サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

サービス比較の記事一覧

AIで顧客対応・サポート業務を自動化したい

不正利用・金融トラブルを未然に防ぎたい

督促・売掛金回収代行
の関連情報


関連サービス資料を
無料で一括ダウンロード

売掛金の回収が遅れたときの対応|内容証明・支払督促から時効・回収代行まで解説

売掛金の回収が遅れたときの対応のサムネイル画像
督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

主要21サービスの料金・機能を無料で一覧比較

督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先への売掛金が、支払期日を過ぎても入金されない。電話やメールで催促しても状況が動かず、資金繰りへの影響も気になり始める——掛け取引のある企業では珍しくない場面です。

売掛金の回収は、遅延が起きた直後の初動から、内容証明郵便や支払督促・少額訴訟といった法的手段、そして放置による時効まで、状況の段階に応じて打つべき手が変わります。動く順番を早く決めるほど、回収できる可能性は高く保てます。

本記事では、支払期日を過ぎた売掛金にまず何をすべきか、その後どの手段へどう進めるかを、対応の流れに沿って解説します。各法的手段の費用・期間・向いているケースの比較、消滅時効を止める方法、回収できなかった場合の会計・税務処理、そして督促を自動化・外部委託するサービスの選択肢まで、実務で判断できる形で整理しました。

売掛金の回収が遅れたときの対応フロー全体像

売掛金の回収は、いきなり訴訟を起こすわけではありません。任意の催促から始めて、相手の反応を見ながら段階的に手段を強めていくのが基本の流れです。まずは全体像をつかみ、自社が今どの段階にいて、次にどこへ進むのかを確認しましょう。

回収対応の全体フロー(初動から強制執行まで)

  1. 初動対応(任意の催促):入金状況を確認し、電話・メール・書面で支払いを催促する。やり取りを記録に残す。
  2. 内容証明郵便による請求:任意の催促で動かない場合、支払いを求める意思と期限を書面で通知し、記録を残す。
  3. 法的手段の申立て:それでも支払われなければ、金額や状況に応じて支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟を選ぶ。財産の散逸が心配なら仮差押えで保全する。
  4. 債務名義の取得:確定判決・仮執行宣言付支払督促・和解調書などで、強制執行の根拠となる債務名義を得る。
  5. 強制執行(差押え):債務名義に基づき、相手の預金・売掛金・動産などを差し押さえて回収する。
売掛金回収の対応フローを5段階で示した図。STEP1 初動対応(任意の催促):電話・メール・書面で催促し記録を残す。STEP2 内容証明郵便による請求:支払いの意思と期限を書面で通知(催告)。STEP3 法的手段の申立て:支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟を選択、仮差押えで保全。STEP4 債務名義の取得:確定判決・仮執行宣言付支払督促・和解調書などを得る。STEP5 強制執行(差押え):預金・売掛金・動産などを差し押さえて回収する。

この流れのどこまで進めるかは、未回収額の大きさ、相手の支払い意思、契約書などの証拠がそろっているかによって変わります。少額であれば内容証明や支払督促で決着することも多く、高額で相手が争う姿勢を見せる場合は訴訟・強制執行まで見据える必要があります。

遅延の段階に応じた打ち手の早見表

遅延の段階と相手の状況ごとに、まず行うことと検討する次の一手を整理しました。自社の状況に近い行から読み進めてください。

← 横にスクロールできます →
支払期日の直後(〜2週間程度)催促しても入金がない(1か月前後)相手が支払いに応じない・連絡が取れない取引先の経営が悪化・倒産のおそれ回収の見込みがない
まず行うこと入金状況を確認し、電話・メールで催促。連絡内容と日時を記録する内容証明郵便で支払いを請求(催告)し、記録と時効の猶予を確保する契約書・請求書・やり取りなどの証拠を整理する債権額を確定し、担保や先取特権の有無を確認する回収不能の判断材料と証拠を保全する
検討する次の一手入金がなければ、期限を明記した督促状(書面)を送付する支払督促・少額訴訟などの法的手段を検討。督促代行の利用も選択肢金額・状況に応じ支払督促/民事調停/少額訴訟/通常訴訟。財産保全に仮差押え仮差押えで財産を保全。動産売買先取特権による回収や破産手続への参加も検討貸倒損失の計上要件を確認して税務処理。与信管理・売掛保証で再発を防ぐ

