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越境ECの関税は誰が払う?国別の免税枠・税率と負担を抑える方法を解説

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越境EC支援比較表(2026年版)

海外の消費者に自社商品を売る越境ECを始めると、必ずぶつかるのが関税の扱いです。「関税は自社と海外のお客さまのどちらが払うのか」「売り先の国ごとにいくらかかるのか」がはっきりしないまま価格を決めると、利益が削られたり、受け取り拒否で商品が返ってきたりするおそれがあります。

しかも関税の制度は、2025年に米国が少額免税(デミニマス)を停止し、相互関税を導入するなど、直近で相次いで変わっています。以前調べた知識のままでは、価格設計を誤りかねません。

本記事では、越境ECの関税を「誰が・いくら・どう負担するか」という順で整理します。主要な売り先の国ごとの免税枠と税率を1枚の一覧表にまとめ、2025〜2026年に変わった米国・EUの制度も施行日つきで反映しました。日本側の消費税(輸出免税・還付)や、関税負担を軽くする方法まであわせて解説します。海外向けにECを始めたい・伸ばしたい事業者が、自社の価格設計と配送条件を決める材料としてご活用ください。

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越境ECの関税は誰が払う?原則は購入者、DDP/DAPで出品者の肩代わりも

ここからは、越境ECで関税を誰が負担するのかを、仕組みと配送条件の両面から見ていきます。

関税とは(仕組み・目的と、消費税・VATとの違い)

関税は、商品が国境を越えて輸入されるときに、その国が輸入品に課す税です。自国の産業を保護したり、税収を確保したりする目的で、輸入する国の制度にもとづいて課されます。越境ECでは、日本から送った商品が相手国に輸入される時点で、相手国の関税の対象になります。

関税と混同しやすいのが、消費税や付加価値税(VAT)です。消費税・VATは商品やサービスの消費そのものにかかる税で、輸入品にも国産品にも課されます。関税は「輸入」という行為にかかる税である点が異なり、多くの国では輸入時に関税とVATの両方が課されます。日本から輸出する商品は、日本の消費税は免除されますが、相手国の関税とVATは別にかかると理解しておくと混乱しません。

関税は原則、輸入者(海外の購入者)が負担する

関税を納めるのは、原則として輸入する側、すなわち商品を受け取る海外の購入者です。これは、貿易の費用とリスクの分担を定めた国際的な取引条件「インコタームズ」の考え方にもとづきます。たとえば購入者が輸入通関を担うDAP(仕向地持込渡)では、輸入通関に関わる費用を買主が負担すると定められています。

買主は、輸入通関に関わる一切の費用と、指定仕向地での物品の引き渡し後に生じるすべての費用とリスクを負担

出典:貿易・投資相談Q&A「DAP(仕向地持込渡)での輸出時の海上保険付保の必要性」|日本貿易振興機構(JETRO)(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011212.html)

そのため何も手当てをしなければ、海外の購入者が商品の受け取り時に関税を請求されます。購入時に支払った金額のほかに想定外の請求が届くため、金額によっては受け取りを拒否され、商品が返送されてしまうことも起こり得ます。

DDPとDAPの違いと、それぞれのメリット・リスク

この「誰が負担するか」を出品者側で設計できるのが、DDPとDAPという配送条件です。どちらを選ぶかで、購入者の体験と自社のコストが変わります。

越境ECで関税を誰が負担するかを示した図解。原則は輸入する海外の購入者が負担するが、配送条件で変わる。DDP(関税込持込渡)は出品者が輸入通関・関税まで負担して届けるため購入者は追加請求なしで受け取れる。DAP(仕向地持込渡)は購入者が輸入通関・関税を負担し、受け取り時に請求される。
  • DDP(関税込持込渡):出品者が輸入通関・関税・輸入時の諸税まで負担して届ける条件です。インコタームズ2020の11規則のうち、もっとも売主の負担が大きい規則にあたります。購入者は追加請求なしで商品を受け取れるため、受け取り拒否が起きにくく購買体験が良くなる一方、関税分を出品者が負担するため価格設計にその分を織り込む必要があります。
  • DAP(仕向地持込渡):購入者が輸入通関・関税を負担する条件です。出品者は関税分を抱えずに済みますが、購入者が受け取り時に請求される金額を事前に理解していないと、不満や受け取り拒否につながります。

