複数の取引所やウォレットで暗号資産(仮想通貨)を運用していると、「取引所Aから取引所Bへ同じ銘柄を送っただけで税金がかかるのか」と不安になる場面があります。移動のたびに課税されるのか、確定申告でどう扱えばよいのか、判断に迷う方は少なくありません。
結論から言えば、同じ銘柄のまま自分の取引所間・ウォレット間を移動しただけなら、その移動自体に税金はかかりません。ただし、送金手数料の扱いや移動後の売却など、注意すべき例外もあります。
本記事では、取引所間・ウォレット間の移動が課税されない理由を示したうえで、課税される取引との違い・例外・取引所をまたいだときの取得価額の扱いを整理します。確定申告の準備で課税関係を確かめたい方が、自分のケースを判断するための材料としてご活用ください。
目次
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仮想通貨を取引所間で移動しても税金はかからない
ここでは、取引所間・ウォレット間の移動に税金がかからない理由を、法令と国税庁の見解にもとづいて確認します。
自分が保有する暗号資産を、同じ銘柄のまま取引所Aから取引所Bへ、あるいは自分のウォレットへ移動しただけであれば、その移動に対して所得税はかかりません。移動は「保有し続けている」状態と変わらず、利益(所得)が生じる場面ではないためです。
その根拠は、所得の計算のしくみにあります。所得税法では、所得の金額は「収入すべき金額」があってはじめて計算されると定められています。
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
出典:所得税法第36条第1項|e-Gov法令検索
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」でも、所得金額を計算する必要がある取引として挙げられているのは、暗号資産の売却(日本円への換金)・商品やサービスの購入(決済)・他の暗号資産との交換などです。いずれも暗号資産を「譲渡」する場面であり、譲渡価額と取得価額の差額が所得になります。
一方で、同じ銘柄のまま自分の口座やウォレットへ移動する行為は、暗号資産を譲渡したわけではありません。譲渡価額が生じないため所得も発生せず、課税の対象になりません。FAQを通して見ても、自己の取引所間・ウォレット間の移動そのものを課税対象取引として挙げた項目はありません。
この扱いは所得税に限りません。資金決済法上の暗号資産の譲渡はもともと消費税が非課税とされており、同じ銘柄のままの移動はそもそも譲渡に当たらないため、消費税の課税対象にもなりません。
出典・参考資料(2件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)令和7年12月|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
- 出典:No.6201 非課税となる取引|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm)
仮想通貨で税金がかかる取引・かからない取引の違い
ここからは、暗号資産で税金がかかる取引と、かからない取引を対比して確認します。自分の取引がどちらに当たるかを見分ける手がかりになります。
暗号資産で税金がかかるのは、暗号資産を「譲渡」したり、報酬として新たに「取得」したりして利益が生じたときです。国税庁のFAQでは、次のような場面が所得金額を計算する取引として示されています。移動や保有の継続はこれらに当たらないため、税金はかかりません。

| 取引・行為 | 課税の有無 | 考え方 |
|---|---|---|
| 暗号資産を売却して日本円に換金する | 課税される | 譲渡価額と取得価額の差額が所得になる |
| 暗号資産で商品・サービスを購入(決済)する | 課税される | 決済時に暗号資産を譲渡したものとして扱う |
| 他の暗号資産と交換する | 課税される | 交換のために元の暗号資産を譲渡したものとして扱う |
| マイニング・ステーキング・レンディング等で取得する | 課税される | 取得した時点の時価が収入金額になる |
| 同じ銘柄のまま自分の取引所間・ウォレット間を移動する | 課税されない | 譲渡ではなく、保有の継続と同じ |
| 暗号資産を購入して保有し続ける(含み益がある) | 課税されない | 売却等で利益が確定するまで所得は生じない |
これらの取引で生じた利益は、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象になります。給与など他の所得と合算して税額が決まります。国税庁のFAQでも「暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます」と示されています。
また、個人の投資による利益は原則として雑所得ですが、取引規模が大きい場合は事業所得に区分されることもあり、暗号資産を保有する法人では期末時価評価など課税の扱いが異なります。自分の立場での所得区分に迷う場合は、税理士に確認しておくと安心です。
