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パワハラ6類型とは?該当する例・該当しない例を厚生労働省の定義で解説

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コンプライアンス研修eラーニング比較表(2026年版)

2022年(令和4年)4月から、中小企業を含むすべての事業主に、職場のパワーハラスメント(パワハラ)を防ぐための措置が法律で義務づけられました。ハラスメント防止に取り組む担当者にとっても、自分の言動や受けた言動が該当するか確かめたい一人ひとりにとっても、「この言動はパワハラに当たるのか」を判断する場面は、以前より増えています。その判断の出発点になるのが、厚生労働省が示す「パワハラの6類型」です。

パワハラの6類型とは、身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害の6つを指します。ただし、名前だけを覚えても、実際のケースが該当するかどうかは判断できません。厳しい指導とパワハラの境目がどこにあるのかまで押さえて、はじめて社内の判断に使えます。

本記事では、6類型それぞれの定義と具体例を一覧で示したうえで、正当な業務指導との線引き(厚生労働省が示す「該当する例/該当しないと考えられる例」)を整理します。あわせて、パワハラの成立要件、罰則と法的責任の正確な範囲、6類型に当てはまらなくてもパワハラになりうること、そして実際に相談を受けたときの初動までを扱います。

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パワハラの6類型(名称・定義・具体例の一覧)

厚生労働省は、パワハラに当たりうる代表的な言動を6つの類型に整理しています。まずは、6類型それぞれの名称と、厚生労働省が示す定義(類型名のかっこ内の説明)、代表的な例を一覧で確認します。

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類型身体的な攻撃精神的な攻撃人間関係からの切り離し過大な要求過小な要求個の侵害
厚生労働省が示す定義暴行・傷害脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言隔離・仲間外し・無視業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと私的なことに過度に立ち入ること
どんな言動か殴る、蹴る、物を投げつける人格を否定する暴言、長時間・繰り返しの厳しい叱責別室への隔離、集団での無視遂行不可能な業務や私的な雑用の強制程度の低い仕事だけを命じる、仕事を与えない私的なことへの過度な立ち入り、機微な個人情報の暴露

上の表の定義は、厚生労働省の指針が各類型に付している説明です。ここで挙げた言動は典型的な例にすぎず、実際の判断では、次章で解説する成立要件と、業務指導との線引きをあわせて確認する必要があります。

出典・参考資料(1件)

パワハラの定義と成立する3つの要素

6類型を正しく判断するには、その土台にあるパワハラの定義を押さえる必要があります。職場のパワハラは、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法)第30条の2で、事業主に防止措置が義務づけられています。その具体的な内容を定めた厚生労働省の指針は、パワハラを次の3つの要素で定義しています。

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。

出典:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)|厚生労働省

ポイントは、①から③のすべてを満たす言動がパワハラに当たるという点です。①「優越的な関係を背景とした」言動とは、言動を受けた労働者が、行為者に対して抵抗や拒絶をできない可能性が高い関係を背景に行われるものを指します。

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、社会通念に照らして、業務上の必要性がない、またはその態様が相当でないものを指します。③「就業環境が害される」とは、その言動によって労働者が身体的・精神的な苦痛を受け、就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味します。

逆に言えば、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導は、パワハラには該当しません。この「必要かつ相当な範囲」を超えているかどうかが、次章で扱う業務指導との線引きの基準になります。

ここまでの3つの要素と、適正な業務指導との関係を整理すると次のとおりです。

パワハラ成立の3要素の図解。①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超える、③労働者の就業環境が害される、の3つをすべて満たす言動がパワーハラスメントに該当する。業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導は該当しない。
出典・参考資料(2件)

6類型がすべてではない――対象になる言動と加害者の広がり

ここで注意したいのは、6類型はパワハラを網羅した一覧ではないという点です。パワハラの本質は前述の3つの要素にあり、6類型はその代表的な例を整理したものにすぎません。厚生労働省も、6類型は限定列挙ではないと明示しています。

ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、また、次の例は限定列挙ではないことに十分留意し、4⑵ロにあるとおり広く相談に対応するなど、適切な対応を行うようにすることが必要である。

出典:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)|厚生労働省

つまり、6類型のどれにも当てはまらないように見える言動でも、3つの要素を満たせばパワハラになりえます。「6類型に載っていないから問題ない」という判断は成り立ちません。

