取引先への売掛金が支払期日を過ぎても入金されないとき、多くの担当者がまず考えるのは「早く回収したい」ということです。しかし債権回収には、回収する側が知らずに踏んでしまう法的な落とし穴と、そのまま放置したときに失うものの両方があります。
強く督促すれば違法な取立てとして刑事責任を問われかねず、かといって動かずにいれば消滅時効で権利そのものが消えてしまいます。回収の場面では、この「動くリスク」と「動かないリスク」を同時に見ておく必要があります。
本記事では、債権回収で生じるリスク・問題を「自分で回収に動くとき」と「放置したとき」の両面から整理し、法令に沿って安全に回収を進める手順、回収を第三者に任せるときの適法性、同じ未回収を繰り返さないための予防策までを、条文などの根拠とあわせて解説します。
目次
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債権回収のリスク・問題の全体像|「自分で動くとき」と「放置したとき」
債権回収で生じるリスク・問題は、大きく5つの類型に整理できます。このうち1つ目は主に「自分で回収に動くとき」に、残る4つは主に「回収せずに放置したとき」に問題になります(5つ目の信用毀損は、督促の進め方を誤ったときにも生じます)。

- 違法な督促による刑事リスク:実力での取立てや行き過ぎた督促は、恐喝罪・強要罪・住居侵入罪などに問われる可能性があります。
- 消滅時効による権利消滅:一定期間放置すると、法律上の請求権そのものが消滅します。
- 貸倒れ・回収不能:取引先の倒産などで、債権が回収できなくなります。
- 資金繰りの悪化・黒字倒産:売上が計上されても入金がないと、手元資金が不足します。
- 取引先との関係悪化・信用毀損:督促の進め方を誤ったり、逆に放置して未回収を膨らませたりすると、取引関係が壊れ、自社の評判にも影響します。
いずれも「なんとなく怖い」で終わらせず、どの行為がどの法律に触れるのか、時効は何年なのかといった具体的な根拠まで押さえておくことが、判断を誤らないための出発点になります。ここからは、この5つを順番に掘り下げていきます。
自分で回収するときのリスク|自力救済の禁止と違法になる督促行為
ここからは、債権者が自分で回収に動くときに踏みやすい法的な落とし穴を解説します。督促そのものは正当な権利行使ですが、方法を誤ると刑事責任を問われる領域に入ります。
自力救済はなぜ禁止されているのか
お金を払わない相手から、実力で商品を引き揚げたり、事務所の備品を持ち去ったりする行為は「自力救済」と呼ばれ、原則として許されていません。権利の実現は、裁判所などの法的手続きを通じて行うのが大原則だからです。
最高裁判所も、私的な実力行使は原則として法が禁じるところだと判断しています(最高裁昭和40年12月7日判決)。例外が認められるのは、法律上の手続きによっていては権利の侵害を防げない緊急やむを得ない特別な事情がある場合に、必要な限度にとどまるとされています。実務では、この「例外」に当たる場面はほとんどないと考えておくのが安全です。
違法になりうる督促行為(恐喝罪・強要罪・住居侵入罪・窃盗罪)
回収を急ぐあまりの言動が、刑法上の犯罪に当たることがあります。代表的なものを整理します。
- 恐喝罪(刑法249条):「払わなければ危害を加える」といった害悪の告知で金銭を支払わせる行為。
- 強要罪(刑法223条):土下座を強いる、他社から借りてでも払えと迫るなど、義務のないことを無理やり行わせる行為。
- 脅迫罪(刑法222条):金銭の交付を伴わなくても、生命・身体・名誉・財産に害を加えると告げて相手を脅す行為。
- 住居侵入罪・不退去罪(刑法130条):債務者の自宅や事務所へ無断で立ち入る、退去を求められても居座る行為。
- 窃盗罪(刑法235条):「回収の代わりに」と債務者の商品や設備を無断で持ち去る行為。
たとえば恐喝罪は、条文で次のように定められています。督促の現場で相手を威圧して支払わせれば、この規定に触れる可能性があります。
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
出典:刑法 第249条第1項|e-Gov法令検索
いずれの罪も、成立すれば刑事責任に加えて、取引先や取引先の関係者との関係を決定的に損ないます。回収したい金額を大きく上回る損失を招きかねない点に注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
深夜・多数回の取立てや第三者への通知が危ない理由
