複数ページにわたる契約書を取り交わすとき、ページの差し替えや抜き取りを防ぐために、ホチキスで留めた契約書の背を製本テープでとじる「袋とじ」を行います。いざ製本しようとすると、どの製本テープを買えばよいのか、どう貼れば端がきれいに収まるのか、割印や契印はどこに押すのか、と手が止まりがちです。
本記事では、契約書の製本に使う製本テープの選び方から、画像で再現できる袋とじの手順、割印・契印を押す位置と両者の違い、そして製本そのものが法律上必須なのかまでを整理します。あわせて、製本・押印・郵送の手間をなくす電子契約という選択肢も紹介します。
目次
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契約書の製本に使う製本テープの選び方
製本を始める前に、まず手元に用意するテープを選びます。文房具店やオンラインストアには幅も素材も異なる製本テープが並んでいますが、契約書の製本では「印鑑を押せること」と「背の厚みに合った幅であること」の2点を押さえれば迷いません。
契約書には「捺印できる」製本テープを選ぶ
契約書の製本テープは、表面に印鑑を押せるものを選びます。製本後、テープと紙面の境目に契印を押すため、朱肉がのらないフィルム素材のテープでは印影がかすれてしまうからです。
市販品には用途を「契約書割印用」と明記した製本テープがあります。たとえばニチバンの「製本テープ〈再生紙〉契約書割印用」は、朱肉がのりやすい再生紙を使い、ステープラーの針が透けて見えない仕様です。こうした契約書向けの製品を選べば、素材で失敗することはありません。
製品名は「割印用」となっていますが、製本した契約書に押すのは主に契印です(契印と割印の違いは後述します)。「割印用」は朱肉がのりやすい紙質という意味で、呼び名にかかわらず契約書の製本に使えます。
出典・参考資料(1件)
幅は契約書の厚みに合わせる
幅は、契約書の背を覆い、表と裏に折り返してしっかり貼れる広さが必要です。製本テープの幅は25mm・35mm・50mmといった規格があり、数枚程度の薄い契約書なら25mm幅、ページ数が多く背に厚みが出る契約書は35mmや50mmの幅を選ぶのが実務上の目安です。背幅より狭いテープを選ぶと折り返し代が足りず、めくれの原因になります。迷ったときは、やや広めの幅を選んでおくと失敗が少なくなります。
ロールタイプとカットタイプの違い
製本テープには、必要な長さに自分で切って使うロールタイプと、A4サイズ向けにあらかじめ切り分けられたカットタイプがあります。製本の頻度が高い場合は、長尺巻のロールタイプのほうが1枚あたりのコストを抑えられます。
一方、たまにしか製本しない場合や長さを測る手間を省きたい場合は、カットタイプが便利です。契約書割印用のテープには剥離紙にあらかじめ切れ目が入った製品もあり、位置を合わせながら少しずつ剥がせるため、ロールタイプでも貼りやすくなっています。
製本テープの貼り方・袋とじの手順
ここからは、ホチキスで留めた契約書を製本テープで袋とじする手順を、順を追って説明します。独立行政法人国際協力機構(JICA)が契約様式として示す袋とじの手順とも流れは共通しており、公的な様式に沿ったやり方です。

用意する道具
- 契約書(印刷してページ順に揃えたもの)
- 契約書割印用の製本テープ
- ホチキス
- はさみまたはカッター(ロールタイプを使う場合)
- 契印・割印に使う印鑑と朱肉
手順1 契約書をホチキスで留める
ページ順に揃えた契約書の左端を、ホチキスで2〜3か所留めます。留める位置は左端から5mm程度を目安にし、あとで貼る製本テープで針が隠れるようにします。針がテープの外にはみ出すと見栄えが悪くなるため、端に寄せすぎないよう注意します。
手順2 製本テープを契約書より長めに切る
ロールタイプの場合は、契約書の縦の長さ(A4なら297mm)より上下に1〜2cmずつ長くなるようにテープを切ります。上下を長めに取るのは、あとで余った部分を表と裏に折り込んで、角までしっかり覆うためです。カットタイプを使う場合は、この工程は不要です。
手順3 剥離紙を縦に3分の1ほど剥がして表面に貼る
テープの剥離紙を縦に3分の1ほど剥がし、契約書の表面(左端)に貼り付けます。先にホチキスの針を覆う位置に合わせ、紙の端とテープの中心がそろうように置くのがポイントです。一度に全部剥がさず、位置を確かめながら貼ると曲がりにくくなります。
手順4 背・裏面へ回し、上下を折り込む
残りの剥離紙を剥がしながら、テープを契約書の背、続いて裏面へと回して貼ります。折り込む前に、契約書の厚みに応じてはみ出し部分を処理しておきます。ページ数が多く厚みのある契約書は上下に切れ込みを2か所ずつ入れ、数枚程度の薄い契約書ははみ出しの一部を切り取ります(詳しくは次の見出しで解説します)。
そのうえで、上下にはみ出したテープを、真ん中(背)の部分、裏面の部分、表面の部分の順に折り込んで貼り付けると、角まできれいに収まります。
手順5 全体を押さえて仕上げる
貼り終えたら、テープ全体を指でしっかり押さえて圧着し、浮きやシワがないか確認します。これで袋とじは完成です。あとは次章で説明する位置に契印を押せば、製本の作業は終わりです。
出典・参考資料(1件)
上下のはみ出しは折り込む?切り取る?
