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越境ECのリスク一覧|決済・物流・各国法規制から模倣品・詐欺までの落とし穴と対策を解説

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越境EC支援比較表(2026年版)

自社の商品を海外へ売る越境ECは、国内ECと同じ感覚で始めると、決済・物流・法規制・関税など多方面で想定外のトラブルに直面します。言葉も法律も通関の仕組みも国ごとに違うため、「どこに落とし穴があるのか」を事前に把握しないまま踏み込むと、代金を回収できない、高額な制裁金を科される、商品が税関で止まる、といった実害につながりかねません。

本記事では、越境ECで起こりうるリスクを決済・物流・為替・言語文化・知的財産・各国法規制・関税・禁制品のカテゴリで整理し、それぞれ「具体的に何が起きるか」と「どう備えるか」を対にして解説します。米国・EU・中国で法規制がどう違うかの比較や、自社で対応すべき範囲と外部に委託できる範囲の切り分けまで取り上げます。

自社の商材・販売先で特に効くリスクに当たりをつけ、何に備え、どこまで専門の支援サービスに任せるかを判断する材料としてご活用ください。

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越境ECのリスクとは?まず全体像をカテゴリ別に押さえる

越境ECのリスクは一つではなく、代金回収から法令違反まで性質の異なる落とし穴が重なっています。まずはどんな種類のリスクがあるかを俯瞰し、自社に関係しそうな領域を見つけるところから始めると、対策の優先順位をつけやすくなります。

本記事で扱うリスクは、大きく次の7つのカテゴリに分けられます。各項目は記事内の該当セクションにつながっています。

それぞれのカテゴリで代表的な落とし穴と対策の方向性を一覧にすると、次のとおりです。各カテゴリの詳細は後続のセクションで掘り下げます。

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決済・代金回収物流・配送・返品為替・言語・文化知的財産・模倣品各国の法規制違反関税・税務禁制品・輸入規制
代表的な落とし穴クレジットカードの不正利用・チャージバックによる代金回収不能、現地で使われる決済手段への未対応による購入離脱高額な国際送料、配送の遅延・紛失・破損、通関停止や関税を理由とした受取拒否、海外からの返品処理の負担為替変動による採算悪化、翻訳の誤りや文化的なタブー、多言語での問い合わせ対応体制の不足販売先国での他社の商標・特許・意匠の侵害、自社商品の模倣品流通個人情報保護規制(GDPR・PIPL等)違反の制裁金、消費者保護法に反する規約・表示、製造物責任(PL)訴訟、輸出管理規制違反関税・付加価値税・売上税の負担や「誰が払うか」の未整理、少額免税の廃止による想定外のコスト輸出入が禁止された物品やワシントン条約対象品の発送、航空危険物の送付、許認可が必要な商材の無届け販売
対策の方向性3Dセキュアや不正検知の導入、現地決済手段の追加、多通貨・日本円建ての設計DDP(関税前払い)の活用、配送保険、返品ポリシーの事前明記、国際物流の委託多通貨決済や為替の考え方の整理、プロによる翻訳、多言語カスタマーサポートの委託販売先国での商標出願・権利調査、税関での輸入差止の活用販売先国の法令への準拠、規約・準拠法の整備、PL保険、輸出該非判定DDP(関税前払い)の採用、税負担の事前明示、現地税務登録の確認自社商材の該非確認、公的機関の情報での裏取り、必要な許認可の取得

決済・代金回収のリスクと対策

ここからは、代金を失う具体的な仕組みと、その備えについて解説します。越境ECでは国内よりも不正注文や決済手段のミスマッチが起きやすく、売上を計上したのに入金されない事態が生じます。

クレジットカードの不正利用・チャージバックで代金を回収できない

チャージバックとは、カード名義人が「身に覚えがない」と申し立てた取引について、カード会社が売上を取り消して名義人へ返金する仕組みです。盗難カードによる不正注文や、商品受領後の「届いていない」という虚偽の申し立てが起きると、事業者は商品を失ったうえに代金も回収できません。海外取引ではカード名義人の特定や事実確認が難しく、事業者側が不利になりやすい点が国内との大きな違いです。

損失の構造も国内より重くなりがちです。チャージバックが成立すると、事業者は商品を取り戻せないまま代金を失ううえ、発送に要した国際送料も回収できません。1件の不正注文で、商品代金に加えて往復の送料相当までを失う形になりやすいのが越境取引の特徴です。

また、決済の不正だけでなく、自社になりすました偽サイト・偽ショップや、フィッシングによる顧客被害も越境では起きやすく、ブランドの信頼を損ないます。正規サイトの告知や、商標・ドメインの監視による、なりすましへの備えも必要です。

現地で使われる決済手段に対応できず購入されない

決済手段の好みは国によって大きく異なります。中国ではAlipayやWeChat Pay、欧州では国ごとの銀行振込系の決済や後払いのKlarna、東南アジアでは電子ウォレットが広く使われており、クレジットカードだけでは購入画面で離脱されやすくなります。現地で主流の手段を用意できないことは、機会損失という形のリスクです。

クレジットカードの一括払いは「2月以上かつ3回以上の分割」に当たらないため割賦販売法上の割賦販売には該当せず、前払式のプリペイド手段は資金決済法の規律対象になるなど、決済手段ごとに国内法上の位置づけは異なります。ただしチャージバックや不正利用はカードの国際ブランドが定める運用ルールに基づく問題で、法令ではなく決済設計で備える領域です。

