社用車の給油代を社員が立て替え、月末にレシートを集めて精算する作業に手間を感じていませんか。設立して間もない会社や個人事業主の場合、法人クレジットカードの審査に通るか不安で、給油専用のカードを作りたくても一歩を踏み出せないことがあります。
法人ガソリンカードには、クレジットカード会社の審査を通さずに作れるタイプがあります。事業協同組合が組合員向けに発行する給油専用カードが代表例で、クレジット機能を持たないため、信用情報や決算書をもとにした与信審査がありません。新設法人や個人事業主でも、社用車の給油代の支払いと管理をまとめられます。
本記事では、審査なしで作れる法人ガソリンカードについて、審査が不要な仕組み・費用の構造・対応するガソリンスタンドの系列・申し込みの流れを整理し、主要な発行元やカードを横並びに比較します。あわせて、審査なしで給油にも使えるチャージ式の法人カードや、審査がある石油元売り系のカードとの違いも解説します。自社に合う一枚を選ぶための判断材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合うタイプを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。あわせてご利用ください。
目次
本記事の対象範囲
この記事は、社用車の給油代を支払うカードを、クレジットカード会社の審査を通さずに作りたい事業者に向けた内容です。設立直後で決算書がない、信用情報に不安がある、といった理由で法人クレジットカードの審査に通るか不安な場合でも、給油代の支払いと経費管理をまとめる方法を具体的に整理します。
年会費や還元率、会計ソフトとの連携まで含めて法人カード全般を広く比較したい場合は、審査なしという条件を外した記事もあわせてご覧ください。
法人ガソリンカードは審査なしで作れる?審査が不要な仕組み
結論として、法人ガソリンカードは審査なしで作れます。ただし「審査なし」とは、クレジットカード会社による与信審査がないという意味で、発行元が何も確認しないわけではありません。ここでは、なぜ審査が不要なのか、どのカードが該当するのかを整理します。
クレジット審査あり型となし型の違い
法人向けの給油カードは、大きく2種類に分かれます。1つはクレジットカード会社が発行する給油カードで、カードで給油した代金をカード会社が立て替えて後日まとめて請求する仕組みです。立替払いが前提のため、申込時に会社の信用情報や経営状況をもとにした与信審査があります。
もう1つが、事業協同組合が組合員向けに発行する給油専用カードです。クレジット機能を持たず、給油代は後日まとめて口座振替で支払う仕組みのため、クレジットカード会社の与信審査がありません。審査なしで作れる法人ガソリンカードは、主にこのタイプを指します。発行元であるETC協同組合は、給油カードについて次のように案内しています。
※クレジットカードではないため、クレジット会社による審査はありません。
出典:法人ガソリンカード|ETC協同組合
カードお届けには組合規定の審査がございます。組合規定によりご要望にお応えできない場合があります。あらかじめご了承ください。
ここで読み取れるのは、「クレジットカード会社の審査はないが、組合規定に基づく確認はある」という点です。信用情報や決算内容をもとにした与信審査ではないため、新設法人や個人事業主でも申し込みやすい一方で、組合の加入要件を満たす必要はあります。審査が一切ないわけではないと理解しておくと、申し込みの際に迷いません。
そもそも事業協同組合が給油カードを発行できるのは、組合員が燃料を共同で購入する「共同購買」が、法律で認められた共同事業にあたるためです。中小企業等協同組合法は、事業協同組合が行える共同事業の1つとして「購買」を定めています。
給油カードは、組合員がこの共同購買の仕組みを使って給油するための手段という位置づけです。信販会社が利用者に与信してカード決済を立て替えるクレジットカードとは、商品の成り立ちが異なります。
出典・参考資料(1件)
「協同組合型=審査なし」とは限らない|審査・保証金が必要な例外への注意
注意したいのは、事業協同組合が発行するカードであっても、必ず審査なしとは限らない点です。組合によっては、申し込み時に独自の審査を設けていたり、出資金とは別に保証金を求めたりする場合があります。
