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多要素認証とは?具体例でわかりやすく解説|3要素と二段階認証との違い

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多要素認証(MFA)システム比較表(2026年版)のプレビュー

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多要素認証(MFA)システム比較表(2026年版)

クラウドサービスの利用が広がり、ID・パスワードを狙った不正アクセスやフィッシングの被害が増える中で、取引先やセキュリティのガイドラインから「多要素認証(MFA)を有効にしてください」と求められる場面が増えています。

しかし「多要素認証」という言葉だけでは、具体的にどういうものかイメージしにくいかもしれません。本記事では、多要素認証とは何かを、ATMやスマートフォンなど身近なログイン場面の具体例からわかりやすく解説します。

認証の3要素、混同しやすい二段階認証との違い、導入のメリットと注意点、そして自社で使うときの認証方式の選び方まで整理しました。多要素認証を基礎から理解し、自社のセキュリティ強化の第一歩を踏み出すための材料としてご活用ください。

多要素認証(MFA)とは?

多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)とは、種類の異なる複数の認証要素を2つ以上組み合わせて本人確認を行う仕組みです。たとえば、パスワードの入力に加えてスマートフォンに届くワンタイムコードの入力を求める方式が、身近な多要素認証にあたります。

パスワードのように1つの要素だけに頼る認証と違い、種類の異なる要素を重ねることで、片方が漏れても、もう片方がそろわない限りログインできない状態をつくります。認証要素の詳しい分類は後述しますが、まずは公的機関である情報処理推進機構(IPA)による多要素認証の位置づけを見てみましょう。IPAも次のように、多要素認証の利用を推奨しています。

認証の際、複数の要素(記憶情報、所持情報、生体情報のうち2つ以上)を用いた方式は「多要素認証」と呼ばれることもあります
「多要素認証」を利用している場合、仮にIDおよび1つ目のパスワードを不正利用されてもログインはできないことから、不正ログイン防止に効果があります

出典:不正ログイン対策特集ページ|情報処理推進機構(IPA)

多要素認証の具体例|実際のログイン場面でわかる

多要素認証は、特別な仕組みというより、すでに日常のさまざまな場面で使われています。ここでは「何を入力し、次に何が求められ、何で本人だと確かめているか」という流れに注目して、身近な場面から具体例を見ていきます。

銀行のATM(キャッシュカード+暗証番号)

もっとも身近な多要素認証が、銀行のATMでの引き出しです。まず手元のキャッシュカード(持っているもの=所持情報)を挿入し、次に暗証番号(知っている情報=知識情報)を入力します。カードを拾われても暗証番号がわからなければ引き出せず、暗証番号を盗み見られてもカードがなければ使えません。種類の異なる2つの要素で守られている、典型的な例です。

スマートフォンのロック解除(パスコード+指紋・顔)

スマートフォンも、多要素認証の考え方が身近に取り入れられた例です。パスコード(知識情報)を設定したうえで、指紋認証や顔認証(生体情報)を登録し、種類の異なる2つの要素を本人確認に使える状態にしています。普段の画面ロック解除は、利便性のためどちらか一方で解除できますが、決済や重要な操作の場面では、パスコードに加えて生体認証を求めるなど、複数の要素をあわせて確認する仕組みが使われています。

オンラインバンキング(パスワード+SMSワンタイムコード)

インターネットバンキングへのログインも、多くの銀行で多要素認証が採用されています。IDとパスワード(知識情報)を入力すると、登録した携帯電話にSMSでワンタイムコード(所持情報)が届き、その番号を入力してはじめてログインが完了します。パスワードが漏れても、手元のスマートフォンに届くコードがなければログインできない仕組みです。

ネットショッピング・SNS(パスワード+認証アプリ・SMS)

ネットショッピングやSNSのアカウントでも、多要素認証を任意で有効にできるサービスが増えています。ログイン時にパスワードを入力すると、登録済みの認証アプリが表示する確認コードやSMSで届くコード(所持情報)の入力を求められ、それを入れてはじめてログインできる流れです。クレジットカード情報や個人情報を預けるアカウントは、乗っ取りの被害が大きくなりやすいため、多要素認証の有効化がすすめられます。

クラウドサービス(Microsoft 365・Google Workspace)

