経理の仕事を特定の担当者がひとりで抱えていて、その人が休むと請求も支払も止まってしまう。自社の経理が何を・いつ・どの順でやっているのか、全体像を書き出したことがない。こうした状態に心当たりがあるなら、まず着手したいのが「経理業務フロー」の整理です。
経理業務フローとは、経理が担う一つひとつの作業を、発生する順序とともに書き出して流れとして可視化したものです。日々の記帳から月次の締め、年に一度の決算・申告まで、経理の仕事は頻度も担当も異なる作業の積み重ねでできています。これを棚卸しして図にすることで、属人化を解きほぐし、ミスや二重処理を減らし、どこを効率化・外注できるかの当たりがつけられます。
この記事では、まず日次・月次・年次に分けた経理業務の一覧を具体的な作業名で示し、自社の仕事を漏れなく洗い出せるようにします。そのうえでフロー図の作り方と実際のサンプル、整えるメリット、あわせて押さえる制度(電子帳簿保存法・インボイス)、効率化の打ち手の選び分け、そしてどの工程を外注し、どこを内製で残すかまでを順に整理します。
目次
一括ダウンロードする
経理業務フローとは?まず押さえる全体像
経理業務フローは、文章の手順書として書くこともあれば、記号と矢印でつないだフローチャート(フロー図)にすることもあります。どちらの形でも狙いは同じで、頭の中や個人の経験だけにある仕事の流れを、誰が見ても追える共有物に変えることにあります。担当者ごとにやり方がばらついている作業も、一つの流れに整えることで標準化できます。
経理の仕事を整理するとき、多くの現場が使うのが「日次・月次・年次」という頻度の軸です。これは法律で決まった分類ではなく、発生する周期で仕事をまとめる実務上の整理の仕方ですが、毎日繰り返す作業と、月末にまとまって発生する作業、年に一度の大きな作業を分けて捉えられるため、抜け漏れを防ぎやすくなります。次の章では、この頻度の軸に沿って経理の業務を具体的な作業名で洗い出します。
日々の記帳や仕訳は、単なる作業ではなく、会社法が定める「会計帳簿」を作る行為でもあります。会社法第432条は、株式会社に対し「適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定めており、作成した会計帳簿は閉鎖の時から10年間の保存が求められます。日次のフローを整えることは、この義務を無理なく果たすための土台にもなります。
出典・参考資料(1件)
日次・月次・年次でみる経理業務の一覧(お手本リスト)
ここからは、経理の仕事を日次・月次・年次に分けて、具体的な作業名で洗い出します。自社のフローを書き出すときの「お手本リスト」として、抜けている作業がないか照らし合わせてみてください。会社の規模や業種によって担当範囲は変わりますが、まずは全体像を押さえることが、フロー整備の出発点になります。
日次の経理業務
日次の業務は、その日のうちにお金やモノの動きを記録に残す作業が中心です。ためこむと月末の負担が一気に膨らむため、毎日こまめに処理できる流れを作れるかが、月次全体の忙しさを左右します。
| 作業 | 主な内容 |
|---|---|
| 現預金の管理 | 現金出納帳の記入、預金残高の確認、小口現金の精算 |
| 伝票の起票・仕訳 | 日々の取引を会計ソフトに入力し、仕訳として記録する |
| 経費精算の受付 | 従業員から上がる立替経費・交通費の申請を確認し処理する |
| 売上・仕入の記録 | 当日発生した売上伝票・納品や請求のもとになる取引を記録する |
| 入出金の確認 | 振込入金の着金確認、支払予定の確認 |
月次の経理業務
月次の業務は、1か月分の取引を締めて会社の成績を数字にまとめる作業が軸になります。月次決算を早く正確に出せるかどうかは、日次の記帳がどれだけ整っているかに大きく左右されます。
| 作業 | 主な内容 |
|---|---|
| 請求・売掛金管理 | 取引先への請求書発行・送付、入金の消込、未入金の督促 |
| 支払・買掛金管理 | 仕入先・外注先への支払、振込手続き、支払漏れの確認 |
| 給与計算 | 勤怠の集計、給与・社会保険料・源泉所得税の計算、給与明細の発行、振込 |
| 経費の集計 | 1か月分の経費を締め、科目ごとに整理する |
| 月次決算 | 試算表の作成、残高の照合、前月・前年との比較による数字のチェック |
年次の経理業務