たとえば東日本ビジネス交流協同組合のガソリンカードは、協同組合型でありながら申し込み時に審査があることを明記しています。
お申込にあたり審査がございます。審査結果によってはご希望に添えない場合がございます。
出典:ガソリンカード|東日本ビジネス交流協同組合
同組合の場合、組合員になるための出資金10,000円に加えて、カード1枚ごとに保証金20,000円が必要です。この保証金は、脱退時に返金される出資金とは性格の異なる預り金で、審査なしで作れる組合型のカードにはない追加の負担になります。
「協同組合だから審査なし」と思い込まず、申し込み前に各発行元の案内で、審査の有無と保証金の要否を確認しておくことが大切です。
一般の法人クレジットカードとの違い
一般の法人クレジットカードは、給油のほか備品の購入や出張費など幅広い支払いに使え、利用額に応じたポイント還元や会計ソフトとの連携といった機能も備えています。その反面、カード会社の与信審査があり、設立直後の会社や個人事業主は審査に通りにくいことがあります。
一方、審査なしの法人ガソリンカードは、使いみちが給油(一部はメンテナンスなど)に限られる代わりに、与信審査なしで作れます。給油代の支払いと管理に用途を絞り、審査のハードルを下げたいなら前者、幅広い経費を1枚にまとめたいなら後者、という使い分けになります。両者は二者択一ではなく、給油専用カードと法人クレジットカードを併用する運用も可能です。
審査なしで作れる法人ガソリンカードのタイプ
ここからは、審査を通さずに給油代を支払える手段を、3つのタイプに整理します。自社の状況に合うタイプを見極める目安としてご覧ください。

事業協同組合が発行する給油専用カード(クレジット審査なし)
審査なしで作れる法人ガソリンカードの中心となるタイプです。事業協同組合の組合員になり、給油専用のカードを受け取って社用車の給油に使います。クレジット機能がないためカード会社の与信審査がなく、設立直後の会社や個人事業主でも申し込めます。組合員になるための出資金は必要ですが、脱退時に返金されるのが一般的です。給油代は後日まとめて口座振替で支払うため、現金の立て替えや個別精算の手間を減らせます。
チャージ式(プリペイド)で使う法人カード(与信審査なしで給油にも使える)
給油専用ではありませんが、あらかじめ入金(チャージ)した残高の範囲で使うプリペイド型の法人カードも、審査なしで給油に使える選択肢です。残高の範囲で支払う仕組みのため、与信枠を利用しなければ与信審査を申し込む必要がなく、ガソリンスタンドでの支払いにも使えるものがあります。
ただし、給油専用カードのような給油代の割引はありません。
また、ガソリンスタンドでの支払いでは、カード決済時に残高から1円や2円といった少額が仮に徴収されます。差額の返金に時間がかかる場合があることや、利用可能額が一定額を下回ると決済できない場合があることも、公式のサポート情報で案内されています。給油専用カードに縛られず、給油以外の経費もまとめて管理したい場合の選択肢として押さえておくとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
(対比)石油元売り系のクレジット法人ガソリンカード(審査あり)
審査なしのカードと混同しやすいのが、石油元売り系の法人ガソリンカードです。ENEOSやコスモ石油などが信販会社と提携して発行するカードで、年会費が無料のものやクレジット機能を持たない給油専用のものもありますが、いずれも信販会社による与信審査があります。石油元売り系の法人クレジットカードには、JCBなどと提携し、一般のクレジットカードと同様に与信審査を受けて発行されるものがあります。
「クレジット機能なし」と「審査なし」は同じではありません。クレジット機能を持たない給油専用カードでも、信販会社が発行するものには審査があります。審査を通さずに作りたい場合は、このタイプではなく、前述の事業協同組合型やチャージ式が選択肢になります。審査を通せる場合は、対応スタンドや付帯サービスの幅から元売り系も比較対象に入ります。
法人ガソリンカードの費用と支払いの仕組み
ここでは、審査なしで作れる協同組合型を中心に、申し込みから利用までにかかる費用の構造を整理します。比較表の数値を読む前提として押さえておくと、各カードの違いが掴みやすくなります。
出資金(脱退時に返金されるか)
