取引先から届いた請求書に支払期限(支払期日)が書かれていない、あるいは自社が送った請求書に支払期限を書き忘れていた、という場面は珍しくありません。手元の1枚をどう扱えばよいのか、いつ支払えば(払ってもらえれば)よいのかが分からず、対応に迷いがちです。
結論からいえば、支払期限の記載は法律上の義務ではなく、書かれていない場合はまず取引先に確認するのが基本です。法律上は「期限を定めなかった債務」として扱われ、支払う側は請求(催告)を受けた時から支払いが遅れた責任を負います。実務では「月末締め・翌月末払い」などの慣行にならうケースが多く見られます。
本記事では、支払期限が書いていない請求書について、受け取った側・発行した側それぞれの対応と、記載義務の有無・定めがないときの法的な扱い(民法や取引の類型ごとの特別なルール)を整理します。書き漏らしを防ぐ請求書発行システムの活用まで、その1枚を適切に処理するための材料としてご活用ください。
目次
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【結論】支払期限が書いていない請求書はいつ払う・払ってもらう?
支払期限が書かれていない請求書に出会ったとき、まず押さえておきたい答えを、受け取った側・発行した側それぞれの立場で整理します。詳しい法的な根拠は次の章で解説します。

受け取った側:まず発行元に確認、法的には請求を受けた時から支払いの責任
支払期限のない請求書を受け取ったら、自己判断で支払日を決める前に、まず発行元へ支払期日を確認するのが基本です。取引開始時の契約書や発注書に支払条件が定められていれば、その取り決めに従います。
契約でも定めがない場合、法律上は「期限を定めなかった債務」として扱われ、支払う側は発行元から請求(催告)を受けた時から、支払いが遅れた責任を負います(民法412条3項)。支払いを求める請求書の送付自体が、この「請求」にあたると一般に解されています。
ただし、受け取ってすぐに遅延損害金を請求されるわけではありません。実務では、支払期日を確認・合意したうえで支払うのが通常です。
目安になるのは「月末締め・翌月末払い」(1か月分をまとめて締め、その翌月末に支払う慣行)です。発行元に確認が取れないときは、この慣行を目安に支払い、その旨を一報して記録を残しておけば実務上は足ります。また、下請けやフリーランスへの委託にあたる取引では「受領から60日以内」という上限があります(次章で解説します)。
発行した側:支払期限を記載して再発行する
自社が送った請求書に支払期限を書き忘れていた場合は、正しい支払期限を記載した請求書を速やかに再発行し、取引先へ送り直します。記載がないままだと、取引先が支払日を判断できず、入金の遅れや認識のずれにつながります。次章以降で、書き方の作法と、書き漏らしを繰り返さないための仕組みも合わせて解説します。
請求書の支払期限に記載義務はある?定めがないときの法的な扱い
ここからは、支払期限に法的な決まりがあるのか、そして期限を定めなかったときに法律上いつ支払うことになるのかを整理します。取引の類型によっては支払期日に上限を課す法律もあるため、あわせて確認します。
記載義務はなく、支払期限は当事者の合意で自由に決められる
一般的な企業間取引では、請求書に支払期限を記載する義務や、支払期限そのものを定める法律はありません。支払期限は取引の当事者どうしの合意で自由に決められます(契約自由の原則)。そのため、支払期限のない請求書も、それだけで無効になるわけではありません。
ただし、支払期限を書かないと、取引先がいつ支払えばよいか判断できず、入金の遅れや認識のずれを招きます。トラブルを避けるため、実務では支払期限を明記するのが一般的です。また、消費税の適格請求書(インボイス)に必要な記載事項とは別に定められており、支払期限は適格請求書の必須項目ではありません。
期限の定めのない債務は「請求(催告)を受けた時」から遅滞になる
支払期限を定めなかった場合、支払う側がいつから「支払いが遅れた」状態になるかは、民法が定めています。民法412条3項は、期限を定めなかった債務について次のように規定しています。
債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百十二条第三項|e-Gov法令検索
支払期限が書かれていない請求書でも、発行元が支払いを請求(催告)した時点から、支払う側は支払いを遅らせた責任を負います。裏を返せば、請求を受ける前に自動的に遅滞になるわけではありません。受け取った側が「いつ払えばよいか」を発行元に確認し、発行した側が支払期限を記載して伝えることが、双方にとって基準を明確にする実務上の対応になります。
