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契約書の割印、上下どちらを相手に渡す?マナーと甲乙の押し方

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電子契約システム比較表(2026年版)

取引先と取り交わす契約書を2部作り、両方にまたがるように割印を押し終えたあと、「上と下、どちらを相手に渡せばいいのか」と送付の手が止まることがあります。相手が目上の方やお客様だと、渡す向きで失礼にならないか、よけいに気になるものです。

結論から言えば、上下どちらを渡すかに法律やマナー上の明確な決まりはありません。本記事では、迷ったときの無難な渡し方と、その向きで契約の効力が変わらない理由を整理します。

あわせて、「割印 上下」という言葉のもう一つの意味にあたる押す位置と甲乙の重ね順、割印と契印の違いや失敗したときの対処、さらに割印そのものが不要になる電子契約という選択肢まで解説します。

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【結論】割印を押した契約書、上下どちらを相手に渡す?

先に結論です。割印を押した2部は内容がまったく同じなので、上下どちらを相手に渡しても契約上は支障ありません。渡す向きに法律上の決まりも公的なマナーの定めもなく、どちらを渡しても相手に失礼になることはないため、安心して送って差し支えありません。

それでも目安がほしいときのために、「割印の上側がかかった1部を相手に渡すと無難」という言い伝えもあります。ただしこれは契約書を多く扱う部署などで聞かれる慣習にすぎず、公的な根拠はありません。向きで優劣が生まれるわけではないので、迷ったら気にせずに渡して問題ありません。自社の規程や取引先の慣行で向きが決まっている場合は、それに合わせるのが確実です。

控えは本来どちらのもの?「甲控→甲・乙控→乙」という分け方

ここで、「割印の向き」と「どちらの控えを誰が持つか」は、本来は別の話だという点を整理しておきます。

契約書を2部作る場合、一方は自社の控え、もう一方は相手方の控えです。甲の控えは甲(自社)、乙の控えは乙(相手方)が持つという分配で決まり、どちらの紙に割印の上側がかかっているかとは関係ありません。控えを誰が持つかは、渡す向きの話とは切り離して考えれば大丈夫です。

渡す向き・押し間違いで契約の効力は変わらない

ここからは、渡す向きや押し間違いを心配しなくてよい理由を、公的な資料で確認します。安心して契約書を取り交わすための裏づけになります。

そもそも契約は、当事者の意思が合致した時点で成立します。書面を作ることや、その書面に押印することは、法律で特別に定められた場合を除き、契約の成立に必要な要件ではありません。内閣府・法務省・経済産業省がまとめた「押印についてのQ&A」も、この点を次のように整理しています。

私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

出典:押印についてのQ&A(令和2年6月19日)問1|内閣府

民法でも、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式は必要ないと定められています(民法第522条第2項)。割印はこの「押印」の一種で、しかも法律で義務づけられたものではありません。したがって、上下どちらを渡しても、仮に逆さまに押してしまっても、契約そのものの効力には影響しません。

それでも押印が広く行われているのは、後から「本人が作成した文書だ」と示しやすくする証拠の役割があるためです。民事訴訟法第228条第4項も、私文書に本人(またはその代理人)の署名か押印があれば、その文書は真正に成立したものと推定すると定めています。本人の印影があれば本人の意思で押されたと推定され、それを足がかりに文書全体が真正に成立したと推定されます。この2段階の仕組みは「二段の推定」と呼ばれます。

ただしこれは契約書を作成した本人の印についての仕組みで、割印そのものの効力を定めたものではありません。割印は複数の契約書の結びつきを示す慣習的なもの、と捉えておけば十分です。

出典・参考資料(2件)

【補足】「上下」のもう一つの意味=割印を押す位置と甲乙の重ね順

「割印 上下」は、押したあとの渡す向きではなく、押す位置や甲乙の重ね順を指して調べる場合もあります。自分の押し方が合っていたかを確かめたい方のために、位置と重ね順を整理します。位置や重ね順も法律上の決まりはなく、いずれも慣習です。

2者契約(甲・乙)の押し方

割印は、契約書の上部の余白に押すのが一般的です。2部の契約書は、上端を1〜2mmほどずらして重ね、両方の紙に印影がかかるように、その段差の中心へ押します。縦に重ねるときは上に甲・下に乙、横に並べるときは左に甲・右に乙とするのが一般的な順序とされています。

この重ね順も慣習であり、上下を入れ替えても契約の効力には関係しません。きれいに押すには、捺印マットを敷き、朱肉を印面になじませてから押します。印鑑を垂直に下ろして手のひら全体で均等に力をかけ、最後にまっすぐ持ち上げると、印影が鮮明に残ります。

