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新規取引先の信用調査のやり方|自社での調べ方・信用調査会社の費用・確認項目を解説

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新しい取引先から「掛けで(後払いで)お願いします」と言われたとき、その会社に代金をきちんと払う力があるのか、契約前に確かめておきたいものです。名前を聞いたことのない相手であればなおさら、納品後に支払われなければその分がそのまま自社の損失になりかねません。

そこで役立つのが、取引を始める前の信用調査です。登記や決算書の確認、ネットでの下調べ、信用調査会社への依頼まで、調べる手段はいくつもあり、それぞれ「何が分かるか」「いくらかかるか」「自分でできるか外注か」が違います。

本記事では、新規取引先の信用を調べる6つの方法を一覧で示したうえで、自社でできる調査の手順、信用調査会社に依頼する場合の費用相場と流れ、確認すべき項目と危険サイン、そして調べた後の取引条件の決め方までを、費用の目安とあわせて具体的に解説します。

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新規取引先の信用を調べる6つの方法【一覧表】

新規取引先の信用調査には、大きく6つの方法があります。まずは全体像として、各方法で分かること・分からないこと(限界)・費用の目安・実施区分(自分でできるか外注か)を一覧で確認しましょう。1つの方法だけで判断せず、無料でできる調査を土台にしながら、必要に応じて外部の調査を組み合わせるのが基本の考え方です。

以下の6つは主に相手の支払い能力を見極めるための方法です。取引相手が反社会的勢力と関わりがないかの確認は、これらとは別に必ず行うべき確認で、記事の後半で取り上げます。

新規取引先の信用調査の進め方を2段階で示した図。STEP1はまず自社で無料〜低コストの調査(商業登記・ネットや公開情報・決算書や決算公告・ヒアリング・現地訪問)を土台に行い、STEP2は自社で判断がつかない場合や取引額が大きい場合に信用調査会社へ依頼(外注、1社あたり約15,000〜24,000円)する流れを表す。
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調査方法商業登記の確認決算書・決算公告の確認ネット・公開情報の確認(HP・SNS・ニュース)代表者・関係者へのヒアリング現地訪問による確認信用調査会社への依頼
分かること会社の実在・商号・本店所在地・設立年月日・資本金・役員・事業目的売上・利益・純資産などの財務状況と、支払い能力のおおまかな目安事業内容・沿革・主要取引先・評判、ネガティブ情報の有無取引を希望する経緯や目的、事業の実態、経営者の姿勢事務所・工場の実在と稼働状況、登記上の所在地と実態の一致第三者による調査で、財務・評点・沿革・取引銀行など体系的な信用情報
分からないこと(限界)財務状況や支払い能力、評判は分からない。記載内容と実態が食い違う場合もある中小企業は決算公告が未履行・自社サイト公告のことも多く、必ず入手できるとは限らない財務の裏付けや、反社会的勢力との背後関係までは分からない相手の自己申告に依存するため、客観的な裏取りにはならない財務状況や信用情報は分からない。訪問の手間と時間がかかる反社会的勢力の実質的支配者までは別途確認が必要。会員制で単発の依頼は割高になりやすい
費用の目安登記事項証明書(証明力あり)600円/登記情報提供サービス(画面確認・証明力なし)330円官報は直近90日分が無料(過去分は有料検索)。取引先から直接もらう場合は無料無料無料交通費などの実費会員制で最少5枚120,000円〜(1社あたり実質15,000〜24,000円)+付帯料金。単発は割高(帝国データバンクの例)
実施区分自分でできる自分でできる(入手できれば)自分でできる自分でできる自分でできる外注

※費用は2026年9月時点の各公式情報にもとづく目安です。最新の料金は各提供元でご確認ください。

ここからは、それぞれの方法について「どこで入手し、何を見るか」を具体的に見ていきます。まずは自社で無料または低コストでできる調査から押さえ、そのうえで外部の信用調査会社をどう使うかを整理します。

