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シンクライアント端末のおすすめ16選|VDI・データレスクライアントとの違いと方式別の選び方を比較

シンクライアント端末 おすすめ16選を比較のサムネイル画像
データレスクライアント比較表(2026年版)のプレビュー

主要11サービスの料金・機能を無料で一覧比較

データレスクライアント比較表(2026年版)

社員が持ち出すノートPCの紛失や盗難、テレワーク端末からの情報漏えいに不安を感じていませんか。手元の端末に業務データが保存されている限り、端末を1台失うだけで顧客情報や機密ファイルが外部に流出する恐れがあります。こうしたリスクを根本から断つ手段として、端末に業務データを残さない「シンクライアント」の仕組みを検討する企業が増えています。

一方で、シンクライアントと一口にいっても、専用端末を配る方式から、仮想デスクトップ(VDI)、既存PCを活用するソフト型、そしてPCの使い勝手を保ったままデータだけを分離するデータレスクライアントまで、実現方法は大きく分かれます。自社の規模や既存環境、ネットワーク品質、予算に合わせて、どの方式のどの製品を選べばよいのでしょうか。

本記事では、端末に業務データを残さない仕組みを4つの手段(タイプ)に整理し、代表的な16製品を比較・解説します。方式ごとの特徴や料金の目安、対応範囲に加えて、VDIとデータレスクライアントの違いや、自社に無理なく導入できる方式を見極める選び方まで整理しました。情報システム・セキュリティ部門の担当者が、自社に合う製品を判断するための材料としてご活用ください。

また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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端末に業務データを残さない仕組みとは?なぜ必要か

端末に業務データを残さない仕組みとは、社員が使うPCや専用端末の内部に業務ファイル・メール・顧客情報などを保存させず、サーバやクラウド側にデータを集約して、端末からはそこへアクセスするだけにする考え方です。シンクライアントはその代表で、端末側の役割を画面表示と入力操作に絞り、処理とデータ保管を中央に寄せます。

この発想が求められる背景には、情報漏えいの原因構造があります。総務省の資料では、情報漏えいの三大要因として次のように整理されています。

情報漏えいの原因は、「紛失・置き忘れ」「誤操作」「不正アクセス」が三大要因であり、その3つで約70%を占めています。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(【コラム】情報漏えい p.17、元調査は日本ネットワークセキュリティ協会)

紛失・置き忘れが上位を占めるということは、端末そのものが社外に出る働き方では、1台の紛失が直接漏えいにつながりやすいことを意味します。端末にデータが残っていなければ、紛失や盗難が起きても流出する情報を最小限に抑えられます。これが、持ち出しPCやテレワークを前提とする企業で、端末にデータを残さない仕組みが検討される理由です。

情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威として「ランサム攻撃による被害」が1位、「内部不正による情報漏えい等」が7位、「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」が8位に挙がっています。

端末にデータを残さない運用は、こうした端末起点のリスクやテレワーク環境の統制に対して有効な打ち手の一つです。公的機関である総務省も、端末にデータを残さないテレワークの実現方式を体系的に整理しており、企業が取り得る標準的な選択肢として位置づけています。

出典・参考資料(2件)
  • 参考資料:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(リンク)
  • 参考資料:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)

端末にデータを残さない仕組みは、社内セキュリティ全体のなかで端末とデータを守る打ち手の一つです。ネットワークやID、日々の監視・運用まで含め、守る対象ごとにどんな対策・製品があるのかを見渡したうえで検討したい場合は、以下の記事もご参照ください。

シンクライアントとゼロ/ファット/リッチクライアントの違い

製品を読み分ける前提として、クライアント端末の呼び名を整理しておきます。業務端末は、どこまでの機能とデータを端末側が持つかによって、おおまかに次のように区別されます。

  • ファットクライアント:一般的なPCのように、OS・アプリケーション・データのすべてを端末内に持つ形態です。利便性は高い反面、データが端末に残るため紛失・盗難時のリスクは大きくなります。
  • リッチクライアント:端末側で処理やアプリを動かしつつ、一部の機能やデータをサーバと連携させる中間的な形態です。
  • シンクライアント:端末の役割を画面表示と入力に絞り、処理とデータ保管をサーバ側に寄せた形態です。端末にデータを残さないことを主眼に置きます。
  • ゼロクライアント:シンクライアントをさらに削ぎ落とし、汎用OSやローカルストレージをほとんど持たない専用端末です。管理対象と攻撃対象を最小化できます。

この記事で扱う製品は、いずれも「端末にデータを残さない」という目的を共有しつつ、その実現方法が異なります。次章では、その実現方法を4つの手段に整理して見ていきます。

端末にデータを残さない4つの手段(タイプ)と使い分け

ここからは、端末に業務データを残さない仕組みを、実現手段ごとに4つのタイプへ分けて解説します。どの手段も目的は同じですが、端末を新しく用意するのか既存PCを生かすのか、処理をサーバ側に置くのか端末側に残すのかによって、導入コストや運用負荷、使い勝手が変わります。自社の規模・既存環境・コスト許容度と照らし合わせながら読み進めてください。

まず、4つの手段の違いを端末の用意・通信・コスト感で俯瞰すると、次のとおりです。

端末に業務データを残さない4つの手段を比較した図。専用端末型は専用のシンクライアント端末やゼロクライアントを新規配布し、OS・データをサーバ側に置く画面転送型で常時通信が前提、初期投資が必要。VDI・DaaS型は専用端末が不要で、仮想基盤にデータを集約し画面を遠隔操作するため回線依存が高く、DaaSなら月額中心。USB・ソフト型は既存PCを活用し、ローカル環境を切り離してVDI・クラウドへ接続、初期投資を抑えやすい。データレス型は既存PCのまま業務データだけを外部へ保存し、常時通信が不要で月額中心・基盤が軽め。

専用端末でデータを分離するタイプ(シンクライアント専用端末・ゼロクライアント)

社員に専用のシンクライアント端末やゼロクライアント端末を配布し、OSやデータをサーバ側に置く方式です。端末がネットワーク経由でサーバ上の環境を起動したり、サーバ側の画面を転送して操作したりするため、端末自体にはデータがほとんど残りません。ローカルストレージを持たない設計の端末も多く、ウイルス感染や不正な持ち出しの経路を物理的に減らせる点が強みです。

