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所得税徴収高計算書の書き方|記入例でわかる各欄の記載と提出期限・0円の扱い

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従業員の給与や税理士報酬から源泉徴収した所得税を納めるとき、手元の「所得税徴収高計算書(源泉所得税の納付書)」のどの欄に何を書けばよいか、手が止まっていませんか。納期等の区分や人員の数え方、支給額と税額の書き分けなど、迷いやすいポイントが少なくありません。

しかも所得税徴収高計算書は用途ごとに9種類あり、提出期限や0円のときの扱い、令和8年9月以降の様式変更など、記入以外にも押さえておきたい点があります。自社のケースではどの様式に・どう書いて・いつまでに・どの方法で納めればよいのでしょうか。

本記事では、給与所得・退職所得等の納付書を題材に各欄の記入例を具体的に示します。あわせて、9種類の使い分け・提出期限と納期の特例・提出方法・0円の月の扱い・令和8年(2026年)9月以降の様式変更・実務で迷いやすい注意点までを整理しました。源泉所得税の計算と納付書作成を効率化する方法も紹介します。

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所得税徴収高計算書(源泉所得税の納付書)とは

所得税徴収高計算書は、給与や報酬などから源泉徴収した所得税および復興特別所得税を国に納めるときに使う書類で、一般に「源泉所得税の納付書」とも呼ばれます。給与や報酬を支払って所得税を差し引く側の会社・個人事業主・官公庁などは源泉徴収義務者にあたり、差し引いた税額をこの書類に記載して納付します。

国税庁は源泉徴収義務者と納付のタイミングを次のように説明しています。

このように、支払った給与や報酬などから所得税および復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
差し引いた所得税および復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2502「源泉徴収義務者とは」

このように所得税徴収高計算書は、源泉徴収した税額を集計し、翌月10日などの期限までに金融機関やe-Taxを通じて国に納めるための土台になる書類です。まずは自社がどの様式を使うのかを確認したうえで、各欄の書き方を見ていきましょう。

所得税徴収高計算書は全部で9種類|自社が使うのはどれか

所得税徴収高計算書は、源泉徴収する所得の種類に応じて9種類に分かれています。会社が従業員に給与を支払う一般的なケースで使うのは「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」です。税理士や弁護士、司法書士などへの報酬から源泉徴収した税額も、この給与所得・退職所得等用にまとめて記載します。

9種類の正式名称と主な使いどころは次のとおりです。

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給与所得・退職所得等報酬・料金等利子等配当等定期積金の給付補てん金等非居住者・外国法人の所得上場株式等の源泉徴収選択口座内調整所得金額等割引債の償還金に係る差益金額償還差益
主に使う場面従業員への給与・賞与・退職手当、および税理士・弁護士・司法書士など一定の士業への報酬から源泉徴収した所得税を納めるとき(最も多く使われる様式)原稿料・講演料・デザイン料など、給与以外の報酬・料金から源泉徴収した所得税を納めるとき預貯金の利子などから源泉徴収したとき株式の配当などから源泉徴収したとき定期積金の給付補てん金などから源泉徴収したとき非居住者や外国法人へ支払う所得から源泉徴収したとき特定口座(源泉徴収選択口座)内の所得・配当等について源泉徴収したとき割引債の償還金に係る差益から源泉徴収したとき一定の債券の償還差益から源泉徴収したとき

給与と士業報酬だけを扱う多くの会社では「給与所得・退職所得等」の様式1枚で足ります。原稿料や講演料など給与以外の報酬が別にある場合は「報酬・料金等」の様式も用意します。以降は、最も使われる給与所得・退職所得等の納付書を題材に、各欄の書き方を見ていきます。

出典・参考資料(1件)

【記入例】給与所得・退職所得等の納付書の各欄の書き方

ここからは、給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書について、書類上部の基本情報から本税・合計額までを順に記入する流れを解説します。国税庁の記載要領にもとづき、迷いやすい欄を具体的に見ていきましょう。

