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ゼロトラストの費用はいくら?構成要素別の料金相場と段階導入の目安を解説

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VPNの運用が限界に近づき、取引先や親会社からも多要素認証(MFA)やEDR(エンドポイント対策)の導入を求められる中で、「ゼロトラストを導入せよ」と指示を受ける情報システム担当者が増えています。しかし、いざ予算を立てようとすると「ゼロトラストは結局いくらかかるのか」の見当がつかず、手が止まってしまうケースは少なくありません。

費用がつかみにくい理由は、ゼロトラストが1つの製品ではなく、ID管理・多要素認証・端末管理・ネットワーク制御といった複数の仕組みの組み合わせだからです。構成する要素ごとに料金が積み上がるため、「ゼロトラスト ○○円」という単一の定価が存在しません。

本記事では、ゼロトラストを構成する要素ごとの1ユーザーあたり月額を公式価格で一覧にし、自社の規模で全体をそろえた場合の総額の目安、ライセンス以外にかかる構築費・運用費、段階的に導入する場合の費用の積み上がり方を整理します。あわせて、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象枠や、経営層へ予算を説明するための考え方も解説します。

金額の桁をつかみ、自社の規模に当てはめて予算のあたりをつけるための検討材料としてご活用ください。

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ゼロトラストの費用は「ライセンス・構築・運用」の3つの積み上げで決まる

ゼロトラストの費用を見積もる前に、まず押さえておきたいのが「費用は3つの層の積み上げで決まる」という構造です。内訳は次の3つに分かれます。

  • ライセンス費: ID管理・多要素認証・EDR・ネットワーク制御などの製品・サービスの利用料。ユーザー数や端末数に応じて毎月(または毎年)発生します。
  • 初期構築・設計費: 現状の棚卸し、ポリシー設計、既存システムとの連携、導入時の設定といった、立ち上げ時に一度発生する費用です。
  • 運用費: ログの監視、設定変更、問い合わせ対応、端末の更改など、導入後に継続して発生する費用です。社内の人件費や、監視を外部に委託する場合の委託費が含まれます。

製品のライセンス費だけを見て予算を組むと、構築・運用の費用が後から積み上がり、想定を超えてしまいます。ライセンス費・初期構築費・運用費の順に見ていきます。

ゼロトラストの費用がライセンス費・初期構築費・運用費の3つの積み上げで決まることを示した図。ライセンス費と運用費は毎月または毎年継続して発生し、初期構築・設計費は立ち上げ時に一度だけ発生する。3つを合計した導入の総額を1年・3年・5年で比較することを示す。

なぜ単一の定価にならないのか

ゼロトラストに単一の定価が存在しないのは、それが特定の製品名ではなく「考え方(セキュリティモデル)」だからです。米国立標準技術研究所(NIST)のガイドライン「NIST SP 800-207」は、ゼロトラストを単一のアーキテクチャ(製品構成)ではなく、ワークフローやシステム設計・運用を改善するための一連の指針と位置づけています。

同ガイドラインは、ゼロトラストへの移行は組織が業務上のリスクをどう評価するかに関わる取り組みであり、技術をまるごと入れ替えるだけで達成できるものではない、とも述べています。

従来の「社内ネットワークに入れば信頼する」境界型の守り方に対し、ゼロトラストは「社内・社外を問わず、アクセスのたびに人・端末・状況を確かめる」考え方です。これを実現するには、ID管理(IDaaS)・多要素認証(MFA)・端末管理(MDM)・エンドポイント対策(EDR)・ネットワーク制御(ZTNA/SASE)といった複数の仕組みを組み合わせる必要があります。

どこまでをどの製品でそろえるかによって費用が変わるため、費用は「構成要素ごとの積み上げ」で把握するのが実態に合っています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:NIST SP 800-207「Zero Trust Architecture」(米国立標準技術研究所、2020年8月)(リンク)

構成要素別・1ユーザー月額の実額一覧

ここからは、ゼロトラストを構成する要素ごとに、代表的な製品・サービスの1ユーザーあたり月額を公式価格で一覧にします。自社でどの要素をどの製品でそろえるかを当てはめると、ライセンス費の全体像が見えてきます。