もう一つ誤解されやすいのが、パワハラは上司から部下への行為に限られるという思い込みです。①の「優越的な関係」は、職務上の地位が上位の者による言動に限りません。業務上必要な知識や豊富な経験を持つ同僚・部下による言動や、同僚・部下からの集団による行為で抵抗・拒絶が困難なものも含みます。部下から上司、同僚間であっても、優越的な関係を背景としていればパワハラになりえます。

また、顧客や取引先からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)は、6類型とは別に、指針で事業主が配慮することが望ましい取組として整理されています。

出典・参考資料(1件)

どこからがパワハラ?業務指導との線引き(該当例・該当しない例)

実務でもっとも判断に迷うのが、厳しい指導とパワハラの境目です。前述のとおり、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導はパワハラに当たりません。厚生労働省は、6類型ごとに「該当すると考えられる例」と「該当しないと考えられる例」を示しています。以下の対比表で、境目のイメージをつかんでください。

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類型身体的な攻撃精神的な攻撃人間関係からの切り離し過大な要求過小な要求個の侵害
該当すると考えられる例殴打、足蹴りを行う
相手に物を投げつける
人格を否定するような言動を行う(相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む)
業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う
他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行う
相手の能力を否定し罵倒する内容の電子メール等を、当該相手を含む複数の労働者宛てに送信する
自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする
一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる
長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる
新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する
労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる
管理職の労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる
気に入らない労働者に、嫌がらせのために仕事を与えない
労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする
機微な個人情報を、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する
該当しないと考えられる例誤ってぶつかる遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をする
その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をする
新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施する
懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせる
労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる
業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる
労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する労働者への配慮を目的に、家族の状況等をヒアリングする
本人の了解を得て、機微な個人情報を必要な範囲で人事労務部門に伝え、配慮を促す

「該当する例」は、いずれも優越的な関係を背景として行われることが前提です。同じ「強く注意する」でも、遅刻を繰り返す・重大な問題行動を起こしたといった正当な理由があり、その態様が相当な範囲にとどまるなら、指導として認められます。一方で、人格の否定や長時間・繰り返しの叱責のように、業務上の必要性を超えた態様になれば、パワハラと判断されます。

個別のケースは、目的・経緯・頻度・継続性・労働者の受け止めなどを総合的にみて判断される点にも留意が必要です。

実際の裁判でも、業務指導との線引きが問題になった例があります。ある上司が、部下を強く非難するメールを本人だけでなく同じ職場の複数の従業員にも送信しました。裁判所はその表現が侮辱的な言動にあたるとして、損害賠償を認めています(A保険会社上司(損害賠償)事件・東京高裁 平成17年4月20日判決)。

この事案は、上の表にある「相手の能力を否定し罵倒する内容の電子メール等を複数の労働者宛てに送信する」が、実際に違法と判断された例です。指針の例示は、こうした裁判例の判断とも整合する形で線引きの目安を示しています。

出典・参考資料(2件)

パワハラの罰則と法的責任

「パワハラには罰則があるのか」もよく聞かれる論点です。ここは正確な切り分けが必要で、単純に「罰則がある/ない」とは言えません。パワハラ行為そのものや、事業主の防止措置義務の違反そのものに対して、直接の刑事罰(懲役・罰金)は定められていません。措置義務を果たさない事業主に対しては、まず厚生労働大臣による助言・指導・勧告が行われます。

その勧告に従わなかった場合には、労働施策総合推進法第33条第2項に基づき、その旨が公表されることがあります。企業名の公表は、行政上の担保措置として位置づけられています。

厚生労働大臣は、第三十条の二第一項及び第二項(略)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第33条|e-Gov法令検索

一方で、まったく罰則がないわけではありません。厚生労働大臣は事業主に報告を求めることができ(同法第36条に基づく報告徴収)、この報告をしなかったり虚偽の報告をしたりした場合には、同法第41条により20万円以下の過料が科されます。過料は行政上の秩序罰であり、刑事罰(前科がつく罰)とは性質が異なります。

つまり、パワハラ自体への刑事罰はないものの、報告義務に違反すれば過料の対象になる、という切り分けになります。

行政上の措置とは別に、民事上の損害賠償責任が生じます。加害者個人は民法第709条の不法行為責任を、会社は民法第715条の使用者責任を問われる可能性があります。さらに、会社は雇用契約上の職場環境配慮義務(安全配慮義務)に違反したとして、民法第415条の債務不履行責任を問われることもあります。加えて、パワハラによる精神障害は、民事責任とは別の制度として、労働災害(労災)に認定されることがあります。

