受発注システムを導入しても、受けた注文を販売管理や会計のシステムへ手作業で打ち直していては、二度手間や入力ミスがなくなりません。多くの企業がつまずくのは、受発注システム単体の機能ではなく「既存の社内システムと、どこまで・どうつながるのか」という連携の部分です。
この記事では、受発注システムが在庫・販売管理・会計といった既存システムとどう連携できるのかを整理します。連携できる相手システムの種類、CSV・API・EDIといった連携方式の違い、連携で得られる効果、導入前に確認しておきたい点を順に解説します。読み終えたときに、自社の業務フローのどこをどの方式でつなげばよいかを判断でき、連携を前提に受発注システムを選べる状態になることを目指します。
目次
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受発注システムの連携とは?
受発注システムの連携とは、受発注システムと社内の他システムがデータを自動でやり取りし、同じ情報を何度も手入力する手間をなくす仕組みを指します。受注データや商品・取引先の情報を、販売管理や在庫、会計といったシステムへ橋渡しすることで、一連の業務を一つの流れとしてつなげます。
受発注業務は、単独で完結しているわけではありません。企業の業務は、注文を受ける「受注」から始まり、在庫の引き当て、出荷、請求、会計計上、入金確認へと流れていきます。この一連の工程には、受発注システムのほかに販売管理システムや在庫管理システム、会計システムなど複数のシステムが関わります。
- 受注(受発注システムが取引先からの注文を受け取る)
- 在庫引き当て(販売管理・在庫管理システムが在庫を確保する)
- 出荷(倉庫管理・配送システムが出荷と配送を手配する)
- 請求・会計計上(会計システムが売上と請求を処理する)
- 入金確認(決済・会計システムが入金を消し込む)
連携がなければ、この工程の切れ目ごとに担当者がデータを手入力で引き継ぐことになります。受発注システムを他システムと連携させる目的は、こうした工程間のデータの受け渡しを自動化し、同じ情報の入力を一度で済ませることにあります。
受発注システムと連携できるシステムの種類
ここからは、受発注システムがどんなシステムと連携できるのかを、業務フローの工程に沿って見ていきます。連携先は大きく、販売管理・在庫・基幹系、倉庫・配送系、会計系、決済系の4つに分けて捉えると、自社のどの工程をつなぎたいのかが整理しやすくなります。
この4分類が業務フローのどの工程に位置し、そこでどんなデータをやり取りするのかを、まず全体像で示します。

取引先とデータをやり取りする「EDI」は、連携する相手システムというより、データをやり取りする方式・規約にあたります。そのため本章の相手システムには含めず、次章「連携方式」で扱います。
まず、相手システムごとに「どんなデータが流れるか」を一覧で示します。連携を検討するときは、この「流れるデータ」の単位で自社の業務を見直すと、必要な連携先が見えてきます。
| 連携先システム | 販売管理・在庫管理・基幹システム/ERP | 倉庫管理システム(WMS)・配送/送り状システム | 会計システム | 決済サービス |
|---|---|---|---|---|
| 対応する業務工程 | 受注・在庫引き当て | 出荷・物流 | 請求・会計計上 | 与信・入金確認 |
| 主に流れるデータ | 受注データ、商品マスタ、取引先(得意先)マスタ、単価、在庫数 | 出荷指示データ、ピッキングリスト、送り状(配送伝票)データ | 売上データ、請求データ、仕訳データ | 与信情報、決済・入金データ |
販売管理・在庫管理・基幹システム/ERP
受発注システムの連携先として最も基本になるのが、販売管理システムや在庫管理システム、これらを含む基幹システム・ERP(統合基幹業務システム)です。受発注システムで受けた注文データを販売管理システムへ渡せば、受注登録を二重に行う必要がなくなります。
あわせて、商品マスタ(商品コードや商品名)や得意先マスタ(取引先ごとの情報)、単価、在庫数といった情報を共有することで、注文時点で最新の在庫や単価をもとに処理できます。
特に在庫の連携は、受注と同時に在庫を引き当て、欠品や過剰な注文受付を防ぐうえで効果が大きい部分です。基幹システムやERPとつなぐ場合は、受注だけでなく購買・生産・会計まで含めた業務全体の一元管理につながります。
