取引先から「今後の支払いはでんさいで」と伝えられたり、紙の手形をやめる動きのニュースを目にしたりして、「電子記録債権(でんさい)とは何か」を正確に確かめたい場面が増えています。名前は知っていても、「売掛金の電子化なのか、手形の電子版なのか」まで整理できていない担当者は少なくありません。
背景には、全国銀行協会が2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所での手形・小切手の交換枚数をゼロにする目標を掲げ、その受け皿の一つとして電子記録債権が位置づけられていることがあります。取引の電子化に向けて、まず制度の中身を押さえておく必要があります。
本記事では、電子記録債権の定義から、約束手形・売掛金・ファクタリングとの違い、発生・譲渡・支払の仕組み、メリットと注意点、2026年度末の手形交換廃止への対応、会計処理、そして受け取ったでんさいを支払期日前に資金化する方法までを整理します。
目次
電子記録債権(でんさい)とは
電子記録債権(でんさい)とは、電子債権記録機関の記録原簿に電子的に記録することで発生・譲渡する金銭債権です。ひとことで言えば、紙の手形に代わる電子的な債権であり、証券という「モノ」を発行せず、記録機関のデータとして権利を管理する仕組みです。
法律上の定義は、電子記録債権法(平成19年法律第102号)の第2条に置かれています。
この法律において「電子記録債権」とは、その発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録(以下単に「電子記録」という。)を要件とする金銭債権をいう。
電子記録債権法 第2条第1項(e-Gov法令検索)
所管する金融庁も、電子記録債権を「磁気ディスク等をもって作成される記録原簿への電子記録を発生、譲渡等の効力要件とする金銭債権」と説明しています。権利の内容は、記録原簿に記録された債権記録によって定まります。
ここで押さえておきたいのが、よくある2つの誤解です。1つは「売掛金を電子化しただけのもの」という理解です。しかし売掛金(指名債権)は帳簿上の権利であるのに対し、でんさいは記録機関への電子記録そのものが権利の発生・譲渡の要件になる点で性質が異なります。
もう1つは「まったく新しい別物」という理解です。実際には、紙の手形が抱える紛失・盗難や作成・保管のコストといった問題を解消するために設けられた、手形に近い役割を電子的に果たす仕組みと捉えるほうが実態に合います。
制度としての運用も広がっています。全国銀行協会が設立した「でんさいネット」(株式会社全銀電子債権ネットワーク)では、2025年度のでんさい請求取扱高(発生記録請求金額、手形でいう振出にあたる金額)が50兆915億円、利用者登録数は2025年度末時点で569,854社に達しています。
出典・参考資料(3件)
電子記録債権と手形・売掛金・ファクタリングの違い
ここからは、でんさいを検討するときに最も混同しやすい、約束手形・売掛金・ファクタリングとの違いを整理します。まずは4つを同じ項目で並べて全体像をつかみ、続けて手形・売掛金・ファクタリングそれぞれとの違いを個別に見ていきます。
以下は、約束手形・売掛金・ファクタリング・でんさいの違いを項目別にまとめた比較表です。
| 比較項目 | 形態 | 紛失・盗難リスク | 印紙税 | 分割の可否 | 支払期日の決済 | 支払期日前の資金化 | 譲渡の手続き |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 約束手形 | 紙の証券 | あり(現物の管理が必要) | 課税(記載金額に応じた第3号文書) | 券面額単位で分割不可 | 取立・呈示の手続きが必要 | 手形割引 | 裏書譲渡 |
| 売掛金 | 帳簿上の債権(証券なし) | 現物なし | 不要 | 契約・相手方の同意による | 個別に請求・入金確認 | 原則そのままでは不可 | 債権譲渡(対抗要件が必要) |
| ファクタリング | 売掛債権を売買する取引 | 現物なし | 債権譲渡契約書等に課税の可能性 | 事業者の取扱いによる | 事業者との契約に基づく | 債権売却による現金化そのもの | 債権譲渡契約 |
