請求書を紙に印刷し、封入して郵送する作業に、毎月まとまった時間を取られていませんか。取引先ごとにWeb・メール・郵送が混在し、発行した後の入金確認まで手作業という経理の現場は少なくありません。
請求書をWeb上やメールでPDFとして電子的に発行・送付できれば、印刷や封入の手間を省き、出社しなくても請求業務を回せます。では、自社の発行件数や任せたい業務の範囲に合うのは、どのサービスでしょうか。
本記事では、請求書をWeb・メールで電子発行・送付できる主要20サービスを、業務範囲別の4タイプに分けて比較・解説します。料金体系、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、会計システムとの連携、無料で使える範囲までを整理しました。自社に合うサービスを選ぶ検討材料としてご活用ください。
タイプ選びに迷う方向けに、本記事内に「30秒で終わる選定診断ツール」もご用意しています。
目次
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Web請求書システムとは?紙・会計ソフトとの違い
Web請求書システムは、請求書の作成から、取引先への発行・送付までをインターネット上で完結させるクラウドサービスです。作成した請求書をWeb上の専用ページで取引先に閲覧してもらったり、PDFをメールで送信したりして、紙に印刷せずに「渡す」運用へ切り替えられます。
紙の運用との違いは、印刷・封入・投函という物理的な作業がなくなる点にあります。発行の履歴や送付状況がシステム上に残るため、「送ったつもりが届いていない」といった行き違いも追跡しやすくなります。
会計ソフトにも請求書の作成機能はありますが、その多くは帳簿付けの付随機能です。Web請求書システムは、宛先ごとの送付方法の振り分けや発行後の入金消込まで、請求に関わる業務そのものを担う点で守備範囲が異なります。受け取った請求書を電子保存する受領システムとも、自社が売り手として「発行する」側である点で役割が分かれます。
Web請求書システムを導入するメリット
ここからは、Web請求書システムを導入することで得られる効果を4つの観点から整理します。
印刷・郵送コストの削減。用紙代・封筒代・切手代に加え、印刷や封入にかかる人件費が発行件数に比例して積み上がります。Web・メールでの送付に切り替えると、これらの直接費と作業時間をまとめて圧縮できます。郵送を残したい取引先には郵送代行を使い、紙の在庫や投函の手間だけを手放すことも可能です。
テレワーク・多拠点での請求業務。請求書の発行がクラウド上で完結するため、出社してプリンタや郵便物を扱う必要がなくなります。承認から送付までを場所を問わず回せるので、在宅勤務や複数拠点での分担がしやすくなります。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応。登録番号や税率ごとの区分記載を満たした請求書を自動で出力でき、やり取りした請求データを法令の要件に沿って保存できます。制度に合わせて様式や保存の仕組みを自前で整える負担を抑えられます。
発行後の入金管理の効率化。発行から入金の消し込み、未入金先への督促までを一つの画面で追えるタイプもあります。発行と入金の情報が分断されないため、消込漏れや二重請求といった手作業のミスを減らせます。
Web請求書システムのタイプ
Web請求書システムは、自社が任せたい業務の範囲によって大きく4つのタイプに分かれます。作成だけで十分なのか、多数の取引先への配信まで任せたいのか、発行後の入金管理まで巻き取りたいのかを軸に、自社がどこに当てはまるかを確認してみてください。

