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電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を一覧で解説|重要書類・一般書類の違いと改正で変わった点

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紙で受け取った領収書や請求書をスキャンして保存し、原本を捨てられるようにしたい。電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律。以下、電帳法)への対応を進めるなかで、そう考える経理・情報システムの担当者は少なくありません。ところが実際に着手しようとすると、「結局、法律上は何を満たせばスキャナ保存が認められるのか」という要件の部分でつまずきがちです。

要件を満たさないままスキャナ保存を進めると、税務調査で電子データが証ひょうとして認められない事態を招きかねません。要件には解像度やタイムスタンプ、入力期間、検索機能などがあり、扱う書類が重要書類か一般書類かによって一部が変わります。さらに2022年・2024年の改正で緩和・廃止された項目もあるため、今どの要件を満たせばよいのかを正確に押さえる必要があります。

本記事では、スキャナ保存で満たすべき要件を、重要書類・一般書類の区分ごとに一覧で整理します。あわせて、直近の改正で変わった点と現行の要件、自社が要件を満たすかを点検するためのチェック項目、要件を満たせば原本(紙)を破棄してよいのかを解説します。

最後に、要件を満たすために準備するもの(対応スキャナや保存システム、JIIMA認証)と、電帳法対応のサービスも取り上げます。自社のスキャナ設定やシステムが要件を満たすかを照らし合わせる材料としてご活用ください。

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スキャナ保存とは?対象書類と重要書類・一般書類の区分

スキャナ保存とは、紙で作成・受領した国税関係書類を、スキャナやスマートフォンのカメラで読み取って電子データとして保存し、紙の原本に代えて保存する方法です。電帳法が定める保存区分の一つで、要件を満たして保存すれば、対象の紙原本を保管し続ける必要がなくなります。

対象になるのは、取引の過程でやり取りする証ひょう類です。一方で、棚卸表や貸借対照表・損益計算書といった決算関係書類、自社が最初から一貫してパソコンで作成している帳簿などは、スキャナ保存の対象ではありません。

スキャナ保存の要件は、この後で見るように書類の種類によって一部が変わります。そのため、まず自社が扱う書類が「重要書類」と「一般書類」のどちらに当たるかを押さえておくと、要件の一覧を読み解きやすくなります。

重要書類と一般書類の区分(自社の書類はどっち?)

区分の分かれ目は、その書類が「資金や物の流れに直結・連動するかどうか」です。国税庁の一問一答では、次のように整理されています。

  • 重要書類(資金や物の流れに直結・連動する書類):契約書・領収書・預り証・借用証書・預金通帳・小切手・約束手形・請求書・納品書・送り状など。なかでも契約書・領収書は特に重要な書類とされますが、満たすべきスキャナ保存の要件は他の重要書類と同じです。
  • 一般書類(資金や物の流れに直結・連動しない書類):見積書・注文書・検収書・入庫報告書・貨物受領証、定型的な約款のある契約の申込書など。

後述するとおり、一般書類は入力の期限やカラーでの読み取りなど、一部の要件が緩和されています。自社でスキャナ保存したい書類を、まずこの2つに仕分けしておきましょう。

出典・参考資料(1件)

スキャナ保存で満たすべき要件(重要書類・一般書類の対比)

スキャナ保存の要件は、電帳法施行規則第2条第6項が定めています。読み取りの性能(解像度・階調)、いつまでに入力するか(入力期間)、いつ読み取ったかを証明する仕組み(タイムスタンプまたは訂正削除の履歴)、後から探せる状態にすること(検索機能)、画面や書面に出力できる装置(見読可能装置)などが柱です。まず全体像を、重要書類・一般書類の区分ごとに一覧で示します。

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要件項目解像度階調(色)入力期間タイムスタンプ検索機能見読可能装置帳簿との相互関連性
重要書類200dpi以上
(25.4mm当たり200ドット以上で読み取る)
赤・緑・青それぞれ256階調以上
(24ビットカラー、約1,677万色)
早期入力方式(おおむね7営業日以内)
または業務処理サイクル方式(最長2か月+おおむね7営業日以内)
付与が原則。ただし訂正・削除の履歴が残る(または訂正削除できない)システムで入力期間内の入力を確認できれば不要取引年月日・取引金額・取引先で検索できること。税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合は範囲指定・組み合わせ検索は不要14インチ以上のカラーディスプレイ(映像面の最大径35cm以上)・カラープリンタ・操作説明書の備付け、4ポイント文字の認識必要(帳簿の記録事項と相互に関連性を確認できるようにする)
一般書類200dpi以上(同左)白色から黒色までの階調(グレースケール)でも可適時に入力(事務手続を明らかにした書類の備付けが条件)同左同左ディスプレイ・プリンタでも可(カラーは不要)不要
根拠(施行規則ほか)規則2条6項2号イ(1)規則2条6項2号イ(2)/7項規則2条6項1号/7項/一問一答 問22・問23規則2条6項2号ロ・柱書・ハ規則2条6項5号・6項柱書規則2条6項4号/7項規則2条6項3号/7項

