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仮想通貨の損失は確定申告で繰り越せる?現行制度と令和8年改正、今年できる対処を解説

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暗号資産(仮想通貨)会計・税務・損益計算ツール比較表(2026年版)

仮想通貨(暗号資産)で損失が出た年、まず気になるのは「この損失を翌年に繰り越して、来年の利益と相殺できるのか」ではないでしょうか。株式やFXの取引経験がある方ほど、同じ感覚で繰り越せると考えがちです。

結論を先にお伝えすると、現行制度では、暗号資産の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。株式やFXは損失を最大3年間繰り越せますが、暗号資産の所得は「雑所得」に区分され、扱いが異なるためです。損失はその年で切り捨てになります。

ただし、繰り越せないからこそ「同じ年の中でどこまで相殺できるか」「損失だけの年に申告すべきか」「年内に何ができるか」を正しく押さえることが、税負担を左右します。さらに令和8年度税制改正で、暗号資産の課税は将来的に大きく変わります。この記事では、現行制度と改正後を混同しないよう時間軸を切り分けながら、確定申告での扱いと今年できる対処を整理します。

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仮想通貨(暗号資産)の損失は確定申告で繰り越せる?【結論】

ここでは、この記事の中心となる問いにまず答えます。現行制度における暗号資産の損失の扱いです。

現行制度では、暗号資産取引で生じた損失を翌年以降に繰り越すことはできません。年をまたいで将来の利益と相殺する「繰越控除」の対象外で、その年で使い切れなかった損失は切り捨てになります。株式やFX(外国為替証拠金取引)が損失を最大3年間繰り越せるのとは、ここが大きく異なります。

理由は、暗号資産取引の利益が所得税法上「雑所得」に区分され、総合課税の対象になるためです。国税庁も、暗号資産取引で生じた損失は給与所得など他の所得と通算できないと明示しています。詳しい仕組みは次章で解説します。

後述する令和8年度税制改正により、将来的には暗号資産も申告分離課税へ移行し、一定の要件のもとで損失を3年間繰り越せるようになります。ただしこれは適用開始日以後の取引が対象で、今年(改正前)に生じた損失が将来の新制度で救済されるわけではありません。「繰り越せる/繰り越せない」は、どの時点の話かで結論が変わる点に注意してください。

なぜ繰り越せないのか|雑所得・総合課税という仕組み

ここからは、繰り越せない理由を制度の仕組みから見ていきます。まず暗号資産側の所得区分を押さえ、次に株式・FXとの違いを対比します。

暗号資産は総合課税の「雑所得」だから繰越控除の対象外

暗号資産取引で得た利益は、所得税法上、原則として「雑所得(その他雑所得)」に区分されます。給与所得や事業所得などと合算して税額を計算する「総合課税」の対象です。国税庁のFAQでも、暗号資産取引による所得は原則として雑所得に区分されると示されています。

この雑所得の損失は、他の所得と損益通算できません。国税庁は、暗号資産取引で生じた損失について次のように説明しています。

雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。所得税法上、他の所得と通算できる損失は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の金額の計算上生じた損失に限られます。雑所得については、これらの所得に該当しませんので、雑所得の金額の計算上生じた損失がある場合であっても、他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。

出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-11|国税庁

「繰り越せない」理由は、この損益通算の可否とつながっています。翌年以降に繰り越せる(繰越控除できる)のは、所得税法で「純損失」とされる損失です。純損失とは、損益通算をしてもなお控除しきれなかった損失を指します。雑所得の損失はそもそも損益通算の対象外なので純損失にならず、繰越控除の対象にもなりません。これが暗号資産の損失が切り捨てになる仕組みです。

混同しやすい制度に「雑損失の繰越控除」があります。これは災害や盗難、横領で資産に生じた損失(雑損控除)を対象とするもので、暗号資産取引の「雑所得の損失」とは別物です。名前が似ているため混同しないよう注意してください。

出典・参考資料(2件)

株式・FXは申告分離課税だから繰越控除が認められる

一方、上場株式やFXの利益は「申告分離課税」の対象です。給与などの所得とは合算せず、独立して税額を計算します。この申告分離課税には、損失の繰越控除を認める特例が設けられています。

たとえば上場株式等の譲渡損失は、租税特別措置法により損益通算と3年間の繰越控除が認められています。FXも、租税特別措置法の「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」により申告分離課税とされ、損失の繰越控除ができます。株やFXで「損失は繰り越せる」という感覚が根づいているのは、この特例があるためです。

