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ステーキング報酬の税金はいつ・いくら?受取時と売却時の課税を国税庁FAQで解説

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暗号資産(仮想通貨)会計・税務・損益計算ツール比較表(2026年版)

暗号資産のステーキングを続けていると、売却していなくても報酬が自動的に積み上がっていきます。確定申告の時期が近づくと、「まだ日本円に換えていないのに税金がかかるのか」「かかるとしたらいつ、いくらなのか」と不安になる方は少なくありません。暗号資産の取引には慣れていても、税金の扱いまで正確に把握している人はそう多くないためです。

結論から言えば、ステーキング報酬は受け取った時点で課税され、その後に売却するとさらにもう一度課税されます。円に換えていなくても、受け取った時点の時価が所得として扱われる点が、最も誤解されやすいところです。

本記事では、ステーキング報酬にいつ・どの所得区分で・いくら課税されるのかを整理します。受取時と売却時の計算方法を具体的な数字で示し、確定申告が必要になる人の条件・申告の手順・申告しなかった場合のペナルティ、そして検討が進む分離課税化の現在地までを解説します。

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ステーキング報酬に税金はかかる?結論は「受取時」と「売却時」の2回

ステーキング報酬には税金がかかります。しかも課税されるタイミングは1回ではなく、次の2回です。

  • 受取時:報酬を受け取った時点の時価が、その年の所得(収入金額)になります。売却していなくても課税対象です。
  • 売却時:受け取った報酬をあとで売却・交換したとき、売却価額と取得価額(受取時の時価)の差額が、あらためて所得になります。

この2段階の関係を、具体的な数字で整理すると次のとおりです。

ステーキング報酬にかかる税金が受取時と売却時の2段階であることを示した図。受取時は受け取った日の時価が収入金額となり(例:0.1 ETHを1 ETH=40万円の日に受け取ると収入金額4万円、雑所得)、売却時は売却価額から取得価額を差し引いた額が所得となる(例:6万円で売却し取得価額4万円を引いて所得2万円)。受取時の時価がそのまま売却時の取得価額になるため二重には課税されないことを示している。

この「受取時に課税される」という扱いは、国税庁のFAQにはっきりと示されています。マイニング・ステーキング・レンディングなどで暗号資産を取得した場合の課税関係について、次のように説明されています。

マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合、その取得に伴い生ずる利益は所得税又は法人税の課税対象となります。
 いわゆる「マイニング」、「ステーキング」、「レンディング」など(以下「マイニング等」といいます。)により暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)については所得の金額の計算上総収入金額(法人税においては益金の額)に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費(法人税においては損金の額)に算入されることになります。

【関係法令等】
 所法27、35、36、37
 法法22、22の2

出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)問1-7〔令和3年12月更新〕|国税庁

関係法令として挙げられている所得税法第36条は「その年に収入すべき金額」を収入金額とする規定で、報酬を受け取った時点の時価を収入に算入する根拠になります。

円に換えていなくても、受け取った時点で課税される

最も誤解されやすいのが、この点です。「日本円に換えていないのだから、まだ税金はかからないはず」と考えがちですが、実際には報酬を受け取った時点で、その時の時価が所得として計上されます。売却や出金をしていなくても、ウォレットや取引所口座に報酬が入った時点が課税のタイミングです。

そのため、受け取った報酬をそのまま保有し続けていても、年間の受取額が一定の基準を超えれば確定申告が必要になります。申告基準については後半の「ステーキングで確定申告が必要になるのはどんな人?」で詳しく説明します。

「二重課税」と呼ばれる構造の正しい理解

受取時と売却時の2回課税される仕組みは、しばしば「二重課税」と呼ばれます。ただし、同じ利益に二度課税されているわけではありません。課税される対象が、それぞれ別だからです。

  • 受取時:報酬を取得したこと自体による利益(取得時点の時価)に課税されます(上記の問1-7)。
  • 売却時:受け取った後の値上がり分(売却価額−取得価額)に課税されます。これは暗号資産を譲渡したことによる所得です。