DDPは購入者にとって分かりやすく、トラブルを避けやすい条件です。DAPは出品者のコストを抑えられますが、関税がかかることと概算額をサイト上で丁寧に伝える配慮が欠かせません。

負担者と配送条件を自社としてどう決めるか

DDPとDAPのどちらを採るかは、「原則は購入者負担」で終わらせず、次の観点で自社の方針として決めると判断がぶれません。

  • コスト:DDPなら関税分を売価に織り込めるか。利益が残る価格を設定できるかを試算します。
  • 受け取り拒否のリスク:単価が高い、または関税率が高い品目ほど、DAPでの受け取り拒否が起きやすくなります。返送コストも含めて比較します。
  • 購買体験(CX):追加請求のないDDPは、リピートや口コミにつながりやすい面があります。
  • 価格設計への影響:競合との価格差や、国ごとの関税率の違いを踏まえ、国別に条件を変える選択肢もあります。

一般には、単価が高くリピートを重視する商材ほどDDPが向き、単価が低く購入者側の負担感が小さい商材はDAPでも成立しやすい傾向があります。自社商品の単価と、主な売り先の国の関税率を照らし合わせて決めるのが実務的です。

では、その「売り先の国ごとの関税率と免税枠」は実際にどうなっているのか。次章で一覧にまとめます。

主要国別の免税枠・税率の実額一覧

ここからは、主要な売り先の国ごとに、関税がかからない免税枠と、かかる場合の主な税・税率を一覧で確認します。制度は国によって考え方が異なるため、自社の主な販売先の行を見てください。

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国・地域関税の免税枠(これ以下は関税が原則かからない)主な税・付加価値税の税率特記
米国かつて申告額800ドル以下は免税(デミニマス)だったが、2025年8月29日に全世界向けで停止。現在は少額でも課税対象連邦の付加価値税はなく、品目別の関税に加え対日は相互関税15%(一般関税率込み)。州の売上税は州により異なる2025年に変動。下のH3参照
中国(保税・直購)1回5,000元以下かつ年26,000元以下なら関税0%関税0%+増値税・消費税は法定額の70%上限超過分は一般貿易扱い
中国(個人向け郵送)行郵税額が50元以下なら免税(1回あたり2,000元相当まで)行郵税(品目別13%・20%・50%の3段階)どちらのチャネルかで適用が変わる
台湾2,000台湾ドル以下の少額輸入貨物は関税免除営業税(付加価値税)5%酒・たばこ・関税割当対象の農産物は対象外
韓国課税価格150米ドル以下(米国発は200米ドル)の自己使用物品は関税免除付加価値税10%150米ドル超〜2,000米ドル以下は簡易通関
シンガポール航空便の非管理品目でCIF価格400シンガポールドル以下は輸入時の関税・GSTが免除物品サービス税(GST)9%(2024年〜)オンライン購入の低価格輸入品は海外事業者がGSTを徴収(低価格品のGST免除は2023年に廃止)
インドネシア通関価額3米ドルまで関税免除(付加価値税はかかる)3米ドル超は原則関税7.5%+付加価値税(PPN、名目12%・多くの品目は実質11%で運用)少額でもVATは課税
マレーシア—(低価格物品に課税あり)オンライン購入の500リンギ以下の低価格物品に売上税10%(2024年〜)低価格物品課税(LVG)
EU150ユーロ以下の関税免除(デミニマス)は2026年7月1日に廃止。現在は少額貨物にも輸入申告書の品目1行あたり3ユーロの定額関税(主に郵便・IOSS経由。下のH3参照)150ユーロ超は品目別の関税。150ユーロ以下は品目1行あたり3ユーロの定額関税(2026年7月〜)。付加価値税(VAT)は金額にかかわらず課税(標準税率は国により約17〜27%)IOSSでVAT申告を一元化可。下のH3参照
英国—(商品価値135ポンド以下は販売時にVAT徴収)付加価値税(VAT)標準20%課税価格135ポンド以下はオンラインマーケットプレイスが販売時にVATを徴収

