請求書を紙で発行していたときは、会社の角印を押して郵送するのが当たり前でした。これをPDFにしてメールで送る形に切り替えるとき、「電子の請求書にも印鑑は押さないといけないのか」「押さないと取引先に失礼にならないか、そもそも法的に有効なのか」と迷う方は少なくありません。
結論から言えば、請求書への押印は法律上の義務ではなく、印鑑がなくても請求書は有効です。それでも商習慣として角印を押すことが多く、その場合は印影を電子データにした「電子印鑑」をPDFに載せる形になります。ただし、印影の画像をただ貼るだけでは改ざんを防げず、取引先にどう見られるかという不安も残ります。
本記事では、請求書に電子印鑑が必要かどうかを整理したうえで、PDFへの押し方・電子印鑑の作り方(無料でできる範囲)・2種類の電子印鑑の違い・改ざんを防ぐ押し方までを順に解説します。自分で作る方法で足りるのか、印影の登録と押印を自動化できる請求書発行システムを使うべきかの線引きも、最後にまとめます。
目次
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電子請求書に印鑑は必要?(結論を先に)
請求書への押印は法律上の義務ではなく、電子印鑑がなくても請求書は有効です。これは紙の請求書でもPDFの電子請求書でも変わらず、インボイス制度の適格請求書でも同じです。適格請求書に記載が求められる事項(発行者の登録番号・取引年月日・税率ごとの金額など)に印鑑は含まれていないため、押印の有無が請求書の効力を左右することはありません。
法的には不要(紙・インボイスでも同じ)
そもそも契約は当事者の意思が合致すれば成立し、書面や押印は原則として要件になりません。政府が公表した「押印についてのQ&A」でも、契約書への押印について次のように説明されています。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
出典:押印についてのQ&A 問1|内閣府・法務省・経済産業省(令和2年6月19日)
契約書ですら押印は法的な要件ではないため、契約の成立を示す書類ではない請求書は、なおさら押印を必要としません。契約の成立に書面や押印が不要であることは、民法第522条第2項(契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない)にも定められています。
同じQandAは、請求書をはじめとする文書についても直接ふれています。押印があってもなくても、請求書そのものが取引の中身を証明するわけではない、という位置づけです。
他方、請求書、納品書、検収書等の法律行為が記載されていない文書については、文書の成立の真正が認められても、その文書が示す事実の基礎となる法律行為の存在や内容(例えば、請求書記載の請求額の基礎となった売買契約の成立や内容)については、その文書から直接に認められるわけではない。
出典:押印についてのQ&A 問4|内閣府・法務省・経済産業省(令和2年6月19日)
このように、請求書に押印しても法的な義務を果たすわけではなく、押さなくても請求書の効力に影響はありません。押すかどうかは、次に述べる商習慣や取引先の求めに合わせて判断する事柄です。
商習慣・取引先の要望で押すのが一般的
法的には不要でも、実務では請求書に会社の印鑑を押すのが一般的です。押す理由は主に2つあります。1つは、発行元が確かにその会社であることを示し、書類の信頼性を高めるため。もう1つは、印影があることで体裁が整い、取引先の社内処理で受け入れられやすくなるためです。
押印には、後から「この書類は本物か」が問われたときの備えという意味もあります。民事訴訟法第228条第4項は、本人の署名または押印がある私文書は、真正に成立したものと推定すると定めています。押印は請求書を有効にするためではなく、万が一の場面で「確かに自社が作成した書類だ」と示しやすくするための実務上の裏づけ、と理解すると迷いません。
取引先によっては、社内規程で「押印済みの請求書」を求める場合もあります。相手の様式に合わせたほうがやり取りはスムーズなので、押印が不要だと分かったうえで、取引先の慣行に合わせて押すかどうかを決めるのが現実的です。
出典・参考資料(1件)
