ビットコインやアルトコインを、bitFlyer・Coincheck・海外取引所など複数の口座に分けて何度も売買してきた方は少なくありません。いざ確定申告の時期になると、取引所ごとに取引履歴の形式もばらばらで、「損益は取引所ごとに計算して足すのか、それとも全部まとめて計算するのか」で手が止まってしまいがちです。
結論から言えば、同じ銘柄は取引所ごとに分けず、すべての取引所を合算して1つの損益として計算します。ここを取り違えると取得価額の単価が変わり、納める税額そのものがずれてしまいます。まず押さえるべきは「何を単位に計算するのか」という原則です。
この記事では、複数の取引所を合算して計算する法的な根拠と、取引履歴を1つにまとめる手順を、国税庁の見解と所得税法の条文にもとづいて解説します。合算後の取得価額の計算方法(総平均法・移動平均法)も、数値例で確認します。あわせて、手作業とツールの使い分けや、20万円ルール・申告期限といった前提も整理します。
目次
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複数の取引所を使う場合、損益は取引所ごとではなく全取引所を合算して計算する
複数の取引所で同じ銘柄を売買している場合、その銘柄の取得価額は取引所ごとに別々に計算するのではなく、すべての取引所の取引を合算して1つの平均単価で計算します。たとえばビットコインなら、A取引所で買った分もB取引所で買った分も区別せず、「自分が保有するビットコイン全体」として1つの取得価額を出します。

これは国税庁が公表している見解でも明確に示されています。暗号資産の譲渡原価は「暗号資産の種類(名称)ごと」に計算するとされており、計算の単位は銘柄であって取引所ではありません。国税庁は実際に2つの取引所の取引を合算した計算例も公表しており(後述)、複数取引所をまたいで1つに計算することを前提としています。
譲渡原価は、暗号資産の種類(名称:ビットコインなど)ごとに、「①:前年から繰り越した年初(1月1日)時点で保有する暗号資産の評価額」と「②:その年中に取得した暗号資産の取得価額の総額」との合計額から、「③:年末(12 月 31 日)時点で保有する暗号資産の評価額」を差し引いて計算します。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)令和7年12月 問2-4|国税庁
この「種類ごとに計算する」という考え方は、法令の裏づけもあります。暗号資産の取得価額を計算する総平均法・移動平均法は、いずれも「その種類の同じものについて」取得価額の総額を総数量で除して単価を求める方法として所得税法施行令で定義されており、計算式に取引所を区別する要素は入っていません。取得価額と評価方法の根拠は所得税法第48条の2に置かれています。
出典・参考資料(3件)
もし取引所ごとに損益を計算して単純に足し合わせると、それぞれの取引所内だけで平均単価を出すことになり、全取引所を合算した本来の平均単価とは違う値になります。その結果、算出される所得金額が本来より多くも少なくもなり、正しい納税額から外れてしまいます。まず「同じ銘柄は全取引所を合算して1つの単価で計算する」という原則を土台に据えることが、複数取引所の申告の出発点です。
複数取引所の取引履歴を1つにまとめる手順
合算して計算するという原則が分かったら、次は実際に各取引所の取引履歴を1つのデータに突き合わせる作業です。ここは多くの解説が「合算しましょう」で止まりがちな部分なので、手を動かす順番に沿って具体的に見ていきます。この手順はソフトを使わず自分で計算する場合の実務そのものでもあります。
年間取引報告書のPDFではなく、取引履歴のCSV/xlsxを使う
多くの取引所は、その年の取引をまとめた「年間取引報告書」を発行します。ただし年間取引報告書は集計後のサマリーで、1件ごとの取引明細までは含まれないことがあり、複数取引所を合算した厳密な損益計算にはそのままでは使いにくい場合があります。
そのため、合算作業では各取引所の管理画面からダウンロードできる取引履歴データ(CSVやxlsx形式)を使うのが実務上は扱いやすくなります。CSV/xlsxは表計算ソフトや損益計算ツールにそのまま取り込めるため、複数取引所のデータを1つに結合しやすいためです。ただし「必ずCSVを使わなければならない」という法令上の決まりがあるわけではなく、データを機械的に処理しやすくするための工夫です。
各取引所のCSVをスプレッドシートで1本に統合する
ここからは、ダウンロードした各取引所のCSVを1つの表にまとめる手順です。取引所ごとに列の並びや項目名が異なるため、次の順で突き合わせると齟齬が起きにくくなります。