協同組合型のカードを作るには、組合員になるための出資金が必要です。この出資金は、信用力を担保するための保証金ではなく、組合員が出資一口以上を持つという、法律で定められた出資にあたります。金額は1万円程度に設定している組合が多く見られます。
出資金は、組合を脱退するときに返金されるのが原則です。中小企業等協同組合法は、脱退した組合員が持分の払戻しを請求できると定めています。ただし払戻しは「定款の定めるところにより」「その持分の全部又は一部」とされており、組合の財産状況や定款によっては全額とは限りません。返金の条件は各組合の定款によるため、申し込み前に確認しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
発行手数料・年間手数料
カードの発行手数料や年間手数料は、発行元によって扱いが分かれます。協同組合型の給油専用カードには、出資金のほかに発行手数料・年間手数料がかからないものがあり、継続して保有するうえでの負担を抑えられます。
同じ組合でも、給油カードとETCカードで手数料体系が異なる場合があるため、給油カードの費用だけを確認するときは、ETCカードの手数料と取り違えないよう注意しましょう。各カードの具体的な金額は、後述の比較表で確認できます。
事務手数料と給油価格(組合価格)の考え方
協同組合型では、同じ組合が発行するETCカードの走行料金には一定率の事務手数料がかかりますが、給油専用カードの給油分にはこの事務手数料がかからないものもあります。給油カードの費用を確認するときは、ETCカードの手数料と混同しないよう注意しましょう。
給油価格は、各ガソリンスタンドの店頭価格ではなく、組合が全国で契約した「組合価格」が適用される形が一般的です。全国どの対応店舗でも同じ価格になり、店頭価格より抑えられる場合があります。ただし、具体的な割引率や単価は申し込み後に案内されることが多く、公式サイトに数値が明示されていません。給油量が多い会社は、どれくらい安くなるかを申し込み前に発行元へ確認しておくと確実です。
支払いは後払いの口座振替
協同組合型の給油カードは、1か月分の給油代をまとめて後日、口座振替で支払う後払いの仕組みです。給油のたびに現金を立て替えたりレシートを集めたりする必要がなく、締め日と振替日が決まっているため、経費の計上や資金繰りの見通しも立てやすくなります。締め日や振替日は発行元によって異なるため、自社の締め処理に合うかを確認しておきましょう。
自社に合うタイプを診断する
どのタイプが自社に合うか判断が難しい場合もあります。そのようなときでも、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
【比較表】法人ガソリンカードの審査・費用・対応スタンド比較
ここからは、審査なしで作れるカードを中心に、主要な発行元・カードの審査の有無、出資金や手数料、対応するガソリンスタンドの系列を横並びで比較します。審査を通せる場合に検討できる石油元売り系のカードもあわせて掲載します。各数値は各社の公式情報にもとづいています。
| サービス名 | 法人ガソリンカード(ETC協同組合) | 法人ガソリンカード(高速情報協同組合) | みらいサポート(株式会社未来) | マネーフォワード ビジネスカード | ENEOS BUSINESS | コスモコーポレートカード |
|---|---|---|---|---|---|---|
| クレジット審査なしで作れる | ●組合発行でクレジット審査なし | ●組合発行でクレジット審査なし | ●組合発行でクレジット審査なし(発行は受託先の組合) | △チャージ利用なら与信審査不要(与信枠利用時は審査あり) | ×信販会社発行で与信審査あり | ×信販与信型で審査あり |
| 出資金・初期費用 | 出資金10,000円 (脱退時返金) | 出資金10,000円 (脱退時返金) | 出資金10,000円 (脱退時返金) | 出資金なし (初期費用無料) | 出資金なし (入会金無料) | 出資金なし |
| 発行・年間手数料 | いずれも無料 (発行手数料・年会費) | いずれも無料 (発行手数料・年会費) | いずれも無料 (発行手数料・年会費) | 年会費無料 (1年間未利用時1,000円/税抜) | いずれも無料 (発行手数料・年会費) | 要お問い合わせ (一般/ゴールドのランクあり) |
| 事務手数料(給油分) | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