| でんさい(電子記録債権) | 記録機関の記録原簿への電子記録 | 現物がなく低い | 不要(有価証券に該当しない) | 必要に応じ分割して譲渡可能 | 口座間送金決済で自動的に入金 | でんさい割引(金融機関・専門業者へ譲渡) | 記録機関への譲渡記録 |
※上記は各手段の一般的な特徴の傾向です。個別の取引条件は契約内容や取扱事業者によって異なるため、実際の利用時には各社・金融機関の情報をご確認ください。
電子記録債権と手形の違い
でんさいは、紙の手形が抱える課題を電子的に解決する狙いで生まれたため、手形と役割は近い一方、現物の有無から生じる違いが数多くあります。まず、紙の証券がないため紛失・盗難のリスクや保管・郵送の手間が軽減されます。
コスト面では、約束手形が記載金額に応じて印紙税(第3号文書)の対象になるのに対し、でんさいは有価証券に該当しないため印紙税がかかりません。国税庁も、電子記録債権の受領に関する受取書について次のように示しています。
電子記録債権は、有価証券(財産的価値のある権利を表彰する証券)には該当しないことから、ご照会の受取書は、第17号の1文書には該当しません。
質疑応答事例「電子記録債権の受領に関する受取書」|国税庁(国税庁)
取引の柔軟さも異なります。手形は券面額を単位とするため分割ができませんが、でんさいは必要に応じて債権を分割して譲渡できます。受け取った金額の一部だけを他社への支払いに充てたり、資金化したりすることが可能です。
支払期日の決済方法も違います。手形は取立や呈示の手続きが必要ですが、でんさいは支払期日になると口座間送金決済によって自動的に支払企業の口座から納入企業の口座へ入金されます。納入企業は支払期日当日から資金を利用できるため、取立を待つ手形よりも資金の受け取りがスムーズです。
出典・参考資料(3件)
電子記録債権と売掛金の違い
「でんさいは売掛金を電子化しただけ」と考えられがちですが、両者は権利の成り立ちが異なります。売掛金(指名債権)は、商品やサービスを提供した事実にもとづいて帳簿上に生じる債権で、証券や記録は権利の成立要件ではありません。
一方でんさいは、記録機関の記録原簿への電子記録があってはじめて発生・譲渡の効力が生じます。記録された内容によって金額や支払期日、当事者が明確に定まるため、「債権が本当に存在するのか」「二重に譲渡されていないか」といった確認のコストが抑えられる点が、売掛金との大きな違いです。売掛金をでんさい化するには、当事者が記録機関へ発生記録を行う必要があります。
電子記録債権とファクタリングの違い
ファクタリングは、売掛債権を事業者へ売却して早期に現金化する取引そのものを指します。これに対してでんさいは、支払い・受け取りに使う決済の手段です。両者は「対立する選択肢」ではなく、役割の層が異なります。
実務では、受け取ったでんさいを支払期日より前に資金化したいときに、金融機関や専門業者へ譲渡して割引料を差し引いた金額を受け取る「でんさい割引」を利用します。売掛債権を売買するファクタリングと、でんさいという決済手段を割り引いて資金化することは、対象も手続きも異なると理解しておくと混乱しません。でんさい割引の具体的な方法は、記事後半で解説します。
一方、売掛債権そのものを売却して早期に現金化するファクタリングを、資金調達の選択肢として詳しく知りたい場合は、以下の記事で仕組みや手数料・入金スピードの違いを比較できます。
でんさいの仕組み(発生・譲渡・支払の流れ)
ここからは、でんさいが実際にどのように動くのかを、発生・譲渡・支払の3段階に分けて解説します。それぞれの段階が、電子記録債権法上の「記録」と対応しています。

- 発生:支払企業(債務者)が、取引金融機関のインターネットバンキングなどを通じてでんさいネットの記録原簿に「発生記録」を行うと、でんさいが発生します。手形でいう「振出」にあたる段階です。電子記録債権は、発生記録をすることによって生じます。
- 譲渡:受け取った納入企業(債権者)は、支払いに使ったり資金化したりするために、記録原簿へ「譲渡記録」を行うことででんさいを譲渡できます。必要に応じて債権を分割して譲渡することも可能です。手形でいう「裏書譲渡」にあたります。
- 支払:支払期日になると、口座間送金決済によって支払企業の口座から納入企業の口座へ自動的に入金され、でんさいネットが支払完了を「支払等記録」として記録します。手形のような取立・呈示の手続きは不要です。