自社でできる信用調査の手順

信用調査は、必ずしも費用をかけて外注しなければできないものではありません。登記やネットの公開情報、決算書の確認は自社でも進められます。ここでは、それぞれの情報をどこで入手し、どこを見ればよいかを手順として解説します。集めた情報を「何が出たら危ないか」という視点で判断する見方は、後半の確認すべき項目と危険サインで整理します。

登記情報の取り方と見るポイント

最初の一歩は、取引先が実在する法人かどうかを商業登記で確認することです。登記情報からは、正式な商号・本店所在地・設立年月日・資本金・役員・事業目的が分かります。入手方法は主に2つあり、目的に応じて使い分けます。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局が発行する証明力のある書類です。書面請求は1通600円、オンライン請求で郵送受取は520円、窓口受取は490円です(2025年4月1日改定)。契約書への添付など公的な証明が必要な場面で使います
  • 登記情報提供サービス:登記内容を画面(PDF)で閲覧できるオンラインサービスで、商業・法人の全部事項が1件330円です(2026年4月1日改定)。証明力はありませんが、実在確認や与信の下調べには十分で、手早く安く確認できます

まず取引の可否を見極める下調べの段階では、安価な登記情報提供サービスで足ります。契約や社内手続きで正式な証明が必要になったときに、登記事項証明書を取得するという使い分けが効率的です。登記上の本店所在地や資本金が、名刺やホームページの記載と一致しているかも、この段階で確認しておくとよいでしょう。

会社が実在するか、商号や所在地に不審な点がないかを費用をかけずに確かめたいときは、国税庁の法人番号公表サイトも役立ちます。商号・所在地・法人番号の基本3情報を無料で検索でき、公表後の変更履歴もたどれるため、実在確認の最初の一歩として使えます。

出典・参考資料(3件)

ネット・公開情報からの確認

取引先のホームページや公開情報からは、事業内容・沿革・主要な取引先・採用状況などを把握できます。会社の実態や事業の継続性を推し量る手がかりになるため、登記と並行して確認することが大切です。

あわせて、社名や代表者名でニュース検索を行い、支払い遅延や行政処分、訴訟などのネガティブ情報がないかも調べておくと安心です。SNSや口コミも、業界内での評判をつかむ補助になります。ただし公開情報は断片的で真偽が確かめにくいものも含まれるため、そのまま鵜呑みにせず、登記や決算などの客観的な情報と照らし合わせて判断することが大切です。

公的な裏付けのある情報を無料で横断的に調べたいときは、経済産業省のgBizINFOも使えます。法人の基本情報に加え、許認可や補助金の受給実績、公表されている財務情報の一部などを、社名から一括で確認できます。

出典・参考資料(1件)

決算書・計算書類の入手と見方

支払い能力を測るうえで最も直接的な材料が、取引先の決算書(計算書類)です。入手ルートは、取引開始の交渉のなかで相手に直接開示を依頼する方法と、官報などの決算公告を確認する方法があります。

株式会社には、会社法によって決算公告が義務づけられています。

株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。

出典:会社法 第440条|e-Gov法令検索

ここでいう大会社とは、資本金5億円以上または負債の合計額が200億円以上の株式会社を指します(会社法第2条第6号)。大会社は損益計算書もあわせて公告する義務があります。公告の方法には官報・日刊新聞・電子公告(自社サイトなど)があり、官報に載るとは限りません。

官報はインターネットで確認でき、直近90日分は無料で閲覧できます。それ以前の号を日付やキーワードで検索するには、有料の会員制サービスが必要です。ただし、中小の株式会社では決算公告が実際には行われていない例も多く、合同会社や個人事業主にはそもそも公告義務がありません。