新しく端末を配布できる環境で、高いセキュリティ水準を求める組織に向きます。一方で、端末を新規調達する初期投資が必要になり、既存PCをそのまま生かしたい場合には合いにくい面があります。

仮想デスクトップでデータを分離するタイプ(VDI・DaaS)

サーバやクラウド上にユーザーごとのデスクトップ環境を用意し、端末からはその画面を遠隔操作する方式です。総務省のガイドラインでは、仮想デスクトップ(VDI)方式を次のように説明しています。

テレワーク端末から仮想デスクトップ基盤上のデスクトップ環境に接続を行い、そのデスクトップ環境を遠隔操作し業務を行う方法

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(第3章 仮想デスクトップ(VDI)方式)

データが仮想基盤側に集約されるため、端末にデータを残さず、セキュリティを一括して集中管理しやすいのが利点です。自社でVDI基盤を構築する形態のほか、クラウド事業者が基盤を提供するDaaS(Desktop as a Service)であれば、初期の基盤構築負担を抑えて月額課金で利用できます。

ただし、全社員が常時サーバへ接続するため通信回線への依存度が高く、基盤の構築・運用には相応のコストと体制が必要です。

既存PCを転用するタイプ(USB型・ソフト型シンクライアント)

すでに社内にあるPCを生かして、シンクライアントのように使う方式です。専用のUSBメモリから起動して社内のローカル環境を切り離すUSB型や、PCにソフトウェアを導入して業務環境を分離するソフト型があります。端末を新規調達せずに済むため初期投資を抑えやすく、まずは一部の部署や持ち出しPCから段階的に始めたい場合に適しています。

既存の端末性能やOSに動作が左右される場合があり、台数が増えると配布・管理の手間が生じる点には留意が必要です。

PCの利便性を保ったままデータだけ分離するタイプ(データレスクライアント)

通常のPCを使い続けながら、業務データだけを端末に残さずサーバやクラウドに預ける方式です。データを端末の内部ではなくネットワーク上の領域に保存したり、ファイルを分割して端末側に意味のある形で残さない仕組みを用いたりすることで、使い慣れたPCの操作性を保ちつつ漏えいリスクを抑えます。画面転送型のように常時通信し続ける必要がなく、VDIと比べて導入のハードルや基盤コストを低く抑えやすいのが特徴です。

既存PCをそのまま生かしたい、操作性を落とさずに情報漏えい対策を強化したい、VDIほどの大規模な基盤投資は避けたい、といったニーズに合います。端末にデータを残さないという目的と、現場の使い勝手の両立を重視する企業にとって、現実的な選択肢になります。

4つの手段は、端末を新規配布できるか、既存PCを生かしたいか、通信環境は安定しているか、どこまで基盤投資をかけられるかによって向き不向きが分かれます。しかし、自社がどのタイプ・どの製品に適しているかは、要件を並べただけでは判断が難しいこともあります。

そんなときは、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」をお試しください。数問に答えるだけで、自社に向く方式・製品を絞り込めます。

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【比較表】シンクライアント端末・データレス製品を方式・料金・対応範囲で比較

ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要なシンクライアント端末・データレス製品16サービスを、端末にデータを残さない4つの手段(タイプ)別に整理してご紹介します。方式・端末にデータを残さない仕組み・対応範囲・料金の目安を横並びで確認できます。