暗号資産の現物取引には、こうした申告分離課税の特例が及びません。総合課税の雑所得のままなので、繰越控除も使えないという整理になります。同じ「投資の損失」でも、所得区分が違えば扱いが変わる点が、暗号資産で見落とされやすいところです。

出典・参考資料(2件)

同じ年の中でならどこまで相殺できる?|損益通算の相手別可否

ここからは、繰り越せない前提で「同じ年の中でなら何と相殺できるのか」を相手別に整理します。翌年に持ち越せない以上、その年の中で使える相殺をもれなく使うことが重要になります。

ポイントは、暗号資産の損失は「総合課税の雑所得」の枠の中でだけ相殺できるという点です。同じ雑所得どうしなら相殺でき、所得区分が違う給与・株式・FXとは相殺できません。相手別にまとめると次のとおりです。

相殺したい相手可否理由
他の暗号資産の利益(仮想通貨どうし)相殺できるいずれも総合課税の雑所得のため、雑所得の中で通算できる
暗号資産以外の雑所得(副業の原稿料・アフィリエイト収入など)相殺できる同じ総合課税の雑所得どうしのため通算できる
給与所得相殺できない雑所得の損失は給与など他の所得と損益通算できない
株式(上場株式等)の利益相殺できない株式は申告分離課税で、総合課税の雑所得とは区分が異なる
FX(外国為替証拠金取引)の利益相殺できないFXは申告分離課税で、総合課税の雑所得とは区分が異なる

暗号資産の損失で圧縮できるのは「同じ年の雑所得の利益」までで、給与や株式・FXの利益は減らせません。この範囲を正しく理解しておくと、後述する年内の対策の効果も判断しやすくなります。

損益通算の計算例

具体的なイメージをつかむため、同じ年の暗号資産どうしを相殺する簡単な例を挙げます。数値は説明のための仮定です。

ある年に、ビットコインの取引で50万円の利益、イーサリアムの取引で30万円の損失が出たとします。どちらも総合課税の雑所得なので、同じ年の中で相殺でき、暗号資産としての所得は差し引き20万円になります。この20万円が、給与など他の所得と合算されて総合課税の対象になります。

一方、暗号資産全体で年間トータルが50万円の損失だった場合、同じ年に副業の雑所得があればその範囲で相殺できますが、給与や株式の利益とは相殺できません。相殺しきれずに残った損失は、翌年に繰り越せずその年で切り捨てになります。

総合課税では、他の所得と合算した「課税される所得金額」に応じて5〜45%の累進税率(このほか復興特別所得税・住民税が加わります)で課税されます。暗号資産の利益が大きいほど、同じ年の損失で圧縮できるかどうかの影響も大きくなります。

出典・参考資料(1件)

損失だけの年でも確定申告はすべき?|20万円ルールと住民税

ここでは、暗号資産が損失だった年に確定申告が必要かどうかを整理します。「損失なら申告しなくてよい」と思われがちですが、判断は所得税と住民税で分けて考える必要があります。

結論から言うと、暗号資産がトータル損失の年は、所得税の確定申告は基本的に必要ありませんが、住民税の申告は別途必要になる場合があります。また、暗号資産の損失は翌年に繰り越せないため、株式の損失のように「繰越のためにあえて申告する」意味もありません。以下で所得税と住民税に分けて整理します。

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、給与以外の所得(暗号資産の利益を含む雑所得など)の合計が年間20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。暗号資産がトータルで損失なら、この点では所得税の申告義務は生じないのが一般的です。ただし、給与が2か所以上ある場合や医療費控除などで還付を受ける場合など、別の理由で申告が必要・有利になるケースはあります。

注意したいのが住民税です。住民税には所得税のような「20万円以下は申告不要」という省略のしくみがありません。所得税の確定申告が不要な場合でも、お住まいの市区町村への住民税申告が別途必要になることがあります。手続きや様式は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の窓口や公式サイトで確認してください。

出典・参考資料(2件)

繰り越せないなら今年できること|年内の損益最適化

損失を翌年に持ち越せないということは、対策の勝負どころはその年のうちにあります。ここでは、制度上できる範囲で年内にできる損益の調整を整理します。節税の裏技ではなく、損益通算の仕組みを前提にした基本的な考え方です。

基本になるのは、同じ年の中で暗号資産の利益と損失を相殺し切ることです。利益が出ている年に含み損を抱えた銘柄があれば、年内に売却して損失を確定させれば、同じ年の利益と相殺できます。含み損のまま年を越すと、その損失を翌年の利益にぶつけることはできません。