犯罪とまではいえなくても、避けるべき督促の目安があります。参考になるのが、貸金業者の取立てを規制する貸金業法21条です。この条文は、深夜や早朝など不適当な時間帯の電話・訪問、取引先以外の第三者への借入事実の通知、債務者以外の人への肩代わり要求などを禁止しています。
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
出典:貸金業法 第21条第1項(柱書)|e-Gov法令検索
この条文が直接の名宛人にしているのは貸金業者とその委託を受けた取立業者であり、事業者が自社の売掛金を自ら督促する場面にそのまま適用されるわけではありません。それでも、ここで禁じられている行為は「一般の督促でも避けるべき行為」の目安になります。深夜の電話や貼り紙による第三者への通知が度を越せば、前述の強要罪・脅迫罪や、次に述べる信用毀損罪に問われる可能性があるためです。
取引先や近隣に「あの会社は金を払わない」と触れ回る、貼り紙をするといった行為は、信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条・234条)に当たるおそれがあります。督促はあくまで債務者本人に対して、平穏な方法で行うのが原則です。
逆にいえば、日中の常識的な時間帯に、債務者本人へ事実にもとづいて支払いを求め、電話・メール・書面で繰り返し催促すること自体は、正当な権利行使であり問題ありません。避けるべきなのは、威圧や実力での取立て、第三者への通知など、相手の私生活や業務の平穏を害する行為です。
出典・参考資料(2件)
放置の最大の問題|消滅時効による権利消滅
ここからは、回収せずに放置したときのリスクを解説します。なかでも取り返しがつかないのが、消滅時効による権利の消滅です。
消滅時効は原則「知った時から5年/行使できる時から10年」
債権は、一定期間行使しないと時効によって消滅します。民法166条は、その期間を次のように定めています。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
出典:民法 第166条第1項|e-Gov法令検索
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
通常の商取引の売掛金では、支払期日の到来を債権者が把握しているのが一般的です。そのため実務上は「知った時から5年」が主に効いてきます。時効が完成し、相手方がそれを主張(援用)すると、法律上の支払義務は消滅し、もはや請求できなくなります。
出典・参考資料(1件)
2020年の民法改正で「職業別の短期時効」は廃止された
時効については、古い情報に注意が必要です。かつての民法には、飲食料は1年、小売代金は2年といった「職業別の短期消滅時効」の定めがありました。しかし2020年4月1日に施行された改正民法で、これらは廃止されています。
現在は、業種による短い時効は原則として存在せず、前述の「知った時から5年/行使できる時から10年」に統一されています。ウェブ上には旧制度の時効期間を掲載したままの解説も残っているため、確認するときは改正後の情報かどうかを見極めてください。
出典・参考資料(2件)
時効を止める・延ばす方法(催告・裁判上の請求・確定判決)
時効の完成が近い場合でも、完成を先延ばしにしたり(完成猶予)、進行をリセットしたり(更新)する手段があります。2020年改正で、従来の「中断・停止」という用語は「更新・完成猶予」に整理されました。
内容証明郵便などで催告を行うと、その時から6か月間は時効が完成しません(民法150条)。ただし催告による猶予は6か月にとどまり、時効そのものをリセットするには、その間に裁判上の請求などへ進めて権利を確定させる必要があります(民法147条)。相手方が債務を認めた(承認した)場合も、時効はそこから新たに進行を始めます(民法152条)。
そして、裁判で権利が確定すると、たとえ元の時効期間が10年より短くても、その時効期間は10年になります(民法169条)。「内容証明を送ったから安心」ではなく、6か月以内に法的手続きへ進めるかどうかが分岐点になる、という理解が実務では重要です。
出典・参考資料(1件)
放置が招くその他の経営リスク
時効以外にも、未回収の放置は経営そのものを揺るがします。ここでは貸倒れ・資金繰り・信用の3つの面から整理します。
貸倒れ・回収不能
取引先が倒産すると、債権は回収できなくなるおそれが高まります。会社更生法などの法的整理の手続きに入った場合、債権の一部または全部が切り捨てられることもあります。回収に動くのが遅れるほど、他の債権者との競合や取引先の資産の散逸によって、回収できる見込みは下がっていきます。