出典・参考資料(2件)

決済・代金回収リスクへの対策

不正利用・チャージバックへの基本対策は、本人認証(3Dセキュア)と不正検知の導入です。カード認証を強化し、取引ごとにリスクをスコアリングして疑わしい注文を保留・却下する仕組みを組み合わせると、不正注文の通過を抑えられます。

あわせて、現地で主流の決済手段を追加して購入離脱を防ぎ、多通貨対応や日本円建てでの受け取りによって為替の影響を切り分ける設計が有効です。これらを自社で個別に構築するのが難しい場合は、複数の決済手段と不正対策をまとめて導入できる決済サービスの活用も選択肢になります。

越境ECで使える具体的な決済手段の種類や、現地決済・不正対策に対応した決済代行サービスを比較して選びたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

物流・配送・返品のリスクと対策

ここでは、商品が届かない・返されるといった物流面の落とし穴と備えを扱います。返品については、ここでは送料や処理といった運用面を中心に取り上げ、返品を受け付ける法的な義務(撤回権)は後述の各国法規制のセクションで解説します。

高額な国際送料・配送の遅延・紛失・破損

国際配送は国内配送に比べて送料が高く、距離や重量によっては商品代金に匹敵することもあります。採算を取るつもりで価格を設定しても、送料を織り込み損ねると赤字になりかねません。長距離輸送や複数回の積み替えを経るため、配送の遅延・紛失・破損の発生率も国内より高くなります。

通関停止・関税を理由とした受取拒否

書類の不備や商品の該非判定の問題で、商品が相手国の税関で止まることがあります。また、購入者が着荷時に関税や付加価値税の請求を受け、想定外の負担を理由に受け取りを拒否するケースもあります。受取拒否が起きると、商品は返送されるか現地で滅却され、往復の送料と商品の双方を失います。

海外からの返品処理の負担と返品ポリシーの不備

海外からの返品は、返送料が高いうえに通関や検品に手間がかかり、1件あたりの処理コストが国内の比ではありません。返品の条件(受付期間・送料負担・返金方法)を購入前に明示していないと、購入者との認識のずれからトラブルや低評価につながります。返品を受けるか受けないか以前に、条件を事前に示しておくこと自体がリスク低減になります。

コストの面では、返品は往路の送料に加えて復路の国際送料と、戻った商品の検品・再出荷の費用が二重にかかります。単価の低い商品ほど、1件の返品で本来得られたはずの利益が送料と処理費で飛んでしまいやすくなります。

物流・配送・返品リスクへの対策

想定外のコストと受取拒否を避けるには、関税を売り手が前払いするDDP(関税込みの引き渡し条件)を採用し、購入者が着荷時に追加負担を求められない形にする方法があります。配送事故に備えた保険の付帯、返品ポリシーの事前明記、そして国際物流・通関の実務を専門会社へ委託することも有効です。DDPとDDU(買い手が着荷時に関税を負担する条件)の違いは、後述の関税・税務のセクションで詳しく解説します。

為替・言語・文化のリスクと対策

ここからは、見落とされやすい商業面のリスクを取り上げます。為替や言語・文化の問題は法令違反のように明確な形で現れないぶん、気づかないうちに採算やブランド評価をむしばみます。

為替変動による採算の悪化

外貨建てで販売すると、受注から入金までの間に為替が動き、円換算での手取りが想定を下回ることがあります。価格を外貨で固定している場合、円安・円高のどちらに振れても利益率が変動し、仕入れを円建てで行っていると影響はさらに大きくなります。

翻訳の誤り・文化的なタブー・多言語サポート体制の不足

機械翻訳そのままの商品説明は、意味が通らなかったり、商品の魅力や使用上の注意が正しく伝わらなかったりします。色やモチーフ、表現の受け取られ方は国によって異なり、意図せず現地の文化的なタブーに触れてしまうこともあります。さらに、購入後の問い合わせやクレームに現地の言語・時間帯で対応できないと、低評価や返金要求につながります。

為替・言語・文化リスクへの対策

為替については、多通貨での受け取りや、販売価格に為替変動を見込んだマージンを織り込む考え方で影響を抑えられます。言語・文化の面では、販売先の文化を理解したうえでのプロによる翻訳と、多言語でのカスタマーサポート体制の確保が欠かせません。社内で現地語の人員を抱えるのが難しい場合は、多言語対応の運用を外部に委託する方法もあります。

知的財産・模倣品のリスクと対策

知的財産のリスクには、自社が他社の権利を侵害してしまう面と、自社の商品が模倣される面の両方があります。入門的な解説では見落とされがちですが、越境ECでは販売先の国ごとに権利関係を確認しておく必要があります。

販売先国での他社の商標・特許・意匠の侵害

商標権は国ごとに成立する権利で(属地主義)、日本で登録していても、その効力は原則として日本国内にしか及びません。多くの国は先に出願した者が権利を得る先願主義を採っており、中国などでは、日本で使っている商標を現地で第三者が先に出願してしまう「冒認出願」が問題になっています。

自社ブランドで海外販売を始める際に現地で権利調査を怠ると、知らないうちに他社の権利を侵害したり、自社の名称を現地で使えなくなったりするおそれがあります。

出典・参考資料(2件)

