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全社的な内部統制の42項目とは?6要素別チェックリスト一覧と評価の進め方

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上場準備や上場後のJ-SOX(内部統制報告制度)対応では、「全社的な内部統制の評価シートを作ってほしい」「監査法人から渡されたチェックリストを埋めてほしい」と求められる場面があります。まず42項目の中身を確認したいと考える担当者は少なくありません。この42項目は、金融庁の実施基準が例として示している「全社的な内部統制に関する評価項目」を、6つの基本的要素ごとに数えた合計です。

本記事では、その42項目を6つの基本的要素ごとに原文のまま一覧で掲載し、記載されている場所(実施基準の参考1)を示したうえで、42項目を自社の評価シートに落として評価を進める方法までを整理します。

42項目の全文を手元に置き、自社の全社的な内部統制の評価に着手するための土台としてご活用ください。評価項目ごとの記録を毎期続ける負担を軽くする手段にも、最後に触れます。

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全社的な内部統制の42項目とは(6つの基本的要素と実施基準の参考1)

全社的な内部統制(ELC:Entity Level Control)は、企業全体に広く影響を及ぼし、企業全体を対象とする内部統制です。J-SOX対応では、まずこの全社的な内部統制を評価し、その結果を踏まえて業務プロセスに係る評価の範囲や方法を決める、というトップダウンの順序で進めます。評価の起点になるため、ここを整理できていないと評価全体の設計が揺らぎます。

この全社的な内部統制を評価するとき、実務では「チェックリスト」と呼ばれる評価シートを使うのが一般的です。ただし「チェックリスト」という言葉は実施基準には出てきません。

基準が示しているのは「財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例」であり、企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」の参考1に掲載されています。実施基準の本文は、この評価項目について次のように述べています。

全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や事業の特性等によって様々であり、企業ごとに適した内部統制を整備及び運用することが求められるが、各基本的要素ごとに、例えば、参考1(財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例)のような評価項目が考えられる。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(2)|企業会計審議会(金融庁)

評価項目は、内部統制の6つの基本的要素(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング、ITへの対応)ごとに示されています。参考1の評価項目を要素ごとに数えると、次のとおり合計42項目になります。

← 横にスクロールできます →
基本的要素統制環境リスクの評価と対応統制活動情報と伝達モニタリングITへの対応合計
評価項目の数134767542

次の章で、各基本的要素の評価項目を原文のまま全文掲載します。

【一覧】6つの基本的要素別・全社統制42項目チェックリスト

以下は、実施基準の参考1に示された42項目を、6つの基本的要素ごとに原文のまま掲載したものです。見出しの数字は読みやすさのために付したもので、原文に項番はありません。各項目は「〜しているか」「〜となっているか」という確認形式になっており、そのまま評価シートの設問として使えます。

統制環境に関する評価項目(13項目)

  1. 経営者は、信頼性のある財務報告を重視し、財務報告に係る内部統制の役割を含め、財務報告の基本方針を明確に示しているか。
  2. 適切な経営理念や倫理規程に基づき、社内の制度が設計・運用され、原則を逸脱した行動が発見された場合には、適切に是正が行われるようになっているか。
  3. 経営者は、適切な会計処理の原則を選択し、会計上の見積り等を決定する際の客観的な実施過程を保持しているか。
  4. 取締役会及び監査役等は、財務報告とその内部統制に関し経営者を適切に監督・監視する責任を理解し、実行しているか。
  5. 監査役等は内部監査人及び監査人と適切な連携を図っているか。
  6. 経営者は、問題があっても指摘しにくい等の組織構造や慣行があると認められる事実が存在する場合に、適切な改善を図っているか。
  7. 経営者は、企業内の個々の職能(生産、販売、情報、会計等)及び活動単位に対して、適切な役割分担を定めているか。
  8. 経営者は、信頼性のある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を識別し、所要の能力を有する人材を確保・配置しているか。
  9. 信頼性のある財務報告の作成に必要とされる能力の内容は、定期的に見直され、常に適切なものとなっているか。
  10. 責任の割当てと権限の委任が全ての従業員に対して明確になされているか。
  11. 従業員等に対する権限と責任の委任は、無制限ではなく、適切な範囲に限定されているか。
  12. 経営者は、従業員等に職務の遂行に必要となる手段や訓練等を提供し、従業員等の能力を引き出すことを支援しているか。
  13. 従業員等の勤務評価は、公平で適切なものとなっているか。