回収できなかった債権を損金として処理する「貸倒損失」の要件や、貸倒れが黒字倒産につながる仕組みと防止策は、以下の記事で整理しています。
資金繰り悪化・黒字倒産
売上として計上されていても、現金が入ってこなければ、仕入れや人件費の支払いに充てる資金は不足します。帳簿上は黒字でも手元資金が尽きて倒産する「黒字倒産」は、未回収債権が引き金になることが少なくありません。
焦げ付いた分は、本業の利益で取り戻すしかありません。自社の利益率が低いほど、失った金額を回復するために必要な売上は大きくなります。1件の未回収が、その何倍もの営業努力を要する損失につながる点を軽視できません。
取引先との関係悪化・信用毀損
督促の進め方を誤ると、継続していた取引そのものを失いかねません。逆に、督促をためらって未回収を膨らませると、社内では与信管理の甘さが問われ、金融機関や取引先からの評価にも影響します。回収は、相手との関係と自社の信用の両方に配慮しながら進める必要があります。
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法令に沿った債権回収の進め方
ここからは、リスクを避けながら回収を進める具体的な手順を、段階を追って解説します。いきなり法的手続きに入るのではなく、穏当な催促から始めて段階的に強めていくのが基本です。

電話・メールでの催促
最初の一歩は、電話やメールでの入金確認と催促です。単純な支払い忘れや請求書の行き違いであれば、この段階で解決することも多くあります。感情的にならず、支払期日と金額、次の入金予定を事実ベースで確認するのが要点です。やり取りは後の証拠になるため、記録を残しておくことが重要です。
内容証明郵便による督促
催促に応じない場合は、内容証明郵便で督促状を送付します。内容証明は「いつ・誰が・どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が証明する制度で、支払いを促す心理的な効果に加え、前述の催告として時効の完成を6か月猶予する効果もあります。ただし猶予はあくまで6か月なので、この間に次の法的手続きへ進む準備をしておく必要があります。
支払督促・少額訴訟(60万円以下)
話し合いで解決しない場合は、簡易な法的手続きを検討します。支払督促は、債権者の申立てにより裁判所書記官が発する手続きで、通常の訴訟より簡易・迅速に進められます(民事訴訟法382条)。
請求額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合は、少額訴訟も選択肢になります。民事訴訟法368条は、その対象を次のように定めています。原則として1回の期日で審理が終わるため、少額の債権を早期に決着させたいときに向いています。
簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
出典:民事訴訟法 第368条第1項(抜粋)|e-Gov法令検索
出典・参考資料(1件)
支払督促・少額訴訟は、いずれも簡易裁判所に申し立てる手続きです。書式は裁判所の窓口やウェブサイトで案内されており、少額で争いのない債権なら、自社で申し立てることもできます。相手が反論して通常訴訟へ移行しそうな場合や、金額が大きい場合は、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
通常訴訟・民事保全・強制執行
金額が大きい場合や争いがある場合は、通常訴訟で判決を得ます。判決や和解で権利が確定すれば、前述のとおり時効期間は10年になります。相手が財産を隠すおそれがあるときは、訴訟の前に仮差押えなどの民事保全を検討します。
判決などを得ても相手が支払わない場合は、強制執行によって預金や売掛金などの財産から回収します。ただし相手に差し押さえる財産がなければ回収は難しいため、早い段階から相手の資力や財産の状況を把握しておくことが、最終的な回収可能性を左右します。
回収を専門家・業者に任せるときの適法性(弁護士法72条・サービサー法)
「自社で対応するのは難しいので、どこかに任せたい」と考えたとき、実務で最も迷うのが「誰に頼めば適法なのか」という点です。ここを誤ると、依頼した側も巻き込まれかねないため、線引きを押さえておきます。
弁護士法72条(非弁行為の禁止)と、適法な「請求代行」の線引き
弁護士でない者が、報酬を得る目的で他人の債権について交渉や和解などの法律事務を業として行うことは、弁護士法72条で禁止されています(非弁行為)。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