連携できるかを見極める第一歩は、受け手側である自社の販売管理・会計ソフトが受発注データの取り込みにどう対応するか(CSVインポートやAPIの有無)を確認することです。多くのパッケージソフトはCSV取り込みに対応し、APIを公開している製品もあるため、この対応状況が分かると、どの連携方式が使えるかの見当をつけやすくなります。
倉庫管理システム(WMS)・配送/送り状システム
出荷や物流に関わる工程では、倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)や配送会社の送り状発行システムとの連携が関係します。受注データをもとに出荷指示やピッキングリストを自動で作成し、送り状(配送伝票)データを配送システムへ引き渡せば、出荷準備から発送までの手作業を減らせます。
物量が多い事業者や、複数の配送先・配送業者を扱う事業者ほど、この連携による効果は大きくなります。ただし、受発注システムによっては倉庫・配送系の連携を標準では備えていない場合もあるため、後述する「連携方式」や「導入前の確認事項」とあわせて対応範囲を確かめる必要があります。
会計システム
請求や会計計上の工程では、会計システムとの連携が関わります。受注・出荷の実績データをもとに売上データや請求データを会計システムへ渡すことで、請求書の作成や売上の計上を手作業で転記せずに進められます。仕訳データまで連携できれば、経理部門の月末・月初の処理負担を軽くできます。
会計連携の範囲は製品によって幅があります。売上・請求データをCSVで出力して会計システムに取り込む方法から、勘定科目の設定まで踏まえたデータ連携まで、対応の深さはさまざまです。自社の会計処理のどこを自動化したいかを先に決めておくと、必要な連携範囲を見極めやすくなります。
決済サービス
与信や入金の工程では、決済サービスとの連携が関わります。取引先ごとの与信限度額をもとに、限度額を超える注文に警告を出したり受付を止めたりする制御や、決済・入金データの取り込みによる入金消し込みの効率化が可能になります。BtoB取引では請求後の入金確認や与信管理が業務負荷になりやすいため、この連携が役立つ場面があります。
連携方式(CSV/API/EDI/ミドルウェア)の違いと選び方
連携できる相手システムがわかったら、次は「どうつなぐか」という連携方式です。受発注システムの連携には主に、CSV連携・API連携・EDI・データ連携ミドルウェアという4つの方式があります。それぞれ仕組みと向くケースが異なるため、まず違いを表で整理します。
| 連携方式 | CSV連携 | API連携 | EDI | データ連携ミドルウェア(iPaaS等) |
|---|---|---|---|---|
| 仕組み | データをCSVファイルに出力し、相手システムに取り込む(手動または定期実行) | システム同士がネットワーク経由で自動的にデータをやり取りする仕組み | 取引先との間で、標準化された規約に沿って伝票データを電子的に交換する | 複数システムの間に立ち、データ形式を変換して橋渡しするソフト |
| 向いているケース | まず低コストで連携を始めたい/リアルタイム性が不要な業務 | 受注・在庫などをリアルタイムに同期したい | 継続的に大量の取引がある取引先とつなぐ | 形式の異なる複数システムをまとめてつなぎたい |
| 注意点 | ファイルの出力・取り込みにタイムラグがある。運用ルールを決めないと手作業が残る | 相手システムがAPIに対応している必要がある。開発・設定の費用がかかる場合がある | 取引先の対応が前提。従来の電話回線型EDIは通信手段の見直しが必要(後述) | ミドルウェア自体の導入・運用コストがかかる |
このうち受発注システムでまず比較されることが多いのがCSV連携とAPI連携で、選ぶ分かれ目はリアルタイム性がどれだけ必要かにあります。低コストで始めやすいCSV連携に対し、API連携は受注・在庫を即時に近い形で同期できる分、相手システム側のAPI対応や設定・開発の費用が前提になります。