発生と譲渡は、いずれも「記録」が効力の要件になっている点が特徴です。電子記録債権法は、発生について「発生記録をすることによって生ずる」、譲渡について「譲渡記録をしなければ、その効力を生じない」と定めています。記録原簿に記録された内容が権利の中身を決めるため、記録が権利そのものと結びついている点が、紙の手形や売掛金と異なります。
でんさいの登場人物(債務者・債権者・電子債権記録機関・銀行)
でんさいの取引には、支払う側と受け取る側の企業に加えて、記録を担う機関と金融機関が関わります。それぞれの役割を押さえると、流れが立体的に理解できます。
- 支払企業(債務者):発生記録を請求し、支払期日に代金を支払う側の企業です。
- 納入企業(債権者):でんさいを受け取り、支払いへの利用・譲渡・資金化を行う側の企業です。
- 電子債権記録機関:記録原簿を備え、発生記録や譲渡記録、債権内容の開示を行う機関です。でんさいネットの説明では、電子記録債権の「登記所」のような存在とされ、主務大臣の指定を受けた専業の株式会社が担います。全国の多くの金融機関が参加するでんさいネットが代表的で、実務ではこれを利用することが多いでしょう。
- 金融機関(窓口・決済):企業と記録機関をつなぐ窓口であり、支払期日の口座間送金決済を担います。
電子債権記録機関は、記録原簿を備え、利用者の請求にもとづき電子記録や債権内容の開示を行なうこと等を主業務とする、電子記録債権の「登記所」のような存在です。主務大臣の指定を受けた専業の株式会社です。
電子記録債権とは|でんさいネット(でんさいネット)
電子記録債権のメリット・デメリット・注意点
でんさいは手形の課題を解消する一方、利用にあたって前提となる条件もあります。ここでは、支払企業・納入企業それぞれのメリットと、導入前に押さえておきたい注意点を整理します。
電子記録債権のメリット(支払企業・納入企業別)
でんさいネットは、でんさいの利点として「コスト削減」「事務負荷軽減」「リスク低減」「資金繰り円滑化」の4点を挙げています。これを立場別に見ると、便益の実感が具体的になります。
支払企業(債務者)側では、手形の作成・押印・郵送や印紙税といった手間とコストが不要になり、支払事務を電子化できます。振出のたびに発生していた紙の管理から解放される点が大きな利点です。
納入企業(債権者)側では、現物の保管が不要で紛失・盗難のリスクが下がるうえ、支払期日には口座間送金決済で自動的に入金されるため取立の手間がありません。さらに、支払期日前でも取引金融機関を通じて資金化できるため、資金繰りの選択肢が広がります。必要な分だけ分割して譲渡・資金化できる柔軟さも、券面額単位の手形にはない特徴です。
電子記録債権のデメリット・利用上の注意点
便益の一方で、でんさいには利用の前提となる条件があります。最も重要なのは、取引先も含めた双方がでんさいを利用できる状態になっている必要があることです。自社だけが対応していても、支払企業・納入企業の双方が記録機関の利用登録を済ませていなければ取引は成立しません。導入を検討する際は、主要な取引先の対応状況を確認しておく必要があります。
コスト面も確認が必要です。印紙税や郵送の負担は減らせる一方、でんさいの利用登録料や発生記録などにかかる手数料は金融機関ごとに定められています。導入時に取引金融機関へ費用を確認しておくと、手形にかかっていたコストとの損得を比較しやすくなります。
また、支払企業が支払不能になった場合のリスクがなくなるわけではない点も、手形と同様に理解しておく必要があります。電子化によって事務やコストの負担は軽くなりますが、取引の与信そのものが保証されるわけではありません。
2026年度末の紙手形交換廃止への対応
でんさいへの関心が高まっている背景には、紙の手形・小切手を段階的に廃止していく金融業界の取り組みがあります。ここでは「いつまでに何が起きるのか」を、公式の方針にもとづいて整理します。
全国銀行協会は、2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所での手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを目標に取り組んでいます。さらに2026年6月には、電子交換所での交換廃止時期を「2027年3月31日」とすることを明確化しました。