← 横にスクロールできます →
サービス名HP シンクライアント(専用端末)Dell シンクライアント(専用端末)Amazon WorkSpaces(VDI・DaaS)Azure Virtual Desktop(VDI・DaaS)Citrix DaaS(VDI・DaaS)Omnissa Horizon(VDI・DaaS)Resalio Lynx(USB・ソフト型)Shadow Desktop(データレス)ZENMU Virtual Drive(データレス)Soliton SecureWorkspace(データレス)CACHATTO SecureContainer(データレス)NEC Cloud File Sync(データレス)Flex Work Place Passage(データレス)Flex Work Place Passage Drive(データレス)TrueOffice(データレス)Zero Drive(データレス)
端末にデータを残さない仕組みストレージをサーバー/クラウド側に置き、VDI・DaaSへ画面転送。端末にデータを保持しないThinOS等でローカルにデータを保持せず、VDI・DaaSへ画面転送クラウド上の仮想デスクトップへ画面転送。処理・データはクラウド側に集約Azure上の仮想デスクトップへ画面転送。処理・データはクラウド側に集約仮想デスクトップ・アプリの画面をHDXで転送。データはサーバー側に保持データセンター/クラウドの仮想デスクトップへ接続(画面転送)。端末に永続化しない独自クライアントOSで起動し元PCのディスクにアクセスさせない。VDI・クラウドへ接続PC内4ディレクトリをクラウド/オンプレへ自動退避しローカルから削除(キャッシュは暗号化)秘密分散(ZENMU-AONT)でデータを無意味化し、PC内とクラウド/外部に分散保管既存PC内に隔離領域を生成しローカル実行、ログオフ時に自動消去既存PC内に隔離コンテナを生成し業務データを隔離(AD版/Switch版)PC内データをクラウドへ同期退避し、シャットダウン時にキャッシュ削除ローカル書込を制御し業務データをファイルサーバーへリダイレクト(オンプレ)業務データをOneDrive for Businessへ同期し、端末に残さないクラウドへ強制集約+ローカルを無意味化(ユーザーデータ全般をカバー)PC内保存を禁止しデータセンターへ自動退避(AI監視でローカル保存をブロック)
専用端末の要否/既存PC流用専用端末が必要(買い切り)専用端末が必要(買い切り)専用端末は不要(既存PC・各種端末で利用可)専用端末は不要(既存PC・各種端末で利用可)専用端末は不要(既存PC・各種端末で利用可)専用端末は不要(既存PC・各種端末で利用可)既存PCを流用(USB型/ソフト型)。専用端末版もあり既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用既存PCにインストールして流用
対応OS・クライアントHP ThinPro(Linux系)/ Windows 10 IoT Enterprise / LinuxDell ThinOS / Windows 11 IoT Enterprise仮想DTはWindows/Linux。PC・シンクライアント・タブレット・ブラウザから利用仮想DTはWindows/Server。Windows・macOS・iOS・Android・ChromeOS・ブラウザ各種デバイス(Windows/Mac等)。仮想環境はオンプレ/Azure/AWS/GCPWindows / macOS / Linux / ChromeOS / iOS / Android独自クライアントOS(既存の汎用PCを利用)Windowsのみ(Pro/Enterprise/Education。Mac/iOS/Android非対応)Windows 10(20H2以降)/ Windows 11(Mac版は開発中)Windows 11(on ARM除く)Windows(バージョンは要確認)Windows 8.1 / 10 / 11(Mac/iOS/Android記載なし)Windows 10/11、Windows Server 2016〜2025Windows 10/11(Pro・Enterprise)Windows要確認(公式非公開)
オフライン利用××××××要確認●●●●●●要確認要確認要確認
料金目安(初期・月額)端末本体の買い切り(公式標準価格は非公開、販路で変動)。別途VDI/DaaS基盤が必要端末本体の買い切り(日本円の標準価格は要問い合わせ)。別途VDI/DaaS基盤が必要初期の基盤調達は不要。月額サブスク or 時間課金(東京リージョン・日本円は料金計算ツールで要算出。米国例: Windows Standardで月額44ドル/台)従量課金(初期費用の項目なし)。既存のMicrosoft 365/Windowsライセンスで賄える場合は追加費用なし、インフラ消費は要見積もり非公開(エディション・ユーザー数により個別見積もり。要問い合わせ)サブスクリプション型ライセンス(金額は非公開、要問い合わせ)+VDI基盤のインフラ費Lynx 700: 年額3,000円/台(税抜・保守込み、2022年時点)。搭載端末は市場参考88,000円/台(税抜・2022年資料)。Lynx 300は要問い合わせ初期費用なし(公式カタログ記載)。月額 Standard 950円〜/Premium 1,350円〜(1ユーザー・税抜。公式価格表「2024年10月現在」版)初期費用は要問い合わせ。月額 1,800円/ユーザー(ZEE・税抜・年間契約・5ライセンス〜)/ 500円/ライセンス(ZLE)初期費用は要問い合わせ。月額 1,000円/ユーザー〜(年額13,200円/ユーザー表記も併存)初期費用は要問い合わせ。基本利用料 120,000円/年+ユーザーライセンス 96,000円/10ユーザー/年(税別)要問い合わせ(2022年発表時点は月額1,500円〜/ユーザー・税込。2026年のリセラー表記では16,200円/ユーザーとの記載もあるが、月額か年額かの単位は公式未確認で要最新確認)初期費用 374,000円+ユーザー 12,000円/人(税別、構築費別途)。レンタルは780円/月・ユーザー(保守込み)初期費用は公式に明示記載なし。月額 500円/ユーザー(本体・税抜)要問い合わせ(公式に料金非公開)要問い合わせ(初期・月額とも公式非公開)
提供形態専用端末の購入+接続先VDI/DaaS(クラウド・オンプレ)専用端末の購入+接続先VDI/DaaS(クラウド・オンプレ)クラウド(マネージドDaaS)クラウド(Azure。派生でオンプレ構成のAzure Localもあり)クラウド/オンプレミス/ハイブリッドオンプレミス/各種クラウド/ハイブリッド(クラウド型Horizon Cloud)既存PC(ソフト/USB)+接続先VDI・クラウドクラウド(オンプレミス版もあり)クラウド(既存PCインストール型)既存PCインストール型(端末内で隔離実行)オンプレミス・クラウドから選択可クラウド(データレスクライアント)オンプレミス(ファイルサーバー連携)クラウド(OneDrive for Business連携)クラウド集約型(既存PCインストール)データセンター自動退避型(保存先の構成は要確認)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイトオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※上記は各製品の一般的な傾向をまとめたものです。実際の機能・料金・提供形態は変更される場合があるため、最新の情報は各社の公式情報をご確認ください。

シンクライアント端末・データレス製品のおすすめ(サービス個別紹介)

ここからは、4つの手段それぞれの代表的な製品を紹介します。方式ごとに特徴や向いている企業が異なるため、自社の環境や優先する要件と照らし合わせながら確認してください。

専用端末でデータを分離するタイプの製品

専用のシンクライアント端末・ゼロクライアント端末を配布し、OSやデータをサーバ側に置く製品です。端末を新規に整備できる環境で、高いセキュリティ水準を求める組織に向きます。

1. HP シンクライアント(株式会社日本HP)

HP シンクライアントの公式サイト

株式会社日本HPが手がけるシンクライアント専用端末で、デスクトップ型とモバイル型をあわせて現行7モデルをそろえています。業務データのストレージをクラウドやサーバー側に置き、端末側には読み取り専用のファイルシステム・暗号化レジストリ・UEFIセキュアブートを備えることで、端末にデータを残さない構成をとります。

OSは独自のHP ThinPro(Linuxベース)のほか、Windows 10 IoT EnterpriseやLinuxから選べ、Citrix・Omnissa Horizon・Azure Virtual DesktopなどのVDI/DaaSへ画面転送して利用します。

上位機のHP Elite t755は4Kディスプレイを最大6台、t660はディスプレイを最大4台まで接続でき、HP Wolf SecurityやHP BIOSを搭載します。

端末は買い切りで、公式サイトに標準価格の掲載はなく、価格は通販や販売パートナー経由で提示されます。専用端末単体では完結せず、接続先となるVDI/DaaS基盤やライセンスが別途必要になるため、導入規模を見積もる際はその分を含めて検討してください。金額や保守条件は販売窓口への問い合わせが必要です。

2. Dell シンクライアント(デル・テクノロジーズ株式会社)

Dell シンクライアントの公式サイト

独自の軽量OS「Dell ThinOS」を中核とするシンクライアント専用端末です。ThinOSはローカルに業務データを保持しない設計で、処理とデータは接続先のVDI/DaaSに置かれます。提供元はデル・テクノロジーズ株式会社で、従来の「Wyse」ブランドの端末は現在「OptiPlex … Thin Client」へと再編されています。