- 列の意味をそろえる(カラムマッピング):取引所ごとに「日時」「売買区分」「銘柄」「数量」「約定価格」「手数料」に相当する列を対応づけ、共通のフォーマットに書き換えます。bitFlyer と Coincheck のように、国内の取引所どうしでも列の項目名や並びは異なります。日時の表記(日本時間か協定世界時か)や、金額が円建てか外貨建てかも、この段階でそろえておきます。
- 1つの表に結合して時系列に並べる:フォーマットをそろえた各取引所のデータを1つのシートに縦に連結し、取引日時の昇順で並べ替えます。移動平均法で計算する場合は、この時系列の順序が単価計算に直接影響します。
- 重複・二重計上を取り除く:同じ取引を複数のファイルから重複して取り込んでいないか、期間の重なりや再ダウンロードによる重複行がないかを確認します。特に取引所間の送金(後述)は、送り出しと受け取りを売買と取り違えると二重計上の原因になります。
- 合計を突き合わせて検証する:銘柄ごとに購入数量・売却数量・年末残高を集計し、各取引所の残高の合計と、実際に保有している数量が一致するかを確認します。ここが合わない場合は、取り込み漏れや送金の扱いに誤りがある可能性が高いといえます。
たとえば、取引所によって取引履歴の列は次のように分かれます。これを右端の共通フォーマットにそろえてから結合します。
| 共通フォーマットの列 | 取引所Aの表記例 | 取引所Bの表記例 |
|---|---|---|
| 日時 | 2026/03/01 10:00(日本時間) | 2026-03-01T01:00Z(UTC表記) |
| 売買区分 | 買/売 | BUY/SELL |
| 銘柄 | BTC | ビットコイン |
| 数量 | 0.5 | 0.50000000 |
| 約定金額 | 2,250,000円 | 15,000 USD(円換算が必要) |
同じ「買い」でも取引所Aは「買」、取引所Bは「BUY」と表記が違い、日時が日本時間かUTCか、金額が円建てか外貨建てかも分かれます。共通フォーマットに寄せる際は、これらを1つの基準(日本時間・円建て・同じ売買区分の表記)にそろえてから時系列に並べます。
この4ステップを踏むと、複数取引所に散らばっていた取引が「銘柄ごとに時系列で並んだ1本のデータ」に整い、次の取得価額の計算に進める状態になります。
取引所間の送金(内部移動)は課税されない — 数量の引き継ぎと手数料の扱い
複数の取引所を使っていると、A取引所からB取引所へ暗号資産を送る「取引所間の送金」が発生します。この自分の口座間の移動そのものは、売買のような課税イベントには当たりません。
国税庁の見解では、暗号資産で所得(利益)が生じるのは、暗号資産を売却したとき・商品の購入などに使用したとき・ほかの暗号資産と交換したときなどに限られます。自分の口座から口座へ移すだけの送金は、このいずれにも当たらず所有者も変わらないため、その時点で損益は生じません。
実際に、取引所が発行する年間取引報告書でも、こうした移動は「移入数量(購入以外で口座に受け入れた数量)」「移出数量(売却以外で口座から払い出した数量)」として、購入・売却とは別の欄に記録されます。
出典・参考資料(1件)
送金しても課税されないということは、その銘柄の取得価額は移動先でもそのまま引き継がれるということです。合算計算では、そもそも銘柄ごとに全取引所をまとめて単価を出すため、どの取引所にあるかにかかわらず取得価額は一貫して扱われます。
また、送金の際にかかるネットワーク手数料や送金手数料を必要経費や取得価額にどう反映するかは、取引の内容によって扱いが分かれます。判断に迷う場合は、後述の損益計算ツールや暗号資産に詳しい税理士に確認するのが確実です。
合算した取引から取得価額を計算する(総平均法・移動平均法)
1本にまとめた取引データがそろったら、取得価額を計算します。計算方法には総平均法と移動平均法の2つがあり、どちらを使うかで手間も結果も変わります。ここでは両者の違いと届出の決まりを整理したうえで、複数取引所を合算した実際の数値で計算例を見ていきます。
総平均法と移動平均法の違いと、届出の決まり
総平均法は1年間の取得価額の総額をその年の総数量で割って、1年を通じた1つの平均単価を出す方法です。移動平均法は、暗号資産を購入するたびに、その時点の保有分と新たな購入分を合わせて平均単価を計算し直していく方法です。それぞれの特徴は次のとおりです。
| 比較の観点 | 総平均法 | 移動平均法 |
|---|---|---|
| 単価の求め方 | 1年間の取得価額の総額 ÷ 総数量で、年間を通じた1つの単価を算出 | 購入のたびに、その時点の保有分と合わせて平均単価を計算し直す |
| 計算の手間 | 年末にまとめて計算でき、比較的シンプル | 取引のたびに単価を更新するため手間がかかる |
| 届出をしない場合 | 届出がなければ自動的にこの方法が適用される(法定評価方法) | 採用するには税務署への届出が必要 |