出典:弁護士法 第72条(抜粋)|e-Gov法令検索
そのため、外部に任せられる「請求代行」の範囲には線引きがあります。債権者の名義で請求書を送付する、入金を管理して支払いを事務的に案内する、といった範囲であれば適法な余地があります。一方で、債権者に代わって相手方と減額交渉や和解をする、代理人として督促するといった行為は、弁護士でなければ非弁行為に当たるおそれがあります。
出典・参考資料(1件)
サービサー(債権回収会社)とは何か
「サービサー」は、法務大臣の許可を受けて債権回収を業として行う株式会社(債権回収会社)で、サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)に基づいて弁護士法72条の特例として認められています。ただし、サービサーが扱えるのは同法が定める「特定金銭債権」に限られます。
この法律において「債権管理回収業」とは、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう。
出典:債権管理回収業に関する特別措置法 第2条第2項|e-Gov法令検索
特定金銭債権は、金融機関の貸付債権やリース・クレジット債権、倒産手続きに関係する債権などが法律で限定列挙されたものです。一般の事業者間の売掛金は、原則としてこの特定金銭債権には含まれません。そのため、通常の売掛金の回収をサービサーに委託することは原則としてできません。
出典・参考資料(1件)
誰に・何を任せられるか(弁護士/サービサー/請求代行の使い分け)
ここまでを踏まえると、一般の売掛金の回収を任せる相手は、次のように整理できます。

- 弁護士:交渉・和解・訴訟の代理まで含めて任せられる唯一の相手。通常の売掛金の回収を第三者に「業として」代理してもらえるのは、原則として弁護士です。
- サービサー(債権回収会社):特定金銭債権を扱う特別な業種。一般の事業者間売掛金は原則として対象外です。
- 請求代行・督促代行サービス:交渉や和解の代理には踏み込まず、請求書の発行・送付、入金管理、事務的な支払案内などを代行するもの。非弁行為に当たらない範囲で、日常的な督促の手間を減らせます。
「怪しい回収業者に頼んで自社まで法的リスクを負う」ことを避けるには、この区別が出発点になります。日常の督促は仕組みで効率化し、こじれた案件は弁護士に相談する、という役割分担が現実的です。
費用は依頼先や債権額・回収の難しさによって変わり、弁護士に依頼する場合は着手金と、回収できた額に応じた報酬が発生するのが一般的です。少額の債権では費用が回収額を上回る「費用倒れ」も起こりうるため、債権額と回収の見込みに見合うかを見極めることが大切です。具体的な費用相場や費用倒れの目安は、以下の記事で比較しています。
未回収を未然に防ぐ
ここまでは発生した未回収への対処を解説してきましたが、最も効果的なのは、そもそも未回収を生まない仕組みづくりです。回収に追われる状況を繰り返さないための予防策を整理します。
取引前の与信管理
新規の取引を始める前に、相手の支払能力や信用状況を確認する与信管理が、未回収を防ぐ第一歩です。登記情報や決算内容、信用調査会社のレポートなどをもとに、与信限度額(取引の上限)を設定し、それを超える取引は前払いや担保を求めるといった運用が有効です。
与信限度額の具体的な決め方や、社内で与信管理を回す進め方をより詳しく知りたい場合は、以下の記事で手順を解説しています。
契約書での支払条件・期限の利益喪失条項の明確化
支払期日・遅延損害金・支払方法を契約書で明確にしておくと、後の紛争を防げます。特に「期限の利益喪失条項」を設けておくと、分割払いの一部が滞った時点で残額の一括請求が可能になり、回収の初動を早められます。納品物の仕様や検収の基準もあいまいにせず、書面で残しておくことがトラブル回避につながります。
請求・入金管理の体制と督促の仕組み化
請求と入金の管理体制が整っていないと、入金の遅れに気づくのが遅れ、督促の初動も遅れます。誰が・いつ・どの取引先の入金を確認し、遅延があれば誰が督促するのかを決めておくことが重要です。
とはいえ、督促は担当者にとって心理的な負担が大きく、件数が増えるほど属人化しがちな業務です。入金消込(入金データと請求内容の照合)や督促の連絡を仕組みで自動化すれば、対応の抜け漏れを防ぎながら、担当者の負担も軽くできます。次章では、こうした督促・回収の負担を減らすサービスを紹介します。
未回収の解決・予防に使えるサービス
