受発注のやり取りを、いまも電話やFAX、メール、Excelで回していませんか。少人数で日々の注文をさばく中小企業では、聞き間違いや転記ミス、注文書の紛失が起きやすく、担当者が休むと業務が止まってしまう不安もつきまといます。
受発注システムを導入すれば、こうした手作業を減らし、注文から在庫・請求までの流れを一つの画面で管理できます。とはいえ「多機能で高価なものは自社に大きすぎる」「取引先に新しいやり方を押し付けたくない」といった理由で、導入に踏み切れない声も少なくありません。中小企業が無理なく使い続けられるシステムは、どのように選べばよいのでしょうか。
本記事では、中小企業向けの受発注システムを、料金の実額・取引先の使いやすさ・タイプ別の向き不向きの観点から比較・解説します。費用相場やデジタル化・AI導入補助金の活用、社内で費用対効果を説明するときのポイントまで整理しました。自社の規模と商習慣に合ったシステムを見つける材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、卸売・小売・製造・食品卸などで、従業員数名から300名程度までの中小企業が、無理なく導入・運用できる受発注システムを取り上げます(中小企業の定義は業種で異なり、卸売業は従業員100人以下、小売業は50人以下などが目安です)。少人数の体制でも使いこなせること、初期費用や月額費用を抑えて始められること、取引先に過度な負担をかけないことを重視して整理しています。
大規模なグループ企業向けの大型システムは中心に扱いませんが、取引先ごとの独自ルールが強く作り込みが必要な場合の上振れの選択肢として、初期費用が数十万〜数百万円規模のカスタマイズ対応型も含めて紹介します。
まず数名〜十数名の小規模なら手軽なクラウド/SaaS型や業界特化型から、独自要件が強い場合や在庫・請求まで一元化したい場合は販売管理一体型・カスタマイズ対応型から、と自社の規模と業種に照らして候補を絞り込んでいただく構成です。
企業規模で絞り込まず、大手向けの製品も含めて受発注システム全体を幅広く比較したい場合は、以下の記事で主要サービスを費用・機能・取引先の使いやすさから比較しています。
中小企業の受発注業務が抱える課題
ここからは、電話・FAX・メール・Excelでの受発注が、なぜ中小企業で負担になりやすいのかを整理します。日々の業務で心当たりのある課題があれば、システム化を検討する目安になります。
電話やFAXでの注文は、聞き間違いや読み取り間違いが起こりやすく、数量や品番の取り違えが誤出荷につながります。受けた注文を基幹システムやExcelへ手で打ち直す作業も発生し、二度手間になりがちです。繁忙期には、この転記作業だけで担当者の時間が奪われます。
メールやExcelでの管理は、注文が個人の受信箱やファイルに散らばり、対応状況が他の社員から見えにくくなります。誰がどこまで処理したかが共有されず、対応漏れや二重手配を招くこともあります。
さらに、こうした業務は特定の担当者に集中しやすく、その人が休むと注文が滞る属人化のリスクを抱えます。少人数で回している中小企業ほど、1人が抜けたときの影響は大きくなります。受注から在庫確認、出荷、請求までを一つの流れでつなげられないことが、日々のミスと残業の温床になっています。
いきなりシステムを入れるのではなく、まずは今のFAX・電話受注そのものを効率化したいという場合もあるでしょう。クラウドFAXやAI-OCR(紙やFAXの文字を読み取ってデータ化する技術)でFAX注文をデータ化する方法など、既存の受注手段を活かした改善策とその費用は、以下の記事で整理しています。
受発注システムとは(中小企業にとっての役割)
受発注システムとは、取引先からの注文の受付(受注)と、仕入先への発注、その後の在庫・出荷・請求までを、専用の画面上で一元的に管理するツールです。電話・FAX・メールに分散していた注文を一つの窓口に集約し、手作業の転記をなくすことを主な役割としています。
中小企業にとっての価値は、少ない人数でも受発注業務を止めずに回せる仕組みが手に入る点にあります。取引先は専用のフォームやスマートフォンから注文を送り、自社はその内容をそのままデータとして扱えるため、聞き間違いや打ち直しが減ります。専任の担当者を置きにくい規模でも、注文の対応状況を社内で共有でき、担当者以外が進捗を確認できます。
受発注システムの主な機能
製品によって得意分野は異なりますが、受発注システムには一般的に次のような機能が備わっています。自社の課題に直結する機能から優先度を考えると、比較がしやすくなります。
- 受注管理:取引先からの注文を専用フォームやスマートフォンで受け付け、注文内容をデータで一覧管理します。受注履歴や対応状況を社内で共有できます。
- 発注管理:仕入先への発注書の作成・送信を行い、発注残や納期を管理します。定番品の発注をテンプレート化できる製品もあります。
- 在庫連携:受注・発注と在庫数を連動させ、欠品や過剰在庫を防ぎます。引当や入出庫の記録を残せます。
- 請求・売上連携:受注データをもとに請求書や納品書を作成し、売上計上や会計ソフトとの連携につなげます。二重入力を減らせます。
- 取引先・商品マスタ管理:取引先ごとの掛率や単価、商品情報を登録し、注文時に自動で反映します。取引先ごとの価格差にも対応できます。
すべての機能を最初から使いこなす必要はありません。まずは受注の受付をデジタル化し、慣れてから在庫・請求へと広げていく段階的な進め方も可能です。
