毎月の給与計算で、従業員から天引きする所得税(源泉徴収税額)を間違えてしまうことは、担当者であれば誰にでも起こり得ます。源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに国へ納める仕組みのため、金額を誤ったまま気づかずにいると、納付額のずれや従業員への過不足にそのままつながります。
ただ、所得税の誤りは後から正しく直せます。直し方は「徴収しすぎたか(過大徴収)/足りなかったか(過少徴収)」と「対象の従業員が今も在籍しているか、退職しているか」で変わるため、自分のケースに合った手順をたどることが大切です。
この記事では、源泉所得税を間違えたときの訂正手順をケース別に整理し、過不足額の精算の基本、源泉徴収票を発行した後の訂正、放置・納付遅れで生じる不納付加算税・延滞税のリスクと軽減、そして同じミスを繰り返さないための再発防止策まで解説します。
目次
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所得税(源泉徴収)を間違えたときの訂正手順【ケース別】
ここからは、源泉所得税を間違えたときに取るべき具体的な手順を見ていきます。まず確認したいのは、次の2つの軸です。
- どちらに間違えたか:本来より多く徴収した「過大徴収」か、少なく徴収した「過少徴収」か
- 対象の従業員の状況:今も在籍しているか、退職して別の会社で働いているか、退職して再就職していない(または連絡がつかない)か
この2軸で、自分のケースに当たる手順を選べます。まずは次の早見表で、自分のケースと誤りの方向(徴収しすぎか、足りなかったか)から、取るべき対応を確認してください。それぞれの詳しい手順は、表の下で順に解説します。
| ケース | 在籍している | 退職して別の会社で勤務中 | 退職して再就職していない・連絡がつかない |
|---|---|---|---|
| 過大徴収(徴収しすぎ)の対応 | 翌月以降の給与で天引き額を調整するか、年末調整で精算して本人へ返金します。 | 本人へ返金し、交付済みの源泉徴収票に誤りがあれば訂正して再交付します。 | 自社で精算できない過納額は、還付請求書を所轄税務署に提出して還付を受けます。 |
| 過少徴収(不足)の対応 | 以後に支払う給与から不足分を控除して追加徴収します(所得税法第222条)。 | 本人へ不足分の支払いを請求します。最終的な精算は転職先の年末調整で行われます。 | 連絡のつく範囲で本人へ不足分の支払いを請求します。 |
過少徴収で徴収しそびれた分は、本来徴収すべきだった人から以後の給与で控除するか、支払いを請求できることが、所得税法第222条で定められています。
(不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等)第二百二十二条 前条の規定により所得税を徴収された者がその徴収された所得税の額の全部又は一部につき第一章から第五章まで(源泉徴収)の規定による徴収をしていなかつた場合又はこれらの規定により所得税を徴収して納付すべき者がその徴収をしないでその所得税をその納付の期限後に納付した場合には、これらの者は、その徴収をしていなかつた所得税の額に相当する金額を、その徴収をされるべき者に対して同条の規定による徴収の時以後若しくは当該納付をした時以後に支払うべき金額から控除し、又は当該徴収をされるべき者に対し当該所得税の額に相当する金額の支払を請求することができる。
出典:所得税法 第222条|e-Gov 法令検索
対象の従業員が在籍している場合
もっとも対応しやすいのが、間違えた従業員が今も在籍しているケースです。源泉所得税の過不足は、最終的にはその年の年末調整で精算されるため、年の途中の誤りは翌月以降の給与で調整していきます。
- 過少徴収(少なく徴収していた):不足分を、以後に支払う給与から控除して追加徴収します(所得税法第222条)。一度に差し引くと手取りが大きく減る場合は、従業員に説明したうえで無理のない範囲に分けることも検討します。
- 過大徴収(多く徴収していた):徴収しすぎた分は従業員に返金します。その年のうちであれば、翌月以降の給与で天引き額を調整するか、年末調整でまとめて精算されます。
