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シンクライアントの方式を比較|VDI・ファットクライアントとの違いと選び方

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データレスクライアント比較表(2026年版)

テレワークの広がりや情報漏えい対策を背景に、PC本体に業務データを残さない仕組みを検討する企業が増えています。その選択肢としてまず挙がるのがシンクライアントです。しかし調べてみると、VDI・DaaS・画面転送・ネットワークブートといった言葉が入り乱れ、同じシンクライアントでも方式によって仕組みもコストも大きく違うことに気づきます。

方式の違いが分からないままでは、製品を並べて比べても自社に合うものを選べません。まずは「シンクライアントにはどんな方式があり、それぞれ何がどう違うのか」を一枚で掴むことが、検討の出発点になります。

本記事では、シンクライアントの実行方式(ネットワークブート型と画面転送型=サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型)の違いを横並びで整理し、よく混同されるVDI・ファットクライアントとの関係、自社に合う方式の選び方までを解説します。あわせて、「PCにデータを残さない」という目的を、端末を丸ごと仮想化せずに満たす選択肢(データレスクライアント)も紹介します。

方式の全体像を掴み、自社に合う方向性の当たりをつける材料としてご活用ください。

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シンクライアントとは?種類(実行方式)の全体像

シンクライアント(thin client)とは、パソコン端末自体にはデータやアプリケーションを保存せず、社内などのサーバーでほとんどすべての情報を処理・管理する仕組みのことです。「Thin(薄い)+Client」という名のとおり、端末側の役割を最小限にして、万が一端末を紛失・盗難しても情報が漏れないようにする考え方が根底にあります。

ひとくちにシンクライアントといっても、実現の仕方は一つではありません。大きくは、サーバー上のOSイメージを起動時に端末へ転送して端末側で動かす「ネットワークブート型」と、処理をサーバー側で行い画面だけを端末へ転送する「画面転送型」の2種類に分かれます。

さらに画面転送型は、サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型に細かく分けられます。この方式の地図を押さえると、次の比較表が読み解きやすくなります。

出典・参考資料(1件)

シンクライアント・VDI・ファットクライアントの関係

方式の比較に入る前に、よく混同される3つの言葉の関係を整理します。まず対になるのが「シンクライアント」と「ファットクライアント」です。ファットクライアントとは、アプリケーションをインストールし、作成したデータを端末に保存できる通常のパソコンを指します。処理もデータも端末側に”詰まっている”のがファット、処理もデータもサーバー側に寄せるのがシン、という対比で捉えると分かりやすくなります。

次に「VDI」は、シンクライアントの実現方式の一つです。サーバー上に作った仮想のデスクトップ環境へ端末からアクセスする「デスクトップ仮想化」のうち、その基盤が自社サーバー内にあるものを「VDI」、クラウド上にあるものを「DaaS」と呼びます。

シンクライアントという大きな考え方の中に画面転送型があり、その中にVDI・DaaSが含まれる、という入れ子の関係です。VDIはシンクライアントの代名詞のように使われることもありますが、あくまで複数ある方式の一つという位置づけです。

このほか、端末側に専用OSすら持たず画面表示に特化した「ゼロクライアント」、端末側の操作性をある程度高めた「リッチクライアント」といった呼び方もあります。ただし、これらは明確な定義が定まっていない面もあるため、本記事では確立した3者(シンクライアント・VDI・ファットクライアント)の関係を軸に解説します。

出典・参考資料(2件)

ここまでの対比と入れ子の関係を一枚の地図にまとめると、次のとおりです。

シンクライアントとファットクライアントの対比と、シンクライアントの実行方式の入れ子関係を示した図解。ファットクライアントは処理もデータも端末側に置く通常のパソコン、シンクライアントは処理もデータもサーバー側に寄せる仕組み。シンクライアントの実行方式は、起動時にOSイメージを端末へ転送し処理は端末側で行うネットワークブート型と、処理をサーバー側で行い画面だけ転送する画面転送型に分かれ、画面転送型はさらにサーバベース型(SBC)・ブレードPC型・VDI型・DaaS型に分かれる。VDIは仮想デスクトップ基盤が自社サーバー内にあるもの、DaaSはそれをクラウドで提供する形態。