年次の業務は、1年の締めくくりとなる決算と、それにもとづく税務申告が中心です。金額も影響も大きく、期限も法律で定められているため、年間スケジュールに組み込んで前倒しで準備する流れを作ることが欠かせません。
| 作業 | 主な内容 |
|---|---|
| 年次決算 | 決算整理仕訳、棚卸、減価償却費の計上、計算書類(貸借対照表・損益計算書など)の作成 |
| 法人税などの申告 | 決算にもとづく法人税・消費税などの申告書の作成・提出 |
| 年末調整 | その年に支払った給与をもとにした源泉所得税の年間の過不足精算 |
| 償却資産申告 | 固定資産の状況にもとづく償却資産税の申告 |
年次決算で作る計算書類の中身は、会社法と会社計算規則に定めがあります。会社法第435条は各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書など)および事業報告・附属明細書の作成を求め、会社計算規則第59条がこれに株主資本等変動計算書と個別注記表を加えています。作成した計算書類は、附属明細書とあわせて10年間の保存が必要です。
決算の次に来る法人税の申告には、法律上の期限があります。法人税法第74条は、申告書を「各事業年度終了の日の翌日から二月以内」に提出しなければならないと定めています。定款の定めなどで決算が間に合わない場合は申告期限の延長を申請する制度もありますが、年次のフローは決算から逆算して2か月以内に申告まで終えることを前提に組むのが基本です。
出典・参考資料(4件)
業務別に見る経理の流れ(購買・販売・資金・決算)
頻度の軸とあわせて、業務の種類ごとに流れを捉えると、どの取引がどの記録につながるかが見えやすくなります。経理の仕事は、大きく次の流れの束として整理できます。
- 購買・支払の流れ:発注 → 検収 → 請求書の受領 → 支払の記録 → 振込(買掛金の管理)
- 販売・回収の流れ:受注 → 納品 → 請求書の発行・送付 → 入金の消込 → 未入金の督促(売掛金の管理)
- 資金の流れ:現預金の出納管理、資金繰りの把握、借入金の管理
- 決算の流れ:日々の記帳の積み重ね → 月次決算 → 年次決算 → 税務申告
頻度の軸(日次・月次・年次)で「いつやるか」を押さえ、業務別の軸で「どの取引がどこにつながるか」を押さえると、自社のフローを立体的に書き出せます。
経理業務フロー図の作り方とサンプル
洗い出した業務を、実際にフロー図へ落とし込む手順を見ていきます。難しく考える必要はなく、順を追って進めれば、自社の経理の流れを一枚の図にまとめられます。
フロー図を作る手順
フロー図づくりは、次の流れで進めます。各段階で「何をアウトプットするか」を意識すると、図が実務で使えるものになります。
- 目的を決める:引き継ぎ用のマニュアルにするのか、ミスをなくすための点検用か、外注の切り分けを考えるためか。目的によって必要な粒度が変わるため、最初に用途をはっきりさせます。
- 業務を洗い出す:前章の一覧を手がかりに、自社で実際に行っている作業をすべて書き出します。アウトプットは、漏れのない作業リストです。
- 粒度をそろえて分解する:「月次決算」のような大きな作業を、残高照合・試算表作成・前月比較といった具体的な手順まで分解します。アウトプットは、誰が読んでも同じ作業を指せるタスクの粒度です。
- 関係者と担当を洗い出す:各作業を誰が行い、誰の承認を通るのかを書き添えます。アウトプットは、作業と担当・承認者の対応です。
- 時系列に並べ替える:洗い出した作業を、発生する順序と頻度(日次・月次・年次)に沿って並べます。アウトプットは、流れとしてつながった作業の列です。
- 図にして、定期的に見直す:並べた流れを記号と矢印でフロー図にします。Excel などの表計算ソフト、PowerPoint などのプレゼンソフト、専用の作図ツールのいずれでも作成でき、まずは使い慣れたソフトで十分です。業務や担当は変わっていくため、作って終わりにせず、半期や年度の節目で見直す前提にします。
フロー図のサンプル(日次/月次/業務別)
手順をイメージしやすいように、代表的な流れをサンプルとして示します。自社の実態に合わせて作業名や担当を差し替えれば、そのまま下敷きに使えます。

- 日次のフロー(例):取引の発生 → 証憑(領収書・請求書)の受領 → 会計ソフトへの入力・仕訳 → 入出金の確認 → 証憑の保存
