公益通報者保護法の改正が2026年12月1日に施行されることが決まり、「内部通報制度の義務化」という言葉を目にする機会が増えました。報道では罰則の強化ばかりが強調され、従業員数の多くない自社にも義務が及ぶのか、判断がつかないまま不安だけが残っている担当者も少なくありません。
結論から言えば、内部通報体制の整備が法的な義務となるのは常時使用する労働者が301人以上(300人を超える)の事業者で、300人以下の事業者は現時点でも改正後も努力義務にとどまります。ただし「努力義務だから何もしなくてよい」とは言い切れず、改正で新設される罰則の一部は会社の規模を問わず及びます。
本記事では、内部通報制度が自社にとって義務なのか努力義務なのかを、従業員数の線引きで確認します。そのうえで、2026年12月施行の改正で何が変わり何が変わらないのか、努力義務の企業が最低限どこまで整えればよいのかを整理し、少人数でも運用できる外部窓口・通報受付サービスの選択肢まで解説します。
目次
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中小企業に内部通報制度は義務?従業員数の線引きを一目で確認
内部通報体制を整備する義務があるかどうかは、常時使用する労働者の数で決まります。公益通報者保護法は301人以上(300人を超える)の事業者に体制整備と担当者の指定を義務づけ、300人以下の事業者についてはこれらを努力義務としています。自社がどちらに当たるかを、まず次の表で確認してください。
| 常時使用する労働者数 | 内部通報に対応する体制の整備 | 公益通報対応業務従事者の指定 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 301人以上(300人超) | 義務 | 義務 | 公益通報者保護法11条1項・2項 |
| 300人以下(中小事業者) | 努力義務 | 努力義務 | 同法11条3項 |
「301人以上」と「300人を超える」は同じ意味で、300人以下が努力義務とされているため、義務の対象は300人を超える事業者になります。パート・アルバイトも、繁忙期だけの一時的な増員ではなく常態として使用していれば含めて数えるため、正社員だけでは300人を下回っていても、全体では超えるケースがある点に注意が必要です。
線引きの根拠は同法11条3項で、300人以下の事業者については1項・2項の「定めなければならない」「とらなければならない」を「定めるように努めなければならない」「とるように努めなければならない」と読み替えると規定しています。
3 常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
出典:公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第11条第3項|e-Gov法令検索
出典・参考資料(2件)
- 出典:公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第11条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122)
- 参考資料:公益通報者保護法と制度の概要|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/)
内部通報制度(公益通報制度)とは
内部通報制度は、社内の不正やコンプライアンス違反に気づいた人が、通常の指揮命令ルートとは別の窓口へ通報できるようにする仕組みです。公益通報者保護法は、この通報を理由とする解雇や不利益な取扱いから通報者を守り、事業者に窓口や対応体制の整備を求めています。
通報できるのは、その会社の労働者や派遣労働者、退職して1年以内の人、役員などです。2026年12月の改正後は、業務委託関係にあるフリーランス(および委託終了から1年以内の人)も保護の対象に加わります。通報の対象となるのは、国民の生命・身体・財産などの保護に関わる約500本の法律に定められた、刑事罰や過料の対象となる不正行為です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:公益通報者保護法において通報の対象となる法律について|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/subject/)
2026年12月施行の改正で中小の扱いは変わる?2022年改正との比較
ここからは、2026年12月1日に施行される改正で中小企業の扱いが変わるのかを確認します。体制整備を義務づけたのは2022年6月施行の改正で、今回の改正は公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)として2025年6月に成立し、2026年12月1日から施行されます。2022年改正時点と今回の改正後で、何が変わり何が変わらないのかを表で整理しました。