| 損益への影響 | 期中の売却時点の損益が確定しにくい | 売却のたびにその時点の損益を把握しやすい |
個人が移動平均法を使いたい場合は、暗号資産を初めて取得した年分の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までに、税務署へ評価方法の届出書を提出する必要があります。届出をしなかった場合は、総平均法が自動的に適用されます。
初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(原則:翌年3月 15 日)までに、納税地の所轄税務署長に対し、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」の提出が必要です。(中略)評価方法の届出書の提出がない場合には、評価方法は「総平均法」になります。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)令和7年12月 問2-5|国税庁
いったん選んだ評価方法は、その後すぐに変えられるわけではありません。評価方法を変更するには変更承認申請書の提出が必要で、国税庁のFAQでは、変更前の方法を採用してから相当期間(特別の理由がない場合には3年)を経過していないときなどは申請が却下される場合があるとされています。原則として、採用後しばらくは同じ方法を続ける前提で選ぶことになります。
出典・参考資料(2件)
複数取引所のビットコインを合算した取得価額の計算例
国税庁のFAQには、2つの取引所(A取引所・B取引所)の年間取引報告書を合算してビットコインの所得金額を計算する例が示されています。複数取引所を合算するとはどういうことか、この公的な計算例で具体的に確認します。
| 区分 | A取引所 | B取引所 | 合計(合算) |
|---|---|---|---|
| 購入 | 4.50 BTC / 2,387,800円 | 2.00 BTC / 1,650,000円 | 6.50 BTC / 4,037,800円 |
| 売却 | 3.00 BTC / 2,895,000円 | 2.00 BTC / 2,400,000円 | 5.00 BTC / 5,295,000円 |
この例では、A取引所とB取引所の購入分を合算して、総平均法で1BTCあたりの取得単価を求めます。計算の流れは次のとおりです。
- 取得単価:4,037,800円 ÷ 6.50 BTC = 621,200円/BTC
- 売却した5.00 BTCの取得価額(売却原価):621,200円 × 5.00 BTC = 3,106,000円
- 所得金額:売却収入 5,295,000円 − 売却原価 3,106,000円 = 2,189,000円
ポイントは、取得単価をA取引所・B取引所それぞれで別々に出すのではなく、両方の購入額(4,037,800円)と購入数量(6.50 BTC)を合算してから1つの単価を求めている点です。これが「取引所ごとではなく合算して計算する」の実際の姿です。
出典・参考資料(1件)
総平均法と移動平均法で損益はどう変わるか
同じ取引データでも、総平均法と移動平均法では取得価額(売却原価)が変わり、その結果として所得金額も変わります。移動平均法は購入のたびに単価を計算し直すため、本来は各取引の日付と約定価格を時系列に並べて計算します。下の数値は、同じ取引データについて国税庁のFAQ(問2-4)が示した計算結果です。
| 計算方法 | 売却分(5.00 BTC)の取得価額 |
|---|---|
| 総平均法 | 3,106,000円 |
| 移動平均法 | 3,080,200円 |
この例では、移動平均法のほうが取得価額が25,800円小さく計算されます。取得価額が小さくなればその分だけ売却収入から差し引く額が減るため、所得金額は総平均法より大きくなります。
どちらが有利かは取引のタイミングや価格の動きによって変わるため、一概には言えません。総平均法は年末にまとめて計算でき手間が少ない一方、移動平均法は売却のたびに損益を把握しやすいという運用面の違いもあわせて選ぶとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
ここまでで、複数取引所の取引をまとめて取得価額を計算する流れがつかめたはずです。とはいえ、取引所や取引回数が増えるほど、この計算を手作業でやり切るのは負担が大きくなります。次は、自力とツール・計算代行の使い分けを見ていきます。
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手作業とツール、どちらで合算するか