請求書に押す(電子化する)のは角印が一般的
会社の印鑑には、法務局に登録した実印(代表者印)、銀行口座の届出印である銀行印、そして社名が彫られた角印があります。このうち請求書・見積書・納品書といった日常的な帳票に押すのは、角印が一般的です。
実印や銀行印は、契約や口座取引という重要な場面のための印鑑です。日々発行する請求書にこれらを使うと、印影が流出したときのリスクが大きくなります。電子印鑑を用意するときも、実印や銀行印ではなく角印を電子化するのが基本だと考えておくと安全です。
電子請求書(PDF)への印鑑の押し方
ここからは、実際に電子の請求書へ印鑑を押す方法を解説します。まず電子印鑑とは何かを押さえたうえで、PDFに押す手順、Word・Excelで作った請求書に押す手順、押す位置のポイントの順に見ていきましょう。
電子印鑑とは(印影を電子データ化したもの)
電子印鑑とは、紙に押した印影と同じ見た目を、PNGやJPEGなどの画像データ、あるいは印鑑の情報を組み込んだPDF上のオブジェクトとして扱えるようにしたものです。PDFやWord・Excelの請求書に載せることで、紙に押したのと同じように印影を表示できます。
電子印鑑には、後で詳しく述べるとおり「印影を画像化しただけのもの」と「誰がいつ押したかの識別情報を組み込んだもの」の2種類があります。まずは見た目を再現する押し方から確認し、それぞれの違いは電子印鑑の2種類の違いで整理します。
PDFに押す手順(Adobe Acrobatなどを使う場合)
すでにPDFになっている請求書に電子印鑑を載せる場合、PDF編集ソフトのスタンプ機能を使う方法が一般的です。Adobe Acrobatを例にすると、次の流れになります。
- 角印の画像(背景を透過したPNGが望ましい)をあらかじめ用意する(用意の仕方は後述の電子印鑑の作り方を参照)
- Acrobatで請求書PDFを開き、スタンプ機能から「カスタムスタンプ」として角印画像を登録する
- 登録したスタンプを選び、請求書の発行者欄(社名・住所の近く)に配置してサイズを調整する
- 上書き保存し、レイアウトが崩れていないかを確認する
背景が白いままの画像を貼ると、社名や罫線が印影の四角い背景で隠れてしまいます。印鑑らしく見せるには、背景を透過したPNG画像を用意しておくのがポイントです。Adobe Acrobatの有料版がなくても、無料のPDF編集ツールのスタンプ機能や画像挿入機能を使えば、同じように既存のPDFへ印影を載せられます。
Word・Excelで作成した請求書に押す手順
Word・Excelのテンプレートで請求書を作っている場合は、印影画像を図として挿入します。Wordなら「挿入」→「画像」で角印画像を読み込み、文字列の折り返しを「前面」に設定すると、社名や金額に重ねて自由に動かせます。Excelでも同様に画像を挿入し、セルの上に浮かせて位置を合わせます。
配置を終えたら、そのままPDFとして書き出します。WordもExcelも「名前を付けて保存」でファイル形式にPDFを選べるため、印影を載せた状態のPDFをメール送付用に用意できます。
押印位置と押す際のポイント
角印を押す位置は、発行者の社名・住所に少し重ねるのが慣例です。社名の右側に、社名の文字へ角印の左端がわずかにかかるように配置すると、書類と印影が一体であることが示せます。
押す際は、次の点に気をつけると相手に伝わりやすい請求書になります。
- 印影がつぶれず鮮明に読める解像度の画像を使う
- 社名・住所に重ねて配置し、余白にぽつんと置かない
- 金額や明細など、読み取るべき文字の上には重ねない
- 訂正があった場合も、紙のような訂正印は使わず、正しい内容で作り直して再発行する
ただし、毎回この作業を手で行うのは手間がかかります。あらかじめ登録した印影を発行時に自動で載せられる請求書発行システムを使う道もあり、これは記事後半の無料で足りるケースとツールが要るケースの線引きでまとめて取り上げます。
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電子印鑑の作り方(無料でできる?角印を電子化する方法)