ここまでの罰則・法的責任を切り分けると、次のとおりです。

パワハラの罰則・法的責任の切り分けの図解。刑事罰はパワハラ行為や防止措置義務の違反そのものには科されない。行政上の措置として、措置義務を怠った事業主には助言・指導・勧告があり、勧告に従わなければ企業名が公表され、報告義務違反には20万円以下の過料が科される。民事上の責任として、加害者個人は不法行為責任、会社は使用者責任・債務不履行責任を問われうる。民事責任とは別の制度として、パワハラによる精神障害は労働災害に認定されることがある。
出典・参考資料(3件)

パワハラに該当したときの対応(初動と相談対応の流れ)

実際にパワハラの相談を受けたときは、事業主が講ずべき措置として指針が示す流れに沿って対応します。厚生労働省の指針は、相談体制の整備と、事案発生時の迅速かつ適切な対応を求めています。おおまかな初動は次のとおりです。

  1. 相談窓口で相談を受け付ける(一次対応)
  2. 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認する
  3. 被害を受けた労働者への配慮のための措置を適正に行う
  4. 行為者に対する措置を適正に行う
  5. あらためて方針を周知・啓発するなど、再発防止に向けた措置を講じる

相談したこと自体を理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。相談者・行為者双方のプライバシーへの配慮も欠かせません。こうした初動を確実に回すには、あらかじめ相談窓口・対応フロー・再発防止策を整えておくことが前提になります。

出典・参考資料(1件)

全社への正しい周知・教育に活用できるハラスメント防止研修eラーニング

6類型と線引きを理解したら、その理解を担当者だけにとどめず、全社員に正しく周知・教育することが、パワハラの予防につながります。防止措置として求められる方針の周知・啓発を、全国の拠点や在宅勤務者を含めて同じ内容で届け、受講記録まで残す手段として、コンプライアンス研修に対応したeラーニングが活用されています。

OneCompliance(株式会社Oyster)

OneComplianceの公式サイト、コンプライアンス研修eラーニングを紹介するページ

OneComplianceは、株式会社Oysterが運営する、コンプライアンス研修に特化したeラーニングサービスです。汎用的な学習管理システムではなく、法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティなどコンプライアンス領域のコンテンツを厚くそろえている点が特徴です。

ハラスメント予防のコースは、対象者に応じて2つ用意されています。管理職向けは9セッション・約70分で、全従業員向けは8セッション・約64分です(2026年9月時点)。いずれもパワハラを含むハラスメント(セクハラ・マタハラ・パタハラ・ケアハラ・SOGIハラ)に加え、オンライン上のハラスメントを扱い、管理職向けでは監督責任・安全配慮義務まで踏み込みます。

近年義務化が進むカスタマーハラスメントについても、別立ての専用コースが用意されています。

運用面では、受講者を指定して期限までに受けてもらう管理者主導の設計が採られており、受講者別・コース別の学習進捗をダッシュボードで一元管理できます。学習セッションごとに確認テストがあり、クリアしないと完了できない仕組みで、受講状況を証跡として残せます。自社の動画やPDFを使った独自コースの配信にも対応しています。誰に・どのコースを・どの頻度で割り当てるかは、導入時に相談しながら設計を進められます。

6類型の理解を全社に広げることが、なぜパワハラの予防につながるのか。コンプライアンス研修を提供する立場からは、次のような現場の実感が語られています。

谷口氏
株式会社Oyster 代表取締役
谷口氏
独自インタビューより

悪意があって違反するケースもゼロではない一方で、「知らなかった」ことで問題が起きる場面も現実にあります。だからこそ、知識と意識をしっかり学べる場を、継続的に提供したいと思ってサービスを作ってきました。

ハラスメント防止をはじめコンプライアンス研修に対応したeラーニングは複数あり、扱うテーマや料金、受講管理の仕組みはサービスごとに異なります。全社への周知・教育の手段を横並びで比較して選びたい場合は、主要なサービスを料金・教材テーマ・選び方の観点で整理した次の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

パワハラの6類型は、身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害の6つです。ただし本質は、①優越的な関係を背景とし、②業務上必要かつ相当な範囲を超え、③就業環境を害する、という3つの要素にあります。6類型はその代表例であって、当てはまらなくてもパワハラになりうる点に注意が必要です。