※電帳法施行規則第2条第6項・第7項、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」にもとづく(2026年時点)。運用にあたっては最新の条文・国税庁の公表資料をご確認ください。

ここからは、各要件を具体値と条件分岐まで掘り下げます。自社のスキャナ設定や使うシステムに当てはめながら読み進めてください。

解像度・階調(200dpi以上・RGB各256階調)

読み取りの性能は、解像度と階調(色の細かさ)で決まります。施行規則第2条第6項第2号イは、次のように定めています。

  • (1)解像度が、日本産業規格……Z六〇一六附属書AのA・一・二に規定する一般文書のスキャニング時の解像度である二十五・四ミリメートル当たり二百ドット以上で読み取るものであること。
  • (2)赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ二百五十六階調以上で読み取るものであること。
出典:電子帳簿保存法施行規則 第2条第6項第2号イ|e-Gov法令検索

解像度は200dpi(25.4mm=1インチ当たり200ドット)以上、色は赤・緑・青それぞれ256階調以上(あわせて約1,677万色の24ビットカラー)で読み取る必要があります。

市販のスキャナやスマートフォンのカメラの多くはこの水準を満たしますが、設定によっては解像度が下がることがあるため、読み取り設定を確認しておきましょう。重要書類はカラーでの読み取りが求められますが、一般書類はグレースケール(白黒の階調)でも認められます。

入力期間の2方式(おおむね7営業日以内/最長2か月+おおむね7営業日以内)

重要書類は、いつまでにスキャンして入力するかにも期限があります。施行規則第2条第6項第1号は、入力の方法を次の2つで定めています。

  • イ 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその作成又は受領後、速やかに行うこと。
  • ロ 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該国税関係書類の作成又は受領から当該入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
出典:電子帳簿保存法施行規則 第2条第6項第1号|e-Gov法令検索

イが「早期入力方式」、ロが「業務処理サイクル方式」です。条文は「速やかに」までを定め、具体的な日数は国税庁の一問一答が示しています。早期入力方式では、作成・受領後おおむね7営業日以内に入力します。

業務処理サイクル方式では、事務処理の規程を定めておくことを条件に、受領などから最長2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいとされています。月次の締めに合わせて処理する場合は、業務処理サイクル方式が現実的です。自社の締めのサイクルに合わせて、どちらの方式を採るかを決めておきましょう。

一般書類には具体的な入力期限は設けられておらず、事務処理の手続を明らかにした書類を備え付けたうえで、適時に入力すれば足ります。

重要書類のスキャナ保存の入力期間を示す図解。起点は書類の作成・受領で、早期入力方式はおおむね7営業日以内、業務処理サイクル方式は事務処理の規程を定める場合に最長2か月とおおむね7営業日以内に入力する。一般書類は具体的な入力期限がなく、事務処理の手続を明らかにした書類を備え付けたうえで適時に入力する。
出典・参考資料(2件)

タイムスタンプと訂正削除履歴(付与しないで済む条件)

スキャンしたデータが、いつ入力され、その後に改ざんされていないかを示す仕組みも必要です。原則はタイムスタンプの付与ですが、代わりの方法も認められています。施行規則第2条第6項第2号の柱書は、次のように定めています。

前号の入力に当たっては、次に掲げる要件(当該保存義務者が同号イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合にあっては、ロに掲げる要件を除く。)を満たす電子計算機処理システムを使用すること。

出典:電子帳簿保存法施行規則 第2条第6項第2号|e-Gov法令検索

ここでいう「ロ」がタイムスタンプの付与要件です。入力期間内に入力したことを確認できる場合には、タイムスタンプを付与しなくてもよいことになります。その確認の手段が、同じ第2号のハに定める訂正削除の履歴です。訂正や削除を行った事実と内容を確認できるシステム、または訂正・削除そのものができないシステムに保存すれば、タイムスタンプの付与に代えられます。

