ランサムウェアや標的型メール、内部不正による情報漏えいのニュースが続くなか、「そろそろ全社員に情報セキュリティ教育をきちんと実施しなければ」と考える企業は増えています。一方で、いざ担当になると「何を教えればよいのか」「どう進めれば形だけで終わらないのか」で手が止まりがちです。
情報セキュリティ教育とは、従業員が業務のなかで情報を安全に扱えるように、脅威の知識と正しい対処行動を身につけてもらう取り組みです。高機能なセキュリティ製品を導入しても、パスワードの使い回しや不審メールの開封といった人の行動が引き金になる事故は防ぎきれず、教育で人側の対策を底上げする必要があります。
本記事では、まず全社員に教えるべきテーマの一覧を示し、企画から効果測定までの実施ステップ、社内研修やeラーニング・標的型攻撃メール訓練といった実施方法の比較、形骸化させない工夫までを整理します。あわせて、無料で使える公的教材と、受講管理まで任せられる有料eラーニングの使い分けも解説します。
自社の教育計画をこれから組む担当者が、そのまま計画のたたき台にできる形でまとめました。順に確認していきましょう。
目次
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情報セキュリティ教育とは?なぜ必要か
情報セキュリティ教育は、「研修」とほぼ同じ意味で使われますが、単発の集合研修だけを指すのではなく、eラーニングや標的型攻撃メール訓練を含めて継続的に行う活動全体を指すことが多い言葉です。従業員が脅威を理解し、日々の業務で正しく振る舞える状態を保つことがねらいです。
必要とされる理由は、技術的な対策だけでは事故を防ぎきれないためです。攻撃の入り口の多くはメールやWebを通じた人への働きかけであり、従業員の気づきと対処が最後の砦になります。加えて、後述するように個人情報保護法やISMS・プライバシーマークといった制度が、従業員への教育を企業に求めています。
脅威と事故の現状
企業が直面する脅威の全体像は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」で確認できます。2026年1月に公開された組織向けの脅威(全10項目)から、教育で扱う対象になりやすい、人の行動が関わるものを順位とともに抜粋します。
- 1位 ランサム攻撃による被害
- 2位 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃
- 3位 AIの利用をめぐるサイバーリスク
- 5位 機密情報を狙った標的型攻撃
- 7位 内部不正による情報漏えい等
- 8位 リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃
- 10位 ビジネスメール詐欺
これらは、外部からの攻撃だけでなく、従業員のうっかりミス(ヒューマンエラー)や内部不正など、人の行動が関わる脅威を多く含みます。標的型攻撃やビジネスメール詐欺は不審メールに気づけるかどうかが分かれ目になり、リモートワークや生成AIの利用は、ルールを知らないまま使うと情報漏えいにつながります。教育で扱うテーマは、この脅威の顔ぶれから逆算して選ぶと過不足がありません。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)
教育が求められる法令・制度の最低ライン
情報セキュリティ教育は「やったほうがよい」だけの取り組みではなく、法令や認証制度が実施を求めている領域があります。まず個人情報を扱う企業には、個人情報保護法が従業者への監督を義務づけています。
個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
出典:個人情報の保護に関する法律 第24条(従業者の監督)|e-Gov法令検索
この「必要かつ適切な監督」を具体的に何で行うかは、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)が示しています。同ガイドラインは、講ずべき安全管理措置の一つである「人的安全管理措置」として、従業者への教育を次のように求めています。
○従業者の教育
出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)別添「講ずべき安全管理措置の内容」|個人情報保護委員会
従業者に、個人データの適正な取扱いを周知徹底するとともに適切な教育を行わなければならない。
ガイドラインは手法の例として「個人データの取扱いに関する留意事項について、従業者に定期的な研修等を行う」ことも挙げており、一度きりではなく継続的な教育が想定されています。このように、個人情報を扱う以上、従業員への教育は安全管理措置の一部として実施が求められる位置づけです。