ここで紹介するのは、日常の督促を効率化し、未回収の発生そのものを防ぐための手段です。すでにこじれて交渉が必要な1件は、前述のとおり弁護士への相談や法的手続きが向きます。
一方、まだ大きく揉めていない滞納の督促を仕組みで回したい、あるいは今後の未回収を防ぎたいという場合には、督促の連絡を自動化するサービスや、請求から回収までをまとめて代行するサービスが役立ちます。ここでは代表的なサービスの特徴を比較したうえで、それぞれを紹介します。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | DHKクラウドオートコール | 債権回収ロボ |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社電話放送局 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
| タイプ | 請求代行+売掛金保証 | 督促架電の自動化(オートコール) | 督促・回収の自動化(多チャネル) |
| 督促チャネル・対応範囲 | 与信〜請求・回収・消込・督促を代行 (督促はメール・電話・弁護士法人) | オートコール(固定電話の自動音声) +SMS(携帯) | メール・SMS・オートコール(IVR)・郵送の4チャネル |
| 未回収リスクの扱い | 適格・与信通過債権を100%保証 | 保証なし(督促を自動化・効率化) | 保証なし(督促を自動化・効率化) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 50,000円〜 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 月額利用料+手数料1.0%〜 | 50,000円〜 (月1,000件の応答まで含む) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
ここで取り上げるのは、督促・回収の自動化や請求代行に絞った3サービスです。保証・ファクタリングや弁護士・サービサーへの依頼まで含め、依頼先のタイプごとに費用相場や選び方を比較したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促まで——企業間取引の請求業務を一通り代行するのが、株式会社ROBOT PAYMENTの請求まるなげロボです。担当者は日々の請求・回収の実務から手が離れます。
特徴は、自社審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権については、取引先からの入金の有無にかかわらず売掛金が支払われる点です。未回収リスクをサービス提供側に移せるため、貸倒れリスクを抑えられます。ただし保証の対象は「適格債権かつ与信通過分」に限られ、与信を通らなかった取引先の債権は引き続き自社での管理が必要で、未回収を完全になくせるわけではありません。
未入金時の督促は、同社の担当窓口からの連絡に加え、弁護士法人が対応する体制が案内されています。料金は月額利用料と手数料(公式FAQでは1.0%〜と案内)で構成され、請求書の郵送費は与信通過分について無料とされています。新規取引先の与信をアウトソースしたい企業や、与信落ちの取引先も含めて請求業務を一元管理したい企業に向いています。
2. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

電話による督促や入金案内の手間を軽くしたい——そうした場面で使えるのが、株式会社電話放送局が提供するDHKクラウドオートコールです。「かかってくる電話」ではなく「こちらからかける電話」を自動音声(IVR)で自動化する自動架電サービスで、督促電話にかかる人手と心理的な負担を減らせます。
課金は「応答課金」を掲げており、実際に応答があった件数を基準に費用が発生する考え方です。たとえば100件架電して30件応答した場合、課金は30件分になります。運用面では、Web管理画面から音声やコールフローの設定変更、受付データのCSVダウンロード、切断箇所のレポート確認ができます。API連携により、既存システムへ自動架電機能を組み込むことも可能です。
料金プランの目安は月額50,000円〜で、月間1,000件までの応答を含み、超過分は固定電話21円/携帯電話32円(いずれも1件あたり)の従量課金となります。電話での入金案内や督促が多く、その手間を減らしたい企業に適しています。
督促は、その進め方によってはトラブルや苦情に直結しやすい業務です。入金案内を自動化する際の考え方について、提供元の株式会社電話放送局は次のように述べています。