1つ目は、請求書の作成とWeb・メールでの発行に機能を絞った作成・発行特化のタイプです。無料枠や低価格のプランが多く、発行件数が月数十件程度の小規模な事業者に向いています。
2つ目は、宛先ごとにWeb閲覧・メール・郵送代行を自動で振り分ける送付・配信のタイプです。取引先ごとに渡し方がばらばらで、発行件数が多い企業の配信業務を効率化します。
3つ目は、発行に加えて入金消込・督促・債権管理まで自動化する入金消込・請求管理のタイプです。請求から回収までを一気通貫で管理したい、入金確認に手間取っている企業に適しています。
4つ目は、請求書の発行と受領の両方を同じ基盤で扱う発行受領双方向のタイプです。送る側と受け取る側の業務をまとめて電子化したい企業の選択肢になります。次の表で、各タイプの特徴と代表的なサービスを整理します。
| タイプ | こんな企業向け | 該当する主なサービス |
|---|---|---|
| 作成・発行特化 | 作成とWeb・メール発行ができれば十分な小規模事業者。無料枠を探している | freee請求書/Misoca/マネーフォワード クラウド請求書 |
| 送付・配信 | 取引先ごとに渡し方が異なり、多数の請求書の配信を効率化したい | 楽楽明細/MakeLeaps/@Tovas |
| 入金消込・請求管理 | 発行後の入金確認・消込・督促まで自動化したい | 請求管理ロボ/バクラク請求書発行/invox発行請求書 |
| 発行受領双方向 | 請求書を送る側と受け取る側の業務をまとめて電子化したい | Bill One/BtoBプラットフォーム 請求書 |
しかし、自社がどのタイプに適しているかの判断が難しいケースもあります。そうした場合に向けて、いくつかの質問に答えると候補を絞り込める「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。
診断は、主要なWeb請求書システムを対象にしています。ぜひこちらもご活用ください。
30秒で終わる選定診断ツール
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Web請求書システムの選び方
ここからは、候補を自社に合うものへ絞り込むための5つの観点を解説します。発行件数や任せたい業務範囲、法令対応、料金、既存システムとの連携を順に確認していくと、自社に必要な機能の輪郭がはっきりします。
任せたい業務範囲はどこまでか
最初に決めたいのは、請求に関わる業務のどこまでをシステムに任せるかです。作成と発行だけで十分なのか、配信の振り分けまで任せたいのか、入金消込や督促まで巻き取りたいのかで、必要なサービスのタイプが変わります。
判断の分かれ目は、月の発行件数と、発行後の入金確認にかけている時間です。発行件数が数十件で入金確認も目視で足りているなら作成・発行特化で十分ですが、数百件規模で入金の消し込みに毎月何時間も費やしているなら、入金消込まで担うタイプを選ぶと効果が大きくなります。広い機能を持つサービスほど月額も上がるため、使わない機能にコストを払わないよう、必要な範囲に合わせて選ぶとよいでしょう。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応しているか
2023年に始まったインボイス制度と、2024年に電子取引データの保存が完全義務化された電子帳簿保存法への対応は、Web請求書システム選定の必須の確認項目です。まずインボイス制度では、買い手が仕入税額控除を受けるために、適格請求書(インボイス)の記載事項を満たした請求書が必要になります。消費税法は、その記載事項を次のように定めています。
出典:消費税法 第57条の4 第1項|e-Gov 法令検索
- 一 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 二 課税資産の譲渡等を行つた年月日(…)
- 三 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(…)
- 四 課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率
- 五 消費税額等(…)
- 六 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
確認したいのは、登録番号・税率ごとの区分・消費税額等といった記載事項を、サービスが標準で出力できるかどうかです。様式を自分で手直しせずに適格請求書を発行できれば、制度対応の負担を抑えられます。
電子帳簿保存法については、PDF請求書をメール等でやり取りすると売り手・買い手の双方にとって電子取引に当たり、そのデータを法令の保存要件に沿って保存する必要があります。
要件は、改ざんを防ぐ「真実性の確保」と、後から内容を確認できる「可視性の確保」の両輪で、タイムスタンプ・訂正削除の履歴・検索機能などを備えているかが確認点になります。検索機能を省略できる緩和の基準は、基準期間の売上高が5,000万円以下であることです。
真実性・可視性の確保や検索要件といった、電子帳簿保存法の保存ルールそのものを踏み込んで確認したい場合は、3つの保存区分ごとに要件を整理した次の記事が参考になります。
料金体系はどう見ればよいか
Web請求書システムの料金は、月額の基本料だけで決まるわけではありません。発行件数に応じた従量課金や、郵送代行を使う場合の1通あたりの代行費が上乗せされるため、自社の発行件数を当てはめた月額の総額で比べるのが実態に近い見方です。
たとえば月100件を発行し、うち紙での郵送が30件なら、基本料にWeb・メール送付70件分の費用と、郵送代行30通×1通あたりの単価を足した月額の総額で各社を比べると、実態に近い金額で見比べられます。
とくに郵送代行は、紙での送付が残る取引先の数に比例してコストが膨らみます。基本料が安くても、郵送代行の単価と件数次第では総額が逆転することがあるため、自社でWeb・メールに移行できる割合と、紙で残る件数の見積もりをあわせて試算しておくと、見かけの安さに惑わされずに済みます。
郵送代行の1通あたりの料金相場や、どんなサービスが対応しているのかをまとめて把握したい場合は、相場観を整理した次の記事もあわせてご覧ください。
会計・販売管理システムと連携できるか
請求書の発行データを会計や販売管理のシステムに手入力で移している場合、連携機能の有無が業務負荷を大きく左右します。売上計上や入金消込の仕訳を自動で引き渡せれば、二重入力と転記ミスを防げます。
確認したいのは、自社が使っている会計ソフトや販売管理システムと、CSVの取り込みやAPI連携で結べるかどうかです。同じ系列のサービス同士は連携が標準で用意されていることが多い一方、他社製品との連携は対応範囲が製品ごとに異なります。既存システムの型番を手元に、連携できる組み合わせを一つずつ確認すると確実です。
無料で使える範囲はどこまでか
作成・発行特化のタイプには、無料で使い始められるサービスがあります。月の発行通数に上限を設けたうえで基本機能を無料開放する形が多く、発行件数が少ない事業者なら無料のまま運用できる場合もあります。
注意したいのは、無料枠では発行通数の上限、郵送代行の利用可否、保存できる期間、使える人数などに制限が付くことです。発行件数が上限に近い、郵送代行を使いたい、複数人で運用したいといった条件があるなら、早い段階で有料プランが必要になります。無料で始められるかだけでなく、自社の運用が無料枠の制限内に収まり続けるかを見極めて選ぶとよいでしょう。
【比較表】Web請求書システムを比較
ここからは、主要なWeb請求書システムを業務範囲別の4タイプに分けて、送付方法・インボイス対応・電帳法対応・入金消込・会計連携・料金・無料枠を横並びで比較します。まずは自社が当てはまるタイプの表を中心に確認するとよいでしょう。
ただし入金消込は複数のタイプにまたがります。たとえば作成・発行特化タイプの請求QUICKは無料枠で入金消込に対応し、配信タイプのMakeLeapsも入金消込に対応します。入金管理まで任せたい場合は、各表の「入金消込」列も横断して確認してください。
また、送付方法(Web閲覧/メール/郵送代行)の選び分けは、記事後半「Web請求書の送付方法と取引先への配慮」で詳しく扱います。