暗号資産の課税方式については、上場株式などと同じ申告分離課税(利益を他の所得と分けて課税する方式)へ移行する方針が2026年度(令和8年度)税制改正大綱に示されています(適用は2028年からが見込まれます)。ただし本記事執筆時点(2026年9月)では未施行で、個人の暗号資産の利益は上記のとおり総合課税・雑所得として扱うのが原則です。最新の改正動向は国税庁など公式情報で確認してください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)1-1〜1-3・1-7・2-2|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
- 出典:所得税法第35条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)
仮想通貨の移動でも税金がかかる例外・注意点
移動そのものは非課税ですが、いくつかの場面では課税や申告上の注意が必要になります。自分のケースが当てはまらないか、順に確認してみてください。
送金手数料を仮想通貨で支払った場合
取引所間の送金では、ネットワーク手数料(ガス代)が発生します。この手数料を暗号資産で支払う場合、暗号資産を対価として使う行為に当たるため、理論上はその手数料相当分について譲渡損益が生じうると考えられます。暗号資産で商品やサービスを購入したときに譲渡があったものとして扱う、という国税庁のFAQの一般的な考え方からの帰結です。
送金手数料そのものを経費にできるかについては、国税庁が名指しで定めた見解はありませんが、投資のための暗号資産取引に直接要した費用として、雑所得の必要経費に算入できると考えられます。金額は少額になることが多いため、送金記録を残したうえで、判断に迷う場合は税理士など専門家に確認すると確実です。
移動した後に売却・別の暗号資産へ交換した場合
移動そのものは非課税でも、移動先の取引所で売却したり別の暗号資産へ交換したりすれば、その時点で譲渡が生じ、課税の対象になります。移動が非課税なのはあくまで「保有し続けている」からであり、売却・交換という利益が確定する行為とは分けて考える必要があります。
第三者へ送金した場合
他人へ暗号資産を送る場合は、自己の口座間の移動と異なり課税関係が生じることがあります。無償で贈った場合は、受け取った相手に贈与税がかかることがあります。時価より著しく低い価額(時価の70%未満)で他人へ移転させた場合は、送った側でも実質的に贈与したと認められる金額を総収入金額に算入します(国税庁FAQ)。時価どおりの売買として送るなら、通常の売却と同じ譲渡の所得計算が必要です。
海外取引所へ移動した場合
移動が非課税である理由(譲渡に当たらない)は、移動先が国内か海外かを問いません。したがって、自分名義の海外取引所へ同じ銘柄のまま移しただけであれば、その移動自体に税金はかかりません。
注意したいのは、海外取引所で最終的に売却・交換して利益が出れば、日本の居住者はその利益を申告する必要がある点です。海外取引所は日本語の年間取引報告書が用意されていないことも多いため、確定申告に向けて取引履歴を早めに取得・保管しておくと、後の損益計算がスムーズになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)1-2・1-3・1-5・2-3・2-10|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
取引所をまたいでも取得価額は引き継がれる|複数取引所の損益計算
ここでは、移動しても取得価額(買ったときの値段)がどう扱われるか、複数の取引所を使う場合の損益計算をどう進めるかを確認します。
取得価額は、暗号資産の銘柄ごとに、その年の取得金額を合計して計算します。所得税法施行令では、同じ種類(銘柄)の暗号資産についてまとめて一単位あたりの取得価額を求めると定められており、口座や取引所の単位で分けて計算するわけではありません。つまり、同じ銘柄であれば取引所を移しても取得価額はそのまま引き継がれ、売却するまで変わりません。
取得価額の計算方法には、総平均法と移動平均法の2つがあります。総平均法はその年の取得金額をまとめて平均する方法、移動平均法は購入のたびに平均取得単価を計算し直す方法で、届出をしない場合は総平均法が法定の計算方法として適用されます。
一度選んだ計算方法は、原則として3年間は変更できず、変更するには税務署への承認申請が必要です。どちらの方法でも、同じ銘柄の取得価額を全取引所・全ウォレットで通算して計算する点は変わりません。
取引所Aで取得→取引所Bへ移動→Bで売却の計算例
移動が非課税であること、取得価額が引き継がれることを、簡単な数値例で確認してみましょう。

- 取引所Aで1BTCを3,000,000円で購入します。
- その1BTCを取引所Bへ移動します(この時点では課税されません。取得価額3,000,000円はそのまま引き継がれます)。
- 後日、取引所Bで1BTCを4,000,000円で売却します。