免税枠は「関税」についての基準で、VAT・消費税・GSTは免税枠以下でも課されることが多い点に注意してください(韓国・台湾のように、免税枠を下回ると関税と付加価値税の両方が免除される国もあります)。

表の付加価値税の税率は固定ですが、関税の税率は商品の分類(HSコード)によって無税から数十%まで幅があります。表中のCIF価格とは、商品代金に運賃・保険料を加えた金額です。税率や基準は改定されることもあるため、販売先を確定する際は各国税関やJETROの国別情報で自社商品の最新の数値を確認してください。

出典・参考資料(8件)

2025〜2026年に大きく変わった点:米国のデミニマス停止・相互関税/EUの少額関税・VAT・IOSS

上の一覧のうち、米国とEUは直近で制度が変わっています。古い情報のまま価格を決めると誤るため、2026年10月時点の状態を押さえておきましょう。

まず米国は、長らく申告額800ドル以下の少額貨物を免税とするデミニマス制度を設けていましたが、2025年の大統領令にもとづき全世界向けで停止されました。JETROは次のように伝えています。

米国東部時間8月29日午前0時1分以降に通関する貨物から停止

800ドル以下の少額貨物に対しても、関税がかかる

出典:ビジネス短信「トランプ米大統領、全世界に非課税基準額(デミニミス)ルール適用を停止する大統領令発表」|JETRO(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/7ab60987e710800e.html)

停止は2025年8月29日に施行され、2026年10月時点でも継続しています。かつて少額免税を前提にしていた商材は、米国向けでは少額でも関税がかかる前提で価格を見直す必要があります。郵便物の従量税・従価税を選べる経過措置も2026年2月末で終了しており、現在は選択できません。

さらに米国は2025年に相互関税(いわゆるトランプ関税)を導入しました。日本に対する税率は、2025年4月の発表当初は24%とされていましたが、その後の日米合意を経て引き下げられています。

相互関税率は、日本政府が発表した内容どおり…一般関税率(MFN税率)を含めて15%

米国東部時間2025年8月7日午前0時1分以降の輸入にさかのぼって適用される

出典:ビジネス短信「トランプ米大統領、日米合意を履行する大統領令を発表、相互関税・自動車関税を引き下げ」|JETRO(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/09/df5c001da8c7a39e.html)

対日の相互関税は、一般関税率(MFN税率)を含めて15%です。米国向けの価格は、この15%を織り込んで設計する必要があります。相互関税の税率は国ごとに異なり変動も大きいため、米国以外の国の具体的な数値は、販売先を決める直前にJETROの関税特集などで確認してください。

これらを踏まえると、いま米国向けに少額の商品を送る場合、デミニマス停止で少額免税は使えません。対日相互関税は一般関税率を含めて15%なので、多くの消費財では課税価格に対しておおむね15%の関税がかかる見当になります。品目によっては個別の関税率が15%を上回ることもあるため、商品のHSコードで税率を確かめたうえで売価に織り込むのが安全です。

EUでは、2021年7月に22ユーロ以下の輸入品に対するVAT免除が廃止され、現在は少額の商品でもVATが課されます。VATは課税価格にかかわらず発生する点は、以前から変わりません。

150ユーロを超えない少額商品であってもVATについては…発生します

出典:貿易・投資相談Q&A「越境EC販売におけるVAT:EU・英国向け輸出」|JETRO(https://www.jetro.go.jp/world/qa/F-220812.html)

さらに関税についても、2026年7月1日から、150ユーロ以下の少額貨物に対する関税免除(デミニマス)が廃止されました。現在は、主に郵便・IOSS経由で送る150ユーロ以下の貨物に、輸入申告書の品目1行あたり3ユーロの定額関税がかかります。これは完全撤廃(EU関税データ・ハブの運用開始後、2028年ごろの見込み)までの暫定措置です。従来の免税を前提に売価を組んでいた場合は見直しが必要です。