| 観点 | 2022年6月〜(現行) | 2026年12月1日〜(令和7年改正後) |
|---|---|---|
| 体制整備義務の対象 | 301人以上は義務/300人以下は努力義務 | 変わらず(301人以上は義務/300人以下は努力義務) |
| 保護される通報者 | 労働者・派遣労働者・退職者(1年以内)・役員 | 上記に加え、業務委託中のフリーランス・委託終了後1年以内のフリーランスを追加 |
| 通報を理由とする解雇・懲戒 | 民事上無効(損害賠償等) | 民事上無効に加え、行った者・法人への刑事罰(直罰)を新設 |
| 通報後1年以内の解雇・懲戒 | 通報との因果関係は通報者側が立証 | 通報を理由とするものと推定(事業者側が反証。立証責任の転換) |
| 通報妨害・通報者の探索 | 明文の禁止規定なし | 禁止規定を新設(妨害目的の合意は無効等) |
| 行政の執行手段(301人以上) | 助言・指導・勧告・公表 | 上記に加え、勧告に従わない場合の命令・立入検査を新設 |
表のとおり、改正で強化されるのは通報者の保護と違反への制裁で、体制整備義務の対象となる従業員数の線引き(300人)は改正後も変わりません。300人以下の事業者は、改正後も努力義務のままです。
ただし、通報者の保護を強化する変更(解雇・懲戒への刑事罰、通報後1年以内の解雇・懲戒を通報理由と推定する規定、通報妨害・通報者探索の禁止)は、事業者の規模を問わず適用されます。規模で線引きされるのは、体制整備の義務と、その違反に対する行政の命令・立入検査(いずれも301人以上が対象)です。

注意したいのは、「保護対象の拡大」と「義務の対象の拡大」は別だという点です。改正で範囲が広がるのは、通報しても保護される人の範囲(フリーランスなどの追加)であって、体制整備を義務づけられる事業者の従業員数要件ではありません。消費者庁の改正概要も、公益通報者の範囲拡大と事業者の体制整備義務(300人超)を別々の項目として整理しています。
常時使用する労働者の数が300人超の事業者※2に対し、以下を義務付け
出典:公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の概要(令和8年12月1日施行)「5 事業者の体制整備義務」|消費者庁
① 内部通報の受付・調査等の業務を担う従事者(守秘義務あり)の指定
② 内部通報窓口の設置や内部規程の策定等、公益通報に適切に対応するための体制整備、労働者等に対する周知 等
(※2:事業者には国・地方公共団体を含む。300人以下の事業者は努力義務)
この改正概要は、2026年12月1日施行後の姿を示したものですが、体制整備義務は依然として「300人超が義務・300人以下は努力義務」です。改正で自社が新たに義務化されるのではないか、という中小企業の不安に対しては、従業員数の線引き自体は動かないというのが正確な答えになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法と制度の概要(令和7年改正について)|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/)
改正で新設・強化される罰則
2026年12月の改正で新設される罰則の中心は、公益通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰です。従来は民事上無効となるにとどまっていた報復行為に、直接の刑罰が科されるようになります。改正で新設されるものと、現行から続くものを分けて整理します。
| 違反行為 | 罰則(行為者) | 罰則(法人・両罰) | 新設/継続 |
|---|---|---|---|
| 公益通報を理由とする解雇・懲戒 | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 3,000万円以下の罰金 | 改正で新設 |
| 是正命令違反・立入検査の拒否・報告懈怠/虚偽報告(301人以上) | 30万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 | 改正で新設 |
| 公益通報対応業務従事者の守秘義務違反 | 30万円以下の罰金 | — | 現行から継続 |
ここで中小企業が押さえておきたいのは、罰則が及ぶ範囲の違いです。是正命令違反や立入検査の拒否などに対する罰金は、体制整備が義務づけられる301人以上の事業者を対象とした執行手段で、努力義務にとどまる300人以下には及びません。