【比較表】シンクライアントの方式を横並びで比較

ここからは、シンクライアントの主な実行方式を横並びで比較します。仕組み・端末側の負荷・導入コストの傾向・オフライン利用の可否・向いているケースを一覧にすると、方式ごとの性格の違いが見えてきます。コストは製品や構成で大きく変わるため、ここでは相対的な傾向として示します。

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シンクライアントの主な方式の比較ネットワークブート型サーバベース型(SBC)ブレードPC型VDI型DaaS型
仕組み(処理・データの置き場)起動時にサーバーのOSイメージを端末へ転送し、処理は端末側で実行1台のサーバーOSを全ユーザーで共有し、画面だけ端末へ転送ユーザーごとに専用の物理ブレードPCを割り当て、1対1で接続サーバー上の仮想デスクトップへユーザーごとにアクセス(現在の主流)VDIをクラウド事業者が提供する形態(自社でサーバーを構築しない)
端末側の負荷高め(端末の処理能力が必要)低い(画面表示が中心)低い低い低い
導入コストの傾向中(イメージ配信の仕組みが必要)低め(高性能サーバー不要で初期費用を抑えやすい)高い(人数分のブレードPC・ライセンスが必要)高め(基盤構築・環境変更の負荷が大きい)初期を抑え月額で利用(運用は委託)
オフライン利用原則不可(起動時に接続が必要)原則不可原則不可原則不可原則不可
向いているケースOS環境を一括管理したい/端末の性能を活かしたい同一環境で足りる定型業務/コストを抑えたいCADなど高負荷処理/独立性を重視集中管理と個別環境の両立/規模が大きい初期投資を抑えて早く始めたい/運用を任せたい

※サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型はいずれも画面転送型に含まれます。DaaSはVDIをクラウドで提供する形態である点にご注意ください。コストは製品・構成により変動する相対的な傾向です。

ネットワークブート型(OSイメージを端末へ転送して実行)

ネットワークブート型は、サーバー上にあるOSのイメージファイルを、端末の起動時にダウンロードして端末側で動かす方式です。処理そのものは端末のCPU・メモリで行うため端末に一定の性能が求められ、イメージの容量が大きいと起動に時間がかかる場合があります。端末にデータを残さずOS環境をまとめて管理したい、という運用に向きます。

画面転送型(サーバー側で処理し画面だけ転送)

画面転送型は、アプリケーションのインストールや実行をサーバー側で行い、その結果の画面だけを端末に表示させる方式です。端末はキーボード入力やマウス操作など最小限の処理しか行いません。サーバー側の構成の違いにより、さらにサーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型に分かれます。

サーバベース型(SBC)

サーバベース型(SBC)は、1台のサーバーをすべてのユーザーが同時に共有する仕組みです。全員が同じアプリケーション環境を使うため高性能なサーバーを用意する必要がなく、初期費用を抑えやすいのが特徴です。一方で、全員が同一のデスクトップ環境になるため、個別のカスタマイズには向きません。

ブレードPC型

ブレードPC型は、ユーザーごとに専用の超小型PC(ブレードPC)を用意し、端末から1対1で接続する方式です。1人1台を占有するため、グラフィック処理やCADのような高負荷の作業もスムーズに行えます。反面、人数分のブレードPCとソフトウェアライセンスが必要になり、導入コストが高く管理の手間も増えます。

VDI型(デスクトップ仮想化)