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面もあります。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。
オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。
3. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボが自動化するのは、未入金への督促・回収の一連の連絡です。メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送という4つのチャネルを組み合わせ、債務者に応じた督促シナリオを設計して自動で実行できます。
債務者の属性や債権額に応じて督促のシナリオを設計でき、督促の状況や受信・返信の履歴を一元管理できる点が特徴です。2026年9月には郵送による督促も加わり、督促状の印刷・封入・投函まで自動化できるようになりました。同社の請求代行・請求管理の製品とオプションで連携させれば、請求から督促・回収までを一続きで管理することもできます。
料金は要見積のため、導入を検討する際は個別に確認が必要です。督促の連絡を電話だけでなくメールやSMS、郵送まで含めて幅広く自動化し、督促業務そのものを標準化したい企業に有効です。
まとめ
債権回収のリスク・問題は、「自分で回収に動くとき」の法的な落とし穴と、「放置したとき」に失うものの両面から見ておく必要があります。実力での取立てや行き過ぎた督促は刑事責任を招き、放置は消滅時効による権利消滅や貸倒れ、資金繰りの悪化につながります。
安全に回収するには、催促から内容証明、支払督促・少額訴訟、訴訟・強制執行へと段階的に進めるのが基本です。回収を外部に任せる場合は、弁護士・サービサー・請求代行の役割の違いを踏まえ、非弁行為に当たらない範囲で選ぶことが欠かせません。そして最も効果的なのは、与信管理・契約書の整備・督促の仕組み化によって、未回収を未然に防ぐことです。
自社の状況に合わせて、督促の自動化や請求代行といった手段も検討しながら、無理のない回収体制を整えていきましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 債権回収とは何ですか?
A. 債権回収とは、取引先などの債務者に対して持つ売掛金や貸付金などの債権を、支払期日を過ぎても支払われないときに取り戻す一連の対応を指します。電話・メールでの催促から、内容証明郵便による督促、支払督促・少額訴訟・強制執行といった法的手続きまでが含まれます。
回収する側も方法を誤ると刑事責任を問われ、放置すれば消滅時効で権利そのものが消えるため、「動くリスク」と「動かないリスク」の両面を踏まえて進める必要があります。
Q. 債権回収で違法になる督促行為にはどのようなものがありますか?
A. 債権回収では、実力で商品を引き揚げる「自力救済」や、相手を威圧して支払わせる行為が、恐喝罪・強要罪・脅迫罪・住居侵入罪・不退去罪・窃盗罪などに問われる可能性があります。「払わなければ危害を加える」と告げて支払わせれば恐喝罪(刑法249条)、債務者の自宅や事務所へ無断で立ち入れば住居侵入罪(刑法130条)、商品を無断で持ち去れば窃盗罪(刑法235条)に当たりえます。
深夜・早朝の取立てや、第三者へ借金の事実を触れ回る・貼り紙をするといった行為も、度を越せば違法になります。督促はあくまで債務者本人に対して、平穏な方法で行うのが原則です。
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Q. 売掛金の消滅時効は何年ですか?
A. 売掛金などの債権の消滅時効は、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」です(民法166条)。通常の商取引の売掛金は支払期日を債権者が把握しているため、実務上は「知った時から5年」が主に効いてきます。
かつては飲食料1年・小売代金2年といった職業別の短期消滅時効がありましたが、2020年4月1日施行の改正民法で廃止され、原則5年/10年に統一されました。ウェブ上には旧制度の年数を載せたままの解説も残っているため、確認するときは改正後の情報かどうかを見極めてください。
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Q. 時効が成立すると、売掛金は完全に回収できなくなりますか?