押す印影そのものは、無料の範囲で用意できます。ここでは、無料のWebツールで作る方法、手元の角印をスキャンして電子化する方法、Word・Excelで自作する方法の3つを紹介します。自分で作る以外に、請求書発行システムに印影を登録して任せる道もありますが、それは後半の線引きでまとめて扱います。
無料のツール(Webサービス・フリーソフト)で作る
社名を入力すると角印風の印影画像を生成できる、無料のツールがあります。パソコンにインストールして使うフリーソフトの「クリップスタンプ」は、角印・丸印・日付印などを種類から選んで作成できます。手元の印影をスキャンした画像なら、アップロードするだけで背景を自動で透過してくれる「印鑑透過」のようなWebツールも便利です。フォントや枠を選ぶだけで用意でき、印鑑がなくても短時間で作れます。
手軽な一方で、生成した印影は誰でも似たものを作れるため、あくまで「見た目を整える画像」である点は意識しておきましょう。改ざんや信頼性の面での注意は、電子印鑑を使うときの注意点で後述します。
印影をスキャンして取り込む(自社の角印の電子化)
すでに使っている自社の角印を電子化したい場合は、白い紙にきれいに押した印影をスキャナーやスマートフォンで取り込み、画像として保存します。取り込んだ画像は、画像編集ソフトで周囲の白地を透過させておくと、請求書に重ねたときに自然に見えます。
この方法は普段の印影をそのまま使えるのが利点ですが、実印や銀行印をスキャンして使うのは避けてください(理由は後述します)。電子化するのは、請求書用の角印にとどめるのが安全です。
Word・Excelで自作する
WordやExcelの図形機能でも、簡易的な角印を作れます。正方形の枠を挿入し、その中に社名のテキストボックスを配置して、文字色と枠線を朱色(赤系)にすると、角印風の印影になります。作った図形をグループ化して画像として保存すれば、他の請求書にも使い回せます。
専用ツールを使わずに用意できるのが利点ですが、Webツールと同様に、見た目を整えるための画像である点は変わりません。どの方法で作っても「画像を貼っただけの電子印鑑」になる、という前提で次の2種類の違いを見ていきましょう。
電子印鑑の2種類の違い(画像化/識別情報・タイムスタンプ付き)
電子印鑑は、大きく2種類に分かれます。1つは、印影を画像化しただけのもの。もう1つは、誰がいつ押したかを示す識別情報やタイムスタンプを組み込んだものです。無料ツールやスキャンで作った印影は前者にあたります。
この違いは、法的な意味合いに直結します。電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)は、電子的な書類の真正な成立を推定できる要件を、次のように定めています。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:電子署名及び認証業務に関する法律 第三条|e-Gov法令検索
ここで推定の対象になるのは「本人による電子署名」で、しかも本人だけが行えるよう符号や情報を適正に管理しているものに限られます。
同法第2条は電子署名を、その情報を作成した本人によるものであることを示せること、そして情報が改変されていないかを確認できること、の2つを満たす措置と定義しています。印影を画像化しただけの電子印鑑は、この本人性と改変検知の要件を満たさないため、電子署名法第3条の推定は働きません。
2種類の電子印鑑を、見た目・法的な位置づけ・向いている使い方で整理すると次のようになります。
| 電子印鑑の種類 | 画像化しただけの電子印鑑 | 識別情報・タイムスタンプ付きの電子印鑑 |
|---|---|---|
| 作り方 | 無料Webツール・スキャン・Word/Excelで用意 | 電子署名サービスなどを通じて付与 |
| 本人性の証明 | 誰が押したかは示せない | 本人による措置であることを示せる |
| 改ざんの検知 | できない(画像を差し替えても分からない) | 後から改変されていないかを確認できる |
| 電子署名法3条の推定 | 働かない | 要件を満たせば働く |
| 向いている使い方 | 社内資料・見た目を整えたい請求書 | 改ざんを防ぎたい契約書・重要書類 |
