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インボイス制度で経理業務はどう変わる?変更点・やること・仕訳例を実務ベースで解説

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インボイス制度が始まってから、受け取る請求書の扱いや毎日の記帳が以前と変わり、経理の現場で戸惑う場面が増えています。「結局、自分たちの経理業務は何がどう変わって、何をすればよいのか」を一度きちんと整理したい、と感じている担当者は少なくありません。

本記事では、インボイス制度によって経理の実務が制度前とどう変わったかを、受領・記帳・税区分・保存・取引先管理という作業ごとに整理します。あわせて、経理担当者がやるべき対応、免税事業者からの仕入れの仕訳例、経過措置の控除割合と期間を解説します。

後半では、増えた確認作業や税区分の判定を会計・経費ソフトでどこまで効率化できるかも取り上げます。自社の対応状況を点検し、次の一手を判断するための材料としてご活用ください。

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インボイス制度で経理業務はどう変わった?作業別のBefore/After

まず、経理担当者の日々の作業が制度前と後でどう変わったのかを、作業ごとに対比します。変化の中心は、受け取った請求書が「適格請求書(インボイス)」かどうかを1枚ずつ見分け、仕入先の区分に応じて税区分を分けて処理する必要が生じた点にあります。

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経理の作業受領した請求書の確認記帳(仕訳)消費税の計算・税区分書類の保存取引先の管理
制度前様式や発行者を細かく確認する必要は薄く、金額と内容を確認すれば足りていました。税率(10%・8%)ごとに区分して起票していました。課税・非課税・不課税などの区分で処理していました。受け取った請求書等を保存していました。取引先の登録状況を意識する必要はありませんでした。
制度後適格請求書かどうか、登録番号(Tから始まる13桁)や記載要件を満たしているかを1枚ずつ確認します。仕入先が適格請求書発行事業者か免税事業者かで税区分を分け、免税事業者からの仕入れには経過措置の控除割合を反映します。同じ課税仕入れでも「適格請求書あり」「経過措置80%控除」などに枝分かれし、扱う税区分が増えます。適格請求書と、一定事項を記載した帳簿の保存が仕入税額控除の要件です。電子で受け取ったものは電子帳簿保存法に沿って電子のまま保存します。取引先が適格請求書発行事業者かどうか、登録番号を把握して管理します。

※制度前は区分記載請求書等保存方式、制度後は適格請求書等保存方式(インボイス制度、2023年10月1日開始)を指します。

変化を一言でまとめると、「請求書を受け取ってから帳簿に記録し、保存するまでの各段階で、確認と判定の手数が増えた」ということです。次章以降で、それぞれの作業を具体的に見ていきます。

インボイス制度の基本をおさらい(適格請求書・仕入税額控除)

作業の変化を理解する前提として、適格請求書と仕入税額控除の関係を確認します。制度名や記載要件をすでに把握している場合は、この章を読み飛ばして次の「やることチェックリスト」へ進んでも差し支えありません。インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日に始まった消費税の仕組みです。

適格請求書とは、売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための請求書です。従来の区分記載請求書に、次の下線部の項目(登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額等)が加わります。国税庁は記載事項を次のように定めています。

  • ① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • ② 取引年月日
  • ③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  • ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
  • ⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
出典:適格請求書等保存方式の概要 ‐インボイス制度の理解のために‐(p.4)|国税庁

このうち①の登録番号、④の適用税率、⑤の税率ごとに区分した消費税額等が、区分記載請求書から新たに加わる項目です。適格請求書に決まった様式はなく、これらの必要事項が記載されていれば、名称が請求書・領収書・納品書のいずれであっても適格請求書として扱えます。

買い手が仕入れにかかった消費税を差し引く「仕入税額控除」を受けるには、原則として、売り手から交付された適格請求書と、一定事項を記載した帳簿の両方を保存する必要があります。国税庁のQ&Aでは「一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされています(消費税法第30条第7項)」と示されています。

ただし、簡易課税制度や2割特例・3割特例を適用する場合は、受け取った適格請求書を保存しなくても仕入税額控除を受けられます。

出典・参考資料(2件)

経理担当者がやることチェックリスト

ここからは、受領側(買い手)の経理担当者がやるべき対応を、作業レベルで整理します。日々の処理と、制度対応として一度整えておく作業の両方を含みます。受け取った請求書は、確認から保存まで次の流れで処理します。