作成・発行をシンプルにしたいタイプ
請求書の作成とWeb・メール発行に機能を絞った、小規模向け・無料枠ありのサービスです。まずは最小限のコストで電子化したい企業に向いています。
| サービス名 | freee請求書 | Misoca | board | 請求QUICK | INVOY | Square 請求書 | Zoho Invoice | マネーフォワード クラウド請求書 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 送付方法 | メール 郵送代行 | メール 郵送代行 | メール 郵送代行 | メール 郵送代行 | メール 郵送代行 | メール SMS/LINE等 | メール SMS 顧客ポータル | メール 郵送代行 |
| インボイス対応 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 電帳法対応 | ● | ● | ● | ● | ● | 要確認(公式に明示なし) | △電子取引のみ(スキャナ保存は非対応) | ● |
| 入金消込 | △上位プランで対応 | × | × | ● | × | × | × | △回収消込表(上位プラン) |
| 会計・販売管理連携 | freee会計 | 弥生会計・freee・MF | freee・MF・弥生・勘定奉行 | 弥生会計・勘定奉行・MF | freee・MF・弥生 | freee・MF(売上データ) | Zoho CRM等(国内会計は未対応) | MFクラウド会計 |
| 料金体系 | 無料/月1,980円〜10,000円 | 無料/月880円〜(税抜) | 月1,200円〜(税抜) | 月0円(従量課金) | 無料/月980円(税込) | 無料(決済手数料3.25%) | 無料(¥0) | 月2,480円〜(法人・年払い) |
| 無料プラン | あり(作成・PDF出力が無制限) | あり(請求書 月10通まで) | なし(30日間無料トライアル) | あり(発行 月50通まで無料) | あり(帳票の作成・発行が無料) | あり(作成・送付が無料・無制限) | あり(年500通・2ユーザーまで) | なし(1ヶ月無料トライアル) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。料金・機能・対応状況は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
多数の取引先にWeb・メールで配信したいタイプ
宛先ごとにWeb閲覧・メール・郵送代行を自動で振り分け、多数の請求書の配信を効率化するサービスです。取引先ごとに渡し方がばらばらな企業に適しています。
| サービス名 | マネーフォワード クラウド請求書発行 | 楽楽明細 | MakeLeaps | @Tovas | invoiceAgent |
|---|---|---|---|---|---|
| 送付方法 | Web閲覧 メール 郵送代行 | Web閲覧 メール 郵送代行 FAX | Web閲覧 メール 郵送代行 | Web閲覧 メール 郵送代行 FAX | Web閲覧 メール 郵送代行 Peppol |
| インボイス対応 | ● | ● | ● | 要確認(公式に明示なし) | ● |
| 電帳法対応 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 入金消込 | × | △債権管理オプション | ● | × | × |
| 会計・販売管理連携 | 基幹システム(CSV/API) | 会計・販売管理システム30社以上 | 弥生・勘定奉行・PCA等 | kintone・各種API連携 | Salesforce・基幹システム等 |
| 料金体系 | 要問い合わせ(件数連動) | 月25,000円〜(初期10万円・税抜) | 月1,000円〜/ユーザー(税抜) | 月12,000円〜(初期12万円) | 月5.5万円〜(初期20万円〜・税別) |
| 無料プラン | なし | なし(無料トライアルあり) | あり(取引先3社・月30通) | なし | なし(無料トライアルあり) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。料金・機能・対応状況は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
発行後の入金消込・請求管理まで任せたいタイプ
発行に加え、入金消込・督促・債権管理まで自動化するサービスです。請求から回収までを一つの画面で管理したい企業に向いています。
無料〜低コストで入金消込に踏み込みたい場合は、作成・発行特化タイプの請求QUICKや、本タイプのinvox発行請求書の無料・下位プランも候補になります。
| サービス名 | 請求管理ロボ | マネーフォワード クラウド請求書Plus | バクラク請求書発行 | invox発行請求書 | 奉行Edge 発行請求書DXクラウド |
|---|---|---|---|---|---|
| 送付方法 | メール 郵送代行 | メール 郵送代行 | Web閲覧 メール 郵送代行 | メール 郵送代行 FAX/SMS | Web閲覧 メール 郵送代行 Peppol |
| インボイス対応 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 電帳法対応 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 入金消込 | ● | ● | △バクラク債権管理(別製品) | △ベーシックプラン以上 | △債権奉行クラウド連携 |
| 会計・販売管理連携 | 勘定奉行・弥生・MF・PCA/Salesforce | MFクラウド会計Plus・Salesforce | 会計ソフト(売上仕訳自動作成) | 会計システム連携・API | 奉行シリーズ(勘定・商蔵・債権) |
| 料金体系 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料/月1,980円〜(税抜) | 月10,500円〜(年126,000円・初期0円・税抜) |
| 無料プラン | なし(無料トライアルあり) | なし | あり(件数・テンプレに制約) | あり(月15件までメール送付) | なし(30日間お試し) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。料金・機能・対応状況は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
発行と受領を1つにまとめたいタイプ
請求書を送る側と受け取る側の業務を同じ基盤で扱うサービスです。発行と受領の両方をまとめて電子化したい企業の選択肢になります。
| サービス名 | Bill One 請求書受領 | BtoBプラットフォーム 請求書 |
|---|---|---|
| 送付方法 | メール Web閲覧 (発行は別途申込) | Web閲覧 メール 郵送代行 Peppol |
| インボイス対応 | ● | ● |
| 電帳法対応 | ● | ● |
| 入金消込 | △別サービス(Bill One債権管理) | ● |
| 会計・販売管理連携 | API連携・FBデータ作成 | 弥生・MF・PCA・奉行ほか多数 |
| 料金体系 | 要問い合わせ(年額制) | 要問い合わせ(無料プランあり) |
| 無料プラン | 要確認(公式に明示なし) | あり(月100件発行まで無料) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。料金・機能・対応状況は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
サービス個別紹介
ここからは、各サービスの特徴を業務範囲別のタイプごとに紹介します。比較表で気になったサービスの詳細を、タイプの並びに沿って確認してください。
作成・発行をシンプルにしたいタイプ
作成とWeb・メール発行に絞った、小規模向け・無料枠ありのサービスを紹介します。
1. freee請求書(フリー株式会社)