中小企業が受発注システムを導入するメリット
ここでは、受発注システムを導入することで中小企業の業務がどう変わるかを、実務への影響という観点で整理します。社内で導入効果を説明する際の材料にもなります。
第一に、注文の受付から転記までの手作業が減り、少人数でも受発注を回せるようになります。担当者が入力し直していた時間を、確認や取引先対応など本来の業務に振り向けられます。
第二に、注文がデータとして残るため、聞き間違いや転記ミスによる誤出荷・欠品が減ります。ミスの後処理や返品対応にかかる負担が軽くなり、取引先からの信頼維持にもつながります。
第三に、注文の対応状況を社内で共有できるため、担当者が不在でも他の社員が引き継げます。特定の人に業務が集中する状態を解消でき、急な休みや退職への備えになります。
第四に、受注・在庫・請求のデータがつながることで、いつ・何が・どれだけ売れたかを把握しやすくなります。仕入や在庫の判断に使えるだけでなく、紙の保管や手集計にかけていたコストの圧縮にも寄与します。
中小企業向け受発注システムの選び方
ここからは、中小企業が受発注システムを選ぶときに確認したい5つの観点を解説します。自社の課題と取引先の状況に照らしながら、順に当てはめてみてください。
取引先が無理なく使えるか
受発注システムは、自社だけでなく注文を送る取引先も使うものです。取引先にとって操作が難しかったり、専用アカウントの取得や新しい手順の習得を強く求めたりすると、「これまで通り電話・FAXでいい」と敬遠され、導入が形だけになってしまいます。導入が進むかどうかは、取引先の負担の小ささにかかっています。
判断のポイントは、取引先がスマートフォンやLINE、ブラウザなど使い慣れた手段で注文できるか、アカウント登録なしでも発注できるか、FAXや紙の注文を取り込めるかの3点です。ITに不慣れな取引先が多いなら、専用アプリ前提の製品より既存の連絡手段に近い製品のほうが定着しやすく、取引先が限られ協力を得やすい関係なら専用フォーム型でも支障は出にくいと判断できます。
費用を抑えてスモールスタートできるか
中小企業では、大きな初期投資に踏み切りにくく、効果が読めないうちから高額な月額費用を負担するのは避けたいところです。小さく始めて効果を確かめながら広げられるかどうかは、導入のハードルを大きく左右します。
無料プランや無料トライアルの有無、初期費用の大きさ、利用人数や取引件数に応じた料金体系かを確認しましょう。まず一部の取引先や商品だけで試せる製品なら、社内の合意も得やすくなります。
判断が分かれるのは、当面はシンプルな受注管理で足りるのか、将来的に在庫・請求まで一体で使いたいのかという点です。前者なら低コストで始められるタイプ、後者なら拡張時の追加費用まで見込んで選ぶと、後からの乗り換えを避けられます。
自社の業界・商慣習に合っているか
受発注の進め方は業界によって大きく異なります。取引先ごとの掛率や単価、独自の注文書式、締め日や納品のルールが標準機能で扱えないと、結局は手作業の補正が残り、導入効果が薄れてしまいます。自社の商慣習をそのまま載せられるかが、実務での使い勝手を決めます。
取引先別の価格設定や単位(ケース・バラなど)の扱い、生鮮品のような変動単価への対応、自社の注文フローとの一致度を確認しましょう。食品卸や飲食、製造など特定業界の商習慣が強い場合は、その業界に合わせて作られた製品のほうが設定の手間が少なく済みます。一方、業界特有の要件が薄く一般的な卸売・小売であれば、汎用的な製品でも十分に対応できることが多いと判断できます。
既存の販売管理・会計・在庫システムと連携できるか
受発注システムを入れても、受けた注文を既存の販売管理や会計、在庫のシステムへ手で打ち直していては、転記の手間が別の場所に移るだけです。既存の仕組みとデータがつながるかどうかで、業務全体で削減できる工数が変わります。
いま使っている販売管理・会計ソフトとのデータ連携に対応しているか、連携の方式がCSVの取り込みなのか自動連携なのかを確認しましょう。すでに会計や在庫のシステムを使い込んでいる場合は、それらと連携できる製品を選ぶと二重入力を避けられます。逆に、受発注も含めて業務全体をこれから整えるのであれば、受注から請求までを最初から一つにまとめられる製品を選ぶ考え方もあります。
導入までの期間とサポート・定着のしやすさは十分か
中小企業では、導入の専任担当を置きにくく、通常業務と並行して立ち上げを進めることになります。設定に時間がかかりすぎたり、困ったときに相談できる窓口がなかったりすると、途中で頓挫しかねません。導入の手軽さと運用開始後の支えが、定着を左右します。
初期設定やマスタ登録をどこまで自社で行うのか、ベンダーの導入支援や操作サポートがあるか、取引先への案内を手伝ってもらえるかを確認しましょう。社内にITに詳しい人材が少ない場合は、初期設定の代行や電話・チャットでのサポートが手厚い製品が安心です。取引先へ利用を依頼する場面が多い受発注システムでは、取引先向けの案内資料やサポートを用意しているかも、定着の可否を分ける要素になります。
中小企業向け受発注システムの4タイプと自社に合うタイプの見つけ方
受発注システムは、始めやすさや対応する業務範囲によって、大きく4つのタイプに分けられます。ここでは各タイプの特徴と、どのような企業に向いているかを解説します。自社の状況に近いタイプから、候補を絞り込んでみてください。