EDIは、企業間で伝票データを電子的に交換する方式です。JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)は、EDIを「企業や行政機関などがコンピュータをネットワークで繋ぎ、伝票や文書を電子データで自動的に交換すること」と説明しています。継続的に大量の取引がある取引先とのやり取りを効率化できますが、取引先側もEDIに対応している必要があります。
EDIを検討する際に押さえておきたいのが、従来の電話回線を使ったEDIの通信手段が段階的に使えなくなる点です。NTT東日本・NTT西日本は、固定電話網のサービス「INSネット」について、2028年12月31日をもって提供を終了すると公表しています。
あわせて、EDIなどで使われてきた「ディジタル通信モード」(電話回線を通じてデータをやり取りする従来型の通信方式)は2024年1月に終了し、その後は補完策への切り替えが案内されています。
電話回線型のEDIを利用している場合は、インターネット回線を使うEDIなど、別の方式への移行を計画的に検討する必要があります。移行先となるEDIサービスの種類や選び方は、EDIシステム比較21選で対応プロトコルや取引先ごとの違いへの対応とあわせて整理しています。
データ連携ミドルウェア(iPaaSと呼ばれるクラウド型の連携基盤を含む)は、複数のシステムの間に立って、それぞれ異なるデータ形式を変換しながら橋渡しするソフトウェアです。形式の異なる複数システムをまとめてつなぎたい場合に向きますが、ミドルウェア自体の導入・運用コストがかかります。
方式を選ぶときの目安は、リアルタイム性の必要度と、相手システム・取引先の対応状況、かけられる費用の3点です。まずコストを抑えて始めるならCSV連携、在庫や受注を即時に同期したいならAPI連携、取引先との継続的な大量取引ならEDI、というように、自社の業務で何を優先するかで方式を組み合わせて選びます。
受発注システムを連携するメリット
ここからは、受発注システムを他システムと連携させることで得られるメリットを、なぜそうなるのかとあわせて整理します。主なメリットは次の4点です。
1. 二重入力・転記作業がなくなる。連携がなければ、受注データを受発注システムと販売管理・会計システムの両方に入力する必要があります。連携すればデータが自動で引き渡されるため、入力は一度で済みます。手作業の工程そのものが消えることで、担当者の作業時間が減ります。
2. 入力ミスが減り、データの整合性が保たれる。手作業の転記がなくなると、桁の打ち間違いや二重登録といったヒューマンエラーが起きにくくなります。各システムが同じ元データを参照するため、システム間で数字が食い違う事態も避けやすくなります。
3. 情報をリアルタイムに近い形で把握できる。API連携などで受注・在庫が即時に同期されると、最新の在庫状況や受注状況をすぐに確認できます。欠品や納期遅れへの対応が早くなり、意思決定に使える情報の鮮度が上がります。
4. 業務コストの削減につながる。転記やミスの修正にかけていた工数が減ることで、人件費や手戻りのコストを抑えられます。ただし、これらの効果は連携する範囲や方式によって変わります。すべての業務が自動化されるわけではなく、連携できるのはあくまでシステム同士がデータをやり取りできる工程に限られる点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
連携を始める前に確認・注意すべきこと
連携の効果を得るには、導入前の確認が欠かせません。ここでは、ベンダーに問い合わせる前に自社で整理しておきたい確認事項を、そのまま質問の形で挙げます。
- 連携したい既存システム(販売管理・在庫・会計など)は、その受発注システムと連携できるか。標準機能の範囲か、個別の開発・対応が必要か。
- 連携方式は何か(CSV・API・EDI・ミドルウェア)。自社が求めるリアルタイム性に合っているか。
- 連携するデータの範囲はどこまでか(受注データだけか、商品・得意先マスタや在庫、請求データまで含むか)。
- データの更新タイミングはどうなるか(即時か、1日1回のバッチ処理か)。
- 連携にかかる初期費用・追加費用はいくらか。個別対応は別途見積りになるか。
- 導入後、社内で運用できるか(設定変更や運用ルールの整備、担当者への教育が必要か)。
費用面では、CSVでのデータ出力は標準機能でも、ERPや基幹システム、EDI、外部APIとの連携は個別対応(別途見積り)となる製品が少なくありません。「連携できる」と説明されていても、標準の範囲か、追加費用のかかる個別対応かで、導入のハードルは大きく変わります。この境界を早い段階で確認しておくことが重要です。