たとえば、本来5,000円を徴収すべきところ3,000円しか徴収していなかった場合は、不足する2,000円を翌月以降の給与から追加で徴収します。会社が国に納める源泉徴収税額にも、この2,000円を上乗せして納めます。反対に多く徴収しすぎていたときは、徴収しすぎた分を従業員に返金し、会社が国に納めすぎた分は翌月以降に納付する源泉徴収税額から差し引いて調整する流れになります。
退職して別の会社で働いている場合
すでに退職し、別の会社で働いている従業員の場合、その年の所得税は最終的に転職先の年末調整で精算されます。源泉徴収は会社ごとに行い、年末時点で在籍する会社が、前職分も含めてその年の所得税を精算する仕組みだからです。
そのため、自社で過少徴収していた分は本人に支払いを請求でき(所得税法第222条)、過大徴収していた分は本人へ返金します。いずれの場合も、転職先が正しく年末調整できるよう、交付済みの源泉徴収票に誤りがあれば訂正して再交付する必要があります(後述)。
退職して再就職していない・連絡がつかない場合
退職後に再就職しておらず、自社で精算しきれない場合は、過大徴収分(返金)が課題になります。年末調整で還付しきれない過納額は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を所轄の税務署に提出して還付を受ける方法があります。過少徴収分については、本人に連絡がつく範囲で不足分の支払いを請求します。
過少徴収の不足分については、本人から回収できるかどうかにかかわらず、源泉徴収義務者である会社が国へ納付する義務は残ります。回収が難しい場合でも、国への納付と従業員への請求は分けて考えます。連絡が取れない従業員への対応や、自社で精算できない過不足の扱いは個別性が高いため、判断に迷う場合は所轄税務署に相談すると確実です。
出典・参考資料(1件)
過不足額の精算の基本(年末調整での精算と、できない場合の個別対応)
ケース別の手順の背景にあるのが、源泉所得税は年末調整で過不足を精算するという基本の仕組みです。毎月の源泉徴収はあくまで概算で、その年の正しい年税額との差は年末調整で調整されます。
国税庁は、精算の原則を次のように示しています。源泉徴収した税額の合計が年税額より多ければ差額を各人に還付し、少なければ年末調整をする月分の給与から徴収し、なお不足するときはその後の給与から順次徴収します。
出典:No.2675 年末調整の過不足額の精算|国税庁
- 過納額の還付 給与の支払者は、源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額が年調年税額よりも多い場合には、その差額の税額を役員または使用人の各人ごとに還付します
- 不足額の徴収 給与の支払者は、源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額が年調年税額よりも少ない場合には、その差額の税額を年末調整をする月分の給与から徴収し、なお不足額が残る時は、その後に支払う給与から順次徴収します。
年末調整で還付しきれないときは、翌月以降に納付する源泉徴収税額から順次還付します。解散・廃業などで納付する税額がなくなった場合や、2か月を経過しても還付しきれない場合は、前述の還付請求書を税務署に提出して還付を受けます。年の途中で気づいた誤りも、この精算の枠組みのなかで調整していくのが基本です。
すでに年末調整が済み、源泉徴収票も交付・提出した後(前年分など)に誤りに気づいた場合も直せます。正しい年税額で計算し直したうえで、源泉徴収票と給与支払報告書を訂正して従業員へ再交付し、税務署・市区町村へ再提出します(手順は次の項目で解説します)。
納付していた源泉所得税が不足していたときは、その差額を追加で納付します。本人がすでに自分で確定申告を終えている場合など、個別の扱いに迷うときは所轄税務署に確認すると確実です。
出典・参考資料(1件)
源泉徴収票を発行・提出した後に気づいたときの訂正
「もう源泉徴収票を渡してしまった」「税務署に提出した後に気づいた」という場合でも、訂正は可能です。源泉徴収票などの法定調書に誤りがあったときの直し方は、従業員に交付した分と、税務署へ提出した分で分かれます。

すでに従業員へ交付した源泉徴収票については、国税庁が次のように案内しています。
既に受給者に交付した源泉徴収票等の法定調書に誤りがあった場合には、正しい法定調書を作成の上、「摘要」欄に記載誤りとなった箇所等を記載するとともに「再交付」と表示して、受給者に改めて交付する必要があります。