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製品・プランMicrosoft Entra ID P1Microsoft Entra ID P2Okta Workforce Identity(Starter)CloudGate UNO(Standard Plus)IIJ IDサービス(SSO+多要素認証)Soliton OneGate(スタンダード)YubiKey as a ServiceDZ PassMicrosoft Defender for BusinessCrowdStrike Falcon GoMicrosoft Intune(Plan 1)Cloudflare One / Zero Trust(従量)Zscaler(ZIA/ZPA)CrowdStrike Falcon Next-Gen SIEM
構成要素IDaaS/SSO・MFA・条件付きアクセスIDaaS/SSO・MFA・リスクベース認証IDaaS/SSO・MFAIDaaS/SSO・MFA・アクセス制限IDaaS/SSO・MFAIDaaS/証明書・MFAMFA(物理セキュリティキー)継続認証・PC端末アクセス制御EDR(エンドポイント対策)EDR(次世代アンチウイルス)MDM/UEM(端末管理)ZTNA・SWG(SASE)ZTNA・SASEログ監視/SIEM
公式価格(1ユーザー/月)1,049円1,499円6米ドル400円(税込440円)240円600円要問い合わせ目安500円(年6,000円)449円8米ドル(公式FAQ)7米ドル要問い合わせ要問い合わせ
課金単位・主な条件年間サブスクリプション(年払い・税抜)。Microsoft 365 Business Premium に同梱年払い・税抜。ID保護・権限管理を追加年契約・最低1,500米ドル/年(税別)新規100ID〜。全プランでパスキー(FIDO2)認証が利用可初期費用0円・税抜。2026年11月2日以降の新規契約は15%の価格改定が告知済み最小40ユーザー。PKIプランは150円(最小200ユーザー)からサブスク型。最低200ライセンス〜・契約3年または5年。単体のデバイス単価は公式非公開オープンプライス(要問い合わせ)。目安額はカタログ掲載インタビューでのCEO発言年払い・税抜。最大300ユーザー。Microsoft 365 Business Premium に同梱最大100デバイス(税別)。フルEDRは Enterprise(19.99米ドル)から。日本円建ては要問い合わせMicrosoft 365 E3/E5・Business Premium に同梱されるのが一般的50ユーザーまで無料。従量プランはユーザー数上限なし(税別)公式に定価の公開なし。代理店・営業経由の個別見積もり日本向け定価の公式掲載なし。1日10GBまでの無償取り込み枠あり

※価格は各製品の公式価格ページにもとづく2026年10月時点の値です。特記なき限り税抜・年払い(1ユーザー月額相当)で、Microsoft各製品は消費税別と公式に明記されています。米ドル建ての製品は為替・税別です(参考として1米ドル=約150円で換算すると、6米ドルは約900円、7.99米ドルは約1,200円程度)。DZ Pass のみ公式が定価を公開しないオープンプライスのため、カタログ掲載インタビューでのCEO発言の目安値です。改定・為替の影響を受けるため、契約時に公式価格ページで最新の金額をご確認ください。

出典・参考資料(11件)
  • 出典:Microsoft Entra の価格|Microsoft(リンク)
  • 出典:Pricing|Okta(リンク)
  • 出典:CloudGate UNO 料金|株式会社インターナショナルシステムリサーチ(リンク)
  • 出典:IIJ IDサービス|株式会社インターネットイニシアティブ(リンク)、IIJ法人サービス提供価格改定のお知らせ(リンク)
  • 出典:Soliton OneGate|株式会社ソリトンシステムズ(リンク)
  • 出典:YubiKey as a Service|株式会社インターナショナルシステムリサーチ(リンク)
  • 出典:DZ Pass 提供企業インタビュー|MCB FinTechカタログ(リンク)
  • 出典:Microsoft Defender for Business|Microsoft(リンク)
  • 出典:Pricing|CrowdStrike(リンク)
  • 出典:Microsoft Intune の価格|Microsoft(リンク)
  • 出典:SASE・ゼロトラストのプラン|Cloudflare(リンク)

一覧からわかるのは、ID管理・多要素認証の層は1ユーザー月額数百円から始められる一方、ZTNA/SASEやマネージドの監視(SIEM・MDR)は「要問い合わせ」で個別見積もりになりやすいという傾向です。

実際にベンチャー企業がMicrosoft 365を軸にゼロトラストを構成した事例では、1人あたり月額約2,000円程度の追加で導入できたとする一方、製品を個別に組み合わせた場合は1人あたり月額8,000〜10,000円程度になるとの試算も示されています(いずれも導入当時の自社環境での実測値)。どの製品をどの範囲でそろえるかで、桁が変わる点に注意が必要です。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:ベンチャー企業でゼロからゼロトラストセキュリティを導入した話|Qiita(リンク)

規模・構成別の総額レンジ(PoC/100〜500人/全社)

構成要素ごとの単価がわかっても、「自社の規模だと全体でいくらになるのか」の桁は別途つかむ必要があります。ここでは、システム開発会社が公表している規模別の費用レンジを目安として示します。これらは製品ライセンス費に初期構築・設計費を含めた「導入全体」の概算で、自社の人数・範囲を当てはめて桁を読むための出発点として捉えてください。