一方、公益通報を理由とする解雇・懲戒への直罰は、会社の規模を問わず適用されます。通報を理由とする不利益な取扱いの禁止は、体制整備義務の有無とは関係なくすべての事業者に及ぶためです。努力義務の中小企業であっても、通報した従業員を解雇・懲戒すれば、行為者に6月以下の拘禁刑(懲役・禁錮を一本化した刑)または30万円以下の罰金、法人には両罰規定で3,000万円以下の罰金が科され得ます。
公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)を新設する。法人に対する法定刑を3,000万円以下の罰金とする。
出典:公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要|消費者庁
公益通報対応業務従事者の守秘義務違反に対する30万円以下の罰金は、改正で新設されるものではなく現行法から続く罰則です。「改正で新たに設けられた罰則」と「もともとある罰則」を混同しないよう注意してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要|消費者庁(改正概要PDF)
中小企業が最低限整備すべき内部通報体制のチェックリスト
ここからは、努力義務の中小企業が最低限どこまで整えればよいかを整理します。消費者庁の指針(令和3年内閣府告示第118号)は、義務対象である301人以上の事業者が「とるべき措置」を定めていますが、300人以下の事業者も、この措置項目を自社の規模に合わせて参照することで、実効性のある体制を無理なく組み立てられます。専任の担当部署を置きにくい中小企業でも、最低限そろえたいのは次の4点です。
- 通報を受け付ける窓口を決める(社内窓口に加え、顧問弁護士や専門会社の社外窓口を併設すると通報が上がりやすい)
- 通報対応にあたる公益通報対応業務従事者を、書面など明確な方法で指定する
- 秘密保持・不利益取扱いの禁止・通報者探索の禁止を社内規程に明文化する
- 受付から調査・是正・記録・通報者への結果通知までの流れを決め、全社に周知する
以下、それぞれの項目で押さえるポイントを解説します。
通報窓口の設置(社内/社外)
通報を受け付ける窓口を明確にし、受付から調査・是正までを担う部署と責任者を決めます。指針は、組織の長やその他の幹部から独立して機能する窓口を求めています。社内の人間関係が密な中小企業では、社内窓口だけでは通報が上がりにくいため、顧問弁護士や外部の専門会社に委託する社外窓口を併設すると、通報者が安心して利用できる入口になります。
公益通報対応業務従事者の指定
通報の受付・調査・是正に携わり、通報者を特定させる情報に触れる担当者は、公益通報対応業務従事者として指定します。指針は、本人が守秘義務と罰則の対象になることを自覚できるよう、書面などの明確な方法で指定するよう求めています。
事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くこと(それに伴い法第12条に定める守秘義務が課されること及び法第22条に定める罰則の適用対象となり得ることを含む。)が従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。
出典:公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)|消費者庁
秘密保持・不利益取扱い禁止の規程
通報者が特定される情報を必要な範囲を超えて共有しないこと、通報を理由とする不利益な取扱いを行わないことを、社内規程で明文化します。あわせて、通報者を探索する行為や通報を妨害する行為を防ぐ措置と、違反した場合の懲戒などの対応も定めておきます。規程として明記することが、通報者に「安心して通報してよい」と伝わる裏づけになります。
受付〜調査〜是正〜記録のフローと周知
通報を受け付けてから、事実確認・調査・是正措置・通報者への結果通知までの流れをあらかじめ決めておきます。対応の記録を保管し、定期的に運用状況を点検することも指針が求める措置です。制度は作っただけでは機能しないため、労働者や役員、退職者、フリーランスなど通報できる立場の人へ制度の存在と使い方を周知し、担当者への教育まで含めて運用します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)|消費者庁(法定指針PDF)
努力義務でも整えるべき理由(取引与信・IPO審査・不正の早期発見)
ここからは、努力義務にとどまる中小企業でも内部通報制度を整えておくべき理由を、3つの観点から見ていきます。
不正の早期発見と拡大防止の面では、通報が上がる仕組みがあることで、横領やハラスメント、法令違反を深刻化する前に把握して手を打てます。中小企業では一件の不正やハラスメントが経営に与える打撃が相対的に大きく、外部に告発される前に社内で気づける経路を持つ意味は小さくありません。