クラウド型の保存サービスの多くは、この訂正削除の履歴が残る仕組みを備えており、タイムスタンプを別途用意しなくても要件を満たせます。自社が使う(使おうとしている)システムが、履歴の保持か訂正削除の禁止のどちらかに対応しているかを確認しておきましょう。

履歴が残るシステムを使わずにタイムスタンプを付与する場合、その付与期限は記録事項の入力期間と同様(最長約2か月以内)とされています。

出典・参考資料(2件)

検索機能(取引年月日・取引金額・取引先の3項目)

保存したデータは、後から必要なものを探し出せる状態にしておく必要があります。施行規則第2条第6項第5号は、検索の条件として次の3つを設定できることを求めています。

  • イ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先(ロ及びハにおいて「記録項目」という。)を検索の条件として設定することができること。
  • ロ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
  • ハ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
出典:電子帳簿保存法施行規則 第2条第6項第5号|e-Gov法令検索

基本となるのはイの3項目(取引年月日・取引金額・取引先)での検索です。ロの範囲指定とハの組み合わせ検索については、税務職員から電子データのダウンロードの求めがあったときに応じられるようにしておけば、確保しなくてもよいとされています(第6項の柱書)。

多くの企業では、日付・金額・取引先で検索でき、求めに応じてデータを提出できる状態にしておけば足ります。表計算ソフトの索引簿で管理する方法もありますが、件数が多い場合は検索機能を備えた保存システムの利用が現実的です。

見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイなど)

保存したデータを、画面や書面に整然と・鮮明に出力できる装置も要件です。施行規則第2条第6項第4号は、映像面の最大径が35センチメートル以上(14インチ以上)のカラーディスプレイとカラープリンタ、操作説明書を備え付け、4ポイントの文字を認識できる状態で速やかに出力できるようにしておくことを求めています。

一般的な業務用パソコンとプリンタがあれば満たせる水準です。ただし一般書類の場合は、カラーではないディスプレイ・プリンタでも認められます。

出典・参考資料(1件)

帳簿との相互関連性(重要書類のみ)

重要書類については、スキャンした電子データと、その取引を記録した帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)とを、伝票番号や取引ごとの番号などで相互に結びつけ、あとから関連性を確認できるようにしておく必要があります。

この帳簿との相互関連性を確保する対象は、2024年(令和6年)1月以後は重要書類に限定されており、一般書類には課されません。

出典・参考資料(2件)

直近の改正で変わった点と現行の要件(2022年・2024年)

スキャナ保存の要件は、近年の税制改正で大きく緩和されてきました。古い解説を参照すると、すでに廃止された要件を守ろうとして手間が増えることがあります。ここでは、いつの改正で何が変わったのかを整理します。

スキャナ保存の要件緩和の流れを示す図解。2022年(令和4年)1月からの令和3年度改正で、事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件の緩和、検索項目を取引年月日・取引金額・取引先の3項目に限定、適正事務処理要件の廃止が行われた。2024年(令和6年)1月からの令和5年度改正で、解像度・階調などの情報の保存が不要(200dpiでの読み取り自体は引き続き必要)、帳簿との相互関連性は重要書類のみに限定された。

2022年(令和3年度改正):事前承認の廃止、タイムスタンプ・検索要件の緩和

令和3年度の税制改正により、2022年(令和4年)1月1日以後に保存する書類から、次の点が変わりました。まず、スキャナ保存を始める前に税務署長の承認を得る「事前承認制度」が廃止されました。タイムスタンプ要件も緩和され、付与までの期間が入力期間と同様(最長約2か月)とされたほか、訂正削除の履歴が残るシステムでの保存によって付与に代えられるようになりました。

検索要件は、検索項目が取引年月日・取引金額・取引先の3つに限定され、ダウンロードの求めに応じられる場合は範囲指定・組み合わせ検索が不要とされました。あわせて、相互けん制や定期的な検査などを求めていた「適正事務処理要件」も廃止されています。

出典・参考資料(1件)

2024年(令和5年度改正):解像度・階調情報の「保存」が不要に。ただし読み取り自体は必要

令和5年度の税制改正により、2024年(令和6年)1月1日以後に保存する書類から、さらに要件が緩和されました。具体的には、スキャナで読み取った際の解像度・階調・大きさに関する情報を保存する要件が廃止され、入力者などに関する情報の確認要件も廃止されました。また、帳簿との相互関連性を確保する対象が、契約書・領収書などの重要書類に限定されました。