- 月次のフロー(例):日次仕訳の締め → 請求書発行・送付 → 入金消込 → 支払・振込 → 給与計算 → 試算表の作成 → 残高・前月比較のチェック
- 支払業務のフロー(例):請求書の受領 → 内容・金額の確認 → 担当者の承認 → 支払データの作成 → 振込の実行 → 買掛金の消込
フロー図にすると、「承認が一人に集中している」「同じ数字を二度入力している」といったボトルネックが目で見てわかります。次の章で見るメリットは、この可視化から生まれます。
経理業務フローを整える・見直すメリット
フローを整える手間に見合うだけの効果があるのか。ここでは、経理業務フローを可視化して整えることで得られるものと、逆にフローが整っていないと起きる問題を見ていきます。
フロー整備で得られる4つのメリット
- 属人化の解消:仕事の流れが図として共有されるため、特定の担当者しか分からない状態を解きほぐせます。担当者の休暇や退職があっても、業務が止まりにくくなります。
- ミス・二重処理の削減:作業の順序と承認のポイントが明確になり、入力漏れや同じ処理の重複に気づきやすくなります。
- 業務効率化の起点になる:流れを目で見ることで、手作業で時間がかかっている箇所や、ツールに任せられる箇所が見つかります。
- 引き継ぎ・教育がしやすくなる:フロー図がそのままマニュアルとして機能し、新しい担当者への引き継ぎや教育の時間を短くできます。
業務フローを整理して属人化を解きほぐすという流れは、経理の実務を外部から支える現場でも語られています。経理代行サービスを提供する株式会社ニット(HELP YOU経理)の事業責任者は、フロー整理がもたらす変化について次のように話します。

経理の業務は属人化しているものが非常に多いと感じています。お客様がまず一番に求めているのは、その属人化をなくしたいということです。そのために業務フローを整理してマニュアル化したり、お客様の中に溜まっている慣れや暗黙のやり方を踏まえたうえで、効率化の方法をお伝えしたりしています。企業様によくあるのは、経理の方が月末月初に忙しすぎて何もできない、という状態です。そこを解消して、他のコア業務にリソースを回せるようになるというのが、導入によって生まれる変化だと考えています。
フローが未整備だと起きる課題(見直すべきサイン)
次のような状態に心当たりがあれば、経理業務フローを見直すサインです。
- 経理が特定の一人に集中していて、その人が不在だと支払や締めが止まる
- 月末・月初に作業がまとめて押し寄せ、残業が常態化している
- 同じ数字を複数のシステムや表に手入力していて、転記ミスが起きる
- 経理の専任者がいない、または担当者の経験が浅く、手順が定まっていない
これらは、いずれもフローを書き出して整えることで改善の糸口がつかめる課題です。属人化や作業の集中は、流れを共有し、一部を仕組みや外部に移すことで和らげられます。
フロー整備とあわせて押さえる制度(電子帳簿保存法・インボイス)
経理のフローを見直すときは、書類の保存や消費税の扱いに関わる制度も同時に押さえておくと、作り直しの手戻りを防げます。ここでは、フロー整備と関わりの深い電子帳簿保存法とインボイス制度の要点を、一次情報にもとづいて整理します。
電子帳簿保存法では、メールやインターネットを通じてやり取りした注文書・請求書・領収書などの「電子取引」のデータについて、電子データのまま保存することが求められています。国税庁は、所得税・法人税の保存義務者が電子取引を行った場合、一定の要件のもとでその電磁的記録を保存しなければならないとしています(電子帳簿保存法第7条)。
会計帳簿などを電子データで保存する際にかつて必要だった税務署長の事前承認制度は、令和3年度の改正で廃止されています。
電子取引データを保存する際の原則的なルールは、国税庁の資料で次の3つに整理されています。
① 改ざん防止のための措置をとること(具体的には、次のいずれか:タイムスタンプが付与されたデータを受領/受領したデータにタイムスタンプを付与/訂正・削除の履歴が残るシステム等で授受・保存/改ざん防止のための事務処理規程を策定、運用、備付け)
電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について|国税庁
② 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること
③ 「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できること
ただし、基準期間(2年〈期〉前)の売上高が5,000万円以下の事業者などは、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられれば、③の検索要件を満たす必要はないとされています。中小企業では、この取り扱いが実務上の負担を大きく左右します。
3つの保存区分の違いや、どこまでが義務でどこからが任意か、対応を怠った場合の扱いまで条文に沿って確認しておきたい場合は、次の記事で実務対応まで掘り下げています。
消費税の仕入税額控除については、令和5年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まっています。買い手が仕入税額控除を受けるには、原則として、登録を受けた事業者が交付する「適格請求書(インボイス)」などの保存が必要です。
請求や支払のフローを設計するときは、受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかの確認や、登録番号の管理を流れに組み込んでおくと、月次・年次の処理がスムーズになります。免税事業者などからの課税仕入れに関する経過措置は段階的に縮小されており、具体的な割合や時期は国税庁の最新資料で確認してください。
出典・参考資料(3件)
経理業務を効率化する打ち手と課題別の選び分け
フローを可視化してボトルネックが見えたら、次は効率化の打ち手です。代表的な手段は4つあり、それぞれ効く課題が異なります。まず打ち手の全体像を押さえ、そのうえで自社の課題にどれを当てるかを考えます。
効率化の4つの打ち手
- ペーパーレス化:紙の請求書・領収書を電子化し、保存や検索の手間を減らします。電子帳簿保存法への対応とも重なる打ち手です。
- キャッシュレス化:現金のやり取りを法人カードや口座振込に寄せることで、小口現金の管理や立替精算の手間を減らせます。
- ITツールの導入:会計ソフト・経費精算システム・請求書発行システムなどで、入力や転記の自動化を進めます。
- 経理アウトソーシング(代行)の活用:記帳や支払、請求、決算などの作業を外部の専門会社に任せ、社内の人手を空けます。
このうちITツール導入の軸になるのが、記帳・仕訳の入口となる会計ソフトです。クラウド会計ソフトは製品ごとに自動化できる範囲や料金が異なるため、どれを選ぶかを具体的に検討する段階では、規模・タイプ別に横並びで比べた次の記事が手がかりになります。
自社の課題別にどれを当てるか
4つの打ち手は、すべてを一度に進める必要はありません。自社がいま抱えている課題に合わせて、優先順位をつけるのが現実的です。
| 自社の課題 | 優先したい打ち手 |
|---|---|
| 特定の人に業務が集中し、属人化している | フローの標準化に加え、作業の一部を外注してチェック体制を分散する |
| 取引件数が増え、入力・処理が追いつかない | ITツールで入力・転記を自動化し、手作業を減らす |
| 経理の専任者がいない・採用が難しい | 経理アウトソーシングで実務そのものを外部に任せる |
| 紙の処理やコスト、現金管理の手間を減らしたい | ペーパーレス化・キャッシュレス化から着手する |
このうち「専任者がいない」「属人化を解きたい」という課題は、ツールの導入だけでは埋めきれないことが多く、経理アウトソーシングが有力な選択肢になります。次の章で、外注と内製の切り分け方と、サービスの選び方を具体的に見ていきます。
一括ダウンロードする
外注と内製の切り分け・経理アウトソーシングの選び方
効率化の打ち手の中でも、経理アウトソーシング(経理代行)は、人手そのものを補える点で効果が大きい選択肢です。ただし、何から何まで外に出せばよいわけではありません。ここでは、どの工程を外注し、どこを内製で残すかの考え方と、サービスを選ぶときに見るべき点を整理します。
ただし、外注で期待した効果が出ないケースには共通するつまずき方があります。委託を本格的に考える前に、よくある失敗とその避け方を押さえておくと、このあとの業者選びの目が養えます。
どの工程を外に出し、どこを内製で残すか
作ったフローを見ながら、工程を「判断のいらない定型作業」と「自社でないとできない判断業務」に分けて考えると、切り分けの当たりがつきます。