もう一つ見落としやすいのが、連携で電子的にやり取りする受発注データの保存義務です。電子帳簿保存法では、注文書や見積書などの取引情報を電子的に授受する取引を「電子取引」と定義しており、受発注データをEDIやAPI、CSVで電子的にやり取りする連携は、この電子取引に当たり得ます。同法は、電子取引を行った場合の記録の保存について次のように定めています。
第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)第七条|e-Gov法令検索
電子取引に当たる場合、受発注データは電子のまま保存しておくのが原則です。保存方法の具体的な要件は財務省令(電子帳簿保存法施行規則)や国税庁の公表資料で定められているため、連携の設計時には、保存要件を満たせる形でデータを扱えるかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
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連携に強い受発注システムの選び方と連携対応の実例
ここまでを踏まえ、連携を前提に受発注システムを選ぶときの観点と、実際に基幹システムなどとの連携に対応する製品の例を見ていきます。選ぶときは、次の3点を軸にすると自社に合うかを判断しやすくなります。
- 標準で対応する連携範囲:CSV出力までが標準か、基幹・会計とのデータ連携まで標準で含むか。
- 個別対応の要否と費用:ERP・基幹・EDI・APIとの連携が個別開発(別途見積り)になるか。
- 自社の業務・取引形態との相性:得意先ごとの単価・商品制御や、発注側・受注側の機能分担など、自社の取引に合うか。
ここで取り上げる3製品は、いずれも連携の作り込みに強みを持つ例です。まずCSV連携から小さく始めたい場合や、より軽量なサービスも含めた選択肢の全体像を知りたい場合は、受発注システムの比較まとめもあわせてご覧ください。会計システムとの連携は各社とも個別対応・要確認の範囲が多いため、必要な会計連携の範囲は見積り時に確認するのが確実です。
次の比較表で、連携の観点から3つの製品の対応範囲を整理します。標準で使える連携と、個別対応になる連携の境界に注目してください。
| サービス名 | DX BtoB Web受発注システム | アラジンEC | SI Web Shopping |
|---|---|---|---|
| 標準で対応する連携 | CSVエクスポートで各システムへデータ出力(取込側がCSVに対応していれば販売管理・在庫・会計などへ連携可) | 基幹システム(販売・在庫管理)との連携が前提の設計(アラジンオフィス等) | 基幹システム(商品マスタ・在庫・与信・出荷)との連携前提+決済代行と標準連携(PCI DSS対応) |
| 個別対応が必要な連携 | ERP・基幹システム・外部APIとのデータ連携(別途見積り) | 業界・取引形態に応じた連携の作り込み(個別見積り) | 承認フロー等の作り込み(ソースコード・DB開示で独自拡張可) |
| EDI対応 | 個別対応(既存EDIからの移行・併用は個別相談) | 要問い合わせ(公式に記載なし) | 要問い合わせ(公式に記載なし) |
| 主な特徴 | パッケージ型(非SaaS)。標準(CSV)と個別対応の範囲を明確に区分 | 基幹連携を前面に打ち出すカスタマイズ対応型。得意先別の単価・決済制御に対応 | 発注側・受注側で機能を分離したBtoB受発注対応のECパッケージ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※連携対応は2026年9月時点の各社公式サイト等の公表情報に基づきます。標準/個別対応の範囲や対応可能な連携先は変わることがあるため、詳細は各社にご確認ください。
DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブが提供する、Magento(Adobe Commerce)をベースにしたパッケージ型のBtoB Web受発注システムです。クラウドで提供するSaaS型ではなく、利用する企業のサーバー環境へシステム一式を展開する形態を取り、FAX・電話・メールで行っていた受注業務のWeb化を主な目的としています。取引先ごとに異なる価格や見積条件、注文条件に対応できる設計が特徴です。