自社商品の模倣品が流通する

自社の人気商品が海外で模倣され、無断で販売されることもあります。日本の不正競争防止法は、周知な商品等表示との混同を生じさせる行為や、他人の商品形態を模倣した商品の提供を不正競争と位置づけ、輸出入もその対象に含めています。

  • 一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。…)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、…輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
  • 三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、…輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
出典:不正競争防止法 第2条第1項|e-Gov 法令

ただし、越境ECで侵害が実際に起きるのは多くが販売先の国内であり、現地での保護は現地の法律に基づきます。国内法だけでなく、販売先国での権利確保を前提に考える必要があります。

知的財産・模倣品リスクへの対策

基本となる対策は、主要な販売先国での商標の出願と、進出前の権利調査です。現地で自社の権利を確保しておけば、模倣品が出回った際に現地の税関で輸入差止を求めるなどの対応が取りやすくなります。国ごとに制度が異なるため、特許庁やJETROが公開する中小企業向けの支援情報を手がかりに、必要に応じて専門家へ相談しながら進めると確実です。

越境ECの法的リスクは、個人情報保護・消費者保護・製造物責任・輸出管理など複数の領域にまたがります。違反すると高額な制裁金や賠償につながるものもあるため、販売先の国でどのような規制があるかを、法令名・制裁金の水準まで押さえておくことが重要です。

個人情報保護規制(GDPR・PIPL・CCPA/CPRA)

海外の顧客の氏名・住所・決済情報を扱う以上、販売先国の個人情報保護規制への対応が必要です。これらの規制は自国内の事業者だけでなく、国外から自国の居住者にサービスを提供する事業者にも適用される(域外適用)点に注意が要ります。

EUの一般データ保護規則(GDPR)は2018年5月25日に全面適用された規制で、違反時の制裁金は違反の類型に応じて2段階に分かれます。重い類型では次の水準が上限となります。

administrative fines up to 20 000 000 EUR, or in the case of an undertaking, up to 4 % of the total worldwide annual turnover of the preceding financial year, whichever is higher

出典:Regulation (EU) 2016/679 (GDPR) Article 83(5)|EUR-Lex

2,000万ユーロか全世界の年間売上高の4%のいずれか高い方が上限となり、軽い類型でも1,000万ユーロまたは売上高2%が上限です。中国の個人情報保護法(PIPL)は2021年11月1日に施行され、重大な違反に対する制裁金の上限を次のように定めています。

impose a fine of not more than RMB 50 million yuan or not more than five percent of the previous year’s turnover

出典:中華人民共和国個人情報保護法 第66条|全国人民代表大会

PIPLでは、5,000万元または前年度売上高の5%に加え、直接責任を負う担当者個人にも10万〜100万元の罰則が定められています。中国在住者の個人情報を扱う越境ECは、この域外適用の対象になります。

米国では連邦の包括法ではなく州単位の規制が中心で、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が2020年1月1日に施行され、これを強化したカリフォルニア州プライバシー権法(CPRA)が2023年1月1日に施行されました。CCPA/CPRAの制裁金は違反1件あたり最大2,500ドル(故意の違反は7,500ドル)で、GDPRやPIPLのような売上高連動ではない点が特徴です。

これらの制裁金は、条文上の上限にとどまらず、実際に高額の制裁として科された例があります。

EUでは2021年、ルクセンブルクの個人情報保護当局(CNPD)が、個人データの扱いがGDPRに違反したとして、EC大手のAmazonに7億4,600万ユーロの制裁金を科しました。Amazonは決定を不服として争う姿勢を示しましたが、これは当時のGDPR制裁金として過去最高額でした。

中国でも2022年、国家インターネット情報弁公室(CAC)が配車サービスの滴滴(DiDi)に制裁金を科しています。違反の理由は個人情報保護法を含む複数の法律で、金額は80.26億元(当時のレートで約1,600億円規模)に上りました。

売上高に連動する制裁は、違反の内容しだいで日本の事業者にとっても経営を揺るがす水準になり得ます。

出典・参考資料(2件)

対策の基本は、販売先国の規制に沿った同意取得の設計と、各国語でのプライバシーポリシー整備です。データの取得・利用の目的や範囲を国ごとの要件に合わせて示し、同意を取り直せる形にしておきます。

あわせて、個人データを国外へ移す場合は標準契約条項(SCC)などの越境データ移転の手当てが必要です。扱うデータが大規模だったり機微な情報を含んだりする場合は、早めに専門家や現地の法律事務所へ相談すると安全です。

出典・参考資料(2件)

消費者保護法・準拠法・管轄裁判所

海外の消費者を相手にする取引では、利用規約で「準拠法は日本法」「管轄は日本の裁判所」と定めても、そのとおりに効くとは限りません。法の適用に関する通則法は、消費者契約について、消費者が自分の常居所地法(=多くは販売先国)の強行規定の適用を求めた場合には、その強行規定も適用されると定めています。

消費者…と事業者…との間で締結される契約…の成立及び効力について第七条又は第九条の規定による選択又は変更により適用すべき法が消費者の常居所地法以外の法である場合であっても、消費者がその常居所地法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を事業者に対し表示したときは、当該消費者契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。

出典:法の適用に関する通則法 第11条第1項|e-Gov 法令

裁判の管轄についても、消費者契約の管轄合意は限定的にしか認められません。民事訴訟法第3条の7第5項は、将来の消費者契約の紛争を対象とする管轄の合意は「消費者契約の締結の時において消費者が住所を有していた国の裁判所に訴えを提起することができる旨の合意」などの場合に限り効力を有するとしています。約款で「日本の裁判所のみ」と定めても、そのままでは消費者契約では効かないのが原則です。