- このとき生じる所得は、売却価額4,000,000円 − 取得価額3,000,000円 = 1,000,000円(雑所得)。
ポイントは、税金が生じるのは売却した1回だけで、移動の段階では課税されないことです。取得価額の3,000,000円は取引所をまたいでも引き継がれるため、移動を「売却」と誤って計上してしまうと、実際にはない利益を申告してしまうおそれがあります。
また、送金時にはネットワーク手数料が差し引かれ、受け取る数量がわずかに減ることがあります。その手数料分の扱いは、前述の「送金手数料を仮想通貨で支払った場合」と同じ考え方になります。
難しくなるのは、複数の取引所やウォレットを使い、同じ銘柄を何度も売買・移動している場合です。取得価額は銘柄ごとに全取引所・全ウォレットの取引履歴を集めて計算する必要があり、送金(移動)を売却と取り違えないよう履歴を正しく突き合わせなければなりません。取引件数が増えるほど手作業での集計は難しくなり、集計ミスが申告誤りにつながります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:所得税法施行令第119条の2・第119条の5|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-4〜2-6|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
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複数取引所の損益計算を自動化するサービス
ここからは、複数の取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、取得価額の引き継ぎや損益計算を自動で行えるサービスを紹介します。移動を売却と取り違えず、銘柄ごとに正しく損益を計算するうえで役立ちます。
| サービス名 | クリプタクト | クリプトリンク | 暗号会計RIKYU |
|---|---|---|---|
| 対応取引所・チェーン | 188の取引所・ブロックチェーンに対応 (公式発表値) | 国内外の主要取引所・ウォレットに対応 | 66以上の取引所・ブロックチェーン・会計ソフトに対応 |
| 連携方式 | API連携・CSV・ウォレットアドレス | API連携・CSV・ウォレットアドレス | ウォレットアドレス登録が中心 (取引所連携にも対応) |
| 計算方式 | 総平均法・移動平均法 | 総平均法・移動平均法 | 総平均法・移動平均法 |
| DeFi・NFT対応 | ● | ● | ● |
| 対象 | 個人・法人 | 個人・法人 | 個人・法人 |
| 料金 | 無料プランあり 有料:年額6,600円〜77,000円(税込) | 個人:年額3,960円〜 法人:年額19,800円〜(税込) | 個人:無料〜年額11,000円 法人:月額2,480円〜 (最新料金は要確認) |
| 特徴 | 無料プランでもDeFi・NFTの自動識別に対応(損益計算結果の表示は年間50件まで) | 個人向けは月額換算330円から。弥生会計への仕訳データ連携に対応 | ウォレット登録中心。DeFi・ステーブルコイン・RWAや法人の期末時価評価に対応 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※ 料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく税込表記です。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。
ここで取り上げた3サービス以外にも損益計算ツールは複数あり、対応している取引所の数・無料で使える範囲・法人決算への対応可否はサービスごとに異なります。自分の取引状況に合うツールを絞り込みたい方は、主要なツールを対応取引所・料金・法人対応で比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
1. クリプタクト(株式会社pafin)

クリプタクトは、株式会社pafinが提供する暗号資産の自動損益計算サービスです。取引所のAPI連携・CSVアップロード・ウォレットアドレス連携により、複数の取引所やウォレットに散らばった取引履歴を自動で取り込んで集計し、総平均法・移動平均法の両方に対応した損益計算を行えます。取引所をまたいだ履歴の名寄せを前提に設計されている点が、本記事のテーマである移動を含む取引の集計と相性のよいところです。
公式発表値では188の取引所・ブロックチェーンと33,833銘柄に対応し、利用者数は20万人以上とされています。ウォレットアドレスの登録でDeFi(分散型金融)やNFTの取引を自動で識別・分類する機能も備えます。
無料プランもありますが、損益計算の結果が表示されるのは年間50件までで、取引件数に応じてBasic(年額6,600円・300件)からPro Unlimited(年額77,000円・取引件数は実質無制限)までの有料プランが用意されています。
2. クリプトリンク(クリプトリンク株式会社)