各欄の位置関係と記入の流れは、次の図のとおりです。

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(源泉所得税の納付書)の記入欄の配置を示した図。上部に年度・税務署名・整理番号(新様式はお問い合わせ番号)と納期等の区分(支払った年月、例:令和8年12月分は0812)を記入する。中央の表は区分(欄)ごとに人員(実人員)・支給額(総支給額)・税額(源泉徴収税額の合計)を記入する構成で、区分は俸給・給料等、賞与(役員賞与を除く)、退職手当等、役員賞与、税理士等の報酬(司法書士等は摘要欄に「司」)、年末調整による超過税額(還付した月は本税から差し引く)。最後に各区分の税額を合計して本税に記入し、同額を合計額にも記入する(延滞税などがなければ本税イコール合計額で、これが納める金額)。

書類上部の基本情報欄(年度・税務署名・整理番号・納期等の区分)を記入する

書類の上部には、納付の対象となる年度・税務署名・整理番号(または令和8年9月以降の新様式ではお問い合わせ番号)、そして「納期等の区分」を記入します。整理番号(新様式のお問い合わせ番号)は税務署側で付番される番号で、自分で記入するのは主に年度と納期等の区分です。なかでも間違えやすいのが納期等の区分で、国税庁は記載要領で次のように定めています。

給与、退職手当又は弁護士・税理士・司法書士等の報酬・料金を支払った年月を記載します。なお、納期の特例の適用を受けている場合には、納期の特例の期間の最初と最後の支払年月を記載します。

出典:納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)令和8年以降分|国税庁

納期等の区分に書く数字は、使っている様式によって桁が変わります。整理番号欄のある現行の複写式では、支払った年月を4桁で記載し、たとえば令和8年12月分なら「0812」(08年12月)となります。納期の特例を使う場合は、対象期間の最初と最後の支払年月を記載します(たとえば令和8年1月〜6月分なら「0801」と「0806」)。

令和8年9月以降に配付される新様式は元号欄が加わり、同じ令和8年12月分は「5(令和)・08・12」のように元号を含めて記載します。どちらの様式も当面は使われるため、手元の納付書に元号欄があるかどうかを確認してから記入してください。

支給額から源泉徴収税額を計算する(給与・報酬の税率)

各欄に税額を書く前に、源泉徴収税額を確定させます。給与・賞与の源泉徴収税額は、国税庁が毎年公表する「源泉徴収税額表」を使い、社会保険料控除後の金額と扶養親族等の数から求めます(令和8年分は令和8年分の税額表を使用)。後述の記載例にある俸給・給料等の税額161,700円も、従業員一人ひとりの税額をこの税額表で求めて合計した金額です。

税理士報酬や原稿料など報酬・料金の源泉徴収税額は、税額表ではなく税率で計算します。国税庁は次のように定めています。

支払金額100万円以下:A×10.21%/支払金額100万円超:(A-100万円)×20.42%+102,100円
求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

出典:国税庁 タックスアンサー No.2798「原稿料や講演料等を支払ったとき」

たとえば税理士報酬70,000円を支払う場合、源泉徴収税額は70,000円×10.21%=7,147円です。計算した税額は、後述の「税理士等の報酬」欄に記載します。

区分ごとに人員・支給額・税額を記入する

給与所得・退職所得等の納付書は、「俸給・給料等」「賞与(役員賞与を除く。)」「退職手当等」「税理士等の報酬」「役員賞与」などの区分ごとに、人員・支給額・税額を記入します。国税庁の記載要領では、俸給・給料等の欄について次のように定めています。

俸給、給料、賃金、歳費などの通常の給与のほか、財産形成給付金等のうち給与等の金額とみなされるもの等について記載します。(注)賞与又は日雇労務者の賃金については、それぞれの欄に記載します。

出典:納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)令和8年以降分|国税庁

記入にあたっての主なポイントは次のとおりです。

  • 人員:俸給・給料等を支給した実人員を記載します(延べ人数ではありません)。納期の特例の承認を受けている場合は、対象期間の実人員の合計数を書きます。ただし、日雇労務者の賃金欄だけは延べ人員で記載します。
  • 支給額:支給した俸給・給料等の総額(社会保険料などを差し引く前の総支給額)を記載します。
  • 税額:その支給額について源泉徴収した税額の合計額を記載します。
  • 税理士等の報酬:弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・司法書士・建築士などへの報酬・料金について記載します。このうち司法書士・土地家屋調査士・海事代理士への支払分は、「摘要」欄に「司」と表示します。