先に触れた、署名または押印があれば真正に成立したと推定されるという効果も、厳密には本人だけが行える措置を前提としたものです。紙の角印を画像化して貼っただけの電子印鑑には、同じようには及びません。
ただし請求書は取引の中身そのものを証明する書類ではないため、日々の請求書であれば、画像化しただけの電子印鑑でも実務上は足ります。改ざんされては困る契約書などには識別情報付きの電子署名が向くので、自社が扱う書類に応じてどちらが必要かを判断しましょう。
出典・参考資料(1件)
電子印鑑を使うときの注意点(改ざんリスクと信頼される押し方)
電子印鑑は手軽に用意できますが、「作れる」で終わらせると、改ざんや取引先からの見え方で思わぬつまずきが起きます。ここでは、画像印のリスク、避けるべき使い方、信頼される押し方の順に確認します。
画像を貼っただけの印鑑の改ざんリスク・取引先からの見え方
先の表で見たとおり、画像化しただけの電子印鑑には本人が押したことを示す情報も改ざんを検知する仕組みもありません。そのため、画像をコピーして別の書類に貼り付けられたり、よく似た印影を作られたりするのを技術的に防げない点は、頭に入れておく必要があります。
取引先から見たときの印象にも注意が要ります。粗い画像や、明らかに無料ツールで作ったと分かる印影は、かえって書類の信頼感を損ねることがあります。押印は相手に安心してもらうための手段なので、鮮明で自然な印影を使い、体裁を整えることが大切です。
実印のスキャン画像は使わない
法務局に登録した実印(代表者印)や銀行印をスキャンして電子印鑑にするのは避けてください。これらの印影が画像として出回ると、契約や口座取引という重要な場面で悪用されるおそれがあります。電子化するのは請求書用の角印にとどめ、実印・銀行印の印影はデータ化しないのが安全です。
信頼される押し方=電子署名・タイムスタンプ
改ざんを防ぎたい、あるいは「いつ・誰が」を証明できる形にしたい場合は、画像の押印ではなく、電子署名やタイムスタンプを使います。電子署名は本人性と改変検知を満たす措置、タイムスタンプはその時点でその内容が存在したことを示す仕組みで、いずれも後からの改ざんを検知できます。
自社が電子でやり取りした請求書は、発行側・受領側を問わず電子帳簿保存法に沿って保存する必要があり、その際はデータが改ざんされていないこと(真実性の確保)が求められます。「電子の請求書にはタイムスタンプが必須」と誤解されがちですが、その手段はタイムスタンプに限られません。国税庁は、真実性を確保する方法として次のいずれかの措置を挙げています。
一 タイムスタンプが付された後の授受
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(真実性の確保)|国税庁
二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受及び保存を行う。
四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
このように、タイムスタンプは真実性を確保する複数の手段の1つであって、必須ではありません。訂正や削除の履歴が残るシステムを使う、あるいは訂正削除の防止に関する事務処理規程を備えるといった方法でも要件を満たせます。自社の運用に合った方法を選べばよく、タイムスタンプがないと保存できないわけではない点を押さえておきましょう。
タイムスタンプを使わずに真実性を確保する方法(訂正削除の履歴が残るシステム・事務処理規程の備付け)について、満たすべき要件を条文とともに詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
出典・参考資料(1件)
自力で足りる?請求書発行システムを使うべき?(無料とツールの線引き)
ここまでの内容をふまえ、無料で用意した電子印鑑で足りるのか、請求書発行システムを使ったほうがよいのかを整理します。自社の状況に当てはめて、線引きを判断してみてください。
無料の画像印で足りるケース/ツールが要るケースの線引き
発行する請求書の枚数が少なく、体裁として角印を載せたいだけなら、無料ツールやスキャンで作った画像印で十分です。法的に押印は不要で、画像印でも請求書の効力は変わりません。自分で作る手間を一度かければ、追加の費用はかかりません。