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導入規模小規模PoC(20〜100ユーザー)100〜500ユーザーZTNA/SASEを含む導入全社プラットフォーム
対象範囲の例SSO/MFA、1〜3個のSaaSID・MFA・端末管理(MDM/UEM)・EDR・複数SaaSネットワーク制御まで含めた構成全社・全拠点をまたぐ統合
初期費用の目安50万〜300万円300万〜1,000万円1,000万〜3,000万円3,000万円〜1億円超
期間の目安1〜2か月数か月4〜12か月12〜24か月以上

※上記はシステム開発会社が自社ブログで示した規模別の概算レンジ(市場参考値)で、構成・既存環境により変動します。月額のライセンス費とは別に、初期構築・設計費を含む導入全体の目安です。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:ゼロトラストのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段|株式会社ripla(リンク)

50名規模のモデルケース:構成要素を積み上げた月額

より具体的にイメージできるよう、従業員50名の会社が主要な構成要素をそろえた場合の月額を、先ほどの構成要素別の単価を積み上げて試算してみます。ここではクラウドのSaaS利用を前提に、ID管理・多要素認証・端末管理・EDRをそろえる構成を例にします。

  • ID管理・多要素認証(IDaaS): 国産IDaaSを単体で入れる場合、CloudGate UNO の Standard Plus なら1ユーザー月額400円(税抜)で、50名なら月額20,000円。
  • EDR(エンドポイント対策): Microsoft Defender for Business は1ユーザー月額449円(税抜)で、50名なら月額22,450円。CrowdStrike Falcon Go なら1デバイス月額7.99米ドル(約1,200円、最大100デバイス)。
  • 端末管理(MDM)・ネットワーク制御(ZTNA): MDMはMicrosoft Intune、ZTNAはCloudflare One(50ユーザーまで無料、従量プランは1ユーザー月額7米ドル=約1,050円)などを追加していく。

ID管理(CloudGate UNO 400円)とEDR(Defender for Business 449円)をそろえると、1人あたり月額849円=50名で月額42,450円(年間で約51万円)が目安です。

ネットワーク制御は50名ならCloudflare Oneの無料枠(50ユーザーまで)で始められ、端末管理(Microsoft Intune)を加えると1人あたり数百円が上乗せされます。人数が増えて無料枠を超えると、ZTNAなどの従量課金がそのぶん積み上がります。

ただし、この金額はクラウドSaaSのライセンス月額だけの試算です。外注して設計・構築する場合は、別途まとまった初期費用が一度かかります(小規模なPoCで50万〜300万円規模。前掲の規模別レンジを参照)。「ライセンスの月額」と「導入全体の初期費用」は別物として、両方を見込んでおくと桁を取り違えません。

また、既存のMicrosoft 365契約を見直すと、同じ構成要素の一部を追加費用なしで賄えることもあります。まずは「どの構成要素を・何名分・どの製品で」そろえるかを決め、単価を掛け合わせて月額の桁をつかむのが見積もりの第一歩です。

ライセンス以外にかかる初期構築費・運用費の内訳

製品のライセンス費だけで予算を組むと、後から構築費・運用費が積み上がって想定を超えがちです。ここでは、ライセンス以外にかかる費用の内訳と目安を整理します。前掲の規模別レンジの「初期費用」は、この初期構築・設計費を含んだ金額で、対象の広さにより数十万円〜数百万円規模の幅があります。

  • 初期構築・設計費: 守る対象やアクセス権限の棚卸し、ポリシー設計、既存システムとの連携、導入時の設定にかかる費用。ベンダーに委託する場合、公開情報にもとづく見積もりでは100万〜350万円規模が目安とされます。
  • 運用・保守費: ログ監視、設定変更、問い合わせ対応、端末更改などの継続費用。システム開発会社の目安では、年間の保守費は初期費用の15〜25%程度とされます(初期1,000万円なら年150万〜250万円)。
  • 監視(SOC/MDR)費: 検知後の対応まで外部に委託する場合の費用。製品によっては「要問い合わせ」で個別見積もりになります。

特に運用費は、ユーザー数・端末数・ログ量・監視時間・支援範囲によって変動します。製品ライセンスだけを比べて安く見えても、構築・運用まで含めた総額(1年・3年・5年)で比較するのが、後で足が出ないためのポイントです。

出典・参考資料(2件)
  • 参考資料:ゼロトラスト導入支援の外注費用と委託先の選び方|株式会社LASSIC(リンク)
  • 参考資料:ゼロトラストのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段|株式会社ripla(リンク)