VDI型は、サーバー上に作られた仮想のデスクトップ環境へ、ユーザーが専用端末からアクセスする方式です。1つの基盤上に個別の環境を用意できるため、集中管理とユーザーごとの柔軟な環境を両立でき、現在のシンクライアントで最も多く採用されています。ただし基盤の構築に専門知識と大規模な環境変更が必要で、サーバーリソースやライセンスの負担も大きくなります。

DaaS型(クラウド型)

DaaS型(Desktop as a Service)は、VDIと同じ仮想デスクトップの仕組みを、自社サーバーではなくクラウド上で提供する形態です。デスクトップ環境が自社サーバーにあればVDI、クラウド上にあればDaaS、という違いだと捉えると分かりやすいでしょう。自社で基盤を構築・運用する必要がなく月額で利用できるため、初期投資を抑えて早く始めたい場合や、運用を任せたい場合に向きます。

出典・参考資料(2件)

方式ごとのメリット・デメリット

方式によって細部は異なりますが、サーバー側に処理やデータを集約するシンクライアント全般には、共通するメリットとデメリットがあります。導入後に「こんなはずではなかった」とならないよう、両面を押さえておきましょう。

メリット:情報漏えい対策と集中管理

最大のメリットは、端末にデータを残さないことによる情報漏えい対策です。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、VDI方式について、設定により端末へのデータ保存を制限でき、端末上にデータを保存させないことでデータ管理が容易になると説明しています。

加えて、遠隔操作の対象が仮想デスクトップ基盤に集約されるため、セキュリティ統制を管理者が一括して集中管理できる点も挙げられています。端末の紛失・盗難時にも情報が端末に残らないため、テレワークの安全性を高めやすい方式です。

出典・参考資料(1件)

デメリット:ネットワーク依存・性能・導入負荷

一方で、サーバーへの常時接続を前提とするため、ネットワークの影響を強く受けます。同ガイドラインも、利用者全員が常時接続して通信するため回線帯域が不足する可能性があり、通信遅延の影響を大きく受けると指摘しています。回線が不安定だと操作が重くなり、ネットワークが切れると業務自体が止まってしまう点は、方式を問わず共通の注意点です。

また、VDIのように基盤を自社で構築する方式では、環境の構築や使用者ごとのデスクトップ環境の準備に大規模な環境変更が必要で、導入の負荷とコストが高くなります。高解像度の動画や重いグラフィック処理など、サーバー経由では快適に動かしにくい業務がある点も、事前に見極めておきたいところです。

出典・参考資料(1件)

ここで引用した「テレワークセキュリティガイドライン」では、総務省がテレワーク時に企業・従業員が取るべき対策を体系的に整理しています。シンクライアントやデータレスクライアントの導入とあわせて、自社のテレワーク環境で何を満たすべきかを確認したい場合は、以下の記事で要点を整理しています。

自社に合う方式の選び方

方式ごとの性格が分かったら、自社の条件に照らして方向性を絞り込みます。判断材料になるのは、主に「コストと運用体制」「必要な性能・独立性」「ネットワーク環境」の3点です。

初期コストと運用体制で選ぶ

初期費用を抑えたい、専任の運用担当を置きにくい、という場合は、高性能サーバーが不要なサーバベース型(SBC)や、基盤の構築・運用をクラウド事業者に任せられるDaaS型が候補になります。反対に、VDI型やブレードPC型は個別環境や高い性能を得られる一方、基盤の構築と運用に相応の体制とコストが必要です。

目安としては、情シスの手が限られる小規模な組織ほど、運用を外部化・簡素化できるDaaSやSBCから検討するのが現実的です。利用者数が多く、部署ごとに個別の環境や高い性能が求められるほど、自社でVDI基盤を構える選択肢が現実味を帯びます。社内に仮想基盤を運用できる人員がいるか、外部に任せたいかが、方式を絞り込む分かれ目になります。