フリー株式会社が提供するクラウド請求書作成サービスです。請求書・見積書・納品書・発注書・領収書などの帳票をオンラインで作成・発行でき、作成した請求書はfreee会計の「取引」として登録できます。
無料プランでも件数無制限で帳票の作成・PDF出力ができ、法人は3名まで無料で利用できます。有料のスタンダードプラン(月額1,980円)ではメール送付・一括発行・郵送代行(1通187円・税込)に対応し、アドバンスプラン(月額10,000円)では債権管理や自動入金消込まで広がります。
インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応しており、無料プランでも登録番号や税率ごとの区分を満たした適格請求書を作成できます。
2. Misoca(弥生株式会社)

見積書・納品書・請求書から領収書・検収書・注文書まで7種類の帳票を作成できる、弥生株式会社のクラウド請求書作成ソフトです。入力フォームに記入するだけで帳票を作成・管理できます。
無料プランでは月10通まで請求書を作成でき、見積書・納品書は無制限に作成できます。有料プランは月880円(税抜)〜で、月15通のプラン15から月1,000通のプラン1000まで通数で分かれ、郵送代行は1通210円(税抜)で利用できます。
弥生会計などの弥生製品と連携して請求から仕訳までを自動化でき、freeeやマネーフォワード クラウド会計との連携も公式に案内されています。スマホアプリからの作成・メール送付・郵送代行にも対応します。
3. board(ヴェルク株式会社)

見積書や発注書の作成から、請求・入金・支払の管理までを「案件単位」でまとめて扱う、ヴェルク株式会社のクラウド型業務管理サービスです。
在庫管理機能を持たない設計で、在庫を扱わない受託・サービス業の個人事業主〜中小企業に向けて機能を絞り込んでいます。料金は初期費用0円で、1名向けのPersonalプランが月額1,200円(税抜)から、50名まで使えるPremiumプランが月額7,900円(税抜)です。
board上からメール送信や郵送代行(1通195円・税込)で書類を送付でき、申請フロー機能では最大4段階の承認経路を設定できます。インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応します(自社が発行する書類の保存に対応)。
4. 請求QUICK(SBIビジネス・ソリューションズ株式会社)

SBIグループのSBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する、請求書の発行から入金消込までを担うクラウドサービスです。対応する帳票は請求書で、見積書・納品書・領収書の作成機能は持ちません。
初期費用・月額基本料とも0円で、ユーザー数の制限なく利用できます。請求書発行は月50通まで無料で、51通目以降は1通30円(税別)、郵送代行は1通285円(税別)です。銀行明細をAPI連携で取得し、発行済みの請求データと自動で突き合わせる入金消込にも対応します。
電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、弥生会計・勘定奉行向けの仕訳テンプレートを標準で備えています。操作はPCからの利用が前提で、スマートフォンでの操作には対応していません。
5. INVOY(FINUX株式会社)

請求書・見積書・納品書・発注書・領収書の5種類の帳票を無料で作成・発行できる、FINUX株式会社のクラウド請求書プラットフォームです。スマートフォンからも帳票を作成できます。
帳票の作成・発行そのものは永続無料のFreeプランで利用でき、見積書から納品書・請求書へワンクリックで変換できます。月額980円(税込)のStandardプランでは、口座自動連携や資金繰り表の作成といったキャッシュフロー管理機能が加わります。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応し、スキャナ保存ソフトのJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)認証も取得しています。freee・マネーフォワード・弥生会計とのデータ連携にも対応します。
6. Square 請求書(Block, Inc.)

決済サービス「Square」の一機能として提供される、請求書の作成と代金回収をまとめて行えるサービスです。日本では、米国 Block, Inc. の日本法人である Square 株式会社が提供しています。
クラウドで作成した請求書のリンクを、メール・SMS・LINEなどのメッセージアプリで顧客へ送り、顧客はそのリンク上でクレジットカード決済を済ませられます。請求書の作成・送付は無料・無制限で、費用は決済ごとの手数料(カード決済で3.25%)だけです。
入金は最短で翌営業日、定期請求も無料プランで利用できます。PDF請求書に適格請求書発行事業者の登録番号を表示でき、インボイス制度に対応します。代金回収をクレジットカード決済で行う前提のサービスである点が、銀行振込を軸にした発行システムとの違いになります。
7. Zoho Invoice(ゾーホージャパン株式会社)

多言語・多通貨に対応したクラウド請求書作成ソフトで、ゾーホージャパン株式会社が提供しています。請求書・見積書の作成、支払期日の自動通知(リマインダー)、オンラインでの入金処理を行えます。
基本機能を無料(¥0)で利用でき、iOS・Androidのアプリから外出先でも請求書の作成・送信ができます。グローバル版の料金ページでは、2ユーザー・年間500通までといった無料利用の上限が示されています。
インボイス制度には、登録番号のカスタム項目や税率区分の表示で適格請求書の発行に対応します(公式の対応状況は2023年5月時点の記載)。電子帳簿保存法については、電子取引データの保存には対応する一方、紙書類のスキャナ保存の要件には対応していません。
8. マネーフォワード クラウド請求書(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが「マネーフォワード クラウド」シリーズの一つとして提供する請求書作成製品です。見積書・納品書・請求書・領収書をクラウド上で作成できます。
見積書から納品書・請求書・領収書までをワンクリックで変換でき、毎月の請求書を自動作成できます。ビジネスプランでは一括郵送・一括メール送信や回収消込表の作成に対応し、マネーフォワード クラウド会計・確定申告と連携して売掛金の仕訳を自動で作成できます。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応します。無料で使い続けられるプランはなく、1か月の無料トライアル(クレジットカード登録不要)を試したうえで、個人向けは月額900円(年払い)から、法人向けは月額2,480円(年払い)からの有料プランに申し込む形です。
多数の取引先にWeb・メールで配信したいタイプ
宛先別の自動振り分けと郵送代行で、多数の請求書の配信を担うサービスを紹介します。
9. マネーフォワード クラウド請求書発行(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが提供する、請求書・納品書・支払通知書などの帳票の送付に特化したクラウドサービスです。2026年8月に「クラウドインボイス」から名称を変更しました。自社の販売管理・基幹システムで作成した帳票データをCSV・PDF・API経由で取り込み、送付業務だけを切り出して効率化する構成です。
取り込んだ帳票は、取引先ごとにWeb送付・メール送付・郵送代行を自動で振り分けて一括送付できます。40万以上のマネーフォワードID保有事業者(2025年10月時点)へは、電子請求書をそのまま届けられます。
料金は月ごとの発行件数に応じた個別見積りで、郵送代行はオプションとして用意されています。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応しており、既存システムに手を加えずに送付業務を電子化したい企業に向いています。
送付業務に絞って電子化すると、実際の工数やコストはどの程度変わるのか。提供元の株式会社マネーフォワードでパートナービジネスを統括する栗本氏は、導入効果について次のように説明します。