取適法・フリーランス法が適用される取引は「受領から60日以内」
民法412条3項は、当事者が自由に期日を決められることを前提としたルールです。これに対して、特定の取引の類型では、支払期日に「上限」を課す法律があります。すべての企業間取引に一律で当てはまるものではなく、適用される取引に限って働く特別なルールです。
1つは、取適法(中小受託取引適正化法。2026年1月に「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」から改称・施行)です。委託事業者(旧・親事業者)が中小受託事業者(旧・下請事業者)に製造や役務を委託する取引では、支払期日を次のように定めなければなりません。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(略)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和三十一年法律第百二十号)第三条|e-Gov法令検索
もう1つは、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法。2024年11月施行)です。従業員を使用する発注側の事業者(特定業務委託事業者)が、従業員を使わない個人などのフリーランス(特定受託事業者)へ業務委託した場合、報酬の支払期日は受領日から60日以内に定めることとされています。
特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合における報酬の支払期日は、(略)当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日(略)から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和五年法律第二十五号)第四条|e-Gov法令検索
取適法が適用されるかは、委託側・受託側の資本金や従業員数の区分で決まります。たとえば製造委託などでは、委託側の資本金が3億円を超え、受託側が3億円以下の場合などが対象です(役務提供委託などでは基準額が異なります)。
フリーランス法のほうは、発注側が従業員を使う事業者で、受注側が従業員を使わない個人などか、という区分で決まります。いずれも一般的な企業間取引すべてに「60日以内」が課されるわけではありません。自社の取引が対象に当たるか判断が難しい場合は、公正取引委員会の解説で確認できます。
支払期限が書いていない請求書を受け取ったときの対処
受け取った請求書に支払期限がないときは、放置せず、気づいた時点で発行元に連絡するのが最初の一歩です。具体的な支払予定日を伝えて認識をそろえておくと、後の行き違いを防げます。
支払日は、次の順序で判断するとよいでしょう。まず契約書・発注書に支払条件の定めがないかを確認し、定めがあればそれに従います。定めがなければ、発行元に希望の支払期日を確認します。慣行としては前章の「月末締め・翌月末払い」が目安になりますが、これは法律上の期限ではないため、最終的には発行元との合意で決めるのが確実です。
発行元に支払期日を確認するときは、次のようなメールをそのまま使えます(〔 〕を自社の情報に置き換えてください)。
件名:〔請求書番号〕お支払い期日のご確認のお願い(〔自社名〕)
〔取引先名〕〔担当者名〕様
いつもお世話になっております。〔自社名〕の〔氏名〕でございます。〔◯月◯日〕付でお送りいただいた下記のご請求書につきまして、お支払い期日の記載が見当たらず、お支払いのタイミングを確認させていただきたくご連絡いたしました。
・請求書番号:〔 〕
・ご請求金額:〔金額〕円お支払い期日をお知らせいただけますでしょうか。ご指定がなければ、当社の支払サイトに合わせ〔◯月◯日〕のお支払いを予定しております。行き違いで既にご案内済みでしたら申し訳ございません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
気をつけたいのは、支払期限が書かれていなくても、あるいは慣行上の期限を過ぎても、代金を支払う義務そのものは消えないという点です。支払わずに放置すると、遅延損害金が発生する可能性があるうえ、取引先との信頼関係を損ない、その後の取引継続にも影響します。支払いが難しい事情があるときも、まず連絡して支払時期を相談するのが望ましい対応です。
支払期限を書き漏らしたとき・次から防ぐには
自社が発行した請求書に支払期限を書き忘れたときは、まず正しく直して送り直し、そのうえで再発を防ぐ書き方と仕組みを整えます。