- 外に出しやすい工程:記帳・仕訳、請求書の発行・送付、入金消込、支払データの作成、給与計算など、ルールが決まっている定型作業。
- 内製で残したい工程:支払の最終承認、資金繰りの判断、予算や投資の意思決定など、自社の経営判断に関わる業務。
定型作業を外に出し、判断業務を社内に残すのが基本の形です。外注する場合も、承認だけは社内の担当者が行う流れにしておけば、お金の最終的なコントロールは自社に残せます。フロー図があると、この「どこで承認を挟むか」を設計しやすくなります。
外に出しやすい工程のうち、まずは記帳・仕訳だけを切り出したいという場合は、記帳代行に絞ってサービスを比べる方法もあります。1仕訳あたりの料金相場や、税理士に頼む場合との違いは次の記事にまとめています。
経理アウトソーシングの対応業務範囲と料金の見方
経理アウトソーシングと一口に言っても、任せられる範囲はサービスごとに差があります。選ぶときは、次の2点を軸に見比べると、自社に合うものを絞り込めます。
- 対応業務範囲:記帳だけなのか、支払・請求・給与計算まで含むのか、決算・申告まで任せられるのか。税務申告は、提携する税理士が担う形か、自社で対応する前提かも確認します。
- 料金の決まり方:月額が固定か、仕訳件数などに応じた従量制か、時間制か。自社の取引量が増えたときにどう変わるかまで見ておくと、後からの想定外を防げます。
対応業務範囲を見比べるときは、税理士と経理アウトソーシングの役割の違いも押さえておくと、どこまでを外に出せるかの見当がつきやすくなります。経理代行を手がける株式会社Wheatの代表は、両者の役割分担について次のように説明します。

税務の専門家である税理士の先生方は、主に決算や税務申告を担われますが、日々の振込作業や請求書発行、細かな業務プロセスの構築などは、一般的に業務範囲外となります。当社は、いわば「企業の中の経理部門」として組織の内部に入り込み、実務を動かしていく立場です。税理士の先生が「外側」から会計・税務をチェックされるのに対し、私たちは「内側」から日々のオペレーションを支えるという役割分担になります。
次の比較表で、代表的なサービスの対応範囲と料金の目安を並べました。自社が任せたい工程に照らして見比べてみてください(料金は各社の公式情報にもとづく目安で、実際の金額は業務量などにより変わります)。
| サービス名 | Tenbook(テンブック) | Wheat Accounting | 請求まるなげロボ | マネーフォワード おまかせ経理 | HELP YOU経理 | メリービズ バーチャル経理アシスタント | CASTER BIZ accounting | Remoba経理 | 記帳代行ドットコム |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応業務範囲 | 記帳・月次・決算書作成・法人税/住民税/事業税/消費税の申告までワンストップ 給与計算はオプション | 記帳・請求書作成・支払・経費精算・給与計算・月次決算 賞与計算/年末調整はオプション、税務申告は連携税理士 | 請求・回収特化(与信審査〜請求書発行・送付〜代金回収〜入金消込〜督促) 記帳・給与・決算は対象外 | クラウド導入支援〜記帳・請求書発行・支払/振込・入金消込・給与/賞与計算・月次試算表作成 決算・税務申告は範囲外 | 記帳・経費精算・請求書発行・給与計算(Basic) 月次/年次決算・資金繰り表・経営判断サポート(Advance) | 経費精算・仕訳入力・請求書発行・売掛買掛管理・月次決算・クラウド会計導入支援 給与計算は対応業務に明記なし | 経費精算・請求・支払・記帳・債権債務管理・月次/年次処理・税理士対応 給与計算は依頼業務例に記載あり | 請求書発行・入金確認・経費精算・支払・月次決算・確定申告補助 給与は別サービス(Remoba労務) | 記帳(仕訳入力・帳簿作成)に特化 決算・確定申告は提携税理士を紹介 |