費用が想定より膨らむ原因と見落としやすい費目

見積もり段階で見落としやすく、後から費用が膨らむ原因になりやすいのは次のような費目です。

  • ユーザー数・端末数・拠点数の増加: ライセンスはユーザー・端末単位で増えるため、組織の拡大に比例して月額も増えます。
  • 古い認証方式やレガシー業務アプリの連携: 既存の仕組みがゼロトラストに対応していないと、連携や改修に追加の工数が発生します。
  • ログ保管・監査・規制対応の要件: ログの保管期間や監査対応の要件が厳しいほど、保管容量や監視の費用が増えます。

段階導入(Stage1→3)で費用はどう積み上がるか

ゼロトラストは一度にすべてをそろえる必要はなく、効果の高い入口から段階的に導入するのが現実的です。段階的に高度化していく考え方は、米国CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)の成熟度モデルでも示されています(ただしこれは米国連邦政府機関向けのモデルで、日本の中小企業にそのまま当てはまる制度ではありません)。

この成熟度モデルでは、従来型(Traditional)を起点に初期(Initial)・高度(Advanced)・最適(Optimal)へと段階的に進み、後の段階ほど高い保護・詳細さ・複雑さが求められるとされています。ゼロトラストが段階的に高度化していく=費用も段階的に積み上がる、という本記事の見方の裏づけになります。

実務上は、次の3段階で「1人あたり」の月額が積み上がっていくイメージで捉えると、予算を組みやすくなります。

ゼロトラストの段階導入でStage1からStage3へ1人あたり月額が積み上がることを示した図。Stage1はID・多要素認証(MFA/SSO)で誰がを確かめる入口、1人あたり月額は既存契約なら0円に近く単体でも数百円から。Stage2は端末管理(MDM)・EDRでどの端末からを確かめ侵入後の検知に備え、1人あたり月額は数百円から(Defender for Business 449円など)。Stage3はネットワーク制御(ZTNA/SASE)で通信をアプリ単位で制御しVPNから移行、1人あたり月額は数百円から(Cloudflare One 7米ドルなど)でSASEは個別見積もりになりやすい。
  • Stage 1:ID・多要素認証(MFA/SSO)を固める — 「誰が」アクセスしているかを確かめる段階。アカウント侵害の多くを防げるため投資対効果が高く、まず着手すべき入口です。1人あたり月額の目安は、既存契約で賄えれば0円に近く、単体で入れても数百円程度から。
  • Stage 2:端末管理(MDM)・EDRを固める — 「どの端末から」アクセスしているかを確かめ、侵入後の検知まで備える段階。1人あたり月額の目安は、EDRで数百円〜(Defender for Business 449円、CrowdStrike Falcon Go 7.99米ドルなど)。
  • Stage 3:ネットワーク制御(ZTNA/SASE)を固める — 「通信」をアプリ単位で制御し、VPNからの移行を進める段階。1人あたり月額の目安は数百円〜(Cloudflare One 7米ドルなど)ですが、ZscalerなどSASE製品は個別見積もりになりやすく、構築費も大きくなります。

重要なのは、NISTのガイドラインでも多要素認証(MFA)が基本テネットの一つとして明記されているとおり、効果の高いID・認証の層から小さく始めることです。VPNをいきなり全廃するのではなく、対応できるアプリからZTNAへ移し、移行が終わるまでは既存VPNに多要素認証を追加して守るのが安全な進め方とされています。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:NIST SP 800-207「Zero Trust Architecture」§2.1 Tenets of Zero Trust(米国立標準技術研究所、2020年8月)(リンク)
  • 出典:Zero Trust Maturity Model Version 2.0(米国CISA、2023年4月)(リンク)

既存のMicrosoft 365で賄える範囲と新規課金の境目

段階導入の費用を抑えるうえで最初に確認したいのが、すでに契約しているMicrosoft 365やGoogle Workspaceの標準機能で、どこまで賄えるかです。多くの企業はこれらをすでに使っており、ID管理・多要素認証の基本機能は追加費用なしで有効化できる場合があります。

特に中堅・中小向けの「Microsoft 365 Business Premium」には、公式のFAQによればID管理・多要素認証の「Microsoft Entra ID P1」、端末管理の「Microsoft Intune(Plan 1)」、エンドポイント対策の「Microsoft Defender for Business」が含まれています(最大300ユーザー)。