※上記は一般的な対応の目安です。実際の手段の選択は、金額・証拠・相手の状況により異なります。

支払期日を過ぎたらまず行う初動対応

ここからは、フローの第1段である初動対応を実務レベルで見ていきます。遅延に気づいた段階での動き方が、その後の回収のしやすさを左右します。

取引先へ連絡・催促し、やり取りを記録する

最初の一手は、入金がない事実の確認と催促です。支払期日を過ぎたら、まずは電話やメールで入金状況を確認します。単純な処理漏れや振込忘れであれば、この段階で解決することも少なくありません。

催促は、相手の対応を見ながら段階的に強めます。最初は事務連絡の体裁で入金予定日を確認し、応答がなければ支払期限を明記した督促状(メールまたは書面)を送ります。督促のたびに、連絡した日時・相手の回答・約束された支払日を記録に残すことが重要です。後に法的手段へ進む場合、この記録が「催促を続けたが支払われなかった」証拠になります。

督促状や督促メールには、次の要素を漏れなく盛り込むと、相手に支払いを促しやすく、後の手続きの根拠にもなります。

  • 対象の取引(請求書番号・取引日)と未払いの請求金額
  • 支払期限(いつまでに支払うか)と振込先
  • 遅延損害金が発生する旨(契約の定め、または法定利率)
  • 期限までに支払われない場合の対応方針(内容証明郵便や法的手段の検討など)

社内では、督促の担当と再連絡の間隔(たとえば初回連絡から数日おき)をあらかじめ決めておくと、対応が後手に回りません。一定回数の督促でも入金されない場合は、内容証明郵便や法的手段へ引き上げる、という社内の基準を設けておくと判断が早まります。

契約書の確認・残高の確認・相殺や出荷停止の検討

催促と並行して、自社が打てる手を確保します。まず契約書・注文書・請求書・納品書を確認し、支払期日・金額・遅延損害金の定めや、期限の利益喪失条項の有無を把握します。契約書に遅延損害金の定めがあれば、遅延日数に応じて請求できます。定めがない場合でも、法律で定められた年3%の法定利率(民法404条)で遅延損害金を請求できます。

相手に支払残高を確認してもらい、債務確認書や残高確認書に署名を得られれば、債権額を明確にできます。債務者が債務の存在を認める行為は、法律上「承認」に当たり、その時点から消滅時効が新たに進行します(民法152条)。時効管理の面でも意味のある一手です。

取引が継続している相手であれば、自社が相手に支払う債務があるときは相殺を検討できます。また、未納が続く相手への新たな出荷・役務提供を止めることで、損失の拡大を防げます。いずれも、契約条件と取引全体への影響を確認したうえで判断します。

相手が支払わない理由を見極める

次の一手を選ぶ前に、なぜ支払われないのかを見極めます。理由は大きく3つに分かれ、取るべき対応が変わります。

  • 支払いを忘れている・処理が遅れている:催促や請求書の再送で解決することが多く、法的手段までは不要なケース。
  • 支払えない(資金繰りの悪化):分割払いの合意や担保の確保を急ぐ。倒産のおそれがあれば、仮差押えや先取特権など早めの保全が必要になる。
  • 支払う意思がない・金額や品質を争っている:任意の催促では進展しにくく、内容証明郵便や法的手段への移行を検討する。

見極めた理由が、次に内容証明・法的手段へ進むのか、外部の回収代行に委ねるのかの分岐になります。ここからは、催促で動かない相手に対する法的手段を比較します。

任意の催促で回収できない場合は、法的手段に進みます。手段ごとに、扱える金額・費用・かかる期間・回収力(相手の財産を強制的に押さえられるか)が異なります。まず全体を横並びで比較し、自社のケースに合う手段を選びましょう。