手軽に始めやすいクラウド/SaaS型
インターネット経由で使うクラウド型のサービスで、低コストかつ短期間で導入できるのが特徴です。無料プランや無料トライアルを備える製品も多く、少額から試せます。取引先はスマートフォンやLINE、ブラウザといった使い慣れた手段で注文でき、ITに不慣れでも受け入れられやすい設計になっています。
向いている企業:まずは電話・FAX・Excelから脱却したい、初期費用をかけずに小さく始めたい、ITに不慣れな取引先が多い中小企業に向いています。
取引先の商慣習に合わせやすいカスタマイズ対応型
取引先ごとの掛率や独自の注文書式、自社特有の業務フローに合わせて、画面や項目を設定・カスタマイズできるタイプです。標準機能で吸収しきれない自社の商習慣を、システム側に載せられる柔軟さがあります。その分、初期の設定や開発に費用と期間がかかる傾向があります。
向いている企業:取引先別の複雑な価格設定や独自フローがあり、既存のやり方を大きく変えずにデジタル化したい企業に向いています。
自社の業界に特化した業界特化型
食品卸・飲食や生鮮品など、特定の業界の業務フローや商習慣に最適化されたタイプです。その業界でよく使われる単位や取引ルール、生鮮品の変動単価などが標準で組み込まれているため、設定の手間が少なく、導入後すぐに現場になじみやすいのが利点です。本記事で紹介する業界特化型は、食品・飲食・生鮮の卸売に強い製品が中心です。
向いている企業:業界特有の商習慣が強く、汎用的な製品では設定に手間がかかる、食品卸・飲食・生鮮などの中小企業に向いています。製造業など該当する業界特化型が見当たらない場合は、汎用的なクラウド/SaaS型や販売管理一体型から選ぶとよいでしょう。
受注〜出荷・請求まで一元化する販売管理一体型
受発注の窓口だけでなく、在庫・出荷・売上・請求までを一つのシステムで管理するタイプです。注文を起点に業務全体のデータがつながるため、二重入力を避け、経営状況の把握もしやすくなります。対応範囲が広い分、導入時に整理すべき項目は多くなります。
向いている企業:受発注に加えて在庫や請求まで含めた業務全体を整えたい、部門をまたいだデータの一元管理を目指す企業に向いています。
上記の4タイプを見ても自社がどれに当てはまるか迷う場合は、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」をご利用ください。重視する点・取引先の状況・業種のいくつかの質問に答えるだけで、自社に合いそうな候補を絞り込めます。
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【比較表】中小企業向け受発注システム比較
ここからは、中小企業向けに絞った受発注システムを、初期費用・月額費用・取引先の使いやすさ・対応業種・無料プランの有無で横並びに比較します。料金は実額で示し、自社の予算と取引先の状況に照らして候補を絞り込めるよう整理しています。
| サービス名 | CO-NECT(コネクト) | COREC(コレック) | Bカート | 楽楽B2B(スマレジEC・B2B) | TANOMU(タノム) | BtoBプラットフォーム 受発注 | クロスオーダー | ASPIT(アスピット) | らくうけーる | DX BtoB Web受発注システム | アラジンEC | MOS(モス) | 商蔵奉行クラウド | SMILE V 2nd Edition 販売 | 楽楽販売 | SmileWorks(スマイルワークス) | コマロボ販売 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | クラウド/SaaS型 | クラウド/SaaS型 | クラウド/SaaS型 | クラウド/SaaS型 | 業界特化型 | 業界特化型 | 業界特化型 | 業界特化型 | 業界特化型 | カスタマイズ対応型 | カスタマイズ対応型 | カスタマイズ対応型 | 販売管理一体型 | 販売管理一体型 | 販売管理一体型 | 販売管理一体型 | 販売管理一体型 |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 80,000円(税別) | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 450万円〜(税抜) | 400万円〜 | 要問い合わせ | 0円 | 158,000円〜(クラウド版・税別) | 200,000円(税抜) | 0円〜(プランによる) | 10,000円〜 |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 発注1,480円/受注2,980円〜(税抜) | 9,800円〜(税別) | 39,800円〜(Standard) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 1,800円〜/店舗(発注・買掛) | 20,000円〜(税別・基本料金) | 月4万円〜(サーバー保守ほか) | 7万円〜 | 要問い合わせ | 13,000円〜(税別・小規模) | DB費20,620円+販売機能19,360円(税別) | 70,000円〜(税抜) | 5,000円〜(販売ERPプラン基本料金) | 要問い合わせ |
| 取引先の使いやすさ | スマホアプリ対応 発注側は無料・要アカウント | スマホ対応 取引先未導入でもFAX・メール可 | PC・スマホ対応 取引先はログイン必須 | スマホ・PC対応 取引先はログイン利用 | LINEで発注完結 発注側は無料・アプリ不要 | スマホ・タブレット対応 取引先はアカウント登録 | LINE・ブラウザ対応 FAX注文も取込(発注側の手段を変えない) | PC・タブレット・スマホ対応 店舗運営全般を一元化 | タブレット・スマホ対応 生鮮の見積〜確定に対応 | 取引先はログイン利用 代理入力(Login as Customer)可 | 取引先はログイン利用 得意先別に権限制御 | スマホ・タブレット・PC対応 FAX注文はOCRで取込 | 自社の販売・仕入・在庫を一元管理 | EDI・BtoB受発注連携で取引先とのデータ授受を自動化 | 自社の販売管理向け Web発注は要構築 | 自社のバックオフィスを一元管理 請求書をEDI・メール・FAX等で送付 | Web受発注に対応 取引先はログイン利用 |
| 主な機能・対象業種 | 受発注一元化 卸・小売・飲食・製造など | 受発注+帳票作成 ファッション・雑貨・食品など | BtoB EC・得意先別単価 卸売など幅広い業種 | BtoB受発注・ECカート 卸売・小売など | LINE受発注 飲食・小売卸(肉/水産/青果/酒類など) | 受発注・伝票電子化 飲食・宿泊 | 受発注+FAX-OCR 飲食店↔食品卸 | 発注・買掛+店舗運営 飲食店 | 変動単価の受発注 青果・水産・食肉 | 得意先別価格・独自商流 BtoB全般 | 得意先別価格・独自フロー 中堅企業向け | モバイル受発注+FAX取込 卸・製造 | 販売〜仕入・在庫を一元化 飲料・酒販・食品卸 | 販売〜在庫・EDI連携 製造・食品・医療品など | ノンプログラミングの販売管理 幅広い業種 | 販売〜在庫・会計・給与を統合ERP 卸売・小売・製造など | 見積連動受発注+販売管理 メーカー・卸売 |
| 無料プラン・トライアル | 無料プランあり 2週間の無料トライアル | 無料プランあり | 無料プランなし デモ・資料請求で案内 | 無料プランなし デモ・資料請求で案内 | 要問い合わせ (発注側は無料) | 無料プランなし | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料トライアルあり | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料プランなし デモ・資料請求で案内 | 30日間の無料トライアル | 30日間の無料トライアル | 無料トライアルあり | 最大2ヶ月の無料トライアル | 30日間の無料トライアル |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
各サービスの詳細(タイプ別)
ここからは、先ほどの4タイプごとに、各サービスの提供元・特徴・向いている企業を紹介します。自社に近いタイプから読み進めてください。
手軽に始めやすいクラウド/SaaS型
低コストで短期間に始められ、取引先も使い慣れた手段で注文できるサービスを紹介します。
1. CO-NECT(コネクト)(CO-NECT株式会社)

