これから起業する、または創業して間もない段階で日本政策金融公庫の創業融資を検討すると、まず気になるのが「自分の場合、いくらまで借りられるのか」です。事業計画に書く借入希望額も、開業できる事業規模も、この見当がつかなければ決められません。
制度上の融資限度額(公庫の新規開業・スタートアップ支援資金で7,200万円)だけを見ても、実際にその金額まで借りられるわけではありません。借入額は自己資金や事業計画によって決まり、公庫が実際に融資している1件あたりの平均額はもっと小さい水準にとどまります。
本記事では、創業融資の制度上の上限と実態の平均額を公的データで整理します。あわせて、自己資金額から借入の目安を見積もる考え方、借入額を左右する条件、公庫以外(信用保証協会・自治体の制度融資・民間銀行)の限度額の違いまで解説します。事業計画に書く借入希望額の見当をつける材料としてご活用ください。
目次
創業融資はいくらまで借りられる?制度上の上限と実態の目安
ここでは結論から確認します。創業融資の中心となる日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額は、7,200万円です。
ご利用いただける方:新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
出典:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫
資金のお使いみち:新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額:7,200万円
ただし、この7,200万円は制度上の上限であり、誰もがこの金額まで借りられるわけではありません。日本政策金融公庫(国民生活事業)が令和7年度に実行した創業融資は29,320先で1,681億円でした。単純に割ると、1件あたりの平均は約573万円です。上限額と実際の平均額には大きな開きがあり、まずは「上限=借りられる額ではない」という前提を押さえておくことが大切です。
出典・参考資料(1件)

では、自分の場合はいくらが目安になるのでしょうか。次に、自己資金額から借入の目安を見積もる考え方を示します。
自己資金額から借入額の目安を見積もる早見表
借入額の目安は、2つの見方を組み合わせると見当がつけやすくなります。1つは「開業に必要な資金の総額から自己資金を引いた不足分」で、これが借入希望額を決める出発点です。もう1つが、実際の開業データから見た「自己資金に対する借入の水準」です。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業した企業の自己資金は平均279万円、金融機関等からの借入は平均827万円でした。開業費用は平均975万円、中央値600万円です。この借入827万円は公庫だけでなく全金融機関からの借入の合計で、後述する公庫1件あたりの平均(約573万円)とは母集団が異なります。
出典・参考資料(1件)
この全金融機関ベースの平均どうしを比べると、借入額は自己資金の約3倍にあたります。あくまで平均値の集計上の比率で、一人ひとりにこの倍率が保証されるわけではありませんが、自己資金から大まかな出発点をつかむ目安になります。下表は、この約3倍を当てはめた、全金融機関からの借入合計のおおよその目安です。
| 100万円 | 200万円 | 300万円 | 500万円 | |
|---|---|---|---|---|
| 全金融機関からの借入合計の目安(自己資金の約3倍) | 300万円程度 | 600万円程度 | 900万円程度 | 1,500万円程度 |
※新規開業実態調査(2025年度)の借入平均827万円・自己資金平均279万円の集計比(約3倍)から外挿した、全金融機関からの借入合計の目安です。公庫だけで見た場合は1件あたりの平均が約573万円(後述)で、この表より小さくなる傾向があります。自己資金が多いほど事業計画次第で頭打ちになりやすく、実際の額は事業計画・審査により変わります。
実際に借入希望額を決めるときは、まず開業に必要な資金を積み上げ、次に自己資金を差し引いた不足分を出発点にし、最後に上の目安と照らして無理がないかを確認する、という順序が現実的です。次に、この目安の土台になる平均額そのものの見方を整理します。
実際にはいくら借りている?公庫の平均融資額を統計別に整理
「創業融資の平均額」として紹介される数字には、母集団の異なる2つの統計が混ざっています。ここを区別しないと、同じ「平均」でも金額が食い違って見えて混乱します。

①公庫の創業融資実績(1件あたりの平均融資額)
1つ目は、日本政策金融公庫が実行した創業融資1件あたりの平均です。国民生活事業の令和7年度の創業融資実績(創業前および創業後1年以内)は29,320先で1,681億円、1件あたりの平均は約573万円になります。前年度の令和6年度は28,032先で1,503億円、1件あたり約536万円でした。創業融資先数は3年連続で増加しています。
②新規開業実態調査(開業企業1社あたりの借入総額)