受取時は「報酬を得たこと」への課税、売却時は「その後値上がりしたこと」への課税で、課税の対象になっている利益が異なります。受取時に所得として計上した金額は売却時の取得価額になるため、同じ値上がり分が二度数えられることはありません。

ステーキング報酬の所得区分と税率(雑所得・総合課税)

ステーキング報酬を含む暗号資産取引の利益は、原則として雑所得に区分されます。国税庁のFAQでは、所得区分について次のように示されています。

暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。

出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)問2-2〔令和7年12月更新〕|国税庁

雑所得は総合課税の対象です。総合課税とは、給与所得など他の所得と合算した金額に対して課税する方式で、所得が大きいほど税率が上がる累進課税が適用されます。ステーキング報酬は給与などと合算され、その合計額に応じた税率で課税されます。

所得税の累進税率は、課税される所得金額に応じて以下のように定められています。

← 横にスクロールできます →
課税される所得金額(課税所得)1,000円〜194万9,000円195万円〜329万9,000円330万円〜694万9,000円695万円〜899万9,000円900万円〜1,799万9,000円1,800万円〜3,999万9,000円4,000万円以上
所得税率5%10%20%23%33%40%45%
控除額0円9万7,500円42万7,500円63万6,000円153万6,000円279万6,000円479万6,000円
出典・参考資料(1件)

上記は所得税のみの税率です。実際にはこれに住民税(所得に対して一律10%)が加わり、さらに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が上乗せされます。

そのため「暗号資産の税金は最大で約55%」と言われるのは、所得税の最高税率45%に住民税10%を合わせた水準を指します(厳密には復興特別所得税を含めて約55.9%)。自分に適用される税率は、ステーキング報酬だけでなく給与などを合算した課税所得で決まる点に注意してください。

ステーキング報酬の税金の計算方法【受取時・売却時の具体例】

ここからは、受取時と売却時のそれぞれで、いくらが所得になるのかを具体的な数字で見ていきます。以下の金額はしくみを理解するための例です。

受取時の計算(受け取った日の時価が収入金額)

受取時の所得は、報酬を受け取った日の時価で計算します。たとえば、ある年に0.1 ETHをステーキング報酬として受け取り、その受取日のETHの時価が1 ETH=40万円だったとします。この場合、0.1 ETH分の時価である4万円が、その年の収入金額になります。

受取日の時価は、利用している取引所の価格や公表されている暗号資産の価格情報で確認します。報酬は一度にまとまって入るのではなく、日々少しずつ受け取ることが多いため、本来はその都度の受取日の時価で計算し、1年分を合計します。年間の受取額の合計から、後述の必要経費を差し引いた金額が、受取によって生じた所得です。

売却時の計算(売却価額−取得価額、取得価額は原則「総平均法」)

受け取った報酬をあとで売却したときは、売却価額から取得価額を差し引いた金額が所得になります。このときの取得価額は、受取時に収入として計上した時価です。先ほどの例で、受け取った0.1 ETH(取得価額4万円)を6万円で売却したなら、差額の2万円が売却による所得になります。

実際には、報酬として受け取ったETHと、取引所で購入したETHが混ざっていることが多く、どの取得価額で計算するかが問題になります。国税庁は暗号資産の取得価額の計算方法として「総平均法」と「移動平均法」を定めており、評価方法の届出をしていない場合は総平均法で計算します。

評価方法の届出書の提出がない場合には、評価方法は「総平均法」になります。

出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)問2-5〔令和2年12月更新〕|国税庁

総平均法は、1年間に取得したすべての同じ暗号資産について、取得価額の合計を数量の合計で割って平均単価を求め、それを取得価額とする方法です。

たとえば、年間に購入と報酬受取で合計1 ETHを取得し、その取得価額の合計が45万円であれば、平均単価は1 ETH=45万円となり、売却時にはこの単価を取得価額として差額を計算します。移動平均法は取得のたびに平均単価を計算し直す方法で、こちらを使う場合は事前に届出が必要です。

必要経費として計上できるもの

所得は収入金額そのものではなく、収入金額から必要経費を差し引いた金額です。国税庁のFAQでは、暗号資産の売却原価のほか、売却の際に支払った手数料などが必要経費になるとされています。