インボイス制度後に受領した請求書を処理する4ステップの流れ図。STEP1は記載要件の確認で、登録番号(Tから始まる13桁)と記載要件を確認し適格請求書かを見分ける。STEP2は税区分の判定で、仕入先が適格請求書発行事業者か免税事業者等かで税区分を分ける。STEP3は仕訳(記帳)で、免税事業者からは控除割合を反映し「80%控除対象」などを帳簿に記載する。STEP4は保存で、適格請求書と帳簿を保存し、電子で受け取ったものは電子のまま保存する。
  • 取引先が適格請求書発行事業者かを確認する:継続的に取引する仕入先が登録済みかを把握し、免税事業者との取引を分けて管理します。
  • 受け取った請求書の登録番号と記載要件を確認する:登録番号の有無、適用税率、税率ごとの消費税額など、適格請求書の要件を満たしているかを確認します。
  • 仕入先の区分に応じて税区分を判定する:適格請求書のある仕入れか、免税事業者等からの経過措置対象の仕入れかを見分けて起票します。
  • 免税事業者からの仕入れは帳簿に経過措置の適用を記載する:「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を帳簿に記載します。
  • 適格請求書と帳簿を保存する:仕入税額控除の要件として、帳簿および請求書等を原則7年間保存します。電子で受け取ったものは電子帳簿保存法に沿って電子のまま保存します。

帳簿の保存期間は、その帳簿の閉鎖の日が属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間と定められています。

出典・参考資料(1件)

このうち帳簿への記載や税区分の判定は、次章以降で具体例とともに掘り下げます。免税事業者からの仕入れをどう記帳するかが、実務で最も迷いやすいところです。

消費税の税区分と仕訳

インボイス制度で経理が最もつまずきやすいのが、税区分の増加と、免税事業者からの仕入れの仕訳です。ここでは、税区分の考え方を対応表で示したうえで、具体的な金額を使った仕訳例を確認します。

増える税区分:仕入先の区分ごとの扱い

同じ課税仕入れでも、仕入先が適格請求書発行事業者か免税事業者等かによって、仕入税額控除の扱いが変わります。受け取った請求書がどれに当たるかで、控除の扱いが次のように分かれます。

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仕入先・請求書の区分適格請求書発行事業者からの仕入れ(適格請求書あり)免税事業者等からの仕入れ(経過措置の期間中)免税事業者等からの仕入れ(経過措置の終了後)
仕入税額控除の扱い原則として支払った消費税の全額を控除できます(適格請求書と帳簿の保存が要件)。仕入税額相当額の一定割合(現在は80%)を控除できます。2031年10月以降は控除できません。
帳簿の記載通常の記載で足ります。「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載します。

※控除割合と期間は経過措置の段階により変わります。詳しくは次章のスケジュールをご確認ください。

制度後の記帳では、同じ課税仕入れでも次のような区分を使い分けることになります。会計ソフト上の区分名は製品によって異なりますが、判定の考え方は共通です。

  • 課税仕入れ 10%(適格請求書あり):支払った消費税の全額を控除
  • 課税仕入れ 8%(軽減税率・適格請求書あり):支払った消費税の全額を控除
  • 課税仕入れ(免税事業者等・経過措置の対象):仕入税額相当額の一定割合(現在は80%)を控除
  • 少額特例(税込1万円未満):帳簿の保存のみで控除(対象事業者・対象期間の要件あり)

経過措置の適用を受けるには、帳簿への記載が要件になります。国税庁は帳簿の記載方法を次のように示しています。

なお、この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。
1 帳簿 原則的な記載事項に加え、例えば、「80%控除対象」「免」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要となります。

出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問113|国税庁

免税事業者からの仕入れの仕訳例(本体上乗せ/雑損失)

免税事業者などから仕入れた場合、控除できない消費税相当額をどう処理するかで仕訳が変わります。ここでは、本体価格100,000円・消費税10,000円(合計110,000円)の仕入れを、経過措置で80%を控除できる場合を例にします。この場合、控除できる消費税額は8,000円、控除できない2,000円が処理の対象です(いずれも税抜経理方式の例)。

1つ目は、控除できない2,000円を仕入れの本体価格に上乗せする方法です。取引時に次のように起票します。

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借方仕入仮払消費税等
金額(借方)102,000円8,000円
貸方買掛金
金額(貸方)110,000円

2つ目は、控除できない2,000円を雑損失として処理する方法です。取引時は消費税額の全額を仮払消費税等で受け、決算時に控除できない分を雑損失へ振り替えます。

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時点取引時決算時
借方仕入 100,000円/仮払消費税等 10,000円雑損失 2,000円
貸方買掛金 110,000円仮払消費税等 2,000円