反対に、今年トータルで損失になっている場合でも、打つ手がないわけではありません。含み益を抱えた銘柄があれば、年内に利益を確定させることで、その利益を同じ年の損失で相殺できます。結果として、税負担を抑えながら利益を実現できます。どちらも「相殺は同じ年の中でしかできない」という制約を踏まえた考え方です。

ただし、こうした含み損益の実現は、年間の損益状況を正確に把握できていてこそ判断できます。年末が近づいたら、まず現時点の損益を正確につかむことが、調整の前提になります。損益を正確に把握する手段は、次の章で紹介します。

令和8年度税制改正で変わる?|現行と改正後の切り分け

ここまでは現行制度の話です。暗号資産の課税は、令和8年度税制改正で将来的に大きく変わります。ニュースで「損失が3年繰り越せるようになる」と見て検索する読者も少なくありません。ただし、現行制度と改正後を混同すると判断を誤ります。時間軸を切り分けて整理します。

まず前提として、この改正は「まだ検討中の構想」ではなく、法律として既に成立しています。改正を定めた所得税法等の改正法は2026年(令和8年)3月に、関連する金融商品取引法等の改正法は同年7月に、それぞれ成立・公布されました。決まっているのは制度の中身で、実際にいつから適用されるかは、次に見るとおり別の問題です。

改正の中身は、財務省「令和8年度税制改正の大綱」で次のように示されています。

居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する。

出典:令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日 閣議決定)|財務省

あわせて、特定暗号資産の譲渡等で生じた損失のうちその年に控除しきれない金額は、一定の要件のもとで翌年以後3年間、特定暗号資産の譲渡所得等から繰越控除できるとされています。税率20%は所得税15%と個人住民税5%の合計で、実際にはこれに復興特別所得税が加わります(上場株式等と同じ実効20.315%)。

いつから適用されるかは、金融商品取引法の改正法の施行日に連動します。大綱では、適用開始日を「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日」と定めています。金商法改正法は成立済みですが、暗号資産に関わる部分の施行日は政令で定めるとされ、本記事の執筆時点(2026年9月)ではまだ確定していません。

施行が2027年中であれば、分離課税や3年繰越の適用開始は2028年1月1日以後の取引からとなる見込みです。現行と改正後の違いを整理すると次のとおりです。

観点現行制度改正後(適用開始日以後)
課税方式総合課税(雑所得)。給与などと合算し累進税率5〜45%申告分離課税。他の所得と分離して一律20%(所得税15%・住民税5%。復興特別所得税を含め実効20.315%)
損失の繰越できない(その年で切り捨て)一定の要件のもとで翌年以後3年間繰越可能
繰越で相殺できる相手—(繰越不可)特定暗号資産の譲渡所得等(暗号資産の利益)に限られる
対象となる暗号資産暗号資産全般(雑所得)「特定暗号資産」=金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等
適用の時点現在の取引に適用金商法改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後の譲渡等(2028年1月1日が見込み)

ここで最も重要な点があります。3年繰越の対象になるのは、適用開始日以後に生じた特定暗号資産の損失に限られるということです。適用開始日より前、すなわち今年生じた暗号資産の損失は、改正後の新制度でも繰越の対象になりません

今年の損失はあくまで現行制度の雑所得の損失であり、損益通算も繰越控除もできず、その年で切り捨てになります。「将来は繰り越せる」という情報だけを見て、今年の損失も救済されると考えないよう注意してください。

また、改正後も暗号資産のすべてが一律に分離課税になるわけではありません。分離課税の対象は「特定暗号資産」(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等)に限られ、それ以外の暗号資産や取引形態は別の扱いになる部分があります。

自分が保有する銘柄が特定暗号資産に当たるかどうかを含め、細かな要件や対象範囲は施行に向けた政令などで具体化される見込みです。実際の適用時期が近づいたら、最新の情報を確認することをおすすめします。

出典・参考資料(2件)

年内の損益を正確に把握するには|損益計算ツールの活用

ここまで見てきたとおり、暗号資産の損失は翌年に繰り越せないため、その年のうちに損益を正確に把握し、相殺や利確のタイミングを判断することが大切です。とはいえ、複数の取引所やウォレット、DeFi・NFTまで含めた取引履歴を手作業で集計するのは現実的ではありません。ここでは、損益計算を効率化するツールを紹介します。