出典:提出した法定調書に記載誤りを発見した場合の訂正方法|国税庁 質疑応答事例
税務署へすでに提出した分は、先に提出した法定調書の写しに「無効」と表示した合計表と、正しい内容に「訂正分」と表示した合計表を提出して訂正します。詳しい記載方法は国税庁の案内に従ってください。
あわせて、市区町村へ提出する給与支払報告書も忘れないようにします。源泉徴収票と給与支払報告書は記載内容が同じで、片方を訂正したら、もう片方も訂正して提出し直す必要があります。給与支払報告書は、提出先の市区町村またはeLTAX(地方税ポータルシステム)で、訂正の区分を指定して再提出します。様式や区分名は自治体ごとに異なる場合があるため、提出先自治体の案内を確認してください。
税務署へ納付した分の是正と、放置・遅れたときのリスク
所得税を少なく徴収していた場合、従業員から追加徴収するだけでなく、国への納付額も不足していることになります。不足分は、気づいた時点ですみやかに追加で納付します。
源泉所得税の納付期限は原則として給与を支払った月の翌月10日ですが、納期の特例(給与の支給人員が常時10人未満の事業者が申請した場合)を適用していると、半年分をまとめて納付する期限になります。問題は、放置したり納付が遅れたりしたときに生じるペナルティです。
源泉徴収による国税が法定納期限までに納付されなかった場合、原則として不足税額の10%にあたる不納付加算税がかかります。ただし、税務署の調査による告知を受ける前に自主的に納付した場合は5%に軽減され、一定の要件を満たせば課されません。
出典:国税通則法 第67条(不納付加算税)|e-Gov 法令検索
- 源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、納税の告知(略)に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。(略)
- 源泉徴収等による国税が納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
不適用となるのは、法定納期限までに納付する意思があったと認められる一定の場合で、かつ法定納期限から1か月を経過する日までに納付されたときです。ミスに気づいたら調査を待たずに自主的に、できるだけ早く納付することが、ペナルティを軽くする最大のポイントになります。計算した不納付加算税の額が5,000円未満のときは、その全額が切り捨てられ、課されません(国税通則法第119条第4項)。
さらに、納付が遅れた本税には延滞税もかかります。延滞税は法定納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて自動的に課されます。令和8年(2026年)中の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、2か月を経過した日以後が年9.1%です(割合は年ごとに見直されます)。延滞税がかかるのは本税部分で、不納付加算税そのものには延滞税はかかりません。

出典・参考資料(5件)
従業員への説明と、穏便に正しく処理するための進め方
金額の訂正とあわせて大切なのが、従業員への説明です。給与は労働基準法で全額を支払うことが原則とされており、天引き額の誤りは手取りに直接影響します。黙って翌月の給与で金額を調整すると、従業員に不信感を与えかねません。
ミスに気づいたら、対象の従業員へできるだけ早く、誤りの内容・正しい金額・今後の精算方法を伝えます。給与明細も正しい内容に訂正して再発行し、過不足をいつ・どのように調整するかを具体的に示すと、理解を得やすくなります。
税務署への対応については、前の項目で見たとおり、調査を待たずに自主的に不足分を納付することで加算税が軽くなります。従業員への説明と国への自主的な納付を並行して進めることが、トラブルを避けて正しく処理するための近道です。
こうした訂正の手間を根本から減らすうえでは、所得税の計算を自動化できる給与計算ソフトの活用も検討に値します。
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源泉所得税を間違えやすい代表的な原因
再発を防ぐには、なぜ所得税の計算を間違えたのかを特定することが欠かせません。源泉所得税の誤りには、次のような起こりやすいパターンがあります。