取引先の与信・信頼という点でも、取引開始時や継続時に内部統制やコンプライアンス体制を確認される場面が増えており、内部通報の窓口を整えていることは、こうした確認に応えられる材料の一つになります。
上場(IPO)準備を見据える企業では、上場審査で内部管理体制やコンプライアンス体制が問われるため、内部通報の窓口を早い段階で整えておきたいところです。
実際、消費者庁の調査では、上場企業(従業員数301人以上)のほぼ全てが制度を導入していると回答しています。同じ調査では、300人以下の事業者でも47%が導入済みと回答し、前回調査の26%から21ポイント増えました。努力義務であっても、整える企業は着実に増えています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:令和5年度 民間事業者等における内部通報制度の実態調査(実態調査結果概要)|消費者庁(実態調査結果概要PDF)
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少人数でも運用するには:外部窓口委託・内部通報ツールという選択肢
ここからは、専任の担当者を置きにくい中小企業が、現実的に内部通報を運用するための選択肢を紹介します。社内だけで窓口を運用すると、人間関係の近さから通報が上がりにくく、秘密保持にも不安が残りがちです。通報の受付や対応管理を外部の専門会社に委託する「外部窓口」や、受付・案件管理を担うツールを使えば、少人数でも実効性のある体制を持てます。まずは主要なサービスを比較表で確認してください。
| サービス | 完全匿名ヘルプライン | コンプラチェッカー | NHホットライン | 内部通報代行窓口(Zation) | リスクホットライン® | AI通報窓口(NaLaLys) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 受付チャネル | ウェブフォームのみ | ウェブフォームのみ | ウェブ・メール(24時間) 電話(平日10〜18時) | 電話・メール・ウェブ チャットボット・書面 | 電話・メール・ウェブ (平日9〜18時) | AIチャットボット (24時間365日) |
| 匿名対応 | ◎個人特定情報を取得しない | ● | ● | ● | ● | ● |
| 料金目安(中小規模) | 月額3,000円〜(1〜29名) 初期費用30,000円 | 年額9,600円(税込・一律) | 月額15,000円〜 初期費用40,000円 | 月額15,000円〜(100名まで) 初期費用50,000円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 導入実績 | 公表なし | 公表なし | 52社・約900件対応 | 公表なし | 1,200社以上 累計17,000件超 | 公表なし |
| 特徴 | 小規模向けの低価格帯 個人情報を取得しない設計 | 年間一律料金・3ヶ月無料 弁護士の守秘義務で管理 | 内部通報とハラスメント相談を一体 Pマーク・ISMS取得 | 弁護士・社労士のクロスチェック 受付チャネルが豊富 | 2003年開始の老舗・伴走型 調査支援や研修まで一貫 | AIが一次受付・24時間365日 5W1Hで整理・案件管理 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
◎=匿名通報に対応し、個人を特定する情報も取得しない設計/●=匿名通報に対応。料金・仕様は2026年9月時点。導入前に各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
ここからは、それぞれのサービスの特徴を紹介します。料金や受付方法、対応できる規模が異なるため、自社の従業員数と運用体制に合うものを選んでください。
1. 完全匿名ヘルプライン(株式会社リンクファシリティーズ)

完全匿名ヘルプラインは、ウェブフォームで完結する内部通報窓口システムです。運営会社の株式会社リンクファシリティーズは、警察庁の「匿名通報ダイヤル」を受託運営してきた実績を持ち、匿名通報システムを自社開発・自社運用しています。
特徴は、メールアドレスやIPアドレスといった個人を特定する情報を取得しない設計で、通報内容は通報者と会社の担当者しか閲覧できず、運営スタッフも見られない仕組みだと説明している点です。料金は従業員規模別で、1〜29名なら月額3,000円と小規模企業でも導入しやすい水準に設定されています(初期費用30,000円、2026年9月時点)。
2. コンプラチェッカー(アトム法律事務所弁護士法人)

弁護士法人が受け付ける外部通報窓口を、年間一律料金で持てるのがコンプラチェッカーです。自社のホームページに専用のウェブフォームを設置し、寄せられた通報を弁護士の守秘義務のもとで管理します。