まず支払期限を記載して再発行する
支払期限の記載漏れに気づいたら、支払期限を明記した請求書を作り直し、取引先へ再送します。あわせて、記載漏れがあった旨と正しい支払期限を一言添えて連絡しておくと、取引先が古い請求書と取り違えずに済みます。取引先から支払期日を問い合わせられてから対応するより、こちらから先に直すほうが印象もよく、入金の遅れも防げます。
次から書き漏らさない書き方の作法
再発を防ぐには、支払期限の書き方をそろえておくことが有効です。支払期限は「2026年10月31日」のように具体的な日付で記載し、「発行日から30日後」といった相手に計算させる書き方は避けます。請求金額や振込先など、目立つ情報の近くに置くと見落とされにくくなります。
支払期限の日が土日祝や年末年始にあたる場合の扱いも、あらかじめ決めておきます。「金融機関の休業日にあたるときは翌営業日とする」など、前営業日か翌営業日かを取引先と共有しておくと、入金日の認識のずれを防げます。
取引先ごとに支払サイト(締め日から支払日までの期間)が異なる場合は、その条件をそのつど確認して記載することが、書き漏らし・書き間違いを防ぐ基本です。こうした毎回の手間は、後述する請求書発行システムで仕組みとして減らせます。
支払期限を過ぎても支払われないときの段階対応と遅延損害金
発行した請求書の支払期限を過ぎても入金がないときは、いきなり法的手段に進むのではなく、段階を踏んで対応します。まず自社の入金記録を確認し、請求書の発行漏れや消込のミスがないかを点検します。問題がなければ取引先へ連絡し、入金予定を確認します。
それでも支払われない場合は、内容証明郵便で改めて支払いを請求し、送付の記録を残します。最終的に応じてもらえないときは、簡易裁判所への支払督促の申立てなどの法的手続きを検討します。
支払いが遅れた場合、遅延損害金を請求できることがあります。契約で利率を定めていればその利率により、定めがなければ民法の法定利率によります。法定利率は年3%です(2026年9月時点。3年ごとに見直される変動制のため、時点により変わります)。
前章の取適法が適用される取引では、委託事業者が支払期日までに代金を支払わなかったとき、受領日から60日を経過した日から遅延利息が発生します。その率は公正取引委員会規則で年14.6%と定められています。これは一般の債務にかかる民法の法定利率(年3%)とは別の制度で、適用対象の取引に限って働きます。
督促や回収の手間・負担が大きい、あるいは未回収の売掛金が積み重なっているという場合は、回収業務を専門会社に任せる方法もあります。以下の記事では、売掛金回収代行サービスを依頼先のタイプ別に比較し、費用相場や選び方を解説しています。
「時効(5年)」と「支払期限が書いていない」は別問題
支払期限について調べると「有効期限は2年」といった説明を見かけることがありますが、これは「いつまで代金を請求できるか」という消滅時効の話で、「支払期限が書いていない請求書をいつ払うか」とは別の問題です。混同しないよう、整理しておきます。

代金を請求する権利(債権)の消滅時効について、民法166条1項は次のように定めています。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第百六十六条第一項|e-Gov法令検索
売掛金などの代金債権は、通常、支払期日に権利を行使できることを知っているため、原則として支払期日の翌日から5年で時効により消滅します。かつては職業別に2年などの短い時効(旧・民法173条など)がありましたが、2020年(令和2年)4月施行の民法改正で廃止され、現在は原則5年に一本化されています。「有効期限は2年」という説明は改正前のルールであり、現在の取扱いとしては誤りです。
支払期日の定めがない請求書の場合は、代金の支払いを請求できるようになった時(取引が成立して代金債権が生じた時)から数えるのが原則です。いずれにしても、2年で消えることはありません。
整理すると、時効は「いつまで請求できるか」の期間の話(原則5年)で、支払期限が書いていない請求書は「いつ払う(払ってもらう)か」の話です。支払期限がなくても代金債権が時効までに消えるわけではなく、支払義務も残ります。だからこそ、受け取った側は早めに支払時期を確認し、発行した側は支払期限を記載して伝えることが実務上重要になります。
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支払期日の記載漏れを防ぐ請求書発行システムの活用