サーバーや端末の費用に加えて、見落としやすいのがOS・接続のライセンス費用です。サーバベース型(SBC)は、Windows Serverのリモートデスクトップサービスを利用者数または端末数に応じたRDS CAL(アクセスライセンス)で使うのが一般的です。VDI型のようにサーバー上で仮想のWindowsクライアント環境を動かす場合は、別途Windows VDA(仮想デスクトップ環境を利用するためのライセンス)や、Windows Enterpriseのユーザー単位サブスクリプションが必要になります。

このように方式ごとに必要なライセンスの種類と数が変わり、利用人数に応じて費用が積み上がります。初期費用だけでなく、ライセンスを含めた総額で比べることが大切です。

出典・参考資料(2件)

必要な性能・独立性で選ぶ

CADや動画編集のような高負荷の処理を1人ずつ安定して行いたいなら、1対1で専用機を割り当てるブレードPC型や、個別に環境を割り当てられるVDI型が適します。全員が同じ定型業務を行い、カスタマイズの必要が小さいなら、環境を共有するサーバベース型でコストを抑えられます。「どこまで個別の環境・性能が要るか」を業務内容から見積もることが、過剰投資を避ける鍵になります。

ネットワーク環境で選ぶ

いずれの方式もサーバーへの接続が前提のため、拠点やテレワーク先の回線品質が利用感を左右します。多人数が同時に接続しても耐えられる回線帯域を確保できるか、外出先やオフラインでも業務を続ける必要がないかを確認しましょう。もし「オフラインでも業務を止めたくない」「回線負荷や基盤投資は避けたい」という要件が強い場合は、次に紹介するデータレスクライアントという別のアプローチも検討の余地があります。

「PCにデータを残さない」ならデータレスクライアントという選択肢

ここまで見てきたシンクライアントの各方式は、端末を丸ごとサーバーやクラウドに寄せることで「端末にデータを残さない」を実現します。ただ、そもそもの目的が「PC本体に業務データを残したくない」ことであれば、端末を仮想化せずに目的だけを満たすアプローチもあります。それが、普通のPC(ファットクライアント)を使いながら、データだけをローカルに残さない「データレスクライアント」です。

データレスクライアントとは?主な製品の比較

データレスクライアントは、使い慣れた既存のPCをそのまま使い、業務データの保存先だけをクラウドやサーバー、あるいは端末内の隔離領域などに分離して、PC本体にはデータを残さない仕組みです。

端末を丸ごとサーバーに寄せるシンクライアント/VDIと違い、処理はPC側で行うため、ネットワーク依存や性能低下を避けやすく、製品によってはオフラインでの業務にも対応します。VDIのような大がかりな基盤構築を伴わず、既存PCへのソフトインストールで導入できる製品が多いのも特徴です。情報漏えいを防ぐ目的は共通しますが、仕組みとコスト構造が異なります。