リスクの評価と対応に関する評価項目(4項目)

  1. 信頼性のある財務報告の作成のため、適切な階層の経営者、管理者を関与させる有効なリスク評価の仕組みが存在しているか。
  2. リスクを識別する作業において、企業の内外の諸要因及び当該要因が信頼性のある財務報告の作成に及ぼす影響が適切に考慮されているか。
  3. 経営者は、組織の変更やITの開発など、信頼性のある財務報告の作成に重要な影響を及ぼす可能性のある変化が発生する都度、リスクを再評価する仕組みを設定し、適切な対応を図っているか。
  4. 経営者は、不正に関するリスクを検討する際に、単に不正に関する表面的な事実だけでなく、不正を犯させるに至る動機、原因、背景等を踏まえ、適切にリスクを評価し、対応しているか。

統制活動に関する評価項目(7項目)

  1. 信頼性のある財務報告の作成に対するリスクに対処して、これを十分に軽減する統制活動を確保するための方針と手続を定めているか。
  2. 経営者は、信頼性のある財務報告の作成に関し、職務の分掌を明確化し、権限や職責を担当者に適切に分担させているか。
  3. 統制活動に係る責任と説明義務を、リスクが存在する業務単位又は業務プロセスの管理者に適切に帰属させているか。
  4. 全社的な職務規程や、個々の業務手順を適切に作成しているか。
  5. 統制活動は業務全体にわたって誠実に実施されているか。
  6. 統制活動を実施することにより検出された誤謬等は適切に調査され、必要な対応が取られているか。
  7. 統制活動は、その実行状況を踏まえて、その妥当性が定期的に検証され、必要な改善が行われているか。

情報と伝達に関する評価項目(6項目)

  1. 信頼性のある財務報告の作成に関する経営者の方針や指示が、企業内の全ての者、特に財務報告の作成に関連する者に適切に伝達される体制が整備されているか。
  2. 会計及び財務に関する情報が、関連する業務プロセスから適切に情報システムに伝達され、適切に利用可能となるような体制が整備されているか。
  3. 内部統制に関する重要な情報が円滑に経営者及び組織内の適切な管理者に伝達される体制が整備されているか。
  4. 経営者、取締役会、監査役等及びその他の関係者の間で、情報が適切に伝達・共有されているか。
  5. 内部通報の仕組みなど、通常の報告経路から独立した伝達経路が利用できるように設定されているか。
  6. 内部統制に関する企業外部からの情報を適切に利用し、経営者、取締役会、監査役等に適切に伝達する仕組みとなっているか。

モニタリングに関する評価項目(7項目)

  1. 日常的モニタリングが、企業の業務活動に適切に組み込まれているか。
  2. 経営者は、独立的評価の範囲と頻度を、リスクの重要性、内部統制の重要性及び日常的モニタリングの有効性に応じて適切に調整しているか。
  3. モニタリングの実施責任者には、業務遂行を行うに足る十分な知識や能力を有する者が指名されているか。
  4. 経営者は、モニタリングの結果を適時に受領し、適切な検討を行っているか。
  5. 企業の内外から伝達された内部統制に関する重要な情報は適切に検討され、必要な是正措置が取られているか。
  6. モニタリングによって得られた内部統制の不備に関する情報は、当該実施過程に係る上位の管理者並びに当該実施過程及び関連する内部統制を管理し是正措置を実施すべき地位にある者に適切に報告されているか。
  7. 内部統制に係る開示すべき重要な不備等に関する情報は、経営者、取締役会、監査役等に適切に伝達されているか。

ITへの対応に関する評価項目(5項目)

  1. 経営者は、ITに関する適切な戦略、計画等を定めているか。
  2. 経営者は、内部統制を整備する際に、IT環境を適切に理解し、これを踏まえた方針を明確に示しているか。
  3. 経営者は、信頼性のある財務報告の作成という目的の達成に対するリスクを低減するため、手作業及びITを用いた統制の利用領域について、適切に判断しているか。
  4. ITを用いて統制活動を整備する際には、ITを利用することにより生じる新たなリスクが考慮されているか。
  5. 経営者は、ITに係る全般統制及びITに係る業務処理統制についての方針及び手続を適切に定めているか。