どちらの方法でも、帳簿には「80%控除対象」などの記載を残します。控除できる割合は経過措置の段階に応じて変わるため、仕訳の金額も適用時点の割合で計算します。控除できない消費税相当額の処理方法は、国税庁の法人税・所得税の取扱いに関するFAQでも仕訳例が示されています。

出典・参考資料(2件)

経過措置:仕入税額控除の割合はどう縮小するか

免税事業者等からの課税仕入れは、経過措置により一定割合を仕入税額控除できます。この割合は段階的に縮小していくため、いつまでに何割を控除できるかを正確に押さえておく必要があります。控除割合と期間は次のとおりです。

免税事業者等からの課税仕入れで控除できる割合が段階的に縮小するスケジュール。2023年10月から2026年9月までは仕入税額相当額の80%、2026年10月から2028年9月までは70%、2028年10月から2030年9月までは50%、2030年10月から2031年9月までは30%を控除でき、2031年10月以降は控除不可となる。
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期間2023年10月1日〜2026年9月30日2026年10月1日〜2028年9月30日2028年10月1日〜2030年9月30日2030年10月1日〜2031年9月30日2031年10月1日以降
控除できる割合仕入税額相当額の80%仕入税額相当額の70%仕入税額相当額の50%仕入税額相当額の30%控除不可

この経過措置は、令和8年度税制改正により延長され、従来の2段階(80%のあと50%)から4段階へと見直されました。国税庁のQ&A(令和8年4月改訂)は、期間と割合を次のように示しています。

経過措置を適用できる期間等は、次のとおりです。
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和10年9月30日まで 仕入税額相当額の 70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日まで 仕入税額相当額の 50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日まで 仕入税額相当額の 30%

出典:適格請求書等保存方式に関するQ&A 問113(令和8年4月改訂)|国税庁

和暦の令和13年10月1日が、西暦2031年10月1日にあたります。以降は、免税事業者等からの課税仕入れについて仕入税額控除ができなくなります。取引先に免税事業者が多い場合は、この時期に向けてコストの見通しを立てておくと安心です。

見落としやすい実務ポイント

ここからは、日々の処理で漏れやすい論点を4つ取り上げます。

消費税額の端数処理は「1インボイスにつき税率ごとに1回」

適格請求書に記載する消費税額等に1円未満の端数が出る場合、端数処理は1つの適格請求書につき税率ごとに1回だけ行います。商品ごとに端数処理を繰り返す方法は認められていません。

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(消令70の10、基通1-8-15)。なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。

出典:適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57|国税庁

切上げ・切捨て・四捨五入のどれを採るかは任意ですが、社内で処理方法をそろえておくと、確認の手間を減らせます。

少額特例:税込1万円未満は帳簿の保存だけで控除できる

一定規模以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、適格請求書がなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除を受けられます。これを少額特例といいます。対象は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。

注意したいのは対象期間です。少額特例が使えるのは2023年10月1日から2029年9月30日までで、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置(2031年9月まで)とは終わる時期が異なります。両者を混同しないよう注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

売り手が負担する振込手数料の扱い

買い手が代金から振込手数料を差し引いて支払い、その手数料を売り手が負担する慣行があります。この振込手数料相当額を、売り手が売上値引き(対価の返還等)として処理する場合、原則として買い手に適格返還請求書を交付する必要があります。

ただし、税込1万円未満の対価の返還等については、その交付義務が免除されます。振込手数料相当額は一般的に1万円未満となるため、この免除に該当することが多いと国税庁は説明しています。

また、売り手が振込手数料を支払手数料(課税仕入れ)として処理している場合は、そもそも返還インボイスの交付は必要ありません。財務省は「売り手が負担する振込手数料を支払手数料、すなわち課税仕入れとして処理している場合には、そもそも返還インボイスの交付は必要ありません」と示しています。

受領側(買い手)としては、差し引いた振込手数料を売り手がどう扱うかで処理が変わるため、取引先との取り決めや自社の会計処理(支払手数料とするか対価の返還等とするか)をあらかじめ整理しておくと、日々の記帳で迷わずに済みます。

出典・参考資料(2件)

電子で受け取ったインボイスは電子帳簿保存法に沿って保存する

適格請求書は、紙だけでなく電子データ(電磁的記録)でやり取りすることもできます。電子データで受け取った適格請求書は、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件に沿って、電子のまま保存する必要があります。この方法で保存すれば、消費税法上の適格請求書の保存要件も満たします。ディスプレイや書面にすぐ出力できる状態にしておくことが求められます。