各法的手段の比較表

← 横にスクロールできます →
内容証明郵便支払督促民事調停少額訴訟通常訴訟仮差押え強制執行
どんな手続きか支払いを求める意思・期限を記録が残る形で通知(催告)簡易裁判所の書記官が書類審査のみで発する(金額上限なし)簡易裁判所で調停委員を交え話し合いで解決を図る60万円以下の金銭請求について原則1回の審理で判決金額上限なく、証拠に基づき裁判所が判断判決前に相手の財産を仮に押さえ、散逸を防ぐ保全手続債務名義に基づき預金・売掛金・動産などを差し押さえる
費用の目安約1,420円(郵便実費・1枚)約7,700円(請求100万円・書面申立て)約5,000円(請求100万円)約8,500円(請求60万円・書面申立て)約12,500円(請求100万円・書面申立て)申立手数料+担保金(供託)申立手数料+執行費用
期間・回収力数日で送付可。強制力はないが催告として時効を6か月猶予出廷不要で比較的早い。異議がなければ強制執行の基礎に話し合いで数回の期日。合意で調停調書=強制執行の基礎に原則1回の審理で即日判決。判決は強制執行の基礎に数か月以上かかることも。確定判決は強い回収力迅速な保全。回収の実効性を高めるが本案訴訟が別途必要差押え財産があれば直接回収。最も強い回収力
向いているケース任意の催促で動かない相手への次の一手。法的手段の前段相手が争う見込みが低く、金額が明確な債権関係を残しつつ分割・減額などで折り合いたい場合60万円以下で、相手方の住所・財産が把握できる債権60万円超、または相手が強く争う高額債権相手が財産を処分・隠す前に押さえたい場合判決など債務名義を得た後、任意に支払われない場合

※費用は請求額(訴額)により変わります。裁判所の申立手数料は上記のとおり書面申立ての目安で、電子申立てはやや低くなります(例:通常訴訟100万円は電子11,400円)。少額訴訟は60万円以下の請求に限られます。

費用は請求額(訴額)で決まります。たとえば請求額100万円のケースでは、裁判所への申立手数料(書面申立て)の目安は通常訴訟が約12,500円、支払督促が約7,700円、民事調停が約5,000円です。60万円以下しか使えない少額訴訟は、請求額60万円で約8,500円が目安です。

内容証明郵便は裁判所の手続きではなく、郵便実費のみ(定形110円+内容証明の加算480円+一般書留480円+配達証明350円で、1枚あたり約1,420円)で送れます。金額はいずれも2026年時点の目安で、電子申立てを使うとやや安くなります。

出典・参考資料(2件)

内容証明郵便(催告)

内容証明郵便は、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が証明する郵便です。支払いを求める意思と期限を記録が残る形で相手に伝えられるため、任意の催促の最終段階としてよく使われます。それ自体に相手を支払わせる強制力はありませんが、法的手段に進む前の意思表示として、また相手に心理的な圧力を与える手段として機能します。

もう一つの重要な効果が、消滅時効の完成猶予です。内容証明郵便による支払請求は民法上の「催告」に当たり、催告の時から6か月間は時効が完成しません(民法150条)。時効の完成が迫っているときの応急手段になりますが、猶予はあくまで6か月であり、その間に支払督促や訴訟などの手続きへ進まなければ時効は完成します。時効については後述します。

支払督促

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てに基づいて相手に支払いを命じる手続きです。金銭の支払請求について利用でき、少額訴訟のような金額の上限はありません。

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。

出典:民事訴訟法 第382条|e-Gov法令検索

裁判所の案内によれば、支払督促は書類審査のみで進むため訴訟のように裁判所へ出向く必要がなく、相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、債権者は仮執行宣言を得て強制執行を申し立てられます。一方で、相手が異議を申し立てると通常の民事訴訟へ移行します。相手が争う姿勢を見せていない、金額が明確な債権に向いた手段です。

出典・参考資料(1件)

民事調停

民事調停は、簡易裁判所で調停委員を交え、当事者の話し合いによって解決を図る手続きです。判決のように白黒をつけるのではなく、分割払いや一部減額といった現実的な着地点を探せるのが特徴です。相手との取引関係を今後も残したい場合や、事情があって一括では支払えない相手と折り合いをつけたい場合に向きます。