連携の面では、標準機能として使えるのはCSVエクスポートによるデータ出力です。ERP連携・基幹システム連携・EDI連携・外部API連携はいずれも個別対応(別途見積り)と公式に案内されており、既存EDIからの移行・併用についても、取引先ごとの運用状況や基幹システム連携の範囲を確認したうえで個別に相談する扱いです。
標準の範囲と個別対応の範囲がはっきり分かれているため、自社に必要な連携がどちらに当たるかを見積り段階で確認しておくとよいでしょう。料金は、標準パッケージが3,000,000円(税抜)、導入サポート・基本パックが1,500,000円(税抜)〜で、これらを合算する構成です(いずれも公式FAQ、2026年8月時点)。
アラジンEC(株式会社アイル)

東証プライム上場の株式会社アイルが提供する、BtoB専用のWeb受発注システムです。FAXや電話で行っていた企業間の受注・発注業務をWeb化し、受けた注文データを基幹システムへ取り込むことを目的としています。基幹システムとの連携を前面に打ち出しており、同社の基幹業務パッケージ「アラジンオフィス」をはじめ、販売管理・在庫管理といった基幹システムと組み合わせて使う設計が前提になっています。
得意先ごとに購入できる商品・単価・決済方法を制御できる点が、一般消費者向けのECカートとの違いです。標準機能に加えて、業界や取引形態に応じたカスタマイズを個別見積りで提供するカスタマイズ対応型のパッケージです。
料金は初期費用が小規模カスタマイズで400万〜800万円、月額費用が7万〜10万円からとされています(公式料金ページ、2026年9月時点。規模により変動)。連携を含めて自社の取引形態に合わせて作り込みたい企業に向いた選択肢です。
SI Web Shopping(株式会社DGビジネステクノロジー)

1996年に国内で初めて発売されたECサイト構築パッケージが、SI Web Shopping です。提供元は株式会社DGビジネステクノロジー(デジタルガレージグループ)で、BtoB受発注サイトの構築にも対応します。プログラムのソースコードやデータベース構造を購入後に開示する設計を取り、独自の拡張や内製化を前提としたカスタマイズ性を確保している点が特徴です。
BtoB受発注では、発注する側(バイヤーサイド)と受注する側(サプライヤーサイド)で機能を分けて提供する設計を取ります。仮注文による在庫引き当てや、与信金額を超えたときの警告・注文不可設定、発注承認者による承認機能などを備えています。商品マスタ・在庫・与信などのデータを既存の基幹システムと連携させることを前提に作られている点が特徴です。
決済面ではPCI DSS対応版を提供し、決済代行サービスと標準で連携できる点も、企業間取引での利用を想定した構成です。料金は公式サイトに具体的な金額の記載がなく、ライセンス価格表の請求・問い合わせで確認する形です(1サイト1ライセンス制、2026年9月時点)。
ここで取り上げたのは、連携の観点で特徴が見えやすい3製品です。連携のしやすさに加えて、費用や機能、取引先にとっての使いやすさまで含めて受発注システム全体を比較検討したい場合は、以下の記事で主要な製品をタイプ別に整理しています。
まとめ
受発注システムの連携は、受注から在庫引き当て、出荷、請求、会計計上までの業務フローを一つの流れとしてつなぎ、二重入力やミスをなくすための仕組みです。連携先は販売管理・在庫・基幹系、倉庫・配送系、会計系、決済系に分けて捉えると、自社のどの工程をつなぎたいかが整理できます。
つなぎ方には、始めやすいCSV連携、リアルタイムに同期できるAPI連携、取引先とつなぐEDI、複数システムを橋渡しするデータ連携ミドルウェアがあり、リアルタイム性・相手の対応状況・費用のバランスで選びます。
製品ごとに、標準で使える連携範囲と個別対応になる範囲の境界が異なるため、導入前にこの境界と、電子取引データの保存といった実務上の注意点を確認しておくことが、連携を前提とした受発注システム選びの鍵になります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 受発注システムの連携とは何ですか?