認証制度に取り組む企業では、要件はさらに明確です。プライバシーマーク(JIS Q 15001:2023準拠)の構築・運用指針は、教育の頻度と理解度確認まで求めています。
事業者は、従業者に対して、少なくとも年一回、及び必要に応じて適宜に教育を実施する手順(教育の理解度を確認する手順を含む。)を内部規程として文書化すること。
出典:プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針(JIS Q 15001:2023準拠)J.4.3|日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS/JIS Q 27001)でも、規格の箇条7.2(力量)・7.3(認識)が必要な力量の確保と役割の認識を、附属書Aの管理策6.3が情報セキュリティに関する意識向上・教育・訓練を求めています。
ただし「少なくとも年1回」の実施と理解度の確認まで明文で求めているのはプライバシーマークで、個人情報保護法のガイドラインやISMSは頻度を数値で定めるのではなく定期的な教育を求める形です。認証の有無にかかわらず、年1回以上の定期教育と理解度の確認を実務上の目安に置くとよいでしょう。
出典・参考資料(4件)
何を教えるか|情報セキュリティ教育のテーマ一覧(全社員共通+役割別)
教育の中身は、全社員に共通して求める基礎リテラシーと、役割ごとに上乗せする応用の二層で考えると整理しやすくなります。まず全社員に共通して押さえたいテーマを、対応する脅威とあわせて一覧にしました。
| テーマ | パスワード・認証の管理 | フィッシング・標的型メール対策 | マルウェア・ランサムウェア対策 | テレワーク・公衆無線LANの安全な利用 | 生成AI・SNS利用のルール | 個人情報・機密情報の取り扱い | インシデント発生時の報告・対応 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な内容 | 使い回しの禁止、推測されにくい設定、多要素認証の利用 | 不審メールの見分け方、添付ファイル・リンクの扱い、報告先の周知 | 感染の兆候、持ち込み媒体やソフトの扱い、感染時の初動 | 社外での画面・端末の管理、安全な通信、私物端末の扱い | 入力してよい情報の線引き、社外発信時の注意 | 持ち出し・共有のルール、誤送信の防止、廃棄の方法 | 「おかしい」と思ったときの連絡先と手順、隠さず早く報告する文化 |
| 対応する脅威・リスク | 不正ログイン、なりすまし | 標的型攻撃、ビジネスメール詐欺 | ランサム攻撃による被害 | リモートワーク環境を狙った攻撃 | AIの利用をめぐるリスク、情報漏えい | 内部不正・ヒューマンエラーによる漏えい | 対応の遅れによる被害拡大 |
※テーマは自社の業種・扱う情報・利用環境に合わせて取捨選択してください。
これらの基礎に加えて、役割によって上乗せするテーマがあります。全員に同じ内容を配るだけでは、立場ごとの判断に必要な知識が届きません。
- 新入社員・中途入社者:自社のルールと基本動作の徹底。入社時に基礎リテラシーをまとめて学ぶ機会を設けます。
- 管理職:部下の運用状況の把握、報告を受けたときの判断、安全配慮の観点。組織としてのリスク管理を扱います。
- 情報システム・インシデント対応担当:検知後の初動、封じ込め、社内外への連絡といった対応の実務を扱います。
- 開発・技術部門:安全な設計・実装や、扱うデータの保護など、業務特性に応じた専門テーマを加えます。
役割別のテーマは、先ほどの脅威の顔ぶれと自社の業務を照らし合わせて決めます。全社員共通のテーマで土台をそろえ、リスクの高い立場に応用を足す、という順で組むと過不足なく設計できます。
どう進めるか|情報セキュリティ教育の実施ステップ
教育は、思いついた内容をその都度配るのではなく、計画として回すと定着します。企画から改善までの流れは、次の6ステップに整理できます。
- 目的とテーマの設定:自社の脅威・法令要件から、今年度に何を身につけてほしいかを決めます。
- 対象者の設定:全社員共通と役割別に分け、誰にどのテーマを届けるかを決めます。
- 頻度・時期の決定:年1回の定期教育に加え、入社時や制度変更時などの実施タイミングを決めます。
- 実施方法の選定:社内研修・外部セミナー・eラーニング・標的型攻撃メール訓練から、テーマと対象に合う方法を選びます。
- 効果測定:受講率や確認テスト、訓練の結果で、理解と行動の変化を確かめます。
- 改善:結果をもとにテーマや方法を見直し、次回に反映します。