船井総研デジタル様では請求書発行コストの30%削減、メイコー様では債権関連業務の約3割の工数削減、奈良機械製作所様では月間33時間以上の郵送業務削減といった成果が出ています。
一番わかりやすい効果は、郵送や紙で行っていた送付業務をデジタルに置き換えることによる業務コストと郵送コストの削減です。送付していた帳票の件数が多いほど、導入効果は大きくなります。
10. 楽楽明細(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供する電子帳票発行システムで、累計導入は16,000社以上(2026年3月末時点)にのぼります。請求書・納品書・領収書・支払明細などの帳票を、既存システムから出力したCSVやPDFを取り込んで発行します。
送付方法はWeb発行・メール・郵送代行・FAXの4種類で、取引先ごとに個別設定できます。A社にはWeb発行、B社には郵送、といった混在運用に対応し、宛先ごとの希望に応じて自動で振り分けます。
初期費用は100,000円(税抜)、月額は25,000円(税抜)からで、郵送代行は印刷・封入・投函・封筒代込みで1通198円(税抜)から利用できます。無料のトライアル環境も用意され、オプションの債権管理機能を加えると入金消込まで同一システムで扱えます。
11. MakeLeaps(メイクリープス株式会社)

株式会社リコーの100%子会社であるメイクリープス株式会社が提供する、請求管理クラウドサービスです。見積書・発注書・納品書・請求書・支払通知書など10種類の帳票を作成し、発行まで対応します。
作成した帳票は、Web上の取引ポータル・メール・郵送代行で送付でき、法人プラン以上ではデジタルインボイスのPeppol送信も利用できます。銀行口座の入金情報を取り込んで請求書と突き合わせる入金消込機能も備え、発行から回収までを1サービスでカバーします。
料金は、取引先3社・ユーザー1人・送付30通/月まで使える無料プランのほか、個人プラン1,000円/ユーザー、法人プラン1,300円/ユーザー(いずれも月額・税抜)などを用意しています。30日間の無料トライアルで全機能を試せます。
12. @Tovas(コクヨ株式会社)

文具・オフィス用品大手のコクヨ株式会社が2004年から提供する電子帳票配信システムです。請求書・納品書・支払通知書などのデータをCSVでアップロードすると帳票を自動生成し、配信まで行います。
送付方法は、電子ファイル(Web・メール)・FAX・郵送を宛先ごとに選べます。経理系の帳票だけでなく、注文書・検収書などの購買系や出荷指示書といった物流系まで、企業間取引で使う多様な帳票に対応します。2025年5月からは、帳票を「受け取る」機能の提供も始めました。
料金は、@Tovas Master+スタンダードプランの場合で初期費用120,000円・月額12,000円に配信通数の従量課金が加わる構成で、帳票の種類や配信方法に応じた個別見積りとなります。電子帳簿保存法に対応するオプションはJIIMA認証を取得しています。
13. invoiceAgent(ウイングアーク1st株式会社)

ウイングアーク1st株式会社が提供する帳票流通プラットフォームで、2026年4月に「SVF Transact」へ名称を変更しました。自社の帳票フォーマットを変えずに、取引先ごとに異なる配信方法で電子交付できます。
配信方法は、Web配信(私書箱・受信者サイト・リンク)・メール・郵送・BtoBプラットフォーム連携・Peppolから選べます。帳票基盤SVFで生成した帳票をそのまま配信に載せられるため、月間2万通規模の大量配信を電子化する用途にも使われています。
料金は初期費用20万円から、月額5.5万円から(いずれも税別)で、基本プランに配信700通/月・10ユーザー・ストレージ5GBを含み、超過分は従量課金です。電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子書類・電子取引の3区分でJIIMA認証を取得しています。
発行後の入金消込・請求管理まで任せたいタイプ
発行から入金消込・督促まで自動化する、請求管理まで担うサービスを紹介します。
14. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求書の発行・送付から集金・入金消込・未入金の催促までを1つで自動化する、株式会社ROBOT PAYMENTのクラウド請求・債権管理システムです。単発・定期定額・定期従量の請求タイプを設定でき、希望の周期で請求書を自動発行します。
入金消込では、全銀データやCSVの取り込みに加え、取引先ごとにバーチャル口座を割り当てる「バンクチェック」で入金情報を取得し、請求と入金を自動で突き合わせます。公式はバンクチェック利用時の消込精度を99%以上(当社データ)としており、名義の不一致で消込できなかったデータを学習して次回から自動化するAI消込学習も備えます。
会計ソフト(PCA会計・勘定奉行・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計)やSFA/CRM(Salesforce・kintone)と連携でき、商談から請求、請求から仕訳までをつなげられます。料金は月額費用と請求件数に応じた従量課金で構成され、具体額は要問い合わせです。無料トライアルも用意されています。
15. マネーフォワード クラウド請求書Plus(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが展開するクラウドシリーズのうち、中堅〜上場・IPO準備企業向けに位置づけられた請求管理システムです。CRMや販売管理システムと連携し、受注データを分割・合算して請求書を作成します。
「消込」画面では、送付済みの請求(債権)データと、個別入力またはCSVで登録した入金データを突き合わせて消し込め、消込が完了すると消込仕訳が自動で作成されます。契約期間に応じた売上の期間按分や、最大10ステップの申請・承認ワークフローなど、複雑な請求と内部統制への対応を備えている点が特徴です。
売上仕訳はマネーフォワード クラウド会計Plusへワンクリックで連携できます。作成できる帳票は請求書と見積書で、納品書・領収書には対応していません。料金は契約形態により従業員数または発行件数に応じて決まり、具体額は要問い合わせです。
CRMや販売管理システムとの連携は、請求業務のどこで効いてくるのか。栗本氏は、連携について次のように説明します。