支払期限の書き漏らしや、取引先ごとの支払期日のばらつきは、手作業で請求書を作っていると起こりがちです。取引先ごとの請求条件を登録して繰り返し使えるクラウドの請求書発行システムを使うと、毎月の請求書を自動で作成でき、支払期限の記載漏れや入力ミスを減らせます。以下は、こうした仕組みで支払期日の記載漏れ防止に役立つ請求書発行システムのうち、代表的な2つの比較表です。
| サービス名 | 請求管理ロボ | Misoca |
|---|---|---|
| 取引先ごとの請求条件の登録 | ●取引先・請求内容を登録し毎月自動作成 | ●取引先を登録して繰り返し発行 |
| 請求書の自動・定期発行 | ●単発/定期定額/定期従量。将来分の予約作成も可能 | ●請求書の自動作成予約・自動メール送信(定期請求) |
| 支払期日基準のリマインド・催促 | ●決済期限の◯日前リマインド/◯日後催促を自動送信 | ×支払期日基準の自動催促は公式に記載なし |
| インボイス・電子帳簿保存法対応 | ●適格請求書の発行・保存に対応 | ●適格請求書の作成・電子保存に対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ 導入・運用支援費用(3ヵ月オンボーディング) | 0円 |
| 料金の目安 | 要問い合わせ 月額+請求件数に応じた従量 | 無料(月10通まで)〜 有料プランは年8,800円(税別)〜(初年度無料) |
| こんな発行側に向く | 請求書の発行から集金・入金消込・催促までまとめて自動化したい中小〜中堅企業 | 無料から請求書発行を始めたい個人事業主・小規模事業者 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
1. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求管理ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供するクラウド型の請求管理システムです。請求書の発行・送付から集金、入金消込、未入金の催促までをまとめて自動化します。取引先と請求内容をあらかじめ登録しておくと、毎月の請求書を自動で作成する仕組みです。
請求タイプは単発・定期定額・定期従量から選べ、希望の周期で請求書を自動発行できます。将来分の請求書を予約作成することも可能です。支払期日(決済期限)を基準に、期限前に入金を促すリマインドメールと、期限後の催促メールを自動で送信でき、送信タイミングは「決済期限の◯日前」「◯日後」の形式で設定します。
取引先ごとの請求条件をシステムに持たせることで、支払期日を含む請求書の作成を毎月自動化し、書き漏らしや送り忘れを防ぎやすくなります。料金は請求件数に応じた体系で、詳細は資料請求で確認できます。
2. Misoca(弥生株式会社)

Misocaは、弥生株式会社が提供するクラウド請求書作成ソフトです。見積書・納品書・請求書・領収書などを、ブラウザやスマートフォンアプリから作成・送付できます。個人事業主や小規模の事業者が無料から始めやすい点が特徴で、月10通までの請求書作成は恒常的に無料です。
取引先を登録して繰り返し使えるほか、毎月同じ内容の請求書を自動で作成・予約送信する定期請求に対応します。支払期限を記載した請求書のひな型を取引先ごとに用意して繰り返し発行できるため、毎回の入力の手間と支払期限の書き漏らしを減らせます。
有料プランは年8,800円(税別)からで、初年度は無料です(2026年9月時点)。会計ソフト「弥生会計」など弥生製品と連携し、請求から記帳までをつなげられる点も、既存の弥生ユーザーには利点です。
ここで挙げたのは一例です。以下の記事では、請求書発行システムをタイプ別に比較し、選び方や機能、インボイス・電子帳簿保存法への対応まで詳しく解説しています。自社に合うサービスを選びたい方は、あわせてご覧ください。
まとめ
請求書に支払期限が書いていないときは、受け取った側はまず発行元に確認し、発行した側は支払期限を記載して再発行するのが基本です。法律上は、期限を定めなかった債務は請求(催告)を受けた時から遅滞となり、取適法やフリーランス法が適用される取引では受領から60日以内という上限があります。時効(原則5年)は「いつまで請求できるか」の別問題で、支払期限がなくても支払義務は残ります。
支払期日の書き漏らしや取引先ごとのばらつきは、取引先ごとの請求条件を登録して請求書を自動作成できる請求書発行システムを使えば、仕組みとして防げます。自社の請求業務に合うサービスを選ぶ際は、複数の資料を取り寄せて機能や料金を比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 請求書の支払期限とは何ですか?