このうち判断に迷いやすいのが「実施方法の選定」と「効果測定・改善」です。ここからは、この2つを掘り下げます。
実施方法の比較|社内研修・外部セミナー・eラーニング・標的型攻撃メール訓練
実施方法にはそれぞれ長所と短所があり、テーマや対象、社内の運用体制によって向き不向きが変わります。代表的な4つの方法を比較しました。
| 実施方法 | 社内研修(集合) | 外部セミナー・講師派遣 | eラーニング | 標的型攻撃メール訓練 |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 自社の実情に合わせて内容を作り込める。質疑応答がしやすい | 専門家が最新の脅威や高度なテーマを解説 | 各自の都合で受講でき、受講状況を管理しやすい | 疑似的な攻撃メールで、実際の対処行動を体験・確認できる |
| 向く場面 | 自社ルールの周知、役割別の応用教育 | 専門知識が必要な部門、管理職向け | 全社員共通の基礎教育、定期的な繰り返し | フィッシング・標的型メールへの実践的な訓練 |
| 受講管理・コスト感 | 資料作成と講師の工数がかかる。日程調整が必要 | 1回あたりの費用は高め。全社への横展開はしにくい | 受講率・進捗を自動で把握できる。教材の質はサービスによる | 開封や報告の結果をデータで把握。単独では知識補完が必要 |
※上記は一般的な傾向です。実際の機能・費用は各サービス・提供事業者にご確認ください。
実務では、これらを組み合わせるのが基本です。全社員共通の基礎リテラシーはeラーニングで毎年繰り返し、フィッシング対策は標的型攻撃メール訓練で行動を確かめ、役割別の応用は社内研修や外部セミナーで補う、といった役割分担にすると、無理なく網羅できます。
このうち標的型攻撃メール訓練は、疑似的な攻撃メールの配信から開封率の集計、開封してしまった従業員への再教育までを専用サービスに任せられます。訓練サービスの選び方や料金体系、開封率の見方をより詳しく知りたい場合は、次の記事で比較しています。
標的型攻撃メール訓練サービスおすすめ33選|教育コンテンツ・料金・開封率で比較
標的型攻撃メール訓練をこれから導入したい。あるいは一度実施したものの、出てきた開封率が高いのか低いのか判断できないまま、年1回の訓練だけが続いている。どちらの状況でも次に決めることは同じで、どのサービスを使い、どこまでを外部に任せるかです。…
形骸化させない工夫と効果測定の指標
情報セキュリティ教育の最大の壁は、「実施したが行動が変わらない」形骸化です。全員に動画を1本配って受講済みにするだけでは、知識も意識も定着しません。形だけで終わらせないためには、次のような工夫が効きます。
- 自分ごとにする:自社や同業で実際に起きた事故を題材にし、「自分の業務で起きたら」を考えてもらいます。
- 短く・繰り返す:長い研修を年1回より、数分の教材や訓練を定期的に重ねるほうが習慣として残ります。
- 役割に合わせる:全員一律ではなく、立場ごとに必要な内容へ絞ると当事者意識が高まります。
- 報告しやすい空気をつくる:ミスや不審メールを責めずに報告できる文化が、被害の早期発見につながります。
工夫の効果は、測れる指標で確かめて次に活かします。代表的な指標は、確認テストの正答率や受講率、標的型攻撃メール訓練の開封率です。標的型攻撃メール訓練について、IPAは訓練の目的を次のように説明しています。
標的型攻撃メール訓練は、不審なメールを実際に受信した場合、適切な対処が行えるかどうかを確認する目的で実施されるものです。
出典:組織における標的型攻撃メール訓練は実施目的を明確に|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
IPAは、確認する内容の例として「不審メールの添付ファイル開封率、あるいは適切な対処の達成率」を挙げています。開封率を下げることは代表的な目的の一つですが、不審メールに気づいて報告・対処できるかまで含めて見るのがねらいです。
実務では開封率とあわせて、報告や対処ができた割合も指標として使われます。特定の数値が公的な合格ラインとして定められているわけではないため、初回の結果を基準に、回を重ねて改善しているかで評価するのが現実的です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:組織における標的型攻撃メール訓練は実施目的を明確に|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)
教材の使い分け|無料の公的教材と受講管理付き有料eラーニング