以上の42項目が、全社的な内部統制の評価シートの出発点になります。原文はいずれも金融庁が公表している実施基準の参考1で確認できます。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 参考1「財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例」|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

42項目を自社のチェックリストに落とし込む(評価項目と評価範囲の確定)

ここからは、42項目を実際の評価に使うための準備を整理します。42項目はそのまま全社で埋めるものではなく、自社に合わせて評価項目を確定し、どの範囲・どの単位で評価するかを先に決めるところから始まります。

項目の確定と加除修正の可否

42項目は、あくまで実施基準が示した「例」です。参考1には、企業の環境や特性によって評価項目は異なるため、必ずしもこの例によらない場合があること、また、この例による場合でも適宜加除修正があり得ることが注記されています。

全社的な内部統制に係る評価項目の例を示したものであり、全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や特性等によって異なると考えられることから、必ずしもこの例によらない場合があること及びこの例による場合でも、適宜、加除修正がありうることに留意する。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 参考1(注)|企業会計審議会(金融庁)

したがって、42項目をベースにしながら、自社で重要な論点を項目として足したり、抽象的な項目を自社の実態に合わせた具体的な設問に言い換えたりできます。一方で、削除する場合は、外した理由を合理的に説明できる状態にしておき、監査人と協議しておくのが安全です。重要な評価項目を安易に外すと、全社的な内部統制の評価が十分かどうかを問われるためです。

評価範囲(原則すべての事業拠点)

全社的な内部統制の評価範囲は、業務プロセスの評価範囲とは決め方が異なります。業務プロセスのように売上高などで評価対象を絞り込むのではなく、原則としてすべての事業拠点を全社的な観点で評価します。

なお、全社的な内部統制については、以下の「業務プロセスに係る評価の範囲の決定」において記述する手順により評価の範囲を決定する対象には含まれず、原則として、全ての事業拠点について全社的な観点で評価することに留意する。ただし、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点に係るものについて、その重要性を勘案して、評価対象としないことを妨げるものではない。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.2(2)|企業会計審議会(金融庁)

財務報告への影響が僅少な事業拠点は評価対象から外すこともできます。実施基準は、その判断の例として「売上高で全体の95%に入らないような連結子会社」を僅少なものとして評価対象から外す取扱いを挙げています。

ただしこれは例示であり、比率を機械的に当てはめてよいものではありません。実施基準は、この点を次のように注記しています。

「財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点」の判断については、例えば、売上高で全体の95%に入らないような連結子会社は僅少なものとして、評価の対象からはずすといった取扱いが考えられるが、その判断は、経営者において、必要に応じて監査人と協議して行われるべきものであり、特定の比率を機械的に適用すべきものではないことに留意する。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.2(2)(注)|企業会計審議会(金融庁)

したがって、95%という数字は僅少性を判断するときの一例にすぎず、基準値のように一律に当てはめる使い方はできません。自社でどの事業拠点まで評価対象とするかは、財務報告への影響の重要性を踏まえ、監査人と協議して決めます。

子会社・事業部単位の扱い

全社的な内部統制は、基本的には企業集団全体を対象とします。ただし、子会社や事業部に独特の歴史・慣習・組織構造があり、別途評価するのが適切な場合には、その子会社や事業部のみを対象とした全社的な内部統制を評価することもあります。

全社的な内部統制は企業全体に広く影響を及ぼし、企業全体を対象とする内部統制であり、基本的には企業集団全体を対象とする内部統制を意味する。ただし、企業集団内の子会社や事業部等に独特の歴史、慣習、組織構造等が認められ、当該子会社や事業部等を対象とする内部統制を別途評価対象とすることが適切と判断される場合には、個々の子会社や事業部等のみを対象とする全社的な内部統制を評価することもある。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(2)|企業会計審議会(金融庁)