国税庁は、一般の源泉徴収義務者の記載例として次の数値を示しています。自社で記入するときの金額の入れ方の参考になります。

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俸給・給料等賞与(役員賞与を除く。)退職手当等税理士等の報酬役員賞与
人員38人31人1人—3人
支給額8,990,000円10,755,000円8,500,000円70,000円2,500,000円
税額161,700円472,998円0円(退職所得控除額以下のため)7,147円258,367円

※国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」の記載例にもとづく数値例です。

年末調整を行った月は、「年末調整による超過税額」欄も使います(書き方は後述の実務の注意点で解説します)。

本税・合計額を記入する

各区分の税額を記入したら、それらを合計して「本税」欄に記載し、同じ金額を「合計額」欄にも記入します(延滞税などが生じていなければ本税と合計額は同額です)。上の記載例では、各欄の税額を合計した本税・合計額は900,212円となります。この合計額が、期限までに納める金額です。

出典・参考資料(3件)
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提出・納付の期限と納期の特例

所得税徴収高計算書の提出と源泉所得税の納付は、原則として給与や報酬などを支払った月の翌月10日までに行います。期限が土日・祝日にあたるときは、翌開庁日が期限になります。

従業員10人未満は納期の特例で年2回にまとめられる

給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、申請して承認を受けると「納期の特例」を使えます。これにより、毎月の納付を年2回にまとめられます。

  • 1月から6月までに源泉徴収した分:7月10日まで
  • 7月から12月までに源泉徴収した分:翌年1月20日まで

納期の特例の対象になるのは、給与や退職金から源泉徴収した所得税等と、税理士・弁護士・司法書士など一定の報酬から源泉徴収した所得税等に限られます。配当等や利子等は対象外です。特例を使うには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署へ提出し、承認を受ける必要があります。

出典・参考資料(1件)

期限に遅れると不納付加算税がかかる

源泉所得税を法定納期限までに納めなかった場合、原則として納付すべき税額の10%にあたる不納付加算税がかかります。ただし、税務調査による指摘を予知せずに自主的に納付した場合は、税率が5%に軽減されます。国税通則法は次のように定めています。

源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、…税額…に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。
2 源泉徴収等による国税が納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、…告知があるべきことを予知してされたものでないときは、…百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。

出典:国税通則法 第67条|e-Gov 法令検索

さらに、法定納期限から1か月以内に自主的に納付し、過去1年間に納付の遅れがないなど一定の要件を満たす場合は、不納付加算税は課されません(国税通則法第67条第3項)。また、計算した不納付加算税の額が5,000円未満のときも、その全額が切り捨てられ課されません(同法第119条第4項)。

また、法定納期限を過ぎると、不納付加算税とは別に延滞税がかかる場合があります。いずれにしても、遅れに気づいたら早めに自主納付するほど負担を抑えられます。

提出・納付の方法(窓口・金融機関・e-Tax・ダイレクト納付)

所得税徴収高計算書の提出と源泉所得税の納付は、紙とe-Taxのどちらでも行えます。国税庁は、納期限までにe-Taxを利用するか、最寄りの金融機関または所轄の税務署で納付するよう案内しています。

紙で行う場合は、税額を記入した納付書を金融機関または所轄の税務署の窓口に持参し、税額を添えて納付します。e-Taxを使う場合は、作成から電子納税まで一連の画面操作で完結します。国税庁(e-Tax)は次のように説明しています。

e-Taxソフトで所得税徴収高計算書(源泉所得税)データの作成・送信から電子納税まで、一連の画面操作で行うことができます。
電子納税は、データを送信後、メッセージボックスに格納される「受信通知」から、利用いただけます。

出典:e-Tax「源泉所得税(徴収高計算書)についてよくある質問」|国税庁

e-Taxでは、データを送信したあとメッセージボックスに届く「受信通知」から、ダイレクト納付(口座引落)・インターネットバンキング・クレジットカード納付などの納付手続きに進めます。毎月または年2回の作業を電子化すれば、窓口へ出向く手間を省けます。

源泉所得税が0円の月の扱い(提出要否・提出先・書き方)

その月に源泉徴収した税額が0円になることもあります。給与が少なく源泉徴収税額が発生しなかった月や、納期の特例の対象期間に該当者がいなかった場合などです。このときでも、提出を省略することはできません。国税庁は次のように説明しています。