調停で合意が成立すると調停調書が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ち、強制執行の基礎になります。ただし、相手が話し合いに応じなければ不成立となり、あらためて訴訟などを検討することになります。

少額訴訟・通常訴訟

訴訟は、裁判所の判断を求めて債務名義(強制執行の根拠)を得る手続きです。売掛金の額によって、少額訴訟と通常訴訟を使い分けます。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払請求について利用できる、簡易裁判所の特別な手続きです。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

出典:民事訴訟法 第368条|e-Gov法令検索

裁判所の案内によれば、少額訴訟は原則として1回の審理で判決に至るため短期間で決着します。ただし、同じ簡易裁判所への申立ては1人につき年間10回までに制限され、判決に不服がある場合の申立ては異議に限られ控訴はできません。

60万円を超える場合や、相手が強く争うことが見込まれる高額な債権では、金額の上限がなく証拠に基づいて争える通常訴訟を選びます。通常訴訟は解決まで数か月以上かかることもありますが、確定判決は強い回収力を持ちます。

出典・参考資料(1件)

仮差押え・強制執行

仮差押えは、判決を待つ間に相手が財産を処分・隠すのを防ぐための保全手続きです。金銭債権について、強制執行ができなくなるおそれがあるときなどに、裁判所が仮差押命令を発します(民事保全法20条)。相手の預金や不動産を仮に押さえておくことで、判決を得た後の回収の実効性を高められます。ただし、担保金の供託が必要で、別途、本案の訴訟などで債権を確定させる必要があります。

強制執行は、確定判決や仮執行宣言付支払督促、和解調書といった債務名義に基づいて、相手の預金・売掛金・動産などを差し押さえて回収する手続きです。任意に支払われない相手から実際に回収する最終手段であり、差し押さえられる財産があれば直接の回収につながります。裏を返せば、相手にめぼしい財産がなければ回収は難しく、どの財産を差し押さえるかの見極めが重要になります。

取引先が倒産・破産したときの回収

取引先が倒産した場合でも、回収の余地が残ることがあります。商品(動産)を売った代金債権については、その売った動産に対して、他の債権者に優先して弁済を受けられる動産売買先取特権が認められています(民法311条5号)。

売った商品が相手方に残っていれば、その動産から優先的に回収できます。さらに、その動産がすでに転売されている場合でも、転売代金が相手に支払われる前に差し押さえれば、転売代金債権に対して権利を行使できます(担保の目的物が代金などに姿を変えても権利を及ぼせる「物上代位」という仕組みで、民法304条)。

相手が破産手続や民事再生手続に入った場合は、債権を届け出て手続きに参加します(破産手続参加・再生手続参加)。配当は債権額に応じた一部にとどまることが多いものの、届出をしなければ配当を受けられません。倒産のおそれを察知した段階で、担保・先取特権の有無を確認し、早めに保全へ動くことが回収額を左右します。

売掛金の時効は原則5年|放置リスクと時効を止める方法

売掛金の回収で見落とせないのが、消滅時効です。放置している間に時効が完成すると、法律上、支払いを求める権利そのものを失います。ここでは現行の民法(2020年4月施行の改正後)に基づき、時効の期間と、その完成を止める方法を確認します。

消滅時効は原則5年(民法166条)

売掛金などの債権は、原則として、権利を行使できることを知った時から5年間行使しないと時効によって消滅します。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条|e-Gov法令検索

売掛金は通常、支払期日を自社が把握しているため、「権利を行使できることを知った時」は支払期日に当たり、原則として支払期日から5年で時効消滅すると考えられます。

2020年の民法改正より前は、運送費や飲食料などの職業別に1〜3年の短期消滅時効が定められていましたが、改正でこれらは廃止され、現在は原則5年に一本化されています。古い解説では職業別の短い時効が紹介されていることがあるため、注意が必要です。

時効の完成を止める方法(催告・裁判上の請求・承認)