どの子会社・事業部の単位で評価するかは、経営者が財務報告への影響の重要性を勘案して判断します。子会社に対して親会社の42項目をそのまま使うのか、現地の実態に合わせてチェックリストを見直すのかも、この判断の一部です。グループ会社が多い企業ほど、親会社と子会社で評価項目や評価体制をどう揃えるかが実務の負担になります。

整備状況・運用状況の評価と開示すべき重要な不備の判定

評価項目と評価範囲を確定したら、各項目について整備状況と運用状況を評価し、いつの時点で評価するかを押さえたうえで、見つかった不備が「開示すべき重要な不備」に当たるかを判定します。ここでは、その評価の進め方を順に整理します。

全社的な内部統制の評価の進め方を4ステップで示した図。STEP1 評価項目・評価範囲の確定、STEP2 整備状況の評価、STEP3 運用状況の評価、STEP4 開示すべき重要な不備の判定の順に矢印でつながる。

整備状況の評価

整備状況の評価は、内部統制が目的を果たせる形で設計されているかを確かめる作業です。実施基準は、内部統制の不備を「整備上の不備」と「運用上の不備」に分けて、次のように定義しています。

内部統制の不備は、内部統制が存在しない、又は規定されている内部統制では内部統制の目的を十分に果たすことができない等の整備上の不備と、整備段階で意図したように内部統制が運用されていない、又は運用上の誤りが多い、あるいは内部統制を実施する者が統制内容や目的を正しく理解していない等の運用の不備からなる。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.1②(開示すべき重要な不備の判断指針)|企業会計審議会(金融庁)

このうち整備上の不備は、内部統制が存在しない、または規定されている内部統制では目的を十分に果たせない状態を指します。整備状況の評価は、この整備上の不備が無いかを42項目に沿って確認するものと理解できます。

評価の方法として、実施基準は、評価対象となる内部統制全体を理解・分析したうえで、必要に応じて関係者への質問や記録の検証などの手続を実施するとしています。チェックリストに「はい/いいえ」を記録するだけでなく、その根拠となる規程や議事録などの証憑とあわせて確認します。

運用状況の評価

運用状況の評価は、整備した内部統制が設計どおりに実際に運用されているかを確かめる作業です。先ほどの定義のうち「運用の不備」、すなわち整備段階で意図したように運用されていない、運用上の誤りが多い、実施する者が統制内容や目的を正しく理解していない、といった状態が無いかを確認します。整備状況が設計そのものを見るのに対し、運用状況は「設計どおりに動いているか」を見る点が違います。

これを評価シートに落とすと、42項目の各設問に対して、整備状況・運用状況・確認した証憑・不備の有無を列として記録する形になります。1項目分の記入イメージは次のとおりです。

← 横にスクロールできます →
評価項目経営者は、信頼性のある財務報告を重視し、財務報告の基本方針を明確に示しているか(統制環境)
整備状況整備あり(財務報告の基本方針を規程で明文化)
運用状況有効(取締役会で方針を承認・周知)
確認した証憑財務報告基本方針書、取締役会議事録
不備・是正なし

※上記は記入イメージの一例です。評価項目の文言は実施基準の参考1に基づきます。整備状況・運用状況・証憑の記載内容は自社の実態に応じて記録します。

評価時点と前年度評価の扱い

経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として行うものとされています。期末日時点の有効性を判断するために、適切な時期に運用状況の評価を実施します。全社的な内部統制の評価を期末に向けて計画的に進めるのは、この定めがあるためです。

一方で、42項目をすべて毎期ゼロから評価し直さなければならないわけではありません。実施基準は、財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼす項目を除き、前年度の評価結果が有効で整備状況に重要な変更がない項目について、前年度の運用状況の評価結果を継続して利用できるとしています。

その場合は、継続利用する旨を記録しておきます。これにより、運用状況の評価が一定の複数会計期間に一度の頻度で実施されることもあります。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(1)・(2)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

開示すべき重要な不備の判定

評価で見つかった不備が「開示すべき重要な不備」に当たるかどうかは、内部統制報告書の結論に直結します。実施基準は、開示すべき重要な不備を次のように定義しています。

内部統制の開示すべき重要な不備とは、内部統制の不備のうち、一定の金額を上回る虚偽記載、又は質的に重要な虚偽記載をもたらす可能性が高いものをいう。経営者は、内部統制の不備が開示すべき重要な不備に該当するか判断する際には、金額的な面及び質的な面の双方について検討を行う。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.1②(開示すべき重要な不備の判断指針)|企業会計審議会(金融庁)