すでにBusiness Premiumを契約している場合は、Stage 1〜2に必要な構成要素の多くを追加課金なしで有効化できます。これらを個別に契約するより重複を避けられるため、まず既存契約の内容を確認するのが費用を抑える第一歩です。新規に契約する場合の月額は変動するため、Business Premium を含む各プランの最新の金額は公式価格ページで確認してください。

一方で、ZTNA/SASEのようなネットワーク制御や、マネージドの監視(SOC/MDR)は、これらのプランには含まれないため新規の課金が必要です。「どこまで既存契約で賄えて、どこから新規課金になるか」を切り分けると、不要な重複契約を避けられます。各プランに含まれる機能と最新の月額は、契約時に公式価格ページで確認してください。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:Microsoft Defender for Business(Microsoft 365 Business Premium への同梱)|Microsoft(リンク)

自前でやるか外注するか・外注の工程別費用

ゼロトラストの導入を自社だけで進めるか、外部に委託するかは、費用と体制の両面で判断します。内製には、ID管理・ネットワーク・エンドポイント・クラウドにまたがる専門知識と、設計・移行・運用を回す工数が必要です。専門リソースが不足している、移行を急ぎたい、複数製品を統合したい、といった場合は外注が有効とされます。

外注する場合の費用は、工程ごとに分けて考えると見積もりの妥当性を判断しやすくなります。導入支援会社が市場参考値として示す工程別の目安は次のとおりです。

  • 現状アセスメント: 数十万〜数百万円程度(規模・深度による)
  • アーキテクチャ設計: 数百万円規模(環境の複雑度・範囲による)
  • 実装・展開: 数百万〜数千万円(対象規模・製品数による)
  • 運用保守・定期見直し: 月額数十万円〜(対応範囲・SLAによる)
出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:ゼロトラスト導入支援の外注費用と委託先の選び方|株式会社LASSIC(リンク)

相見積もりを同じ条件で取るためのポイント

委託先によって見積もりがばらつく場合、前提条件がそろっていないことが多くあります。相見積もりを同じ土俵で比べるには、依頼時(RFP)に次の条件を数字で示すのが有効です。

  • 対象のユーザー数・端末数・拠点数
  • 連携が必要なSaaS・業務アプリの数と種類
  • 運用の委託範囲(監視の時間帯、対応レベル、報告頻度)

これらの条件をそろえ、製品名だけでなく「設計・移行・運用の実績」で委託先を比べると、追加費用につながるリスクを事前に見極めやすくなります。

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)で費用を軽くできるか

ゼロトラスト関連の費用は、補助金で一部を軽くできる場合があります。従来「IT導入補助金」と呼ばれていた制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。ゼロトラストに関係しうる枠は主に次の2つで、対象が異なる点に注意が必要です。

  • セキュリティ対策推進枠: 補助率は1/2以内(小規模事業者は2/3以内)、補助額は5万円〜150万円、補助対象経費はサービス利用料(最大2年分)です。ただし対象は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスに限られます。これは相談窓口・監視・事案発生時の初動対応・簡易サイバー保険をワンパッケージで提供するもので、Entra ID P2・Okta・Cloudflare のZTNA・EDR単体といったゼロトラスト製品のライセンスが、この枠でそのまま補助されるとは限りません。
  • 通常枠: 補助額は5万円〜150万円未満(1プロセス以上)・150万円〜450万円以下(4プロセス以上)、補助率は1/2以内、補助対象経費はソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費です。ゼロトラストを構成するソフトウェア/クラウド(IDaaS・MDM・EDRなど)は、事務局に登録されたITツールであれば、こちらの通常枠の対象になり得ます。

このように、ワンパッケージのサイバーセキュリティ支援サービスはセキュリティ対策推進枠、個別の製品ライセンスは通常枠、と対象が分かれます。補助率・上限額・対象要件は年度や公募回で変わるため、申請前に必ず公式の公募要領で最新の条件を確認してください。補助金ありきで製品を選ぶのではなく、必要な対策を設計したうえで、使える枠で費用の一部を軽くするのが健全な進め方です。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)|中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(リンク)
  • 出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)

この費用を経営層にどう説明して予算を通すか

ゼロトラストの予算を経営層に通すには、費用そのものだけでなく「対策しなかった場合の損失」と対置して説明するのが有効です。公的な統計には、インシデント時の損失額を示すデータがあります。

警察庁の令和8年上半期の報告によれば、ランサムウェア被害に関する調査・復旧費用は高額化しており、復旧に総額1,000万円以上を要した組織の割合は全体の6割を占めるとされています。

また、NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調査では、ランサムウェア感染被害を受けた組織の被害金額は、ほとんどが1,000万円超で、回答の平均値は2,386万円でした(ただしこの平均は有効回答8件にもとづく小さな母数である点に留意が必要です)。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威の第1位は「ランサム攻撃による被害」です。