「官報を見れば取引先の決算が必ず分かる」わけではない点に注意し、公告で確認できない場合は取引先への直接依頼や信用調査会社の利用を検討するとよいでしょう。

取引先が上場企業や大会社の場合は、金融庁のEDINETで有価証券報告書を無料で閲覧できます。官報の決算公告よりも詳しい財務情報が得られるため、規模の大きい相手を調べるときの選択肢になります。

出典・参考資料(3件)

決算書が入手できたら、支払い能力に関わる指標を確認しましょう。まず見たいのは、貸借対照表に載る純資産と、損益計算書に載る利益です。純資産がマイナスの状態(債務超過)や赤字の継続は、支払い能力への警戒サインになります。自己資本比率(総資産に占める純資産の割合)が高いほど、財務は安定していると見られます。

短期の支払い余力を見るには、流動比率(流動資産÷流動負債)が参考になります。一般に100%以上が一つの目安とされ、中小企業基盤整備機構も、流動比率が下がると短期的に資金繰りが苦しくなりやすいと説明しています。適正水準は業種によって異なるため、1つの指標だけで判断せず、利益や手元の現預金の余裕とあわせて複数の視点で見ることが大切です。

出典・参考資料(1件)

代表者・担当者へのヒアリング

書面やデータだけでは分からない情報は、商談の場でのヒアリングで補います。取引を希望する経緯や目的、想定している取引量、支払い条件の希望などを丁寧に聞き取ると、事業の実態や経営者の姿勢が見えてきます。契約や発注の決裁権限が誰にあるかを確認しておくことも、後のトラブルを避けるうえで重要です。

ヒアリングは相手の自己申告にもとづくため、それだけで信用を判断する材料にはなりません。登記や決算などの客観的な情報と食い違いがないかを照らし合わせる、確認の一手段と位置づけます。

現地訪問による確認

取引額が大きい場合や不安が残る場合は、登記上の本店所在地を実際に訪ねてみる方法があります。事務所や工場が実在し、看板や従業員の様子から事業が稼働しているかを自分の目で確かめられます。登記の住所にオフィスの実体がない、連絡が取れないといった場合は、実態のないペーパーカンパニーの可能性を疑う手がかりになります。

現地訪問は確実性が高い一方で、手間と時間がかかります。すべての取引先に行うのは現実的でないため、取引額や事前の調査で気になる点があった相手に絞って実施するのが効率的です。

信用調査会社に依頼する費用相場と依頼の流れ

自社での調査だけでは判断がつかないときや、取引額が大きく客観的な裏付けがほしいときは、信用調査会社に企業信用調査を依頼します。信用調査会社は独自の企業データベースと調査網をもとに、財務・評点・沿革・取引銀行などをまとめた調査報告書を作成します。ここでは費用の目安と依頼の流れを見ていきます。

費用の目安(帝国データバンクの例)

費用は依頼先や調査の内容によって変わりますが、目安をつかむために、公式に料金を公開している帝国データバンクの企業信用調査を例に見てみます。同社は会員制のサービスで、1社の新規調査につき「調査問合票」1枚を使う仕組みです。

問合票はまとめて購入するほど1枚あたりの単価が下がり、5枚120,000円(1枚あたり24,000円)から、150枚2,250,000円(1枚あたり15,000円)まで段階的に設定されています。そのため1社あたりの調査費用は、おおむね15,000〜24,000円程度が目安です。

新規調査ではこの問合票1枚に加えて、出張調査料金や商業登記・不動産登記の閲覧料金などの付帯料金がかかります。急ぎの場合は速度オプションもあり、超特急は4,000円、特急は3,000円が本体価格に加算されます。納期は、通常で29営業日前後(1か月半程度)、速度オプションを使うと超特急で7営業日前後まで短縮できます(いずれも出張料無料地域の目安)。

会員制のため最少でも5枚120,000円からの購入となり、1社だけを単発で調べる用途では割高になりやすい点は押さえておきましょう。

出典・参考資料(1件)