EU理事会(閣僚理事会)は12月12日…150ユーロ未満の小包(少額小包)に対し、2026年7月1日から3ユーロの関税を課すことで合意した

出典:ビジネス短信「EU、150ユーロ未満の少額小包に3ユーロの関税を課すことで合意、2026年7月1日から」|JETRO(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/12/4fd7cc1306089608.html)

EU域外の事業者は、IOSS(輸入ワンストップショップ)に登録すると、1つの加盟国でVATの申告・納税を一元化でき、通関が円滑になります。EU向けの販売量が多い場合は活用を検討する価値があります。

こうした少額免税(デミニマス)の撤廃・変更は米国・EUだけでなく各国で相次いでおり、自社の商品が「どの国で・いくらから課税対象になるか」を押さえておくと価格設計を誤りません。各国のしきい値の現況と、撤廃に備えて何から着手すべきかは、次の記事で詳しく整理しています。

越境ECの関税はどう計算される?

ここからは、関税がどのように計算されるかを、自社商品に当てはめて概算できる形で解説します。基本の考え方は、輸入する国の制度にもとづきますが、計算の骨格は共通しています。

課税価格と、従価税・従量税・混合税・簡易税率

関税は、課税の基準となる「課税価格」に税率を掛けて計算します。日本の輸入を例にとると、課税価格は商品代金に運賃・保険料などを加えたCIF価格が基準です。

課税標準となる価格(課税価格)は取引価格に運賃、保険料その他加算要素を加算した合計額(いわゆるCIF価格)です。

課税価格は1,000円未満を切り捨てて計算し、算出した関税の額については100円未満を切り捨てます。

出典:貿易・投資相談Q&A「輸入税額の計算方法:日本」|JETRO(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04M-100421.html)

税率のかけ方には、主に次の3種類があります。相手国でも考え方は共通です。

  • 従価税:課税価格に一定の率を掛ける方式です。関税額は「課税価格×関税率」で求めます。
  • 従量税:数量や重量に応じて課す方式です。「1kgあたり◯円」のように、価格ではなく量を基準にします。
  • 混合税:従価税と従量税を組み合わせる方式です。

輸入時には、関税のほかに輸入国のVAT・消費税もかかります。日本に輸入する場合は、課税価格に関税額を加えた金額に消費税がかかる仕組みです。少額の輸入には、税率の区分を簡略化した簡易税率が設けられている国もあります(日本では課税価格20万円以下が対象)。

仕組みをつかむために、日本への輸入を例に概算してみます。商品代金8,000円・送料2,000円なら、課税価格(CIF)は10,000円です。従価税率10%の品目なら関税は10,000円×10%=1,000円、輸入消費税は(10,000円+1,000円)×10%=1,100円で、税の合計はおよそ2,100円になります。

関税の計算の流れを日本への輸入を例に示した図解。STEP1 課税価格(CIF)は商品代金8,000円+送料2,000円で10,000円。STEP2 関税は課税価格×関税率10%で1,000円。STEP3 輸入消費税は(課税価格+関税)×10%で1,100円。合計の税額は約2,100円。相手国へ売る場合も同じ考え方で税額の見当がつく。

相手国へ売る場合も、課税価格にその国の関税率と付加価値税率を当てはめれば、同じ考え方で税額の見当がつきます。

自社商品の税率の調べ方(HSコード・WorldTariff・原産地規則)

自社商品にかかる関税率を調べるには、まず商品の分類コードであるHSコード(国際的に統一された品目分類番号)を特定します。関税率はこのHSコードと、商品の価格・原産国で決まります。

相手国ごとの関税率は、各国の関税率を検索できるデータベース「WorldTariff」や、各国税関の関税率表で確認できます。日本の輸入側の税率は、税関の実行関税率表で引けます。

また、日本が相手国と結ぶ経済連携協定(EPA)やFTAを使うと、原産地規則を満たす商品は関税が減免される場合があります。衣類や革製品など税率が高い品目もあるため、販売先を決める前に自社商品の税率を調べておくと、価格設計の精度が上がります。