教材は、まず無料の公的教材から始められます。IPAや関係機関が、企業の教育にそのまま使えるスライド・動画・冊子を公開しています。
- IPA「ここからセキュリティ!」:脅威別・対象者別の解説スライドや動画、自己点検シートなどをまとめた教育リソースのポータル。
- IPA「情報セキュリティ10大脅威」:最新の脅威を教育の題材にできる資料。
- 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)「インターネットの安全・安心ハンドブック」:基礎リテラシーを幅広くカバーした冊子。
- JIPDEC・JNSA などの教材・理解度チェック:個人情報保護や理解度確認に使える資料。
無料教材だけで1回分の全社教育を成立させるなら、次のように組むのが最小の段取りです。
- 基礎リテラシーはNISCの「インターネットの安全・安心ハンドブック」やIPAの解説スライドを教材にします
- 最新の脅威は「情報セキュリティ10大脅威」の資料で補い、自社に関係するテーマに絞って伝えます
- 理解度はJNSAの理解度セルフチェックや簡単な確認テストで測り、受講者と結果を記録に残します
これらを使えば、費用をかけずに基礎教育を始められます。一方で、無料教材を配るだけでは「誰が受講し、どれだけ理解したか」を自社で追う必要があり、対象者が増えるほど手間がかさみます。受講案内の配布、未受講者の督促、理解度の集計、教材の毎年の更新まで、担当者の運用負担は小さくありません。
この運用の手間を引き受けてくれるのが、受講管理付きの有料eラーニングです。受講者ごとの進捗をダッシュボードで一元管理し、未受講者へ自動でリマインドを送り、確認テストの結果を集計する、といった機能で、教育を「実施しっぱなし」にしないための仕組みが用意されています。教材もサービス側で定期的に更新され、専門家の監修を経たコースを備えるサービスも多いため、自作・更新の負担が減ります。
では、この受講管理の仕組みはどのような企業で特に効いてくるのでしょうか。一例として、コンプライアンス研修eラーニングを提供する株式会社Oysterの谷口氏は、運用がうまく回る企業の傾向をこう説明します。

成果が出やすいのは、社内に専門知見がない企業様や、研修運用の工数が十分に確保できない企業様です。法令のキャッチアップ、研修コンテンツの準備、配信、進捗管理、未受講者のフォローまで、少人数で回さないといけない場面は多いので、そういう企業ほどフィットしやすいです。
線引きの目安はシンプルです。少人数で単発の基礎教育なら無料教材で十分に始められますが、全社員に毎年繰り返し実施し、受講状況や理解度を確実に把握したい段階になると、受講管理を備えたeラーニングに任せたほうが結果的に楽になります。次章では、その選び方と代表的なサービスを見ていきます。
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受講管理まで仕組み化するeラーニングの選び方
受講管理まで任せたい場合は、次の3点を軸に選ぶと自社に合うサービスを絞り込めます。第一に、情報セキュリティ教育として何を学べるか(コースの中身が、フィッシングや標的型メール、テレワークなど自社に必要なテーマをカバーしているか)。第二に、標的型攻撃メール訓練まで行いたいか。第三に、受講状況の把握・確認テスト・自動リマインド・レポート出力といった受講管理を、自社で無理なく回せるかです。
標的型攻撃メール訓練は専用のサービスに任せることもできますが、eラーニングと標的型攻撃メール訓練を一つのサービスで一体提供する事業者もあります。訓練まで一体で回したい場合は、この点も選ぶときの目安になります。
ここからは、情報セキュリティ教育の中身に踏み込め、受講管理まで担えるeラーニング・教育サービスを紹介します。まず全体像を比較表で示します。
料金は会費制・従量制・買い切りなど各社で体系が異なるため、金額の大小だけでなく、自社の人数と実施頻度に合う課金の形かどうかで見ると比較しやすくなります。
| サービス名 | OneCompliance | JMAM eラーニングライブラリ | サイバックスUniv. | インソース | manebi eラーニング | AirCourse | CYAS | セキュリオ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 情報セキュリティ教育の主な内容 | 情報セキュリティ・個人情報保護 (情報漏えい・個人情報の取り扱い) | 個人情報保護・情報セキュリティ 基礎/インターネット/脅威/業務活用編 | 情報セキュリティ対策の基礎 内部統制・反社取引管理など隣接領域も | 情報漏えい対策・機密情報管理 弁護士監修ドラマ型・生成AIリスクも | 情報セキュリティ・個人情報の取り扱い SNS投稿の注意点など | 情報セキュリティ・ランサムウェア対策 生成AIリテラシーなど | 標的型攻撃メール訓練と連動した セキュリティ教育eラーニング | 専門家監修のセキュリティ教育 ISMS・Pマーク運用機能も併設 |