CO-NECT株式会社が提供する、クラウド型のBtoB受発注システムです。FAX・電話・メール・LINEに分散した注文を1つの画面に集約でき、卸・小売・飲食・製造など幅広い業種で利用されています。受注側の導入社数は39,000社、利用継続率は99%以上とされています。
料金設計の特徴は、発注側が無料で利用できる点です。受注側がシステムを導入する際、取引先にはアカウント取得を無料で依頼できるため、ITに不慣れな取引先も巻き込みやすくなります。iOS・Android向けの専用アプリも配布されています。
受注側は初期費用が0円で、機能を制限した無料プランと2週間の全機能トライアルが用意されています。有料プランは月間の注文量や取引先数、ID数に応じた個別料金のため、詳細は問い合わせが必要です。
2. COREC(コレック)(株式会社ラクーンコマース)

注文書・発注書に加え、見積書・納品書の作成から送信までをブラウザ上で完結できる、株式会社ラクーンコマースのクラウド型受発注システムです。ファッション・雑貨・食品など幅広い業種で、累計88,000社以上に利用されています。
発注側・受注側のどちらでも使え、料金は発注1,480円/受注2,980円(いずれも月額・税抜)とスモールスタートしやすい価格帯です。初期費用は0円で、機能を制限した無料プランも用意されています。
スマートフォンからFAXやメールでの送信にも対応し、取引先がシステムを導入していなくても紙やメールで注文をやり取りできます。適格請求書の番号を入れた帳票発行にも対応しています。
3. Bカート(株式会社Dai)

Bカートは、株式会社Daiが提供するBtoB EC・Web受発注プラットフォームです。得意先ごとにログイン後の商品や単価を出し分けるクローズド型のサイトを構築でき、受注側企業の累計導入は2,500社以上にのぼります。
得意先別の単価・掛率・与信や発注ロットといったBtoB特有の取引条件を、標準機能で扱える点が特徴です。商品マスタはCSVで一括登録でき、販売管理・在庫・会計システムとのCSV・API連携にも対応します。
料金は月額9,800円から、初期費用80,000円(いずれも税別)で始められ、登録できる取引先数の目安に応じてプランが分かれています。無料プランはなく、無料トライアルは資料請求やデモを通じて案内されます。
4. 楽楽B2B(スマレジEC・B2B)(株式会社スマレジ)

「楽楽B2B」から「スマレジEC・B2B」へ名称を変えた、株式会社スマレジのBtoB受発注・ECカートサービスです(開発元の株式会社ネットショップ支援室は2026年5月にスマレジへ吸収合併されました)。改称に伴い、スマレジグループのPOS・小売基盤との連携が図られています。
得意先別の価格・掛率・与信・締日や、CSV・フォームからの大量発注など、BtoB特有の取引をカバーします。スマートフォン・タブレット・PCのブラウザから同じ機能を利用でき、販売管理・在庫システムとの連携も可能です。
料金は、受発注機能を備えたStandardプランが月額39,800円から、データ管理や高度なEC機能を含むProfessionalプランが月額69,800円からで、初期費用は無料です。年払いにすると月額が割引されます。
自社の業界に特化した業界特化型
食品卸・飲食や製造など、特定業界の商習慣に合わせて作られたサービスを紹介します。
5. TANOMU(タノム)(株式会社インフォマート)

肉・水産・青果・酒類など6つの卸業種向けに作られた、卸売業者と飲食店・小売店をつなぐ受発注サービスです。株式会社インフォマートが提供し、飲食・小売の発注担当者が使い慣れたLINEから注文できる点を軸にしています。
発注する取引先は専用アプリを入れずに、LINEの友だち追加だけで使い始められるため、ITに不慣れな取引先が多くても巻き込みやすくなっています。電話・FAX・メールの注文も1画面に集約でき、受注データの手入力を減らせます。
発注側の飲食店・小売店は無料で利用でき、受注側の卸売業者向けの月額料金や初期費用は問い合わせで確認する形です。生鮮の価格変動や特売サイクルに対応した業種別テンプレートがあり、飲食・小売の卸取引をLINE中心にデジタル化したい企業に向いています。
6. BtoBプラットフォーム 受発注(株式会社インフォマート)

飲食・宿泊業の83,000店舗以上、全国50,000社以上が利用する、株式会社インフォマートの受発注サービスです。本部・店舗・取引先の卸をつなぎ、発注書や請求書といった伝票のやり取りをインターネット上で行います。
スマートフォンやタブレットに合わせた発注画面を備え、発注マスタ管理・棚卸発注・運用分析・フランチャイズ管理といった機能を持ちます。外食・給食・ホテルなど業界固有のフローに沿ったテンプレートがあり、複数店舗を展開するチェーン本部の運用にも対応します。
料金はセットアップ費用と本部・店舗ごとの月額がいずれも問い合わせ制で、メンテナンスやバージョンアップの費用は月額に含まれます。発注する側(飲食チェーンの本部など)としては、複数店舗を運営する中小企業でも広く使われています。
一方、受注する側の卸・商社・メーカー向けの別プラン「受発注ライト」は、対象条件に取引先100社以上を挙げており、小規模な受注事業者向けではありません。自社が発注側か受注側かで向き不向きが分かれる点に注意してください。
7. クロスオーダー(クロスマート株式会社)