日本側の税:輸出は消費税免税・課税事業者は還付される

ここまでは売り先の国の関税を見てきました。ここからは、日本側の税がどうなるかを整理します。売り先の関税と対で押さえると、全体像がつかめます。

日本から海外へ商品を輸出する取引は、課税事業者が行う場合、日本の消費税が免除されます(消費税0%)。国税庁は輸出免税について次のように定めています。

課税事業者が次のような輸出取引等を行った場合は、消費税が免除されます。

輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書または輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。

出典:タックスアンサー No.6551「輸出取引の免税」|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm)

輸出売上は消費税が0%(免税)になる一方、国内で仕入れた商品や経費にかかった消費税は仕入税額控除の対象になります。売上にかかる消費税より控除できる消費税が多ければ、その差額が還付されます。これが輸出事業者の消費税還付の仕組みです。

還付を受けるには、課税事業者であること、原則課税で申告すること(簡易課税や2割特例では還付を受けられません)、輸出の証明書類を保存することが前提です。消費税の還付申告書には「消費税の還付申告に関する明細書」を添付し、主な輸出先や還付となる理由を記載します。還付額の試算や個別の判断は、税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

2026年10月1日以後の輸出では、代金を現金など取引相手からの支払いか明らかでない方法で受領する場合に、保存書類が追加されます。具体的には、仕向国の税関が発行する輸入許可書などの輸入事実を証する書類をあわせて保存します。これは受領方法が限定された追加要件で、銀行振込など取引相手が確認できる決済は従来どおりです。

出典・参考資料(1件)

越境ECの関税で外さないための実務の注意点

ここからは、関税まわりで手続きを外さないための実務ポイントを押さえます。価格表示から事業形態の違いまで、トラブルになりやすい点を確認しましょう。

サイトへの関税表示・課税商品の明示

DAPのように購入者が関税を負担する場合は、関税がかかる可能性と、誰が負担するのかをサイト上で明確に示しておくことが大切です。購入後に想定外の請求が届くと、受け取り拒否やクレームにつながります。DDPで出品者が負担する場合も、価格に関税分が含まれていることを伝えると、購入者の納得感が高まります。

関税とは別にかかるVAT・IOSS(EUなど)

関税がかからない、あるいは免税枠に収まる場合でも、VAT・消費税・GSTは別に課されるのが一般的です。関税だけを見て「免税だから何もかからない」と判断すると、現地で付加価値税を請求されて購入者が驚くことになります。

前章で見たEUのVATやIOSSに限らず、英国の付加価値税、シンガポールのGST、アジア各国の付加価値税など、国ごとに関税とは別の税がかかります。関税と付加価値税は分けて考え、売価と表示に反映しておきましょう。

BtoCとBtoBで異なる手続き

海外の消費者に直接販売するBtoCと、海外の事業者へ販売するBtoBでは、通関の手続きや必要書類、適用される制度が異なります。中国向けの越境ECでは、保税区や直接購入を通じたBtoCの越境EC小売輸入と、一般貿易扱いとなる取引で税の扱いが分かれます。自社の取引がどの形態にあたるかを確認し、必要な手続きを押さえておきましょう。

海外から日本へ売る場合(リバース)の関税

ここまでは日本から海外へ売る場合を見てきました。逆に、海外の事業者が日本の消費者へ販売する場合の関税も、補足として押さえておきましょう。日本への輸入にも免税の仕組みがあります。

現在、日本では課税価格の合計額が1万円以下の輸入貨物は、関税と輸入消費税が免除されます。また個人が自分で使う目的で輸入する貨物は、課税価格を海外小売価格に0.6を掛けた金額で計算する特例があります。この0.6掛けと1万円以下免税を組み合わせると、海外小売価格でおおむね約16,000円台までは関税・消費税がかからない計算になります。

ただし、この少額免税は今後見直される見込みです。令和8年度の税制改正では、1万円以下の少額輸入貨物の販売を消費税の課税対象とし、プラットフォーム事業者に納税義務を課すプラットフォーム課税の導入や、個人使用貨物の0.6掛け特例の廃止が示されています。