料金は従業員数を問わず年額9,600円(税込)の一律で、外部窓口の中でも低価格帯に位置します。3ヶ月間の無料トライアルもあり、複雑な規程整備を伴わずに最低限の外部通報の入口を作りたい中小企業に向いた設計です(2026年9月時点)。受付は専用ウェブフォームが中心で、電話などのチャネルや案件管理機能の詳細は公式サイト上では確認できませんでした。
3. NHホットライン(株式会社サザンクルー)

NHホットラインは、内部通報とハラスメント相談の両方を1つの窓口で受け付けられる点が特徴の外部窓口サービスです。法令・コンプライアンス違反やハラスメントの通報を中立的な立場で整理し、企業の担当部署へ報告します。
受付はウェブフォーム・メール(24時間)と電話(平日10:00〜18:00)に対応し、匿名・実名のどちらでも通報できます。プライバシーマークとISMS(ISO/IEC 27001)を取得しており、情報管理体制の裏づけがあります。料金は初期費用40,000円、月額15,000円から(税込)で通報件数の上限はなく、最短1週間で導入できます(2026年9月時点)。
4. 内部通報代行窓口(株式会社Zation)

コールセンター・BPO事業を主力とする株式会社Zationが、受電インフラを活かして提供する内部通報窓口の代行サービスです。弁護士と社会保険労務士の両方が案件を確認するクロスチェック体制を掲げ、公益通報から社内ルール違反、各種ハラスメントまで対応します。
受付チャネルは電話・メール・ウェブフォーム・チャットボット・書面の5種類と幅広く、メールとウェブフォームは24時間365日受け付けます。報告先を社外取締役や監査役に設定でき、英語・中国語への拡張もオプションで用意されています。料金は従業員100名までのスタンダードプランが月額15,000円からで、IPO準備企業への対応もうたっています(2026年9月時点)。
5. リスクホットライン®(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

リスクホットライン®は、企業危機管理を専門とする株式会社エス・ピー・ネットワークが2003年から運営する、内部通報の社外受付窓口の受託運営サービスです。通報の受付から調査支援、通報者・企業双方への対応、レポート作成、再発防止の提案までを一貫して支援する伴走型を掲げています。
公式サイトによると、契約企業は1,200社以上(グループ会社含む)、累計の通報対応は17,000件以上に上ります。法改正やガイドラインの最新情報提供、規程・マニュアルの整備支援、従事者向けの研修まで、内部通報制度の運用全体を支える体制が強みです。料金は公開されていないため、導入時は問い合わせでの確認が必要です(2026年9月時点)。
6. AI通報窓口(株式会社NaLaLys)

AI通報窓口は、AIチャットボットが通報の一次受付を担う、比較的新しいタイプのサービスです。「AIコンプライアンステック」を掲げる株式会社NaLaLysが提供し、24時間365日、通報の初回ヒアリングから内容の整理、レポート作成までをAIが行います。
通報内容を5W1Hで整理して可視化し、記名・匿名を問わず通報者と継続的にやり取りできる点が特徴です。案件はダッシュボードで一元管理します。料金は公開されておらず、導入実績の具体的な数値も公表されていないため、検討時は問い合わせで確認するのが確実です(2026年9月時点)。
ここまで内部通報に特化した専門窓口を紹介してきましたが、リスク管理やコンプライアンスを一元管理し、通報の受付・対応管理まで担うGRCツールという選択肢もあります。内部通報を含めて社内の管理体制を広く比較検討したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
内部通報体制の整備が義務となるのは常時使用する労働者が301人以上の事業者で、300人以下の中小企業は現時点でも2026年12月の改正後も努力義務のままです。改正で拡大するのは保護される通報者の範囲であり、義務の対象となる従業員数の線引きは変わりません。
ただし、通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰は会社の規模を問わず及びます。努力義務の中小企業でも、通報者への報復は重い制裁の対象になり得ます。
取引先からの信頼や不正の早期発見といった観点も踏まえれば、窓口の設置・従事者の指定・秘密保持と不利益取扱い禁止の規程・受付から記録までのフローを、自社の規模に合わせて整えておく意義は小さくありません。少人数で運用が難しい場合は、外部窓口の委託や通報受付サービスの活用も選択肢になります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 内部通報と内部告発は何が違うのですか?