金額的な面は、虚偽記載が一定の金額を上回る可能性で判断します。質的な面について、実施基準は次のような例を挙げています。

質的な重要性は、例えば、上場廃止基準や財務制限条項に関わる記載事項などが投資判断に与える影響の程度や、関連当事者との取引や大株主の状況に関する記載事項などが財務報告の信頼性に与える影響の程度で判断する。

出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.1②(開示すべき重要な不備の判断指針)|企業会計審議会(金融庁)

全社的な内部統制に特有の進め方として、EY新日本有限責任監査法人の解説では、次の手順が整理されています。まず評価項目ごとに不備を把握し、全事業拠点の不備を基本的要素ごとに集約したうえで、基本的要素ごとに有効性を判断します。全社的な内部統制は企業全体に影響するため、一つの項目の不備が業務プロセスの評価範囲にも影響する点に注意が必要です。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:内部統制 第3回:全社的な内部統制|EY新日本有限責任監査法人 企業会計ナビ(リンク)

全社的な内部統制の評価結果は、販売・購買といった業務プロセスに係る内部統制(PLC)の評価範囲や方法を決める出発点になります。ELCの次の段階にあたるPLCの位置づけや評価の手順を整理したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。

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42項目の評価・記録を効率化する内部統制管理ツール

実施基準は、経営者に対して、評価手続とその結果、発見した不備と是正措置を記録・保存することを求めています。記録の例として「全社的な内部統制の評価にあたって、経営者が採用する評価項目ごとの整備及び運用の状況」が挙げられており、42項目のような評価項目ごとに整備・運用状況を記録・保存しておく必要があります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(7)(評価手続等の記録及び保存)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

この記録を評価項目と証憑を結び付けながらExcelで毎期続けると、ファイルの版管理や子会社分の取りまとめに手間がかかりがちです。

こうした評価項目ごとの記録や証憑の管理、子会社の進捗の取りまとめを、クラウド上で一元化できる内部統制管理ツールもあります。ここでは、全社的な内部統制に対応した機能を持つサービスを1つ取り上げ、その対応範囲を整理します。GRCツール全体を横断して比較・検討したい場合は、以下の関連記事(GRCツールの比較・選び方)もあわせてご覧ください。

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機能・対応項目smoove J-SOX
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smoove J-SOXは、J-SOX対応の内部統制業務をクラウド上で一元管理する、公認会計士監修の国産SaaSです。3点セット(業務フロー・業務記述書・RCM=リスク・コントロール・マトリクス)の作成から、整備状況・運用状況の評価、ロールフォワード評価まで、年間を通じた内部統制業務を一つの画面で扱えます。

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まとめ

全社的な内部統制の42項目は、金融庁の実施基準の参考1に示された「評価項目の例」を6つの基本的要素ごとに数えた合計です。本記事の要点を整理します。

  • 42項目は統制環境13・リスクの評価と対応4・統制活動7・情報と伝達6・モニタリング7・ITへの対応5で構成され、原文は実施基準の参考1で確認できます。
  • 42項目は例示であり、自社の環境や特性に合わせて加除修正できます。ただし削除には合理的な説明ができる状態にしておきます。
  • 全社的な内部統制の評価範囲は原則すべての事業拠点です。僅少な事業拠点は重要性を勘案して外せますが、比率を機械的に適用はできません。
  • 各項目は整備状況と運用状況の両面で評価し、期末日を評価時点とします。一定の条件を満たす項目は前年度の評価結果を継続利用できます。
  • 評価項目ごとの整備・運用状況の記録・保存が求められるため、記録や証憑の管理をクラウドで効率化する手段もあります。
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よくある質問(FAQ)

Q. 全社的な内部統制の42項目とは何ですか?

A. 全社的な内部統制の42項目とは、金融庁(企業会計審議会)の実施基準が「全社的な内部統制に関する評価項目の例」として参考1に示した評価項目を、6つの基本的要素ごとに数えた合計42の項目です。内訳は統制環境13・リスクの評価と対応4・統制活動7・情報と伝達6・モニタリング7・ITへの対応5です。

J-SOX対応で全社的な内部統制を評価する評価シート(チェックリスト)の土台として使われます。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 参考1「財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例」|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 全社的な内部統制の42項目はどこに記載されていますか?