信用調査会社は帝国データバンクのほかに東京商工リサーチなどがあり、いずれも新規取引先の調査に対応しています。東京商工リサーチは料金や納期を公式サイトで一般公開していないため、具体的な費用は問い合わせや見積もりで確認する形になります。依頼先を選ぶ際は、料金だけでなく、調べたい地域や業種の調査実績、報告書の内容も比較するとよいでしょう。

従来型の信用調査会社は詳しい調査報告書が得られる一方、会員制で単発の依頼は割高になりがちです。1社だけを・できるだけ費用を抑えて調べたい場合は、会社名を入力するだけで企業情報や与信情報を確認できる、月額制のオンライン型の与信管理サービスを使う方法もあります。こうしたサービスは記事の後半で紹介します。

依頼の流れと業者選びの注意

依頼の流れは、申し込み(会員登録や問合票の購入)、調査対象の指定、調査会社による調査の実施、報告書の受領、という順で進みます。前述のとおり通常は結果が出るまで数週間かかるため、取引開始のスケジュールには調査期間をあらかじめ見込んでおくと安心です。

企業信用調査を専門とする調査会社のほかに、探偵業として調査を請け負う業者もあります。探偵業を営むには、営業所を管轄する都道府県公安委員会への届出が法律で義務づけられています。信用調査を外部に頼む際は、届出の有無なども確認し、実績や信頼性を見極めたうえで依頼先を選びましょう。

出典・参考資料(1件)

信用調査で確認すべき項目と危険サイン【チェックリスト】

ここまでの方法で集めた情報は、「何が出たら取引に慎重になるべきか」という視点で見直すことで、はじめて判断に使えます。ここでは、確認すべき項目を観点別に、危険サインの形で整理します。1つでも当てはまれば即取引中止というものではありませんが、複数が重なる場合は、取引条件を厳しくするか、取引そのものを見送る判断につながります。

会社の実在・登記と実態の食い違い

まず確かめたいのは、会社が実在し、登記の内容と実態が一致しているかです。次のような点は、実態のないペーパーカンパニーや、設立間もない不安定な会社を見分ける手がかりになります。

  • 登記上の本店所在地に事務所の実体がない、または連絡が取れない
  • 資本金が極端に少ない、または設立から日が浅く事業実績が確認できない
  • 短期間に商号や本店、代表者がたびたび変わっている
  • ホームページや名刺の記載と、登記の情報が食い違っている

財務・支払い能力の危険サイン

決算書や取引の様子からは、支払い能力への懸念が読み取れることがあります。以下のような兆候が見られる場合は、後払いの取引に慎重になる必要があります。

  • 債務超過(純資産がマイナス)や、赤字が続いている
  • 手元の現預金が乏しく、短期の支払いに余裕がない
  • 取引開始後、支払いの遅延や分割の申し出が繰り返される
  • 業界内で「支払いが遅い」といった評判が聞かれる

取り込み詐欺・計画倒産の危険サイン

新規取引では、代金を支払う意思がないまま商品をだまし取る「取り込み詐欺」や、倒産を織り込んで大量に仕入れる「計画倒産」に巻き込まれるリスクもあります。次のような不自然な動きは、警戒すべきサインです。

  • 取引が浅いうちから、通常では考えにくい大口の発注をしてくる
  • 相場より明らかに良い条件を提示し、掛け取引や納期を急がせる
  • 初回から支払いサイト(支払期日までの猶予)を長くするよう求める
  • 取引の目的や商品の使い道の説明があいまいで一貫しない

反社会的勢力・コンプライアンスの確認

支払い能力とは別に、取引相手が反社会的勢力と関わりがないかの確認も欠かせません。政府は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」で、企業が取るべき対応として次の5つの基本原則を示しています。

  • 組織としての対応
  • 外部専門機関との連携
  • 取引を含めた一切の関係遮断
  • 有事における民事と刑事の法的対応
  • 裏取引や資金提供の禁止
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省