出典・参考資料(1件)

返品や表示についても同様に、販売先国の消費者保護法が基準になります。ここで誤解しやすいのが日本の特定商取引法・景品表示法との関係です。日本の特定商取引法は通信販売について、返品の特約を広告に表示していない場合に商品の引き渡しから8日間は申込みの撤回・解除を認めていますが、これはあくまで国内向けの通信販売の規律です。特定商取引法は、海外に在る者に向けた販売を適用除外としています。

(適用除外)前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。… 二 本邦外に在る者に対する商品若しくは権利の販売又は役務の提供

出典:特定商取引に関する法律 第26条第1項第2号|e-Gov 法令

海外の消費者に売る越境ECの表示・返品は、日本の特定商取引法や景品表示法では縛られず、販売先国の消費者保護法に従うことになります。たとえばEUの消費者権利指令は、通信販売などの契約について、理由を問わず費用の負担もなく14日以内に契約から撤回できる権利を消費者に保障しています。

the consumer shall have a period of 14 days to withdraw from a distance or off-premises contract, without giving any reason, and without incurring any costs

出典:Directive 2011/83/EU on consumer rights, Article 9(1)|EUR-Lex

この14日間の撤回権は、事業者が「返品不可」と規約で定めても覆せません。日本の8日間・特約で排除可能というルールとは根本的に異なるため、EU向けに販売する場合は現地の基準に合わせた返品ポリシーが必要です。

出典・参考資料(2件)

製造物責任(PL)訴訟リスクとPL保険

販売した商品の欠陥で消費者が身体や財産に損害を受けた場合、製造物責任(PL)を問われます。日本の製造物責任法は、過失の有無を問わず欠陥があれば賠償責任を負う無過失責任を定めています。

製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

出典:製造物責任法 第3条|e-Gov 法令

越境ECで賠償リスクが現実化するのは、多くの場合販売先国のPL法です。特に米国では陪審制や懲罰的賠償により賠償額が高額になりやすく、1件の訴訟が経営を揺るがすこともあります。対策としては海外での製造物責任をカバーする海外PL保険への加入が挙げられます。国内向けのPL保険は海外での事故を補償しないことが多いため、海外販売を始める際には補償範囲の確認が欠かせません。

出典・参考資料(1件)

輸出管理規制(外為法のリスト規制・キャッチオール)

一般の消費財では該当しないことが多いものの、商材によっては外国為替及び外国貿易法(外為法)の輸出管理の対象になります。外為法は、国際的な平和と安全の維持を妨げるおそれのある特定の貨物の輸出に、経済産業大臣の許可を求めています。

国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

出典:外国為替及び外国貿易法 第48条第1項|e-Gov 法令

輸出管理は、具体的には第48条による貨物のリスト規制(リストに該当する貨物の輸出許可と、リスト外でも用途・需要者から懸念がある場合に許可を求めるキャッチオール規制)と、第25条による技術(役務取引)の提供許可に分かれます。

あわせて、輸出等を業として行う者が守るべき基準として「輸出者等遵守基準」が定められており、これは外為法第55条の10を根拠に、経済産業省令(平成21年経済産業省令第60号)で具体化されています。該当のおそれがある商材を扱う場合は、輸出の可否を事前に判定(該非判定)しておく必要があります。

中国の電子商取引法(EC法)

中国で電子商取引を行う事業者は、2019年1月1日に施行された電子商務法(電子商取引法)の対象になります。2018年8月31日に公布された中国初の電子商取引の包括法で、ECプラットフォーム経営者・出店者のほか、自社ECサイトの運営者も規律し、外国事業者も対象に含まれます。

具体的には、電子営業許可証の取得・掲示、保証金(デポジット)の返還、否定的なレビューの恣意的な削除の禁止、個人情報の無断利用の禁止、生命・健康に関わる商品の安全確保義務などを定めています。WeChatを使った販売(微商)や個人による代理購入(代購)も規律の対象とされているため、中国向けに販売する場合は自社の形態が対象になるか確認が必要です。

出典・参考資料(1件)

関税・税務のリスクと対策

関税や現地の消費課税は、誰がいつ負担するかを整理しておかないと、想定外のコストや受取拒否につながります。制度は国ごとに異なり、近年は変更も相次いでいるため、最新の前提で設計することが重要です。

関税・付加価値税/売上税の負担と「誰が払うか」

商品が相手国に入る際には関税がかかり、多くの国では付加価値税(VAT)や売上税も課されます。これらを売り手と買い手のどちらが負担するかを事前に決めておかないと、着荷時に買い手が追加請求を受けて受取を拒否する原因になります。

従来、米国には「1回の輸入が800ドル以下なら免税」という少額免税(de minimis)の制度があり、越境ECの定番知識とされてきました。しかしこの制度は2025年に撤廃されています。

Executive Order 14324 suspends the duty-free de minimis exemption otherwise authorized under section 321(a)(2)(C) of the Tariff Act of 1930, as amended, for all covered products, regardless of country of origin…

出典:Notice of Implementation of Executive Order 14324(90 FR 42418, 2025-09-02)|U.S. Customs and Border Protection