インターネットの回線利用料やパソコンの購入費用についても、暗号資産の取引のために直接必要な支出と認められる部分に限り、必要経費に算入できます。ただし、回線利用料はプライベートな利用分と区分できる場合に限られ、パソコンなど高額なものは使用可能期間に応じて減価償却する必要があるなど、計上できる範囲には条件があります。

出典・参考資料(1件)

具体例:ステーキングの所得にかかる税金はいくらか

税額は、ステーキングの所得だけで決まるのではなく、給与など他の所得と合算した課税所得に対する税率で決まります。例として、課税所得が330万円から694万9,000円の範囲(所得税率20%)にある会社員が、ステーキング報酬の受取と売却で年間10万円の所得が増えたケースを考えます。

この10万円は給与などに上乗せして課税されるため、所得税は10万円×20%=2万円、住民税は10万円×10%=1万円、これに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)約420円が加わり、合わせておよそ3万円が税額の目安になります。課税所得が大きい人ほど適用される税率が上がり、税額も増えます。

ステーキングで確定申告が必要になるのはどんな人?

ステーキング報酬があっても、必ず全員が確定申告をするわけではありません。申告が必要になる基準は、会社員か個人事業主か、被扶養者かによって異なります。いずれの場合も、日本円に換えていなくても受取時の所得が基準額に含まれる点は共通です。

会社員(給与所得者)の場合=給与以外の所得が20万円を超えるか

1か所から給与を受けていて、その給与がすべて源泉徴収の対象になっている会社員の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です。ステーキング報酬を含む暗号資産の所得が、この「給与以外の所得」にあたります。

ここでいう20万円は、収入金額ではなく必要経費を差し引いた後の「所得」の金額です。また、この基準は所得税のものであり、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が別途必要になることがあります。

出典・参考資料(1件)

個人事業主・被扶養者の場合=基礎控除額を超えるか

給与を受けていない個人事業主や、専業主婦・学生などの被扶養者の場合は、所得の合計額が基礎控除額を超えるかどうかが目安になります。この基礎控除額は、2025年(令和7年)の税制改正で引き上げられており、従来多くの解説で使われてきた「48万円」は令和6年分以前の金額です。

令和7年分(2026年に行う申告)以降の基礎控除額は、合計所得金額に応じて変わります。標準的な所得帯では58万円で、合計所得金額が少ない人ほど手厚くなり、132万円以下では最大95万円まで引き上げられています。

したがって、ステーキング報酬を含む所得が基礎控除額を超える場合に、確定申告の検討が必要になります。「48万円を超えたら申告」という従来の目安のままでは、現行の基準と食い違う点に注意してください。

出典・参考資料(1件)

また、配偶者や親族の扶養に入っている人は、本人の合計所得金額が扶養の要件を超えると扶養から外れます。この扶養の要件となる合計所得金額も改正されており、令和7年分は58万円以下、令和8年分以後は62万円以下です(いずれも令和6年分以前は48万円以下でした)。被扶養者本人が申告すべきかどうかは本人の基礎控除で、扶養の範囲に収まるかどうかはこの扶養の要件で判断するもので、両者は別の基準です。

出典・参考資料(1件)

事業所得と雑所得の分かれ目(300万円・帳簿書類の保存)

申告が必要かどうかの線引きとは別に、所得が大きい人は「どの所得区分で申告するか」も確認しておきましょう。暗号資産の所得は原則として雑所得ですが、一定の場合には事業所得に区分されることがあります。

国税庁のFAQでは、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、帳簿書類の保存がなければ原則として雑所得(業務に係る雑所得)に区分されるとしています。

ただし、収入金額が300万円を超え帳簿書類の保存があっても、その取引が事業と認められるだけの営利性・継続性を備えているかは個別に判断されます。多くの個人投資家にとっては雑所得での申告になりますが、暗号資産取引を事業的な規模で行っている場合は、事業所得となる可能性を税務署や税理士に確認するとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