ここからは、仕事で使うシステムの例です。Microsoft 365 や Google Workspace といった業務用のクラウドサービスでは、パスワードに加えて、スマートフォンの認証アプリに届く承認通知をタップする、あるいは確認コードを入力する多要素認証を設定できます。

社外からでもアクセスできるクラウドサービスは、パスワードだけでは第三者の不正ログインを防ぎきれないため、多くの企業で多要素認証の設定が求められるようになっています。

VPN・社内システム(パスワード+ワンタイムパスワード・セキュリティキー)

社外から社内ネットワークへ接続するVPNや、勤怠・経費などの社内システムでも多要素認証が使われます。IDとパスワードに加えて、ワンタイムパスワードやUSB型のセキュリティキー(所持情報)を求める構成が一般的です。テレワークで社外からのアクセスが増えた企業ほど、入口を多要素認証で固める必要性が高まっています。

出典・参考資料(1件)

認証の3要素と身近な例(知識・所持・生体)

ここまでの具体例に共通しているのが、認証の3要素という考え方です。認証に使う情報は、本人だけが知っている知識情報、本人だけが持っている所持情報、本人の身体的特徴である生体情報の3種類に分けられます。多要素認証は、この異なる要素から2つ以上を組み合わせる仕組みです。それぞれの身近な例と、企業システムでの例を整理しました。

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認証要素知識情報(記憶情報)所持情報生体情報
身近な例パスワード、暗証番号(PIN)、秘密の質問スマホに届くSMSコード、認証アプリの確認コード、キャッシュカード指紋、顔
企業システムでの例ログインパスワード、PINコード認証アプリのワンタイムコード、ICカード、USB型セキュリティキー指紋認証、顔認証、静脈認証

この3分類は、米国国立標準技術研究所(NIST)が公開する本人確認の指針(NIST Digital Identity Guidelines、SP 800-63B)でも整理されています。

同指針は認証要素を「知っているもの(something you know)」「持っているもの(something you have)」「本人自身(something you are)」の3つに分けており、国際的に共通した枠組みです。

ここで押さえておきたいのが、同じ種類の要素をいくつ重ねても多要素認証にはならないという点です。たとえばパスワードと「秘密の質問」は、どちらも知識情報なので、2つ入力しても要素は1種類のままです。

NISTの指針も、多要素の要件として「異なる2つの認証要素(two different authentication factors)」の証明を求めています。種類の違う要素を組み合わせることが、多要素認証の条件です。

出典・参考資料(1件)

「多要素認証」と「二段階認証・二要素認証」の違い

多要素認証とあわせてよく登場するのが、「二要素認証」と「二段階認証」という言葉です。似ているようで指しているものが違うため、混同しやすいポイントを例で整理します。

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用語多要素認証(MFA)二要素認証(2FA)二段階認証
考え方種類の異なる要素を2つ以上組み合わせる種類の異なる要素を2つ組み合わせる(要素が2つの多要素認証)認証を2回の段階に分ける(要素の種類は問わない)
パスワード(知識)+スマホのSMSコード(所持)パスワード(知識)+指紋(生体)パスワード(知識)→ 秘密の質問(知識)
多要素認証にあたるかあてはまるあてはまる(要素が2つの形)組み合わせ次第

二要素認証は、多要素認証のうち要素をちょうど2つ使う形を指します。多要素認証とほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。一方の二段階認証は、認証を2回の段階に分ける方式を指し、要素の種類が同じか違うかは問いません。

そのため、二段階認証は必ずしも多要素認証とは限りません。たとえば「パスワードを入力した後に、秘密の質問に答える」方式は、認証を2段階で行っていますが、どちらも知識情報なので要素は1種類のままです。この場合は二段階認証ではあっても多要素認証ではありません。

一方、「パスワードの後にスマートフォンのコードを入力する」方式は、知識情報と所持情報という異なる要素を使うため、二段階認証であり多要素認証でもあります。段階を分けること自体より、異なる種類の要素を使っているかが、セキュリティ上の分かれ目になります。

二段階認証の2つの例を対比した図。パスワードと秘密の質問の組み合わせはどちらも知識情報で同じ種類のため多要素認証ではなく、パスワードとSMSコードの組み合わせは知識情報と所持情報で異なる種類のため多要素認証にあたることを示す。