| 支払い方法 | 口座振替(後払い) 月末締め・翌月末 | 口座振替(後払い) 翌月末払い | 口座振替(後払い) 月末締め・翌月末 | チャージ残高で支払い (与信枠利用時は翌月20日口座振替) | 口座振替(後払い) 締め日・支払日を2通りから選択 | クレジット後払い (口座振替) |
| 対応ガソリンスタンド系列 | アポロステーション (出光・昭和シェル系)約6,400店 | アポロステーション (出光・昭和シェル系)約6,400店 | アポロステーション (出光・昭和シェル系)約6,400店 | Visa加盟のスタンド全般 (給油専用ではない) | ENEOS サービスステーション | コスモ石油SS 全国約4,000店 |
| ETCカード同時発行 | ●同組合のETCカードも発行可(費用体系は別) | ●法人ETCカード等も発行可(費用体系は別) | △受託先組合はETCを扱うが公式に明記なし | △発行可だが与信枠の利用が必須(チャージのみ不可) | ●ENEOS BUSINESS ETCカード(年会費550円) | ●ETCスルーカードN(複数発行可) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の費用・対応状況は各発行元の公式サイトでご確認ください。
法人ガソリンカードの紹介(審査なしで作れるカードと対比の元売り系)
比較表で取り上げた各カードについて、タイプ別に特徴と向いている企業を紹介します。
事業協同組合が発行する給油専用カード(審査なし)
次に紹介する3つは、いずれも出光・昭和シェル系のアポロステーション(全国約6,400店)で使える同系統の給油専用カードで、出資金・手数料・対応スタンドの条件はほぼ共通です。審査なしで作れる協同組合型は、このアポロステーション系列が中心で、ENEOS・コスモ系列を審査なしで使えるカードは選択肢が限られます。
3つの違いは主に申し込み窓口にあります。ETC協同組合と高速情報協同組合はカードを直接発行する組合で、高速情報協同組合は出資金の振込確認後に即日発送手配を案内しています。みらいサポートはこの2組合のカードを取り次ぐ窓口です。高速道路のETCカードも同じ窓口でまとめたい場合は、ETCカードも扱う組合を選ぶとよいでしょう。
1. 法人ガソリンカード(ETC協同組合)

福岡県北九州市に拠点を置く事業協同組合で、組合員向けに給油専用の法人ガソリンカードを発行しています。クレジット機能を持たないためカード会社の与信審査はなく、組合規定にもとづく確認を経て発行されます。全国約6,400店舗のアポロステーション(出光・昭和シェル系)で給油に使えます。
費用は組合員になるための出資金10,000円のみで、年会費・カード発行手数料・事務手数料はかかりません。出資金は脱退時に返金されるのが原則です。給油代は月末締め・翌月末日の口座振替でまとめて支払います。給油価格は毎月末に算出する全国均一の「組合価格」が適用されます(高速道路での給油は金額が異なります)。
申し込みには、法人は6か月以内の履歴事項全部証明書、個人事業主は確定申告書の写しと、いずれも運転免許証・車検証のコピーが必要です。高速道路の利用が多い場合は同組合のETCカードも扱っていますが、ETCカードは走行料金に対する事務手数料など、給油カードとは費用体系が異なります。
2. 法人ガソリンカード(高速情報協同組合)

法人ETCカードやETCコーポレートカードに加えて、給油専用の法人ガソリンカードも扱う事業協同組合です。1993年に設立され、福岡県北九州市に拠点を置きます。給油カードはクレジット機能を持たず、カード会社の与信審査なしで発行されます。対応するのは全国約6,400店舗のアポロステーション(出光・昭和シェル系)です。
給油カードの費用は出資金10,000円(脱退時返金)のみで、年会費・カード発行手数料・事務手数料はかかりません。ガソリン価格は全国平均価格から算出する「組合価格」で、どの店舗で給油しても同じ価格になります。給油代は後払いで、翌月末に口座振替で精算します。
申し込みには、法人は履歴事項全部証明書と代表者の運転免許証、個人事業主は確定申告書と代表者の運転免許証が必要です。公式サイトでは、出資金の振込確認後に即日カードの発送手配を行うと案内しています。高速道路の利用もまとめたい場合は法人ETCカード・ETCコーポレートカードも扱っていますが、これらは走行料金に対する事務手数料など、給油カードとは費用体系が異なります。