A. 全社的な内部統制の42項目は、企業会計審議会「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」の参考1「財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例」に記載されています。金融庁のサイトで公表されているPDFで原文を確認できます。実施基準の本文(Ⅱ.3(2))が、各基本的要素ごとにこの参考1のような評価項目が考えられると述べており、参考1がその具体的な項目例の一覧です。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 参考1|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 全社的な内部統制では42項目を全部そのまま評価しなければいけませんか?

A. 42項目は実施基準が示した「例」であり、必ずしもこの例によらなくてよく、自社の環境や特性に合わせて評価項目を加除修正できます。参考1の注にも、必ずしもこの例によらない場合があること、この例による場合でも適宜加除修正があり得ることが明記されています。抽象的な項目を自社の実態に合わせた具体的な設問に言い換えたり、自社で重要な論点を項目として足したりしてかまいません。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 参考1(注)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 42項目から項目を削除・修正するとき、監査人への説明は必要ですか?

A. 項目の追加や言い換えは自由度が高い一方で、評価項目を削除する場合は、外した理由を合理的に説明できる状態にしておき、監査人と事前に協議しておくのが安全です。加除修正そのものは実施基準で認められていますが、重要な評価項目を安易に外すと、全社的な内部統制の評価が十分かどうかを問われることになるためです。足す・言い換える方向の調整から始め、削除は根拠を整理したうえで判断するのが実務的です。

Q. 全社的な内部統制の評価は、すべての事業拠点が対象になりますか?

A. 全社的な内部統制は、業務プロセスのように売上高などで範囲を絞り込まず、原則としてすべての事業拠点を全社的な観点で評価します。ただし、財務報告への影響の重要性が僅少な事業拠点は、その重要性を勘案して評価対象から外すことができます。

実施基準は僅少性の判断例として「売上高で全体の95%に入らないような連結子会社」を挙げていますが、これは例示であり、比率を機械的に適用すべきものではなく、必要に応じて監査人と協議して判断するものとされています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.2(2)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 全社的な内部統制の42項目は、子会社や事業部単位でも評価しますか?

A. 全社的な内部統制は基本的に企業集団全体を対象としますが、子会社や事業部に独特の歴史・慣習・組織構造があり、別途評価するのが適切と判断される場合には、その子会社や事業部のみを対象として評価することもあります。どの単位で評価するかは、財務報告への影響の重要性を踏まえて経営者が判断します。

子会社に親会社の42項目をそのまま適用するか、現地の実態に合わせてチェックリストを見直すかも、この判断に含まれます。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(2)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 全社的な内部統制の42項目チェックリストは毎期作り直す必要がありますか?

A. チェックリストを毎期ゼロから作り直す必要はなく、財務報告の信頼性に特に重要な影響を及ぼす項目を除き、前年度の評価結果が有効で整備状況に重要な変更がない項目は、前年度の運用状況の評価結果を継続して利用できます。この場合はその旨を記録しておくことが前提です。

継続利用により、運用状況の評価が複数の会計期間に一度の頻度で行われることもあります。ただし、組織変更や新たなリスクがあった項目は、その都度見直して評価し直します。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準 Ⅱ.3(2)|企業会計審議会(金融庁)(PDF)

Q. 全社的な内部統制(ELC)と業務プロセスに係る内部統制(PLC)は何が違いますか?

A. 全社的な内部統制(ELC)は企業全体に広く影響を及ぼす内部統制で、42項目のような評価項目によって企業全体を評価するもの、業務プロセスに係る内部統制(PLC)は販売・購買など個々の業務プロセスに組み込まれた統制を評価するものです。

J-SOXは、まず全社的な内部統制を評価し、その結果を踏まえて業務プロセスの評価範囲や方法を決めるトップダウン型で進めるため、全社的な内部統制の評価はその出発点に当たります。また、決算・財務報告プロセスに係る内部統制は、全社的な観点で評価する部分と、固有の業務プロセスとして評価する部分に分かれます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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