納付する税額がない場合であっても、所得税徴収高計算書(納付書)に支給額等を記載し、所轄の税務署に提出する必要があります(この場合の所得税徴収高計算書データについても、e-Taxにより送信することができます。)。

出典:源泉徴収のあらまし(令和8年版)|国税庁

書き方としては、その月に支払った給与などの支給額・人員を記載し、税額・本税・合計額の各欄は「0」と記入します。

このように、税額が0円でも支給額などを記載した納付書を所轄の税務署に提出します。金融機関の窓口は税額を納付するための窓口のため、納付が発生しない0円のときは所轄の税務署へ提出するのが基本です。e-Taxなら0円でもデータの作成・送信ができ、納付の操作は不要です。0円の月の提出を忘れると、税務署から問い合わせを受けることがあるため、毎月(または年2回)の提出を忘れずに行いましょう。

出典・参考資料(1件)

令和8年9月以降の様式変更(お問い合わせ番号13桁化・単票式)

所得税徴収高計算書(納付書)は、令和8年(2026年)9月下旬以降に税務署の窓口で配付する分から様式が変わる予定です。国税庁は様式変更と経過措置について次のように案内しています。

令和8年9月下旬以降に税務署の窓口で配付する所得税徴収高計算書(納付書)について、様式変更(A4三つ折りサイズ程度の複写式からA4サイズの単票式への変更等)を予定しています。なお、所得税徴収高計算書(納付書)の現行様式(複写式)については、令和10年9月頃まで使用することができる予定です。

出典:源泉徴収のあらまし(令和8年版)|国税庁

主な変更点は次のとおりです。

  • 用紙の形式:A4三つ折りサイズ程度の複写式から、A4サイズの単票式に変わる予定です。単票式は複写式ではないため、各片に税額などの記載事項を記入する必要があります。
  • 整理番号欄の変更:これまでの「整理番号」欄(8桁)が「お問い合わせ番号」欄(13桁)に変わる予定です。お問い合わせ番号は税務署が送付する納付書にあらかじめ印字されるため、納税者が記入する必要はありません。
  • 元号欄の追加:新様式では「納期等の区分」などに元号欄が加わる予定です。
  • 経過措置:整理番号欄のある現行の複写式は、令和10年(2028年)9月頃まで使用できる予定です。年末調整の時期に税務署から送付される納付書は、引き続き複写式が使われます。

新様式と現行様式は当面併用されるため、手元の納付書がどちらかを確認し、納期等の区分の記入(元号欄の有無)を合わせてください。

出典・参考資料(2件)

記入ミス・総額ズレ・年末調整の超過税額など実務の注意点

記入自体はシンプルでも、実務では迷いやすい場面があります。代表的な4つを押さえておきましょう。

税理士等の報酬など、迷いやすい区分の選び方

給与と一緒に納める士業への報酬は「税理士等の報酬」欄に記載しますが、対象は弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・司法書士・建築士などに限られます。また、司法書士・土地家屋調査士・海事代理士への支払分は「摘要」欄に「司」と表示する決まりです。デザイン料や原稿料など、給与所得・退職所得等用の様式に含まれない報酬は「報酬・料金等」の様式で納めます。

紙の納付書で記入ミスをしたときの対処

令和8年9月以降の単票式は複写式ではないため、書き損じた場合は新しい納付書に記入し直すのが基本です。現行の複写式での訂正の可否や方法は、所轄の税務署の案内に従ってください。いずれの様式でも、金額を書き間違えたまま納付すると後の訂正に手間がかかるため、提出前に支給額・税額・合計額の計算を再確認しておくと安心です。

端数処理で合計額にズレが出たときの考え方

税額欄には、従業員ごとに源泉徴収した税額を合計した金額を記載します。報酬・料金の源泉徴収税額は1円未満を切り捨てて計算するため、従業員・取引先ごとに計算した税額を合算した金額と、支給総額から一括で計算した概算額が一致しないことがあります。納付書に記載するのは、あくまで実際に源泉徴収した税額の合計です。各人ごとの税額を正しく積み上げた金額を記載しましょう。

年末調整で超過(マイナス)が出たときの書き方(還付・充当)