A. 請求書の支払期限とは、買い手が代金を支払う期日として売り手が請求書に記載する日付で、支払期日とも呼ばれます。一般的な企業間取引では記載を義務づける法律はなく、当事者の合意で自由に定められます。ただし、記載がないと支払日の認識がずれやすいため、実務では具体的な日付で明記するのが一般的です。
Q. 支払期限が書いていない請求書は、いつまでに支払えばよいですか?
A. 支払期限のない請求書は、まず発行元に支払期日を確認し、その期日までに支払うのが基本です。法律上は「期限を定めなかった債務」として扱われ、支払う側は請求(催告)を受けた時から支払いが遅れた責任を負います(民法412条3項)。契約書や発注書に支払条件があればそれに従い、なければ発行元と合意した期日までに支払います。
出典・参考資料(1件)
Q. 請求書に支払期限を記載する法的な義務はありますか?
A. 一般的な企業間取引では、請求書に支払期限を記載する義務も、支払期限そのものを定める法律もありません。支払期限は取引の当事者どうしの合意で自由に決められます。ただし、取適法(中小受託取引適正化法。2026年1月に下請法から改称)やフリーランス法が適用される取引では、代金の支払期日を受領日から60日以内に定める必要があります。
出典・参考資料(2件)
Q. 支払期限のない請求書を支払わず放置すると、罰金などのペナルティはありますか?
A. 放置すると遅延損害金が発生する場合があり、罰金はないものの代金を支払う義務そのものは消えません。遅延損害金は、契約で利率を定めていればその利率、定めがなければ法定利率(現在は年3%、民法404条)によります。取適法が適用される取引では、受領日から60日を経過した日以降、未払金額に年14.6%の遅延利息(公正取引委員会規則が定める率)がかかります。
Q. 10日に届いた支払期限のない請求書は、その月の月末に支払えばよいですか?
A. 支払期限のない請求書は、実務上「請求書が届いた月の月末」や「翌月末」を目安に支払う慣行が多いですが、これは商慣行であって法律上の期限ではありません。月末締め・翌月末払いなどの慣行を目安にしつつ、最終的には発行元に支払期日を確認して合意しておくと、支払日の行き違いを防げます。
Q. 請求書の支払期限はどのように記載すればよいですか?
A. 請求書の支払期限は、「2026年10月31日」のように具体的な日付で、請求金額や振込先など目立つ情報の近くに記載するのが基本です。「発行日から30日後」のように相手に計算させる書き方は避けます。期日が土日祝や年末年始にあたる場合は、前営業日と翌営業日のどちらにするかの扱いを取引先と共有しておくと、入金日の認識のずれを防げます。
Q. 請求書の「支払期限」と代金を請求できる「時効」は同じものですか?
A. いいえ、別の問題です。支払期限は「いつ払うか」、時効は「いつまで請求できるか」の話で、売掛金などの代金債権の時効は原則5年です(民法166条1項)。「有効期限は2年」という説明を見かけますが、これは2020年(令和2年)4月施行の民法改正で廃止された旧ルールで、現在は誤りです。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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