このうち「取引を含めた一切の関係遮断」が、新規取引を始める前に相手が反社会的勢力でないかを確認する根拠になります。多くの都道府県では暴力団排除条例により、取引先が暴力団関係者でないことの確認や、契約書への暴力団排除条項の導入が求められています(条例の内容は都道府県ごとに異なります)。

ただし、社名や代表者名を検索するだけでは、背後にいる反社会的勢力の存在までは分かりません。必要に応じて専門の反社チェックの手段を組み合わせることが重要です。弁護士の阿部由羅氏は、相手方の実質的支配者まで遡って確認する必要があると次のように指摘しています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。

反社チェックを具体的にどう進め、どのようなツールを使えばよいかは、以下の記事で手順と選び方をあわせて解説しています。

調査後の取引条件の決め方

信用調査は、調べて終わりではありません。集めた情報をもとに、その相手とどのような条件で取引するかを決めるところまでが一連の流れです。ここでは、調査後に決めておきたい取引条件と、継続的に信用を見ていく考え方を整理します。

信用調査のあとの取引条件を決める流れを4ステップで示した図。STEP1は与信限度額を決める(後払いで認める上限を自社が耐えられる範囲で設定)、STEP2は初回は少額から始める(少額の掛売りや前払いから開始し支払い実績を見ながら拡大)、STEP3は売掛金の未回収に備える(債権保証サービスや取引信用保険を検討)、STEP4は継続的に与信を見直す(決算期ごとなど定期的に更新して繰り返す)。

与信限度額を決め、初回は少額から始める

与信限度額とは、その取引先に後払いで認める取引額の上限です。相手の純資産や仕入規模、自社の売掛債権全体のバランスなどを参考に、「万一支払われなくても自社が耐えられる範囲」で設定します。限度額を決めておけば、その相手が支払えなくなっても損失を想定内に抑えられます。

調査で不安が残る相手とは、初回は少額の取引や前払い・現金取引から始め、期日どおりの支払い実績を確認しながら段階的に取引額を広げる進め方が有効です。実績を積み重ねてから後払いの枠を広げれば、リスクを抑えつつ取引を育てられます。与信限度額を具体的な計算式で試算する方法まで詳しく知りたい場合は、与信管理の解説記事もあわせて参照してください。

売掛金の未回収に備える

どれだけ丁寧に調査しても、取引先の倒産や急な業績悪化による未回収リスクをゼロにはできません。そこで、売掛金の未回収に備える仕組みもあわせて検討したいところです。代表的なのが、取引先が支払えなくなった場合に売掛金を保証する債権保証サービスや取引信用保険です。保証料はかかりますが、貸し倒れが起きても損失を回収できるため、新規取引を積極的に広げたい場合の備えになります。

債権保証サービスと取引信用保険は、どちらも売掛金の未回収に備える仕組みですが、保証をかける対象や範囲の決め方が異なります。債権保証サービス「Mamotte」を提供するリコーリースは、当サイトの取材で両者の違いを次のように説明しています。

阿久津氏
リコーリース株式会社 BPO本部 BPO営業部 マーケティング課 課長
阿久津氏
独自インタビューより

たとえば取引信用保険の場合、保険対象先を選ぶことができず、全取引先を包括的にかけなければならないという制約があります。ファクタリングですと、1社2社の大きな売掛金を現金化するという使い方が中心です。一方、当社の場合は、気になる取引先だけを複数社ピックアップして保証をかけることができます。保証の設定額もお客様ご自身で決めていただけますし、繁忙期には厚く、閑散期には薄くといった調整も可能です。

継続的に与信を見直す

取引先の経営状況は時間とともに変化します。取引開始時に問題がなくても、その後に業績が悪化することは珍しくありません。少なくとも決算期ごとなど定期的に情報を更新し、与信限度額や取引条件を見直すことが、未回収を防ぐうえで欠かせません。