全国銀行協会は、2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを目標に取組みを行っています。
紙の手形・小切手 利用廃止へ|全国銀行協会(全国銀行協会)
ここで誤解しやすいのが、「2027年4月1日から手形が一律に使えなくなる」という理解です。この点について、全国銀行協会は次のように明記しています。
2027年4月1日から手形・小切手が使用できなくなるものではありません。ただし、2027年4月1日からは電子交換所を介さない決済となることから、各金融機関において郵送等による相対決済を行う必要があるため、金融機関の判断により、手形・小切手の取扱い可否等が変更となる可能性があります。
電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について|全国銀行協会(全国銀行協会)
「電子交換所での交換の廃止」と「手形そのものの使用可否」は別の話です。4月1日以降は各金融機関が郵送などの相対決済で対応するかを判断するため、実務では取引金融機関の対応方針を確認しておくことが重要になります。
実際、多くの金融機関では2027年3月を待たずに手形・小切手の取扱いを縮小する動きが先行しています。たとえば三菱UFJ銀行は、2025年9月30日をもって手形・小切手の発行受付を終了しました。
このように、「電子交換所での交換廃止(全国銀行協会・2027年3月31日)」と「各金融機関ごとの発行受付終了(時期は金融機関ごとに異なる)」は分けて捉える必要があります。自社の取引金融機関がいつ何を終了するのかを早めに確認し、その受け皿としてでんさいなどの電子的な決済手段への移行を検討しておくとよいでしょう。
出典・参考資料(3件)
電子記録債権の会計処理・仕訳
でんさいを利用する際は、会計処理も押さえておきたいところです。一般に、債権者側は「電子記録債権」、債務者側は「電子記録債務」の勘定科目を用いて処理します。以下は会計実務で用いられる基本的な仕訳の例で、金額や科目は自社の会計方針・取引内容によって調整が必要です。
納入企業(債権者)側の例として、売掛金100万円がでんさいとして発生した場合の仕訳です。売上を計上した時点で「借方:売掛金/貸方:売上」を記帳しており、その売掛金がでんさいに切り替わる場面と考えると起点から追いやすくなります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 1,000,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
支払期日に口座へ入金された場合は、電子記録債権を消し込みます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金(普通預金) | 1,000,000円 | 電子記録債権 | 1,000,000円 |
支払企業(債務者)側は、仕入を計上した時点で「借方:仕入/貸方:買掛金」を記帳しており、その買掛金100万円がでんさいとして発生した時点で「電子記録債務」に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 1,000,000円 | 電子記録債務 | 1,000,000円 |
支払期日に口座から引き落とされた時点で、電子記録債務を消し込みます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 電子記録債務 | 1,000,000円 | 当座預金(普通預金) | 1,000,000円 |
受け取ったでんさいを支払期日前に割り引いて資金化した場合は、受取額と債権額との差額を「電子記録債権売却損」などの科目で処理するのが一般的です。具体的な科目や税務上の取扱いは、顧問税理士や会計士に確認することをおすすめします。
電子記録債権(でんさい)の始め方
でんさいの利用を始めるには、取引金融機関を窓口とした手続きが必要です。おおまかな流れは次のとおりです。