| 料金の目安 | 初期0円/月額29,500円〜(免税事業者)・43,500円〜(課税事業者)※税別 | 初期費用は要問い合わせ/月額30,000円〜(スモール・初年度価格)・40,000円〜(スタンダード)・60,000円〜(アドバンス) | 初期費用・月額は要問い合わせ/手数料1.0%〜(取引内容により個別算出) | 要問い合わせ(従業員5名で月額10万円の例) | 要問い合わせ(経理プレミアム単独料金は非公開。HELP YOU全体は月10万円〜) | 要問い合わせ(企業規模・業種別の目安を公開、例: 5〜20名で月30〜80万円) | 初期費用は要問い合わせ/月額22.5万〜68万円(税抜、従業員規模・業務量で変動) | 初期費用は要問い合わせ/月額180,000円〜(12ヶ月プラン・15〜50名想定)・200,000円〜(6ヶ月プラン・15名以下想定) | 初期0円/月額5,500円〜(シンプルプラン50仕訳・税込)、超過は1件77円 |
| 契約・利用形態 | 月額定額(仕訳100件超は1件100円の従量加算) | 月額制(作業量に応じた従量課金) 約1ヶ月のテスト運用あり | 月額固定費+従量手数料+請求書郵送費 | 業務量に応じたカスタマイズ見積もり(月額) 運用開始まで最短2ヶ月目安 | 月額定額の時間制(Basic最低45時間/月・Advance最低30時間/月) | 業務範囲に応じた個別見積もり(月額) | 月額制(稼働時間目安30〜80時間/月) | 月額固定(6ヶ月/12ヶ月プラン、30時間超はカスタム見積り) 3ヶ月トライアルプランあり | 仕訳数別の月額(従量)/契約期間の縛り・解約金なし |
| 体制・進め方 | 公認会計士・税理士+原則3名チーム オンライン完結・全国対応 | チーム体制/オンライン完結・全国対応 業務フロー設計から支援 | 提供元が代行/専任担当が3か月の導入支援 オンライン・ダッシュボードで一元管理 | 実務はキャシュモ(MFグループ)が担当/オンライン マネーフォワード クラウドへの切替が前提 | 簿記2級以上のアシスタントのチーム制/オンライン 紙書類はBPOセンターでスキャン対応 | 簿記2級以上のプロ経理チーム制/フルオンライン 導入時に約3ヶ月の業務設計期間 | 実務経験者の完全リモート・専門チーム型 最短3営業日でチーム立ち上げ | 専属コンサルタント+オンラインワーカー/完全オンライン 既存の会計ソフトと連携 | 証憑を郵送/データ送付して委託 AIチェック+専門スタッフの二重体制 |
| 特徴 | 記帳〜税務申告まで月額定額。自社クラウド会計「10book」を無料提供 | クラウド会計導入・業務フロー再設計と運用を一体で提供 | 与信通過した適格債権は売掛金100%保証。督促は弁護士法人対応も | クラウド会計の導入とセットで経理全般を任せられる | 入力代行から経営判断サポートまで段階的に対応 | 会計ソフト40種類以上に対応。必要な業務だけ切り出して委託できる | 経理部の立ち上げから業務外注まで対応。freee・マネーフォワード連携 | 既存ソフトを変えず月額固定で経理を一括委託 | 記帳だけを低コストで切り出せる。上場企業(ビジョン)運営 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※料金・対応業務は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく目安です。プランや取引内容により条件が変わるため、最新の内容は各社の公式資料・サービスページでご確認ください。料金が非公開のサービスは「要問い合わせ」と記載しています。
主要な経理アウトソーシングサービス
ここからは、比較表に挙げたなかでも、資料請求や相談にそのまま進められる代表的な4サービスを個別に紹介します(表のほかのサービスも、対応範囲と料金は上の比較表で確認できます)。「記帳から決算・申告までまとめて任せたい」のか、「請求・回収だけを切り出したい」のかなど、自社が外に出したい工程に合わせて見てください。
ここで取り上げる以外にも経理アウトソーシングは数多くあります。委託できる業務範囲や料金、タイプ別の選び方まで含めてより多くのサービスを比較検討したい方は、次のまとめ記事もあわせてご覧ください。
経理アウトソーシングおすすめ19選を比較|委託できる業務範囲・料金・タイプ別の選び方
経理担当者が一人に偏り、退職や産休で業務が止まってしまう。記帳や支払、経費精算といった定型作業に追われ、決算や資金繰りの分析に手が回らない。そんな悩みを抱える経営者や管理部門の方は少なくありません。 経理業務を外部の専門事業者に委託する「経…
1. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービスが運営する、記帳から決算・税務申告までをオンラインで完結できる経理アウトソーシングです。自社開発のクラウド会計ソフト「10book(テンブック)」を活用し、経理の専任者を置かない中小企業・スタートアップ向けに、原則3名のチーム体制で対応します。契約者には「10book」が無料で提供されます。
料金は、記帳・決算書作成・税務相談・申告書作成を含む形で、免税事業者は月額29,500円から、課税事業者は月額43,500円から(いずれも税別、2026年9月時点)。初期費用はかかりません。税理士事務所が母体のため、記帳から申告までを一本の窓口に任せたい会社に向いています。
2. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

単なる記帳代行にとどまらず、クラウド会計の導入や業務プロセスの再設計といった「仕組みづくり」から継続運用までを一体で提供するのが特徴の経理アウトソーシングです。記帳・請求書作成・支払対応・経費精算・給与計算・月次決算まで経理業務全般に対応し、税務申告は提携税理士、社会保険・労働保険の手続きは提携社労士が担う体制です。
料金は作業量の変動に応じた従量制で、年商や従業員規模に合わせたプランが用意されています。月額は、スモールプランで30,000円から(年商数千万〜1億円・従業員1〜10人程度の目安。初年度のキャンペーン価格として案内)、規模が大きくなるとスタンダード・アドバンスへと段階が上がります。属人化したフローを見直しながら運用まで任せたい場合の有力な選択肢になります。
出典・参考資料(1件)
3. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

経理業務全般ではなく、企業間取引の「請求から回収まで」に特化したアウトソーシングです。与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までをROBOT PAYMENTが代行し、同社の審査で適格債権と判断され与信を通過した債権については、売掛金を100%保証します。請求・回収の工程だけを切り出して任せたい場合に適しています。
費用は、月額固定費と手数料(1.0%〜)、請求書の郵送費(与信通過分は0円)で構成され、具体的な金額は取引内容に応じた個別見積もりです。ただし、保証の対象はあくまで与信を通過した適格債権に限られ、与信を通らなかった取引先の請求は自社で管理する形になります。「未回収をすべて防げる」わけではない点は押さえておきましょう。
4. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

「マネーフォワード クラウド」の導入支援から記帳代行、月次試算表の作成まで、経理業務を幅広くオンラインで任せられる経理代行(BPO)サービスです。対応範囲は請求書の発行・送付、支払管理・振込代行、入金消込、給与・賞与計算、税金納付などに及びます。
経理代行を手がけてきたキャシュモのノウハウをもとに、2025年6月からマネーフォワードブランドで提供されています。クラウド会計と代行を同じブランド内で揃えたい会社に適した選択肢です。
料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりで、公式サイトには従業員5名程度の企業で月額10万円という料金例が示されています。運用開始までは最短2か月が目安で、月次試算表は最短5営業日で作成されます。資料のダウンロードには対応していないため、導入を検討する際はミーティングの予約から相談する形になります。
出典・参考資料(1件)
まとめ:経理業務フローは「洗い出し→可視化→効率化」の順で
経理業務フローを整える出発点は、日次・月次・年次の作業を具体的に洗い出すことです。全体像を書き出してフロー図にすれば、属人化やボトルネックが目で見えるようになり、ミスや二重処理を減らせます。そのうえで、ペーパーレス化・キャッシュレス化・ITツール・経理アウトソーシングという4つの打ち手を、自社の課題に合わせて選び分けていきます。
とりわけ「経理の専任者がいない」「属人化を解きたい」という課題には、定型作業を外に出し、判断業務を社内に残す経理アウトソーシングが有力です。任せたい工程と料金の決まり方を軸に、自社に合うサービスを比べてみてください。
一括ダウンロードする
経理業務フローに関するよくある質問(FAQ)