出典・参考資料(1件)

電子取引データの保存には、真実性・可視性の確保など電子帳簿保存法の要件が細かく定められています。制度の全体像や3区分ごとの要件、2024年1月からの義務化への実務対応は、次の記事で詳しく解説しています。

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増えた経理業務を会計・経費ソフトで効率化する

ここまで見てきたとおり、インボイス制度によって、受領した請求書の確認・税区分の判定・帳簿への記載・電子保存といった作業が増えました。これらを手作業で続けると、取引件数に比例して負担が膨らみます。会計・経費ソフトを使うと、次のような部分を自動化できます。

  • 受け取った請求書や領収書をAI-OCRで読み取り、仕訳の候補を自動で作成する
  • 登録番号や税率をもとに、適格請求書かどうかや税区分の判定を補助する
  • 電子帳簿保存法の要件に沿って、証憑を電子のまま保存する

ここでは、インボイス制度への対応と日々の経理の効率化に使える会計ソフトを紹介します。まずは主要なサービスの対応状況を比較表で確認しましょう。

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サービス名弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド会計
受領請求書のAI-OCR・自動仕訳証憑をAI-OCRで読み取り自動仕訳(勘定科目をAIが提案)証憑をAI-OCRで読み取り自動仕訳証憑をAI-OCRで読み取り自動仕訳(月101件目〜は従量課金)
インボイス(適格請求書)対応適格請求書の入力・少額特例に対応受取請求書・領収書をAI-OCRで読み取り自動仕訳、インボイス制度に対応(区分経理)受領証憑をAI-OCRで区分経理・自動仕訳(インボイス制度対応)
電子帳簿保存法対応JIIMA「優良な電子帳簿」認証を取得JIIMA認証を取得(スキャナ保存・電子取引)JIIMA認証を取得(電子帳簿・電子取引・スキャナ保存)
対象規模法人向け個人事業主〜上場企業(IPO準備含む)ひとり法人〜中小企業(〜50名想定)
料金(税抜)初期費用0円
月額2,900円〜(エントリー・年契約の月額換算、税抜)
初期費用0円
月額2,980円〜(ひとり法人・年払い、税抜)
初期費用0円
月額2,480円〜(ひとり法人・年払い、税抜)
詳細情報資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※料金・対応状況は各社公式サイト(2026年9月時点)にもとづきます。最新の内容は各社の資料・公式サイトでご確認ください。

弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextのウェブサイト

弥生会計 Nextは、1978年創業の弥生株式会社が提供するクラウド会計ソフトです。会計に加えて請求業務・経費精算・証憑管理を一体化し、これらのデータが自動で会計処理へ流れる構成が特徴です。

インボイス制度への対応では、適格請求書・区分記載請求書の入力に対応し、税込1万円未満の課税仕入れをインボイスの保存なしで控除できる少額特例にも対応しています。取得したデータの勘定科目はAIが推測して提案し、証憑はAI-OCRで読み取れます。

電子帳簿保存法については、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による「優良な電子帳簿」認証を取得しています。料金は、年契約のエントリープランで年額34,800円(月額換算2,900円、税抜、2026年9月時点)からです。

freee会計(フリー株式会社)

freee会計のウェブサイト

freee会計は、フリー株式会社が提供するクラウド型の会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードなど1,000を超えるサービスと連携し、取引データの自動取得から仕訳、決算書作成までを一貫して行えます。

簿記の知識が浅くても使える設計を打ち出しており、受け取った請求書や領収書をアップロードするとAI-OCRが文字を読み取って仕訳を作成します。インボイス制度・電子帳簿保存法(JIIMA認証取得)に対応しています。

個人事業主から中小企業、上場企業まで幅広い規模をカバーし、初期費用は0円です。日々の記帳を自動化しながら、受領インボイスの処理を進めたい企業に向いています。

マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計のウェブサイト

マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供する、ひとり法人や中小企業向けのクラウド会計ソフトです。会計のほか、請求書・経費・給与などのバックオフィス業務を同じ基盤で連携できる点が特徴です。

スキャンやスマートフォンで撮影した証憑をAI-OCRで読み取り、自動で仕訳を作成する機能を備えます。受領した請求書や領収書、電子データで受け取った証憑が対象で、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応として提供されています。

受け取った証憑を区分経理しながら電子のまま保存でき、取引先からの受領請求書が多く記帳を自動化したい企業に適しています。

ここで取り上げたのは会計ソフトの一部です。規模やタイプ別の選び方、料金の目安まで含めてクラウド会計ソフト全体を比較したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

インボイス制度によって、経理業務は受領した請求書の確認から記帳・税区分の判定・保存まで、各段階で確認と判定の手数が増えました。特に、免税事業者からの仕入れは経過措置の控除割合を反映して起票し、帳簿に「80%控除対象」などの記載を残す必要があります。経過措置の割合は2026年10月から70%へ、その後も段階的に縮小し、2031年10月以降は控除できなくなります。

増えた確認作業や税区分の判定は、会計・経費ソフトのAI-OCRや自動仕訳、電子保存の機能で負担を減らせます。自社の取引先の状況や処理量に合わせて、対応できるサービスを比較検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. インボイス制度とは何ですか?

A. インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、売り手が交付する適格請求書(インボイス)の保存を、買い手が仕入税額控除を受けるための要件とする消費税の仕組みです。2023年10月1日に始まりました。適格請求書には、登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要で、これらを記載できるのは税務署に登録した適格請求書発行事業者に限られます。

Q. インボイス制度の経過措置で、仕入税額控除できる割合はいつまで何%ですか?

A. 免税事業者等からの課税仕入れは、経過措置により2026年9月まで80%、2028年9月まで70%、2030年9月まで50%、2031年9月まで30%を控除でき、2031年10月以降は控除できなくなります。この控除割合は令和8年度税制改正により、従来の2段階(80%のあと50%)から4段階へと延長・見直されました。

取引先に免税事業者が多い場合は、割合が下がるタイミングを把握し、早めに取引条件や仕入先の見直しを検討するとよいでしょう。

Q. インボイス制度で、免税事業者からの仕入れはどう仕訳すればよいですか?

A. 免税事業者からの仕入れは、控除できない消費税相当額を仕入れの本体価格に上乗せする方法か、雑損失として処理する方法のいずれかで仕訳します。たとえば本体10万円・消費税1万円の仕入れで80%を控除できる場合、控除できない2,000円を本体に含めて計上するか、決算時に雑損失へ振り替えます。

いずれの方法でも、帳簿に「80%控除対象」など経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載を残すことが要件です。

Q. 取引先が適格請求書発行事業者かどうかは、どう確認すればよいですか?

A. 取引先が適格請求書発行事業者かどうかは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で、請求書に記載された登録番号(Tから始まる13桁)を検索して確認できます。継続的に取引する仕入先については、あらかじめ登録の有無を把握し、免税事業者との取引を分けて管理しておくと、日々の税区分の判定がスムーズになります。

出典・参考資料(1件)

Q. インボイス制度に対応しないと、罰則はありますか?

A. 買い手側がインボイス制度に対応しないこと自体に罰則はありませんが、適格請求書を受け取れない・保存できない仕入れは仕入税額控除を受けられず、その分だけ自社の消費税負担が増えます。免税事業者等からの仕入れは経過措置で一定割合を控除できますが、割合は段階的に縮小するため、取引先の登録状況の確認と税区分の判定を日常的に行うことが実務上重要です。

Q. 少額特例と、免税事業者からの仕入れの経過措置は何が違いますか?

A. 少額特例は税込1万円未満の課税仕入れをインボイスなしで(帳簿の保存だけで)控除できる措置で、対象は2029年9月までです。一方、免税事業者等からの仕入れの経過措置は、適格請求書のない仕入れでも一定割合だけ控除できる措置で、対象は2031年9月までです。対象となる仕入れも終わる時期も異なるため、混同しないよう注意が必要です。

少額特例を使えるのは、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。

Q. 電子データで受け取ったインボイスは、どう保存すればよいですか?

A. 電子データ(電磁的記録)で受け取った適格請求書は、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件に沿って、電子のまま保存する必要があります。この方法で保存すれば、消費税法上の適格請求書の保存要件も同時に満たします。保存にあたっては、ディスプレイや書面にすぐ出力できる状態にしておくことが求められます。紙で受け取ったインボイスと電子で受け取ったインボイスで保存方法が分かれる点に注意します。

Q. 増えた経理業務は、会計ソフトでどこまで効率化できますか?

A. 会計・経費ソフトを使うと、受け取った請求書や領収書のAI-OCR読み取りと自動仕訳、登録番号や税率をもとにした税区分の判定補助、電子帳簿保存法に沿った証憑の電子保存まで自動化できます。手作業のままだと確認・判定・保存の手間が取引件数に比例して増えるため、受領する請求書が多い企業ほど効率化の効果が大きくなります。

自社の取引先の状況や処理量に合わせて、対応できるサービスを比較検討してみてください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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