、売掛債権を守る外部サービスを具体的に見ていきます。前章で整理したとおり、大きく「貸倒れリスクを移転する売掛保証(債権保証)」と「請求から回収までの実務を委託する請求代行・回収代行」に分かれます。自社の課題がリスクの移転なのか、事務負担の軽減や督促の外部化なのかを軸に見比べてください。
売掛保証と近い仕組みに、損害保険会社が提供する取引信用保険もあります。仕組みは近く、どちらも自社が引受け手と契約して貸倒れリスクを移す点は共通します。
| サービス名 | ギャランティ for 弥生ユーザー | Mamotte(マモッテ) | eGuarantee(イー・ギャランティ) | URIHO(ウリホ) | NP掛け払い | 請求まるなげロボ | 債権回収ロボ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 分類 | 売掛保証(債権保証) | 売掛保証(債権保証) | 売掛保証(債権保証) | 売掛保証(債権保証) | 請求代行(BtoB後払い) | 請求代行(フルアウトソース) | 回収代行(督促自動化) |
| 保全での役割 | リスク移転 | リスク移転 | リスク移転 | リスク移転 | 回収実務の委託+未回収保証 | 回収実務の委託+売掛保証 | 督促・回収の自動化 |
| 保証・回収の範囲 | 倒産+支払遅延を保証。1社80万〜500万円・総額最大1,000万円(プラン別) | 倒産・夜逃げ+契約後の支払遅延を保証(回収サイト最長180日。申込時点で既に遅延している債権は対象外) | 倒産・未払いを保証。包括保証/個別保証/請負債権/少額取引に対応 | 倒産+1ヵ月以上の支払遅延を保証。取引先数は無制限、保証推奨度を5段階で表示 | 与信〜請求書発行・回収・入金管理・督促を代行し、未回収を100%保証(規約所定の除外事由を除く) | 与信〜請求・回収・入金消込・督促を代行し、与信を通過した適格債権を100%保証 | メール・SMS・オートコール・郵送で督促を自動実行(保証は付かない) |
| 費用の目安 | 月額2,000円〜(初月無料) | 初期費用0円/月額は要問い合わせ | 保証残高×保証料率(要問い合わせ) | 初期費用無料/月額4,980円〜 | 初期費用0円/料率は個別見積(要問い合わせ) | 月額利用料+手数料1.0%〜(要問い合わせ) | 要問い合わせ |
| 向いている企業 | 月2,000円から少額で売掛保証を試したい小規模事業者・弥生ユーザー | 大手の与信力で保証したい企業/小口〜高額債権をプランで選びたい企業 | 守りたい取引先・金額を絞ってリスクを移転したい企業 | 取引先数を気にせず定額で保証したい小口〜中堅企業 | 掛け取引の与信・請求・回収をまとめて外部化したい企業 | 請求業務の属人化を解消し、事務負担と未回収を同時に減らしたい企業 | すでに発生した滞納の督促・回収を省力化したい企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
料金・保証条件は各社の公表情報をもとに整理したものです。非公開の料金や最新の適用条件は各サービスの資料・公式情報でご確認ください。
貸倒れリスクを移転する(売掛保証・債権保証)
売掛保証は、取引先の倒産や支払遅延で売掛金が回収できなくなったときに、保証会社が保証限度額の範囲で損失を補填する仕組みです。多くは取引先に知られずに契約でき、担保や保証を相手に求めにくい場面の備えになります。
1. ギャランティ for 弥生ユーザー(弥生株式会社)

弥生株式会社が提供し、与信管理を手がけるアラームボックス株式会社が運営・審査・保証履行を担う、月額定額のクラウド型売掛保証サービスです。取引先の倒産に加え、支払遅延による未回収も保証の対象としています。
低価格帯から始められる点が特徴で、取引先に知られることなく、最短2営業日程度で審査が完了します。まず一部の取引先から売掛保証を試したい、という小規模事業者がリスク移転を始める入口として使いやすいサービスです。
2. Mamotte(マモッテ)(リコーリース株式会社)

Mamotte(マモッテ)は、リコーリース株式会社が提供する債権保証サービスです。取引先の倒産や支払遅延による貸倒れを、保証限度額の範囲で金銭補填します。売掛債権を譲渡したり回収を代行したりするサービスではなく、あくまで未回収リスクを移転する保険型の位置づけです。
取引先に知られない契約形態で利用でき、あらかじめパッケージ化されたプランと、取引実態に合わせて設計するオーダーメイド型のプランが用意されています。保証の引受け手はリース事業で与信審査を重ねてきたリコーリースで、取引先の与信の見極めを保証とあわせて任せられます。
3. eGuarantee(イー・ギャランティ株式会社)