| 標的型攻撃メール訓練 | × | × | × | × | × | × | ● | ● |
| 受講管理・進捗把握 | 進捗ダッシュボード(CSV出力) 確認テスト・自動リマインド | 必須/推奨コース設定・CSV出力 フォローメール自動配信・修了証発行 | 研修ポータルで一元管理・CSV出力 オリジナルテスト・修了証(PDF) | LMS「Leaf」で受講管理・自動催促 テスト無制限・受講履歴CSV出力 | 受講管理・効果測定・テスト AIコースマップ提案 | 進捗レポート・組織/グループ管理 必須受講・自動リマインド設定 | 受講計画作成・受講状況確認 理解度テスト・Excelレポート自動生成 | 受講管理・採点・結果集計を自動化 |
| 料金 | 受講者数に応じた課金 (要問い合わせ) | 初期費用0円 コンプラ100名 年396,000円〜 | 入会金50,000円 月額45,000円〜(1〜50名・税抜/会費制) | 動画買い切り198,000円〜/本 LMS 50ID 月17,875円〜(税込) | 初期費用100,000円 月額19,800円〜(LITE・39IDまで定額) | 初期費用0円 1ライセンス月300円〜(ベーシック・年間契約時) | 無料プランあり(月10通) 訓練 月1,100円〜/教育 買い切り16,500円〜 | 要問い合わせ |
| 無料トライアル | あり | あり(最大30日間) | あり(1ヶ月) | 要問い合わせ | 無料デモあり | あり(フリープラン) | あり(無料プラン) | あり(7日間・ARスタンダード) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく参考値です。機能・料金は変動するため、最新の内容は各社の公式資料でご確認ください。
情報セキュリティ教育に限らず、ハラスメント防止や個人情報保護なども含めた全社的なコンプライアンス研修をeラーニングで一括して実施・比較したい場合は、次の記事で料金・教材テーマ・選び方をまとめています。
コンプライアンス研修eラーニングおすすめ比較29選!料金・教材テーマ・選び方を解説
コンプライアンス研修を全社員に行き渡らせたいのに、集合研修では日程調整や会場手配が追いつかず、受講記録の管理も煩雑になっていませんか。ハラスメント防止や情報セキュリティ、個人情報保護など扱うべきテーマは年々増え、法改正のたびに教材を作り直す…
1. OneCompliance(株式会社Oyster)

OneComplianceは、株式会社Oysterがコンプライアンス領域に絞って提供するeラーニングサービスです。法務・労務・ハラスメントなどと並んで情報システム分野のコースがそろい、そのなかに情報セキュリティと個人情報保護法の講座が用意されています。1コンテンツ数分単位のマイクロラーニング形式で、テキストと動画のどちらでも学べ、PC・スマートフォンの両方に対応します。
情報セキュリティ教育としては、情報漏えいや個人情報の取り扱いといった実務で問われる論点を、イラスト付きの教材で基礎から確認できる作りになっています。学習セッションごとに確認テストが挟まれ、テストをクリアしないとそのセッションを完了できない仕様のため、視聴しただけで終わらせない設計です。
受講管理の面では、受講者別・コース別の進捗をダッシュボードで一元的に把握でき、状況はCSVで出力できます。期限内に受講が終わっていない人へは自動でリマインドメールが送られるため、未受講者のフォローを手作業で追う負担が抑えられます。料金は受講者数に応じた課金体系で、具体額は要問い合わせ、本契約前に試せる無料トライアルも用意されています。
2. JMAM eラーニングライブラリ(株式会社日本能率協会マネジメントセンター)

2010年に定額制へ刷新して以来の運営実績を持つのが、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の「eラーニングライブラリ」です。契約したライブラリ内のコースを期間中いつでも何度でも受講できる受け放題型で、このうちコンプライアンス・情報セキュリティ・ハラスメント防止を体系的に整えたい企業向けに、5領域25コースを束ねた「コンプライアンスeラーニング」パッケージが切り出されています。