2つ目は、開業した企業がすべての金融機関から借りた総額の平均です。前述の「2025年度新規開業実態調査」では、金融機関等からの借入が平均827万円で、これは開業時の資金調達額(平均1,219万円)の67.9%を占めます。この数字は公庫以外からの借入も含む1社あたりの調達総額なので、①の「公庫が1件に貸した平均」より大きくなります。
「創業融資の平均は約800万円」という説明と「約540万円」という説明が両方見られるのは、この母集団の違いによるものです。自分の借入目安を考えるときは、公庫1件あたりの平均(約573万円)と、開業企業の借入総額の平均(約827万円)を分けて捉えると、金額の感覚を掴みやすくなります。
自己資金をもとに事業計画を具体化する段階では、金融機関への相談を通じて自社の状況に合った金額を詰めていくことになります。
借りられる額を左右する条件(自己資金・事業計画・経歴・資金使途・業種)
制度上の上限と実際の借入額に開きが出るのは、融資額が申込者ごとの条件で判断されるためです。ここでは、借入できる額を左右する主な条件を整理します。自分の目安を早見表から上下に補正する材料になります。
自己資金の額と割合
自己資金は、借入額を左右する最も基本的な要素です。金額そのものだけでなく、開業に必要な資金に対してどれだけ自分で用意できているかという割合も見られます。自己資金が多いほど、事業への準備の度合いや返済の余力が評価されやすく、借入できる額の上限も広がりやすくなります。反対に自己資金が乏しいと、同じ事業計画でも借入希望額が減額されやすくなります。
事業計画書・収支計画の質
創業時は過去の実績がないため、事業計画書と収支計画が返済能力を判断する中心的な材料になります。売上の見込みが根拠のある数字で示され、そこから返済原資が確保できると読み取れる計画であるほど、希望額に近い融資が受けられる可能性が高まります。逆に、必要資金の内訳や売上根拠が曖昧だと、希望額から減額されることがあります。
経営者の経歴・同業経験
これから始める事業と関連する実務経験があるかどうかも、審査で見られる要素です。同業での勤務経験や、事業に直結する資格・実績があると、事業の実現性を裏づける材料になります。未経験の分野で開業する場合は、その分を補う準備(研修の受講、専門家との連携、綿密な計画)を示すことが、借入額の確保につながります。
資金使途(設備資金・運転資金)と妥当性
借入額は「何にいくら使うか」の妥当性でも判断されます。新規開業・スタートアップ支援資金では、返済期間が設備資金は20年以内、運転資金は10年以内(いずれも据置期間5年以内)と定められており、設備資金と運転資金では扱いが異なります。設備の見積書や運転資金の必要月数など、資金使途の内訳を具体的に示せると、必要額に見合った融資を受けやすくなります。
業種による必要資金の傾向
必要になる資金は業種によっても傾向が分かれます。店舗の内装や設備投資が大きい飲食業・美容業・製造業などは開業時に必要な資金が大きくなりやすく、その分だけ借入希望額も大きくなる傾向があります。一方、在宅や小規模で始められる業種は必要資金を抑えやすくなります。自分の業種で開業に何がいくら必要かを積み上げたうえで、借入額を検討することが実態に即した見積もりにつながります。
2024年度以降の創業融資制度と自己資金要件
創業融資の「いくらまで」を調べると、古い制度名や自己資金要件を前提にした情報も見つかります。現行制度は近年大きく変わっているため、最新の内容を押さえておきましょう。
「新創業融資制度」の廃止と「新規開業・スタートアップ支援資金」への一本化
かつて創業者向けには、無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」が別枠で用意されていました。この枠は2024年度の制度拡充で見直され、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化されています。さらに2025年3月には、名称も従来の「新規開業資金」から変わりました。
2025年3月より、「新規開業資金」は、スタートアップの方にもご利用いただけることを分かりやすくするため、「新規開業・スタートアップ支援資金」に名称が変わりました。
出典:「新規開業・スタートアップ支援資金」に関するお知らせ|日本政策金融公庫
2024年度の自己資金要件の撤廃
もう一つの大きな変更が、自己資金要件の撤廃です。かつての無担保・無保証人の枠では「創業資金総額の10分の1以上の自己資金があること」が要件でしたが、2024年度の拡充でこの要件はなくなりました。あわせて、無担保・無保証人で利用する場合の融資限度額も3,000万円(うち運転資金1,500万円)から7,200万円(うち運転資金4,800万円)へ引き上げられています。
[要件]2023年度:創業時において、創業資金総額の1/10以上の自己資金があること等 → 2024年度:なし
出典:「スタートアップサポートプラザ」の新設について(別紙 参考3)|日本政策金融公庫(2024年4月1日)