以下の比較表に、代表的なデータレスクライアント製品の「データを残さない方式」「保存先」「オフライン利用」「対応OS」「料金の目安」をまとめました。

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データレスクライアント主要製品の比較Shadow DesktopZENMU Virtual DriveFlex Work Place Passage DriveFlex Work Place PassageZero DriveTrueOfficeNEC Cloud File SyncCACHATTO SecureContainerSoliton SecureWorkspace
提供会社アップデータ株式会社株式会社ZenmuTech横河レンタ・リース株式会社横河レンタ・リース株式会社ハミングヘッズ株式会社Eugrid株式会社日本電気株式会社(NEC)e-Janネットワークス株式会社株式会社ソリトンシステムズ
データを残さない方式PC内のユーザーデータをクラウド/オンプレへ自動退避し、ローカルから削除(既存PCにインストール)秘密分散でデータを無意味化し、PC内とクラウド/外部に分割保管(既存PCにインストール)ローカルへの書き込みを禁止し、データをOneDriveへ集約(既存PCにインストール)ローカルへの書き込みを制御し、データを社内ファイルサーバーへ集約(既存PCにインストール)PC内への保存を禁止し、データをデータセンターへ自動退避(既存PCにインストール)データをクラウドへ強制集約し、ローカルを無意味化(既存PCにインストール)データをクラウドへ自動同期し、シャットダウン時にキャッシュを削除(既存PCにインストール)PC内に暗号化した隔離領域を作り、サインアウト時に領域内データを削除(既存PCにインストール)PC内に隔離領域を作り業務を実行、ログオフ時にデータを自動消去(既存PCにインストール)
データの保存先クラウド(Amazon S3・Microsoft 365・Google Drive・Box等)/オンプレサーバーから選択PC内+クラウド/サーバーに分散(USB・スマホにも同期可)OneDrive for Business社内ファイルサーバー(オンプレミス)データセンタークラウドストレージ(OneDrive・Box・Google Drive・Dropbox等)クラウドストレージ端末内の隔離領域(クラウド同期・オンプレ設置も選択可)端末内の隔離領域(クラウドストレージ連携も可)
オフライン利用●キャッシュで作業継続、接続時に自動退避●廉価版ZLEは非対応—●PassagePlate(揮発領域)で一部継続—●OTPでオフライン認証●復帰時に自動同期●手元PCで処理●常時通信は不要
対応OSWindows(Pro/Enterprise等)Windows 10/11Windows 10/11Windows 10/11(+Windows Server)WindowsWindowsWindows 8.1/10/11Windows 11(Switch版はHomeも可)Windows 11(on ARM除く)
料金目安月額950円〜/ユーザー(クラウド付は1,900円〜)月額1,800円〜/ユーザー(5ライセンス〜)。VDI併用向けのZLEは月額500円月額500円〜/ユーザーレンタル月額780円〜/ユーザー(買い切り型もあり)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ基本料120,000円/年+ユーザー料金(10人96,000円/年〜)月額1,000円〜/ユーザー
詳細情報オンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※料金は各社公式情報などに基づく目安で、税の扱い・課金単位・契約形態(月額/年額/買い切り)が製品ごとに異なります。「—」は公式サイトに明記がない項目です。最新・正確な条件は各社にご確認ください。

出典・参考資料(9件)

各製品の特徴とデータの残し方

ここからは、各製品がどのようにPCからデータを切り離すのか、その仕組みの違いを簡単に紹介します。クラウドやサーバーへの退避、端末内の隔離領域、秘密分散など、アプローチは製品ごとに異なります。

1. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopのウェブサイト

Shadow Desktopは、PC内のデスクトップやドキュメントなどのデータをAmazon S3やMicrosoft 365といったクラウドへ自動退避し、PC本体にデータを残さないデータレスクライアントです。クラウド付帯プランでは1ライセンスごとに100GBのクラウドストレージが付帯し、持ち出しPCの情報漏えい対策に加えてランサムウェア・BCP対策やリモートワイプもカバーします。

2. ZENMU Virtual Drive(株式会社ZenmuTech)

ZENMU Virtual Driveのウェブサイト

ZENMU Virtual Driveは、データを複数の断片に分割してPC内とクラウド・サーバーに分けて保管する「秘密分散」方式が特徴です。鍵で復元する暗号化と異なり、PC単体が盗難・紛失にあっても元データを復元できない状態にします。USBやスマートフォンへの同期でオフライン利用にも対応し、ISO/IEC 27001の認証も取得しています。

3. Flex Work Place Passage Drive(横河レンタ・リース株式会社)

Flex Work Place Passage Driveのウェブサイト

Flex Work Place Passage Driveは、PCのローカルディスクへの書き込みを禁止・不可視化し、ユーザーデータをMicrosoft OneDrive for Businessへ集約するソフトウェアです。PCの入れ替えやVPN設定なしで導入できると訴求しており、すでにMicrosoft 365を導入しOneDriveを保存先に使える企業と相性のよい製品です。