上下にはみ出したテープの処理は、契約書の厚みによって変えると仕上がりがきれいになります。ページ数が多く背に厚みがある契約書は、はみ出し部分の上下に切れ込みを2か所ずつ入れてから、背・裏・表へ折り込みます。切れ込みを入れることで、厚みのある角でもテープがよれずに貼れます。反対に、数枚程度で厚みのない契約書は、はみ出し部分の一部を切り取ってから折り込むと、テープが重なってごわつくのを防げます。
製本テープをきれいに貼るコツとよくある失敗
製本テープは一度貼ると貼り直しが難しく、粘着面どうしがくっつくと使えなくなります。ここでは、一度できれいに仕上げるためのコツと、つまずきやすい失敗の避け方を整理します。
- 剥離紙は一気に剥がさない:全部剥がすとテープが丸まって粘着面どうしがくっつきます。3分の1ずつ剥がし、位置を合わせながら貼ります。
- 紙の端と平行に貼る:最初の貼り始めが斜めになると、背から裏面まで全体が曲がります。契約書の左端とテープの縁が平行になるよう、置く位置を決めてから圧着します。
- 本文の文字にテープをかけない:幅の広いテープを本文側に寄せすぎると、契約条項の文字が隠れてしまいます。テープは背を覆う範囲にとどめ、本文にかからない位置に貼ります。
- 空気やシワが入ったら中央から外へ押し出す:貼った後に気泡やシワが残ったら、中央から端に向かって指でなでて空気を抜きます。
割印・契印を押す位置と両者の違い
製本が終わったら、契約書に契印や割印を押します。名前が似ているため混同されがちですが、契印と割印は目的も押す位置も異なります。それぞれの役割と位置を確認しておきましょう。

製本すれば契印は表裏の2か所で済む
契印は、1つの契約書が複数ページにわたるとき、ページの差し替えや抜き取りを防ぐために、ページのつながりを示す印です。ホチキス留めだけの契約書ではページの見開きごとに契印が必要になりますが、製本テープで袋とじをすると、表紙側の境目に1か所、裏表紙側の境目に1か所の計2か所を押すだけで済みます。
契約書を製本する実務上の利点の1つが、この契印の手間を減らせる点です。押す位置は、表面でテープと紙面にまたがるところと、裏面の同じくテープと紙面の境目の2か所が一般的です。
契印と割印は何が違うか
契印が「1つの契約書の中」のつながりを示すのに対し、割印は「2つ以上の文書どうし」の関連を示す印です。同じ契約書を2部作成して当事者が1部ずつ保管する場合に、2部を少しずらして重ね、両方の紙面にまたがるように印を押します。
これにより、2部が対になる正本であることと、一方だけが後から差し替えられていないことを示します。契印が製本した契約書のテープ部分に押すのに対し、割印は複数部を並べた上端などにまたがって押す、という位置の違いがあります。
ただし、契印・割印の押し方や位置は法律で定められたものではなく、長年の商慣習として定着した実務上のやり方です。
契約書の製本は必須?製本する理由と法的な位置づけ
ここまで製本と押印の手順を説明してきましたが、そもそも契約書の製本・契印・割印は、法律で義務づけられているわけではありません。民法では、契約は原則として方式が自由とされ、書面の作成そのものを含めて特定の形式は求められていません。
民法 第522条第2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
出典:民法|e-Gov法令検索
それでも契約書を製本し、契印・割印を押すのは、文書が後から差し替えられていないことを示し、契約内容をめぐる争いを防ぐためです。特に重要なのが押印の役割です。民事訴訟法では、私文書に本人の押印があるとき、その文書は本人の意思で作成されたもの(真正に成立したもの)と推定されると定められています。
民事訴訟法 第228条第4項 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
出典:民事訴訟法|e-Gov法令検索
契印・割印そのものに固有の法的効力が定められているわけではありませんが、製本して境目に押印しておくことで、文書のつながりと作成の真正を示しやすくなります。製本・契印・割印は義務ではないものの、紙の契約書を安全に取り交わすための実務的な備えといえます。
一方で、契約締結をオンラインで完結できる電子契約を使えば、製本・押印・郵送の手間そのものが不要になります。印紙税の節約や郵送コストの削減にもつながります。
製本・押印・郵送の手間をなくす電子契約という選択肢
ここまで見てきた製本・契印・割印、そして契約書の印刷や郵送は、紙で契約を取り交わすからこそ発生する作業です。契約締結をオンラインで完結させる電子契約を使えば、こうした手間そのものがなくなります。電子契約では、Web上で契約書をアップロードして相手に送り、電子署名とタイムスタンプを付与して締結します。印刷・製本・押印・郵送の工程が不要になり、締結までの時間と郵送コストを削減できます。
ここでは、導入社数の多い電子契約サービスを2つ紹介します。