A. 内部通報と内部告発の違いは、通報する相手(通報先)にあります。内部通報は社内に設けられた窓口へ不正やコンプライアンス違反を知らせることを指し、内部告発は行政機関や報道機関など社外へ知らせることを指すのが一般的です。公益通報者保護法は、社内窓口への通報も行政機関などへの通報も、一定の要件を満たせば「公益通報」として通報者を保護の対象にしています。
Q. 中小企業(従業員300人以下)に内部通報制度の設置義務はありますか?
A. 常時使用する労働者が300人以下の中小企業では、内部通報制度の整備は努力義務であり、法的な義務ではありません。 体制整備と公益通報対応業務従事者の指定が義務となるのは常時使用する労働者が301人以上(300人を超える)の事業者で、300人以下の事業者は公益通報者保護法11条3項により努力義務とされています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第11条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122)
Q. 2026年12月の公益通報者保護法改正で、中小企業も内部通報制度が義務化されますか?
A. 2026年12月1日施行の改正でも、体制整備義務の対象となる従業員数の線引き(300人)は変わらず、300人以下の中小企業は引き続き努力義務のままです。 改正で広がるのは保護される通報者の範囲(業務委託中のフリーランスなどの追加)であって、体制整備を義務づけられる事業者の従業員数要件が拡大するわけではありません。「保護対象の拡大」と「義務対象の拡大」は別である点に注意してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法と制度の概要(令和7年改正について)|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/)
Q. 努力義務の中小企業でも、内部通報に関する罰則を受けることはありますか?
A. あります。公益通報を理由に従業員を解雇・懲戒すると、会社の規模を問わず刑事罰の対象になります。
2026年12月の改正で新設される直罰により、行為者には6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人には両罰規定で3,000万円以下の罰金が科され得ます。一方、是正命令違反や立入検査の拒否に対する罰金は、体制整備が義務となる301人以上の事業者を対象とした執行手段で、努力義務にとどまる300人以下の中小企業には及びません。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要|消費者庁(改正概要PDF)
Q. 内部通報制度の義務の基準となる「常時使用する労働者」にはパートやアルバイトも含まれますか?
A. 含まれます。「常時使用する労働者」は正社員だけでなく、パート・アルバイトなど常態として使用している労働者を合わせて数えます。 そのため、正社員だけでは300人を下回っていても、パート・アルバイトを含めた全体で300人を超えると体制整備が義務の対象になります。自社が義務か努力義務かを判断するときは、正社員だけでなく常時使用する労働者の総数で確認してください。
Q. 公益通報対応業務従事者には社内の誰を指定すればよいですか?
A. 公益通報対応業務従事者には、通報の受付・調査・是正に実際に携わり、通報者を特定させる情報に触れる担当者を指定します。 役職や部署そのものではなく、その業務に関与する人が対象です。消費者庁の指針は、本人が守秘義務と罰則の対象になることを自覚できるよう、書面など明確な方法で指定するよう求めています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)|消費者庁(法定指針PDF)
Q. 内部通報の外部窓口とは何ですか?費用の目安はどのくらいですか?
A. 内部通報の外部窓口とは、通報の受付や対応を弁護士・専門会社など社外に委託して設ける窓口のことです。
社内窓口だけでは人間関係の近さから通報が上がりにくい中小企業でも、通報者が安心して利用できる入口になります。費用はサービスにより幅がありますが、通報受付を中心とした外部窓口には年額1万円未満のものから、月額数千円〜1万円台のものまであり、少人数の企業でも導入しやすい選択肢が増えています(2026年9月時点)。
Q. 中小企業は内部通報制度をいつまでに整えればよいですか?
A. 努力義務にとどまる300人以下の中小企業には、内部通報制度を整える法定の期限はありません。 ただし、通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰などは改正が施行される2026年12月1日から会社の規模を問わず適用されます。この施行日を一つの目安に、窓口の設置や規程の整備を進めておくと、通報者への対応で思わぬ制裁を受けるリスクを避けられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