特に『Salesforce』とセットでお使いいただいているお客様からは、営業側が持っている「どのお客様に何の商品をいつ売り上げた」という情報をもとに、そのままシームレスに売上処理と請求書の発行業務につなげられる点を高く評価いただいています。
この連携がない場合、経理の方が営業側のシステムに情報を拾いに行ったり、営業の方から経理に請求書の送信対応をお願いしたりと、人を介したやり取りが発生してしまいます。その部分の接続性が大きな価値を感じていただけるポイントです。
16. バクラク請求書発行(株式会社LayerX)

株式会社LayerXの「バクラク」シリーズに属する帳票発行システムです。請求書・見積書・納品書・支払通知書などの帳票を、CSV・PDFの取り込みから一括・個別に作成し、Web・メール・郵送代行で送付できます。
発行後の入金消込や督促は、姉妹製品「バクラク債権管理」が担います。債権管理側ではAIが入金データと請求データを照合して消込を自動化し、支払期日を過ぎた債権を特定して取引先へメールを送れます(督促メール機能の利用にはバクラク請求書発行の契約が必要)。請求書発行と債権管理を組み合わせることで、発行から消込・督促までをつなげられます。
社内の申請・承認ワークフローに加え、取引先がWeb上で承認・差し戻しできるポータルも用意されています。郵送代行は1通180円〜で、最短翌営業日の発送に対応します。
17. invox発行請求書(株式会社invox)

請求データを取り込んで送信方法を指定することで、紙・電子を問わずインボイス制度に対応した請求書を発行できる、株式会社invoxの請求書発行システムです。請求書のほか、見積書・納品書・支払通知書も作成できます。
発行した請求書については、売上計上から入金消込、督促までを自動化できます。入金消込とオンラインバンク連携(10金融機関まで)は月額9,800円(税込10,780円)のベーシックプラン以上で利用でき、消込は1件あたり50円(税込55円)の従量課金です。
初期費用は0円で、月額基本料金はフリー0円、ミニマム1,980円(税込2,178円)、ベーシック9,800円(税込10,780円)、プロフェッショナル29,800円(税込32,780円)の4段階です。フリープランは標準レイアウトの請求書を毎月15件までメール送付でき、入金消込は有料プランの機能という位置づけです。
18. 奉行Edge 発行請求書DXクラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

請求書の発行・送付・保管をデジタル化する、OBC(株式会社オービックビジネスコンサルタント)のクラウドサービスです。勘定奉行クラウドをはじめとする奉行シリーズや商蔵奉行・債権奉行クラウドとのAPI連携を前提とし、販売管理システムから出力した請求書データの取り込み以降を自動化します。
送付方法はWeb配信・メール配信・郵送代行(オプション)・Peppol配信の4系統に対応し、請求書のほか納品書・支払明細書・支払通知書・注文書なども配信できます(見積書には対応していません)。ダウンロード状況の確認・催促や、債権奉行クラウドと連携した債権管理にも対応します。
料金は年額制で、初期費用0円、300件/年で126,000円〜(税抜)から利用できます。月25件から導入でき、30日間の無料お試しも用意されています。
発行と受領を1つにまとめたいタイプ
発行と受領を同一基盤で扱う、双方向タイプのサービスを紹介します。
19. Bill One(ビルワン)請求書受領(Sansan株式会社)

Sansan株式会社が提供する、請求書の受領と発行を同じ基盤で扱えるクラウドサービスです。取引先から届く紙・メール・PDF・アップロード・デジタルインボイス(Peppol)のあらゆる形式の請求書を代理受領し、クラウド上で一元管理できます。
受け取った請求書は、スキャン技術と入力オペレーターの組み合わせにより、規定の条件下で精度99.9%でデータ化されます。インボイス制度では、登録番号を国税庁のシステムとAPI連携で照会し、適格請求書の判定や消費税額の検算にも対応します。
請求書の発行は、受領契約とは別途の申し込みが必要なオプション機能として用意され、オンラインでの一括発行に対応します。電子帳簿保存法については、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の法的要件認証を取得しています。
20. BtoBプラットフォーム 請求書(株式会社インフォマート)