一方、次のような場合は、印影の登録や押印を任せられる請求書発行システムの利用が向いています。
- 毎月多くの請求書を発行し、1枚ずつ画像を貼る手間をなくしたい
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- 改ざんされていないことを示せる形(電子署名・タイムスタンプ)で送りたい
- 電子帳簿保存法に沿った保存や、会計ソフトとの連携までまとめて整えたい
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まとめ
請求書への押印は法律上の義務ではなく、電子印鑑がなくても請求書は有効です。それでも商習慣として角印を押すことが多く、その場合は印影を電子データにした電子印鑑をPDFに載せます。電子印鑑は無料のWebツール・スキャン・Word/Excelで作れますが、画像を貼っただけの印鑑は改ざんを防げないため、改ざん対策が必要な書類には電子署名やタイムスタンプを使い分けます。
発行枚数が少なく体裁を整えたいだけなら無料の画像印で足ります。一方、印影の登録と押印を自動化したい、改ざん対策や電子帳簿保存法への対応までまとめたいなら、請求書発行システムの利用が向いています。自社の発行量と求める信頼性のレベルで、線引きを判断しましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 電子印鑑とは何ですか?
A. 電子印鑑とは、紙に押した印影と同じ見た目を、画像データやPDF上のオブジェクトとして扱えるようにしたものです。PDFやWord・Excelで作成した請求書に載せると、紙に押したのと同じように印影を表示できます。印影を画像化しただけのものと、誰がいつ押したかを示す識別情報を組み込んだものの2種類があり、無料ツールやスキャンで作れるのは前者にあたります。
Q. インボイス(適格請求書)に印鑑は必要ですか?
A. インボイス(適格請求書)にも印鑑は必要ありません。適格請求書に記載が求められる事項(発行者の登録番号・取引年月日・税率ごとの金額など)に印鑑は含まれておらず、そもそも請求書への押印は法律上の義務ではないためです。押すかどうかは、発行元を示して体裁を整えるための商習慣として、取引先の求めに合わせて判断すれば足ります。
Q. 無料で作った電子印鑑を請求書に使っても問題ありませんか?
A. 無料で作った電子印鑑を請求書に使っても問題ありません。押印は法的な義務ではなく、画像化しただけの電子印鑑でも請求書の効力は変わらないためです。ただし、無料ツールやスキャンで作った画像印は「本人が押したこと」を証明できず、改ざんも検知できません。体裁を整える範囲なら無料の画像印で十分ですが、改ざんを防ぎたい契約書などでは識別情報付きの電子署名を使い分けましょう。
Q. 電子署名と電子印鑑は何が違うのですか?
A. 電子印鑑が印影の見た目を再現したものであるのに対し、電子署名は「本人が作成したこと」と「改ざんされていないこと」を確認できる措置である点が違います。電子署名法は、本人だけが行える電子署名がなされた電子文書を真正に成立したものと推定すると定めており、画像化しただけの電子印鑑ではこの推定は働きません。見た目を整えたい請求書なら電子印鑑、改ざんを防ぎたい重要書類なら電子署名、と使い分けます。
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Q. 画像の電子印鑑を貼った請求書は、取引先に失礼だと思われませんか?
A. 鮮明で自然な印影を社名・住所に重ねて押せば、画像の電子印鑑でも失礼にはあたりません。押印はもともと相手に安心してもらうための手段なので、粗い画像や明らかに無料ツールで作ったと分かる印影は、かえって信頼感を損ねます。解像度の高い印影を使い、金額や明細の文字に重ねないよう配置すれば、取引先の社内処理でも受け入れられやすい請求書になります。
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松嶋真倫
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