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経理DXとは?何から始めるかがわかる進め方4ステップと業務別ツール一覧

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「そろそろ経理をデジタル化しないと立ち行かない」と感じつつも、何から手を付ければよいか分からず調べ始めた方は多いはずです。人手不足のなかで電子帳簿保存法やインボイス制度への対応にも追われ、紙とExcel、手入力とメール確認が残ったままの経理業務は、月次決算の遅れや担当者への依存を生みます。

経理DXは、こうした状況を「業務のやり方そのもの」から変える取り組みです。ただし、いきなり全社のシステムを入れ替える話ではありません。紙のデジタル化から始めて段階的に自動化を広げれば、少人数の経理でも着実に進められます。

本記事では、経理DXの定義(単なるIT化・ペーパーレスとの違い)を結論から示したうえで、何を・どの順番で進めるかの4ステップと、業務領域ごとにどんなツールを使うのかの一覧を整理します。導入でつまずかないための落とし穴と、「まず何から始めるべきか」の判断材料まで、自社の次の一手を決めるための材料としてご活用ください。

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経理DXとは?IT化・ペーパーレスとの違い

経理DXとは、デジタル技術を使って経理業務のやり方そのものを見直し、業務プロセスを変革する取り組みです。紙を電子化するペーパーレスや、既存のやり方のまま一部をソフトに置き換えるIT化とは、目指す範囲が異なります。

ペーパーレス・IT化・経理DXの違いを、変える範囲の広がりとして3つの枠で示した図。ペーパーレスは紙の書類をデータに置き換え、保存や受け渡しの形を変える取り組み。IT化は既存のやり方はそのままに一部の作業をソフトへ置き換え、作業を効率化する。経理DXは業務のやり方そのものを見直し、受け取りから仕訳・承認までの流れを作り替える。

この違いは、経済産業省がDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義として示している内容を経理業務に当てはめると理解しやすくなります。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

出典:デジタルガバナンス・コード3.0|経済産業省

ここで重要なのは「業務そのものや、プロセスを変革する」という部分です。紙の請求書をPDFにするだけ、電卓をExcelに置き換えるだけの対応は、作業を効率化しても業務の流れは変わりません。

経理DXは、たとえば「紙を受け取って手入力し、承認印をもらって仕訳する」という一連の流れを、「データで受け取り、自動で仕訳され、画面上で承認される」流れに作り替えることを指します。ペーパーレスやIT化は、その変革を構成する一歩と位置づけられます。

経理DXの進め方【4ステップ】

ここからは、経理DXを何から・どの順番で進めるかを4つのステップで解説します。紙のデジタル化から始めて段階的に自動化を広げ、最後に経営への活用へつなげる流れが、無理なく定着させる基本形です。一度に全部を変えようとせず、着手しやすい業務から順に進めるのがコツになります。

経理DXの進め方を示す4ステップの縦フロー図。STEP1は紙帳票のデジタル化(請求書や領収書を紙からデータへ、AI-OCRで取り込む)、STEP2は転記作業の自動化(銀行やカード明細の自動取込、AI仕訳で手入力をなくす)、STEP3は業務の置き換え・自動化(経費精算のワークフロー、入金消込、RPAで業務の流れごと置き換える)、STEP4は経営状況の可視化(月次決算の早期化、予実や資金繰りをリアルタイムに見える化)。

STEP1. 紙帳票のデジタル化(ペーパーレス化)

最初のステップは、紙でやり取りしている書類をデータに置き換えることです。請求書・領収書・見積書・契約書などを、紙の保管から電子データでの受け渡し・保存に切り替えます。AI-OCR(画像から文字を読み取る技術)を使えば、紙で届いた書類もデータ化して後工程に渡せます。

電子帳簿保存法により、令和6年(2024年)1月以降にやり取りする電子取引データは電子のまま保存することが求められています。紙で届いた書類の電子化と合わせて、この段階で保存の仕組みを整えておくと、後のステップがスムーズになります。3つの保存区分ごとに何が任意で何が義務なのか、満たすべき要件の詳細は『電子帳簿保存法とは?3区分の【任意】【義務】と2024年1月完全義務化の実務』で確認できます。