請求書の発行と受取を同じプラットフォーム上でデータ化する電子請求書サービスです。運営元は東証プライム市場に上場する株式会社インフォマートで、PDFなどに変換せずデータのまま授受する「データtoデータ(DtoD)方式」を採用しています。発行側は請求データの連携やアップロードからの自動発行に、受取側はAI-OCRによる紙・PDF請求書のデータ化と一元管理に対応します。
発行者向けに月間100件まで発行できる無料プランがあり、取引先は発行・受取のいずれも無料で利用できます。対応する帳票は請求書・納品書に加え、支払通知書・支払明細書の発行にもおよびます。
インボイス制度と電子帳簿保存法に対応し、電子データは最長12年間保管できます。Peppol(デジタルインボイス)での発行にも対応し、会計ソフトや販売管理システムなど多数の外部システムと連携できます。
Web請求書の送付方法と取引先への配慮
ここからは、Web請求書を実際に取引先へどう渡すか、その際に配慮すべき点と法令上の留意点を整理します。電子化がつまずく最大の要因は取引先の受け入れにあるため、渡し方の選択と相手への配慮をあわせて考えます。
送付方法の違いと選び方(Web閲覧/メール添付/郵送代行)
Web請求書の渡し方は、大きく3つに分かれます。1つ目はWeb閲覧で、取引先が専用ページにログインして請求書を確認・ダウンロードする方式です。2つ目はメール添付で、PDFの請求書をメールで直接送ります。3つ目は郵送代行で、サービス側が紙に印刷して取引先へ郵送します。