クロスマート株式会社が運営する、飲食店と食品卸売業者の間の受発注をデジタル化するプラットフォームです。飲食店側は使い慣れたLINEやブラウザから発注でき、卸売業者側は紙やFAXで届いた注文をシステムに取り込めます。
特徴は、飲食店側の発注手段を大きく変えずに、卸売業者の受注業務をデジタル化できる設計にあります。FAXで届いた注文をAIで自動的にデータ化する機能を追加料金なく利用でき、LINE・電話・FAXいずれの発注習慣にも対応します。2026年2月時点で月間の利用店舗数は130,000店にのぼります。
受発注に加えて、LINEを使った販促や電子帳簿保存法に対応した請求書のデジタル化まで提供します。飲食店・給食事業者と食品卸をつなぐ用途に特化しており、料金は発注側・受注側とも公式サイトに金額の掲載がなく、問い合わせでの確認が必要です。
8. ASPIT(アスピット)(株式会社アスピット)

2001年から飲食店向けにサービスを提供する、株式会社アスピットのASP型(クラウド型)業務支援システムです。発注・買掛管理に加えて、売上・勤怠・シフト・在庫・損益・フランチャイズ管理など10の機能から、必要なものだけを選んで契約できます。
受発注は単体の製品ではなく、飲食店の店舗運営全般を一元化する仕組みの一部という位置づけです。発注・買掛管理は在庫・棚卸管理とセットの月額1,800円/店舗から利用でき(2025年9月時点の表示)、勤怠やシフトを加えた月額5,800円、発注・勤怠・売上をまとめた月額11,300円のプランも用意されています。
導入店舗数は9,000店舗以上、導入企業数は1,000社以上で、パソコンのほかタブレット・スマートフォンからも利用できます。発注業務だけでなく、勤怠や原価管理まで含めて店舗運営をまとめて整えたい飲食店に向いています。初期費用は問い合わせでの確認が必要です。
9. らくうけーる(株式会社シスプロ)

単価や規格が日々変わる生鮮品の受発注に対応した、株式会社シスプロのクラウド型受発注システムです。青果・水産・食肉といった、発注の時点では価格が確定しない業態を想定して設計されています。
パソコンを開きにくい現場でも、タブレットやスマートフォンのブラウザからスキマ時間に受発注ができます。生鮮取引で必要になる「見積→確認→確定」の流れをオンライン化でき、発注書や納品書などの帳票発行や、販売管理・在庫システムとのデータ連携にも対応します。
料金は公式サイトに実額が公開されており、月額基本料金は20,000円(税別)で、担当者IDが1件あたり月2,000円、得意先IDが月600円(100件以上は100円)などの従量料金が加わります。初期費用は問い合わせで確認する形で、無料のお試しも用意されています。
取引先の商慣習に合わせやすいカスタマイズ対応型
取引先別の価格設定や独自フローに合わせて設定・カスタマイズできるサービスを紹介します。
10. DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブが提供する、Magento(Adobe Commerce)をベースにしたパッケージ型のBtoB Web受発注システムです。SaaS型のように共通基盤を借りるのではなく、自社のサーバー環境へシステム一式を展開する形をとります。
取引先ごとに異なる掛率や単価、見積・注文の条件をシステム側に反映でき、電話などで受けた注文を担当者が画面上で代理入力できるLogin as Customer機能も備えます。基幹システムやEDI(企業間で取引データをやり取りする仕組み)との連携、AI OCRによるFAX取り込みは標準ではなく個別対応(別途見積り)で、標準のシステム連携はCSVエクスポートです。
費用は標準パッケージ300万円(税抜)に、環境展開や初期設定を含む導入サポート・基本パック150万円(税抜)〜を加えた構成です。別途、サーバー保守が月額4万円から、24時間365日対応はさらに月額6万円かかります。独自の商習慣を大きく変えずにデジタル化したい企業に向いています。
11. アラジンEC(株式会社アイル)

アラジンECは、東証プライム市場上場の株式会社アイルが開発したBtoB専用のWeb受発注システムです。得意先ごとに購入できる商品や単価、決済方法を細かく制御でき、企業間取引に特有の複雑な条件をそのまま扱えます。
業界や取引形態に応じてカスタマイズする前提のパッケージで、費用はカスタマイズ規模に応じて3段階に分かれます。初期費用は400万円から、月額費用は7万円から(いずれも小規模カスタマイズの場合で、規模により変動します)で、取引先の登録件数や注文数によらず月額が一定の固定料金です。
導入企業ごとに営業担当・SE・プログラマーを固定配置する体制をとり、公式の導入事例では、FAX受注をデジタル化して作業負荷を約40%削減した例も紹介されています。取引先別の価格設定や独自フローを作り込みたい中堅規模の企業に向いています。
12. MOS(モス)(株式会社アクロスソリューションズ)

スマートフォンやタブレット、PCのブラウザから受発注を完結できるのが、株式会社アクロスソリューションズのMOS(モス)です。専用アプリを使わずレスポンシブWebで動き、FAX・電話・メールに分散していた注文を一つの画面で管理します。
FAXで届いた注文書をOCRなどでデータ化して受注データに取り込めるため、Web発注に対応しづらい取引先が残っていても運用を始められます。ASP/SaaS版の「MOS Lite」に加えてオンプレミス版やカスタマイズ版を用意し、業種や業務フローに合わせた調整に対応します。
販売管理・在庫・会計などの基幹システムと自動連携し、受注から出荷指示、請求までを手入力なしでつなげます。導入実績は卸・製造業を中心に650社以上(2023年9月時点)です。料金は利用店舗数や機能に応じた見積制で、要問い合わせとなっています。
受注〜出荷・請求まで一元化する販売管理一体型
受発注に加えて在庫・出荷・請求までを一つで管理できるサービスを紹介します。
13. 商蔵奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