ステーキング報酬の確定申告のやり方

確定申告が必要とわかったら、次の流れで進めます。暗号資産の損益計算から申告書の作成まで、国税庁が用意しているツールを使えば自分で進められます。

  1. 年間取引報告書を取得する:利用している取引所から、1年間の取引履歴をまとめた年間取引報告書をダウンロードします。複数の取引所やウォレットを使っている場合は、それぞれの履歴が必要です。
  2. 暗号資産の計算書で損益を計算する:国税庁が公開している「暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用)」に取引内容を入力し、1年間の所得金額を計算します。
  3. 確定申告書を作成する:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、計算した暗号資産の所得を雑所得として入力し、給与など他の所得と合わせて申告書を作成します。
  4. 提出する:作成した申告書を、e-Taxまたは郵送・窓口で提出します。

ステーキング報酬は受取のたびに時価で計算する必要があるため、受取回数が多いと取引件数が膨大になり、年間取引報告書だけでは損益計算が追いつかないことがあります。その場合は、後述の損益計算ツールを使うと、受取時の時価評価と年間の集計を自動化できます。

出典・参考資料(2件)

申告しなかった場合のペナルティ

申告が必要なのにしなかった場合や、期限に遅れた場合には、本来の税金に加えてペナルティが課されます。暗号資産の取引は取引所から税務当局へ情報が共有される仕組みが整いつつあり、「申告しなければわからない」という前提は成り立たなくなっています。

無申告加算税

期限までに申告しなかった場合に課されるのが無申告加算税です。率は、いつ申告したか(自主申告か、税務調査の通知後か、調査後か)と、納付すべき税額の区分で決まります。

← 横にスクロールできます →
納付すべき税額の区分50万円までの部分50万円超〜300万円の部分300万円超の部分
自主申告(調査通知前)5%5%5%
調査通知後〜更正等予知前10%15%25%
税務調査後15%20%30%

300万円を超える部分の区分(25%・30%)は、令和5年分(2023年分)以降の申告について新たに設けられた厳しい扱いです。また、過去に無申告加算税や重加算税を課された履歴があると、さらに10%上乗せされる場合があります。

出典・参考資料(1件)

延滞税

納付が遅れた期間に応じてかかるのが延滞税です。原則の率は決まっていますが、実際には特例により毎年軽減された率が適用されるため、納付する年によって率が変わります。

← 横にスクロールできます →
延滞の期間納期限の翌日から2か月以内2か月を経過した後
原則の率年7.3%年14.6%
令和8年中に納付する場合年2.8%年9.1%

また、悪質な仮装・隠蔽があると判断された場合には、無申告加算税に代えてさらに重い重加算税が課される場合があります。

出典・参考資料(1件)

ステーキングの仕組みと報酬が生まれるしくみ

ここまでの税金の扱いを理解する前提として、ステーキングの仕組みを簡単に整理します。ステーキングとは、保有する暗号資産を一定期間預け入れ(ロックし)、ブロックチェーンのネットワーク運営に参加することで報酬を受け取る仕組みです。

これは、取引の正しさを承認する役割を保有量に応じて割り当てる「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」という合意形成の方式を採用したブロックチェーンで利用できます。預け入れた量や期間に応じて報酬が支払われるため、銀行預金の利息に似た感覚で捉えられることもありますが、受け取るのは現金の利息ではなく暗号資産であり、その受取時の時価が課税対象になる点が、預金利息とは異なります。

イーサリアムやソラナなど銘柄ごとの仕組みや、取引所・分散型サービスといった始め方・プラットフォームの選び方を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

今後の税制改正(分離課税化)の現在地

暗号資産の税金については、総合課税から分離課税への見直しが検討されています。株式などと同じように、他の所得と分離して一律の税率で課税する方式です。ただし、2026年10月時点では、まだ検討・要望の段階であり、分離課税が決まった・施行されたわけではありません。現在地を正確に押さえておきましょう。