現行の中核はOptiPlex 3000 Thin Clientで、OSはDell ThinOSとWindows 11 IoT Enterpriseから選べます。加えて、クラウド・VDI・ローカルアプリを横断して一元管理する「Dell Hybrid Client」も提供しており、利用環境をまとめて管理したい組織に向きます。

価格比較サイトなどに残る旧Wyse型番(D50DやZ90D7など)は旧世代のため、現行品と取り違えないよう注意が必要です。

端末は買い切りですが、日本円での標準価格は公開情報では確認できず、現行の構成・価格・保守条件はデル・テクノロジーズの製品ページまたは法人営業への問い合わせが必要です。専用端末単体では完結しないため、接続先となるVDI/DaaS基盤やライセンス費用も含めて見積もることになります。

仮想デスクトップでデータを分離するタイプ(VDI・DaaS)の製品

サーバやクラウド上の仮想デスクトップを遠隔操作する製品です。データを基盤側に集約して集中管理したい組織や、クラウドで基盤構築の負担を抑えたい組織に向きます。

3. Amazon WorkSpaces(Amazon Web Services, Inc.)

Amazon WorkSpacesの公式サイト

Amazon Web Services(AWS)がクラウド上で提供する、マネージド型の仮想デスクトップ(DaaS)サービスです。WindowsまたはLinuxのデスクトップをクラウド上に構築し、PC・シンクライアント・タブレット・ブラウザなど多様な端末から画面転送(ストリーミング)でアクセスします。OS・アプリケーション・データはクラウド側に置かれ、手元の端末には画面情報だけが転送されます。

サーバーやハイパーバイザー、仮想化管理ソフトといったVDI基盤の調達・運用をAWS側に委ねられるため、仮想デスクトップを短時間で展開し、利用状況に応じて台数を増減できます。常時利用向けの月額サブスクリプションと、利用時間が限定的な用途向けの時間単位の従量課金を選べます。

古い既存PCにChromeOS FlexやIGEL OSを導入し、アクセス端末として再利用する用途も公式で挙げられています。料金はバンドルとリージョンで変わり、公式に掲載された料金例は米国リージョン・米ドル建てのため、東京リージョン・日本円での費用はAWSの料金計算ツールでの算出が必要です。

4. Azure Virtual Desktop(Microsoft Corporation)

Azure Virtual Desktopの公式サイト

Microsoft Azure上で稼働する、デスクトップとアプリケーションの仮想化サービスです。顧客のAzureサブスクリプション内に作成した仮想マシン(セッションホスト)上でWindowsやWindows Serverのデスクトップ、または個別アプリケーションを提供し、画面情報をリモートデスクトップクライアント経由で手元の端末へ転送します。

データ処理はAzure側で完結し、端末にデータは残りません。

専用の「Windows Enterpriseマルチセッション」により、1台の仮想マシンを複数ユーザーで共有できます。内部ユーザー向けには、Microsoft 365 E3/E5やWindows Enterprise E3/E5などの対象ライセンスを保有していれば、追加のライセンス費用なしで利用できる場合があります。

料金はライセンス費用・外部ユーザー向けのアクセス料金・Azureインフラの消費コストの3層からなり、単純な月額では示しにくい構成です。インフラ利用料はVMのサイズやリージョン、稼働時間によって変わるため、Azure料金計算ツールでの個別見積もりが前提となります。

5. Citrix DaaS(Cloud Software Group, Inc.)

Citrix DaaSの公式サイト

デスクトップ・アプリケーション仮想化を早期から手がけてきたCitrix(現Cloud Software Group)が提供する、仮想デスクトップ・仮想アプリケーションのクラウドサービスです(旧称: Citrix Virtual Apps and Desktopsサービス)。

サーバー側で稼働する仮想環境の画面を、HDX(Citrixの画面転送プロトコル)を通じて手元の端末に転送し、データは端末に残しません。

管理コンポーネント(コントロールプレーン)をCitrix Cloudがマネージドで担い、実際の仮想マシンはオンプレミス・Azure・AWS・Google Cloudのいずれか、またはハイブリッドで運用できます。管理基盤の運用やパッチ適用、アップグレードをCitrix側に委ねられる設計です。

機能グレードはStandardからPremium Plusまで複数のエディションに分かれ、Azure・Google Cloud向けの料金試算ツールも公式に用意されています。ただし標準的な料金表は公式に一般公開されておらず、初期費用・月額費用はエディションやユーザー数に応じた個別見積もり(要問い合わせ)となります。

6. Omnissa Horizon(Omnissa, LLC)

Omnissa Horizonの公式サイト

仮想デスクトップ(VDI)と仮想アプリケーションを配信・集中管理するソリューションです。VMwareのエンドユーザーコンピューティング事業が独立企業Omnissaとして分社化したことに伴い、旧「VMware Horizon」から「Omnissa Horizon」へと名称が変わりました。任意のデバイスから、セキュアなセッション経由でデスクトップや個別アプリへアクセスします。

オンプレミス(VMware vSphere、Nutanix AHV、OpenShift等)からパブリッククラウド(Azure、AWS、Google Cloud等)まで幅広い基盤で運用でき、事業継続(BCP)や災害復旧、バースト容量の確保といった用途にも対応します。デスクトップ・アプリ・データはデータセンターやクラウドに集約され、端末側に永続化されません。

App Volumesによる動的なアプリ配信や統合コンソールでの集中管理、クリップボード・デバイスリダイレクト・印刷などのきめ細かなポリシー制御を備えます。ライセンスは期間版とSaaS版のサブスクリプション型ですが、具体的な金額や日本国内での提供・サポート体制は公式製品ページに記載がなく、問い合わせでの確認が必要です。

既存PCを転用するタイプ(USB型・ソフト型)の製品

手持ちのPCを生かして、USB起動やソフトウェアで業務環境を分離する製品です。ここで紹介するResalio Lynxは、USBメモリから起動するUSB型(Lynx 300)と、内蔵ディスクからクライアントOSを起動するソフト型(Lynx 700)の両方式をそろえ、1製品で両タイプをカバーします。端末を新規調達せずに初期投資を抑えたい組織や、段階的に導入したい組織に向きます。