施行時期を含む詳細は、成立する法令で確認してください。日本の消費者向けに越境ECで販売する海外事業者にとっては、免税を前提にした価格設計を見直す必要が出てきます。

出典・参考資料(3件)

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越境ECの関税負担を軽くする方法(サービスの活用)

ここからは、関税まわりの負担を軽くする方法を見ていきます。大きく分けて、自社の工夫でできることと、サービスに任せられることがあります。

自社でできる工夫には、次のようなものがあります。

  • EPA・FTAの活用:原産地規則を満たす商品は、経済連携協定を使うと相手国の関税が減免される場合があります。
  • 免税枠を意識した出荷設計:売り先の国の免税枠(前掲の一覧)を踏まえ、1回あたりの価格・数量を調整します。
  • HSコードの適正な分類:正しいHSコードで申告すると、過大な関税や通関の遅延を避けられます。

一方で、DDPでの関税の肩代わりや、国ごとの通関・関税に対応した物流は、自社だけで整えるのは負担が大きい領域です。越境EC支援サービスを使えば、こうした実務を任せられます。サービスに任せられることには、主に次のようなものがあります。

  • DDP(関税前払い)への対応:出品者が関税を立て替えて届ける仕組みを使えば、購入者の受け取り拒否を防げます。
  • 通関・関税に対応した国際物流:売り先の国の通関方式や関税に応じた配送スキームを組んでもらえます。
  • 関税計算を組み込んだカート・決済:購入時点で関税を含む総額を提示できると、購買体験が安定します。

こうした支援を提供するサービスを、関税対応の観点で比較しました。

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サービスWeChatミニプログラム
For中国越境EC
Lingble Global Guide
対応国・地域中国(WeChat内のEC)34カ国で販売・170カ国へ配送
支援形態WeChatミニプログラム型ECの
構築・運営(オールインワン)
フルマネージド型の
グローバルEC支援(戦略〜CS)
DDP(関税前払い)×公式に記載なし●
通関対応●中国向け通関に対応●国際配送・通関手続き
国際物流●倉庫保管型/都度発送型●170カ国への配送実績
料金要お問い合わせ要お問い合わせ
(売上レベニューシェア型)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約

以下では、各サービスの特徴を紹介します。

WeChatミニプログラムFor中国越境EC(株式会社マルウェブ)

WeChatミニプログラムFor中国越境ECのウェブサイト

中国向けの越境ECに特化したサービスです。中国で広く使われるメッセージアプリWeChat(微信)の中で動く「ミニプログラム」形式のECを構築でき、管理画面・注文/出荷管理・WeChatPay決済・越境物流パートナー連携までをオールインワンで提供します。

関税の面では、国際物流パートナーと連携し、商品ジャンル・重量・配送頻度・関税対応などに応じて物流プランを提案する点が特徴です。中国向けの通関に対応した配送スキームを組めるため、中国を主な販売先とする事業者が、関税と物流をまとめて相談できます。倉庫保管型と注文都度発送型のいずれにも対応します。

Lingble Global Guide(Lingble Pte. Ltd.)

Lingble Global Guideのウェブサイト

グローバルEC戦略の立案からサイト構築・運営・物流・多言語カスタマーサポートまでを一気通貫で支援する、フルマネージド型のサービスです。D2Cブランドの海外展開に必要な機能をワンストップで提供します。

関税の面では、国際配送・通関手続きに加えてDDP(関税前払い)に対応している点が特徴です。出品者が関税を立て替えて届けられるため、購入者が受け取り時に関税を請求されることによる受け取り拒否を防ぎやすくなります。複数国への展開を一括で任せたい事業者に向いています。

ここで取り上げたのは関税対応に強い2サービスですが、越境EC支援サービスは構築・運営代行・特定市場への特化型などタイプが幅広く、料金や対応範囲も大きく異なります。関税の肩代わりだけでなく、自社に合う相談先を幅広く比較したい方は、次の記事で19社をタイプ別に整理しています。

まとめ

越境ECの関税は、原則として海外の購入者が負担しますが、DDPを使えば出品者が肩代わりして購買体験を整えられます。どちらを選ぶかは、自社商品の単価と、主な売り先の国の関税率・免税枠を照らし合わせて決めるのが実務的です。

とくに米国は、2025年に少額免税(デミニマス)が停止され、対日の相互関税が一般関税率込みで15%になるなど制度が大きく動いています。古い情報のまま価格を決めず、最新の制度で見直すことが欠かせません。関税の肩代わりや通関対応の物流は、越境EC支援サービスを使えば自社の負担を抑えて進められます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 越境ECの関税とは何ですか?