3. みらいサポートの法人ガソリンカード(株式会社未来)

みらいサポートは、事業協同組合が発行する法人ガソリンカードを取り次ぐ、株式会社未来の申込窓口です。カード自体を発行するのは受託先のETC協同組合・高速情報協同組合で、申し込んで受け取るのは、これらの組合が発行する給油専用カードです。クレジット機能を持たないため、カード会社の与信審査はありません。
費用は出資金10,000円(脱退時返金)のみで、年会費・カード発行手数料・事務手数料はかかりません。対応するのは全国約6,400店舗のアポロステーション(出光・昭和シェル系)で、給油代は月末締め・翌月末払いの口座振替で精算します。ガソリン価格は毎月末に算出する組合価格が適用されます(高速道路での給油は金額が異なります)。
申し込みには、法人は履歴事項全部証明書と代表者の運転免許証のコピー、個人事業主は確定申告書と代表者の運転免許証のコピーが必要です。Q&Aページや、紛失届・追加申請書といった書類のダウンロードなど、申し込み後の手続きの導線も用意されています。発行の仕組みは受託先の組合に準じるため、どの組合で発行されるかを含め、申し込み前に確認しておくとよいでしょう。
チャージ式で給油にも使える法人カード(与信審査なし)
4. マネーフォワード ビジネスカード(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが発行する、法人・個人事業主向けのVisaブランドのビジネスカードです。事前にチャージした残高の範囲内で使うプリペイド(ウォレット)決済だけを利用する場合は与信審査の申し込み自体が不要で、決算実績のない新設法人や個人事業主でも申し込めます。
ガソリンスタンドでの給油代の支払いにも利用できます。ただし給油専用カードではないため、給油量や利用額に応じて給油代が割引される仕組みはありません。社員による立替精算をなくし、利用明細をマネーフォワード クラウド会計などと連携して経費管理を一本化したい事業者に向いた選択肢です。
ガソリンスタンドで使う際には注意点もあります。公式FAQ(ガソリンスタンドでの利用について)によると、カード決済時にウォレット(口座)から1円や2円程度の少額が一時的に徴収され、差額の返金に2か月程度かかる場合があります。また利用可能額が10,000円未満の場合は決済できないため、給油前に使う分の残高を確保しておく必要があります。
審査を通せる場合に検討できる石油元売り系のカード
5. ENEOS BUSINESS(トヨタファイナンス株式会社)

ENEOS BUSINESS は、信販会社であるトヨタファイナンス株式会社が発行する ENEOS 系列の法人向け給油カードです。クレジット(ショッピング・キャッシング)機能を持たない給油専用カードですが、発行元による与信審査を伴うため、協同組合型の「審査なし」とは仕組みが異なります。
全国の ENEOS サービスステーションで給油でき、ガソリン・軽油は入会したカード発券店と取り決めた契約価格が適用されます。入会金・年会費・発行手数料は無料で、カードごとに給油できる燃料油を指定し、セルフ給油時の誤給油を防げます。
ETC を使う場合は、ENEOS BUSINESS ETC カード(年会費550円)を追加で発行できます。クレジット機能がない給油専用カードのため、従業員への配布や用途の限定に向き、審査を通せる見込みがあり ENEOS 系列で給油する企業が検討先になります。
6. コスモコーポレートカード(コスモ石油マーケティング株式会社)

コスモコーポレートカードは、JCB 法人カードの機能を備えたコスモ石油の提携法人カードです。信販与信型のクレジットカードで、クレジットカードと同様の与信審査があり、協同組合型の審査なし給油専用カードとは性質が異なります。
全国約4,000のコスモ石油サービスステーションで給油でき、利用者に応じて「クレジット機能付カード」と従業員向けの「ガソリン専用カード」を使い分けられます。給油以外の一般決済では、利用合計金額200円(税込)ごとに1ポイントの J-POINT がたまります。
ETC スルーカードN の複数発行やコスモコーポレートハウスカードの同時発行にも対応します。年会費は JCB の案内ページに明記がなく(一般カード・ゴールドカードのランク区分あり)、申し込み前に確認が必要です。クレジット決済・経費管理とコスモ石油での給油を1枚にまとめたい企業が検討先になります。