STEP2. 転記作業の自動化

次に、デジタル化したデータを別のシステムへ手で打ち直している作業をなくします。銀行明細やクレジットカード明細の自動取込、請求データから会計仕訳への自動連携、AIによる勘定科目の推測などがこれにあたります。転記は入力ミスと確認工数の温床になりやすいため、ここを自動化すると効果を実感しやすくなります。

STEP3. 業務の置き換え・自動化

3つ目のステップでは、個別の作業だけでなく業務の流れごと置き換えます。経費精算の申請・承認をワークフローで回す、入金消込を自動照合する、定型作業をRPA(ソフトウェアによる作業の自動実行)に任せるといった対応です。承認ルートや例外処理も含めてルールを整理し直すため、業務プロセスの変革という経理DXの本質に踏み込む段階になります。

STEP4. 経営状況の可視化

最後は、蓄積したデータを経営判断に使える形に整えるステップです。月次決算を早期化し、予算と実績の差異や資金繰りをリアルタイムで見える化します。ここまで進むと、経理は数字を「記録する」役割から、経営に「示す」役割へと広がります。予実管理や経営管理のツールが活躍するのもこの段階です。

業務領域×ツール種別で見る経理DXの全体像

ここからは、どの業務にどんなツールを使うのかを整理します。経理DXでよくある失敗は、話題のツールを1つ入れて満足してしまうことです。自社のどの業務が対象で、そこにどの種類のツールが効くのかを俯瞰してから選ぶと、投資の優先順位を付けやすくなります。

DX化できる経理業務の一覧

経理業務は、月次・年次のサイクルのなかで複数の作業が連なっています。デジタル化・自動化の対象となる主な業務は次のとおりです。

  • 請求書の発行(見積・納品・請求)
  • 請求書の受領・支払(証憑の受け取りと支払処理)
  • 経費精算(申請・承認・精算)
  • 会計・記帳(仕訳入力・帳簿作成)
  • 入金消込(請求と入金の照合)
  • 月次・年次決算、開示資料の作成
  • 予実管理・経営分析(予算と実績の管理、KPIの可視化)

業務領域とツール種別の対応表

これらの業務には、それぞれ得意とするツールの種別があります。1つの製品が複数の領域をカバーする場合もありますが、まずは「どの業務に、何をする道具が対応するか」を押さえておくと、製品選びの土台になります。

業務領域主なツール種別何をする道具か
請求書の発行請求書発行システム見積・納品・請求書の作成から送付・保存までを電子化し、郵送や押印の手間を減らします。
請求書の受領・支払請求書受領システム・AI-OCR紙やPDFで届く請求書を読み取ってデータ化し、支払データの作成や証憑保存につなげます。
経費精算経費精算システム・ワークフロー申請・承認・精算をオンラインで回し、交通費や立替経費の集計と規程チェックを自動化します。
会計・記帳クラウド会計ソフト銀行明細の自動取込やAI仕訳支援で帳簿を作成し、決算書まで一貫して扱います。
入金消込入金消込・債権管理ツール請求データと入金明細を自動で照合し、消込作業と督促の手間を減らします。
月次・年次決算クラウド会計・連結/決算支援ツール試算表や決算書の作成を支援し、月次決算の早期化や開示資料の作成につなげます。
予実管理・経営分析予実管理・経営管理ツール会計データを取り込み、予算と実績の差異やKPIを可視化して経営判断を支えます。
定型作業全般(横断)RPA複数システムをまたぐ繰り返し作業を、あらかじめ設定した手順で自動実行します。
基幹業務の統合(横断)ERP会計・販売・人事など複数の基幹業務を1つの基盤で管理し、データを一元化します。

自社の課題がどの業務領域にあるかが見えると、優先して検討すべきツール種別が絞り込めます。次章以降で、こうしたツールを導入するメリットと、進める際の注意点を確認していきましょう。

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経理DXに取り組む理由(背景とメリット)

ここからは、経理DXがなぜ今求められているのかという背景と、取り組むことで何が良くなるのかというメリットを整理します。着手の順番やツールの当たりが付いたところで、社内で合意を得るための材料としても役立ててください。