金融庁は、令和8年度の税制改正要望で、暗号資産取引に係る課税の見直しを求めています。

暗号資産取引に係る必要な法整備と併せて、分離課税の導入を含めた暗号資産取引等に係る課税の見直しを行うこと。

出典:令和8年度税制改正要望事項「暗号資産取引に係る課税の見直し」|金融庁

この要望は「必要な法整備と併せて」「検討」という条件付きの表現で、分離課税の導入を確定させたものではありません。背景には、暗号資産を金融商品として法律上位置づけ、投資家保護の制度を整えたうえで税制面の見直しを検討するという政府の方針(令和7年6月の閣議決定)があります。

その後、令和8年度税制改正大綱では、一定の要件を満たす「特定暗号資産」の譲渡等による所得について、他の所得と分離して20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)で課税し、損失は翌年以後3年間の繰越控除を可能とする方向性が示されました。

ただし、これは暗号資産を金融商品取引法上の金融商品として位置づける法整備を前提としており、適用開始の時期は「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」とされ、具体的な年は固定されていません。報道や専門家の分析では2028年からとみる向きが多いものの、前提となる法改正の施行時期が確定していないため、現時点で施行年を断定することはできません。

出典・参考資料(1件)

現時点では、ステーキング報酬を含む暗号資産の所得は、これまでどおり雑所得・総合課税で申告します。分離課税は将来の方向性として示されている段階であり、実際に適用されるには法整備の成立と施行を待つ必要があります。

レンディング・マイニング・海外取引所・DeFiとの税務の違い

ステーキングと似た方法で暗号資産を得る場面や、海外の取引所・DeFiを使う場面での税務上の扱いも整理しておきます。

レンディング・マイニングとの違い

レンディング(暗号資産の貸し出しによる利息の受け取り)やマイニング(取引の承認作業による報酬の受け取り)も、ステーキングと同じく、受け取った時点の時価が所得になります。

前述の国税庁FAQ問1-7も、マイニング・ステーキング・レンディングを並べて同じ扱いとしています。得る方法は違っても、「暗号資産を受け取った時点の時価を所得に計上し、その後売却したときに値上がり分を計上する」という2段階の考え方は共通です。

また、暗号資産の証拠金取引については、株式やFXのような申告分離課税の対象ではなく、総合課税で申告することになっています。暗号資産の所得は、取引の種類を問わず現時点では総合課税が原則です。

出典・参考資料(1件)

受取時に課税される点はステーキングと同じでも、レンディングは暗号資産を貸し出して利息を得る運用で、仕組みやリスク・利回りの考え方には違いがあります。レンディングそのものを詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。

海外取引所・DeFiでのステーキングの税務

海外の取引所やDeFi(分散型金融)のプロトコルを通じてステーキングをした場合でも、日本の居住者であれば、国内の取引所を使った場合と同じく日本で課税されます。所得区分も雑所得・総合課税で変わりません。

違いが出るのは、計算の手間です。海外取引所やDeFiでは、日本円換算された年間取引報告書が用意されていないことが多く、受取時の時価を自分で日本円に換算し、ウォレット上の多数の取引を一つずつ把握して集計する必要があります。取引件数が多いほど手作業では追いきれなくなるため、後述の損益計算ツールの活用が現実的な選択肢になります。

節税と納税資金の備え

暗号資産の雑所得には、株式投資のような損失の繰越控除や、給与所得との損益通算が認められていません。国税庁のFAQでも、次のように示されています。

雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。

出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)問2-11〔令和2年12月更新〕|国税庁

そのため、暗号資産で損失が出ても給与所得の税金を減らすことはできず、翌年に損失を繰り越すこともできません。ただし、同じ年の中であれば、ある暗号資産の売却益と別の暗号資産の売却損を相殺することは可能です。含み損のある暗号資産を年内に売却して、その年の利益と相殺する「年内の損出し」は、暗号資産どうしの範囲で検討できる方法です。

もう一つ注意したいのが、納税資金の確保です。ステーキング報酬は受取時に課税されますが、受け取った暗号資産をそのまま保有していると、その後に価格が下落しても受取時の時価で計算した税金は変わりません。受取時より価格が下がった状態で納税時期を迎えると、手元の暗号資産を売っても税金を払いきれない事態になり得ます。受取時の時価で生じる税負担を見込んで、納税資金を別に確保しておくことが大切です。