審査なしの法人ガソリンカードの選び方
審査なしで作れるカードの中から自社に合う一枚を選ぶとき、確認しておきたい観点を整理します。
クレジット審査なしで作れるか、新設法人・個人事業主でも申し込めるか
まず確認したいのが、本当にクレジットカード会社の審査なしで作れるか、そして設立直後の会社や個人事業主でも申し込めるかです。協同組合型でも審査や保証金を設けている発行元があるため、申込ページで「クレジット審査の有無」と「対象となる事業者の条件」を確認しましょう。開業届や登記簿謄本など、どの書類で申し込めるかも、新設法人や個人事業主にとっては重要な判断材料になります。
対応するガソリンスタンドの系列で選ぶ
給油カードは、使えるガソリンスタンドの系列が発行元によって異なります。社用車がよく利用するスタンドや、営業エリアに多い系列で使えるかどうかは、日々の使い勝手を左右します。特定の系列に限られるカードもあれば、複数の系列に対応するカードもあるため、自社の走行範囲とスタンドの分布を踏まえて選びましょう。
出資金・手数料の総額で選ぶ
かかる費用は、出資金・発行手数料・年間手数料・事務手数料の組み合わせで決まります。出資金のみで手数料がかからないカードもあれば、保証金や年間手数料が必要なカードもあります。出資金は脱退時に返金されるのが原則である一方、保証金の扱いは発行元によって異なるため、初期費用と継続費用の両面で総額を見比べましょう。給油量が多い会社ほど、給油価格の条件も含めて総額で判断すると差が見えやすくなります。
ETCカードを一緒に発行できるか
社用車で高速道路を利用する機会が多い場合は、同じ発行元でETCカードも一緒に発行できるかを確認しておくと、給油と高速料金の管理をまとめられます。ただし、給油カードとETCカードでは手数料体系が異なることがあるため、ETCカードを併用する場合は、走行料金に対する手数料もあわせて確認しましょう。
ETCカードそのものも、協同組合型・カード会社発行など入手経路によって審査の有無や費用、割引の仕組みが変わります。審査なしで作れる経路を含めて法人ETCカードを選びたい場合は、入手経路を審査・費用・割引で比較した次の記事が参考になります。
経費管理・不正利用の防止のしやすさで選ぶ
複数の社用車やドライバーがいる場合は、カードを車両ごと・利用者ごとに分けて発行できると、誰がどれだけ給油したかを把握しやすくなります。利用明細がまとまって届くか、対象を給油(や指定した用途)に限定できるかは、私的利用の防止や経費処理の効率に関わります。管理の手間を減らしたい場合は、明細の受け取り方や発行枚数の柔軟さも選定の観点に加えるとよいでしょう。
法人ガソリンカードを導入するメリット
審査なしで作れる法人ガソリンカードを導入すると、給油にまつわる事務や管理の負担を減らせます。主なメリットを整理します。
第一に、給油代の立て替えと個別精算がなくなります。社員が現金やプライベートのカードで立て替え、レシートを集めて精算する手間がなくなり、1か月分の給油代がまとめて口座振替で引き落とされます。経理担当者の突き合わせ作業も軽くなります。
第二に、車両ごと・ドライバーごとの給油状況を把握しやすくなります。カードを分けて発行すれば、どの車両にどれだけ給油したかが明細で分かり、燃料費の管理や配車の見直しに役立ちます。用途を給油に絞れるカードなら、私的な給油やカードの不正利用も防ぎやすくなります。
第三に、審査なしで作れるため、設立直後の会社や個人事業主でも導入のハードルが低い点です。法人クレジットカードの審査に通るか不安な段階でも、給油代の支払いと管理の仕組みを早い段階から整えられます。
導入前に押さえる注意点・デメリット
一方で、導入前に理解しておきたい注意点もあります。期待と実際のずれを防ぐために、次の点を確認しておきましょう。
まず、用途が給油(一部はメンテナンスなど)に限られる点です。一般の法人クレジットカードのように幅広い経費の支払いやポイント還元には使えません。給油以外の経費もまとめたい場合は、法人クレジットカードやチャージ式のカードとの併用を検討するとよいでしょう。