この免税は中国・香港向けが2025年5月2日、その他の国・地域が2025年8月29日に停止され、少額の荷物でも関税や通関手続きが必要になりました。「米国は少額なら関税がかからない」という前提で価格や配送を設計していると、想定外のコストや受取拒否につながるため注意が必要です。

撤廃後は少額の貨物にも、商品分類ごとに定められた通常の関税率や通関手数料がかかります。DDPで売り手が前払いする場合は、商品代金に関税と手数料を加えた総額を見込んでおかないと、想定していた利益が削られてしまう点に注意が必要です。

米国の売上税は連邦ではなく州単位で課され、2018年の連邦最高裁判決(South Dakota v. Wayfair)により、物理的拠点がなくても一定の売上や取引件数(経済的ネクサス)があれば徴収義務が生じます。

基準は州により異なり、多くの州が売上高や取引件数で閾値を設けています。判決の当事者であるサウスダコタ州の当初基準は年間10万ドルの売上または200取引でしたが、同州は2023年に取引件数基準を撤廃し、現在は売上基準のみです。

出典・参考資料(1件)

ここで触れた少額免税(デミニミス)について、米国以外も含めた各国の免税限度額や撤廃の動き、事業者が取るべき対応をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

DDP(関税前払い)とDDUの違い

関税の負担方法には大きくDDPとDDUの2つの考え方があります。DDU(買い手が着荷時に関税・税を負担する条件)では、購入者が商品受取時に予想していなかった請求を受け、受取拒否につながりやすくなります。一方DDP(売り手が関税・税を前払いし、購入者は追加負担なしで受け取れる条件)では、総額が購入時に確定するため、受取拒否のリスクを抑えられます。

少額免税の撤廃により少額の荷物にも関税が発生するようになったことで、購入者に不意の負担を生じさせないDDPの重要性は以前より高まっています。

DDPとDDUの違いを対比した図解。DDPは売り手が関税・税を前払いする条件で購入者は追加負担なく受け取れ総額が購入時に確定するため受取拒否リスクが低い。DDUは買い手が着荷時に関税・税を負担する条件で購入者が予想外の請求を受け受取拒否につながりやすい。

関税・税務リスクへの対策

基本の対策は、関税・税を含めた総額を購入前に明示し、可能な範囲でDDPを採用して購入者の着荷時負担をなくすことです。販売規模によっては販売先国での税務登録(VAT登録など)が必要になるため、主要な販売先ごとに要否を確認します。関税分類や各国の税制は複雑で変更も多いため、国際物流・通関に対応したサービスや専門家を活用して最新の制度に合わせる方法が現実的です。

越境ECで送れない商品(禁制品・取扱禁止商品・許認可)

「自社の商材はそもそも送れるのか」は、越境ECを始める前に確認しておくべき点です。輸出入が法令で禁じられている物品や、輸送手段の制約で送れない物品、販売に許認可が要る商材があります。

自社の商材が送れるかは、次の5つの観点で確認します。

越境ECで自社の商材が送れるかを確認する5つの観点を並べた図解。1.国内法(関税法)で輸出が禁止されていないか、2.ワシントン条約(CITES)の対象品でないか、3.航空法上の危険物でないか、4.仕向国の輸入規制に触れないか、5.化粧品・食品・医薬品・酒類などで許認可が必要でないか。

国内法で輸出が禁止されているもの

日本の関税法は、輸出してはならない貨物を定めています。麻薬や児童ポルノのほか、知的財産を侵害する物品や、不正競争防止法に触れる物品も輸出禁制品に含まれます。

  • 次に掲げる貨物は、輸出してはならない。
  • 一 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤…
  • 三 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品
  • 四 不正競争防止法…第二条第一項第一号から第三号まで…に掲げる行為…を組成する物品
出典:関税法 第69条の2第1項|e-Gov 法令

ワシントン条約(CITES)の対象品

絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約(CITES)の対象種を使った商品は、輸出入に規制があります。ワニ革やニシキヘビ革を使ったバッグ・靴、象牙製品などが典型で、輸出には管理当局が発行する許可書等が必要となり、象牙は原則として輸出入が禁止されています。革製品や動植物由来の素材を扱う場合は、自社商材が対象に該当しないか確認が必要です。

出典・参考資料(2件)

航空法上の危険物

国際航空運送協会(IATA)の危険物規則が対象とする航空危険物は、国際郵便や航空輸送では送れません。火薬類のほか、香水・マニキュア・アルコール飲料などの引火性液体、スプレーやカセットガスなどの高圧ガスが該当します。リチウムイオン電池も危険物として厳しく規制されます。越境ECで扱いがちな化粧品やモバイルバッテリーが制限対象になり得るため、発送前の確認が欠かせません。

出典・参考資料(1件)

国ごとに送れないもの

日本から輸出できても、相手国の輸入規制で受け入れられない物品があります。日本の関税法も輸入してはならない貨物(麻薬、拳銃、偽造貨幣、知的財産を侵害する物品、不正競争防止法に触れる物品など)を定めており、各国にも同様の輸入禁制リストがあります。発送前に、仕向国の税関が公開する輸入規制を確認しておくことが大切です。

出典・参考資料(1件)

化粧品・食品・医薬品・酒類などの許認可

化粧品・食品・医薬品・酒類などは、販売そのものは可能でも、仕向国ごとに成分規制・表示規制・輸入許可・現地での登録といった手続きが求められることがあります。所管の省庁や必要な手続きは商材と国の組み合わせによって異なり、一律には言えません。たとえば酒類の輸出では国内の免許や相手国の表示・証明が、食品では現地での登録や成分規制が問題になり得ます。