こうした調査・判断・見直しを担当者の経験だけに頼ると、判断にばらつきが出たり、確認漏れが起きたりします。社内で与信管理のルールを定め、誰が対応しても一定の基準で判断できる形にプロセス化しておくことが、安定した取引運用につながります。

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信用調査・与信管理を効率化するサービスの活用

ここまで見てきたとおり、新規取引先の信用調査には、情報収集から分析、条件設定、継続的な見直しまで相応の手間と知識が必要です。取引先が増えるほど負担は大きくなり、判断の正確さを保つのも難しくなります。そこで選択肢になるのが、与信管理システム(与信管理クラウドサービス)の活用です。会社名や法人番号を入力するだけで、企業情報の収集・与信判断・反社チェックをまとめて行えるサービスがあります。

ここでは、新規取引先の信用調査に役立つ代表的なサービスを紹介します。

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サービス名アラームボックス パワーサーチRiskdog
初期費用無料要問い合わせ
月額費用3,000円〜(ポイント制)要問い合わせ
最低契約期間要問い合わせ12ヶ月
反社チェック1件500円〜のポイント従量法的・労務・ビジネスの3領域
与信スコア・格付け5段階の信用レベルで格付けスコア+倒産確率を算出
無料トライアル30日間公表なし
特徴AI+専任調査担当者の与信コメント
弥生グループの与信管理一体型
与信・反社・法人確認を
1つに統合(All in One)
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1. アラームボックス パワーサーチ(アラームボックス株式会社)

アラームボックス パワーサーチの公式サイト

アラームボックス パワーサーチは、新規取引先の与信判断・反社チェック・企業調査を、会社名の入力だけで実施できる与信管理クラウドサービスです。約500万社分のデータをもとに、インターネット上の公知情報や公的機関情報、提携する専門調査会社のデータをAIで解析し、調査レポートを自動生成します。

レポートには専任の調査担当者による与信判断の見解やアドバイスが付き、取引先の支払い能力を5段階の信用レベルで示す点が特徴です。

反社チェックは専門調査会社情報・新聞記事・WEB情報を組み合わせて実施でき、1件500円からとポイント制で従量利用できます。初期費用は無料で、月額3,000円からのプランが用意されています(2026年6月時点の一般公開プラン)。継続的にリスクを監視するモニタリングと組み合わせれば、新規取引時の与信判断から取引後の監視までを一つの画面で扱えます。

2025年に弥生グループへ加わり、会計データと連携した与信モデルの高度化も進めています。新規取引先の調査を効率化しつつ、反社チェックも一体で行いたい企業に向いています。

2. Riskdog(Baseconnect株式会社)

Riskdogの公式サイト

Riskdogは、Baseconnect株式会社が2025年1月に提供を開始したAI与信リスク管理サービスです。同社が法人営業支援データベース「Musubu」で蓄積した企業データ基盤を活用し、与信管理・コンプライアンスチェック(反社チェック)・法人確認を一つのプラットフォームに統合しています。

企業名または法人番号を入力すると、企業や役員に紐づくリスク情報をAIが自動で収集・整理し、評価済みの形で提示します。

与信管理では、企業属性などの基礎スコアと、アラート情報にもとづく動的スコアの2軸でクレジットスコアを算出し、過去10年分の倒産事例を学習したモデルで倒産確率を示します。決算書がない企業でも定性データからリスクを推定できる点が特徴です。料金は公式サイトでは非公開で、最低契約期間は12か月と案内されており、詳細な費用は資料請求や問い合わせで確認する形になります。

反社チェックまで含めて統合的にリスクを見たい企業に適しています。

ここでは新規取引先の調査に役立つ2つのサービスを取り上げましたが、与信管理システムは提供各社で対応範囲や料金、反社チェックへの対応が大きく異なります。自社に合う一社をじっくり比較して選びたい場合は、主要な与信管理システムを機能・料金・タイプ別に整理した以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

新規取引先の信用調査は、登記や決算書、ネットの公開情報、ヒアリング、現地訪問といった自社でできる調査を土台に、必要に応じて信用調査会社への依頼を組み合わせて進めます。それぞれの方法で分かることと費用、限界を理解し、複数を組み合わせることで、取引相手の支払い能力や信頼性を立体的に見極められます。

調べた後は、与信限度額を決めて初回は少額から始め、売掛金の未回収に備えながら、継続的に与信を見直していくことが大切です。取引先が増えて調査や与信管理の負担が重くなってきたら、企業情報の収集から与信判断・反社チェックまでを効率化できる与信管理システムの活用も検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 新規取引先の信用調査とは何ですか?