次に、費用の条件は発行元によって差があります。協同組合型には出資金のみで手数料がかからないものがある一方、審査や保証金が必要な組合もあります。給油価格の割引条件が公式に明示されていないことも多いため、給油量が多い会社は、総額や給油価格の条件を申し込み前に確認することが大切です。
また、対応するガソリンスタンドの系列が限られるカードもあります。社用車の走行範囲に対応スタンドが少ないと、給油のたびに遠回りが必要になり、かえって非効率になりかねません。複数の社員にカードを持たせる場合は、利用ルールを決めておかないと私的利用のリスクも残ります。利用明細で用途を確認できる体制とあわせて運用するとよいでしょう。
作り方・必要書類・申込の流れ
審査なしで作れる協同組合型のカードは、おおむね次の流れで申し込みます。発行元によって細部は異なるため、申込ページの案内もあわせて確認してください。
はじめに、発行元の申込フォームやダウンロードした申込書で必要事項を記入します。続いて、事業者であることを確認できる書類を提出します。法人の場合は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)など、個人事業主の場合は開業届や本人確認書類などが求められるのが一般的で、必要書類は発行元によって異なります。
個人事業主の場合、確定申告書の写しを求める発行元もありますが、開業して間もなく確定申告前の段階でも、開業届などの事業確認書類で申し込める発行元があります。決算書がまだ無い設立直後でも、必要書類の条件を確認すれば申し込めるケースが多いので、各発行元の案内で対象となる書類を確かめておきましょう。
その後、組合員になるための出資金を払い込み、組合規定にもとづく確認を経てカードが発行・発送されます。発行元によっては、出資金の入金確認後にカードの発送手配を行うと案内しているところもあります。カードが届いたら、対応するガソリンスタンドで給油に使えます。設立したばかりの会社や個人事業主でも申し込める発行元が多いので、必要書類の条件を確認したうえで申し込みましょう。
まとめ
法人ガソリンカードは、クレジットカード会社の審査を通さずに作れます。中心となるのは、事業協同組合が発行する給油専用カードで、クレジット機能がないため与信審査がなく、設立直後の会社や個人事業主でも申し込めます。出資金は必要ですが脱退時に返金されるのが原則で、給油代は後払いの口座振替でまとめて支払えます。
ただし、協同組合型でも審査や保証金が必要な発行元があり、「クレジット機能なし」と「審査なし」は同じではありません。審査なしで作りたい場合は、各発行元で審査の有無・出資金や手数料・対応スタンドの系列を確認し、自社の使い方に合う一枚を選びましょう。給油以外の経費もまとめたい場合は、与信審査なしで使えるチャージ式の法人カードも選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人ガソリンカードとは何ですか?
A. 法人ガソリンカードとは、社用車の給油代の支払いと管理に特化した、法人・個人事業主向けの給油専用カードです。給油代を1か月分まとめて後払いできるため、社員による立て替えや個別の経費精算をなくせます。発行元には、クレジットカード会社が発行する与信審査のあるタイプと、事業協同組合が発行する審査なしのタイプがあります。
Q. 法人ガソリンカードは審査なしで本当に作れますか?
A. 法人ガソリンカードは、クレジットカード会社の与信審査なしで作れます。中心となるのは事業協同組合が発行する給油専用カードで、クレジット機能を持たないため、信用情報や決算書をもとにした与信審査がありません。
ただし「審査なし」とはクレジットカード会社の審査がないという意味で、組合規定にもとづく確認はあり、発行元が何も確認しないわけではありません。また、事業協同組合でも独自の審査や保証金を設けている例外があるため、申し込み前に各発行元で審査の有無を確認しておくと確実です。
Q. 新設法人や個人事業主でも法人ガソリンカードを作れますか?
A. 設立直後の新設法人や個人事業主でも、審査なしの法人ガソリンカードを作れます。事業協同組合が発行する給油専用カードは与信審査がないため、決算書がない設立直後の会社でも申し込めます。申し込みの際は、法人は履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、個人事業主は確定申告書の写しや開業届などで事業者であることを確認するのが一般的で、必要書類は発行元によって異なります。