7. Resalio Lynx(アセンテック株式会社)

Resalio Lynxの公式サイト

アセンテック株式会社は、シンクライアントやVDI周辺機器を専門に扱う東証グロース上場のベンダーで、Resalio Lynx は手持ちの汎用PCをシンクライアント化するソリューション群です。USBメモリから起動する「Lynx 300」と、USBを使わず既存PCの内蔵ディスクから専用クライアントOSを起動するソフトウェア型の「Lynx 700」をラインナップします。

起動時に元PCのOSやディスクへアクセスさせず独自のファイルシステムで動作するため、業務データを端末のローカルに残しません。Lynx 700 では、アップロードやダウンロード、ファイルシステムへのアクセスを遮断するChromiumベースの組み込みブラウザを備え、Teams・Zoom・Webex・Google MeetのWeb会議にも対応します。

ソフトウェア型の Lynx 700 は、2022年の発表時点で1台あたり年額3,000円(税別・保守込み)で提供され、導入前評価用に1か月のトライアルライセンスも用意されています。USB型「Lynx 300」の料金は本記事では確認できておらず、現行価格やラインナップの継続状況とあわせて公式サイトでご確認ください。

PCの利便性を保ったままデータだけ分離するタイプ(データレスクライアント)の製品

通常のPCの操作性を保ちながら、業務データだけを端末に残さない製品です。既存PCを生かしつつ、VDIほどの大規模投資をかけずに情報漏えい対策を強化したい組織に向きます。

データレスクライアントは、使い慣れたPCをそのまま使いながらデータだけを端末の外へ預ける方式で、製品によって退避の仕組み(クラウド同期・秘密分散・隔離領域など)が分かれます。この方式に絞って各製品の仕組みや料金、VDIとの違いまで詳しく比べたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

8. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopの公式サイト

既存のWindows PCにソフトウェアを導入し、デスクトップ・ドキュメント・ピクチャ・ダウンロードの4つのフォルダ内のデータをクラウドやオンプレミスの外部ストレージへ自動的に退避させることで、PC本体にデータを残さない仕組みです。OSやアプリケーションは仮想化しないため、通常のPCと同じ操作感のまま利用できます。

保存先はAmazon S3・Azure Blob Storage・Microsoft 365・オンプレミスサーバーなどから選べます。ローカルの一時キャッシュはAES256bitで暗号化されファイル名も変換されるため、HDDやSSDを取り出しても内容を読み取れません。紛失時には無償の管理コンソールから端末の利用を停止でき、オプションでリモートワイプにも対応します。

料金は公式価格表(2024年10月現在版)で、Standardが月額950円(税込1,045円)、Premiumが月額1,350円(税込1,485円)、いずれも1ユーザーライセンス単位で原則5ライセンスからの契約です。最大30日間の無料トライアルも用意されています。

9. ZENMU Virtual Drive(株式会社ZenmuTech)

ZENMU Virtual Driveの公式サイト

ZENMU Virtual Driveは、鍵で暗号化する方式ではなく、独自の秘密分散技術「ZENMU-AONT」でデータを無意味な断片に分け、PC内とクラウド(またはサーバ)に分けて保管するソリューションです。PC単体が盗難・紛失にあっても、片方の断片だけでは元データを復元できません。

VDIに代わる「セキュアFATクライアント」として位置づけられ、PCのリソースで処理するためネットワークの影響を受けにくい点を訴求しています。対応OSはWindows 10(20H2以降)とWindows 11で、Mac版は開発中(2027年春リリース予定)です。VDIからの完全移行向けのZEEと、VDI併用向けに機能を絞ったZLEの2エディションがあります。

料金は公式サイトでは要問い合わせですが、販売代理店の公開情報ではZEEが月額1,800円(税別)/ライセンス(最低5ライセンスから)、ZLEが月額500円(税別)とされています。松井証券では協力会社向けの端末200台に導入し、VDIサーバの台数を30%削減した事例が公開されています。

10. Soliton SecureWorkspace(株式会社ソリトンシステムズ)

Soliton SecureWorkspaceの公式サイト

株式会社ソリトンシステムズのSoliton SecureWorkspaceは、Windows PC上に隔離領域を生成し、その中で業務アプリを動かすことで既存PCをデータレス化するソフトウェアです。隔離領域内のファイルはログオフ時に自動で消去され、端末本体にデータを残しません。

画面転送型のVDIと異なり、アプリはPC上でローカルに動くため常時通信が不要で、オフラインでも業務を続けられます。隔離領域内のアプリの出入り口をカーネルレベルで監視し、クリップボード・印刷・ネットワーク接続を制御。アプリ間のデータ受け渡しの監視には特許(特許第6104447号)を取得しています。

対応OSはWindows 11(on ARMを除く)です。料金はユーザーライセンスが年額13,200円/ユーザー、クラウド型のサービスが月額1,000円/ユーザーからで、初期費用は要問い合わせとなります。無料トライアルも提供されています。

11. CACHATTO SecureContainer(e-Janネットワークス株式会社)

CACHATTO SecureContainerの公式サイト

PC上に暗号化された隔離領域(セキュアコンテナ)を作り、その中だけで業務を行わせることで端末からの情報漏えいを防ぐデータレスクライアントが、e-Janネットワークス株式会社のCACHATTO SecureContainerです。領域内のファイルはサインアウト・シャットダウン時に削除されます。

独自VPN「CACHATTO Private Connect」と組み合わせることで、VDIやリモートデスクトップを使わずにクラウド・オンプレミスへ安全にアクセスできます。手元PCのリソースで処理するためオフラインでも操作可能です。会社支給の専用機向けの「AD版」と、私物PCでの利用を想定した「Switch版」があり、Switch版はWindows 11 Homeエディションにも対応します。

料金は基本利用料が年額120,000円、ユーザーライセンスと同時接続ライセンスが各96,000円/10ユーザー/年(いずれも税別)です。提供元のe-Janネットワークス自身も、約70名の業務環境をデータレスクライアントへ移行しています。

12. NEC Cloud File Sync(日本電気株式会社)

NEC Cloud File Syncの公式サイト

日本電気株式会社(NEC)がアップデータ株式会社との協業で提供するデータレスクライアントです。クライアントPCに専用ソフトを入れ、作成したファイルをクラウドへリアルタイムに自動同期・バックアップし、PCのシャットダウン時にローカルのキャッシュを削除することで端末にデータを残しません。