4. Flex Work Place Passage(横河レンタ・リース株式会社)

Flex Work Place Passageのウェブサイト

Flex Work Place Passageは、同じ横河レンタ・リースのデータレスPCのうち、データをクラウドではなく社内ファイルサーバーへ集約するオンプレミス型にあたります。ローカルドライブを非表示にして書き込みを制御し、ネットワーク非接続時も揮発性の領域で一部業務を継続できます。OneDrive集約型のPassage Driveと退避先が異なり、社内にデータを集約したい場合に向きます。

5. Zero Drive(ハミングヘッズ株式会社)

Zero Driveのウェブサイト

Zero Driveは、OSとアプリケーションを各PC上で通常どおり動かしつつ、PC内部への業務データ保存を禁止し、データをデータセンターへ自動保存します。サーバーリソースを分割する方式と異なり物理PCのリソースをそのまま使うため、リモートワーク時も処理性能が落ちにくい設計だとしており、既存PCへのインストールで導入できます。

6. TrueOffice(Eugrid株式会社)

TrueOfficeのウェブサイト

TrueOfficeは、「データ・ゼロトラスト」を掲げ、ユーザーデータをクラウドストレージへ強制的に集約してローカルに残さないデータレスクライアントです。既存のWindows PCをそのまま使うファットクライアント型である点が特徴です。OneDriveやBox、Google Drive、Dropboxなど主要なクラウドと併用でき、不審な操作の検知や誤操作への介入といった運用時の保護機能も備えます。

7. NEC Cloud File Sync(日本電気株式会社)

NEC Cloud File Syncのウェブサイト

NEC Cloud File Syncは、作成したファイルをクラウドへリアルタイムに自動同期し、PCのシャットダウン時にローカルのキャッシュを削除してデータを残さないサービスです。多世代のバックアップでランサムウェア感染前の状態への復旧が可能とされ、専用基盤を必要とせず既存PCへのソフト導入だけで利用でき、オフライン時も作業を続けられます。

8. CACHATTO SecureContainer(e-Janネットワークス株式会社)

CACHATTO SecureContainerのウェブサイト

CACHATTO SecureContainerは、PC上に暗号化した隔離領域(セキュアコンテナ)を作り、その中だけで業務を行わせてサインアウト時に領域内のデータを削除する「端末内隔離」方式です。独自VPNと組み合わせてVDIやリモートデスクトップなしで安全にアクセスでき、手元PCで処理するためオフラインにも対応、会社支給端末向けと私物PC向け(BYOD対応)を選べます。

9. Soliton SecureWorkspace(株式会社ソリトンシステムズ)

Soliton SecureWorkspaceのウェブサイト

Soliton SecureWorkspaceは、Windows PC上の隔離領域で業務アプリを実行し、ログオフ時に読み書きしたデータを自動消去して既存PCをデータレス化します。ローカルでアプリが動くためオフラインでも業務を続けられ、アプリ間のデータ受け渡し経路の監視には特許技術を用いています。

ここまで見てきたシンクライアントやデータレスクライアントは、社内の情報漏えい対策の中でも「端末からの情報流出を防ぐ」手段にあたります。端末対策だけでなく、不正アクセス防止やログ監視なども含めて、守る対象ごとにどのようなソリューションがあるかを俯瞰したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

シンクライアントは、ネットワークブート型と画面転送型(サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型)に分かれ、仕組みやコスト、必要な性能が方式ごとに異なります。いずれも端末にデータを残さず情報漏えいを防げる一方、サーバーへの接続を前提とするためネットワークの影響を受けやすく、基盤を自社構築する方式では導入の負荷も大きくなります。

自社の規模・用途・運用体制・回線環境に照らして、過不足のない方式を見極めることが大切です。

「PC本体にデータを残したくない」という目的が中心であれば、端末を丸ごと仮想化せず、普通のPCを使いながらデータだけを残さないデータレスクライアントも有力な選択肢になります。各製品の資料を取り寄せ、自社の環境に合う方式・製品を具体的に比較検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. シンクライアントとは何ですか?