クリプトリンクは、複数の暗号資産取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、損益計算から確定申告資料の作成までを行えるツールです。個人向けの確定申告用プランと、法人向けの会計仕訳データ出力に対応するプランに分かれており、累計1,000社以上の法人・会計事務所と数万人規模の個人ユーザーへの導入実績があります。
国内外の主要な取引所やウォレットに対応し、DeFi・NFT・ステーキングなどの取引種別も計算対象です。
計算方法は総平均法・移動平均法の両方に対応し、個人は届出がなければ総平均法が適用される国税庁の取扱いに沿っています。個人向けの基本プランは年額3,960円(月額換算330円)で取引件数500件までと、少額から始められます。取引件数が多い場合は、件数に応じたオプションプランで拡張できます。
3. 暗号会計RIKYU(株式会社RIKYU)

暗号会計RIKYUは、株式会社RIKYUが提供する暗号資産・NFT・ステーブルコインの会計クラウドサービスです。ウォレットアドレスを登録するだけで取引データを自動取得し、損益計算から仕訳生成・会計ソフト連携までを一貫して行えます。66以上の取引所・ブロックチェーン・会計ソフトに対応し、DeFiやステーブルコイン、RWA(現実資産のトークン化)まで扱える点が特徴です。
損益計算は総平均法・移動平均法の両方に対応し、法人の期末時価評価にも対応するため、個人だけでなく暗号資産を保有する法人の会計・税務にも使えます。料金は個人向けが無料から年額11,000円、法人向けが月額2,480円からが目安ですが、2026年の子会社化に伴い改定の可能性があるため、最新の料金は資料や公式サイトで確認してください。
まとめ
同じ銘柄のまま自分の取引所間・ウォレット間を移動しただけであれば、その移動に税金はかかりません。暗号資産を譲渡(売却・交換・決済)したり、報酬として取得したりして利益が生じたときに課税されるのであって、移動は保有の継続と同じだからです。
ただし、送金手数料を暗号資産で支払った場合や、移動後に売却・交換した場合、第三者へ送った場合には課税や申告上の注意が必要です。また、同じ銘柄なら取得価額は取引所をまたいでも引き継がれるため、移動を売却と取り違えないよう、複数の取引所・ウォレットの取引履歴を正しく集計することが確定申告の要になります。
取引件数が多く手作業での集計が難しい場合は、履歴を自動で集約・計算できる損益計算ツールの活用も検討してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 仮想通貨の「譲渡」とは何ですか?移動(送金)とはどう違いますか?
A. 仮想通貨(暗号資産)の譲渡とは、売却・他の暗号資産との交換・商品やサービスの決済など、保有する暗号資産を手放して対価を得る行為を指し、この譲渡があってはじめて所得税の課税対象になります。一方、同じ銘柄のまま自分の取引所間・ウォレット間を移す「移動(送金)」は、暗号資産を手放していないため譲渡に当たらず、保有を続けているのと同じ扱いです。この違いが、移動が非課税である理由の中心にあります。
Q. 仮想通貨を同じ銘柄のまま取引所Aから取引所Bへ送金しただけで税金はかかりますか?
A. 仮想通貨を同じ銘柄のまま自分名義の取引所間で送金しただけであれば、その移動に税金はかかりません。所得税法上、所得は暗号資産を譲渡(売却・交換・決済)して収入が生じたときに計算されるものであり、同一銘柄の移動は譲渡に当たらないためです。国税庁のFAQでも、自己の口座・ウォレット間の移動そのものを課税対象取引として挙げた項目はありません。
出典・参考資料(2件)
- 出典:所得税法第36条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)1-1〜1-3|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
Q. 仮想通貨を自分のウォレット(メタマスクなど)へ移した場合も税金はかかりませんか?
A. 自分名義のウォレットへ同じ銘柄のまま移した場合も、税金はかかりません。移動先が別の取引所か自分のウォレットかを問わず、同一銘柄を手放さずに移すだけであれば譲渡に当たらないためです。ただし、移したウォレットでDeFiやDEX(分散型取引所)を使って別の暗号資産へ交換すると、その時点で譲渡が生じて課税されます。
Q. 仮想通貨の送金手数料(ガス代)に税金はかかりますか?経費にできますか?
A. 送金手数料そのものは、投資に直接要した費用として、雑所得の必要経費に算入できると考えられます。加えて、手数料を暗号資産で支払う場合は、理論上その分を譲渡したものとしてわずかな損益も生じえます。国税庁が送金手数料について定めた見解はなく、金額も少額になるのが一般的です。送金記録を残し、迷う場合は税理士に確認すると確実です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-3・1-5|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