暗号資産の損益計算ツールは、取引所のAPI連携やCSV、ウォレットアドレスの登録によって取引履歴を自動で集計し、総平均法・移動平均法での損益計算や確定申告用の書類作成までを支援します。年間を通じて損益を可視化できるため、年内の損益調整の判断材料としても役立ちます。

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サービス名クリプタクト(cryptact)クリプトリンク(CryptoLinC)
運営会社株式会社pafinクリプトリンク株式会社
個人向け有料プラン(年額・税込)6,600円〜(税込)
(Basicは取引300件まで)
3,960円〜(税込)
(取引500件まで)
無料プラン損益計算の表示は年間50件まで個人向けに一部無料
対応取引所・ウォレット179取引所・ブロックチェーン
(公式発表値・2026年8月時点)
国内外の取引所・ウォレットに対応
対応銘柄33,575銘柄
(公式発表値・2026年8月時点)
数千種類
(未上場通貨は手動登録可)
計算方式総平均法・移動平均法総平均法・移動平均法
DeFi・NFT対応ウォレット連携で自動識別ウォレット・データ登録で対応
会計ソフト連携(法人)公式サイトに記載なし弥生会計への仕訳連携に対応
法人・税理士向けプラン税理士プラン 年額55,000円(税込)
期末評価損益に対応
法人プラン 年額19,800円〜(税込)
期末時価評価・中間決算に対応
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

1. クリプタクト(cryptact)

クリプタクト(cryptact)の公式サイト

クリプタクトは、株式会社pafinが運営する暗号資産の損益計算・確定申告支援ツールです。取引所のAPI連携・CSV・ウォレットアドレス連携から取引履歴を自動集計し、総平均法・移動平均法で損益を計算します。179の国内・海外取引所やブロックチェーン、33,575銘柄に対応(公式発表値、2026年8月時点)し、ウォレットアドレスを入力することでDeFiやNFT取引の自動識別にも対応しています。

料金は、初期費用0円で無料プランから利用できます。有料プランは取引件数に応じて年額6,600円(税込)から用意されています。無料プランは海外取引所・DeFiの自動計算にも対応しますが、損益の計算結果を表示できるのは年間50件以下の取引に限られる点は、あらかじめ把握しておくと安心です。取引件数が多い場合は、件数に見合った有料プランを選ぶことになります。

2. クリプトリンク(CryptoLinC)

クリプトリンク(CryptoLinC)の公式サイト

クリプトリンクは、クリプトリンク株式会社が提供する暗号資産の損益計算ツールです。複数の取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、個人向けには確定申告用の収支計算報告書の作成、法人向けには会計ソフトにインポートできる仕訳データの出力まで対応します。総平均法・移動平均法の両方に対応し、DeFi・NFT・ステーキングなど多様な取引種別も計算できます。

特徴は、個人向け基本プランが年額3,960円(税込、取引件数500件まで)と低価格帯である点です。月額換算では約330円で、少額から取引している個人でも導入しやすい価格設定になっています。取引件数が増えた場合はオプションプランで上限を拡張でき、法人向けには期末時価評価や弥生会計への仕訳連携にも対応します。

取引が複雑で自分での計算に不安がある場合は、専門スタッフが損益計算を代行するサービスや、暗号資産の税務に詳しい税理士への相談も選択肢になります。取引規模が大きい方ほど、早めに専門家に相談しておくと安心です。

取引の規模が大きく利益が安定してきた場合は、法人として取引することで、損失や経費の扱いが個人の雑所得とは変わることがあります。法人化のメリット・デメリットや検討すべきタイミングは、以下の記事で詳しく解説しています。

また、損益計算ツールは対応取引所の数や料金、法人の決算対応などによって選び方が変わります。ここで取り上げた製品以外も含めて比較検討したい場合は、主要サービスを横断してまとめた以下の記事が参考になります。

まとめ

現行制度では、暗号資産の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。暗号資産の利益は総合課税の雑所得に区分され、株式やFXの申告分離課税とは扱いが異なるためです。相殺できるのは同じ年の雑所得の範囲までで、使い切れなかった損失はその年で切り捨てになります。

だからこそ、年内に損益を正確に把握し、含み損益の実現で同じ年の相殺を使い切ることが対策の中心になります。損失だけの年でも、住民税の申告が必要になる場合がある点にも注意が必要です。将来的には令和8年度税制改正で申告分離課税と3年繰越に移行しますが、対象は適用開始日以後の取引で、今年の損失は救済されません。まずは損益計算ツールで現状を正確に把握することから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失の「繰越控除」とは何ですか?