自社の商材と販売先が決まったら、JETROの各国ガイドや各国当局の情報で個別に確認し、必要に応じて専門家に相談するのが安全です。

【比較表】米国・EU・中国で法規制はどう違うか

ここまで個別に見てきた個人情報保護・消費者保護・輸入規制・関税税務について、主要な販売先である米国・EU・中国の違いを1枚に整理します。国によって規制の建て付けや制裁の水準が異なるため、販売先を決める際の判断材料としてご活用ください。

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比較軸個人情報保護消費者保護輸入規制関税・税務
米国連邦の包括法はなく州単位。カリフォルニア州のCCPA(2020年施行)/CPRA(2023年施行)など。制裁金は違反1件あたり最大2,500ドル(故意は7,500ドル)で売上連動ではないFTC法などで不公正・欺瞞的な表示を規制。返品撤回権は連邦法では一律に定められていない税関・国境警備局(CBP)が管理。品目ごとの規制・数量割当あり少額免税(de minimis、800ドル)は2025年に撤廃。売上税は州単位で経済的ネクサスにより課税
EUGDPR(2018年全面適用)。制裁金は最大2,000万ユーロまたは全世界売上高の4%のいずれか高い方。域外適用あり消費者権利指令により、理由不要・無償で14日以内の撤回権を保障。規約で排除できないCEマーキングなど製品ごとの適合要件。加盟国共通の規制と各国規制が併存原則すべての輸入にVATが課される(IOSS=輸入ワンストップショップ等の仕組みあり)。税率は加盟国ごとに異なる
中国個人情報保護法(PIPL、2021年施行)。制裁金は最大5,000万元または前年度売上高の5%。担当者個人への罰則もあり。域外適用あり電子商取引法(2019年施行)でプラットフォーム・出店者を規律。否定的レビューの恣意的削除の禁止などを定める通関方式(一般貿易・保税区・直送など)により手続き・必要書類が異なる。商材ごとの輸入規制・登録要件あり越境ECの通関モデルにより関税・増値税・消費税の扱いが異なる。保税区モデルと直送モデルで条件が分かれる

※各国の公式情報に基づく整理です(2026年10月時点)。制度は変更されることがあるため、販売先の最新の規制は各国当局・JETROの情報でご確認ください。

販売先の国が定まったら、次はその国のリスクに実際に対応できる委託先の検討に進みます。

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リスク対応は自社で担うか、外部に委託するか

ここまで見てきたリスクは、すべてを自社だけで抱え込む必要はありません。自社で判断・管理すべき領域と、専門会社に委託できる領域を切り分けると、限られた人手でも対応を進めやすくなります。

大きく整理すると次のとおりです。事業の根幹に関わる判断と最終責任は自社に残し、実務の執行は外部に委ねるのが基本の考え方です。

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領域自社で判断・管理専門会社へ委託
事業判断・販売先の選定どの国に・どの商材を売るかの判断、販売先の選定—
禁制品・許認可の確認自社商材が禁制品・許認可の対象でないかの確認—
法令遵守・各種ポリシーの整備法令遵守の方針、各国語の規約・プライバシーポリシー・返品ポリシーの整備各国規制への具体的な対応の実務
知的財産の権利確保販売先国での商標出願・権利調査—
商品の安全性・製造物責任商品の安全性の確保・製造物責任の最終責任PL保険の手配
国際配送・通関・DDP—国際配送・通関・DDP(関税前払い)
現地決済・不正検知—現地決済手段の導入・不正検知
返品・交換のオペレーション—返品・交換のオペレーション
多言語カスタマーサポート—多言語カスタマーサポート

どこまでを委託するかは、自社の人員・取扱商材・販売先の数によって変わります。自社に不足している領域を見極めたうえで、次章で紹介する対策サービスの検討に進みましょう。

越境ECのリスク対策に役立つサービス

ここからは、越境ECのリスクへの対策を外部に委託したい場合に役立つサービスを紹介します。国際物流・通関・DDP、現地決済や不正対策、返品交換、多言語サポートなど、自社で抱えると負担の大きい実務を引き受けるサービスを取り上げます。

1. WeChatミニプログラムFor中国越境EC(株式会社マルウェブ)

WeChatミニプログラムFor中国越境ECのウェブサイト

中国市場に絞って決済・物流・通関のリスク対策をまとめて引き受けるのが、株式会社マルウェブのWeChatミニプログラムFor中国越境ECです。WeChat(微信)内で動作するミニプログラム形式のEC店舗を構築でき、Weimob(微盟)との代理店契約に基づいて提供されています。消費者は別アプリを入れずに購入でき、店舗運営・注文管理・CRM・販促機能をそなえたオールインワン型として案内されています。

決済はWeChatPayに対応し、売上は日本円建てで最低月1回振り込まれるため、現地決済への未対応や為替の影響という代金回収リスクを緩和できます。越境EC用の国際物流パートナーと連携し、倉庫保管型・注文都度発送型の配送スキームを提案するほか、3つの通関方法(個人間・越境EC・保税倉庫)に対応するとしています。