- 対象取引と目的を整理する:どの取引先とのどの支払い・受け取りをでんさいに切り替えるか、狙い(事務負担の軽減、資金繰りの改善など)を明確にします。
- 取引金融機関へ利用を申し込む:でんさいは取引金融機関を通じて記録機関へ利用登録します。金融機関によって手数料やサービス名(インターネットバンキング経由の申込みなど)が異なります。
- 取引先と支払条件を調整する:前述のとおりでんさいは双方の対応が前提のため、取引先にも利用状況を確認し、支払サイトや条件をすり合わせます。
- 社内ルールを整えて運用を始める:発生記録・譲渡記録の担当や承認フロー、会計処理の方法を決め、まずは一部の取引から試験的に運用すると移行がスムーズです。
既存の会計システムや債権管理システムとの連携可否も、事前に確認しておくとよいでしょう。金融機関ごとに使えるチャネル(インターネットバンキング、専用端末など)や費用が異なるため、複数の取引金融機関がある場合は条件を比較して選ぶのが実務的です。
受け取ったでんさいを早期資金化する方法(でんさい割引)
でんさいの利点の一つが、支払期日を待たずに資金化できることです。でんさいネット自身も、メリットとして「取引金融機関で支払期日前に資金化が可能」と明言しています。受け取ったでんさいを支払期日前に金融機関や専門業者へ譲渡し、割引料を差し引いた金額を受け取る方法を「でんさい割引」と呼びます。手形割引のでんさい版にあたり、資金繰りを前倒しで改善したいときに使えます。
でんさい割引の依頼先は、大きく分けて取引金融機関(銀行系)と手形・でんさい割引を専門に扱う事業者(専業のノンバンク系)があります。銀行系は取引実績があれば割引料を抑えやすい一方、審査に時間がかかることがあります。
専業の事業者には、オンライン完結や即日資金化、分割割引など、スピードと柔軟性を備えるところが多く見られます。割引料(年率)や取立料の有無、入金までの日数は事業者によって差があるため、複数を比較して選ぶとよいでしょう。
参考として、でんさい割引に対応する事業者の例を、割引料や入金スピードなどの公表条件で比較します。実際に依頼先を選ぶ際は、割引料だけでなく入金までの日数や手続き方法も含めて見比べるとよいでしょう。
| サービス名 | 栄光商事 | 東信商事 | 事業資金の大黒屋 | イチビル | JFS | リプル | 三及 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 割引料(年率) | 年率3.0〜14.6% | 年率6.0〜15.0% | 年率1.5〜14.8% | 年率2.8%〜 | 年率3.00〜14.90% | 年率2.8〜9.5% | 要問い合わせ(非公開) |
| 割引料以外の手数料 | 割引料以外なし(でんさい割引は手数料・振込料無料との記載) | でんさい決済手数料220円/件・振込手数料770円 | 取立料・手数料・保証料なし | 割引料以外なし(印紙・調査・事務手数料不要) | 原則なし(振込手数料は当社負担/場合により額面の1%以下) | でんさい割引手数料330円 | 割引料・取立料以外なし |
| 入金スピード | 最短即日(15時までの申請で当日) | 最短即日(条件は要確認) | 最短即日(最短15分との表記) | 最短即日(見積り回答は通常5〜30分) | 最短即日(譲渡記録後30分以内に振込) | 最短即日(分割割引は最短10分) | 最短即日(最短30分で現金化) |
| 手続き方法(来店/オンライン) | 来店不要・オンライン完結(全国対応) | 来店または郵送(Web完結の明記なし) | 来店不要・オンライン完結(全国対応) | 来店不要・オンライン完結(PC完結) | 来店不要(スマホ・LINE見積り、郵送契約) | 来店不要(郵送取引が標準、LINE相談) | 来店不要(郵送・電話・FAX。オンライン完結型ではない) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※割引料・手数料・入金条件は2026年9月時点の各社公式サイトの記載にもとづきます。最新の条件は各社にご確認ください。
1. 栄光商事(栄光商事株式会社)