A. 繰越控除とは、その年に控除しきれなかった損失を翌年以降に持ち越し、将来の利益と相殺できる制度です。ただし、仮想通貨(暗号資産)の損失は現行制度では「雑所得」に区分され、この繰越控除の対象外です。株式やFXの損失は最大3年間繰り越せますが、暗号資産の損失はその年で切り捨てになります。

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失は翌年に繰り越せますか?

A. 現行制度では、仮想通貨(暗号資産)の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。暗号資産の利益は総合課税の「雑所得」に区分され、翌年以降に繰り越せる「純損失」に当たらないためです。その年の雑所得の中で相殺しきれなかった損失は、翌年に持ち越せずその年で切り捨てになります。

出典・参考資料(2件)

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失を給与所得と相殺できますか?

A. 仮想通貨(暗号資産)の損失を給与所得と相殺することはできません。雑所得の損失は給与所得など他の所得と損益通算できないと所得税法で定められているためです。相殺できるのは、同じ年の暗号資産どうしの利益や、副業の原稿料・アフィリエイト収入といった他の雑所得の利益に限られます。

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失を株式やFXの利益と相殺できますか?

A. 仮想通貨(暗号資産)の損失は、株式やFXの利益とは相殺できません。株式やFXは申告分離課税で、総合課税の雑所得である暗号資産とは所得区分が異なるためです。「株やFXは損を繰り越せるのに」と感じるのは、これらに損益通算・繰越控除の特例があるためで、暗号資産の現物取引にはこの特例が及びません。

Q. 海外取引所で出た仮想通貨(暗号資産)の損失も損益通算できますか?

A. 海外取引所の損失も、国内取引所と同じように同じ年の雑所得の中で通算できます。日本の居住者であれば、国内・海外を問わず暗号資産の損益は雑所得として合算して計算するためです。ただし、通算できるのは雑所得の範囲内までで、給与や株式の利益と相殺できない点、翌年に繰り越せない点は国内取引と変わりません。

Q. 仮想通貨(暗号資産)が損失だけの年でも確定申告は必要ですか?

A. 給与を1か所から受ける会社員で、暗号資産を含む給与以外の所得が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です。暗号資産がトータルで損失なら、そもそも繰り越せないため、株式のように「繰越のためにあえて申告する」意味もありません。ただし住民税には20万円以下の申告不要ルールがなく、別途お住まいの市区町村への申告が必要になる場合があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 令和8年度税制改正で仮想通貨(暗号資産)の損失はいつから繰り越せるようになりますか?

A. 改正後は特定暗号資産の損失を翌年以後3年間繰り越せるようになり、適用開始は2028年1月1日以後の取引からが見込みです。適用開始日は「金融商品取引法改正法の施行日の属する年の翌年1月1日」と定められており、その施行日は本記事執筆時点(2026年9月)ではまだ確定していません。

ここで重要なのは、適用開始日より前に生じた損失(今年の損失を含む)は新制度の繰越の対象にならない点です。今年の損失はあくまで現行制度の雑所得の損失として、その年で切り捨てになります。

出典・参考資料(1件)

Q. 改正後は仮想通貨(暗号資産)の損失を株式の利益と相殺できるようになりますか?

A. 改正後も、仮想通貨(暗号資産)の損失を株式の利益と相殺することはできません。繰越控除で相殺できる相手は「特定暗号資産の譲渡所得等」に限られ、同じ申告分離課税でも株式やFXとは区分が別だからです。分離課税に移行しても、暗号資産の損失で相殺できるのは暗号資産(特定暗号資産)の利益までと理解しておくのが安全です。

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損失を活かすには法人化した方がよいですか?

A. 法人化が有利かどうかは取引規模やコスト次第で、一概に有利とは言えません。法人では暗号資産の損益を他の損益と通算しやすく、欠損金を一定期間繰り越せるなど、個人の雑所得より柔軟な面があります。一方で、設立・維持のコストや期末の時価評価課税といった負担も生じます。取引規模が大きい場合は、暗号資産の税務に詳しい税理士に相談したうえで判断することをおすすめします。

Q. 仮想通貨(暗号資産)の損益計算ツールは無料で使えますか?

A. 多くの損益計算ツールに無料プランがありますが、計算できる取引件数や機能に制限があるのが一般的です。無料プランでは、損益の計算結果を表示できる取引件数に上限が設けられていたり、対応する取引所や機能が限られていたりする場合があります。年内の損益を正確に把握するには、自分の取引量に合ったプランかどうかを確認しておくと安心です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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