取引先の売掛金が支払期日を過ぎても入金されず、電話やメールで催促しても反応が鈍い——そうした場面で次の一手になるのが、書面で支払いを求める「督促状」です。ただ、いざ送ろうとすると、何をどう書けばよいのか、普通郵便でよいのか内容証明にすべきか、迷う方も少なくありません。
本記事では、そのまま自社の案件に合わせて使える督促状の例文を段階別に用意し、必ず入れるべき記載項目をチェックリストで整理します。あわせて、督促状・催促状・催告書・支払督促の違い、遅延損害金や法的措置の告知の書き方、内容証明郵便の使いどころ、そして送っても支払われない場合の支払督促・少額訴訟・強制執行までの流れを、費用や申立先とともに解説します。
督促状を一通書いて送れるようになるだけでなく、応じてもらえなかったときに次へ進む道筋まで見通せるよう、順を追って整理します。
目次
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督促状とは?催促状・催告書・支払督促との違い
督促状とは、支払期日を過ぎても入金されない相手に対し、支払いを求めるために送る書面です。やわらかく入金をお願いする「催促状」よりも強い調子で未払いを指摘し、応じない場合は法的措置に進む可能性を示せます。紙で郵送するのが一般的ですが、発信者・受信者と内容が明確であれば、法律上は電子的な手段でも督促としての性質を持ちます。
実務では、支払いを求める書面は目的と段階によって呼び名と役割が分かれます。いま自社が出すべき一通がどれなのかを、次の比較で確認してください。
| 書面・手続き | 主な目的 | 送るタイミング | 法的な効力 | 送付方法 |
|---|---|---|---|---|
| 催促状 | やわらかく入金を促す | 支払期日の直後 | なし | 普通郵便・メールなど |
| 督促状 | 未払いを指摘し支払いを強く求める | 催促に応じないとき | なし(書面自体に強制力はない) | 普通郵便〜内容証明郵便 |
| 催告書 | 最終的に支払いを要求し、時効の完成を猶予する | 督促にも応じないとき・時効が近いとき | 催告として時効の完成を6か月猶予(民法150条) | 内容証明郵便+配達証明が一般的 |
| 支払督促 | 裁判所を通じて支払いを命じてもらう | 書面での督促で回収できないとき | あり(異議がなければ仮執行宣言を経て強制執行の基礎になる) | 簡易裁判所の書記官が債務者へ送達 |
ポイントは、督促状そのものに法的な強制力はなく、支払いを求める意思を明確な記録として相手に届けるための書面だという点です。電話や催促に反応がない段階では督促状を、督促にも応じず時効も意識する段階では内容証明郵便による催告書を、書面で回収できない段階では裁判所の支払督促を、と進めていくのが基本の流れになります。
催告書が持つ「時効の完成猶予」や支払督促の法的な位置づけについては、記事後半で条文とともに詳しく解説します。
督促状に必ず記載する項目(チェックリスト)
ここからは、督促状に書くべき項目を確認します。決まった書式はありませんが、必要な情報が抜けると「どの取引のことか」「いつまでにいくら払えばよいか」が相手に伝わらず、書面としての効果が薄れます。次の項目を一つずつ埋めれば、過不足のない督促状になります。
- 宛先:相手の会社名・部署・担当者名を正式名称で記載します。送り先を特定し、社内で確実に処理してもらうためです。
- 発行日:書面を作成・送付した日付。いつ支払いを求めたかの記録になります。
- 差出人:自社の会社名・住所・部署・担当者名を記載し、記名・押印します。問い合わせ先を明確にし、正式な書面であることを示すためです。
- 表題:「お支払いのお願い」「督促状」など、書面の性格に合わせて付けます。段階が進むほど明確な表題にします。
- 支払いを求める内容:取引内容(請求書番号など)・未払金額・当初の支払期日・新たに設定する支払期限・振込先を具体的に書きます。相手が何をすればよいかを一読で分かる形にするためです。
- 法的措置の告知:期限までに支払いがない場合の対応方針(遅延損害金の加算、法的手続きへの移行など)を記載します。段階に応じて、告知の強さを変えます。
このうち「法的措置の告知」をどう書くと効果的かは、支払要求の具体性とあわせて後述します。まずは、これらの項目を実際の文面に落とし込んだ例文を見ていきましょう。