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。書類のアップロード・送信から電子署名・タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結でき、導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件を超えています。
署名方式は、相手がアカウントを持っていなくてもメール認証だけで署名できる事業者署名型(立会人型)が標準で、導入のハードルが低い点が特徴です。2023年からは、マイナンバーカードの電子証明書を使って当事者本人が署名する当事者署名型にも対応しています。
料金は、有料のLightプランが月額11,000円(税抜)から、送信料が1件220円(税抜)です。月2件まで送信できる無料のフリープランも用意されており、まず試してから導入を判断できます(2026年10月時点)。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:クラウドサイン|弁護士ドットコム株式会社
2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、重要度に応じて署名方式を使い分けられるのが電子印鑑GMOサインです。GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供し、導入事業者数は350万社以上、累計送信件数は5,000万件を超えています。同じ契約書の中で立会人型と当事者型を組み合わせるハイブリッド署名にも対応しています。
料金は、有料のライトプランが月額8,800円(税抜)から、送信料が立会人型で1件100円(税抜)です。月5件まで送信できるお試しフリープランもあり、送信コストを抑えたい企業に向いています(2026年10月時点)。
出典・参考資料(1件)
電子契約サービスの比較
以下は、ご紹介した電子契約サービスの比較表です。
| サービス名 | クラウドサイン | 電子印鑑GMOサイン |
|---|---|---|
| 提供会社 | 弁護士ドットコム株式会社 | GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 |
| 署名タイプ | 立会人型(事業者署名型)が標準。 当事者型(マイナンバーカード署名)にも対応 | 立会人型(契約印タイプ)・ 当事者型(実印タイプ)に対応 (ハイブリッド署名も可能) |
| 月額費用(最小の有料プラン) | 11,000円/月(税抜) (Lightプラン) | 8,800円/月(税抜) (ライトプラン・年間契約) |
| 送信料 | 220円/件(税抜) (マイナンバーカード署名は別途200円/件) | 立会人型100円/件・ 当事者型300円/件(いずれも税抜) |
| 無料プラン | ●フリープランあり(月2件まで・1ユーザー) | ●お試しフリープランあり(月5件まで・1ユーザー・契約印タイプのみ) |
| 電子帳簿保存法対応 | ●全プランで認定タイムスタンプを標準付与(フリープランは検索要件などを自社で対応) | ●JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を取得。認定タイムスタンプは全プランで付与 |
| 契約書管理機能 | 契約書名・会社名・契約期間・金額で検索。解約通知期限・契約終了日のアラート(有料プラン)やAI契約書管理に対応 | 文書検索・フォルダ管理・契約更新通知に対応。AI自動入力(AI OCR)はビジネス・エンタープライズの標準機能 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
ここで取り上げた2サービスのほかにも電子契約システムは数多くあり、料金体系や署名方式、対応機能はサービスごとに異なります。自社の契約件数や相手先の状況に合う一社を、選び方から比較して検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
契約書の製本は、朱肉がのる「契約書割印用」の製本テープを選び、背の厚みに合った幅を用意するところから始まります。ホチキスで留めてからテープを背に貼り、上下を折り込んで袋とじし、テープと紙面の境目に契印を押せば完成です。製本・契印・割印は法律上の義務ではありませんが、文書の差し替えを防ぎ、安全に契約を取り交わすための実務上の備えとして行われています。
製本して押印した契約書は、取引先へ送付します。契約書が信書にあたり普通郵便で送れるのか、どう送るのが安全かは、以下の記事で解説しています。
毎回の製本・押印・郵送の手間を根本からなくしたい場合は、契約締結をオンラインで完結できる電子契約の導入も選択肢になります。自社の契約件数や相手先の状況に合わせて、紙と電子のどちらが合うかを検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 契約書の袋とじとは何ですか?