情報セキュリティ教育に関わるのは、パッケージ内の「個人情報保護・情報セキュリティ・リスクマネジメント」領域です。個人情報保護と情報セキュリティを合わせて学ぶ基本コースに加え、基礎編・インターネット編・脅威編・業務活用編とセキュリティを段階に分けたコースが並び、法令改正に合わせて内容を更新すると案内されています。
運用面では、必須コースと推奨コースを個別または一括で設定でき、学習期間に応じたフォローアップメールが自動で配信されます。学習状況はレポートとして出力・集計できCSVにも書き出せるほか、修了証は自動発行されます。料金は受講者数に応じた年額で、100名なら年396,000円(1名あたり月330円相当)から、初期費用は0円、最大30日間の無料トライアルがあります。
3. サイバックスUniv.(リスクモンスター株式会社)

与信管理や反社チェックを主力とするリスクモンスターが運営しているのが、会員制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」です。eラーニングとWebセミナーを合わせて約5,000コースを定額で受け放題にできる会費制と、1コース単位で使う従量制の2系統があり、階層別・職種別の研修とコンプライアンス系のコースを幅広くそろえています。
情報セキュリティ教育としては、コンプライアンス研修シリーズのなかに「企業で取り組む情報セキュリティ対策の基礎」(0.5時間)が用意されています。運営元が与信・リスク管理を本業とすることを反映し、内部統制や反社取引管理、インサイダー取引といった隣接領域のコースも同じシリーズにそろう点が持ち味です。
受講の管理は研修ポータル(LMS)で受講案内から結果まで一元化でき、受講時間や進捗率、テスト得点などの履歴をCSVで一括ダウンロードできます。自社オリジナルの理解度テストやアンケートを作成して結果を書き出すこともでき、修了したコースの修了証はPDFで受け取れます。
料金は会費制が入会金50,000円・月額45,000円(1〜50名、いずれも税抜)から、従量制は年会費12,000円に1コース1,000円からを足す形で、1ヶ月の無料お試しが用意されています。
4. インソース(株式会社インソース/LMS「Leaf」)

研修大手の株式会社インソースは、動画教材を販売・配信する「動画百貨店」と、学習管理システム「Leaf(リーフ)」を組み合わせて情報セキュリティ教育を提供しています。動画教材は買い切り(MP4データ納品)・レンタル・LMSでの定額配信から選べ、必要な規模や運用に合わせて導入形態を変えられるのが特徴です。
教材の中身を見ると、「基礎から学ぶコンプライアンス講座」の第2章が情報漏えいをテーマに据え、メールの誤送信や標的型攻撃といった実際に起こりやすいリスクを扱います。ケース映像に弁護士監修の解説を重ねたドラマ型シリーズにも情報セキュリティや生成AIリスクを扱う講座があり、堅い解説が苦手な受講者にも届きやすい構成です。
配信基盤のLeafは、eラーニングだけでなく集合研修やWeb研修も同じ画面で管理でき、受講管理や受講案内、未受講者への自動催促に対応します。テストやアンケートは登録数の制限がなく、eラーニング・集合研修・課題テストの受講履歴はCSVで出力できます。
料金は動画の買い切りが1本198,000円から、レンタルが1名990円から、LeafのクラウドプランはLightningの50IDで月17,875円(税込)からです。
5. manebi eラーニング(株式会社manebi)

約8,000の教材を月額定額で見放題にできるAI搭載のLMS型サービスが、株式会社manebiの「manebi eラーニング」です(旧称は「playse.ラーニング」)。コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティからビジネススキル、プログラミングまでを1つのサービスでカバーし、ドラマ教材・ドリル教材・スライド教材など複数の形式を組み合わせて学べます。
情報セキュリティ教育に関わるテーマは、コンプライアンス研修のラインナップに情報セキュリティそのものに加え、個人情報の取り扱いやSNS投稿の注意点まで含まれています。自社独自の教材を100GBまでアップロードできるため、既存の社内ルール資料をmanebi上に載せて、市販教材と組み合わせて配信する使い方もできます。
管理機能としては、AIが自社に合わせた学習プログラムを提案するコースマップ機能、テスト・アンケート、課題提出、受講管理・効果測定がそろい、受講ランキングなどのゲーミフィケーションで学習を後押しします。
運営元のmanebiはISMS(ISO/IEC 27001)とプライバシーマークを取得済みです。料金は初期費用100,000円に、月額はLITEプランが19,800円(39IDまで定額)から、無料デモも案内されています。