なぜ今、経理DXが求められるのか

背景の1つは、法制度への対応です。インボイス制度(適格請求書等保存方式)が令和5年(2023年)10月に始まり、仕入税額控除の要件として適格請求書などの保存が必要になりました。さらに電子帳簿保存法により、令和6年(2024年)1月以降にやり取りする電子取引データは電子のまま保存することが求められています。

請求書の発行・受領や証憑管理をデジタル化する動機が、制度の面から強まっています。

もう1つは、人手不足と生産性の課題です。日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中28位(2024年、日本生産性本部調べ)にとどまり、限られた人員で成果を出す必要が高まっています。経理は定型作業の比率が高く、自動化による生産性向上の余地が大きい領域です。

加えて、経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」は「2025年の崖」を指摘しています。企業が既存システムの刷新を進められない場合、2025年以降に最大12兆円/年(2018年時点の経済損失額の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある、という内容です。業務基盤の見直しは、経営課題としても位置づけられています。

出典・参考資料(4件)

経理DXのメリット

経理DXを進めると、次のようなメリットが期待できます。いずれも、単発のツール導入ではなく業務の流れを見直すことで効果が大きくなります。

  • 業務効率化:転記や集計の手作業が減り、月次決算の早期化やコア業務への時間確保につながります。
  • コスト削減:印刷・郵送・保管のコストや、残業・外注に依存していた工数を抑えられます。
  • 属人化の解消:処理がシステム上に標準化され、特定の担当者しか分からない状態を防げます。
  • リアルタイムな可視化:数字が早く正確に把握でき、資金繰りや予実の判断を迅速にできます。

効果の大きさは、対象業務や企業規模によって変わります。「年間で何時間削減できるか」といった数字は導入する製品や運用によって差が出るため、比較検討の段階で各サービスの実績や試算を確認することをおすすめします。

経理DX導入でつまずかないための落とし穴と対策

ここからは、経理DXでつまずきやすい落とし穴を、対策とセットで確認します。導入して後悔しないために、着手前に押さえておきたい観点です。

導入・運用コストが見合わない

ツールには初期費用や月額費用に加え、設定・教育・保守の運用コストがかかります。削減できる工数に対して費用が見合わないと、投資が回収できません。対策は、いきなり全社導入せず、効果を測りやすい業務からスモールスタートで検証することです。1つの業務で削減時間やミス削減を確認してから、対象を広げると失敗を抑えられます。

IT人材・リテラシーが不足している

ツールを入れても、現場が使いこなせなければ定着しません。設定や運用を担える人材が社内にいないケースも多く見られます。対策は、操作のしやすさを製品選びの基準に入れ、導入支援やサポート体制の手厚さを確認することです。社内にリソースがなければ、導入・運用を伴走してくれるサービスや外部支援を活用する選択肢もあります。

セキュリティ・内部統制が甘くなる

経理データは機密性が高く、クラウド化に伴う情報漏えいや不正のリスクへの備えが欠かせません。対策は、閲覧・承認の権限を業務に応じて設計し、操作履歴(監査証跡)が残る仕組みを選ぶことです。クラウドサービスの場合、提供事業者と自社の責任範囲の分担を確認しておくと、対策の抜け漏れを防げます。

ベンダーロックインで乗り換えられなくなる

1つのツールに依存すると、後から別の製品へ移行しにくくなり、値上げや仕様変更に対応しづらくなります。対策は、データを標準的な形式で出力できるか、他システムとのAPI連携に対応しているか、契約期間や解約条件はどうかを、導入前に確認することです。将来の拡張や乗り換えを見据えて、データを持ち出せる状態を保っておくと安心です。

経理DXは何から始めるべきか

ここまで見てきた進め方の4ステップ(紙のデジタル化から自動化、経営の可視化へ)は、どの業務にも共通する流れです。そのうえで「どの業務から着手するか」を選ぶなら、まずは経費精算か請求書関連の業務がおすすめです。効果を実感しやすく、次の一手につなげやすいためです。

経費精算は、申請者・承認者・経理担当と多くの人が関わり、紙・Excel・メールの運用が残りやすい業務です。ここをデジタル化すると、全社で効果を実感でき、内部統制の強化にもつながります。