複数取引所の損益計算は、表計算ソフトを使って自力で行うこともできれば、損益計算ツールや計算代行サービスに任せることもできます。どこまで自分でやり、どこからツールに切り替えるかの目安と、複数取引所に対応した代表的なサービスを紹介します。
手作業(スプレッドシート)はどこまで現実的か
取引所が1〜2社で、年間の取引回数も数十件程度にとどまるなら、前述のスプレッドシートでの合算手順でも十分に対応できます。国税庁も「暗号資産の計算書」(総平均法用・移動平均法用のExcelシート)を無料で公開しており、これに入力していけば手計算でも所得金額を算出できます。
一方で、取引所の数が増えたり、1年間の取引が数百件・数千件に達したり、DeFiやステーキングなど売買以外の取引が混ざったりすると、CSVの突き合わせと単価計算を手作業でやり切るのは現実的でなくなります。
特に移動平均法は取引のたびに単価を計算し直すため、件数が増えると手計算の負担が急に大きくなります。「突き合わせや検算に時間がかかりすぎる」「送金やDeFiの扱いに自信が持てない」と感じ始めたら、ツールや計算代行に切り替える目安といえます。
損益計算ツールで複数取引所のCSVを自動集約する
暗号資産の損益計算ツールは、複数の取引所からダウンロードしたCSVや、取引所とのAPI連携を通じて取引履歴をまとめて取り込み、銘柄ごとに合算した取得価額を自動で計算します。総平均法・移動平均法の切り替えや、確定申告に使う損益額の出力に対応した製品が多く、手作業での突き合わせを減らせます。自分で操作するツール型のほか、取引データを渡せば専門スタッフが計算を代行してくれるサービスもあります。
複数取引所対応の損益計算ツール・計算代行の比較
複数取引所の履歴をまとめて扱えるツール・計算代行サービスを、対応の考え方や計算方法、提供形態の観点で整理します。料金や対応範囲は変動するため、最新の情報は各社の公式資料で確認してください。
| サービス名 | クリプタクト | クリプトリンク | 暗号会計RIKYU | クリプトリンク損益計算代行 | コインタックス | Divly |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | ツール型 (自分で操作) | ツール型 (自分で操作) | ツール型 (自分で操作) | 計算代行型 (損益計算・仕訳作成) | 計算代行型 (申告書の作成・提出まで) | ツール型 (自分で操作) |
| 複数取引所の履歴集約 | 188の取引所・ブロックチェーンに対応 API連携・CSV・ウォレット連携で取込 | 複数取引所・ウォレットを集約 API連携・CSV取込 | 66以上の取引所・ブロックチェーン等に対応 ウォレット連携が基本 | 海外80取引所以上に対応 データを送れば代行で集約 | 国内外の取引所に対応 プランの取引所数上限:5社/10社/無制限 | 150以上の取引所・ウォレットに対応 国内主要取引所に個別対応・CSV取込 |
| 計算方法 | 総平均法・移動平均法 | 総平均法・移動平均法 | 総平均法・移動平均法 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 総平均法・移動平均法 |
| 料金の目安 | 無料プランあり 有料は年額6,600円〜77,000円(税込) | 個人:年額3,960円〜(税込) 法人:年額19,800円〜 | 無料プランあり 個人:年額11,000円/法人(Biz):月額2,480円〜 | 個人:143,000円〜 法人:198,000円〜(1期・買い切り) | 200,000円〜(ライトプラン) 取引所数・利益額で変動 | 無料プランあり 有料は39€〜499€/税年(買い切り) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年9月時点の各社公式情報にもとづく
ここで取り上げたのは複数取引所の合算に強いサービスですが、対応取引所・料金・法人対応まで含めて損益計算ツール全体を見比べたい場合は、次の記事で主要な13サービスを比較しています。
主要な損益計算ツール・計算代行サービス
ここからは、複数取引所の取引をまとめて扱える代表的なサービスを個別に紹介します。自分で操作するツール型と、計算を任せる代行型があるので、取引の規模や自分でどこまで手をかけられるかに合わせて選ぶ視点で読んでみてください。
1. クリプタクト(株式会社pafin)

クリプタクトは、株式会社pafinが運営する暗号資産の損益計算・確定申告支援サービスです。取引所とのAPI連携・CSVアップロード・ウォレットアドレス連携の3つの経路から取引履歴を取り込み、公式の機能紹介ページでは「複数の取引所やウォレットをまたぐ取引の損益計算」を自動化できると案内しています。