A. 契約書の袋とじとは、ホチキスで留めた契約書の背を製本テープで包んでとじ、ページの差し替えや抜き取りを防ぐ製本方法です。製本テープを契約書の背から表・裏へ折り返して貼り、テープと紙面の境目に契印を押すことで、複数ページが一体の契約書であることを示します。
Q. 契約書の製本テープはどこで買えますか?100円ショップのものでも使えますか?
A. 契約書の製本テープは、文具店やオンラインストアで購入でき、契約書には「捺印できる」と用途が明記された製品を選ぶのが確実です。100円ショップなどでも製本テープは手に入りますが、表面が朱肉をはじくフィルム素材だと契印がかすれてしまうため、「契約書割印用」など印鑑を押せる再生紙タイプを選びましょう。
Q. 契約書に貼った製本テープは貼り直しできますか?
A. 契約書の製本テープは、一度貼ると粘着力が強く、きれいに貼り直すのは難しいと考えておくのが安全です。特に剥離紙を一度に全部剥がすとテープが丸まり、粘着面どうしがくっついて使えなくなります。失敗を防ぐには、剥離紙を3分の1ずつ剥がし、契約書の端とテープの縁が平行になる位置を確かめてから少しずつ圧着していきます。
Q. 契約書に表紙・裏表紙は必要ですか?
A. 契約書の表紙・裏表紙は、法律上も実務上も必須ではなく、付けるかどうかは体裁や取引先の慣行に合わせて判断します。中身を保護したり複数ページを束ねて体裁を整えたりする目的で付けることはありますが、無くても契約の効力や製本の有効性に影響はありません。
Q. 契印・割印にはどの印鑑を使えばいいですか?
A. 契印・割印には、契約書の署名・記名欄に押したものと同じ印鑑を使うのが実務上の原則です。別の印鑑で押すと、同一の当事者による連続した文書であることを示すという契印・割印の目的が果たせなくなります。当事者が複数いる契約書では、原則として契約書に押印した全員が契印・割印を押します。
Q. 契印や割印に法的効力はありますか?
A. 契印や割印そのものに固有の法的効力が定められているわけではありませんが、押印は、その文書が本人の意思で作成されたと推定される(成立の真正の推定)という点で、証拠上の意味を持ちます。民事訴訟法第228条第4項は、本人の署名または押印がある私文書は真正に成立したものと推定すると定めています。製本して境目に契印を押しておくことで、文書のつながりと作成の真正を示しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
Q. 契約書を印刷するときのレイアウトはどうすればいいですか?
A. 契約書の印刷は、1枚に1ページずつ印刷するのが一般的で、ページ数が多い場合はA3用紙に2ページを割り付けて袋とじ印刷する方法もあります。A3の袋とじ印刷にすると枚数が減り、製本やとじ込みの手間を抑えられます。いずれの場合もページ番号を振っておくと、差し替えの防止と抜け漏れの確認に役立ちます。
Q. 電子契約なら製本や割印は不要になりますか?
A. 電子契約を使えば、紙の契約書そのものを作らないため、製本・契印・割印・郵送といった作業はすべて不要になります。契約は法令に特別の定めがある場合を除いて方式が自由とされており(民法第522条第2項)、電子データで取り交わした契約も有効に成立します。電子署名とタイムスタンプで作成者と改ざんされていないことを示すため、紙の製本・押印が担っていた役割を電子的に果たせます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:民法|e-Gov法令検索
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松嶋真倫
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