請求書業務も、発行・受領のいずれも取引先とのやり取りが定型化しやすく、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応と合わせて進められます。具体的な製品を絞り込む段階では、経費精算なら『おすすめ経費精算システム徹底比較』、請求書発行なら『請求書発行システムおすすめ比較22選』が、料金・機能で候補を見比べる入り口になります。

着手する業務が決まったら、その領域に合うツールを具体的に比較しましょう。経費精算・請求書のツールは前述の比較記事で詳しく確認できます。この記事では、着手後に続けて整えたい会計・記帳の自動化から予実・経営の可視化までを担うサービスを次章で紹介します。

会計・予実に限らず、資金繰りや債権債務の管理まで含めて財務管理システム全般を横断で見比べたい場合は、タイプ別の選び方と料金をまとめた次の記事が候補選びの土台になります。

経理DXを支えるツール・サービス

ここからは、経理DXの着手領域に応じて検討したい代表的なサービスを紹介します。会計・記帳の自動化を担うクラウド会計や経理代行と、予実・経営の可視化を担う予実管理・経営管理ツールを取り上げます。まずは主なサービスの特徴を一覧で比較してから、個別に見ていきましょう。

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サービス名弥生会計 NextTenbookDIGGLEX-KPIScale Cloud
対応領域会計・記帳(クラウド会計)会計・記帳(経理代行+クラウド会計)予実・経営管理(予実管理特化)予実・経営管理(KPI・予実管理)予実・経営管理(経営管理クラウド)
主な特徴会計・請求・経費精算を1システムに集約。2,500以上の金融機関と連携し、AI仕訳で記帳を自動化記帳〜決算・申告を会計事務所がワンストップ代行。クラウド会計ソフト「10book」を無料提供予算策定・予実突合・着地見込・レポーティングを一元化。会計システムと連携し脱Excelの予実管理を実現複数部門・拠点のKPIと予実をクラウドで集約し可視化。予実差・異常値を自動検知しチャット通知財務数値(PL/BS/CF)とKPIを関連づけて一元管理。KPIからPLをシミュレーションし予算を作成
料金の目安初期費用0円/年額34,800円〜(税抜)
最大2か月の無料トライアルあり
初期費用0円/月額29,500円〜(免税事業者)・43,500円〜(課税事業者)
決算料不要の定額制
要問い合わせ(Standard/Enterpriseの2プラン)
無料トライアルの相談可
要問い合わせ(利用規模に応じた見積り)
無料トライアルあり・最短2週間で導入
月額10万円〜(公式サイト記載)
利用規模により変動
電帳法・インボイス対応対応対応対象外対象外対象外
向いている企業会計の記帳自動化から経理DXを始めたい法人経理の専任者がいない創業期〜売上5億円規模の中小・スタートアップ記帳の自動化を終え、予実管理の属人化を解消したい企業部門ごとの数字をそろえ、経営会議で使う指標を整えたい中堅〜大企業上場・上場準備企業や複数事業・子会社を持つ企業の本格的な経営管理
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづく税抜表示です。最新の料金・プランは各社公式サイトでご確認ください。

1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextのウェブサイト

会計・請求・経費精算を1つのクラウドにまとめたのが、弥生株式会社が2025年4月に正式リリースした法人専用サービス「弥生会計 Next」です。会計帳簿・決算書の作成に加え、請求業務と経費精算を同一システム内で扱える点が特徴で、バックオフィス全体の自動化を志向しています。

2,500以上の金融機関と連携し、銀行・クレジットカード明細の自動取込やAIによる仕訳入力支援で記帳を自動化できます。電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応し、簿記や会計の知識がない担当者でも使いやすい設計を打ち出しています。

料金は初期費用0円、エントリープランが年額34,800円(税抜、2026年9月時点)からで、最大2か月間の無料トライアルが用意されています。会計の記帳を自動化するところから経理DXを始めたい法人に向くサービスです。

2. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbookのウェブサイト

公認会計士が運営するシンアカウンティングサービスが提供するTenbookは、月次の記帳から決算・申告までを会計事務所がワンストップで代行する、オンライン完結型のサービスです。契約者にはクラウド会計ソフト「10book」が無料で提供され、会計・経理の情報を1つのシステムに集約できます。