1974年創業の栄光商事は、手形割引・でんさい割引を長年手がけてきた事業者です。でんさいネットに登録された電子記録債権を対象に、割引料は年率3.0〜14.6%を公式に明示しています。15時までに申請すれば申込当日の資金化にも対応しており、期日前の早期資金化を急ぐ企業にとって選択肢になります。
2. 東信商事(東信商事株式会社)

大正期から商業手形割引・でんさい割引を扱う東信商事は、料率の透明性が特徴です。公式のシミュレーションで割引料は年率6.0〜15.0%、でんさいの決済手数料は1件220円と明示しており、事前に負担額を見積もりやすくなっています。申込は来店のほか郵送にも対応しています。
3. 事業資金の大黒屋(株式会社大黒屋)

大黒屋は、でんさい割引を主力サービスの一つに据える1953年創業の事業者です。割引料は年率1.5〜14.8%で、取立料・手数料・保証料が不要と公式に案内しているのが特徴です。オンラインで手続きが完結し、最短即日での資金化にも対応するため、手数料の内訳をシンプルにしたい企業に向いています。
4. イチビル(株式会社イチビル)

「でんさい割引・手形割引のイチビル」を掲げる株式会社イチビルは、でんさい割引の専用ページを設け、電子記録債権の現金化に特化した案内をしています。割引料は年率2.8%〜で、割引料以外の手数料はかからないと明示しています。オンライン完結で最短当日の資金化に対応するため、急ぎの資金調達を想定した設計といえます。
5. JFS(株式会社ジャパン・ファイナンシャル・ソリューションズ)

50年以上の与信ノウハウを持つJFSは、でんさい割引で年率3.00〜14.90%の割引料を提示しています。譲渡記録の完了後30分以内の振込に対応し、1銘柄あたり3億円までと大口にも応じられる点が強みです。まとまった金額のでんさいを迅速に資金化したい企業に適しています。
6. リプル(株式会社リプル)

手形割引を専門としてきたリプルは、でんさい割引にも対応を広げています。割引料は年率2.8〜9.5%、でんさいの割引手数料は330円で、分割割引は最短10分で対応するスピード感が持ち味です。「HOWTOでんさい」など初めての利用者向けの情報も整備しており、手形からの移行を検討する企業が調べながら利用しやすい構成になっています。
7. 三及(株式会社三及)

三及は、手形割引・でんさい割引を全国対応で手がける事業者です(1949年創業)。審査は最短15分、最短30分での現金化に対応し、来店不要で手続きできる点が特徴です。貸金業登録のある事業者として運営されています。割引率は公式サイトで公開されていないため、具体的な条件は問い合わせのうえ確認するとよいでしょう。
ここで取り上げた事業者以外にも、でんさい割引や手形割引に対応する依頼先は数多くあり、割引料・入金スピード・対応範囲はそれぞれ異なります。依頼先の選び方とあわせて幅広く比較したい場合は、以下の記事もご覧ください。
手形割引・でんさい割引の比較|手数料・審査・入金スピードで選ぶ資金化の依頼先
受け取った手形やでんさい(電子記録債権)の支払期日まで資金が寝てしまい、運転資金の確保に頭を悩ませていませんか。手形割引・でんさい割引は、支払期日前の手形やでんさいを金融機関や専門業者へ譲渡し、割引料を差し引いた金額を早期に現金化できる資金…
まとめ
電子記録債権(でんさい)は、記録機関の記録原簿への電子記録によって発生・譲渡する金銭債権で、紙の手形が抱える紛失・盗難や印紙税、取立の手間といった課題を電子的に解消する仕組みです。売掛金の電子化でもファクタリングでもなく、手形に近い役割を電子的に果たす決済手段だと捉えると整理しやすくなります。
2026年度末(2027年3月末)に向けて電子交換所での手形・小切手の交換が廃止される流れの中で、その受け皿としてでんさいへの移行を検討する企業が増えています。受け取ったでんさいは支払期日前に資金化(でんさい割引)することもでき、資金繰りの選択肢を広げられます。
まずは自社の取引金融機関のでんさい対応や、手形の受付終了時期を確認するところから始めるとよいでしょう。より詳しい割引条件を比べたい場合は、複数の依頼先の資料を取り寄せて比較することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 電子記録債権(でんさい)とは何ですか?