A. 新規取引先の信用調査とは、取引を始める前に相手企業の支払い能力や信頼性を確かめ、掛売り(後払い)で代金を回収できるかを見極める調査です。登記による実在確認、決算書での財務チェック、ネットや現地での実態確認、信用調査会社への依頼などを組み合わせて行い、貸倒れや取り込み詐欺による損失を未然に防ぐことを目的とします。

Q. 新規取引先の信用調査は自分で無料でどこまでできますか?

A. 新規取引先の信用調査は、登記情報・ネットの公開情報・官報の決算公告を使えば、無料〜数百円で実在確認と基本的な財務・評判の下調べまでできます。登記情報提供サービスなら1件330円で商号・所在地・資本金・役員を確認でき、ホームページやニュース検索は無料、官報の決算公告も直近90日分は無料で閲覧できます。

ただし財務の詳細や反社会的勢力との関係までは自社調査では把握しきれないため、取引額が大きい場合は信用調査会社への依頼を組み合わせるのが安全です。

Q. 取引先が決算書を開示してくれない場合はどうすればよいですか?

A. 取引先が決算書を出してくれない場合でも、官報の決算公告や信用調査会社の調査報告書を使えば財務情報を間接的に把握できます。中小企業では決算公告そのものを行っていない例も多いため、その場合は登記・ネット情報・ヒアリング・現地訪問で得た情報を総合して判断し、それでも不安が残るときに信用調査会社へ依頼するのが現実的です。

合理的な理由なく開示を過度に渋る、説明があいまいといった対応自体も、取引条件を慎重にすべきサインとして受け止めます。

Q. 新規取引先の反社チェックはどこまで必要ですか?

A. 新規取引先の反社チェックは、すべての新規取引先に対して、最低限、社名・代表者名での公開情報の確認を行うのが基本です。多くの都道府県の暴力団排除条例で取引先が暴力団関係者でないことの確認や契約書への暴排条項の導入が求められており、政府指針も「取引を含めた一切の関係遮断」を基本原則に挙げているためです。

ただし検索だけでは背後の関係までは分からないため、取引額やリスクの大きさに応じて、専門の反社チェックツールや専門調査会社を組み合わせて確認の精度を高めます。

Q. 新規取引先との初回取引はどのくらいの金額から始めるべきですか?

A. 新規取引先との初回取引は、万一支払われなくても自社が吸収できる金額の範囲に抑え、少額の掛売りや前払い・現金取引から始めるのが安全です。金額に絶対的な正解はなく、自社の資金余力や相手の純資産・仕入規模を踏まえて与信限度額を決め、その範囲内で小さく始めます。期日どおりの支払い実績を確認しながら段階的に取引額を広げていくと、リスクを抑えつつ取引関係を育てられます。

Q. 相手が個人事業主や設立間もない会社で情報が少ないときはどう調べればよいですか?

A. 個人事業主や設立間もない会社は決算公告や過去の実績が乏しく情報が限られるため、代表者へのヒアリングと現地訪問、取引の経緯・目的の確認に重点を置いて実態を見極めます。法人でない個人事業主には登記や決算公告の義務がなく、設立直後の会社も財務データが少ないため、公開情報だけでは判断しきれません。こうした相手ほど初回は少額・前払いから始め、支払い実績を積み重ねてから取引を広げる進め方が有効です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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