[融資限度額]2023年度:3,000万円(うち運転資金1,500万円) → 2024年度:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
自己資金ゼロの場合はいくらが現実的か
要件として自己資金が求められなくなったことで、制度上は自己資金がなくても申し込めます。ただし、自己資金は事業への準備の度合いや返済の余力を示す材料として審査で見られる点は変わりません。自己資金がゼロに近いと、事業計画の裏づけがより厳しく問われ、借入できる額も小さくなりやすいのが実情です。要件がなくなったことと、自己資金なしで希望額を借りられることは別だと考えておくのが現実的です。
公庫以外だといくらまで?信用保証協会・制度融資・民間銀行の違い
創業融資の中心は日本政策金融公庫ですが、借入先はほかにもあります。それぞれ限度額や条件が異なるため、公庫と比べながら整理します。
信用保証協会の保証付き融資(創業関連保証・スタートアップ創出促進保証)
信用保証協会の保証を付けて金融機関から借りる方法もあります。創業者向けの「創業関連保証」と「スタートアップ創出促進保証」は全国の信用保証協会に共通する制度で、保証限度額はいずれも3,500万円です。スタートアップ創出促進保証は、経営者が会社の借入の連帯保証人にならなくてよい(経営者保証が不要な)点が特徴です。
ただし注意したいのは、自己資金要件です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では自己資金要件が撤廃されました。一方、信用保証協会の創業関連保証では、創業予定の方や税務申告を1期終えていない方について、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が今も必要です。公庫と横並びで考えるときは、この要件の違いを混同しないよう注意しましょう。
自治体の制度融資
自治体の制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が協調して資金を供給する仕組みです。自治体が信用保証料の一部を補助したり、利子の一部を負担したりするため、創業者が利用しやすい条件になっているのが特徴です。限度額は自治体ごとに異なり、たとえば東京都の中小企業制度融資『創業』では融資限度額3,500万円、信用保証料の2分の1を都が補助する内容になっています。
出典・参考資料(1件)
民間銀行・ネット銀行の事業者向け融資
都市銀行・地方銀行やネット銀行も、事業者向けの融資(ビジネスローン)を提供しています。ただし民間銀行の融資は、決算実績や業歴を審査の材料にすることが多く、創業直後で実績が乏しい段階では通りにくいのが実情です。創業期は公庫や信用保証協会・制度融資が中心となり、事業が回り始めて決算実績が積み上がってから、民間銀行の融資が現実的な選択肢に入ってきます。
限度額は、ネット銀行の小口の商品で10万円〜1,000万円程度、決算実績があれば1億円規模まで対応する商品もあり、幅があります。具体的な商品の違いは、この後、代表的な商品を比較しながら整理します。
希望額に届かないとき/借入額を増やすためにできること
試算した目安が希望額に届かないときや、少しでも借入額を増やしたいときにできることを整理します。いずれも、事業計画の説得力を高めることが根本にあります。
まず、申込前に日本政策金融公庫の窓口へ事前相談することが有効です。必要書類や計画の詰め方について助言を受けられ、計画の弱い部分を申込前に補強できます。次に、認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士など、国が認定した支援機関)のサポートを受ける方法があります。事業計画の作成や資金繰りの見通しについて専門的な助言を得られ、計画の精度を高められます。
また、公庫の融資だけで希望額に届かない場合は、信用保証協会の保証付き融資や自治体の制度融資と組み合わせる方法もあります。公庫と民間金融機関が同時に融資する協調融資という形もあります。ただし、どの借入先も審査があり、借入総額が自己資金や事業計画に対して過大だと、いずれも減額や否決の対象になります。返済できる範囲で必要額を積み上げることが前提です。
創業後に使える銀行・ネット銀行の事業者向け融資
ここでは、公庫の創業融資が中心となる創業期を過ぎ、事業が回り始めてから選択肢に入る、銀行・ネット銀行の事業者向け融資を紹介します。限度額や対象者、業歴・決算などの条件を比べると、自社の段階に合った借入先が見えてきます。
以下は、創業後の資金調達で使いやすい商品に絞ったスポット比較です。事業資金を借りる金融機関全体の選び方や、審査で見られるポイントまで含めて比較検討したい場合は、次の記事で詳しく解説しています。
| サービス名 | あんしんワイド(GMOあおぞらネット銀行) | PayPay銀行 ビジネスローン | スタービジネスカードローン(東京スター銀行) | 事業性融資dayta(住信SBIネット銀行) | 楽天銀行 ビジネスローン |
|---|---|---|---|---|---|