割印に使う印鑑は、契約書の署名・記名に使った印鑑と同じである必要はなく、認印でもかまいません。当事者が複数いる契約では、原則として契約書に押印した当事者それぞれの印鑑で割印を押します。

3者契約(甲・乙・丙)の押し方

契約書が3部になるときは、3枚を少しずつ階段状にずらして重ね、すべての紙面に印影がまたがるように押します。重ねる順序は、縦なら上から甲・乙・丙、横なら左から甲・乙・丙とするのが一般的ですが、これも慣習で効力には影響しません。紙の枚数が増えて一度に押しにくい場合は、1部目と2部目、2部目と3部目というように、ペアを分けてそれぞれまたがせる方法でも、全部の書類を関連づけられます。

甲乙丙3者の並べ方や収入印紙との関係まで含めて、割印を押す位置と押し方を図解で詳しく確かめたい場合は、こちらの記事で掘り下げています。

割印と契印の違い・失敗したときの対処

割印と混同されやすいのが「契印(けいいん)」です。次回のために、両者の違いと、押すときに失敗した場合の対処も押さえておきましょう。

割印と契印の違い

割印は、契約書の正本と副本のように、別々に存在する複数の書類が同じ内容で結びついていることを示すために、2部以上の書類をまたいで押します。契約書の差し替えや、内容の異なる書面の取り違えを防ぐ目的です。

一方の契印は、1つの契約書が複数ページにわたるときに、ページの連続性を示すために押す印です。ホチキス留めなら見開きの綴じ目、袋とじなら製本テープと表紙の境目にまたがるように押し、ページの抜き取りや差し込みを防ぎます。1冊の中で使うのが契印、別々の書類の間で使うのが割印、と整理すると分かりやすいでしょう。

契約書まわりで使う印には、このほかに収入印紙と書面の境目にまたがって押す「消印」(印紙の再使用を防ぐためのもの)や、記載を訂正するときの「訂正印」もあります。いずれも割印とは目的が異なるので、混同しないようにしておくと安心です。

割印と契印の違いを2つのボックスで対比した図。割印は、別々に存在する複数の書類が同じ内容であることを示す印で、2部以上の書類をまたいで押し、差し替え・取り違えを防ぐ。契印は、1つの契約書が複数ページにわたるときの連続性を示す印で、綴じ目や製本テープの境目にまたいで押し、ページの抜き取り・差し込みを防ぐ。

かすれ・ズレ・押し忘れの対処

印影がかすれたりズレたりした場合は、失敗した印影の上から重ねて押し直すのではなく、すぐ隣の余白に改めて正しく押します。二重線や訂正印を加えると、かえって書類を汚し、見た目の不信につながるため、基本的には不要です。

印鑑の上下を逆さまに押してしまった場合も、前述のとおり向きは契約の効力に関係しないため、押し直しは必須ではありません。見た目が気になるときだけ、すぐ隣の余白に正しい向きで押し直せば十分です。

押し忘れたまま相手に送ってしまったときは、担当者に連絡して返送を依頼し、割印を押してから送り直すのが確実です。返送が難しい場合は、相手方の了承を得たうえで割印なしで進める判断もあり得ます。前述のとおり、割印が無くても契約そのものは有効です。

紙の割印が不要になる電子契約という選択肢

ここまで見てきた割印の悩みは、そもそも紙で契約書を2部作ることから生じています。契約を電子化すると、この前提ごと無くせます。

電子契約では、1つの契約データに双方が電子署名とタイムスタンプを付与して締結します。紙のように原本を複数部そろえる必要がないため、2部を印刷して製本し、きれいに重ねて割印を押し、郵送する、という一連の作業そのものがなくなります。割印の向きで迷うことも、押し間違いを心配することもありません。

文書が本人の意思で作られたことを示す手段としても、電子契約は公的に位置づけられています。前出の「押印についてのQ&A」は、文書の成立の真正を証明する方法の一つとして、電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログインIDや日時、認証結果などを記録・保存できるサービスを含む)を挙げています。紙の押印・割印に代わる締結手段として、裏づけのある選択肢だといえます。