【段階別】督促状の例文・テンプレート(初回・再送・催告書)
督促は一通で終わるとは限りません。相手の反応を見ながら、丁寧なお願いから始め、応じなければ徐々に調子を強め、最終的には内容証明郵便による催告書へと段階を踏むのが一般的です。ここでは、初回・再送(2回目)・最終(催告書)の3段階の例文を用意しました。〇〇の箇所を自社の案件に合わせて差し替えれば、そのまま送付できます。
初回の督促状(丁寧なお願いのトーン)
最初の一通は、入金の失念や行き違いの可能性も考え、関係を損なわない丁寧な表現にします。表題は「お支払いのお願い」など、やわらかいものが適しています。
令和〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇〇 〇〇部 〇〇 〇〇 様 株式会社△△△△ 経理部 〇〇 〇〇 (記名・押印) お支払いのお願い 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、下記のお取引につきまして、お支払期日を過ぎましてもご入金の確認ができておりません。お手数ですが、ご確認のうえ、下記のとおりお支払いくださいますようお願い申し上げます。 なお、本状と行き違いにご送金いただいておりました場合は、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。 敬具 記 ・ご請求金額:金〇〇〇,〇〇〇円(税込) ・取引内容:〇〇〇〇(請求書番号:No.〇〇〇) ・当初のお支払期日:令和〇年〇月〇日 ・お支払期限:令和〇年〇月〇日 ・お振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通 〇〇〇〇〇〇〇 以上
2回目(再送)の督促状(支払期限と遅延損害金を明示)
初回で反応がない場合は、表題を「督促状」とし、未払いの事実をはっきり指摘します。新たな支払期限を区切り、遅延損害金が発生していること、応じない場合は法的手続きを検討することを明記します。
令和〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇〇 〇〇部 〇〇 〇〇 様 株式会社△△△△ 経理部 〇〇 〇〇 (記名・押印) 督促状 拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、下記のお取引につきまして、令和〇年〇月〇日付で一度お支払いのお願いを差し上げましたが、本日に至るもご入金の確認ができておりません。 つきましては、令和〇年〇月〇日までに下記金額をお支払いくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。なお、お支払期日の翌日以降については、遅延損害金が発生しております。 万一、上記期限までにお支払いおよびご連絡をいただけない場合は、誠に不本意ながら法的手続きを検討せざるを得ませんので、その旨申し添えます。 敬具 記 ・ご請求金額:金〇〇〇,〇〇〇円(税込) ・取引内容:〇〇〇〇(請求書番号:No.〇〇〇) ・当初のお支払期日:令和〇年〇月〇日 ・お支払期限:令和〇年〇月〇日 ・遅延損害金:年3%(令和〇年〇月〇日以降・本日まで約〇〇円) ・お振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通 〇〇〇〇〇〇〇 以上
最終通告=催告書(内容証明郵便・法的措置の告知)
督促にも応じない場合や、時効が近づいている場合は、内容証明郵便で「催告書」を送ります。後述のとおり、催告には時効の完成を一定期間猶予する効果があり、送った事実と内容が記録に残るため、その後の法的手続きの証拠にもなります。表題は「催告書」や「最終通告書」とし、支払期限と、応じない場合に取る法的手段を具体的に示します。
催告書 令和〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 殿 株式会社△△△△ 代表取締役 〇〇 〇〇 (記名・押印) 当社は貴社に対し、下記のとおり売掛金債権を有しておりますが、再三のご請求にもかかわらず、本日に至るまでお支払いいただけておりません。 つきましては、本書面到達後〇日以内(令和〇年〇月〇日まで)に、下記金額および遅延損害金を併せてお支払いくださいますよう、改めてご請求いたします。 万一、上記期限までにお支払いいただけない場合は、支払督促の申立て、訴訟の提起その他法的手続きにより、債権の回収を図る所存です。あらかじめご承知おきください。 記 ・債権の内容:〇〇〇〇に係る売掛金(請求書番号:No.〇〇〇) ・未払金額:金〇〇〇,〇〇〇円(税込) ・遅延損害金:年3%(令和〇年〇月〇日以降・本日まで約〇〇円) ・当初のお支払期日:令和〇年〇月〇日 以上