販売管理を担う「商奉行iクラウド」と、仕入・在庫管理を担う「蔵奉行iクラウド」を統合した、株式会社オービックビジネスコンサルタントのクラウド型システムです。見積・受注・売上・請求から発注・仕入・在庫までを、ノンカスタマイズで一つにまとめて扱えます。
バラ・ケース・ボールなど、仕入と販売で単位が異なる荷姿を一つの商品コードで扱える設計で、飲料・酒販・食品といった卸売業を公式の対象例に挙げています。インボイス制度や電子帳簿保存法などの制度改正には、契約内の定期アップデートで対応します。
料金は販売と在庫をまとめた商蔵奉行iクラウドのセット契約で、小規模企業向けが月額13,000円から、中小〜中堅企業向けが月額27,500円から(いずれも税別)です。初期費用0円のプランもあり、30日間の無料体験を用意しています。
14. SMILE V 2nd Edition 販売(株式会社OSK)

中堅・中小企業向けの統合業務パッケージ「SMILE V」の販売管理モジュールです。開発元は大塚商会グループの株式会社OSKで、販売・サポートは株式会社大塚商会が担います。見積・受注・売上・入金から発注・仕入・支払、在庫管理までを一元管理できます。
複数倉庫の在庫を倉庫別に自動計算し、受注日順・納期順を選んで在庫を引き当てられるため、複数拠点で在庫を持つ卸売業に対応します。ロット・サブロットと有効期限の管理、先入れ先出し出荷にも対応し、製造・食品・医療品などを扱う企業のトレーサビリティ要件を満たせます。
I-LinkageやMOS、Autoジョブ名人といった流通業向けのEDI・BtoB受発注連携を複数備え、取引先とのデータ授受を自動化できます。オンプレミス版とクラウド版「SMILE V Air」から選べ、クラウド版の料金は初期費用158,000円から、月額はデータベース費20,620円と販売機能19,360円(いずれも税別)などで構成されます。30日間の無料お試しも利用できます。
15. 楽楽販売(株式会社ラクス)

見積・受注・売上・請求・入金の一元管理を中核に、発注・仕入・購買申請・支払といった購買側の業務までを一つで扱えるクラウド型の販売管理システムです。提供元は東証プライム市場上場の株式会社ラクスで、楽楽販売単体の累計導入社数は6,000社を突破しています(2025年12月時点)。
最大の特徴は、ノンプログラミングで管理画面・入力フォーム・承認フローを構築できるカスタマイズ性です。自社の業務フローや帳票に合わせて画面をつくり込めるほか、案件・プロジェクト単位で売上と原価を紐づけ、収支をリアルタイムに可視化する使い方にも対応します。
勘定奉行クラウドやfreee会計など複数の会計システムと連携でき、電子帳簿保存法のスキャナ保存にも対応します。料金は初期費用200,000円、月額70,000円から(いずれも税抜)で、初期費用には専任担当による3か月間の導入支援が含まれます。導入後3か月間は電話・WEB会議によるサポートも無償です。
16. SmileWorks(スマイルワークス)(株式会社スマイルワークス)

販売管理・仕入・在庫に財務会計や給与計算までを一つにまとめた、中小企業向けの統合型クラウドERPです。提供元は東京都千代田区の株式会社スマイルワークスで、販売管理を担う「販売ワークス」で見積・受注・売上・請求・入金を扱えます。
受注と同時に複数の仕入先への発注伝票を自動作成する「受発注同時登録機能」を備え、受注から発注までを一続きで処理できます。受注・売上データは会計モジュールへ自動で連携して仕訳を生成する設計のため、受発注の窓口だけでなくバックオフィス全体をまとめて整えたい企業に向いています。
案件・プロジェクト単位の収支管理にも対応し、必要な業務モジュールを選んで導入するカフェテリア方式の料金体系です。初期費用0円のプランもあり、販売管理を担うプランは月額5,000円台から始められます(プラン構成により異なるため、実額は公式サイトの最新情報でご確認ください)。
17. コマロボ販売(株式会社コマースロボティクス)

株式会社コマースロボティクスが提供する、見積連動型のWeb受発注システムです。見積書からWeb受注までが一続きになり、承認された見積データが自動で注文書に変換され、その後の在庫・倉庫・請求・会計まで連携します。
EC一元管理(OMS)・倉庫管理(WMS)「コマースロボ」(シリーズ導入実績2,000社以上)の基盤の上に、メーカーや卸売業者向けのBtoB受発注・販売管理機能を加えた構成です。見積時の与信管理や承認ワークフロー、分納管理、AIによる需要予測・自動発注の推奨といった機能を備えます。
初期費用は1万円からで、最低契約期間は3か月、30日間の無料トライアルには全機能へのアクセスと電話サポートが付きます。月額料金は公開されておらず、問い合わせでの確認が必要です。低コストで短期間に始めたい中小企業が試しやすい設計です。
受発注システムの費用相場と料金の考え方(中小企業向け)
ここでは、中小企業が予算感をつかめるよう、タイプ別のおおよその価格帯を整理します。以下は本記事で取り上げるサービスの公開料金をもとにした2026年9月時点の傾向で、個別サービスの実額は前掲の比較表でご確認ください。
手軽に始めやすいクラウド/SaaS型は、無料プランから月額数万円程度までが中心です。発注側は無料で使え、受注側だけ課金するサービスもあり、初期費用をかけずに小さく試せるのが特徴です。まず電話・FAX・Excelから脱却したい企業が最初に検討しやすい価格帯といえます。
業界特化型は、料金体系がサービスによって大きく分かれます。店舗単位で月額数千円から使えるものがある一方、発注側は無料で受注側や初期費用は個別見積(要問い合わせ)というサービスも多く、公開された実額だけでは比べにくいのが実情です。
その場合は、発注側の無料範囲・最低契約期間・無料トライアルの有無といった、料金以外の踏み切り材料も合わせて確認するとよいでしょう。業界の商習慣に沿った機能が標準で備わり、汎用型より設定の手間を抑えられる点も費用に対する価値として評価できます。
取引先の商慣習に合わせやすいカスタマイズ対応型は、初期費用が数十万円から数百万円規模になることがあります。独自要件への対応力が高い一方で投資額も大きくなるため、削減できる工数や見込める効果と照らして判断する必要があります。
受注〜出荷・請求まで一元化する販売管理一体型は、初期費用が0円から十数万円程度、月額数万円程度からのサービスが中心です。対応する業務範囲が広いため、受発注単体の製品より費用は上がりやすいものの、在庫・請求まで一つにまとめられる効果を含めて比較するのが妥当です。
費用をできるだけ抑えたい場合、無料で使えるかどうかも判断材料になります。ただし、発注する取引先は無料でも受注側は有料といったように、立場によって無料の範囲は変わります。無料プランと無料トライアルの違いや、どこまで無料で使えるかを製品ごとに比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
料金は変動するため、導入前には必ず各社の最新の料金を確認してください。次章では、こうした費用の負担を抑える公的支援について解説します。
導入コストを抑えるデジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の活用と社内説明のポイント
受発注システムの導入費用は、公的な補助金で一部をまかなえる場合があります。ここでは、中小企業が活用できるデジタル化・AI導入補助金の概要と、社内で費用対効果を説明するときに押さえたいポイントを解説します。この補助金は2026年度から名称・制度が改められ、従来のIT導入補助金の後継にあたります。
デジタル化・AI導入補助金(正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業)の通常枠では、補助対象者が「中小企業・小規模事業者等のみなさま」とされており、本記事が対象とする中小企業がそのまま補助の対象に含まれます。ソフトウェアの導入を通じた業務効率化を後押しする制度です。
出典・参考資料(1件)
補助率・補助額(費用対効果の数値根拠)
通常枠の補助率・補助額は、公募要領で次のように定められています。補助率は原則2分の1以内で、一定の要件を満たす場合に3分の2以内へ引き上げられます。経営層へ費用対効果を説明する際の数値の根拠になります。
補助率 1/2以内、2/3以内※1
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
補助額 1プロセス以上 5万円以上150万円未満/4プロセス以上 150万円以上450万円以下
※1 令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合の補助率は、2/3以内