これらを踏まえると、「Stage 1のID・多要素認証だけでも年間数十万円の投資で、被害時に1,000万円以上かかりうる復旧費用のリスクを下げられる」といった形で、投資額と回避できる損失を並べて示すのが説得力を持ちます。

段階導入を前提に、効果の高い入口から予算を平準化して投資していく計画とあわせて提示すると、稟議が通りやすくなります。

出典・参考資料(3件)
  • 出典:令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁(リンク)
  • 出典:インシデント損害額調査レポート 第2版 別紙「被害組織調査」|NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)(リンク)
  • 出典:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)

また、予算をどう組み立てれば稟議が通りやすいかについては、多くの導入相談を受けている提供側の視点も参考になります。IDaaS「CloudGate UNO」を提供するインターナショナルシステムリサーチは、予算化につなげるためのメリットの示し方について次のように述べています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

一番の動機は「ユーザーのパスワード管理の負担解消」ですが、それだけでは予算化が難しいケースも少なくありません。そこで「業務効率化」と「セキュリティリスクの排除」という2つのメリットを提示することで、稟議がスムーズに通るというケースが多いようです。

ゼロトラストの費用を抑えつつ始めるためのサービス

ここまで見てきたとおり、ゼロトラストは効果の高いID・認証の層から小さく始めるのが費用対効果の高い進め方です。ここでは、その入口となる認証・アクセス制御のサービスを紹介します。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

CloudGate UNO は、ゼロトラストの考え方にもとづくシングルサインオン(SSO)・多要素認証(MFA)・アクセス制限・ID管理を1つにまとめた国産のIDaaSです。Google Workspace や Microsoft 365、Salesforce など多数のクラウドサービスと連携でき、Stage 1のID・認証の層をまとめて固められます。

料金は Standard Plus が1ユーザー月額400円(税込440円)からで、フィッシングに強いパスキー(FIDO2)認証を全プラン・全ユーザーで追加費用なく利用できる点が特徴です。アクセス制限は「端末・場所・時間」の3つの軸で設定でき、業務時間外や私用端末からのアクセスを制御できます。新規は100IDから、無料トライアルは30日間用意されています。

2. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceのウェブサイト

物理セキュリティキー「YubiKey」を、買い切りではなくサブスクリプション型(月額/年額)で導入できるサービスです。デバイス本体に秘密鍵を保持するハードウェアトークン型の多要素認証で、スマートフォンのアプリやワンタイムパスワードよりもフィッシングへの耐性が高いのが強みです。

サブスク型のため初期の調達コストを抑えやすく、故障・紛失時のバックアップキーの同梱や、契約期間中のキー種類の変更、専門家による導入・運用支援が含まれます。キーの種類によって価格が変わるため、料金は要問い合わせです(最低200ライセンスから、契約期間は3年または5年)。CloudGate UNO のパスワードレス認証・SSOと組み合わせて利用できます。

3. DZ Pass(株式会社AnchorZ)

DZ Passのウェブサイト

DZ Pass は、Windows PC向けのパスワードレス認証・情報漏洩対策ソフトウェアです。スマートフォンをトークンとして使い、顔認証や行動的特徴を組み合わせた「バックグラウンド認証」によって、サインイン後も継続的に本人確認を行う継続認証が特徴です。離席の検知による自動ロックや、第三者・覗き見の検知といった、端末の前にいる人を見張る機能を備えます。

料金はオープンプライス(要問い合わせ)ですが、MCB FinTechカタログ掲載のインタビューで、同社CEOは目安として1ライセンスあたり月額500円・年間6,000円と述べています。既存のWindowsログインを変えずに監視機能だけ追加するモードもあり、段階的に導入しやすい設計です。