年末調整の結果、従業員へ還付する超過額が生じた月は、その超過額を「年末調整による超過税額」欄に記載します。その月の各区分の税額から超過額を差し引いて本税を計算するため、本税が小さくなったり0円になったりすることがあります。還付しきれない分は翌月以降へ繰り越して調整します。

また、正当額を超えて納付してしまった誤納額を、その後の納付税額に充当する場合は、「源泉所得税、復興特別所得税及び防衛特別所得税の誤納額充当届出書」を税務署に提出したうえで、国税庁の記載要領に沿って記入します。

① 給与等の「税額」項には、源泉徴収をした税額からその充当額を差し引いた残額を記載します。② 「摘要」欄には、その充当額を「誤納充当金額○○円」と記載します。

出典:納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)令和8年以降分|国税庁

給与計算ソフトで作成・納付を効率化する

ここまで見てきたとおり、所得税徴収高計算書は、源泉徴収税額表や税率を使った税額計算、区分ごとの集計、端数処理、年末調整の超過額の反映など、手作業では間違えやすい処理が重なります。従業員が増えるほど、毎月の計算と転記の負担も大きくなります。

給与計算ソフトを使えば、給与・賞与計算の段階で源泉徴収税額が自動計算され、その集計をもとに納付のための資料を作成できます。e-Taxと連携できるソフトなら、作成から電子納税までを一つの流れで処理でき、法令改正への追従も自動化されます。ここでは、源泉所得税の計算から納付までを効率化できる給与計算ソフトを紹介します。

以下はご紹介する給与計算ソフトの比較表です。

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サービス名弥生給与 Nextマネーフォワード クラウド給与給与奉行クラウド
提供会社弥生株式会社株式会社マネーフォワード株式会社オービックビジネスコンサルタント
提供形態クラウド型クラウド型クラウド型
初期費用0円0円0円〜70,000円
(初年度のみ。プランにより異なる)
月額費用1,700円〜7,000円
(税抜・年契約時の月あたり)
2,480円〜
(税抜・ひとり法人プラン・年払い時)
5,500円〜121,000円
(従業員規模別の5プラン)
源泉徴収税額の自動計算(給与・賞与)●●●
年末調整●上位プランで年税額を自動計算(エントリーは控除申告書のWeb回収まで)●別製品「クラウド年末調整」と連携して対応●全プランで年税額・還付金を自動計算(申告書のWeb回収は別製品)
法令改正(税額表改正等)への自動対応●●●
無料トライアル最大2か月間1か月間30日間
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※料金・無料トライアルは2026年10月時点の各社公式情報によります。プランにより異なるため、最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。

1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextのウェブサイト

弥生給与 Nextは、会計ソフトを手がける弥生株式会社が2023年に提供を開始したクラウド型の給与計算サービスです。給与・賞与計算から給与明細のWeb配信、年末調整までをカバーし、源泉徴収税額の計算にも対応します。源泉所得税の納付に使う所得税徴収高計算書用の資料を作成する機能も備え、本記事のテーマである納付書づくりを直接支援します。

税額表や保険料率の改定にはアップデートで追従するため、法令改正のたびに自分で設定を直す必要がありません。会計・確定申告などの弥生シリーズと組み合わせて使える点も、バックオフィス業務を一元化したい中小企業に向いています。

2. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド給与のウェブサイト

株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の給与計算ソフトです。従業員情報の管理、給与・賞与計算、給与明細のWeb発行に対応し、給与計算の段階で源泉所得税を自動計算できます。控除金額の変更や計算方法の変更といった法改正にも自動で対応すると公式に案内されています。

会計・勤怠・人事管理などのマネーフォワード クラウドシリーズとデータ連携できる設計で、住民税情報のeLTAX(地方税ポータルシステム)連携にも対応します。バックオフィス全体をクラウドでそろえたい企業にとって、給与と周辺業務をつなぎやすい選択肢です。

3. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドのウェブサイト

「奉行シリーズ」を手がけるOBC(株式会社オービックビジネスコンサルタント)のクラウド型給与計算システムです。従業員規模に応じた複数のプランを用意し、給与・賞与計算の段階で源泉所得税を自動計算し、年末調整の計算にも対応します。

健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料を、保険料率の改定を含めて自動計算できる点が特徴です。賞与支払届や算定基礎届といった社会保険関連の手続きも電子申請でき、給与計算から周辺の申請業務までまとめて効率化したい企業に適しています。