ここで注意したいのが、「解像度・階調に関する情報の要件が廃止された」という説明の受け止め方です。これは、読み取った解像度などの情報を記録・保存することが不要になったという意味であり、200dpi・256階調で読み取ること自体が不要になったわけではありません。国税庁の一問一答でも、次のように明記されています。

令和5年度の税制改正後のスキャナ保存については、スキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保持が不要となった一方、引き続き、規則第2条第6項第2号イ⑴に規定する「スキャニング時の解像度である25.4 ミリメートル当たり200 ドット以上」の要件を満たす必要があります。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問27|国税庁

読み取りは今も200dpi以上・RGB各256階調以上で行う必要があり、緩和されたのは「その解像度などの情報をデータとして保存しておく」という付随的な作業です。要件一覧(前章)で示した解像度・階調の基準は、現行でも有効と押さえておきましょう。

出典・参考資料(1件)

自社が要件を満たすかチェックする(自己点検)

ここまでの要件を、自社のスキャナ設定・保存システム・運用ルールに当てはめて点検してみましょう。以下の項目を一つずつ確認すると、どこがクリアできていて、どこに手当てが必要かを把握できます。

  • 読み取り設定:スキャナ・カメラの解像度は200dpi以上か。重要書類はカラー(RGB各256階調以上)で読み取れているか。
  • 入力期間:早期入力方式(おおむね7営業日以内)と業務処理サイクル方式(最長2か月+おおむね7営業日以内)のどちらで運用するかを決め、後者なら事務処理の規程を定めているか。
  • タイムスタンプ/訂正削除履歴:使うシステムが、訂正・削除の履歴を残す(または訂正削除できない)仕組みを備えているか。備えていなければタイムスタンプを付与できるか。
  • 検索機能:取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態か。税務職員のダウンロードの求めに応じられるか。
  • 見読可能装置:14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタ、操作説明書を備え、鮮明に出力できるか。
  • 帳簿との相互関連性:重要書類について、スキャンしたデータと帳簿の記録を伝票番号などで相互に確認できるようにしているか。
  • 書類の区分:スキャナ保存する書類を重要書類・一般書類に仕分けし、一般書類は緩和された要件(適時入力・グレースケール可など)を踏まえて運用できているか。

読み取り設定と見読可能装置は市販の機器で満たしやすい一方、入力期間の管理・タイムスタンプ/訂正削除履歴・検索機能は、運用ルールや保存システムの選び方で決まります。手作業だけで満たすのが難しい項目は、次章以降で触れる保存システムの活用を検討するとよいでしょう。

要件を満たせば原本(紙)は破棄してよいか

スキャナ保存に取り組む目的の一つは、紙原本の保管をやめることです。要件を満たしてスキャナ保存した場合、紙の原本はいつ破棄できるのでしょうか。国税庁の一問一答では、次のように示されています。

令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、以下(※)の場合を除いて、スキャナで読み取り、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含みます。)することをいいます。……)を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。

出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問3|国税庁

要件どおりにスキャナ保存し、電子データと紙の記載が同じであること(折れ曲がりなどで読み取れていない部分がないかも含む)を確認すれば、原本は即時に破棄できます。紙をしばらく保管しておく必要はなく、書類の保管スペースや管理の手間を減らせます。

この即時廃棄が認められない例外(引用文の「以下(※)の場合」)にあたるのが、入力期間を過ぎてしまった書類です。期限内に入力できなかった書類は、電子データと合わせて紙の原本も保存する必要があり、この書類だけは紙が残ります。

出典・参考資料(1件)

要件を満たすために自社で準備するもの(対応スキャナ・システム・JIIMA認証)

ここまでの要件を実務で満たすには、大きく3つの準備が必要です。読み取りのための対応スキャナ、期限内の入力・訂正削除履歴・検索を担う保存システム、そして自社の書類区分に合わせた運用ルールです。

  • 対応スキャナ・カメラ:200dpi以上・カラー(重要書類)で読み取れる機器。多くの複合機やスマートフォンのカメラで満たせます。
  • 保存システム:訂正削除の履歴が残る(または訂正削除できない)仕組みと、取引年月日・取引金額・取引先での検索機能を備えたもの。これらを満たせば、タイムスタンプや索引簿の手作業を省けます。
  • 運用ルール:業務処理サイクル方式を採るなら事務処理の規程を整え、入力期限を守る運用にします。