「経理をデジタル化したいが、社内に専任者がいない」という企業でも、記帳・決算・申告を専門家に任せながらクラウド化を進められる点が強みです。料金は初期費用0円・決算料不要の月額定額制で、免税事業者向けが月額29,500円、課税事業者向けが月額43,500円(相談料込み、2026年9月時点)と明示されています。創業期から売上5億円規模までの中小企業・スタートアップが主な対象です。

多くの創業期企業を見てきた立場から、代表の上田氏は経理の土台を早い段階で整えることの意味を次のように語っています。

上田氏
シンアカウンティングサービス株式会社 代表取締役
上田氏
独自インタビューより

経営者の方が事業に専念するあまり管理業務が後回しになると、会社の規模が大きくなったタイミングで資金繰りが急に苦しくなったり業績が悪化したり、管理体制が追いつかずに立ち行かなくなることもあり得ます。だからこそ、早い段階で経理の土台を整える価値は大きいと思っています。

3. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEのウェブサイト

予算策定から予実突合、着地見込の管理・レポーティングまで、予実管理の一連をクラウドで完結させるのが予実管理特化型のDIGGLEです。会計システムからのデータ取り込みと予実の突合を自動化し、Excel中心の予実管理に起こりがちな属人化や集計の手間を解消します。

freee会計・マネーフォワード クラウド・勘定奉行クラウド・弥生会計などとAPIやCSVで連携でき、勘定科目より細かい粒度での損益管理や、KPIを組み合わせた分析にも対応します。

経理DXの4ステップでいえば、記帳の自動化を終えて「経営状況の可視化」に進む段階で力を発揮します。料金は要問い合わせ(Standard/Enterpriseの2プラン構成、2026年8月時点)で、無料トライアルの相談も受け付けています。

4. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPIのウェブサイト

複数の部門・拠点・プロジェクトのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化するのが、KPI・予実管理ツールのX-KPIです。予算と実績の差異分析や共有を一元化し、経営指標の把握と意思決定の迅速化を支えます。提供元のパブリックアイデンティティは、日本経済社(日経グループ)のグループ企業です。

予実管理をこれから始める企業でも運用イメージをつかめるよう、無料トライアルやサンプルデータを使ったデモに対応し、最短2週間での導入が可能とされています。料金は利用規模に応じた見積り方式で要問い合わせです(2026年9月時点)。部門ごとの数字をそろえ、経営会議で使える指標を整えたい企業に向いています。

5. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloudのウェブサイト

財務数値(PL・BS・CF=損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)と非財務数値(KPI)を関連づけて一元管理するのが、経営管理クラウドのScale Cloudです。KPIの数値をもとにPLをシミュレーションでき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新に対応します。経営層・管理部・事業部がそれぞれの視点でダッシュボードを見ながら、共通の数字をもとに議論できる点を訴求しています。

公認会計士である代表の経営管理の知見を背景に設計されており、上場企業・上場準備企業や、複数事業・子会社を持つ企業を主な対象としています。料金は月額10万円〜(2026年8月時点、公式サイト記載)で、利用規模により変動します。予実管理の先にある、KPIと財務を結び付けた本格的な経営管理まで進めたい企業に向くサービスです。

PLとKPIを結び付けて管理するという設計の背景について、代表の広瀬氏は従来の管理会計が抱える限界を次のように説明しています。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。

まとめ

経理DXは、紙の電子化やツール導入にとどまらず、経理業務のやり方そのものを見直す取り組みです。進め方は、紙帳票のデジタル化から始めて、転記の自動化、業務の置き換え、経営状況の可視化へと段階的に広げるのが定着のコツでした。業務領域ごとに効くツール種別を押さえたうえで、まずは経費精算や請求書業務など効果を実感しやすい領域から着手すると、次の一手につなげやすくなります。

着手する領域が決まったら、その業務に合うサービスを料金・機能・対応制度で比較し、自社に合う一手を選びましょう。会計・記帳の自動化から予実・経営の可視化まで、段階に応じたサービスの資料を集めて検討を進めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 経理DXとは何ですか?