A. 電子記録債権(でんさい)とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子的な記録によって発生・譲渡する金銭債権です。紙の証券を発行せず、記録機関のデータとして権利を管理する、紙の手形に近い役割を電子的に果たす仕組みで、電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条に定義が置かれています。
「売掛金を電子化しただけのもの」ではなく、記録機関への電子記録そのものが権利の発生・譲渡の要件になる点が特徴です。
Q. 電子記録債権の読み方・呼び方は?
A. 電子記録債権は「でんしきろくさいけん」と読み、一般には「でんさい」と呼ばれます。「でんさい」は、全国銀行協会が設立したでんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)が取り扱う電子記録債権の呼称として広く定着したもので、記事でも電子記録債権と同じ意味で使われることが多い言葉です。
Q. 電子記録債権は手形と何が違いますか?
A. 電子記録債権は、紙の証券がないため紛失・盗難リスクや印紙税がなく、必要な分だけ分割して譲渡でき、支払期日には口座間送金決済で自動的に入金される点が手形と異なります。手形が抱える現物の管理・印紙税・取立の手間・券面額単位でしか扱えない不便さといった課題を、電子的に解消する狙いで設けられた仕組みです。項目別の詳しい違いは、本記事の比較表をご確認ください。
Q. 電子記録債権(でんさい)に印紙税はかかりますか?
A. 電子記録債権(でんさい)に印紙税はかかりません。でんさいは有価証券に該当しないため、約束手形のように記載金額に応じた印紙税(第3号文書)の課税対象になりません。国税庁も、電子記録債権の受領に関する受取書は印紙税法上の課税文書(第17号の1文書)に該当しないとの見解を示しています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:質疑応答事例「電子記録債権の受領に関する受取書」|国税庁(リンク)
Q. 取引先が対応していなくても電子記録債権(でんさい)は使えますか?
A. 電子記録債権(でんさい)は、支払企業・納入企業の双方が記録機関の利用登録を済ませていないと取引が成立しないため、取引先が未対応のままでは使えません。自社だけが対応していても取引はできないので、導入を検討する際は、主要な取引先のでんさい対応状況をあらかじめ確認しておく必要があります。
Q. 受け取った電子記録債権(でんさい)は支払期日前に資金化できますか?
A. 受け取った電子記録債権(でんさい)は、支払期日を待たずに金融機関や専門業者へ譲渡して資金化できます(でんさい割引)。割引料を差し引いた金額を受け取る手形割引のでんさい版にあたり、資金繰りを前倒しで改善したいときに使えます。依頼先は取引金融機関(銀行系)と手形・でんさい割引を専門に扱う事業者に分かれ、割引料や入金までのスピードに差があるため、複数を比較して選ぶのが得策です。
Q. 電子記録債権(でんさい)の会計処理はどの勘定科目を使いますか?
A. 電子記録債権(でんさい)は、債権者側は「電子記録債権」、債務者側は「電子記録債務」の勘定科目で処理するのが一般的です。発生時に売掛金・買掛金から振り替え、支払期日の決済時に消し込みます。期日前に割り引いて資金化した場合は、受取額と債権額との差額を「電子記録債権売却損」などで処理します。具体的な仕訳例は本記事の会計処理の章を参照し、税務上の取扱いは顧問税理士に確認してください。
Q. 手形廃止に向けて、いつまでに何をすればよいですか?
A. 全国銀行協会は2026年度末(2027年3月31日)に電子交換所での手形・小切手の交換を廃止する方針で、それまでにでんさいなど電子的な決済手段への移行を検討しておくとよいでしょう。ただし、2027年4月1日から手形・小切手が一律に使えなくなるわけではなく、同日以降は各金融機関の判断で取扱いの可否が変わります。
金融機関ごとに発行受付の終了時期は異なる(例:三菱UFJ銀行は2025年9月30日で手形・小切手の発行受付を終了)ため、まずは自社の取引金融機関の対応方針と受付終了時期を確認しましょう。
出典・参考資料(2件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