| 融資限度額 | 10万円〜1,000万円 | 10万円〜1,000万円 | 50万円〜1,000万円 | 50万円〜3,000万円 | 100万円〜1億円 |
| 金利(実質年率) | 年0.9%〜14.0% | 年2.2%〜14.0% | 年4.5%〜14.5% (保証料含む) | 要問い合わせ (借入条件のお知らせで個別通知) | 要問い合わせ (契約時まで非公開) |
| 対象者(法人・個人事業主) | 法人のみ (個人事業主は不可) | 法人・個人事業主 | 個人事業主・法人代表者 | 法人のみ (口座保有・事前通知対象先) | 法人・個人事業主 |
| 業歴・決算などの要件 | 決算書不要 創業初年度から相談可 | 法人は実績2年以上 (決算2期終了) | 要問い合わせ (必要書類は公式未明記) | 決算書不要 (取引データで与信) | 決算書または確定申告書 3期分が必要 |
| 担保・保証人 | 無担保・保証人不要 | 無担保 法人は代表者の連帯保証が必要 | 無担保・保証人不要 (保証会社を利用) | 無担保・保証人不要 | 原則、担保提供と 経営者の連帯保証が必要 |
| 特徴(WEB完結・審査スピード等) | WEB完結・最短2営業日 入出金データで与信 | WEB申込・事務手数料なし | WEB申込・カードローン型で 繰り返し借入可 | オンライン完結・最短当日 運転資金専用 | 融資額最大1億円 事業拡大期向け |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
1. あんしんワイド(GMOあおぞらネット銀行)

GMOあおぞらネット銀行が提供する、決算書の提出が不要で申し込める無担保のビジネスローンです。WEB完結で申し込め、限度額は10万円から1,000万円まで、金利は年0.9%〜14.0%です。決算実績を重視する銀行融資と比べて創業初年度からでも相談しやすい一方、対象は営利法人に限られ、個人事業主は利用できない点には注意が必要です。
2. PayPay銀行 ビジネスローン

PayPay銀行のビジネスローンは、限度額10万円から1,000万円、金利年2.2%〜14.0%の無担保融資です。事務手数料がかからず、法人・個人事業主のいずれも申し込めます。法人は2期分の決算実績が求められるため、事業が動き始めてからの運転・設備資金の調達に向いており、契約時には代表者の連帯保証が必要です。
3. スタービジネスカードローン(東京スター銀行)

東京スター銀行のスタービジネスカードローンは、極度額の範囲で必要なときに必要な分だけ借りられるカードローン型の事業者向け融資です。極度額は50万円から1,000万円、金利は保証料を含めて年4.5%〜14.5%となっています。無担保で利用でき、運転資金の細かな出入りに合わせて機動的に使いたい事業者に向いています。
4. 事業性融資dayta(住信SBIネット銀行)

会計データや入出金データを活用して与信を行う、データ起点のビジネスローンが事業性融資daytaです。決算書を中心とする従来の審査とは異なるアプローチで、限度額は50万円から3,000万円まで対応します。運営会社は2026年8月に住信SBIネット銀行株式会社から株式会社ドコモSMTBネット銀行へ商号が変わりましたが、サービスは継続して提供されています。
5. 楽天銀行 ビジネスローン

融資金額が100万円から1億円までと、ネット銀行の事業者向け融資のなかでは高額帯まで対応するのが、楽天銀行 ビジネスローンの特徴です。その分、申込みには確定した決算書または確定申告書3期分の提出が必要で、原則として担保の提供と経営者の連帯保証が求められます。業歴を積み、まとまった資金を調達する段階に向いた商品で、創業直後よりも事業拡大期に検討したい選択肢です。
上記は銀行・ネット銀行の代表的な商品です。事業が動き始めたあとの資金調達では、審査の柔軟性や融資までのスピードを重視して選びたい場面もあります。ノンバンクを含めたビジネスローンを、金利・即日融資・審査の観点から比較したい場合は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
創業融資の中心となる日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、制度上の融資限度額が7,200万円です。ただしこれは上限であり、公庫が実際に融資している1件あたりの平均は約573万円(令和7年度)にとどまります。
自分の借入目安は、開業企業の自己資金平均279万円・借入平均827万円という実データを土台に、自己資金の約3倍を出発点として、事業計画・経歴・資金使途によって上下すると考えると見当がつけやすくなります。
公庫以外にも、信用保証協会の保証付き融資(限度額3,500万円)や自治体の制度融資があり、事業が回り始めれば民間銀行・ネット銀行の事業者向け融資も選択肢に入ります。まずは自社の必要資金を積み上げ、返済できる範囲で借入希望額を固めることが、無理のない資金調達の第一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q. 創業融資とは何ですか?