ここで取り上げた3製品のほかにも、給与計算ソフトは従業員規模や連携したい周辺業務によって向き不向きが分かれます。以下の記事では主要な給与計算ソフトを機能・料金で比較し、自社に合う1台の選び方を解説しているので、導入を検討する際の比較材料にご覧ください。

まとめ

所得税徴収高計算書は、源泉徴収した所得税を国に納めるための納付書です。多くの会社は「給与所得・退職所得等」の様式を使い、納期等の区分・人員(実人員)・支給額・税額を区分ごとに記入し、合計した本税・合計額を期限までに納めます。提出・納付の期限は原則として支払った月の翌月10日で、常時10人未満なら納期の特例で年2回にまとめられます。

源泉税が0円の月でも提出は必要で、令和8年(2026年)9月以降は様式が単票式・お問い合わせ番号13桁に変わる予定です(現行の複写式は令和10年〈2028年〉9月頃まで使用可)。毎月の計算と転記の負担を減らすには、源泉徴収税額の計算からe-Tax納付までを自動化できる給与計算ソフトの活用が有効です。自社に合うソフトを比較して、所得税徴収高計算書の作成と納付を効率化してください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 所得税徴収高計算書とは何ですか?

A. 所得税徴収高計算書とは、給与や報酬などから源泉徴収した所得税および復興特別所得税を国に納めるときに使う書類で、一般に「源泉所得税の納付書」とも呼ばれます。給与や報酬を支払って所得税を差し引く源泉徴収義務者が、差し引いた税額をこの書類に記載して納付します。源泉徴収する所得の種類に応じて9種類に分かれており、会社が従業員に給与を支払う一般的なケースでは「給与所得・退職所得等」の様式を使います。

Q. 所得税徴収高計算書はどこでもらえますか?紛失したときはどうすればよいですか?

A. 所得税徴収高計算書は、所轄の税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のサイトで様式を確認でき、e-Taxを使えば用紙がなくても作成・送信できます。年末調整の時期などには、税務署から納付書が送付されることもあります。紛失した場合も、同じように税務署の窓口で入手し直すか、e-Taxで作成すれば用紙がなくても手続きを進められます。

Q. 所得税徴収高計算書は源泉所得税が0円の月でも提出が必要ですか?

A. 所得税徴収高計算書は、源泉徴収した税額が0円の月でも、支給額などを記載して所轄の税務署に提出する必要があります。金融機関の窓口は税額を納めるための窓口のため、納付が発生しない0円のときは所轄の税務署へ提出します。e-Taxならデータの作成・送信だけを行い、納付の操作は不要です。提出を忘れると税務署から問い合わせを受けることがあるため、毎月(または年2回)の提出を習慣にしておくと安心です。

Q. 所得税徴収高計算書を納期の特例で納めると、提出期限はいつになりますか?

A. 納期の特例の承認を受けている場合、所得税徴収高計算書の提出・納付期限は、1月から6月までに源泉徴収した分が7月10日、7月から12月までに源泉徴収した分が翌年1月20日の年2回になります。

対象は給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者で、給与や退職金、税理士・弁護士など一定の報酬から源泉徴収した所得税等に限られます(配当等・利子等は対象外です)。特例を使わない場合の期限は、原則として支払った月の翌月10日です。

Q. 年末調整で超過(マイナス)が出た月の所得税徴収高計算書はどう書けばよいですか?

A. 年末調整で従業員へ還付する超過額が出た月は、その超過額を「年末調整による超過税額」欄に記載し、各区分の税額から差し引いて本税を計算します。差し引いた結果、本税が小さくなったり0円になったりすることがあります。その月に還付しきれない分は、翌月以降へ繰り越して調整します。

Q. 令和8年9月以降、現行の所得税徴収高計算書(複写式)はいつまで使えますか?

A. 整理番号欄のある現行様式(複写式)の所得税徴収高計算書は、令和10年(2028年)9月頃まで使用できる予定です。令和8年(2026年)9月下旬以降に税務署の窓口で配付する分から、A4単票式・お問い合わせ番号13桁の新様式に変わる予定ですが、当面は新旧の様式が併用されます。手元の納付書に元号欄があるかどうかを確認し、納期等の区分の記入方法を様式に合わせてください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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