以下は、認証・アクセス制御を中心に、端末を守るEDRも含めた、ゼロトラストの入口となるサービスの比較表です。

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サービス名CloudGate UNOYubiKey as a ServiceDZ PassSoliton OneGateIIJ IDサービスCrowdStrike Falcon
役割ID管理・SSO・多要素認証を統合した国産IDaaS物理キーによるフィッシング耐性MFA(認証強化)継続認証によるパスワードレスPCログイン・端末アクセス制御デジタル証明書MFA・SSO・ネットワーク認証の国産IDaaSSSO・AD連携・多要素認証のIDaaSEDR・次世代アンチウイルス(端末の検知・対応)
認証・制御の方式FIDO2/パスキー、生体認証、OTP、認証アプリ物理セキュリティキー(FIDO2/WebAuthn・U2F・PIV・OpenPGP・OTP)顔認証+スマホによる継続認証(バックグラウンド認証®)デジタル証明書+FIDO2/生体(顔)/ICカード/スマホ認証FIDO2、デバイス証明書、メールOTP、SmartKey、統合Windows認証—(端末保護が対象。認証・SSO製品ではない)
初期費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ(アプライアンス利用時 198,000円/台)0円要問い合わせ
月額(1ユーザー/1デバイス)400円〜(税抜)
Standard Plus 400円/Enterprise Plus 500円/Smart Pack 600円
要問い合わせ
(サブスク、1ユーザー単位、200ライセンス〜)
500円(目安・要問い合わせ)
MCBカタログ掲載インタビューでのCEOの目安額(年6,000円)
150円〜(税抜)
PKI 150円/ベーシック 300円/スタンダード 600円
120円〜(税抜)
SSOのみ120円/SSO+多要素認証240円
(2026-11-02の新規契約から15%改定予定)
$7.99〜/デバイス(グローバル公式価格)
Falcon Go $7.99/Pro $14.99/Enterprise $19.99
日本円建ては要問い合わせ
無料トライアル30日間記載なし記載なし30日間あり(期間・条件は要問い合わせ)15日間(クレジットカード登録不要)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

ここで取り上げたのは、費用を抑えて小さく始めやすい認証・アクセス制御のサービスです。ゼロトラストは「何を守るか」によって端末管理・ログ監視・ネットワーク制御など必要な製品が変わるため、守る対象別にどんなタイプのサービスがあり、どう選べばよいかを一覧で見比べたい場合は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。

まとめ

ゼロトラストの費用は、特定の製品の定価ではなく、ID管理・多要素認証・端末管理・EDR・ネットワーク制御といった構成要素ごとのライセンス費に、初期構築・設計費と運用費を積み上げたものです。本記事のポイントを整理します。

  • 構成要素別の単価で把握する: ID管理・多要素認証は1ユーザー月額数百円から、ZTNA/SASEや監視は個別見積もりになりやすい。自社でそろえる要素を単価に当てはめて月額の桁をつかむ。
  • ライセンス以外の費用を忘れない: 初期構築費・運用費まで含めた総額(1年・3年・5年)で比べる。保守費は初期費用の年15〜25%程度が目安。
  • 効果の高い入口から段階的に: まずID・多要素認証から着手し、既存のMicrosoft 365で賄える範囲を確認してから新規課金を検討する。
  • 補助金と経営説明: 補助金は枠ごとに対象が異なる。被害時の復旧費用(6割が1,000万円以上)と投資額を対置して予算を説明する。

自社の規模と優先順位に合わせて、まずは資料を取り寄せて具体的な見積もりを比べるところから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. ゼロトラストとは何ですか?

A. ゼロトラストとは、社内・社外を問わず、すべてのアクセスを「信頼せず、都度確かめる」ことを前提にしたセキュリティの考え方(モデル)です。米国立標準技術研究所(NIST)のガイドライン「NIST SP 800-207」では、特定の製品構成ではなく、業務上のリスクをどう評価するかにもとづいて設計・運用を改善するための一連の指針と位置づけられています。

ID管理・多要素認証・端末管理・エンドポイント対策・ネットワーク制御といった複数の仕組みを組み合わせて実現するため、単一の製品名でも単一の定価でもありません。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:NIST SP 800-207「Zero Trust Architecture」(米国立標準技術研究所、2020年8月)(リンク)

Q. ゼロトラストの費用は結局いくらかかりますか?

A. ゼロトラストの費用は、構成要素ごとのライセンス費・初期構築費・運用費の3つを積み上げたもので、単一の定価はありません。ID管理・多要素認証の層は1ユーザー月額数百円から始められ、EDRや端末管理を加えても数百円〜数千円程度が目安です。

一方で、ZTNA/SASEやマネージドの監視(SOC/MDR)は個別見積もりになりやすく、全体をそろえる場合は規模に応じて初期費用が数百万円〜数千万円に及ぶこともあります。自社でそろえる構成要素を単価に当てはめ、ライセンス費に構築・運用費を加えた総額(1年・3年・5年)で把握するのが実態に合っています。

Q. 既存のMicrosoft 365だけでゼロトラストの費用を賄えますか?

A. ゼロトラストの入口となるID管理・多要素認証・端末管理・エンドポイント対策の多くは、「Microsoft 365 Business Premium」の標準機能で追加課金なしに賄える場合があります。

公式のFAQによれば、同プランにはID管理・多要素認証の「Microsoft Entra ID P1」、端末管理の「Microsoft Intune(Plan 1)」、エンドポイント対策の「Microsoft Defender for Business」が含まれます(最大300ユーザー)。