既存PCに専用ソフトを導入するだけで利用でき、VDIのような専用基盤は不要です。対応OSはWindows 8.1/10/11で、ローカルキャッシュを使うためオフラインでも操作でき、オンライン復帰時に自動同期されます。バックアップは標準2世代、オプションで最大99世代まで保持でき、盗難・紛失時のリモートワイプにも対応します。

料金は提供時点(2022年)の案内では1ユーザー月額1,500円(税込)からとされていましたが、販売店の近年の掲載では1ユーザー16,200円という異なる金額・体系の表記もあり、月額か年額かの単位は公式情報で確認できていません。データの保存先を含め、最新の料金・仕様は公式への要問い合わせとなります。

13. Flex Work Place Passage(横河レンタ・リース株式会社)

Flex Work Place Passageの公式サイト

社内のファイルサーバーにデータを集約したい企業に向くのが、横河レンタ・リース株式会社のFlex Work Place Passageです。「データレスPC」シリーズのうちオンプレミス型にあたり、Windows PCのローカルドライブを非表示にして書き込みを制御し、ユーザーデータをファイルサーバーへ集約することで端末にデータを残しません。

データをクラウドではなく社内で管理したい企業に向く構成で、OneDrive同期型の「Passage Drive」とは設計が分かれます。ネットワーク非接続時も揮発性の一時領域(PassagePlate)で一部業務を継続でき、そのデータはログオフ・電源OFF時に消去されます。対応OSはWindows 10/11(Pro/Enterprise)とWindows Server 2016〜2025です。

料金(公式価格ページ、税抜)は、買い切り型がベース374,000円+1ユーザー12,000円、月額のレンタルライセンスが保守込みで780円/ユーザーです。別途、導入・構築費が販売パートナーや構成に応じてかかります。

14. Flex Work Place Passage Drive(横河レンタ・リース株式会社)

Flex Work Place Passage Driveの公式サイト

同じ横河レンタ・リースのFlex Work Place Passage Driveは、保存先にMicrosoft OneDrive for Businessを使うクラウド版のデータレスPCです。PCのローカルディスクへの書き込みを禁止・不可視化し、ユーザーデータをOneDriveへ集約することで端末にデータを残しません。

既存PCにクライアントアプリを入れるだけで導入でき、PCの入れ替えやAD連携・VPN設定は不要と訴求されています。利用にはOneDrive for Business(Microsoft 365)の契約が別途必要で、対応OSはWindows 10/11(Pro/Enterprise)です。すでにMicrosoft 365を使っている企業がOneDriveを保存先として活用しやすい構成といえます。

料金は本体が月額550円/ユーザー(税込、税抜500円)です。社内外のネットワーク接続状況を検知して自宅プリンターへの印刷や外部メディアへの書き出しを制御する「エンドポイントDLP」(情報漏えい対策/Data Loss Prevention)オプション(月額330円/ユーザー、税込)も用意されています。

15. TrueOffice(Eugrid株式会社)

TrueOfficeの公式サイト

TrueOfficeは、Eugrid株式会社が「データ・ゼロトラスト」のコンセプトで提供するデータレスクライアントです。既存のWindows PCをそのまま使うFAT PC型でありながら、ユーザーデータをクラウドストレージへ強制的に集約し、ローカルには残さない設計を採ります。

ブラウザやOfficeアプリが生成するキャッシュやAppDataを含むユーザーデータを専用領域に集め、クラウドへ同期したうえでローカルから削除します。保存先はOneDrive・Box・Google Drive・Dropboxなどに対応。ランサムウェアなどの不審な操作を検知する機能や、オフラインでも使えるワンタイムパスワード認証を備えます。

対応OSはWindows PC環境で、専用のハードウェアは不要です。料金は公開されておらず要問い合わせで、事前のアセスメントから段階的な展開まで含む導入プロセスが用意されています。

16. Zero Drive(ハミングヘッズ株式会社)

Zero Driveの公式サイト

Zero Driveは、ハミングヘッズ株式会社が提供するPCのデータレス化ソリューションです。OSやアプリはPC上で通常どおり動かしながら、PC内部への業務データの保存を禁止し、データをデータセンターへ自動的に退避させることで端末にデータを残しません。

VDIのようにサーバーのリソースを複数の利用者で分け合うのではなく、物理PCのリソースをそのまま使うため、リモートワーク時も処理性能の低下が生じにくい設計です。既存のシステム環境にインストールするだけで導入でき、新たなサーバーやストレージの調達は不要と訴求されています。

九州電力株式会社との共同で取得した特許(特許番号6310125号)に基づく技術を用いています。料金は公開されておらず、導入規模に応じて要問い合わせとなります。

端末にデータを残さない仕組みを導入するメリット

ここでは、端末にデータを残さない仕組みを導入することで得られる効果を整理します。

紛失・盗難による情報漏えいを抑えられる

最大の効果は、端末が手元から離れても情報が流出しにくくなることです。情報漏えいの三大要因である紛失・置き忘れ・不正アクセスのうち、端末側にデータが残らなければ、紛失・盗難時に失われる情報を最小限に抑えられます。持ち出しPCやテレワーク端末が増えるほど、この効果は大きくなります。

セキュリティを集中管理しやすい

データや環境をサーバ・クラウド側に集約する方式では、管理をまとめて行いやすくなります。総務省のガイドラインは、仮想デスクトップ方式について次のように整理しています。

本方式では遠隔操作対象が仮想デスクトップ(VDI)環境に集約されているため、そのセキュリティ統制について管理者が一括して集中管理することが可能です。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(第3章 仮想デスクトップ(VDI)方式)

更新プログラムの適用やアクセス権限の変更を中央でまとめて反映できるため、端末1台ずつを個別に管理する負担を減らせます。退職者や異動者の権限停止も、サーバ側の操作で素早く対応できます。

テレワーク・多拠点・事業継続に対応しやすい

データを中央に置く運用は、働く場所を選ばない環境づくりと相性が良く、テレワークや多拠点展開を進めやすくなります。端末が故障・被災しても、別の端末からサーバ側の環境へアクセスすれば業務を継続でき、事業継続(BCP)の観点でも利点があります。ランサムウェア攻撃への備えとしても、端末側に重要データを置かない運用は被害範囲の抑制に寄与します。