受取時時価と年間集計を自動化する損益計算ツール

ここまで見てきたとおり、ステーキング報酬の税金計算では、受取のたびの時価を記録し、取得価額を総平均法で計算し、1年分を集計する作業が必要です。受取回数が多い場合や複数の取引所・ウォレットを使っている場合、これを手作業で行うのは現実的ではありません。

こうした集計を自動化するのが、暗号資産の損益計算ツールです。取引所のAPI連携やウォレットアドレスの登録で取引履歴を取り込み、受取時の時価評価から総平均法による損益計算、確定申告用の集計までを自動で行います。

以下では、ステーキング報酬の計算に対応した損益計算ツールを紹介します。まずは主要なツールを比較表で確認してください。

← 横にスクロールできます →
サービス名クリプタクトクリプトリンク暗号会計RIKYU
ステーキング報酬の対応●●●
DeFi・NFT対応●●●
取得価額の計算方法総平均法・移動平均法総平均法・移動平均法総平均法・移動平均法
連携方式取引所API・CSV
ウォレットアドレス
取引所API・CSV
ウォレットアドレス
ウォレットアドレス
取引所連携
対応取引所・チェーン数188以上
(公式発表値・2026年9月時点)
要お問い合わせ66以上
(公式発表値)
会計ソフト連携要お問い合わせ弥生会計
(仕訳データ連携)
freee(API連携)
マネーフォワード・Xero(CSV)
初期費用0円0円0円
個人向け料金無料プランあり
有料は年額6,600円〜(税込)
年額3,960円〜(税込)
(月換算 約330円)
無料プランあり
確定申告対応は年額11,000円
法人向け料金法人・税理士向けプラン
年額55,000円〜(税込)
年額19,800円〜(税込)月額2,480円〜4,980円(税別)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る

※料金・対応取引所数などは2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各サービスの公式資料でご確認ください。

1. クリプタクト(株式会社pafin)

クリプタクト(cryptact)のウェブサイト

株式会社pafinが提供するクリプタクトは、暗号資産の損益計算・確定申告を支援するサービスです。取引所のAPI連携・CSVアップロード・ウォレットアドレス連携の3つの経路から取引履歴を取り込み、複数の取引所やウォレットをまたいだ損益計算を自動化します。

ウォレットアドレスを登録すると、ブロックチェーン上の取引を自動で読み取り、スワップやレンディング、ステーキングといった取引種別に分類する機能を備えています。取得価額の計算は総平均法と移動平均法の両方に対応し、確定申告で使う損益の集計まで一貫して行えます。

188の国内・海外取引所やブロックチェーン、33,833銘柄に対応しており(2026年9月時点の公式発表値)、多くの取引所やチェーンを横断して使う場合にも取り込みやすいのが特徴です。無料で試せるプランがあり、取引件数や機能に応じた有料プラン、税理士向けのプランも用意されています。

2. クリプトリンク(クリプトリンク株式会社)

クリプトリンク(CryptoLinC)のウェブサイト

クリプトリンクは、複数の取引所・ウォレットの取引履歴を集約し、暗号資産の損益計算・確定申告資料の作成を行うツールです。個人の確定申告向けのプランと、法人の決算・会計ソフト連携向けのプランが分かれており、自分の用途に合わせて選べます。

ステーキング報酬は、受け取りによる利益(インカムゲイン)として計算対象に含まれます。DeFiやNFTの取引にも対応しており、ウォレットアドレスの登録と取引データのアップロードで自動的に損益を計算します。

個人向けプランでは確定申告用の損益計算と収支計算報告書の作成に対応し、法人向けプランでは期末時価評価や会計ソフトにインポートできる仕訳データの出力にも対応しています。含み損益や資産額をリアルタイムで確認できるポートフォリオ機能も備えています。

3. 暗号会計RIKYU(株式会社RIKYU)