A. 時効期間が過ぎても、相手方が時効を主張(援用)しない限り、請求そのものは可能です。ただし相手が時効を援用すると、法律上の支払義務は消滅し、もはや請求できなくなります。
時効の完成が近いときは、内容証明郵便による催告で6か月間は完成を猶予でき(民法150条)、その間に裁判上の請求へ進めて権利を確定させれば、時効の進行をリセット(更新)できます。相手が債務を認めた(承認した)場合も、その時点から時効は新たに進行を始めます(民法152条)。
出典・参考資料(1件)
Q. 内容証明郵便を送れば、消滅時効は止められますか?
A. 内容証明郵便による催告で時効の完成を止められるのは6か月間だけで、それだけでは時効はリセットされません(民法150条)。時効の進行を新たにやり直す(更新する)には、この6か月の間に支払督促や訴訟などの裁判上の請求へ進め、権利を確定させる必要があります(民法147条)。「内容証明を送ったから安心」ではなく、6か月以内に次の法的手続きへ進めるかどうかが分岐点になる、という理解が実務では重要です。
出典・参考資料(1件)
Q. 一般の売掛金の回収をサービサー(債権回収会社)に依頼できますか?
A. 通常の事業者間の売掛金は、原則としてサービサーに回収を委託できません。サービサー(債権回収会社)は法務大臣の許可を受けて債権回収を業として行える特別な業種ですが、扱えるのはサービサー法が定める「特定金銭債権」に限られます。
特定金銭債権は金融機関の貸付債権やリース・クレジット債権、倒産手続きに関係する債権などが限定列挙されたもので、一般の事業者間の売掛金は原則としてこれに含まれないためです。通常の売掛金の回収を第三者に代理してもらいたい場合は、原則として弁護士への依頼が選択肢になります。
出典・参考資料(1件)
Q. 督促や回収を代行会社に任せるのは違法になりませんか?
A. 請求書の発行・送付や入金管理、事務的な支払案内にとどまる「請求代行・督促代行」であれば適法な余地がありますが、相手方との減額交渉や和解を代理する行為は、弁護士でなければ非弁行為(弁護士法72条違反)に当たるおそれがあります。交渉・和解・訴訟の代理まで含めて任せられるのは、原則として弁護士だけです。
怪しい回収業者に頼んで自社まで法的リスクを負うことを避けるためにも、日常の督促は仕組みで効率化し、こじれて交渉が必要になった案件は弁護士に相談する、という役割分担が現実的です。
出典・参考資料(1件)
Q. 契約書がない取引先からでも、売掛金を回収できますか?
A. 契約書がなくても、注文書・納品書・請求書やメールのやり取りなどで取引と債権の存在を示せれば、売掛金の回収は可能です。ただし書面がないと「そもそも合意したか」「金額や支払期日はいくらか」で認識が食い違いやすく、法的手続きでの立証も難しくなります。支払能力があるのに支払いが揉めるケースの多くは、こうした取引条件の認識のずれが原因です。
同じトラブルを繰り返さないためには、支払期日・金額・支払方法や期限の利益喪失条項を契約書で明確にし、納品や検収の記録を書面で残しておくことが有効です。
Q. 取引先が倒産した場合、売掛金は回収できますか?
A. 取引先が倒産すると売掛金の回収は難しくなり、会社更生法などの法的整理に入った場合は、債権の一部または全部が切り捨てられることもあります。回収に動くのが遅れるほど、他の債権者との競合や取引先の資産の散逸によって、回収できる見込みは下がっていきます。倒産による貸倒れを防ぐには、取引を始める前の与信管理で相手の支払能力を確認し、支払いの遅れの兆候を早く捉えて動くことが重要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