導入・運用の注意点(デメリット・ネットワーク依存・運用負荷)

メリットの一方で、方式によっては注意すべき点もあります。導入後に運用が立ち行かなくなることを避けるため、次の観点をあらかじめ確認しておきましょう。

ネットワーク環境への依存が大きくなる

画面転送型の方式では、常時サーバと通信するため、ネットワーク品質が業務効率に直結します。総務省のガイドラインも、リモートデスクトップ方式について通信遅延の影響を指摘しています。

遠隔操作画面をテレワーク端末へ転送することになるため、頻繁にデータの送受信が発生し、通信遅延の影響を大きく受けるデメリットがあります。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(第3章 リモートデスクトップ方式)

回線が細い拠点や、通信が不安定な環境では、操作の遅延や接続集中による帯域不足が起こり得ます。オフラインでの作業が多い業務では、画面転送に頼らない方式が向く場合もあります。

基盤の構築・運用にコストと体制が必要になる

とくにVDIを自社で構築する場合、相応の初期投資と運用体制が求められます。総務省のガイドラインは、仮想デスクトップ方式のデメリットを次のように挙げています。

仮想デスクトップ(VDI)環境の構築や、使用者ごとにデスクトップ環境の構築が必要となるため、大規模な環境変更が必要です。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省(第3章 仮想デスクトップ(VDI)方式)

基盤の設計・構築に加え、運用を担う人員やスキルも必要になります。基盤投資を抑えたい場合は、クラウド型のDaaSや、既存PCを生かすデータレスクライアント・ソフト型を検討すると、負担を小さくしやすくなります。

既存の業務アプリ・端末との互換性を確認する必要がある

業務で使う専用アプリケーションや周辺機器が、選んだ方式の環境で問題なく動くかは、導入前に検証すべきポイントです。既存PCを転用する方式では、端末のOSや性能によって動作が左右されることもあります。試験導入で業務が成り立つかを確かめてから全社展開すると、運用の破綻を避けやすくなります。

料金・費用相場(方式別の目安)

ここでは、端末にデータを残さない仕組みの費用感を方式別に整理します。製品ごとの具体的な金額は提供形態や規模で変わり、見積もりとなるものも多いため、個別の料金は前掲の比較表および各社の公式情報で確認してください。ここでは方式ごとの相対的な傾向を示します。

総務省のガイドラインは、テレワーク方式の特性を複数の軸で比較しています。仮想デスクトップ(VDI)方式には「高額なシステム導入が必要」「大きな環境変更を伴うシステム導入が必要」との評価がある一方、既存PCを単独で使うスタンドアロン方式は追加のシステム・サービスが不要とされ、方式によって初期投資の重さが大きく異なることがうかがえます。

  • 専用端末タイプ:端末そのものの調達費用に加え、サーバ側の環境構築が必要です。台数に応じた初期投資が中心となり、多くは見積もり対応です。
  • VDI・DaaSタイプ:自社構築のVDIは基盤構築の初期投資が大きくなりがちです。クラウド型のDaaSは初期費用を抑えつつ、ユーザー数に応じた月額課金が中心になります。
  • USB・ソフト型タイプ:既存PCを生かせるため、端末の新規調達費用がかからず初期投資を抑えやすい傾向です。USB機器代やライセンス費用が中心となります。
  • データレスクライアントタイプ:ユーザー単位の月額課金が中心で、VDIのような大規模な基盤投資を避けやすい傾向です。既存PCを生かせる製品も多く、導入のハードルを抑えやすくなります。
出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)第3章 テレワーク方式の特性比較|総務省(リンク)

自社に合う製品・方式の選び方

ここからは、端末にデータを残さない製品を選ぶときに確認したい観点を整理します。方式そのものの適合に加えて、自社の既存環境やネットワークに無理なく収まるかを見極めることが、導入後の運用破綻を防ぐ鍵になります。

どの実行方式が自社の端末・運用に合うか?

端末を新規配布できるのか、既存PCを生かしたいのかで、向く方式が変わります。新規配布が可能で高いセキュリティを求めるなら専用端末タイプ、既存PCを生かして初期投資を抑えたいならUSB・ソフト型やデータレスクライアントが候補になります。まず自社が端末をどう用意するかを起点に方式を絞り込むと、選択肢を整理しやすくなります。

求めるセキュリティ水準と運用統制を満たすか?

データをどこまで端末から分離するか、アクセス権限や操作ログをどこまで集中管理できるかは、製品によって差があります。監査やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などで説明責任が求められる場合は、権限管理・ログ取得・持ち出し制御の機能が自社の要件を満たすかを確認することが重要です。統制を一元化したいなら、データや環境を中央に集約する方式が適合しやすくなります。

既存の業務アプリ・OSをそのまま使えるか?

既存の使い勝手をどこまで保ちたいかで、向く方式が変わります。特殊な業務アプリや高負荷の作業が多く操作性を落とせないなら、通常のPCをそのまま使えるデータレスクライアントやソフト型が候補になります。画面転送型を選ぶ場合は、主要業務が支障なく動くかを事前に見極めておきましょう。

ネットワーク品質・オフライン要件に耐えられるか?

オフラインや移動中の業務が多いか、拠点の回線や同時接続時の帯域に余裕があるかで、向く方式が分かれます。常時通信が難しい働き方なら、画面転送に頼らないデータレスクライアントやソフト型を選ぶと無理なく運用できます。自社の通信環境を具体的に想定して判断してください。

初期費用・月額費用が予算に見合うか?

端末の調達費用・基盤構築費用・ユーザー単位のライセンス費用・運用人件費まで含めた総額で、自社の予算と導入規模に見合うかを比べて判断することが重要です。月額課金が中心の方式は費用を平準化しやすいため、将来の増員やスモールスタートのしやすさもあわせて確認しておくと判断しやすくなります。

数百〜数千人規模で全社に展開する場合は?