売掛債権保証を専業とする東証プライム上場企業で、伊藤忠商事グループの一員として設立されました。取引先の信用リスクを引き受け、貸倒れが生じた際は保証会社が代金を肩代わりして支払い(代位弁済)、その後に取引先へ返還を求める(求償)仕組みです。
全取引先をまとめて保証する包括保証から、特定の取引先だけを対象とする個別保証、請負債権の保証、少額取引向けの保証まで、保証範囲を柔軟に設計できるのが強みです。守りたい取引先や金額が明確な企業が、必要な範囲だけリスクを移転したい場合に適しています。
4. URIHO(ウリホ)(株式会社ラクーンフィナンシャル)

東証プライム上場のラクーンホールディングス傘下、株式会社ラクーンフィナンシャルが運営する売掛保証サービスです。月額定額で、保証する取引先数に上限を設けないサブスクリプション型の料金体系を採り、取引先を登録すると与信審査を経て保証の可否や推奨度が示されます。
取引先ごとの与信審査結果を、保証の推奨度として段階的に確認できるため、売掛保証と取引先チェックを一体で回したい企業に向きます。定額で取引先数を気にせず使える設計は、取引先が多い小口〜中堅企業がリスク移転を進めやすくします。
ここで取り上げた以外にも売掛保証サービスは複数あり、保証してもらえる範囲(倒産のみか支払遅延も含むか)や料金体系、対象にできる取引先は各社で異なります。より多くのサービスを保証範囲・料金・目的別の選び方で見比べたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
請求から回収までの実務を委託する(請求代行・回収代行)
請求代行・回収代行は、与信から請求書の発行・送付、入金管理、督促までの事務を外部に委ねる仕組みです。未回収保証が付くサービスも多く、事務負担の軽減と貸倒れリスクの低減を同時に狙えます。
5. NP掛け払い(株式会社ネットプロテクションズ)