A. 創業融資とは、これから起業する人や創業して間もない事業者が、開業や事業運営に必要な資金を借りる融資のことです。中心となるのは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で、過去の決算実績がなくても事業計画をもとに申し込める点が、実績を重視する一般的な銀行融資との違いです。ほかに信用保証協会の保証付き融資や、自治体の制度融資も創業者向けの選択肢になります。
Q. 創業融資で自己資金100万円だと、いくらまで借りられますか?
A. 創業融資で自己資金が100万円の場合、借入の目安はおおよそ300万円程度です。日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業企業の借入平均が自己資金平均の約3倍で、これを当てはめた概算になります。
制度上は自己資金100万円で1,000万円の借入も否定されませんが、実態としては自己資金と釣り合わない大きな希望額は返済能力の面で厳しく見られ、通りにくいのが一般的です。あくまで平均値からの目安であり、実際の額は事業計画や資金使途によって上下します。
出典・参考資料(1件)
Q. 創業融資は自己資金ゼロでも借りられますか?
A. 創業融資は、2024年度に公庫の自己資金要件が撤廃されたため、自己資金がなくても制度上は申し込めます。かつて無担保・無保証人の枠には「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件がありましたが、現在はこの要件はありません。
ただし、自己資金は事業への準備や返済の余力を示す材料として審査で見られる点は変わらず、自己資金がゼロに近いと借入できる額は小さくなりやすい傾向があります。制度上申し込めることと、希望額どおり借りられることは分けて考えておくと安全です。
Q. 創業融資の借入額は法人と個人事業主で違いますか?
A. 創業融資の制度上の融資限度額は、法人でも個人事業主でも同じです。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は法人・個人事業主のどちらも利用でき、限度額(7,200万円)に差はありません。
実際に借りられる額は、事業形態そのものよりも、自己資金・事業計画・経歴・資金使途といった条件で決まります。ただし、法人が借りる場合は原則として代表者個人の連帯保証が問われるケースがあるなど、保証の扱いで差が出ることはあります。
Q. 公庫と自治体の制度融資は併用できますか?希望額に近づきますか?
A. 公庫と自治体の制度融資(信用保証協会の保証付き融資)は併用でき、それぞれの限度額の範囲で借入の合計を増やせる可能性があります。公庫と民間金融機関が同時に融資する協調融資という形もあります。
ただし、どの借入先も個別に審査があり、借入総額が自己資金や事業計画の返済能力に対して過大だと判断されれば、いずれも減額や否決の対象になります。併用ありきで希望額を膨らませるのではなく、返済できる範囲で必要額を積み上げることが前提です。
Q. 創業融資を受けた後、創業後に追加で融資を受けられますか?
A. 創業融資を受けた後でも、事業が計画どおり進み返済実績を積めていれば、追加の融資を受けられる可能性があります。創業時は実績がないため事業計画が審査の中心ですが、創業後は実際の売上・返済状況という実績が判断材料に加わります。当初の計画に沿って着実に返済し、資金使途を説明できる状態を保っておくことが、追加融資や次の借入先(民間銀行・ネット銀行の事業者向け融資)につながります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