- 扶養親族等の異動の反映漏れ:結婚・出産・子の就職などで扶養親族等の数が変わると源泉徴収税額も変わりますが、申告の反映が遅れると税額がずれます。
- 税額表の適用誤り:月額表・日額表の選択や、甲欄・乙欄の取り違えによって、適用する税額を誤るケースです。
- 賞与の算出率の誤り:賞与は原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算しますが、前月の給与がない場合など、月額表を使うべきケースの判断を誤ることがあります。
- 課税・非課税の取り違え:通勤手当の非課税限度額を超えた分の扱いなど、課税対象かどうかの判断を誤ると、計算の元になる金額がずれます。
これらの多くは、申告内容の反映や税額表の確認といった、毎月の確認の抜けから生じます。加えて、税制改正への対応漏れも原因になります。源泉徴収税額表は改正されることがあり、新しい表への切り替えが遅れると、改正後の金額を誤って計算してしまいます。
このうち通勤手当の非課税限度額は、マイカー通勤の距離区分や公共交通機関の扱いを含めて、以下の記事で最新の一覧にまとめています。
出典・参考資料(1件)
同じミスを繰り返さないための再発防止策
原因が分かったら、仕組みで再発を防ぎます。個人の注意に頼るのではなく、確認の手順をルール化し、計算そのものを自動化していくのが有効です。
チェック体制を仕組み化する
毎月の給与計算で確認すべき項目を洗い出し、チェックリストとして固定します。確認すべきは、扶養親族等の変更の有無、税額表の適用(甲欄・乙欄、月額表・日額表)、賞与の算出方法、課税・非課税の判断といった、所得税の誤りにつながりやすいポイントです。担当者が変わっても同じ基準で確認できるようにしておきます。
計算後に前月との差額を見比べ、理由の説明がつかない変動がないかを確認する習慣も、早期発見に役立ちます。
給与計算ソフトで税額計算と税制改正に自動で対応する
手計算や表計算ソフトでの運用は、転記ミスや税額表の確認漏れが起こりやすく、税制改正のたびに自分で対応表を更新する負担もあります。給与計算ソフトを使えば、支給額や控除額から所得税が自動で計算され、源泉徴収税額表の改正にもソフト側が対応するため、こうした誤りを根本から減らせます。
給与計算ソフトを選ぶときは、所得税の自動計算に加えて、年末調整や法改正への対応、勤怠・会計システムとの連携、自社の従業員規模に合った料金体系かどうかを確認するとよいでしょう。ここでは、所得税の自動計算と税制改正への対応という本記事のテーマに沿って、一例を紹介します。
弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextは、会計ソフトを長年提供する弥生株式会社のクラウド型の給与計算サービスです。給与・賞与明細を入力すると所得税が自動で計算される仕組みで、手計算による税額の誤りを防げます。
税制改正への対応も自動で行われる点は、再発防止に有効です。公式のご利用ガイドでは、所得税率などの変更時の操作について「特に操作は必要ありません。常に最新の法令をご利用いただけるよう自動対応します。」と案内されています。実際に、2026年(令和8年)分の源泉徴収税額表の改正にも2025年11月26日時点で対応済みです。
出典・参考資料(3件)
ここで紹介した弥生給与 Nextのほかにも給与計算ソフトは多くあり、対応できる税・保険の範囲や料金、勤怠・会計ソフトとの連携は製品ごとに異なります。自社の規模や運用に合う一台を選びたい場合は、以下の記事で主要な給与計算ソフトを選び方とあわせて比較できます。
まとめ
源泉所得税を間違えても、落ち着いて手順をたどれば正しく直せます。まず「過大か過少か」「従業員が在籍中か退職済みか」で自分のケースを見極め、過不足を精算します。源泉徴収票を発行・提出した後でも、訂正して再交付・再提出できます。
納付額が不足していた場合は、調査を待たずに自主的に、できるだけ早く納付することで不納付加算税が軽くなります。そして同じミスを繰り返さないために、確認の仕組み化と、税額計算・税制改正に自動対応する給与計算ソフトの活用を検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 源泉所得税(源泉徴収)とは何ですか?