なぜ多要素認証が必要なのか

多要素認証がここまで求められるようになった背景には、パスワードだけの認証では守りきれない状況が広がっていることがあります。数字とともに見ていきます。

パスワードだけでは守りきれなくなっている

不正アクセスの被害は、実際に増え続けています。国家公安委員会・総務省・経済産業省がまとめた「不正アクセス行為の発生状況」によると、令和7年(2025年)の不正アクセス行為の認知件数は7,190件で、前年から約34.2%増加しました。

令和7年における不正アクセス行為の認知件数は 7,190 件であり、前年(令和6年)と比べ、1,832 件(約 34.2%)増加した。

出典:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和8年3月公表)|国家公安委員会・総務省・経済産業省

手口の内訳を見ると、検挙された不正アクセスのうち9割以上が、他人のIDやパスワードを盗んで悪用する「識別符号窃用型」でした。その入手方法として最も多かったのが「パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」で、次いで「フィッシングサイトから入手」が続きます。

パスワードそのものが狙われ、盗まれている実態がうかがえます。同資料でも、対策としてワンタイムパスワードなどの二要素認証を利用することが推奨されています。多要素認証は、パスワードが1つ漏れても不正ログインを防ぐ、現実的な備えといえます。

また、情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、個人に関わる脅威として「インターネット上のサービスへの不正ログイン」「フィッシングによる個人情報等の詐取」が引き続き取り上げられています。個人・組織を問わず、ログインを狙う攻撃は身近なリスクであり続けています。

出典・参考資料(2件)

クラウドの普及で「社内・社外」の境界があいまいに

もう1つの背景が、クラウドサービスの普及です。総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、2024年時点で80.6%の企業が、全社的または一部の部門でクラウドサービスを利用しています。

業務データが社外のクラウド上に置かれるようになると、社内ネットワークの内側だけを守る従来の考え方では不十分になります。インターネット経由でどこからでもアクセスできる分、正しいIDとパスワードさえあれば第三者でもログインできてしまうためです。誰がアクセスしているかを入口で確実に確かめる手段として、多要素認証の重要性が高まっています。

出典・参考資料(1件)

多要素認証のメリットと導入時の注意点

多要素認証は不正ログイン対策として効果が高い一方、運用の手間も生まれます。導入を判断するうえで押さえておきたいメリットと注意点を整理します。

多要素認証を導入するメリット

最大のメリットは、パスワードが漏れても不正ログインを防ぎやすくなることです。攻撃者がパスワードを入手しても、手元にないスマートフォンのコードやセキュリティキーがなければログインできないため、被害の入口を狭められます。

あわせて、パスキーなどのパスワードレス認証を組み合わせれば、複雑なパスワードを覚えたり定期的に変更したりする負担を減らせます。さらに、取引先から求められるセキュリティ要件や、業界のガイドライン・各種認証の取得に向けた体制づくりの一環としても、多要素認証は有効です。

導入・運用時の注意点

注意点として、ログインのたびに追加の操作が発生するため、利便性は多少下がります。認証アプリの通知を承認したり、コードを入力したりする手間を、従業員が負担に感じないよう、方式選びや運用の工夫が必要です。

また、スマートフォンの機種変更や紛失、セキュリティキーの紛失といった場面で、本人がログインできなくなるケースへの備えも欠かせません。予備の認証手段の登録や、管理者による再設定の手順など、リカバリー(復旧)の設計をあらかじめ決めておくことが、安定した運用につながります。導入・運用のコストも含め、自社の体制に合った方式を選ぶことが大切です。

自社導入の第一歩|認証方式の選び方

多要素認証の意味と例が分かったら、次に気になるのが「自社で使うならどの方式がよいか」です。認証方式は手軽さと安全性のバランスが異なるため、その違いを踏まえて選ぶことが大切です。

手軽さと安全性のバランスで方式を選ぶ

代表的な認証方式には、SMSで届くワンタイムパスワード、認証アプリが生成する確認コードやプッシュ通知の承認、指紋・顔などの生体認証、USB型のセキュリティキーやパスキー(FIDO2)があります。