暗号会計RIKYUのウェブサイト

暗号会計RIKYUは、暗号資産・NFT・ステーブルコインの会計クラウドサービスです。ウォレットアドレスを登録するだけで取引データを自動取得し、損益計算から仕訳の生成、会計ソフトとの連携までを行います。

DeFiのスワップ・ブリッジ・ステーキングに対応しており、ステーキング報酬も取り込んで計算できます。取得価額の計算は総平均法・移動平均法から選択でき、個人向けには実現損益を売買損益として計上し、確定申告用の収入金額・必要経費の内訳を自動で生成します。法人向けには、月次締めや期末時価評価に対応する決算画面を備えており、個人の確定申告から法人の会計処理まで幅広く対応するのが特徴です。

ここで取り上げた3つは、ステーキング報酬の計算に対応したツールの一部です。対応する取引所・チェーンや料金、法人対応の有無まで含めて、より多くのツールを横断で比較したい方は、以下の記事でカテゴリ全体の選び方と比較を解説しています。

まとめ

ステーキング報酬は、受け取った時点の時価が雑所得として課税され、その後に売却すると値上がり分にあらためて課税されます。日本円に換えていなくても受取時に課税される点が最も誤解されやすく、課税の根拠は国税庁のFAQ(問1-7)と所得税法に示されています。

税率は給与などと合算した総合課税の累進税率で、確定申告が必要になる基準は会社員で給与以外の所得20万円超、個人事業主・被扶養者で基礎控除額(令和7年分以降は最低58万円)超が目安です。

受取のたびの時価評価と年間の集計は手作業では負担が大きいため、損益計算ツールを使えば、取引履歴の取り込みから総平均法による計算、申告用の集計までを自動化できます。自社・自身の取引量や使っている取引所に合わせて、資料を取り寄せて比較してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. ステーキングとは何ですか?

A. ステーキングとは、保有する暗号資産を一定期間預け入れ、ブロックチェーンのネットワーク運営に参加することで報酬(暗号資産)を受け取る仕組みです。

取引の承認役を保有量に応じて割り当てる「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」を採用したブロックチェーンで利用できます。預金利息に似た感覚で捉えられることもありますが、受け取るのは現金ではなく暗号資産であり、その受取時の時価が課税対象になる点が預金利息と異なります。

Q. ステーキング報酬は売っていなくても(日本円に換えていなくても)税金がかかりますか?

A. ステーキング報酬は、売却も日本円への換金もしていなくても、受け取った時点でその時の時価が所得として課税されます。

これは最も誤解されやすい点ですが、国税庁のFAQ(問1-7)が「取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)」を総収入金額に算入するとしており、ウォレットや取引所口座に報酬が入った時点が課税のタイミングになります。受け取った報酬をそのまま保有していても、年間の受取額が申告基準を超えれば確定申告が必要です。

出典・参考資料(1件)

Q. 会社員でステーキング報酬が年20万円以下なら確定申告は不要ですか?

A. 1か所から給与を受け源泉徴収されている会社員は、ステーキング報酬を含む給与以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則として不要です。ここでいう20万円は、受け取った金額(収入)ではなく必要経費を差し引いた後の「所得」の金額です。ただし、所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあるため、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。

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Q. ステーキング報酬の申告基準となる基礎控除は48万円ではないのですか?

A. 基礎控除は令和7年分(2026年に行う申告)以降に引き上げられており、現在は合計所得金額に応じて最低58万円、低所得帯では最大95万円です。多くの解説で使われてきた「48万円」は令和6年分以前の旧数値です。

給与を受けていない個人事業主や被扶養者は、ステーキング報酬を含む所得が現行の基礎控除額を超える場合に確定申告の検討が必要になるため、「48万円を超えたら申告」という古い目安のままにしないよう注意してください。

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Q. ステーキングとレンディング・マイニングで税金の扱いに違いはありますか?

A. ステーキング・レンディング・マイニングは、いずれも暗号資産を受け取った時点の時価を所得に計上し、その後売却したときに値上がり分を計上するという、同じ2段階の扱いになります。国税庁のFAQ問1-7も、この3つを並べて同一の課税関係として説明しています。暗号資産を得る方法は違っても、受取時と売却時に課税される考え方は共通です。

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Q. 海外取引所やDeFiでのステーキングも日本で確定申告が必要ですか?