補助率が3分の2以内となるのは、最低賃金近くで雇用する従業員の割合が一定以上といった条件を満たす場合に限られます。原則は2分の1以内であるため、社内で試算する際は原則の補助率で見積もっておくと、認識のずれを防げます。
補助の対象となる経費
補助の対象となる経費には、ソフトウェアの購入費やクラウド利用料が含まれます。受発注システムのようにクラウドで利用するサービスも、次の範囲で対象になり得ます。
補助対象 ソフトウェア 必須:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
オプション:機能拡張/データ連携ツール/セキュリティ
役務:導入コンサルティング・活用コンサルティング/導入設定・マニュアル設定・導入研修/保守サポート
クラウド利用料は最大2年分が対象となる点が特徴で、月額制のサービスでも一定期間の利用料をまとめて補助の対象にできます。導入時の設定や研修といった役務も対象に含まれるため、立ち上げ支援まで見込んで申請を検討できます。
対象は登録されたITツールに限られる点に注意
受発注システムの機能は、通常枠が対象とする「顧客対応・販売支援」「供給・在庫・物流」「決済・債権債務・資金回収管理」などの業務プロセスに該当するため、補助の対象となり得ます。ただし、すべての受発注システムが自動的に対象になるわけではありません。
補助の対象となるのは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が登録したITツールに限られます。検討中の製品が補助対象かどうかは、公式ポータルの登録ツール検索などで都度確認が必要です。本記事は特定の製品を補助金の対象と断定するものではないため、導入前に公式の最新情報でご確認ください。
出典・参考資料(1件)
自社が補助対象の中小企業に当たるか
補助対象となる中小企業の範囲は、中小企業基本法の定義に基づき、業種ごとに資本金または従業員数で定められています。自社が対象に当たるかを判断する材料として、卸売・小売・製造・サービス業の区分を確認しておきましょう。
製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は従業員の数が300人以下の会社及び個人
出典:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁
卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は従業員の数が100人以下の会社及び個人
資本金と従業員数のいずれかを満たせば中小企業に該当します。業種によって基準が異なるため、自社の主たる事業がどの区分にあたるかを踏まえて確認してください。
社内で費用対効果を説明するときのポイント
社内で予算を検討する際は、削減できる作業時間やミスの減少といった導入効果に、補助金による自己負担の軽減を組み合わせて説明すると、投資の妥当性を示しやすくなります。原則の補助率で試算した自己負担額と、対象経費の範囲を明記しておくと、経営層の判断材料になります。
申請には締切が複数回設けられており、その回次ごとにスケジュールが変わります。申請時期によっては交付決定を待ってから契約する必要があるため、最新の日程は公式サイトで確認し、導入時期から逆算して準備を進めてください。
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導入・運用の注意点
受発注システムは導入すれば自動的に効果が出るわけではなく、社内と取引先の両方に定着させて初めて成果につながります。ここでは、導入・運用でつまずきやすい点を整理します。
まず、取引先の理解と協力が欠かせません。注文方法が変わることを事前に案内し、移行の期間を設けて丁寧に説明しないと、これまで通りの電話・FAXが残り、二重管理になってしまいます。取引先向けの案内資料やサポートを用意できる製品を選ぶと、移行がスムーズになります。
次に、社内での定着です。一部の担当者だけが使う状態では効果が限られるため、操作を標準化し、誰が担当しても同じ手順で進められるようにします。導入初期は従来のやり方と併走させ、慣れてから完全に切り替える進め方が現実的です。
コスト面では、月額費用だけでなく、初期設定やマスタ登録の手間、取引先が増えたときの追加費用も見込んでおく必要があります。導入前に、自社にとって本当に必要な機能を見極め、過剰な機能に費用をかけすぎないことが、長く使い続けるうえで大切です。
まとめ
本記事では、中小企業向けの受発注システムについて、業務課題・選び方・4つのタイプ・費用相場・補助金の活用を整理しました。
選定でまず大切なのは、取引先が無理なく使えるか、費用を抑えて小さく始められるか、自社の業界・商慣習に合うかを確認し、自社に合うタイプを見極めることです。導入費用はデジタル化・AI導入補助金で一部をまかなえる場合があるため、費用対効果と合わせて検討するとよいでしょう。
手早く電話・FAX・Excelから脱却したいならクラウド/SaaS型、業界特有の商習慣が強いなら業界特化型、独自フローを活かしたいならカスタマイズ対応型、在庫・請求まで含めて整えたいなら販売管理一体型が、それぞれ有力な選択肢になります。
本記事の比較表や診断を参考に、自社に合いそうな候補をいくつかに絞り込み、各社の資料や公式情報で詳細を確認してみてください。気になるサービスの資料は、まとめて取り寄せて比較検討にお役立ていただけます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 受発注システムとは何ですか?