Q. 仮想通貨を海外取引所へ移動した場合も税金はかかりませんか?
A. 自分名義の海外取引所へ同じ銘柄のまま移しただけであれば、国内・海外を問わず移動自体に税金はかかりません。移動が非課税なのは譲渡に当たらないからで、移動先の所在地は関係しません。ただし海外取引所で売却・交換して利益が出れば、日本の居住者は申告が必要です。海外取引所は日本語の年間取引報告書がないことも多いため、取引履歴を早めに取得・保管しておくと安心です。
Q. 仮想通貨を移動した後に売却・交換した場合はどうなりますか?
A. 移動そのものは非課税でも、移動先で売却したり別の暗号資産へ交換したりすれば、その時点で譲渡が生じて課税されます。このとき取得価額は移動前から引き継がれるため、所得は「売却価額 − 引き継いだ取得価額」で計算します。移動が非課税なのはあくまで保有を続けているからであり、売却・交換という利益が確定する行為とは分けて考える必要があります。
Q. 仮想通貨を他人(第三者)へ送金した場合も非課税ですか?
A. 自分の口座間の移動と異なり、他人へ暗号資産を送る場合は課税関係が生じることがあります。国税庁のFAQでは、時価より著しく低い価額(時価の70%未満)で他人へ移転させた場合、実質的に贈与したと認められる金額を総収入金額に算入するとされています。また無償・低額で受け取った側には贈与税がかかる可能性もあり、自己資金の移動とは扱いが異なります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-10|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
Q. 取引所をまたいで仮想通貨を移動すると取得価額(買った値段)はどうなりますか?
A. 同じ銘柄であれば、取引所をまたいで移動しても取得価額はそのまま引き継がれます。取得価額は暗号資産の銘柄ごとにその年の取得金額を通算して計算する仕組みで、口座や取引所の単位で分けて計算するものではないためです。したがって、移動を「売却」と取り違えて計上すると、実際にはない利益を申告してしまうおそれがあります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:所得税法施行令第119条の2|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
Q. 仮想通貨の取得価額は総平均法と移動平均法のどちらで計算しますか?
A. 評価方法の届出をしない場合は、総平均法が法定の計算方法として自動的に適用されます。移動平均法で計算したい場合は税務署への届出が必要です。一度選んだ計算方法は原則として3年間は変更できず、変更するには税務署の承認申請が必要になります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-5・2-6|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)
- 出典:所得税法施行令第119条の2・第119条の5|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)
Q. 仮想通貨の利益はいくらから確定申告が必要ですか?
A. 給与を1か所から受けている会社員の場合、仮想通貨の利益を含む給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。20万円以下であれば所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください。利益が出ているかどうかは、移動を売却と取り違えず、すべての取引所・ウォレットの履歴を正しく集計してはじめて判断できます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:所得税法第121条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)
Q. 複数の取引所・ウォレットの取引履歴はどうやって集計すればよいですか?
A. 取得価額は銘柄ごとに、すべての取引所・ウォレットの取引履歴を名寄せして計算する必要があります。このとき、取引所間の送金(移動)を売却と取り違えないよう履歴を正しく突き合わせることが欠かせません。取引件数が増えるほど手作業での集計は難しくなるため、履歴を自動で集約・計算できる損益計算ツールを使うと、集計ミスによる申告誤りを防ぎやすくなります。
Q. 取引所間の移動を「売却」と間違えて申告してしまった場合はどうなりますか?
A. 移動を売却として計上すると、実際には生じていない利益を申告して税金を過大に納めてしまうおそれがあります。すでに申告してしまった場合でも、法定申告期限から原則5年以内であれば「更正の請求」により納めすぎた税金の還付を求められます。移動は非課税である点をふまえ、申告前に取引履歴を正しく突き合わせることが大切です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:国税通則法第23条(更正の請求)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)
Q. 仮想通貨の取引所間の移動は税務署に把握されますか?無申告だとどうなりますか?
A. 移動そのものは非課税なので申告の必要はありませんが、売却などで得た利益を申告しないと、後から無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。取引所は取引情報を保有しており、税務当局は必要に応じて情報を把握できる立場にあります。移動と課税される取引を正しく区別したうえで、利益が出た年はもれなく申告することが重要です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:国税通則法(無申告加算税=第66条・延滞税=第60条)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)
Q. 含み益がある仮想通貨を保有しているだけでも税金はかかりますか?
A. 保有しているだけであれば、含み益があってもその時点では税金はかかりません。所得は売却・交換・決済などで利益が確定したときに生じるため、値上がりした暗号資産を移動したり持ち続けたりするだけでは課税されません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