A. 源泉所得税とは、会社が従業員の給与や賞与からあらかじめ所得税を天引きし、本人に代わって国に納める仕組み(およびその税額)です。源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付します。毎月の徴収額はあくまで概算で、その年の正しい年税額との差は年末調整で精算されるため、月々の金額を多少間違えても、最終的には精算のなかで正しく直せます。
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Q. 給与の源泉所得税を間違えたとき、いつまでに訂正すればよいですか?
A. 源泉所得税の誤りは、気づいた時点でできるだけ早く訂正するのが原則です。源泉所得税の過不足はその年の年末調整で精算されるため、年の途中の誤りは翌月以降の給与で調整していきます。明確な期限が定められているわけではありませんが、とくに国へ納める税額が不足していた場合は、税務署の調査を待たずに自主的に早く納付するほど不納付加算税が軽くなり、放置は延滞税のリスクも広げます。早い対応が有利です。
Q. 源泉所得税を訂正するとき、従業員への説明は必ず必要ですか?
A. 金額の訂正が手取りに影響する場合は、従業員への説明が欠かせません。給与は労働基準法で全額を支払うことが原則とされており、天引き額の誤りを黙って翌月の給与で調整すると、不信感につながりかねません。誤りの内容・正しい金額・今後の精算方法を早めに伝え、訂正した給与明細を再発行して、過不足をいつどのように調整するかを具体的に示すと、理解を得やすくなります。
Q. 源泉所得税を間違えたとき、税務署への手続きは必ず必要ですか?
A. 当月中に気づいて翌月以降の給与で調整できる場合は、税務署への特別な手続きは必要ないことが多いです。一方で、国へ納めた税額が不足していた場合は不足分の追加納付が必要になり、源泉徴収票などの法定調書をすでに税務署へ提出していた場合は訂正分の提出が必要です。間違いの内容と期間によって必要な手続きが変わるため、過去分にさかのぼる場合はとくに確認が必要です。
Q. 源泉徴収票を発行・提出した後に所得税の誤りに気づいても訂正できますか?
A. 源泉徴収票を発行・提出した後でも訂正できます。すでに従業員へ交付した源泉徴収票は、正しい内容で作り直し、「摘要」欄に誤った箇所を記載したうえで「再交付」と表示して本人に改めて交付します。
税務署へ提出済みの分は、先に提出した写しに「無効」と表示した合計表と、正しい内容に「訂正分」と表示した合計表を提出します。源泉徴収票と記載内容が同じ給与支払報告書も、あわせて提出先の市区町村またはeLTAXで訂正します。
Q. 退職した従業員の源泉所得税を間違えていた場合はどうすればよいですか?
A. 退職後に別の会社で働いている場合は、その年の所得税は最終的に転職先の年末調整で精算されるため、自社では過少徴収分を本人に請求し(所得税法第222条)、過大徴収分を本人へ返金したうえで、交付済みの源泉徴収票に誤りがあれば訂正して再交付します。
退職後に再就職しておらず自社で精算しきれない過大徴収(過納額)は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を所轄税務署に提出して還付を受けられます。
Q. 自主的に不足分を納付すれば、不納付加算税は軽くなりますか?
A. 軽くなります。源泉徴収による国税が法定納期限までに納付されなかった場合、原則として不足税額の10%の不納付加算税がかかります。ただし、税務署の調査による告知を受ける前に自主的に納付すれば5%に軽減されます。さらに、法定納期限までに納付する意思があったと認められ、かつ法定納期限から1か月以内に納付したなど一定の要件を満たせば課されません。
ただし、納期限の翌日から納付の日までの日数に応じた延滞税は本税部分に別途かかるため、ミスに気づいたら調査を待たず、できるだけ早く納付することが大切です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