数百〜数千人規模で全社展開する場合は、1台あたりの費用よりも、総コストの構造と運用体制が効いてきます。画面転送型(専用端末・VDI)は利用者が増えるほどサーバーや回線の増強が必要で、基盤費と運用人員が規模に比例しやすくなります。一方、環境を中央に集約する分、集中管理のしやすさは規模が大きいほど利点になります。

既存PCを生かすデータレスクライアントやソフト型は、ユーザー単位の月額課金が中心で台数に応じて費用を見通しやすく、基盤増強の負担を抑えやすい傾向です。全社の集中管理やISMS・監査対応を前提とするなら、権限管理・操作ログ・持ち出し制御を一元的に統制でき、利用者が増えても運用が回る管理機能を備えるかの確認が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q. シンクライアント端末とは何ですか?

A. シンクライアント端末とは、端末側の役割を画面表示と入力操作に絞り、業務データの処理と保管をサーバーやクラウド側に集約する業務用端末です。手元の端末にはデータがほとんど残らないため、紛失・盗難が起きても情報が流出しにくいのが特徴です。汎用OSやローカルストレージをほとんど持たない「ゼロクライアント」や、既存PCをシンクライアント化するソフト型・USB型など、実現方法は複数に分かれます。

Q. シンクライアント端末とVDIの違いは何ですか?

A. シンクライアントは端末にデータを残さない仕組みの総称で、VDI(仮想デスクトップ基盤)はそれを実現する方式の一つです。VDIはサーバーやクラウド上に用意した仮想デスクトップを端末へ画面転送して操作する方式で、シンクライアント専用端末はこのVDIの接続先端末として使われることが多くあります。

一方、既存PCを転用するソフト型やデータレスクライアントのように、VDIを使わずに端末からデータを分離する手段もあるため、VDIがシンクライアントの唯一の実現方法というわけではありません。

Q. シンクライアント端末とゼロクライアントの違いは何ですか?

A. ゼロクライアントは、シンクライアントをさらに削ぎ落とし、汎用OSやローカルストレージをほとんど持たない専用端末を指します。一般的なシンクライアントが軽量なOSを備えるのに対し、ゼロクライアントは端末が持つ機能を最小限にすることで、管理対象や攻撃対象をより小さくできます。どちらも端末にデータを残さない点は共通で、ゼロクライアントはその考え方を突き詰めた形態といえます。

Q. シンクライアント端末はオフライン環境でも使えますか?

A. オフラインで使えるかは方式によって異なり、画面転送型(専用端末やVDI・DaaS)は常時サーバーと通信するため、オフラインでは利用できません。一方、既存PC上でローカルに処理するデータレスクライアントやソフト型には、オフラインでも業務を継続でき、通信が復帰したときにデータを同期できる製品があります。

移動中や回線が不安定な環境での利用が多い場合は、常時通信を前提としない方式を選ぶと無理なく運用できます。

Q. 既存のPCを買い替えずにシンクライアント化できますか?

A. できます。既存PCを転用するUSB型・ソフト型や、通常のPCを使い続けるデータレスクライアントであれば、端末を新規調達せずに導入できます。USB型は専用メモリから起動して業務環境を分離し、ソフト型・データレスクライアントは手持ちのPCにソフトウェアを導入してデータを端末に残さない構成にします。

一方、シンクライアント専用端末やゼロクライアントは端末そのものを新たに配布する方式のため、既存PCを生かしたい場合は前者のタイプが候補になります。

Q. 既存のVDIを残したまま、一部だけデータレス化できますか?

A. できます。データレスクライアントには、VDIからの全面移行だけでなく、VDI併用を前提に機能を絞ったプランを用意する製品もあります。回線やサーバー負荷が課題になりやすい拠点・用途だけを既存PCのデータレス化に切り替え、既存のVDIと併存させる段階的な移行が可能です。

VDI基盤を一度に置き換えず、負荷やコストの重い部分から見直したい場合に現実的な進め方になります。どの製品がVDI併用に向くかは、本記事の比較表や各社の公式情報でご確認ください。

Q. 導入時のデータ移行や日々の運用で気をつけることはありますか?

A. 端末にデータを残さない運用へ切り替える際は、既存PCのローカルに保存された業務データを、クラウドやサーバー側の保存先へ移す初期移行が必要になります。移行対象となるフォルダの範囲や保存先(自社クラウド・Microsoft 365など)は製品によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

運用開始後も、保存先の容量やバックアップ世代の設定、退職者・紛失端末の利用停止といった管理が日常的に発生します。まず一部の部署で試験導入し、移行と運用の手順を固めてから全社へ広げると、現場の混乱を避けやすくなります。

Q. 中小企業や少人数でも、低コストに早く導入できますか?

A. できます。既存PCを生かせるデータレスクライアントやソフト型・USB型は、端末の新規調達や大規模な基盤構築が不要なため、少人数でも低コストで短期間に導入しやすいタイプです。ユーザー単位の月額課金が中心で、製品によっては5ライセンス程度から契約でき、無料トライアルを用意しているものもあります。

一部の部署や持ち出しPCからスモールスタートし、段階的に対象を広げることもできます。反対に、VDIの自社構築や専用端末の一斉配布は初期投資と準備期間が大きく、小規模だと割高になりやすいため、人数に応じて増やせる方式から検討すると無理がありません。

まとめ

端末に業務データを残さない仕組みは、紛失・盗難やテレワーク端末からの情報漏えいを根本から抑える有効な手段です。

実現方法は、専用端末でデータを分離するタイプ、仮想デスクトップでデータを分離するタイプ(VDI・DaaS)、既存PCを転用するタイプ(USB型・ソフト型)、PCの利便性を保ったままデータだけ分離するタイプ(データレスクライアント)の4つに分かれ、それぞれ導入コストや運用負荷、使い勝手が異なります。

自社に合う製品を選ぶには、端末をどう用意するか、求めるセキュリティ水準、既存アプリとの互換性、ネットワーク品質、予算の5つの観点から方式を絞り込み、個別の製品を比較することが近道です。VDIの基盤投資が重いと感じる場合は、既存PCを生かせるデータレスクライアントやソフト型も含めて検討すると、無理なく運用できる選択肢が見つかります。

本記事の比較表と選定診断ツールを、自社に最適な一製品を見極める材料としてご活用ください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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