導入のしやすさでは、携帯番号だけで始められるSMSワンタイムパスワードが手軽です。ただし、SMSで送るコードは、偽サイトに入力させて盗む手口などに弱い面があります。NISTの本人確認の指針(SP 800-63B)でも、電話網(PSTN)を使ったコード送信は、利用に注意が必要な方式(RESTRICTED)と位置づけられています。

同指針は、手動でコードを入力する方式は偽サイトを見破るフィッシング耐性の点で弱いとしています。より安全性を重視するなら、暗号技術で偽サイトを見破れるパスキー(FIDO2)やセキュリティキー、認証アプリが選択肢になります。従業員の使いやすさと、守りたい情報の重要度を照らし合わせ、方式を使い分けることがポイントです。

出典・参考資料(1件)

既存のIDシステムとまとめて管理できるか

サービスごとに多要素認証を個別に設定していくと、設定漏れや管理の煩雑さが生じやすくなります。すでに利用しているID基盤(Active Directory など)や、SAML・OpenID Connect といった認証連携の仕組みに対応した製品を選べるかどうかは、確認しておきたい観点です。

認証連携に対応した製品なら、どの従業員がどのサービスにアクセスできるかをまとめて制御でき、退職者のアカウント停止なども一括で行えます。

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多要素認証(MFA)システムで一元的に導入・管理する

多要素認証は、サービスごとに手作業で設定するだけでなく、専用のシステムを使って全社の認証をまとめて導入・管理できます。ここでは、自社の認証を多要素化する第一歩として検討しやすい多要素認証(MFA)システムを紹介します。導入形態や得意な認証方式が異なるため、自社の状況に合わせて比較してみてください。

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サービス名CloudGate UNOYubiKey as a ServiceMicrosoft Entra ID
対応する主な認証方式パスキー(FIDO2)
生体認証
認証アプリ・OTP
物理セキュリティキー
(FIDO2・U2F・PIV・OTP)
認証アプリ
パスキー(FIDO2)・Windows Hello
OATH・SMS・音声・証明書
フィッシングに強い方式への対応パスキー(FIDO2)物理キー(FIDO2など)パスキー(FIDO2)
導入形態クラウド型
(SSO・ID管理と統合したIDaaS)
物理キー+サブスク運用
(キッティング・故障交換の代行つき)
クラウド型ID基盤
(Microsoft 365/Azureに付帯)
こんな企業におすすめ複数のクラウドサービスをまとめて多要素化し、一元管理したい企業スマホを使えない現場や、委託先まで含めて強固に認証を固めたい企業Microsoft 365・Windowsをすでに利用している企業
料金の目安月額400〜600円/ユーザー(税抜)
初期費用は要問い合わせ
要問い合わせ
(サブスク/200ライセンスから)
無料〜月額1,349円/ユーザー
(Free/P1 899円/P2 1,349円、年払い)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見る

※料金・機能は2026年9月時点の各社公式サイト等の公表情報に基づきます。「要問い合わせ」は金額が公開されていない項目です。最新の情報は各社の公式ページをご確認ください。

ここで取り上げたのは、多要素認証(MFA)システムの一部です。以下の記事では主要なサービスを幅広く比較し、認証方式・料金・タイプ別の選び方まで詳しく解説しています。導入に向けて全体を見比べて検討したい方は、あわせてご覧ください。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

株式会社インターナショナルシステムリサーチが提供する、ゼロトラストの考え方に基づくクラウド型のシングルサインオン(SSO)/ID管理サービス(IDaaS)です。一度の認証で複数のクラウドサービスにアクセスでき、パスワード管理の負担を減らしながら、認証を多要素化できます。

認証方式には、フィッシングに強いとされるパスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証を採用しています。加えて、アクセスを「端末・場所・時間」の3つの軸で制限できる点が特徴で、私用端末からのアクセス禁止や、特定の拠点・時間帯に限ったアクセスといった細かな制御が可能です。

2008年にシングルサインオンサービスの提供を始め、2014年から次世代認証の標準化団体であるFIDOアライアンスに参画してきた、国産サービスならではの日本語サポート体制も備えています。

パスワードレス認証への切り替えが日々の運用にもたらす変化について、提供元は導入企業の事例を次のように挙げています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。

2. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceのウェブサイト

ハードウェアセキュリティキー「YubiKey」を、サブスクリプション形式で導入・運用できるサービスです。YubiKeyは、パソコンやスマートフォンに挿したりかざしたりして本人確認を行う物理的なキー(所持情報)で、フィッシングに強い認証方式です。スマートフォンを持たない・使えない環境でも運用しやすい点も特徴です。

買い切りではなくサービスとして提供されるため、キー本体に加えて、導入計画の策定から展開までの支援、契約期間中の製品保証、紛失や増員に備えた予備キーの提供、専用の優先サポート窓口までがひとつにまとまっています。物理キーの手配・管理の手間を抑えながら、フィッシング耐性の高い認証を全社に広げたい企業に向いています。

スマートフォンを使いにくい現場でセキュリティキーがどのように使われているのか、提供元は寄せられる相談の傾向を次のように説明しています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

最も多いのは、全社員へのスマートフォン支給が困難なケースです。派遣社員や協力会社のスタッフがシステムにアクセスする際の認証手段として活用されています。また、店舗やコールセンターなどのシフト制の現場において、IDとパスワードの管理負担を軽減しつつ、確実な本人認証を実現する手段としても選ばれています。

3. Microsoft Entra ID(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Entra IDのウェブサイト

Microsoft Entra ID(旧 Azure Active Directory)は、日本マイクロソフト株式会社が国内で提供するクラウド型のID・アクセス管理基盤です。Microsoft 365 や Azure の認証を担う仕組みで、その一機能として多要素認証(Microsoft Entra MFA)を提供しています。

すでに Microsoft 365 を利用している組織であれば、新たに別の製品を導入しなくても、多要素認証や、アクセス元・端末の状態に応じてログインを制御する条件付きアクセスを設定できます。

対応する認証方式は、認証アプリ(Microsoft Authenticator)のプッシュ通知・確認コード、Windows Hello、パスキー(FIDO2)、確認コード方式(OATH TOTP)など幅広くそろっています。既存のマイクロソフト環境を土台に認証を多要素化したい企業に適しています。

まとめ

多要素認証(MFA)とは、知識・所持・生体という種類の異なる認証要素を2つ以上組み合わせて本人確認を行う仕組みです。ATMのカードと暗証番号、スマートフォンのパスコードと指紋、オンラインバンキングのパスワードとSMSコードなど、すでに身近な場面で使われています。

混同しやすい二段階認証との違いは、段階を分けること自体ではなく、異なる種類の要素を使っているかにあります。不正アクセスの増加やクラウドの普及を背景に、パスワードだけに頼らない多要素認証の重要性は高まっています。

自社で導入する際は、SMS・認証アプリ・生体認証・セキュリティキーといった方式の手軽さと安全性のバランスや、既存のID基盤とまとめて管理できるかを踏まえて選ぶとよいでしょう。まずは身近なサービスの多要素認証を有効にするところから、セキュリティ強化の第一歩を始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 多要素認証(MFA)とは何ですか?

A. 多要素認証(MFA)とは、知識・所持・生体という種類の異なる認証要素を2つ以上組み合わせて本人確認を行う仕組みです。パスワード(知識情報)に加えて、スマートフォンに届くワンタイムコード(所持情報)の入力を求める方式などが代表例です。1つの要素が漏れても、もう一方の要素がそろわない限りログインできないため、不正アクセス対策として効果があります。

Q. 多要素認証の身近な例にはどんなものがありますか?

A. 多要素認証の身近な例としては、銀行のATM(キャッシュカード+暗証番号)、スマートフォンのロック解除(パスコード+指紋・顔)、オンラインバンキングのログイン(パスワード+SMSコード)などが挙げられます。

仕事の場面では、Microsoft 365 や Google Workspace といったクラウドサービスやVPN接続でも、パスワードに加えて認証アプリやセキュリティキーを使う多要素認証が広く採用されています。

Q. 多要素認証と二段階認証の違いは何ですか?

A. 多要素認証は「種類の異なる要素」を組み合わせる方式であるのに対し、二段階認証は「認証の段階(回数)」を2回に分ける方式で、要素の種類が同じか違うかは問いません。たとえばパスワードの後に秘密の質問を尋ねる方式は、どちらも知識情報のため二段階認証ではありますが多要素認証ではありません。一方、パスワードの後にスマートフォンのコードを求める方式は、異なる種類の要素を使うため両方に該当します。