時効の完成が近い場合でも、一定の手を打てば進行を止められます。現行民法では「完成猶予」(一定期間、時効の完成を先延ばしする)と「更新」(それまでの経過をリセットし、新たに進行を始める)という考え方で整理されています。

催告(内容証明郵便):内容証明郵便で支払いを請求すると「催告」に当たり、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条)。ただしこれは一時的な猶予にすぎず、6か月以内に裁判上の請求などへ進む必要があります。

催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

出典:民法 第150条|e-Gov法令検索

裁判上の請求など:訴訟の提起・支払督促・民事調停などの手続きをとると、その手続きが終わるまで時効は完成せず、確定判決などで権利が確定すると、時効はそこから新たに進行を始めます(更新。民法147条)。時効を確実に止めるには、催告で6か月を確保したうえで、この裁判上の手続きへ進むのが基本です。

承認:相手が債務の存在を認めると、その時から時効が新たに進行します(更新。民法152条)。債務確認書・残高確認書への署名や、一部の支払い、支払猶予の申入れなどが「承認」に当たります。初動対応で残高確認をとることは、時効管理の面でも有効です。

放置するとどうなるか

売掛金の遅延を放置する最大のリスクは、原則5年で完成する消滅時効による権利の喪失です。時効が完成し相手が時効を主張すれば、法的に支払いを求められなくなります。また、時効に至らなくても、時間の経過とともに相手の資金繰りが悪化したり、他の債権者が先に差押えに動いたりすると、回収できる財産が残らなくなります。

自社にとっても、未回収が続けば資金繰りを圧迫します。回収は早く動くほど有利であり、段階に応じて時効を止めながら手続きを進めることが、回収できる可能性を高めます。

回収できなかった場合の会計・税務処理|貸倒損失と貸倒引当金

あらゆる手を尽くしても回収できない場合は、その売掛金を損失として処理します。回収不能となった債権を損金にできるのが貸倒損失で、法人税基本通達は、貸倒れとして損金算入できる場合を大きく3つに分けています。ただし、いつでも自由に損失計上できるわけではなく、それぞれ要件が定められています。

1つ目は、法律上、債権が消滅・切り捨てられた場合です(法人税基本通達9-6-1)。会社更生・民事再生・特別清算の手続きで切り捨てられた金額や、債務者への書面による債務免除額が該当します。2つ目は、債務者の資産状況・支払能力から全額が回収できないことが明らかになった場合です。

法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

出典:法人税基本通達 9-6-2(回収不能の金銭債権の貸倒れ)|国税庁

この場合、担保があるときはそれを処分した後でなければ計上できず、また一部ではなく「全額」が回収できないことが要件となります。3つ目は、売掛債権に特有の取扱いで、取引停止後1年以上が経過した場合などです。

債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)

出典:法人税基本通達 9-6-3(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)|国税庁

この9-6-3は売掛債権に限った特例で、貸付金には使えません。また、継続的に取引していた相手が対象で、一度きりのスポット取引には適用されない点や、備忘価額(通常1円)を残して処理する点に注意が必要です。

ここまでは法人税の取扱いですが、個人事業主の場合も、事業の遂行上生じた売掛金が貸倒れになったときは、その損失額をその年分の事業所得の必要経費に算入できます(所得税法51条2項)。

回収不能が確定する前でも、将来の貸倒れに備えて貸倒引当金を計上できる場合があります。資本金1億円以下の中小法人などは、売掛金などの貸倒れ見込額を引当金として損金に算入できます(法人税法52条)。具体的な要件や繰入限度額は複雑なため、実際の処理は自社の状況に応じて税理士など専門家に確認することをおすすめします。

貸倒損失として損金に算入できる3つの要件や、回収不能を放置して黒字倒産に陥らないための備えをより詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

売掛金の督促・回収を効率化し、外部に委託する方法

ここまでの手続きを自社だけで進めるのは、人手やノウハウの面で負担が大きいものです。督促の一部を自動化したり、回収そのものを外部に委託したりすることで、対応の抜け漏れを防ぎながら本業に集中できます。あわせて、同じトラブルを繰り返さないための再発防止策も検討しましょう。