A. 越境ECの関税とは、日本から送った商品が海外の購入者の国に輸入される時点で、その国が輸入品に課す税です。自国の産業を保護したり税収を確保したりする目的で、輸入する国の制度にもとづいて課されます。商品の消費そのものにかかる消費税やVAT(付加価値税)とは異なり、関税は「輸入」という行為にかかる税で、多くの国では輸入時に関税とVATの両方が課されます。

Q. 越境ECの関税は誰が払うのですか?

A. 越境ECの関税は、原則として輸入する側、すなわち商品を受け取る海外の購入者が負担します。これは貿易の費用とリスクの分担を定めた国際的な取引条件「インコタームズ」の考え方にもとづきます。ただし配送条件をDDP(関税込持込渡)にすれば、出品者が関税を肩代わりして届けることもできます。

何も手当てをしなければ、購入者が受け取り時に関税を請求され、金額によっては受け取りを拒否されて商品が返送されることもあります。

Q. 越境ECで購入者に関税を負担させない方法はありますか?

A. 越境ECで購入者に関税を負担させないようにするには、配送条件をDDP(関税込持込渡)にして、出品者が関税を立て替えて届ける方法があります。購入者は追加請求なしで商品を受け取れるため、受け取り拒否が起きにくく購買体験も安定します。

その分の関税コストは出品者が負担するので、売価に織り込んでも利益が残るかを試算したうえで採用します。DDP(関税前払い)に対応した越境EC支援サービスを使えば、自社で通関実務を抱え込まずに肩代わりを実現できます。

Q. 越境ECの関税はどのタイミングで請求されますか?

A. 越境ECの関税は、商品が相手国に到着して輸入通関する時点で課され、DAP(仕向地持込渡)では購入者が受け取り時に配送業者などから請求されます。DDPの場合は出品者が通関時に立て替えて納めるため、購入者に別途の請求は届きません。受け取り時の想定外の請求はトラブルのもとになるので、どちらの配送条件かを事前に明確にしておくことが大切です。

Q. 越境ECで商品価格に関税を含めて表示しないと違反になりますか?

A. 越境ECで関税を商品価格に含めて表示していないこと自体が、ただちに法令違反になるわけではありません。ただし、DAPで購入者が関税を負担する場合は、関税がかかる可能性と誰が負担するのかをサイト上で明確に示しておくことが欠かせません。

表示が不十分だと、購入後の想定外の請求で受け取り拒否やクレームにつながります。DDPで出品者が負担する場合も、価格に関税分が含まれている旨を伝えると購入者の納得感が高まります。

Q. アメリカ向けの越境ECでは、少額の商品に今も関税がかかりませんか?

A. アメリカ向けの越境ECでは、かつて申告額800ドル以下を免税としていた少額免税(デミニマス)が2025年8月29日に停止され、現在は少額の商品にも関税がかかります。2026年10月時点でも停止は継続しています。かつて少額免税を前提にしていた商材は、米国向けでは少額でも関税がかかる前提で価格を見直す必要があります。

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Q. トランプ関税(相互関税)は越境ECにどう影響しますか?

A. 米国の相互関税(いわゆるトランプ関税)により、日本に対する税率は一般関税率(MFN税率)を含めて15%となり、米国向けの価格はこの15%を織り込んで設計する必要があります。2025年4月の発表当初は24%とされていましたが、その後の日米合意を経て引き下げられ、15%が2025年8月7日以降の輸入にさかのぼって適用されています。

相互関税率は国ごとに異なり変動も大きいため、米国以外の国の数値は、販売先を決める直前にJETROの関税特集などで最新の値を確認してください。

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Q. EU向けに150ユーロ以下の商品を送る場合、関税とVATはどうなりますか?