保存システムを選ぶ際の目安になるのが、JIIMA認証です。これは公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、市販のソフトウェアが電帳法の法的要件を満たしているかを確認して認証する制度で、国税庁も認証を受けたソフトの一覧を公表しています。

JIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証)を受けたシステムであれば、要件適合の確認の手がかりになります。ただし、認証はあくまで機能面の目安であり、実際の運用(入力期限の順守や書類区分に応じた設定)は自社で整える必要があります。

出典・参考資料(1件)

要件に対応した電帳法対応サービス

スキャナ保存の要件のうち、訂正削除の履歴・検索機能・保存の一元管理は、電帳法に対応したクラウドサービスを使うと手作業を減らしながら満たせます。ここでは、紙・PDFの請求書などを取り込んで電帳法対応で保存・管理できるサービスを紹介します。以下はその比較表です。

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サービス名Bill One 請求書受領invoiceAgent
提供会社Sansan株式会社ウイングアーク1st株式会社
主な用途請求書の代理受領・データ化
(受領特化)
請求書・注文書・納品書などの
電子化・配信・受信・文書管理
電子帳簿保存法・インボイス対応
JIIMA認証電帳法スキャナ保存ソフト・電子取引ソフト法的要件認証を取得スキャナ保存・電子書類・電子取引の3区分認証
料金の目安要問い合わせ
(初期費用+受領件数に応じた年額制)
要問い合わせ
(電子取引ソフト。初期費用+月額+配信数に応じた料金体系)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見る

Bill One 請求書受領(Sansan株式会社)

Bill One 請求書受領の公式サイト。あらゆる形式の請求書を代理受領しデータ化するクラウドサービスであることを紹介している。

Bill One 請求書受領は、Sansan株式会社が提供するクラウド請求書受領サービスです。取引先から届く紙・メール・PDF・アップロードなど、あらゆる形式の請求書を代理で受け取り、スキャン技術とオペレーターによる入力を組み合わせてデータ化し、クラウド上で一元管理します。

受け取った請求書は電子帳簿保存法・インボイス制度に対応した形で保存でき、紙で届いた請求書をスキャンして保管する負担を軽減できます。自社の手元でスキャナ保存する代わりに、受領からデータ化・保存までを代行してもらう位置づけで(JIIMA認証は電帳法スキャナ保存ソフト・電子取引ソフトの区分を取得)、届いた請求書の電帳法対応をまとめて任せたい企業に向いています。

invoiceAgent(ウイングアーク1st株式会社)

invoiceAgentの公式サイト。企業間取引文書を電子化・配信・管理する電子取引プラットフォームであることを紹介している。

帳票基盤SVFを提供するウイングアーク1st株式会社が手がけるのが、企業間取引文書を電子化する invoiceAgent です(2026年4月にSVFブランドへ統合され、現在の製品名はSVF Transactです)。請求書・注文書・納品書などの帳票を、元のフォーマットを保ったまま電子化し、配信・受信・文書管理をクラウド上で行えます。

このうち電子取引の機能は、JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を含む3区分の認証を取得しており、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しています。料金は初期費用と月額に配信数に応じた費用を加えた体系で、取引量に応じて利用できます(最新の料金・製品名は公式サイトでご確認ください)。

ここで挙げたのは電帳法対応サービスの一例です。要件を満たすシステムを本格的に選ぶ段階では、対応機能や料金、タイプ別の選び方を横断的に見比べたくなります。以下の記事では、電子帳簿保存法に対応した保存・管理システムの選び方と各社の機能を、タイプ別に横断して解説しています。導入を検討される方は、あわせてご覧ください。

まとめ

スキャナ保存を適法に行うには、電帳法施行規則が定める要件を満たす必要があります。

読み取りは200dpi以上・RGB各256階調以上、入力は早期入力方式(おおむね7営業日以内)または業務処理サイクル方式(最長2か月+おおむね7営業日以内)、そしてタイムスタンプまたは訂正削除の履歴、取引年月日・取引金額・取引先での検索機能、見読可能装置がそろって初めて、紙原本の破棄が認められます。扱う書類が重要書類か一般書類かで一部の要件が緩和される点も押さえておきましょう。

2022年・2024年の改正で要件は大きく簡素化されましたが、2024年改正で不要になったのは解像度などの情報を「保存」する作業であって、200dpiでの読み取り自体は今も必要です。

古い情報に引きずられないよう、現行の要件を確認して運用しましょう。手作業では満たしにくい入力期限の管理や訂正削除履歴・検索機能は、JIIMA認証を受けた電帳法対応のシステムを活用すると、要件を満たしながら経理業務の負担を減らせます。

本記事の要件一覧を自社のスキャナ設定・保存システム・運用ルールと照らし合わせ、スキャナ保存への対応を進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. スキャナ保存する書類が重要書類か一般書類かは、どう見分ければよいですか?