A. 受発注システムの連携とは、受発注システムと販売管理・在庫・会計などの他システムがデータを自動でやり取りし、同じ情報を何度も手入力する手間をなくす仕組みです。受注データや商品・取引先のマスタを橋渡しすることで、受注から在庫引き当て、出荷、請求、会計計上までの業務を一つの流れとしてつなげます。
連携がないと、受発注システムで受けた注文を販売管理や会計システムへ改めて入力し直すことになり、二度手間や入力ミスの原因になります。
Q. 受発注システムのCSV連携とAPI連携は何が違い、どちらを選べばよいですか?
A. 受発注システムのCSV連携とAPI連携は、データの受け渡し方とリアルタイム性が異なり、費用を抑えて始めるならCSV連携、受注や在庫を即時に同期したいならAPI連携が向きます。CSV連携はデータをファイルに書き出して相手システムに取り込む方式で、多くの製品が標準対応する一方、受け渡しにタイムラグが生じます。
API連携はシステム同士がネットワーク越しに自動でやり取りする方式で即時性が高い反面、相手システム側のAPI対応や設定・開発の費用が前提になります。リアルタイム性の必要度・相手システムの対応状況・かけられる費用の3点で判断してください。
Q. 自社の既存システム(販売管理・会計・在庫)が受発注システムと連携できるかは、どう確認すればよいですか?
A. 既存システムと連携できるかは、受発注システムのベンダーに「その相手システムと、どの方式(CSV・API・EDI)で連携できるか」「標準機能の範囲か、個別の開発・対応が必要か」を具体的に確認するのが確実です。
問い合わせ前に、連携したいシステム名・連携するデータの範囲(受注データだけか、商品や得意先マスタ・在庫・請求データまで含むか)・求める更新タイミング(即時か1日1回のバッチか)を自社で整理しておくと、対応可否と費用を正確に引き出せます。
Q. 受発注システムの連携費用は、標準機能で足りますか?
A. 受発注システムの連携費用は、CSVでのデータ出力までは標準機能でも、ERP・基幹システム・EDI・外部APIとの連携は個別対応(別途見積り)になる製品が少なくありません。「連携できる」と案内されていても、標準の範囲か追加費用のかかる個別対応かで導入のハードルは大きく変わります。自社に必要な連携がどちらに当たるか、初期費用・追加費用がいくらかを見積り段階で確認しておくことが重要です。
Q. EDIとAPIは何が違いますか?
A. EDIとAPIの違いは、EDIが取引先企業との間で標準化された規約に沿って伝票データを電子的に交換する「企業間の仕組み」であるのに対し、APIはシステム同士がデータをやり取りする「つなぎ方の技術」である点です。
EDIは継続的に大量の取引がある取引先とのやり取りを効率化する用途で、相手企業側の対応が前提になります。API連携は社内システム間や対応済みの外部サービスとの即時同期に向き、近年はインターネット回線を使うEDIでAPIの技術が用いられる例もあります。
Q. EDIの2024年問題とは何で、受発注システムの連携にどう影響しますか?
A. EDIの2024年問題とは、従来の電話回線を使ったEDIの通信手段が段階的に使えなくなる問題で、EDIなどで使われてきた「ディジタル通信モード」が2024年1月に終了し、固定電話網サービス「INSネット」も2028年12月31日で提供終了が予定されています。
電話回線型のEDIを利用している場合は、インターネット回線を使うEDIなど別の方式への計画的な移行が必要です。詳しくは本文「連携方式(CSV/API/EDI/ミドルウェア)の違いと選び方」で解説しています。
Q. 受発注システムで連携した受発注データは、電子帳簿保存法上どう保存すればよいですか?
A. 受発注システムで連携して電子的にやり取りした受発注データは、電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たり得るため、原則として電子データのまま保存する必要があります。同法第七条は電子取引を行った場合の取引情報に係る電磁的記録の保存を義務づけており、EDI・API・CSVで注文書などをやり取りする連携はこれに該当し得ます。
保存方法の具体的な要件は財務省令や国税庁の公表資料で定められているため、連携の設計時に保存要件を満たせる形でデータを扱えるかもあわせて確認しておくとよいでしょう(条文は本文で引用しています)。
Q. 小規模な企業でも受発注システムの連携はできますか?
A. 小規模な企業でも受発注システムの連携は可能で、まずは多くの製品が標準対応するCSV連携から、費用を抑えて始めるのが現実的です。リアルタイム性が必須でなければCSV連携でも二重入力を十分に減らせますし、事業の拡大に合わせてAPI連携や基幹システム連携へ広げていく進め方もできます。自社の業務でどの工程の手作業がボトルネックかを見極め、そこから優先してつなぐとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