ただし、ZTNA/SASEのようなネットワーク制御や、検知後の対応まで委託するマネージド監視(SOC/MDR)はこれらのプランに含まれないため、新規の課金が必要です。「どこまで既存契約で賄えて、どこから新規課金になるか」を切り分けると、不要な重複契約を避けられます。

Q. ゼロトラストはMFA(多要素認証)を導入すれば実現できますか?

A. MFAの導入はゼロトラストの重要な第一歩ですが、MFAだけではゼロトラストを実現したとは言えません。ゼロトラストは「誰が」に加えて「どの端末から」「どのアプリに」アクセスしているかを確かめ、端末の健全性チェック・最小権限の付与・アクセスログの監視・異常時の遮断と復旧までを組み合わせて成り立ちます。

ただし、MFAはアカウント侵害の多くを防げて投資対効果が高いため、まず着手すべき効果の高い入口であることに変わりはありません。MFAそのものの仕組みや二段階認証との違いは『MFA(多要素認証)とは?仕組み・3要素と二段階認証との違いをわかりやすく解説』で詳しく整理しています。

Q. ゼロトラストを導入すればVPNはすぐに廃止できますか?

A. ゼロトラストを導入しても、VPNを即座に全廃できるとは限りません。レガシーな業務アプリなどがVPNに依存している間は、管理された例外経路としてVPNを残し、対応できるアプリから順にZTNAへ移行するのが安全な進め方です。

移行が完了するまでは、既存のVPNに多要素認証を追加して守ります。一斉に停止すると業務が止まる事故につながるため、部門・アプリ単位でのパイロットと並行運用を基本にしてください。

Q. ゼロトラストの運用費は毎月いくらかかりますか?

A. ゼロトラストの運用費に一律の金額はなく、システム開発会社の目安では年間の保守費は初期費用の15〜25%程度とされます。ログ監視・設定変更・問い合わせ対応・端末更改などが継続的に発生し、検知後の対応まで外部に委託する場合は監視(SOC/MDR)の費用が加わります。

運用費はユーザー数・端末数・ログ量・監視時間・支援範囲によって変動するため、製品ライセンスだけで比べず、1年・3年・5年の総額で見積もるのが安全です。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:ゼロトラストのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段|株式会社ripla(リンク)

Q. 中小企業でもゼロトラストの費用は現実的ですか?

A. ゼロトラストは中小企業でも現実的に始められます。すでに契約しているMicrosoft 365やGoogle Workspaceの標準機能で多要素認証を有効化すれば、低コストで効果の高い入口(Stage 1)に着手できます。

そのうえで、重要なアプリや管理者IDから小規模に検証(PoC)を始め、段階的に広げるのが一般的で、小規模なPoCの初期費用は50万〜300万円程度が目安とされます。全社を一度に変えるのではなく、リスクの高い領域から優先して進めるのが現実的です。

ゼロトラストに限らず、中小企業がセキュリティ対策全体をどんな優先順位・費用感で進めればよいかは『中小企業のセキュリティ対策は何から始める?優先順位と費用感つきでやるべきことを解説』で整理しています。

出典・参考資料(1件)
  • 参考資料:ゼロトラストのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段|株式会社ripla(リンク)

Q. ゼロトラストの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. ゼロトラストの導入期間は範囲と規模によって幅があり、ID統合と多要素認証の展開なら数か月、ネットワーク制御まで含む全面構築では1年を超えることもあります。費用は導入期間とも連動するため、予算を組む際は「どの構成要素を・いつまでに」そろえるかの計画とあわせて検討すると、初期構築費と運用費の見通しが立てやすくなります。効果の高い入口から段階的に進めれば、投資を分散しながら進められます。

Q. ゼロトラストの費用にデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は使えますか?

A. ゼロトラスト関連の費用は補助金で一部を軽くできる場合がありますが、対象となる枠は内容によって分かれます。相談窓口・監視・事案発生時の初動対応などをワンパッケージで提供するサービス(IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたもの)は「セキュリティ対策推進枠」、IDaaS・MDM・EDRといった個別のソフトウェア/クラウドは「通常枠」の対象になり得ます。

補助率・上限額・対象要件は年度や公募回で変わるため、申請前に必ず公式の公募要領で最新の条件を確認してください。補助金ありきで製品を選ぶのではなく、必要な対策を設計したうえで使える枠を充てるのが健全な進め方です。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠)|中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(リンク)
  • 出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(リンク)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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