A. 日本の居住者であれば、海外取引所やDeFi(分散型金融)で得たステーキング報酬も、国内取引所を使った場合と同じく日本で雑所得として確定申告が必要です。所得区分や計算の考え方は変わりません。

違いが出るのは計算の手間で、海外取引所やDeFiでは日本円換算された年間取引報告書が用意されていないことが多く、受取時の時価を自分で日本円に換算し、多数の取引を一つずつ集計する必要があります。取引件数が多い場合は損益計算ツールの活用が現実的です。

Q. ステーキングで損失が出た場合、給与所得と損益通算できますか?

A. 暗号資産(ステーキングを含む雑所得)の損失は、給与所得など他の所得と損益通算できず、翌年以降への繰越控除もできません。他の所得と通算できる損失は不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限られるためです。

ただし、同じ年の中であれば、ある暗号資産の売却益と別の暗号資産の売却損を相殺することは可能で、含み損のある暗号資産を年内に売却して利益と相殺する「年内の損出し」は暗号資産どうしの範囲で検討できます。

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Q. 複数の取引所やウォレットでステーキングしている場合、どう申告すればいいですか?

A. 複数の取引所・ウォレットを使っている場合でも、すべての取引履歴を合算して1つの所得として計算し、まとめて申告します。取得価額の計算に用いる総平均法は、同じ暗号資産について1年間の取得分を取引所やウォレットをまたいで合算して平均単価を求めるため、どれか1か所分だけでは正しく計算できません。

各取引所から年間取引報告書を取得し、ウォレットの取引も含めて集計する必要があり、件数が多いと手作業では追いきれないため損益計算ツールの利用が有効です。

Q. ステーキング報酬の必要経費には何が計上できますか?

A. 必要経費には、暗号資産の譲渡原価や売却の際に支払った手数料のほか、取引のために直接必要と認められる範囲の回線利用料・パソコン購入費などが計上できます。ただし、回線利用料はプライベートな利用分と区分できる場合に限られ、パソコンなど高額なものは使用可能期間に応じて減価償却が必要になるなど、計上できる範囲には条件があります。

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Q. ステーキング報酬を申告しないと税務署にばれますか?

A. 暗号資産の取引情報は取引所から税務当局へ共有される仕組みが整いつつあり、「申告しなければわからない」という前提は成り立たなくなっています。

申告が必要なのにしなかった場合や期限に遅れた場合は、本来の税金に加えて無申告加算税や延滞税が課され、悪質な仮装・隠蔽があると判断されるとさらに重い重加算税が課される場合があります。受取時に課税される性質上、売却していなくても申告漏れが生じやすいため、年間の受取額を早めに把握しておくことが大切です。

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Q. 暗号資産の分離課税(20.315%)はいつから適用されますか?

A. 2026年10月時点では、分離課税の適用開始時期は確定していません。令和8年度税制改正大綱では、一定の要件を満たす「特定暗号資産」の譲渡等による所得について、他の所得と分離して20.315%で課税する方向性が示されました。

ただし、これは暗号資産を金融商品取引法上の金融商品として位置づける法整備を前提としており、適用開始は「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」とされ、具体的な年は固定されていません。

報道や専門家の分析では2028年からとみる向きが多いものの、前提の法改正の施行時期が未確定のため、現時点で施行年を断定することはできません。それまではステーキング報酬を含む暗号資産の所得は、これまでどおり雑所得・総合課税で申告します。

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Q. 法人でステーキングを行う場合の税務はどうなりますか?

A. 法人がステーキングで取得した暗号資産も、取得時点の時価が益金に算入され、法人税の課税対象になります。個人の所得税と同じく、国税庁FAQ問1-7が法人税の取扱いもあわせて示しています。さらに法人の場合は、ステーキングのためにロックアップした暗号資産の期末時価評価など、個人にはない論点があるため、詳細は税理士に確認することをおすすめします。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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