Q. 法人ガソリンカードの「クレジット機能なし」と「審査なし」は同じ意味ですか?
A. 「クレジット機能なし」と「審査なし」は同じではありません。クレジット機能を持たない給油専用カードでも、信販会社や石油元売り系が発行するものには与信審査があります。
審査を通さずに作りたい場合は、クレジット機能の有無ではなく、「クレジットカード会社の与信審査がないか」で見分けることが大切です。審査なしで作れるのは、主に事業協同組合が発行する給油専用カードや、チャージ式(プリペイド)で使う法人カードです。
Q. 審査なしの法人ガソリンカードの出資金は返金されますか?
A. 協同組合型の出資金は、組合を脱退するときに返金されるのが原則です。中小企業等協同組合法は、脱退した組合員が持分の払戻しを請求できると定めています。ただし払戻しは「定款の定めるところにより」「その持分の全部又は一部」とされており、組合の財産状況や定款によっては全額とは限りません。
また、出資金とは別に保証金を求める発行元では、その保証金の扱いが異なる場合があります。返金の条件は申し込み前に各組合の定款で確認しておきましょう。
出典・参考資料(1件)
Q. 法人ガソリンカードの支払いはいつ・どのように行いますか?
A. 協同組合型の法人ガソリンカードは、1か月分の給油代をまとめて後日、口座振替で支払う後払いです。給油のたびに現金を立て替えたりレシートを集めたりする必要がなく、締め日と振替日が決まっているため、経費の計上や資金繰りの見通しを立てやすくなります。締め日・振替日は発行元によって異なるため、自社の締め処理に合うかを確認しておくとよいでしょう。
Q. 法人ガソリンカードを使うとガソリン代は安くなりますか?
A. 必ず安くなるとは限りません。協同組合型では、組合が全国で契約した「組合価格」が適用される形が一般的ですが、具体的な割引率や価格は申し込み後に案内されることが多く、公式サイトに数値が明示されていない場合があります。
石油元売り系のカードでは、店頭価格ではなく発行時に取り決めた「契約価格」が適用されるものもあります。給油量が多い会社は、どれくらい安くなるかを申し込み前に発行元へ確認するのが確実です。
Q. 法人ガソリンカードはどのガソリンスタンドで使えますか?
A. 使えるガソリンスタンドの系列は、発行元によって異なります。事業協同組合が発行する給油専用カードは、全国約6,400店舗のアポロステーション(出光・昭和シェル系)などに対応するものがあります。石油元売り系のカードは、ENEOSやコスモ石油など発行元の系列スタンドが中心です。社用車がよく利用するスタンドや、営業エリアに多い系列で使えるかどうかで選ぶと、日々の使い勝手が良くなります。
Q. 法人ガソリンカードと一緒にETCカードも作れますか?
A. 同じ発行元でETCカードも一緒に発行できる協同組合が多くあります。給油と高速料金の支払いを1つの発行元にまとめられるため、管理の手間を減らせます。ただし、給油カードとETCカードでは手数料体系が異なり、ETCカードは走行料金に対して事務手数料がかかる場合があります。ETCカードを併用する際は、給油カードの費用と取り違えないよう、走行料金に対する手数料もあわせて確認しましょう。
Q. 法人ガソリンカードは何枚まで発行できますか?
A. 車両台数や利用状況に応じて複数枚を発行できるのが一般的です。上限枚数は発行元によって異なります。カードを車両ごと・ドライバーごとに分けて発行すると、どの車両にどれだけ給油したかを明細で把握でき、私的利用の防止や経費管理に役立ちます。必要な枚数を発行できるか、追加発行の手続きや費用とあわせて確認しておきましょう。
Q. 法人ガソリンカードを紛失・盗難したときはどうすればいいですか?
A. まず発行元(事業協同組合やカード会社)へすぐに連絡し、カードの利用停止を手続きします。そのうえで、必要に応じて再発行の手続きを進めます。複数枚を発行している場合は、どのカードを紛失したかを特定できるよう、カード番号や利用者の管理台帳を整えておくと手続きがスムーズです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