再発防止と外部委託の選択肢

売掛金の遅延・未回収への備えは、主に次のような選択肢に整理できます。

  • 督促の自動化:メール・SMS・自動音声(オートコール)などで入金案内や督促を自動実行し、督促の人手と抜け漏れを減らす。
  • 請求・回収の代行:請求書の発行から代金回収・入金消込(請求と入金の照合)・督促までをまとめて委託する。適格債権について未回収を保証するサービスもある。
  • 与信管理・売掛保証:取引前に相手の支払能力を審査し、未回収リスクを保証で移転する。後払い決済の導入もこの一種。
  • 契約条項の整備:支払期日・遅延損害金・期限の利益喪失条項を契約書に明記し、回収の根拠を確保する。

これらのうち督促の自動化・請求代行・売掛保証は、これからの取引で未回収を防ぎ、督促の手間を仕組みで減らすための備えです。一方、すでに焦げ付いてしまった特定の売掛金の回収そのものを外部に委ねたい場合は、弁護士や、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)への依頼が選択肢になります。弁護士に頼めば、内容証明の送付から通常訴訟・強制執行までを任せられます。

弁護士費用は事務所ごとに自由化されていますが、目安として、かつての日本弁護士連合会の報酬基準では、経済的利益が300万円以下の場合に着手金8%・成功報酬16%程度とされていました。回収できる見込み額と手続きの手間を照らし、自力で進めるか専門家に委ねるかを判断します。

出典・参考資料(1件)

ファクタリング(売掛債権の売却)は、手元資金を早く確保する資金調達の手段であり、遅延している売掛金そのものを回収する方法とは目的が異なります。混同しないよう注意しましょう。

督促の自動化から請求・回収の代行、売掛保証まで、依頼先のタイプごとに費用相場や選び方を詳しく比較したい場合は、以下の記事で主要サービスを横並びで確認できます。

以下は、売掛金の督促・回収や未回収の防止に使える、代表的なサービスの比較です。

← 横にスクロールできます →
サービス名DHKクラウドオートコール請求まるなげロボNP掛け払い債権回収ロボ
提供会社株式会社電話放送局株式会社ROBOT PAYMENT株式会社ネットプロテクションズ株式会社ROBOT PAYMENT
種類督促の自動化(オートコール・IVR・SMS)請求代行+売掛金保証BtoB後払い決済・請求代行督促の自動化(多チャネル)
督促・回収の対応範囲未入金者への督促架電・入金案内を自動化与信〜請求・回収・入金消込・督促(弁護士法人対応含む)を代行与信〜請求書発行・回収・入金管理・督促を代行未収債権の抽出〜多チャネル督促を自動化
対応チャネル(督促手段)電話(オートコール)・SMSメール・電話・弁護士法人段階的な督促を代行(手段の詳細は非開示)メール・SMS・オートコール・郵送
未回収保証×●適格・与信通過債権に限る●規約所定の除外事由を除く×
初期費用50,000円〜要お問い合わせ0円要お問い合わせ
料金の目安月額50,000円〜(月1,000応答まで含む)月額利用料+手数料1.0%〜手数料+固定費(料率は個別提案)要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るミーティングを予約する

1. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールのウェブサイト

DHKクラウドオートコールは、株式会社電話放送局が提供するクラウド型の自動架電(オートコール)・自動音声応答(IVR)サービスです。あらかじめ用意した発信リストに対してシステムが自動で一斉架電し、合成音声や録音音声で入金案内・支払い督促を届けます。未入金・滞納者への督促架電を人手に頼らず、在宅率の高い時間帯にまとめて実施できる点が特徴です。

料金は月額50,000円〜(月1,000件までの応答を含む)で、1,001件目以降は応答ごとに固定電話21円・携帯電話32円の従量課金です。応答した分のみ課金されるため、郵送のように全件へ費用が発生しません。債権管理システムとのAPI連携やSMS送信にも対応し、クレジットカード・後払い決済事業者の督促自動化での導入事例が公開されています。督促架電の工数を抑えたい企業に適しています。