出典・参考資料(1件)
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ここからは、紙の割印・押印・郵送の手間を無くせる電子契約サービスを紹介します。まずは主要サービスの署名方式と料金を見比べてみましょう。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサイン
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子署名タイプ立会人型(標準)
当事者型(マイナンバーカード署名)
立会人型・当事者型
(ハイブリッド署名も可)
月額費用11,000円〜(有料プラン・税抜)8,800円〜(有料プラン・年間契約・税抜)
送信料220円/件(税抜)立会人型100円/件・当事者型300円/件(税抜)
無料プランあり(1名・月2件まで。電子署名+タイムスタンプ利用可)あり(1名・月5件まで。契約印タイプのみ)
電子帳簿保存法対応対応(認定タイムスタンプ標準付与・検索要件対応)対応(JIIMA認証取得=契約印&実印プラン)
導入実績導入250万社以上
累計送信4,000万件超
導入350万社以上
累計送信5,000万件
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※2026年10月時点の各社公式サイトの情報によります。料金はいずれも税抜です。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインの公式サイト

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。書類のアップロードから電子署名・タイムスタンプの付与、締結後の保管・検索までをオンラインで完結でき、印刷・押印・郵送を不要にします。

標準の署名方式は、提供者が当事者の指示にもとづいて署名する事業者署名型(立会人型)です。認証局での事前の本人確認が要らないぶん相手方も含めて導入しやすく、2023年からはマイナンバーカードで契約当事者本人が署名する方式にも対応しています。

導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件を超えると公式サイトで公表されています(2026年9月時点)。公式サイトでは、株式会社富士キメラ総研の調査(2025年版・電子契約ツール部門、2024年度実績)を根拠に国内シェア首位と表記しています。

出典・参考資料(1件)

料金はLightプランが月額11,000円、Corporateプランが月額28,000円、送信1件あたり220円(いずれも税抜)で、無料で試せるフリープランも用意されています。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインの公式サイト

署名方式の幅広さを重視するなら、電子印鑑GMOサインが選択肢に入ります。GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供するクラウド型の電子契約サービスです。

立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、1つの契約の中で両者を使い分ける「ハイブリッド署名」も選べます。契約の重要度や相手方の事情に応じて、手軽さと本人性のバランスを調整できるのが持ち味です。

導入実績は350万社以上、累計送信件数は5,000万件と公式サイトが公表しています(公表時点の明示はありません)。料金は有料プランが月額8,800円から(年間契約・税抜)、送信料は立会人型100円・当事者型300円(いずれも税抜)で、送信上限5件までの無料プランもあります。

ここで取り上げた2サービス以外にも電子契約システムは多数あり、料金体系や署名方式、対応業務の広さは各社でかなり異なります。無料プランの有無やタイプ別の選び方まで含めて全体を比較し、自社に合う一社を探したい方は、以下の記事もご覧ください。

まとめ

割印を押した契約書は、上下どちらを相手に渡しても法律上もマナー上も問題ありません。迷ったときは、割印の上側がかかった1部を相手に渡しておくと無難です。渡す向きや押し間違いで契約の効力が変わることはないため、安心して取り交わして差し支えありません。

押す位置や甲乙の重ね順も慣習にすぎず、効力とは無関係です。毎回の押印や郵送の手間、向きへの気づかいをまとめて無くしたい場合は、各サービスの資料で署名方式や料金を見比べたうえで、割印そのものが要らなくなる電子契約への切り替えを検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 割印を押した契約書は、上下どちらを相手に渡すのが正しいですか?

A. 割印を押した契約書は、上下どちらを相手に渡しても構わず、どちらを渡すかに法律上・マナー上の明確な決まりはありません。強いて言えば、割印の上側がかかった1部を相手に渡しておくと無難とする実務慣習があります。自社の規程や取引先の慣行で向きが決まっている場合は、それに合わせると確実です。

Q. 割印を押す位置や甲乙の重ね順に、法的な決まりはありますか?

A. 割印を押す位置や甲乙の重ね順に、法的な決まりはなく、いずれも慣習です。2者契約では縦に重ねるなら上に甲・下に乙、横に並べるなら左に甲・右に乙とするのが一般的な順序ですが、入れ替えても契約の効力には影響しません。

Q. 割印が押されていないと、契約は無効になりますか?

A. 割印が押されていなくても、契約そのものは有効です。契約は当事者の意思が合致した時点で成立し、書面への押印は特段の定めがある場合を除いて契約の成立に必要な要件ではないためです(民法第522条第2項、内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」)。押し忘れて発送してしまった場合は、返送を依頼して押し直すのが確実ですが、相手方の了承を得て割印なしで進める判断もあり得ます。

出典・参考資料(2件)

Q. 割印と契印は、どちらも押す必要があるケースはありますか?

A. 割印と契印は役割が異なり、書類の構成によっては両方を押すことがあります。割印は別々に存在する複数の書類が同じ内容であることを示す印、契印は1つの契約書が複数ページにわたるときのページの連続性を示す印です。複数ページにわたる契約書を2部取り交わす場合は、各部の綴じ目に契印を押し、2部の間に割印を押す、というように両方を使うことになります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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