現地利用規約・プライバシーポリシーの適応や現地CS代行も提供し、中国という規制の厳しい市場での対応を外部に委ねられます。料金は要問い合わせですが、2026年10月時点で初期費用555,000円・月額500,000円・WeChatPay決済手数料1.8%が案内されています。

2. Lingble Global Guide(Lingble Pte. Ltd.)

Lingble Global Guideのウェブサイト

海外展開に伴うリスク対応を戦略立案から実務まで一括して任せたい企業に向くのが、Lingble Pte. Ltd. のLingble Global Guideです。複数国にサイトを分散させず、統一した自社ドメインでグローバルECを運営する体制づくりを、フルマネージド型で支援します。

対応領域は幅広く、物流面では国際配送・通関手続き・DDP(関税前払い)対応・返品交換管理をカバーします。さらに24時間365日の多言語カスタマーサポートや現地決済手段への対応、市場別の価格・広告費・在庫水準の最適化まで担います。本記事で挙げた物流・決済・言語文化などの各リスクを、まとめて外部に委ねられます。

コクヨの導入事例では、自社ドメインによるグローバルECストアの構築や、19カ国以上に向けたローカライズされた価格設定、100種類以上の国際決済手段への対応が公表されています。料金は売上に応じたレベニューシェア型で、詳細は要問い合わせです。

Lingble Linkのウェブサイト

自社で運営しながら、運用まわりのリスクをインフラで下げたい企業に向くのがLingble Linkです。複数国のストア・倉庫・物流・決済・商品データを1つの管理基盤に統合するグローバルEC統合インフラとして提供され、受注・出荷・返品対応・在庫管理・価格や税の設定・商品データ管理を一元化します。

国際配送ではFedEx・DHL・UPSなどと連携し、最適な配送方法の自動判別や輸出書類の自動出力に対応するため、物流や通関書類まわりの手間とミスを減らせます。多通貨・多言語・国別価格設定に対応し、Shopify・Amazon・楽天などの主要ECプラットフォームや、Adyen・Stripe・PayPalといった決済サービスとも連携できます。

各国の代理店・チャネルを同じ基盤で管理し、ブランド側が価格・プロモーション・顧客データを一元的にコントロールできる点も特徴です。料金は売上連動のリスク共有型で、詳細は要問い合わせです。

4. KOMOJU(コモジュ)(株式会社KOMOJU)

KOMOJU(コモジュ)のウェブサイト

決済・代金回収のリスク対策に特化して選ぶなら、株式会社KOMOJUが提供するKOMOJUが候補になります。国内外65以上の決済方法を1つの統合APIで導入でき、20種の通貨に対応するマルチチャネル決済プラットフォームです。

韓国・中国・東南アジア・欧州・ブラジル・インドの現地決済手段に対応しており、現地で主流の決済に対応できず購入されないという機会損失を抑えられます。AIを活用した不正検知システムと3Dセキュア2.0を無償で提供しているため、チャージバックやカード不正利用への備えにもつながります。

初期費用・月額費用は無料で、コストは決済手数料のみ(国内のクレジットカード3.25%、コンビニ2.75%など)とわかりやすい料金体系です。Shopifyや、2026年7月に公式パートナーとなったWooCommerceなど主要ECプラットフォームにノーコードで導入できます。

紹介した各サービスの対応領域を一覧で比べられるよう、比較表にまとめます。

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サービス名WeChatミニプログラム
For中国越境EC
Lingble Global GuideLingble LinkKOMOJU(コモジュ)
提供形態中国向けEC構築・運用フルマネージド型
グローバルEC支援
グローバルEC
統合インフラ
決済プラットフォーム
対象国・地域中国世界各国世界各国世界各国
(現地決済に強み)
決済・代金回収対策●WeChatPay(日本円建て)●現地決済手段に対応●多通貨・主要決済連携◎65種類以上・不正検知
物流・通関・DDP対応●国際物流・通関●DDP(関税前払い)対応●配送・輸出書類の自動化×
返品対応●●●×
多言語カスタマーサポート△中国向けCS代行●24時間365日●多言語対応×
現地規約・プライバシーポリシー対応●中国向けに整備―
記載なし
―
記載なし
×
料金目安初期55.5万円/月額50万円
決済手数料1.8%(2026年10月時点)
要問い合わせ
(レベニューシェア型)
要問い合わせ
(売上連動型)
初期・月額0円
決済手数料のみ(クレカ3.25%)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約オンライン相談を予約サービス詳細を見る

※2026年10月時点の各社公式情報による

リスク対策をどこまで外部に委託するかを踏まえ、構築から運営代行、特化型まで越境EC代行サービスを幅広く比較検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。対応範囲・費用相場・選び方を整理しています。

まとめ

越境ECのリスクは、決済から法規制・関税・知財まで多岐にわたります。それぞれに具体的な落とし穴と対策があり、やみくもに恐れるのではなく、カテゴリで言語化して自社の商材・販売先で効くリスクに当たりをつけることが第一歩です。

特に各国の法規制は、個人情報保護・消費者保護・製造物責任・輸出管理で国ごとに基準が異なり、日本の特定商取引法のように海外販売には適用されないものもあります。準拠法や返品の扱いは販売先国の法令が基準になる点、米国の少額免税が撤廃された点など、前提が変わっている論点には特に注意が必要です。

そのうえで、自社で判断・管理すべき領域(事業判断・法令遵守の方針・知的財産・商品の安全)と、外部に委託できる領域(国際物流・通関・決済・返品・多言語サポート)を切り分けると、限られた人手でも現実的に備えを進められます。自社に不足している部分から、支援サービスの資料を取り寄せて比較してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 国内ECと越境ECで、リスクはどこが根本的に違うのですか?