A. 2026年7月1日から、EUは150ユーロ以下の少額貨物に対する関税免除(デミニマス)を廃止しました。現在は、主に郵便・IOSS経由で送る150ユーロ以下の商品に、輸入申告書の品目1行あたり3ユーロの定額関税がかかります。VATも金額にかかわらず課されます(2021年7月に22ユーロ以下のVAT免除が廃止済み)。

EU域外の事業者はIOSS(輸入ワンストップショップ)に登録すると、1つの加盟国でVATの申告・納税を一元化でき、通関が円滑になります。

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Q. 越境ECでHSコードを間違えるとどうなりますか?

A. 越境ECでHSコード(国際的に統一された品目分類番号)を間違えると、本来と異なる関税率が適用され、関税の過少・過大納付や、通関の遅延・追徴につながるおそれがあります。関税率はHSコードと商品の価格・原産国で決まるため、自社商品のHSコードを正しく特定することが、正確な価格設計の前提になります。分類の判断に迷う場合は、税関の事前教示制度や通関の専門家に確認すると安全です。

Q. 越境ECの売上に日本の消費税はかかりますか?

A. 越境ECで日本から海外へ輸出する売上には、課税事業者が行う輸出取引であれば、日本の消費税は免除されます(消費税0%)。輸出免税の適用を受けるには、輸出許可書など輸出の事実を示す書類を整理し、7年間保存する必要があります。相手国の関税やVATは、日本の消費税とは別にかかる点に注意してください。

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Q. 越境ECの消費税還付を受けられるのはどのような事業者ですか?

A. 越境ECの消費税還付を受けられるのは、課税事業者で、原則課税で申告し、輸出の証明書類を保存している事業者です。輸出売上は消費税0%になる一方、国内で仕入れた商品や経費にかかった消費税は仕入税額控除の対象になるため、控除できる消費税が売上の消費税を上回る差額が還付されます。免税事業者や、簡易課税・2割特例を選んでいる場合は還付を受けられません。

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Q. 越境ECの消費税の還付金はいつ受け取れますか?

A. 越境ECの消費税の還付金は、消費税の確定申告書を提出したあと、税務署の処理を経て指定口座へ振り込まれます。還付のための申告では「消費税の還付申告に関する明細書」を添付し、主な輸出先や還付となる理由を記載します。受け取りまでの期間は税務署の処理状況によって変わるため、具体的な時期や個別の判断は所轄の税務署や税理士に確認することをおすすめします。

Q. 2026年10月から越境ECの輸出免税の要件はどう変わりますか?

A. 2026年10月1日以後の輸出では、代金を現金など取引相手からの支払いか明らかでない方法で受領する場合に、仕向国の税関が発行する輸入許可書など輸入の事実を示す書類の保存が、新たに必要になります。これは受領方法が限定された追加要件で、銀行振込など取引相手が確認できる決済は、従来どおりの書類で輸出免税を受けられます。

Q. 国際郵便(EMSなど)で送った商品に輸出許可書がない場合、輸出免税を受けられますか?

A. 国際郵便で輸出許可書が交付されない少額の貨物でも、輸出の事実を記載した帳簿や書類を保存していれば、輸出免税を受けられます。税関の輸出許可書が出ない郵便物については、発送伝票の控えや引受けを示す記録など、輸出の事実を証明できる書類をそろえて保存します。保存すべき書類の要件は取引額や受領方法によって変わるため、国税庁の案内や税理士に確認してください。

Q. 海外から日本の消費者へ1万円以下の商品を送る場合、関税の扱いは今後変わりますか?

A. 海外から日本の消費者へ商品を送る場合、現在は課税価格1万円以下の輸入貨物は関税と輸入消費税が免除されていますが、この少額免税は今後見直される見込みです。令和8年度の税制改正では、1万円以下の少額輸入貨物の販売を消費税の課税対象とするプラットフォーム課税の導入や、個人使用貨物の課税価格を0.6掛けで計算する特例の廃止が示されています。施行時期を含む詳細は、成立する法令で確認してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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