Q. 多要素認証と二要素認証(2FA)の違いは何ですか?

A. 二要素認証(2FA)は、多要素認証のうち要素をちょうど2つ使う形を指し、多要素認証とほぼ同じ意味で使われます。多要素認証は「2つ以上」の要素を組み合わせる仕組み全体を指す広い言葉で、そのうち要素が2つのケースを特に二要素認証と呼ぶ、という関係です。実務上は両者をほぼ同じ意味合いで用いることが多くあります。

Q. 二段階認証を設定していれば、セキュリティ対策は万全ですか?

A. 二段階認証を設定していても、同じ種類の要素を2回使う構成では万全とはいえません。たとえばパスワードと秘密の質問はどちらも「知識情報」であり、フィッシングなどで両方まとめて盗まれる可能性があります。パスワードと、スマートフォンなど手元にある所持情報を組み合わせるなど、異なる種類の要素を使う多要素認証にすることで、より確実に不正ログインを防げます。

Q. パスワードを複雑で長いものにすれば、多要素認証は不要ですか?

A. パスワードを強くしても、フィッシングや情報漏えいで盗まれれば突破されるため、多要素認証は不要にはなりません。実際、国が公表した不正アクセスの手口の統計では、パスワードの設定・管理の甘さやフィッシングサイトを通じてパスワードが盗まれるケースが大半を占めており、同資料でもワンタイムパスワードなどの二要素認証を利用することが推奨されています。

強いパスワードと多要素認証は、どちらか一方ではなく併用するのが安全です。

出典・参考資料(1件)

Q. SMSで届くワンタイムコードによる認証は安全ですか?

A. SMSワンタイムパスワードは手軽な反面、偽サイトにコードを入力させて盗む手口などには比較的弱いとされ、認証方式の中では安全性が最も高いわけではありません。それでも、パスワードだけの状態よりは安全性が高まります。

より高い安全性を求める場合は、認証アプリや、偽サイトを見破れるパスキー(FIDO2)・セキュリティキーの利用が推奨されます。NISTの本人確認の指針(SP 800-63B)でも、電話網を使ったSMSコードは利用に注意が必要な方式と位置づけられ、手動でコードを入力する方式はフィッシング耐性の点で弱いとされています。守りたい情報の重要度に応じて方式を使い分けるとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

Q. スマートフォンを持っていない従業員がいても、多要素認証は導入できますか?

A. 社用スマートフォンがなくても、USB型のセキュリティキーやICカード、専用のハードウェアトークンなどを使えば多要素認証を導入できます。工場や店舗などスマートフォンを持ち込みにくい現場でも、物理的なセキュリティキー(所持情報)であれば運用しやすく、私物のスマートフォンを業務に使わせたくない場合の選択肢にもなります。

Q. 中小企業や少人数の組織でも多要素認証を導入すべきですか?

A. 企業の規模にかかわらず、クラウドサービスを業務で利用しているなら多要素認証の導入がすすめられます。不正アクセスやフィッシングは組織の大小を問わず狙われ、むしろ情報システムの専任担当が少ない中小企業ほど被害に気づきにくい傾向があります。多くのクラウドサービスは追加費用なしで多要素認証を有効にでき、まずは利用中のサービスの設定を見直すところから始められます。

Q. 多要素認証を導入すると、毎回のログインが面倒になりませんか?

A. 多要素認証ではログイン時の操作が増えますが、方式の選び方や設定によって負担はかなり軽減できます。認証アプリのプッシュ通知であればタップ1回で承認でき、一度認証した端末や社内ネットワークからのアクセスは一定期間追加認証を省く設定も可能です。パスキーや生体認証を使えば、パスワードの入力自体をなくして、むしろログインを速く・簡単にすることもできます。

Q. 多要素認証はどうやって導入すればよいですか?

A. 多要素認証は、利用中のサービスの設定画面で有効にする方法と、複数のサービスをまとめて管理する専用システム(IDaaS)を使う方法があります。まずは Microsoft 365 や Google Workspace など、すでに使っているクラウドサービスの多要素認証を有効にするのが手軽な第一歩です。

全社的に一元管理したい場合は、既存のID基盤と連携できる多要素認証(MFA)システムの導入を検討するとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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