選び方の軸は、取引先が受け取れる体制に合わせることです。デジタルでの受け取りに慣れている取引先にはWeb閲覧やメール添付が向き、紙でないと社内処理が回らない取引先には郵送代行を残します。多くのサービスは取引先ごとに送付方法を設定できるため、無理に一本化せず、相手に合わせて使い分けるのが現実的です。郵送代行は紙に印刷して郵送する経路のため、後述する信書の扱いが関わる点にも留意します。
取引先の受け取り負担とスムーズな切り替え
電子化を進めるうえで気がかりなのが、取引先に負担や不満を与えないかという点です。前提として、請求書を電子データで提供することに取引先の事前の同意は、法令上の義務ではありません。消費税法第57条の4第5項は、適格請求書の交付に代えて電磁的記録を「提供することができる」と定めるにとどまり、同意を要件とはしていません。
出典・参考資料(1件)
とはいえ、取引先が受け取れる形式か、紙での受領を希望していないかの確認は、実務上の配慮として欠かせません。急にすべてを電子へ切り替えるのではなく、事前に送付方法の変更を案内し、紙を希望する先には郵送代行を残しながら、電子へ移せる取引先から段階的に進めると、受け取り側の混乱を避けられます。
この送付方法の変更を取引先へどう伝えればよいか、案内文の書き方に迷う場合は、書面・メールでそのまま使える文例をまとめた次の記事を活用できます。
電子帳簿保存法・信書該当性の留意点
自社が発行した請求書は、その控え(写しまたは電磁的記録)を保存する義務があります。PDFをメール等で送ってやり取りした場合、そのデータは電子取引の記録として電子帳簿保存法の保存要件に沿って保管する必要があり、保存期間はその課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です。
出典・参考資料(1件)
もう一つ押さえておきたいのが、信書の扱いです。紙の請求書は信書に該当し、郵送(郵送代行を含む)する場合は信書の送達に当たります。総務省の指針は、信書と請求書について次のように示しています。
「信書」とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されている。
(2)請求書の類 請求書は、代金を請求するという意思を表示し、又は事実を通知する文書であるので、差出人から特定の受取人にその内容を伝えるために送付する場合は、信書に該当する。
出典:信書に該当する文書に関する指針|総務省
一方、Web閲覧やメール添付のように電子データで渡す場合は、信書には当たりません。総務省は、電磁的記録物が信書に該当しない理由を次のように説明しています。
電磁的記録物(例:情報を CD、DVD、USB メモリ等に電子データとして記録したもの)は、その物を人が見るだけでは情報の内容がわからないことから、「文書」とはならないため、信書に該当しません。
出典:信書に該当する文書に関する指針 Q&A集|総務省
信書の扱いが関わるのは紙で郵送する経路であり、メールやWebでの電子的な送付は対象外です。郵送代行を使うか電子で渡すかという送付方法の違いが、信書の送達に関する扱いの違いにもつながる点を押さえておくと、送付方法を選ぶ際の判断がしやすくなります。
まとめ
本記事では、Web請求書システムの仕組みと選び方、主要20サービスのタイプ別比較、送付方法と取引先への配慮を整理しました。
選定でまず決めたいのは、任せたい業務範囲です。作成と発行だけで足りるなら作成・発行特化、取引先ごとの配信を効率化したいなら送付・配信、入金確認や督促まで巻き取りたいなら入金消込・請求管理、発行と受領をまとめたいなら発行受領双方向を軸に候補を絞ると、自社に必要な機能が見えてきます。
そのうえで、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、自社の発行件数を当てはめた料金の総額、既存システムとの連携を突き合わせて判断すると選びやすくなります。
Web発行に限らず、紙の郵送代行も含めた請求書発行システム全体をおすすめ順に見比べたい場合は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。
MCB FinTechカタログでは、これらのWeb請求書システムの資料を無料で請求できます。気になるサービスの資料を取り寄せ、自社に合うものの比較検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. Web請求書システムとは何ですか?
A. Web請求書システムとは、請求書の作成から、取引先へのWeb・メールでの発行・送付までをインターネット上で完結できるクラウドサービスです。紙に印刷して郵送する運用に代えて、Web上の専用ページで取引先に閲覧してもらったり、PDFをメールで送ったりして請求書を渡せます。発行履歴や送付状況がシステムに残るため、送付の行き違いも追跡しやすくなります。
Q. Web請求書システムは無料で使えますか?
A. Web請求書システムには、作成・発行に機能を絞ったタイプを中心に、無料で使い始められるサービスがあります。INVOYやZoho Invoiceは基本機能を無料で使え、Misocaは月10通、請求QUICKは月50通、MakeLeapsは月30通まで、BtoBプラットフォーム 請求書は月100件の発行までを無料で利用できます。
ただし無料枠では発行通数の上限や郵送代行の利用可否、保存期間、使える人数などに制限が付くことが多いため、自社の運用が制限内に収まり続けるかを見極めて選びます。
Q. Web請求書システムはインボイス制度・電子帳簿保存法に対応していますか?
A. Web請求書システムは、主要なサービスの多くがインボイス制度と電子帳簿保存法の両方に対応しています。登録番号や税率ごとの区分記載を満たした適格請求書を標準で出力でき、やり取りした請求データを保存要件に沿って保管できます。
ただし電子取引データの保存だけに対応するものと、紙書類のスキャナ保存まで対応するものがあるなど範囲は製品ごとに異なるため、自社に必要な対応範囲を公式情報やJIIMA認証の有無で確認してください。
Q. 取引先の同意が不要でも、電子発行への切り替えはいつ・どう案内すればよいですか?
A. 法令上の同意は不要ですが、切り替えの1〜2か月前までに案内し、初回の電子発行時にも送付方法が変わる旨を一言添えるのが実務上おすすめです。消費税法第57条の4第5項は、適格請求書の交付に代えて電磁的記録を「提供することができる」と定めるにとどまり、同意を要件とはしていません。
案内文には、切り替え予定日・新しい受け取り方法(Web閲覧かメールか)・従来どおり紙を希望する場合の連絡先を書いておくと、取引先からの問い合わせや行き違いを減らせます。
出典・参考資料(1件)
Q. Web請求書は取引先に嫌がられませんか?
A. Web請求書は、取引先ごとに送付方法を選べるため、紙を希望する先には郵送代行を残しつつ、電子へ移せる先から段階的に切り替えれば受け取り側の負担を抑えられます。急にすべてを電子へ一本化するのではなく、事前に送付方法の変更を案内し、相手の体制に合わせて使い分けると、受け取り側の混乱を避けやすくなります。
Q. 取引先の構成に合わせて、送付方法はどう組み合わせればよいですか?
A. 取引先をデジタル対応の可否で分け、Web閲覧・メールを基本にしつつ、紙でないと処理が回らない先だけ郵送代行を残す「併用」が現実的です。
たとえば、担当者とメールでやり取りできる取引先はメール添付、受領側で一覧管理したい大口先はWeb閲覧、経理が紙で処理する先は郵送代行、と宛先の事情ごとに割り当てるのが基本です。
多くのサービスは取引先ごとに送付方法を設定できるため、割合の多い受け取り方から順に設定していくと、切り替えの手間を抑えられます。
Q. Web請求書システムでも紙での郵送は続けられますか?
A. Web請求書システムの多くは郵送代行に対応しており、紙でないと処理できない取引先には印刷・封入・投函を代行会社に任せて紙で届けられます。電子と紙を宛先ごとに併用できるため、すべての取引先を一度に電子へ切り替えられなくても導入できます。Web・メールへ移せる取引先から順に電子化し、紙で残る件数を徐々に減らしていく進め方が現実的です。
Q. Web請求書の郵送代行の費用はどのくらいかかりますか?
A. 郵送代行の費用は、1通あたりおおむね180〜285円程度が目安で、印刷・封入・投函・封筒代を含みます(本記事の掲載例ではバクラク請求書発行が180円〜、freee請求書が187円・税込、楽楽明細が198円〜・税抜、請求QUICKが285円・税別など)。
月額の基本料とは別に、紙で送付する取引先の件数に比例して積み上がるため、Web・メールへ移行できる割合と紙で残る件数を見積もって総額で試算すると、見かけの安さに惑わされずに済みます。
Q. 自社の会計ソフトと連携できるか、申し込み前にどう確認すればよいですか?
A. 使っている会計ソフト・販売管理システムの製品名とプランを控え、各サービスの「連携対応ソフト一覧」に名称があるか、連携がAPIかCSV取り込みかを確認します。
同じ系列の製品同士は標準連携が多い一方、他社製品はCSVの項目対応やAPIの有無が製品ごとに異なります。無料トライアルで実際に仕訳データを書き出し、会計側に取り込めるかまで試しておくと、導入後の手戻りを防げます。
Q. Web請求書システムで発行後の入金消込や督促まで自動化できますか?
A. Web請求書システムのうち入金消込・請求管理タイプのサービスなら、発行から入金の消し込み、未入金先への督促までを自動化できます。
銀行明細や全銀データを取り込んで請求データと自動で突き合わせ、消込漏れや二重請求といった手作業のミスを減らせます。請求管理ロボやマネーフォワード クラウド請求書Plus、invox発行請求書などが該当し、作成・発行だけのタイプでは入金消込は対象外のことが多い点に注意します。
Q. Web請求書システムは申し込みからどのくらいで使い始められますか?
A. 利用開始までの期間は、作成・発行特化のタイプなら登録後すぐに、送付・配信や入金消込まで担うタイプは設定や既存システムとの連携を含めて最短1か月程度が目安です。
無料で登録してそのまま使えるサービスがある一方、配信ルールの設定や会計・販売管理システムとの連携、取引先への案内が必要なサービスでは準備期間を見込んでスケジュールを組みます。無料トライアルで操作感を確かめてから本導入すると、立ち上げがスムーズです。
Q. 時間をかけずに候補を絞るには、どこから見ればよいですか?
A. 「月間の発行件数」と「入金消込まで任せたいか」の2点を先に決めると、候補が一気に絞れます。月数十件で入金確認も目視で足りるなら作成・発行特化の無料枠、数百件以上で消込に時間を取られているなら入金消込タイプ、という具合にタイプが決まります。
タイプが決まれば、あとは無料枠の有無と既存の会計ソフトとの連携で2〜3社まで絞り込めます。迷う場合は、本記事の「30秒で終わる選定診断ツール」で候補を抽出できます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