対応する取引所・ブロックチェーンは188、対応暗号資産は33,833種類にのぼり(2026年9月時点、公式機能紹介ページ)、国内外の複数取引所を横断して使う人でも取引履歴を集約しやすいのが特徴です。取得価額の計算は総平均法・移動平均法の両方に対応しています。
料金は年間取引50件までの無料プランから始められ、個人向けの有料プランは取引件数に応じて年額6,600円から77,000円(税込)まで分かれています。税理士向けの税理士プランは年額55,000円(税込)です。
2. クリプトリンク(クリプトリンク株式会社)

複数の取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、確定申告用の損益計算から法人向けの会計仕訳データの出力までをカバーするツールが、クリプトリンク株式会社の「クリプトリンク」です。個人向け(確定申告用)と法人向け(決算・会計ソフト連携用)でプランが分かれています。
計算方法は総平均法・移動平均法の両方に対応します。個人向けの基本プランは年額3,960円(税込、取引件数500件まで)で、月換算では約330円と低価格帯です。日本円建てステーブルコイン「JPYC」の会計処理にも対応するなど、国内の実務動向に沿った機能追加も進めています。
3. 暗号会計RIKYU(株式会社RIKYU)

暗号会計RIKYUは、株式会社RIKYUが提供する暗号資産の会計・損益計算サービスです。2026年7月には、企業向けウォレットを手がけるdouble jump.tokyoが同社を子会社化しています。bitFlyer・Coincheck・GMOコインなどの国内取引所に加え、Bybit・Binanceといった海外取引所にも対応しています。
取得価額の計算は総平均法・移動平均法の両方から選べ、個人は原則総平均法、法人は原則移動平均法という国税庁の取扱いに沿った選択制になっています。会計ソフトとの連携も強く、freee会計とはAPI連携、マネーフォワード クラウド会計・XeroとはCSVでの連携に対応します。
個人向けは無料のフリープランのほか、年額11,000円のプレミアムプラン(確定申告用の税務レポートに対応)が用意されています。法人向け(RIKYU Biz)は月額2,480円から利用できます。子会社化に伴いプラン体系の見直しが予告されているため、料金は最新の公式ページで確認してください。
4. クリプトリンク損益計算代行(クリプトリンク株式会社)

自分で計算する時間や自信がない場合の選択肢が、クリプトリンク損益計算代行です。これはツールを自分で操作するのではなく、取引データやウォレットのデータを送れば、専門スタッフが損益計算・仕訳作成まで代行してくれる委託型のサービスです。取引が複雑で自力での計算が難しい人に向いています。
料金は、個人プランのスタンダード(計算1回)が143,000円、Web会議での相談などが付くサポートが176,000円です。法人プランはスタンダードが198,000円からとなっています。対応する取引データは全プラン共通で20,000件までが基本で、超過分は別途オプション料金がかかります。複数取引所にまたがる大量の取引をまとめて任せたいケースに適した選択肢です。
5. コインタックス(コインタックス株式会社)

コインタックス(COINTAX)は、暗号資産の利益計算から確定申告書の作成・提出までをワンストップで代行するサービスです。確定申告書の作成は提携税理士が担当します。ツールを自分で操作する自計算型ではなく、計算・申告の作業そのものを委託する代行型です。
料金プランは対応できる取引所数で分かれており、ライトが5社以内で200,000円、ベーシックが10社以内で300,000円、アドバンスが取引所数の制限なしで400,000円です(利益額やDeFi対応の有無により別途オプション料金)。
複数取引所を使っていて、自分で計算する時間が取れない人や、申告まで一括で任せたい人向けの選択肢です。料金・割引の適用状況は変わるため、申し込み前に公式サイトで確認してください。
6. Divly(Ragnaros AB)

Divlyは、スウェーデン発の暗号資産税務計算ツールです。海外発ながら日本語のUIを備え、日本の税制に特化したガイド記事を複数公開している点が特徴です。取得価額の計算は総平均法・移動平均法の両方に対応することを公式ガイドで明記しています。
届出をしない場合は総平均法が適用される点や、移動平均法を選ぶ際の届出書・変更承認申請の手続きまで、日本語のガイドで具体的に案内しています。料金は年度ごとの買い切り課金で、無料プランでも取引25,000件まで追跡できます。海外取引所を含めて複数の取引所を使っていて、日本の申告に落とし込みたい人が検討しやすいツールです。
Gtaxからクリプタクトへの統合動向に注意