6. AirCourse(株式会社KIYOラーニング)

東証グロースに上場するKIYOラーニングが運営するAirCourseは、動画研修が受け放題のクラウド型LMSです。公式トップでは1,300コース・8,000本以上を掲げ、標準コンテンツライブラリを使いながら、自社オリジナルのコースを動画・スライド・テストを組み合わせて作れるハイブリッド型に仕上げています。
情報セキュリティ教育の面では、コンプライアンスの大カテゴリのなかに情報セキュリティや法令知識のコースが整理され、ランサムウェア攻撃を扱うコースなど時事のリスクに合わせた教材も追加されています。生成AIのリテラシーやプロンプト活用を学ぶコース群もあり、AI利用に伴う情報の取り扱いといった新しい論点まで学習範囲を広げやすいのが利点です。
受講の管理は、進捗レポートや組織階層・グループ単位の管理に対応し、複数のユーザーやグループへ複数コースをまとめて割り当てられます。割り当て時に必須受講・受講期間・自動リマインドを設定でき、ユーザー情報はCSVで一括登録・更新できます。料金は初期費用0円で、月額はベーシックプランが年間契約時に1ライセンス300円から、期限なしのフリープランで試すこともできます。
7. CYAS(株式会社CYLLENGE)

標的型攻撃メール訓練と、eラーニングによるセキュリティ教育を1つのプラットフォームにまとめているのがCYAS(サイアス)です。「メール訓練も、教育も、全部『CYAS』で完結」を掲げ、月10通までなら期限なしの無料プランから使い始められ、通数やユーザー数に応じて有償プランへ段階的に移行できる料金設計を取っています。
標的型攻撃メール訓練では、実際に流行したばらまき型メールをもとにした100種類超のテンプレートを使え、宛先・配信時間・文面を設定して複数の訓練を同時に走らせられます。URLのクリックや添付ファイルの開封をトラッキングして開封を判定し、結果はExcelのレポートとして自動生成されます。事前設定だけで訓練を繰り返し自動実施する自動訓練機能(特許第6889882号)は、プレミアムプランで利用できます。
教育側のeラーニングは、受講期間・講座・理解度テストを組み合わせた受講計画を作成でき、教材ページの閲覧状況まで確認できます。理解度テストは合格するまで繰り返し実施でき、訓練で開封してしまった従業員をそのまま再教育につなげる運用が組めます。料金は訓練がスタンダードの月20通1,100円から、教育が買い切りで100通16,500円(購入から6ヶ月利用可)からです。
8. セキュリオ(LRM株式会社)

ISMS・プライバシーマーク取得コンサルティングを本業とするLRM株式会社が提供するのが、情報セキュリティ向上クラウド「セキュリオ」です。従業員向けのセキュリティ教育を主軸に据えつつ、コンサルティングで培った知見を反映して、ISMS・PMS(個人情報保護マネジメントシステム)の運用実務をクラウド化する機能まで併せ持つ点が、教育に特化したツールとの違いになります。
セキュリティ教育としては、専門家が監修したeラーニングと、標的型攻撃メール訓練の両方を提供します。eラーニングは受講管理・採点・結果集計を自動化でき、メール訓練とあわせて「訓練で気づかせ、教育で学び直す」という流れを1つのクラウド上で回せます。加えて、情報資産管理台帳・リスクアセスメント・内部監査・委託先評価といったISMS運用の実務機能もそろい、教育と認証運用を横断して使えます。
料金は公式サイトでは非公開で、初期費用・月額とも問い合わせが必要です。プランはARライト/スタンダード/アドバンストの3種類が用意され、ARスタンダードでは7日間の無料トライアルを試せます。運営元のLRMは、プライバシー情報マネジメントの国際規格ISO/IEC 27701の認証を取得しており、情報セキュリティの運用支援を手がける会社です。
まとめ
情報セキュリティ教育は、まず教えるテーマ(全社員共通の基礎リテラシーと役割別の応用)を決め、企画から効果測定までの6ステップで計画として回すことが出発点です。実施方法は社内研修・eラーニング・標的型攻撃メール訓練を組み合わせ、確認テストや開封率などの指標で効果を測って改善を重ねると、形骸化を防げます。
教材は無料の公的教材から始められますが、全社員に毎年繰り返し実施し、受講状況や理解度を確実に把握したい段階では、受講管理を備えたeラーニングに任せると運用が楽になります。自社の状況に合わせて、無料と有料を使い分けてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 情報セキュリティ教育は年に何回実施すればよいですか?