企業間取引の掛け払い(後払い)決済を代行するサービスで、与信から請求書の発行・郵送、代金回収、入金管理、督促までを一括して引き受けます。取引先が支払わない場合でも、規約所定の除外事由を除き未回収分を100%保証し、債権を譲り受けて代金を立て替えるため、掛け取引の未回収リスクを予防的に外部化できます。
掛け取引の与信・請求・回収の事務をまとめて外に出したい企業や、請求業務の属人化を解消したい企業に向くサービスです。
6. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、請求業務のフルアウトソーシングサービスです。与信から請求書の発行、集金、入金消込(請求と入金の照合)、督促までを一気通貫で代行し、与信を通過した適格債権については売掛金を100%保証します。督促は弁護士法人と連携して対応する体制を採っています。
請求から回収までの一連の事務をまとめて任せられるため、経理の人員が限られる企業や、請求業務の属人化を解消したい企業に適します。事務負担の軽減と未回収リスクの低減を同時に進めたい場合の中心的な選択肢になります。
7. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する督促・回収の自動化サービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声架電)・郵送といった複数のチャネルを使い、滞納した取引先への督促を自動で実行します。
支払いの兆候が悪化してからの督促・回収実務は、手作業で続けると担当者の負担が大きくなります。督促のタイミングやチャネルを自動化することで、抜け漏れなく効率的に督促を進められる点が特徴で、すでに発生している滞納への対応を外部化・省力化したい企業に向きます。
請求から督促・回収までを外部に委託できるサービスは、任せられる業務範囲や未回収保証の有無、費用の仕組みが各社で分かれます。弁護士・サービサーを含めた依頼先のタイプ別に、選び方や費用相場まで見比べたい方は、以下の記事で回収代行サービスを比較しています。
まとめ
債権保全は、取引先の倒産や未回収から自社の資金を守るための、事前・事後の備えの総称です。契約前の担保・保証・契約条項による予防、取引中のモニタリング、支払遅延や倒産の兆候が出てからの内容証明・仮差押え・相殺といった緊急対応まで、打てる手は時間軸で整理できます。
手段ごとに相手の同意が要るか、いつ効くかが異なるため、取引先の協力が得やすい早い段階で予防策を仕込んでおくことが、いざというときの選択肢を広げます。
担保も保証も取りにくい取引先に対しては、売掛保証・取引信用保険でリスクを移転する、請求代行・回収代行で回収実務を外部化する、といった外部サービスが現実的な備えになります。
まずは自社の売掛債権のどこにリスクがあるかを洗い出し、予防・事務効率化・リスク移転のどれを優先すべきかを見極めることが、次の一手を決める出発点です。気になるサービスは資料を取り寄せ、保証範囲や料金、対応できる回収フェーズを見比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 債権保全とは何ですか?
A. 債権保全とは、売掛金などの債権が回収不能になるのを防ぐために、契約前から回収困難の兆候が出た段階まで打つ事前・事後の備えの総称です。担保・保証・相殺・仮差押えといった民法や民事保全法上の制度を、回収不能リスクへの備えという目的でまとめて指す実務上の呼び名で、「債権保全」という言葉自体が法律で定義された用語というわけではありません。
Q. 債権保全で取引先の同意がなくても打てる手段はありますか?
A. 債権保全のうち取引先の同意なしに打てるのは、内容証明郵便による督促・仮差押え・相殺の3つが代表的です。担保設定や保証人の確保、代物弁済は相手との契約・合意が前提です。一方、内容証明の送付は一方的に行え、仮差押えは相手の同意なく裁判所へ申し立てられ、相殺は自社も相手に債務を負っている場合に一方的な意思表示で行えます。
取引先が担保や保証に応じてくれない場面では、この同意不要の手段に加えて、自社が保証会社・保険会社と契約する売掛保証・取引信用保険が現実的な選択肢になります。
Q. 債権保全で仮差押えはどんなときに使いますか?
A. 仮差押えは、取引先が財産を処分・隠匿しそうで、判決を待っていては回収できなくなるおそれがあるときに、相手の資産を仮に押さえる手段です。民事保全法にもとづき相手の同意なく裁判所へ申し立てられ、債権があること(被保全債権)と保全の必要性を疎明すれば認められます。
ただし実務では担保金の供託を求められることが多く、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。強制執行までの間に相手の財産が失われるのを防ぎ、後の回収を確実にするための備えという位置づけです。
出典・参考資料(1件)
Q. 債権保全は取引先に知られずに行えますか?
A. 債権保全のうち、売掛保証(債権保証)サービスや取引信用保険は、自社が保証会社・保険会社と契約する仕組みのため、取引先に知られずに未回収リスクへ備えられます。担保設定や保証人の依頼は相手との交渉が必要で取引関係に影響しかねませんが、これらの外部サービスは相手の同意を得ずに利用できます。
取引先の倒産や長期の支払遅延が起きたときに、保証限度額・保険金額の範囲で損失を補填してもらえます。担保も保証も取りにくい取引先への備えとして使いやすい方法です。
Q. 債権保全と債権回収・与信管理はどう違いますか?
A. 与信管理は取引前に相手の信用力を見極める入口の管理、債権保全は発生する売掛債権が焦げ付かないよう備える中間の守り、債権回収は支払期日を過ぎた代金を実際に取り立てる出口の行為です。
時間軸で見ると「与信管理 → 債権保全 → 債権回収」の順に位置し、与信管理で取引の可否や与信枠を判断し、債権保全で万一に備え、それでも滞れば債権回収で取り立てる、という関係になります。債権保全はこの3つの中間で、回収を確実にするための土台をつくる役割を担います。
Q. 債権保全を売掛保証・請求代行・回収代行・弁護士のどれに頼ればよいですか?
A. 課題ごとに役割で使い分けます。貸倒れそのものへの備えは売掛保証・取引信用保険(リスクの移転)、請求から入金・督促までの事務負担の軽減は請求代行・回収代行(実務の委託)、支払いを拒む相手との交渉や訴訟・仮差押えは弁護士(法的回収)が担います。
注意したいのは、他社の債権について報酬を得て取立て交渉などの法律事務を代行できるのは原則として弁護士に限られる点です(弁護士法72条)。請求代行・回収代行が適法に担えるのは請求書の発行・入金案内といった事務の範囲であり、相手と争いになっている債権は弁護士に相談するのが基本です。
債権額・取引先の状況・社内リソースを軸に、どこまで自社で行いどこから外部に委ねるかを見極めてください。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