複数取引所の損益計算ツールを比較する際に一点、注意しておきたい動きがあります。従来、複数取引所対応のツールとして広く紹介されてきた「Gtax」は、運営元である株式会社pafinの発表により、2026年10月5日からクリプタクトへ統合されることが決まっています。
そのため、これから新たに損益計算ツールを選ぶ場合、Gtaxは「今後も単独で使い続けられる候補」にはなりません。国内の個人向け損益計算ツールは集約が進んでいる局面にあるため、古い比較記事でGtaxを見かけても、現在は統合先を含めた最新の選択肢で検討する必要があります。
出典・参考資料(1件)
申告の前提と注意点
最後に、複数取引所の損益をまとめる前提として押さえておきたい、申告要否・期限・海外取引所などの注意点を整理します。ここを取りこぼすと、正しく計算しても申告そのもので足をすくわれかねません。
「20万円以下なら申告不要」は所得税の話で、住民税は別に申告が必要
「暗号資産の利益が20万円以下なら確定申告は不要」とよく言われます。これは所得税法第121条にもとづく規定で、給与収入が2,000万円以下で1か所から給与を受け年末調整を受けている給与所得者が対象です。給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告を要しないというものです。
この20万円は暗号資産だけでなく、ほかの副収入も合算して判定する点にも注意が必要です。
ただし、これはあくまで所得税の話です。住民税にはこの20万円の特例がなく、利益が20万円以下でも、お住まいの市区町村への住民税の申告は必要になります。
所得税においては、所得の発生した時点で源泉徴収を行っていることなどの理由から、給与所得以外の所得が20万円以下の場合には確定申告不要とされています。住民税においては、他の所得と合算して税額を計算するため、給与以外の収入がある場合は、収入の多少に関わらず申告が必要です。
出典:給与所得以外の所得が20万円以下の場合、住民税の申告は必要ですか。|芦屋市
出典・参考資料(2件)
申告期限は原則として翌年3月15日
所得税の確定申告の期限は、原則としてその所得が生じた年の翌年3月15日です。前述のとおり、移動平均法を選ぶための評価方法の届出書も、初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(原則翌年3月15日)までに提出する必要があります。複数取引所の履歴を集めて合算し、取得価額を計算する作業には時間がかかるため、期限直前に慌てないよう、履歴のダウンロードは早めに始めておくと安心です。
海外取引所・DeFiが混ざる場合の追加の注意
複数取引所には、海外取引所が含まれることも多くあります。海外取引所の取引でも日本の居住者であれば日本で申告する必要があり、外貨建ての取引は円換算して計上します。円換算のレートは、国税庁の年間取引報告書の記載方法でも外貨建ての取引は取引日の対顧客直物電信売買相場の仲値(TTM)で換算するとされています。
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海外取引所は日本語の年間取引報告書を発行しないことが多く、取引履歴の形式も国内取引所と異なるため、合算時のカラムマッピングでより注意が必要です。
また、DeFi(分散型金融)でのスワップやレンディング、ステーキング報酬などが混ざる場合は、取引所の売買とは別に課税のタイミングや金額の考え方が加わります。こうしたオンチェーンの取引は取引所のCSVには現れないため、ウォレットアドレスから履歴を取り込む必要があります。海外取引所やDeFiが多い場合は、対応範囲の広い損益計算ツールを使うか、暗号資産に詳しい税理士に相談するのが確実です。
まとめ
複数の取引所で暗号資産を売買した場合、同じ銘柄は取引所ごとに分けず、すべての取引所を合算して1つの取得価額を計算します。これは国税庁のFAQや所得税法施行令が「暗号資産の種類ごと」に計算すると定めていることにもとづく原則で、取引所単位ではありません。
実務では、各取引所のCSVを共通フォーマットに整えて1本に統合し、重複や取引所間送金の扱いに気をつけながら突き合わせたうえで、総平均法または移動平均法で取得価額を計算します。
取引所や取引回数が増えて手作業が現実的でなくなったら、複数取引所対応の損益計算ツールや計算代行サービスに切り替えるのが効率的です。あわせて、20万円ルールは所得税に限った話で住民税は別に申告が必要な点、申告期限が原則翌年3月15日である点も忘れずに押さえておきましょう。
自分に合った損益計算ツールを探すなら、複数取引所への対応状況や料金を資料でまとめて比較するのが近道です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 複数の取引所で同じ暗号資産を売買した場合、損益は取引所ごとに計算しますか?