A. シンクライアントとは、パソコン端末自体にはデータやアプリケーションを保存せず、サーバー側でほとんどの処理・管理を行う仕組みです。端末側の役割を最小限にすることで、万が一端末を紛失・盗難しても情報が漏れにくくなります。

実現方式は一つではなく、起動時にサーバーのOSイメージを端末へ転送する「ネットワークブート型」と、処理をサーバー側で行い画面だけを端末へ転送する「画面転送型」(サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型)に大きく分かれます。

Q. シンクライアントとVDIは同じものですか?

A. 同じではなく、VDIはシンクライアントを実現する複数の方式のうちの一つです。シンクライアントという大きな考え方の中に画面転送型があり、そのなかにVDI(自社サーバー内の仮想デスクトップ基盤)やDaaSが含まれる、という入れ子の関係にあります。VDIはシンクライアントの代名詞のように使われることもありますが、ネットワークブート型やサーバベース型なども含めた複数ある方式の一つという位置づけです。

Q. シンクライアントとDaaSの違いは何ですか?

A. DaaSは、シンクライアントの画面転送型の一形態で、VDIと同じ仮想デスクトップの仕組みをクラウド上で提供する形態を指します。デスクトップ環境が自社サーバーにあればVDI、クラウド事業者が提供するならDaaS、という違いだと捉えると分かりやすいでしょう。DaaSは自社で基盤を構築・運用する必要がなく月額で利用できるため、初期投資を抑えて早く始めたい場合や、運用を任せたい場合に向きます。

Q. シンクライアントで最もコストを抑えやすい方式はどれですか?

A. シンクライアントの導入コストは方式によって異なり、初期費用を抑えやすいのは、高性能サーバーが不要なサーバベース型(SBC)や、基盤構築を事業者に任せて月額で使えるDaaS型です。反対に、人数分の機器とライセンスが必要なブレードPC型や、基盤の構築負荷が大きいVDI型はコストが高くなる傾向があります。

ただし費用は製品・構成・利用人数で大きく変わるため、ここでの比較は相対的な傾向として捉え、実際の見積もりで確認してください。

Q. シンクライアントはオフラインでも使えますか?

A. シンクライアントの各方式は、いずれもサーバーへの接続を前提とするため、原則としてオフラインでは利用できません。ネットワークブート型は起動時に、画面転送型(サーバベース型・ブレードPC型・VDI型・DaaS型)は利用中に接続が必要で、回線が切れると業務自体が止まってしまう点が方式を問わず共通する注意点です。

オフラインでも業務を続けたい場合は、普通のPCを使いデータだけを残さないデータレスクライアントのうち、オフライン対応をうたう製品も選択肢になります。

Q. シンクライアントとデータレスクライアントの違いは何ですか?

A. シンクライアントが端末を丸ごとサーバーやクラウドに寄せるのに対し、データレスクライアントは普通のPC(ファットクライアント)を使いながら、業務データだけをPC本体に残さない仕組みです。情報漏えいを防ぐという目的は共通しますが、処理をPC側で行うため、サーバー集約型のシンクライアントで課題になりやすいネットワーク依存や性能低下を避けやすい利点があります。

製品によってはオフライン利用にも対応し、VDIのような大がかりな基盤構築を伴わず、既存PCへのソフトインストールで導入できる製品が多い点も異なります。

Q. 中小企業にはどの方式が向いていますか?

A. 一概には言えませんが、初期費用を抑えたい・専任の運用担当を置きにくい企業には、高性能サーバーが不要なサーバベース型(SBC)や、基盤の構築・運用を事業者に任せられるDaaS型が候補になりやすいです。一方、CADなど高負荷の処理や個別環境が必要な場合はブレードPC型・VDI型が適しますが、構築・運用の体制とコストが必要になります。

自社の業務内容・運用体制・回線環境に照らして、過不足のない方式を見極めることが大切です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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