A. スキャナ保存の書類区分は、その書類が資金や物の流れに直結・連動するかどうかで見分けます。契約書・領収書・請求書・納品書など資金や物の流れに直結する書類が重要書類、見積書・注文書・検収書など直結しない書類が一般書類です。

一般書類はグレースケールでの読み取りや適時入力が認められるなど要件が一部緩和されるため、まず自社でスキャナ保存したい書類をこの2つに仕分けしておくと、満たすべき要件を判断しやすくなります。

出典・参考資料(1件)

Q. スキャナ保存にタイムスタンプは必ず必要ですか?

A. スキャナ保存のタイムスタンプは、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムに保存すれば、付与しなくても要件を満たせます

原則はタイムスタンプの付与ですが、施行規則は入力期間内に入力したことを確認できる場合にこの代替を認めており、クラウド型の保存サービスの多くは訂正削除履歴が残る仕組みを備えています。自社が使う(使おうとしている)システムが履歴の保持か訂正削除の禁止のどちらかに対応していれば、タイムスタンプを別途用意する必要はありません。

出典・参考資料(2件)

Q. 2024年の改正で、スキャナ保存の解像度の要件は不要になったのですか?

A. 2024年(令和6年)1月以後も、スキャナ保存では200dpi以上・RGB各256階調以上で読み取ること自体は引き続き必要です。改正で不要になったのは、読み取った際の解像度・階調・大きさに関する情報をデータとして保存(記録)する作業であって、読み取りの基準そのものが緩和されたわけではありません。

国税庁の一問一答も、改正後も25.4mm当たり200ドット以上の解像度要件を満たす必要があると明記しています。古い解説を「200dpiでの読み取り自体が不要になった」と受け取らないよう注意しましょう。

出典・参考資料(1件)

Q. スマートフォンで撮影した書類もスキャナ保存できますか?

A. スマートフォンやデジタルカメラで撮影した書類も、200dpi以上・重要書類はカラー(RGB各256階調以上)といった読み取りの要件を満たせばスキャナ保存できます。読み取りに使う機器は専用スキャナに限定されていません。ただし撮影時の設定によっては解像度が要件を下回ることがあるため、要件を満たす解像度で撮影・保存できるかを事前に確認しておきましょう。

出典・参考資料(1件)

Q. スキャナ保存の入力期間を過ぎてしまった書類はどうなりますか?

A. 入力期間を過ぎてしまった書類は、電子データとあわせて紙の原本も保存しておく必要があります。スキャナ保存で紙原本を破棄できるのは、入力期間内に要件どおり読み取り・保存し、電子データと紙の記載が同じであることを確認した書類に限られます。

期限に間に合わなかった書類だけは紙が残るため、月次の締めに合わせやすい業務処理サイクル方式(最長2か月+おおむね7営業日以内)を採るなど、入力期限を守れる運用を整えておくことが大切です。

出典・参考資料(1件)

Q. スキャナ保存を始めるのに、税務署への事前の承認や届出は必要ですか?

A. スキャナ保存の開始にあたって、税務署長の事前承認や届出は必要ありません。2022年(令和4年)1月以後に保存する書類から事前承認制度は廃止されており、要件を満たせば届出なしにスキャナ保存を始められます。あわせて、以前は求められていた相互けん制や定期的な検査などの「適正事務処理要件」も廃止されています。古い解説を参照して不要な手続きを準備しないよう、現行の制度を確認しておきましょう。

ただし1点だけ例外があります。スキャナ保存を始める前から保有している重要書類(過去分重要書類)をさかのぼって電子化する場合は、所轄税務署長等に「過去分重要書類の適用届出書」を提出する必要があります。提出後は入力期間の制限がなくなり、過去の書類を数か月かけてまとめて取り込めます。

スキャナ読み取りの技術要件(解像度・タイムスタンプ・検索など)は通常の重要書類と同じですが、過去分重要書類は加えて、作成・保存に関する事務手続を明らかにした書類(責任者を定めたもの)の備付けも必要です。なお一般書類は入力期間の制限がもともとなく、この届出は不要です。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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