A. 複数の取引所で売買した暗号資産の損益は、取引所ごとに分けず、同じ銘柄はすべての取引所を合算して1つの取得価額で計算します。暗号資産の取得価額は所得税法施行令で「暗号資産の種類(銘柄)ごと」に計算すると定められており、計算の単位は取引所ではなく銘柄だからです。取引所ごとに平均単価を出して単純に足し合わせると、全取引所を合算した本来の単価とずれて、納める税額を誤るおそれがあります。
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Q. 暗号資産の取得価額は総平均法と移動平均法のどちらを選べばよいですか?
A. 暗号資産の評価方法は、税務署へ届出をしなければ自動的に総平均法が適用され、移動平均法を使うには届出が必要です。総平均法は年末にまとめて計算でき手間が少なく、移動平均法は売却のたびに損益を把握しやすい反面、計算の手間がかかります。
どちらが有利かは取引のタイミングや価格の動きによって変わるため、一概には言えません。いったん選んだ評価方法は、採用してから相当期間(特別の理由がない場合は原則3年)を経過していないと変更が認められない場合があるため、当面は同じ方法を続ける前提で選ぶとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
Q. 複数取引所の暗号資産の取引履歴は、どこから取得できますか?
A. 暗号資産の取引履歴は、各取引所の管理画面から取引履歴データ(CSVやxlsx形式)をダウンロードして取得します。取引所が発行する年間取引報告書のPDFは集計後のサマリーで、1件ごとの取引明細までは含まれないことがあり、複数取引所を合算した厳密な計算にはそのままでは使いにくい場合があります。
表計算ソフトや損益計算ツールに取り込みやすいCSV/xlsxを使うと、複数取引所のデータを1本のデータに突き合わせやすくなります。
Q. 取引所間で暗号資産を送金した場合、税金はかかりますか?
A. 自分の口座間で暗号資産を移す取引所間の送金そのものには、税金はかかりません。暗号資産で利益(所得)が生じるのは、売却したとき・商品の購入などに使用したとき・ほかの暗号資産と交換したときなど所有者が変わる取引に限られ、自分の口座から口座へ移すだけの送金はこのいずれにも当たらないためです。
実際に、年間取引報告書でもこうした移動は購入・売却とは別の「移入数量・移出数量」として記録されます。ただし、送金時のネットワーク手数料や送金手数料を必要経費や取得価額にどう反映するかは取引の内容によって扱いが分かれるため、判断に迷う場合は損益計算ツールや暗号資産に詳しい税理士に確認してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 損益計算ソフトを使わず、自分で暗号資産の損益を計算できますか?
A. 取引所が1〜2社で年間の取引回数も数十件程度なら、損益計算ソフトを使わず自分で計算することも可能です。国税庁が「暗号資産の計算書」(総平均法用・移動平均法用のExcelシート)を無料で公開しており、各取引所のCSVを1本に統合してこれに入力すれば所得金額を算出できます。
ただし、取引所や取引回数が増えたり、DeFiやステーキングなど売買以外の取引が混ざったりすると手作業は現実的でなくなるため、損益計算ツールや計算代行への切り替えが目安になります。
Q. 暗号資産の利益が20万円以下なら、確定申告はしなくてよいですか?
A. 暗号資産の利益が20万円以下でも、所得税の確定申告が不要になる場合はありますが、住民税の申告は別に必要です。所得税では、給与収入2,000万円以下で1か所から給与を受け年末調整を受けているなどの条件を満たす給与所得者に限り、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告を要しません。
ただしこの特例は所得税だけのもので、住民税にはこの20万円の枠がないため、利益が20万円以下でも申告が必要です。また、この20万円は暗号資産だけでなく、ほかの副収入も合算して判定します。
出典・参考資料(2件)
Q. 暗号資産の確定申告の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
A. 確定申告の期限(原則として翌年3月15日)を過ぎても、期限後申告として申告・納税することは可能ですが、無申告加算税や延滞税といった追加の負担が生じる場合があります。
これらの負担は申告や納付が遅れるほど大きくなる傾向があるため、期限を過ぎたことに気づいたら、できるだけ早く申告・納付するのが基本です。複数取引所の履歴を集めて合算する作業には時間がかかるので、取引履歴のダウンロードは早めに始めておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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