A. 根本的な違いは、一つの取引に複数の国の法律・通関・言語文化が同時にかかわる点です。各国の法規制が域外適用され、通関や関税が発生し、模倣品の侵害も属地主義で現地の法律に左右されるなど、国内ECには無い越境特有の落とし穴が重なります。

国内ECなら日本の法律・日本語・国内配送で完結しますが、越境ECでは販売先国ごとに基準が変わります。たとえば返品の扱いや個人情報保護は販売先国の法令が基準になり、日本の特定商取引法は海外販売には適用されません。まずはカテゴリで全体像を押さえることが、対策の第一歩になります。

Q. 越境ECで最も多いトラブルは何ですか?

A. 越境ECで起きやすいのは、クレジットカードの不正利用・チャージバックによる代金回収不能と、配送の遅延・紛失・破損や関税を理由とした受取拒否・返品といった物流まわりのトラブルです。

海外取引ではカード名義人の特定や事実確認が難しく事業者側が不利になりやすいこと、国際配送は長距離輸送や複数回の積み替えを経るため事故率が国内より高いことが背景にあります。基本の備えは、本人認証(3Dセキュア)・不正検知の導入と、DDP(関税前払い)・配送保険・返品ポリシーの事前明示です。

Q. 越境ECの関税は誰が払うのですか?DDPとは何ですか?

A. 越境ECの関税を誰が負担するかは取引条件で決まり、売り手が前払いして購入者が追加負担なく受け取れる条件がDDP、買い手が着荷時に関税・税を負担する条件がDDUです。

DDUでは購入者が着荷時に予想外の請求を受け、受取拒否につながりやすくなります。一方DDPは総額が購入時に確定するため、受取拒否のリスクを抑えられます。従来は米国の「1回800ドル以下は免税」という少額免税(de minimis)が定番知識でしたが、2025年に撤廃され少額の荷物にも関税や通関手続きが必要になったため、購入者に不意の負担を生じさせないDDPの重要性は以前より高まっています。

Q. 越境ECでは返品を受け付けないといけませんか?

A. 越境ECの返品対応は販売先国の消費者保護法が基準になり、たとえばEU向けでは理由不要・無償で14日以内に契約を撤回できる権利が消費者に保障され、規約で「返品不可」と定めても覆せません。

日本の特定商取引法は海外に在る者への販売を適用除外としているため、海外の消費者には日本国内向けの「8日間・特約で排除可能」というルールは適用されません。販売先国ごとの基準に合わせた返品ポリシーを用意しておく必要があります。

出典・参考資料(2件)

Q. 越境ECの個人情報保護規制は国によってどう違いますか?

A. 越境ECの個人情報保護規制は国ごとに制裁の建て付けが異なり、EUのGDPRは最大2,000万ユーロか全世界売上高の4%、中国のPIPLは最大5,000万元か前年度売上高の5%と売上連動で重く、米国のCCPA/CPRAは違反1件あたり最大2,500ドル(故意は7,500ドル)と件数ベースです。

これらの規制はいずれも域外適用があり、国外から各国の居住者にサービスを提供する越境ECも対象になります。海外顧客の氏名・住所・決済情報を扱う以上、販売先国の規制に沿った同意取得・プライバシーポリシーの整備が必要です。

出典・参考資料(3件)

Q. 自社の商品が越境ECで送れるかはどう確認すればよいですか?

A. 自社の商品が送れるかは、国内法で輸出が禁止された物品(関税法)、ワシントン条約(CITES)の対象品、航空法上の危険物、仕向国の輸入規制、商材ごとの許認可の5点を確認します。

越境ECで扱いがちな化粧品やモバイルバッテリーも航空危険物に該当して航空輸送で送れないことがあり、酒類・食品・医薬品は仕向国での登録・成分規制・表示規制がかかる場合があります。自社の商材と販売先が決まったら、JETROの各国ガイドや税関・各国当局の情報で個別に確認し、判断が難しい場合は専門家に相談するのが安全です。

Q. 越境ECにPL保険(製造物責任保険)は必要ですか?

A. 越境ECで海外に商品を販売するなら、海外での製造物責任をカバーする海外PL保険への加入を検討すべきです。

国内向けのPL保険は海外で起きた事故を補償しないことが多いためです。特に米国は陪審制や懲罰的賠償により賠償額が高額になりやすく、1件の製造物責任訴訟が経営を揺るがすこともあります。海外販売を始める際には、保険の補償範囲が販売先国をカバーしているかを必ず確認してください。

Q. 越境ECのリスクを抑えて小さく始める方法はありますか?

A. 越境ECは、販売先を1か国・少数の商材に絞り、すでにユーザーを抱えるECモールやリスク対策を引き受ける支援サービスを活用して小さくテスト販売することで、リスクを抑えて始められます。

いきなり多国・全商材で展開するより、まず自社に効くリスクを見極めてから広げる方が安全です。決済・国際物流・通関・返品・多言語サポートといった自社で抱えると負担の大きい実務は外部に委託することで、初期の体制づくりの負担を抑えられます。自社で判断・管理すべき事業判断や法令遵守の方針と、委託できる実務を切り分けて考えるとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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