A. 受発注システムとは、取引先からの注文の受付(受注)から仕入先への発注、その後の在庫・出荷・請求までを、専用の画面上で一元的に管理するツールです。 電話・FAX・メール・Excelに分散していた注文を一つの窓口に集約し、手作業の転記をなくすことを主な役割としています。中小企業にとっては、少ない人数でも受発注業務を止めずに回せる仕組みが手に入る点が大きな価値です。
Q. 中小企業向けの受発注システムの料金相場はどのくらいですか?
A. 中小企業向けの受発注システムの料金は、タイプによって幅があり、手軽なクラウド/SaaS型は無料〜月額数万円程度、カスタマイズ対応型は初期費用が数十万円〜数百万円規模になります。 業界特化型は月額数千円から、販売管理一体型は初期費用0円〜十数万円程度・月額数万円程度からが目安です。料金は変動するため、実額は本記事の比較表と各社の最新情報でご確認ください。
Q. 無料で使える受発注システムはありますか?
A. 無料で使える受発注システムはあります。 ただし「機能を限定した無料プラン」と「期間限定の無料トライアル」の2種類があり、意味が異なる点に注意が必要です。また、受注側が導入し、発注する取引先は無料で使えるサービスも多く、取引先に費用をかけずに始めやすくなっています。まずは無料プランやトライアルで使い勝手を確かめてから有料プランを検討する進め方が、中小企業には現実的です。
Q. 受発注システムの導入にデジタル化・AI導入補助金は使えますか?
A. 受発注システムは、デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)の対象になり得ます。 ソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)が補助対象で、通常枠の補助率は原則2分の1以内です。ただし補助の対象は事務局に登録されたITツールに限られるため、検討中の製品が対象かどうかは公式ポータルの登録ツール検索などで必ず確認してください。
Q. 受発注システムは取引先にも負担がかかりますか?
A. 受発注システムは注文を送る取引先も使うものですが、取引先がスマートフォンやLINE、ブラウザなど使い慣れた手段で注文でき、アカウント登録なしでも発注できるサービスを選べば、取引先の負担は小さく抑えられます。 ITに不慣れな取引先が多いなら、専用アプリ前提の製品より既存の連絡手段に近い製品のほうが定着しやすく、導入が形だけで終わりません。
Q. 中小企業にはどのタイプの受発注システムが向いていますか?
A. 中小企業に向くタイプは自社の目的によって異なり、手早く電話・FAX・Excelから脱却したいならクラウド/SaaS型、業界特有の商習慣が強いなら業界特化型、独自フローを活かしたいならカスタマイズ対応型、在庫・請求まで含めて整えたいなら販売管理一体型が有力な選択肢になります。 どのタイプが合うか判断が難しい場合は、本記事の選定診断ツールを使うと、自社の状況に合う候補を絞り込めます。
Q. 受発注システムでよく聞くEDIとは何ですか?
A. EDIとは、注文書や請求書などの取引データを、企業間でインターネットなどを通じてやり取りする仕組みのことです。 受発注システムの多くはこの考え方をもとに、紙やFAXで交わしていた伝票をデータで授受します。用語そのものを詳しく覚える必要はありませんが、取引先や既存の販売管理・会計システムとデータ連携できるかを確認する際の判断材料になります。
Q. 受発注システムは導入から利用開始までどのくらいかかりますか?
A. 導入までの期間はタイプによって異なり、クラウド/SaaS型は低コストで短期間に始められる一方、独自要件を作り込むカスタマイズ対応型やパッケージ型は設定・開発に相応の期間がかかります。 中小企業では専任担当を置きにくいため、初期設定の代行や電話・チャットでのサポートが手厚い製品を選ぶと立ち上げがスムーズです。まず一部の取引先や商品だけで試し、慣れてから対象を広げる進め方も無理がありません。
Q. 受発注システムの導入を社内で承認してもらうにはどんな準備が必要ですか?
A. 社内の承認を得るには、削減できる作業時間やミスの減少といった導入効果を数値で示し、補助金による自己負担の軽減と合わせて費用対効果を説明することが有効です。 現状の電話・FAX・Excelでかかっている工数や発生しているミスを整理し、原則の補助率で試算した自己負担額と対象経費の範囲を明記しておくと、経営層が判断しやすくなります。
Q. 受発注管理はExcelのままではいけないのですか?
A. Excelでも管理はできますが、注文が個人のファイルに散らばって対応状況が共有されず、入力ミスや二重手配、担当者への業務集中(属人化)が起きやすい点が課題です。 取引量が増えるほど、これらのリスクは大きくなります。受発注システムを使うと注文がデータとして一元管理され、社内で対応状況を共有できるため、少人数でもミスを抑えて業務を回せるようになります。
Q. 少人数の会社でも受発注システムを運用できますか?
A. 少人数の会社でも受発注システムは運用できます。 むしろ、手作業の転記が減り、担当者が不在でも他の社員が対応状況を引き継げるため、人手が限られる中小企業ほど効果を実感しやすい仕組みです。運用の負担が心配な場合は、初期設定の代行や電話・チャットでのサポートが手厚い製品を選ぶと、通常業務と並行しても無理なく立ち上げられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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