Q. 経理業務フローとは何ですか?
A. 経理業務フローとは、経理が担う一つひとつの作業を、発生する順序に沿って書き出し、流れとして可視化したものです。日次の記帳から月次の締め、年次の決算・申告まで、誰が・いつ・何を・どのシステムで処理するかを目に見える形にすることで、属人化やミスを減らし、効率化・外注できる箇所を見つけやすくなります。
Q. 経理業務フロー図のテンプレートはありますか?
A. 経理業務フロー図は、決まった公式テンプレートがあるわけではなく、自社の業務に合わせて作るのが基本です。ただし、ゼロから書き起こす必要はありません。本記事で示した日次・月次・支払業務のフロー例を下敷きに、作業名や担当者を自社の実態に差し替えれば、実用的なフロー図を短時間で用意できます。作図ツールが用意する汎用的なフローチャートのひな型を出発点にする方法もあります。
Q. 経理アウトソーシングはどこまで(記帳・支払・請求・決算)任せられますか?
A. 経理アウトソーシングで任せられる範囲はサービスによって幅があり、記帳だけのものから、支払・請求・給与計算、さらに決算・税務申告まで含むものまで分かれます。税務申告は提携する税理士が担う形か、自社で対応する前提かもサービスごとに異なります。まず自社がどの工程を外に出したいかを決め、各社の対応業務範囲と照らし合わせて選ぶと、過不足のないサービスを絞り込めます。
Q. 経理業務フローのうち、外注する工程と内製で残す工程はどう切り分ければよいですか?
A. 切り分けの基本は、ルールが決まった定型作業は外に出し、経営判断に関わる業務は社内に残すことです。記帳・仕訳や請求書の発行、入金消込、支払データの作成などは外注しやすく、支払の最終承認や資金繰り・投資の判断は内製で残すのが一般的です。
迷ったときは、その作業が「手順書どおりに進められるか」で見分けると判断しやすくなります。手順が定まっている作業は外注に向き、その都度の状況判断や社内調整が必要な作業は内製で残すのが目安です。
Q. 電子帳簿保存法で経理業務フローはどう変わりますか?
A. 電子帳簿保存法により、メールやインターネットでやり取りした請求書・領収書などの電子取引データは、電子データのまま保存する対応をフローに組み込む必要があります。国税庁の資料では、原則として、改ざん防止の措置をとること、ディスプレイやプリンタ等で確認できるようにすること、「日付・金額・取引先」で検索できるようにすることが求められています。
ただし、基準期間(2年〈期〉前)の売上高が5,000万円以下の事業者などは検索要件が緩和されます。請求・支払のフローを設計する段階で保存方法まで決めておくと、後からの手戻りを防げます。
出典・参考資料(1件)
経理アウトソーシングの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、経理の記帳・支払・請求・決算を任せられる経理アウトソーシングの最新資料を無料で一括請求できます。対応業務範囲や料金体系を並べて比べられます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