督促の自動化を検討するうえでは、架電の手間やコストだけでなく、案内の仕方が相手とのトラブルにつながらないかも判断のポイントになります。この点について、同サービスを提供する電話放送局の前田氏は次のように話しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。

オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

2. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボのウェブサイト

請求まるなげロボは、企業間(BtoB)取引の請求業務をまとめて委託できる、株式会社ROBOT PAYMENTの請求代行サービスです。与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までを代行し、督促はメール・電話に加えて弁護士法人が対応します。回収まで一気通貫で任せられるため、社内の督促・回収の負担を減らせます。

特徴は、同社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権について、売掛金を100%保証する点です。与信を通過した取引先の未回収リスクを移転できます。ただし保証は与信通過分に限られ、与信を通過しなかった取引先については引き続き自社での管理が必要です。

料金は月額利用料に手数料1.0%〜(取扱商材・金額により個別算出)が加わる体系です。新規取引先の与信を外部に委ねつつ、未回収リスクも抑えたい企業に向きます。

3. NP掛け払い(株式会社ネットプロテクションズ)

NP掛け払いのウェブサイト

NP掛け払いは、株式会社ネットプロテクションズが提供するBtoB専業の後払い決済・請求代行サービスです。買い手企業の与信審査・請求書発行と郵送・代金回収・入金管理・督促・問い合わせ対応までを売り手に代わって代行し、未回収リスクを保証します(規約所定の除外事由を除く)。売り手は債権譲渡を通じて立替払いを受け取れるため、取引ごとの未回収の不安から解放されます。

与信スピードは最短即時で、通過率は99%(2026年3月31日時点の公式値)と高く、累計取扱高は1兆円を突破しています。取引データはCSV・API・手入力の3方式で登録でき、既存のカートや基幹システムとの連携にも対応します。

売掛金の督促・回収を都度行う手間そのものをなくし、未回収を根本から防ぎたい企業に適した選択肢です。料金は初期費用0円で、手数料と固定費からなり、料率は取扱商材などに応じた個別提案となります。

4. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

債権回収ロボは、未入金の督促・回収業務を自動化する、株式会社ROBOT PAYMENTのクラウドサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送の4チャネルを組み合わせた督促シナリオを、債務者の属性や債権額に応じて設計し、自動で実行します。督促状況や受信・返信の履歴を一元管理でき、属人化しやすく心理的な負担も大きい電話・郵送の督促を標準化できます。

債務者の特性に応じて催促のタイミングを最適化する技術で特許を出願しており、決済手段や過去の支払い履歴をふまえたリマインドを行えます。同社の請求管理システムや外部の販売管理・請求システムとAPIで連携すれば、未収債権の抽出から督促までを自動化できます。督促の実務を仕組みで回し、回収の抜け漏れを防ぎたい企業に向いています。料金は個別見積もりです。

まとめ

売掛金の回収が遅れたときは、まず入金状況の確認と催促から始め、記録を残しながら、内容証明郵便・支払督促・少額訴訟・強制執行へと段階的に手段を強めていきます。どの手段を選ぶかは、未回収額の大きさ・相手の支払い意思・証拠の有無によって変わります。放置している間に消滅時効(原則5年)が完成すると権利を失うため、催告や承認、裁判上の請求で時効を止めながら、早めに動くことが回収の鍵です。

自社での督促に限界を感じる場合は、督促の自動化や請求・回収の代行、売掛保証といったサービスを活用することで、負担を抑えながら回収と再発防止を両立できます。自社の状況に合ったサービスの資料を取り寄せ、比較検討を進めてみてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

よくある質問(FAQ)

Q. 売掛金の回収が遅れたら、まず何をすればよいですか?

A. 売掛金の回収が遅れたら、まずは電話やメールで入金状況を確認し、支払期限を明記した督促を行い、そのやり取りを記録に残すことが最初の一手です。単純な処理漏れや振込忘れであれば、この段階で解決することも少なくありません。

動かなければ内容証明郵便での請求、支払督促・少額訴訟などの法的手段へと段階的に手段を強めます。並行して契約書で遅延損害金や期限の利益喪失条項の有無を確認し、相手に支払残高を認めてもらえれば、債権額の確定と時効管理の両面で有効です。