A. 経理DXとは、デジタル技術を使って経理業務のやり方そのものを見直し、業務プロセスを変革する取り組みです。紙をデータに置き換えるペーパーレスや、既存のやり方のまま一部をソフトに置き換えるIT化が「作業の効率化」にとどまるのに対し、経理DXは書類の受け取りから仕訳・承認・経営への活用までの流れを作り替える点が異なります。

Q. 経理DXは何から始めるのがおすすめですか?

A. 経理DXは、経費精算や請求書関連の業務から着手するのがおすすめです。多くの従業員が関わり、紙・Excel・メールの運用が残りやすいため、デジタル化の効果を全社で実感しやすく、内部統制の強化にもつながります。いきなり全社のシステムを入れ替えるのではなく、効果を測りやすい1つの業務からスモールスタートで検証すると、失敗を抑えながら次の一手につなげられます。

Q. 経理DXにかかる費用の目安はどのくらいですか?

A. 経理DXの費用は、導入するツールの種別・機能・利用規模によって大きく変わるため、一律の相場はありません。クラウド会計ソフトのように年額数万円から始められるものもあれば、経営管理・予実管理ツールのように月額十万円規模のものもあります。初期費用・月額費用に加えて、設定・教育・保守といった運用コストもかかるため、削減できる工数と見合うかを含めて比較検討することが大切です。

Q. 経理DXにIT導入補助金は使えますか?

A. 経理DXで導入する会計ソフトや請求関連システムは、IT導入補助金などの支援制度の対象になる場合があります。ただし対象となるツールや事業者、申請要件は年度・公募回によって変わり、あらかじめ登録された事業者・ITツールに限られるのが一般的です。利用を検討する際は、補助金の公式サイトや導入予定サービスの提供元で、最新の対象・要件を必ず確認してください。

Q. 経理DXを進めるうえで電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は必要ですか?

A. 経理DXを進める企業にとって、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応は避けて通れません。インボイス制度(適格請求書等保存方式)は令和5年(2023年)10月に始まり、仕入税額控除の要件として適格請求書などの保存が求められます。

電子帳簿保存法では、令和6年(2024年)1月以降にやり取りする電子取引データを電子のまま保存することが必要です。請求書の発行・受領や証憑管理をデジタル化する経理DXは、これらの制度対応とあわせて進めると効率的です。

Q. 中小企業でも経理DXはできますか?

A. 中小企業でも経理DXは十分に進められます。少人数の経理ほど、定型作業の自動化による効果が大きいためです。クラウド会計や経費精算など、初期費用を抑えて1つの業務から始められるツールが多く、専任のIT担当がいなくても導入できるサービスが増えています。全業務を一度に変えようとせず、負担の大きい業務から段階的に広げるのが現実的です。

Q. 経理DXで失敗しないためのコツはありますか?

A. 経理DXで失敗を避けるには、「ツールの導入」を目的にせず、業務フローの見直しとセットで進めることが最も重要です。話題のツールを入れるだけでは現場に定着せず、期待した効果が出ません。目的とゴールを先に決め、効果を測りやすい業務からスモールスタートで検証し、現場の使いやすさやサポート体制を確認しながら対象を広げると、投資の失敗を抑えられます。

Q. 社内に経理やITの専任者がいなくても経理DXは進められますか?

A. 専任者がいない場合でも、導入・運用を伴走してくれる外部サービスやBPO(業務のアウトソーシング)を活用すれば経理DXは進められます。記帳・決算の代行や、クラウド会計の導入支援・業務フロー設計まで任せられるサービスがあり、システムだけでは残りやすい運用面の課題を補えます。社内リソースと外部支援のどちらに任せるかを、業務量やコストと照らして判断するとよいでしょう。

Q. 経理DXの効果が出るまでどのくらいの期間がかかりますか?

A. 経理DXの効果が出るまでの期間は、着手する業務の範囲や対象規模によって数か月から半年以上まで幅があります。経費精算や請求書発行のように1つの業務をデジタル化する場合は比較的短期間で効果を実感しやすく、会計・予実・経営管理まで含めて全体を作り替える場合は段階的に時間をかけて進めるのが一般的です。まず着手領域を絞ってスモールスタートすると、早い段階で成果を確認できます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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