業務指導との線引きは、厚生労働省が示す「該当する例/該当しないと考えられる例」を基準に、必要かつ相当な範囲を超えているかで判断します。罰則は、パワハラ自体への刑事罰はないものの、措置義務違反への行政措置(勧告・企業名公表)や報告義務違反への過料、さらに民事上の損害賠償責任という形で及びます。まずは6類型と線引きを社内で正しく共有し、全社員への周知・教育につなげることが、予防の出発点になります。

よくある質問(FAQ)

Q. パワハラの6類型とは何ですか?

A. パワハラの6類型とは、厚生労働省の指針が示す、パワーハラスメントに当たりうる代表的な言動を「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つに整理したものです。

ただし6類型は限定列挙ではなく、これに当てはまらない言動でも、パワハラの3要素(①優越的な関係を背景とした②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③就業環境が害される)を満たせばパワハラに該当します。

出典・参考資料(1件)

Q. パワハラの6類型に当てはまらなければ、パワハラではないのですか?

A. パワハラの6類型に当てはまらなくても、①優越的な関係を背景とした②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により③就業環境が害される、という3つの要素を満たせばパワハラに該当します。厚生労働省の指針も、6類型は限定列挙ではないと明示しています。「6類型に載っていないから問題ない」という判断は成り立ちません。

Q. 上司から厳しく叱責された場合、すべてパワハラに該当しますか?

A. 上司の厳しい叱責がパワハラに当たるかは目的と態様によって異なり、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導はパワハラに該当しません。たとえば、遅刻など社会的ルールを欠いた言動を再三注意しても改善しない労働者に一定程度強く注意することは、厚生労働省が「該当しないと考えられる例」として示しています。

一方で、人格を否定する、必要以上に長時間・繰り返し叱責するなど、業務上の必要性を超えた態様になればパワハラと判断されます。

Q. 部下から上司への言動や同僚間の言動も、パワハラの6類型に含まれますか?

A. 部下から上司、あるいは同僚間の言動であっても、優越的な関係を背景としていればパワハラになりえます。「優越的な関係」は職務上の地位が上位の者による言動に限られず、業務上必要な知識や豊富な経験を持つ同僚・部下による言動や、集団で行われ抵抗・拒絶が困難な行為も含むためです。パワハラは上司から部下への行為に限られる、という理解は誤りです。

Q. 顧客や取引先からの迷惑行為(カスタマーハラスメント)も、パワハラの6類型に含まれますか?

A. 顧客や取引先からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)は、職場のパワハラの6類型そのものには含まれません。厚生労働省の指針では、6類型とは別に、事業主が配慮することが望ましい取組として整理されています。6類型の枠内ではないものの、企業として対応が求められる点は変わりません。

Q. パワハラの「過大な要求」と「過小な要求」は何が違うのですか?

A. パワハラの過大な要求と過小な要求の違いは、過大な要求が「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害」であるのに対し、過小な要求は「業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと」である点です。要求の方向は逆ですが、いずれも業務上の合理性を欠く点が共通しており、退職に追い込む目的などがあれば該当しやすくなります。

Q. パワハラ防止法に違反した場合、罰則はありますか?

A. パワハラ行為そのものや防止措置義務の違反そのものに直接の刑事罰(懲役・罰金)はありませんが、「罰則が一切ない」わけではありません。措置義務を果たさない事業主には厚生労働大臣の助言・指導・勧告が行われ、勧告に従わなかった場合はその旨が公表されることがあります(労働施策総合推進法第33条第2項)。

また、厚生労働大臣の報告請求に応じなかったり虚偽の報告をしたりした場合は、同法第41条により20万円以下の過料が科されます。過料は行政上の秩序罰であり、刑事罰(前科がつく罰)とは性質が異なります。

出典・参考資料(1件)

Q. パワハラの加害者には、どのような責任や処分がありますか?

A. パワハラの加害者は、民法第709条の不法行為に基づく損害賠償責任を負うほか、就業規則に基づく懲戒処分の対象になりえます。あわせて会社も、民法第715条の使用者責任や、雇用契約上の職場環境配慮義務(安全配慮義務)違反による同法第415条の債務不履行責任を問われることがあります。行政上の措置とは別に、こうした民事上の責任が生じる点に注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

Q. パワハラの相談を受けたら、まず何をすべきですか?

A. パワハラの相談を受けたときは、まず相談窓口で一次対応を行い、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認することが出発点です。そのうえで、被害を受けた労働者への配慮の措置、行為者に対する措置、再発防止に向けた措置へと進めます。相談したこと自体を理由に解雇その他の不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されており、相談者・行為者双方のプライバシーへの配慮も欠かせません。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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