Q. 売掛金の消滅時効は何年ですか?

A. 売掛金の消滅時効は、原則として支払期日から5年です(民法166条)。2020年4月施行の改正民法で「権利を行使できることを知った時から5年」に一本化され、それ以前にあった職業別の短期消滅時効(運送費1年・報酬等2年・診療費3年など)は廃止されました。

売掛金は支払期日を自社が把握しているため、通常は支払期日が起算点になります。時効が完成し相手が時効を援用すると、法律上、支払いを求める権利そのものを失います。

出典・参考資料(1件)

Q. 内容証明郵便を送れば売掛金を回収できますか?

A. 内容証明郵便そのものに、相手を強制的に支払わせる効力はありません。ただし「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が証明するため、任意の催促の最終段階として心理的な圧力になり、法的手段へ進む前の証拠にもなります。

加えて、内容証明による支払請求は民法上の「催告」に当たり、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条)。ただし猶予は6か月限りで、その間に支払督促や訴訟へ進まなければ時効は完成します。

出典・参考資料(1件)

Q. 売掛金回収の支払督促と少額訴訟は何が違いますか?

A. 支払督促は金額に上限がなく書類審査だけで進むのに対し、少額訴訟は60万円以下の金銭請求に限られ、原則1回の審理で判決が出ます。支払督促は簡易裁判所の書記官が申立てに基づいて発し、相手が2週間以内に異議を申し立てなければ強制執行の基礎になりますが、異議が出ると通常訴訟へ移行します。

少額訴訟は法廷での審理を経て判決に至り、控訴はできません。相手が争う見込みが低く金額が明確なら支払督促、60万円以下で相手方の住所・財産が把握できるなら少額訴訟が向きます。

出典・参考資料(1件)

Q. 売掛金の回収代行や督促代行はどのタイミングで頼むべきですか?

A. 自社で何度か督促しても入金がなく、督促の人手やノウハウが不足していると感じた段階が、外部委託を検討する目安です。督促の自動化サービスはメール・SMS・オートコールで催促の抜け漏れを減らし、弁護士法人が連携する請求・回収代行は交渉から回収までを一括で任せられます。

目的によって選ぶサービスは変わり、取引前の未回収予防なら与信管理・売掛保証、手元資金の早期化ならファクタリングというように使い分けます。遅延している売掛金の回収そのものを効率化したい場合は、督促の自動化や請求・回収代行が該当します。

Q. 回収できなかった売掛金はどのように会計・税務処理しますか?

A. 回収不能となった売掛金は、要件を満たせば貸倒損失として損金に算入できます。法人税基本通達は、貸倒れを大きく3つの場合に分けて要件を定めています。①法律上の債権が消滅した場合(会社更生・民事再生等での切り捨てや書面による債務免除)、②債務者の資産状況・支払能力から全額回収できないことが明らかな場合、③売掛債権について取引停止後1年以上が経過した場合などです。

③は売掛債権に限った特例で、備忘価額(通常1円)を残して処理します。要件は複雑なため、実際の処理は税理士など専門家に確認するのが安全です。

出典・参考資料(1件)

Q. 遅延している売掛金の回収にファクタリングは使えますか?

A. ファクタリングは売掛債権を売却して資金を早期に確保する資金調達の手段であり、すでに遅延している売掛金を相手から回収する方法ではありません。目的が異なるため、期日を過ぎた未回収への対応としては督促・内容証明・法的手段・回収代行が該当します。

両者を混同しないよう注意しましょう。未回収リスクそのものを避けたい場合は、取引前に相手の支払能力を審査する与信管理や、未回収を保証する売掛保証が選択肢になります。

売掛金の督促・回収を支援するサービスの料金・資料を一括チェック

MCB FinTechカタログでは、督促の自動化や請求・回収代行、売掛金保証サービスの最新資料を無料で一括請求できます。対応チャネルや手数料、未回収保証の有無などを比較できます。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
一括ダウンロードする

MCB FinTechカタログに掲載しませんか?

MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

関連記事

新着記事

督促・売掛金回収代行
おすすめの診断サービス