A. 情報セキュリティ教育は、少なくとも年1回の定期実施が最低ラインの目安です。プライバシーマーク(JIS Q 15001:2023準拠)の構築・運用指針は「少なくとも年一回、及び必要に応じて適宜に教育を実施する手順」を求めており、ISMS(JIS Q 27001)も定期的な教育・訓練を要求しています。
個人情報保護法のガイドライン(通則編)も手法の例として「定期的な研修等」を挙げているため、認証取得の有無にかかわらず年1回以上を基本とし、制度変更や大きな事故が起きたときは臨時で追加するのが安全です。
Q. 新入社員への情報セキュリティ教育はいつ実施すればよいですか?
A. 新入社員への情報セキュリティ教育は、入社時の導入研修のタイミングで実施するのが基本です。自社のルールと基本動作を業務が本格化する前に押さえてもらうことで、慣れないうちの事故を防げます。その後は全社員共通の定期教育(年1回以上)の対象に加えます。中途入社者も同様に、入社時に基礎リテラシーをまとめて学ぶ機会を設けると、教育の抜け漏れがなくなります。
Q. 情報セキュリティ教育は無料の公的教材だけで足りますか?
A. 少人数で単発の基礎教育なら無料の公的教材だけでも始められますが、全社員に毎年繰り返し実施し受講状況や理解度まで把握したい段階になると、受講管理付きの有料eラーニングに任せたほうが運用は楽になります。IPAの「ここからセキュリティ!」やNISCのハンドブックなど、そのまま使える無料教材は充実しています。
一方で無料教材を配るだけだと、「誰が受講し、どれだけ理解したか」の集計・未受講者の督促・毎年の更新を自社で抱えることになり、対象者が増えるほど手間がかさみます。この運用負担をどこまで許容できるかが線引きの目安です。
Q. 情報セキュリティ教育の効果測定では何を見ればよいですか?
A. 効果測定では、確認テストの正答率・受講率と、標的型攻撃メール訓練を行う場合はその開封率や、不審メールに気づいて報告・対処できた割合を見るのが基本です。IPAは標的型攻撃メール訓練について、開封率を下げることだけでなく「適切な対処が行えるか」まで確認する目的だと説明しています。
特定の数値が公的な合格ラインとして定められているわけではないため、初回の結果を基準に、回を重ねて改善しているかで評価するのが現実的です。
Q. 標的型攻撃メール訓練は必ず実施しなければなりませんか?
A. 標的型攻撃メール訓練は法令で一律に義務づけられているわけではありませんが、フィッシングや標的型メールへの対処を実地で確かめる手段として有効です。知識を教えるだけでは、実際に不審メールを受け取ったときに気づいて対処できるかまでは分かりません。
訓練で開封や報告の行動をデータで把握し、開封してしまった従業員をそのまま再教育につなげると、教育の効果が定着しやすくなります。まずは全社員共通の基礎教育を整えたうえで、フィッシング対策の実効性を高める手段として組み合わせるとよいでしょう。
Q. 小規模な企業でも情報セキュリティ教育は必要ですか?
A. 情報セキュリティ教育は企業規模を問わず必要で、小規模な企業でも実施が求められます。個人情報を扱う事業者は、規模にかかわらず個人情報保護法にもとづく従業者への監督(その具体的な手法として教育)が求められ、攻撃者は対策が手薄になりがちな中小企業も標的にします。
専任の担当を置きにくい場合こそ、無料の公的教材や受講管理付きのeラーニングを活用し、少ない工数で定期教育を回す仕組みをつくるのが現実的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