催告書を内容証明郵便で送る際は、謄本に字数・行数の制限があるなどの体裁上のルールがあります。送付方法の詳細は後述の「送り方とタイミング」で解説します。
督促状の効果を高める要素(遅延損害金と法的措置の告知)
同じ督促状でも、遅延損害金と法的措置の告知の書き方次第で、相手への伝わり方は大きく変わります。ここでは、この2つをどう書くと効果的かを、根拠とあわせて解説します。
遅延損害金は「年率・起算日・概算額」をセットで示す
金銭の支払いが遅れた場合、債権者は遅延損害金を請求できます。民法では、金銭債務の不履行による損害賠償の額は「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」で定めるとされ、債権者は損害を証明する必要がありません(民法419条)。契約で法定利率より高い約定利率を定めている場合は、その約定利率によります。
法定利率は、2026年10月時点で年3%です。民法404条で年3%と定められ、3年ごとに見直される変動制が採られています(2020年4月から2029年3月までは年3%で据え置かれることが確定しています)。かつて商取引の債権に適用されていた年6%の商事法定利率は、2020年施行の改正民法で廃止されているため、約定がなければ売掛金でも年3%で算定します。
遅延損害金は「未払金額 × 年率 ÷ 365 × 遅延日数」で計算します。たとえば100万円を30日延滞した場合、年率3%なら「1,000,000円 × 0.03 ÷ 365 × 30日 ≒ 2,465円」です。督促状には、適用する年率・起算日(支払期日の翌日が一般的)・現時点での概算額を示すと、放置するほど負担が増えることが相手に具体的に伝わります。
法的措置の告知は「実際に取る手段」を具体的に書く
「法的措置を検討します」という一文は、段階が進むほど具体的にするほど効果があります。初回は触れず、2回目で「法的手続きを検討せざるを得ません」と予告し、催告書では支払督促の申立てや訴訟の提起といった実際に取る手段を明記します。
ただし、取る意思のない手段をおどしのように並べるのは避け、実際に進める想定の手段だけを書くのが適切です。次章以降で解説する支払督促・訴訟・強制執行の流れを踏まえ、自社が現実に進められる手段を告知に落とし込みましょう。
督促状の送り方とタイミング(普通郵便・内容証明郵便の使い分け)
督促状は、段階に応じて送付方法を変えるのが基本です。初回・2回目は普通郵便で足りますが、最終段階の催告書は、送った証拠を残すために内容証明郵便を使います。
内容証明郵便は、日本郵便が提供する証明サービスです。公式の説明では、証明する範囲は次のとおりです。
一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
出典:内容証明|日本郵便
ここで注意したいのは、内容証明が証明するのは「いつ・どんな内容の文書を・誰から誰あてに差し出したか」であり、相手に届いたこと(到達)や、内容が真実であることまでは証明しない点です。日本郵便も「証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません」としています。
相手に届いた事実まで証明したい場合は、配達証明を併せて利用します。催告書による時効の完成猶予を確実にするためにも、内容証明郵便と配達証明をセットで使うのが実務上の基本です。
内容証明郵便の加算料金は480円(2枚目以降は1枚ごとに290円増)で、これに基本の郵便料金と一般書留の料金が別途かかります。インターネットで24時間差し出せる電子内容証明(e内容証明)も利用できます。内容証明に切り替える目安は、普通郵便での督促に相手が応じないとき、または時効の残り期間が少なくなってきたときです。
督促状・催告書と時効の関係(完成猶予6か月・消滅時効5年)
売掛金などの債権には時効があり、一定期間が過ぎると請求する権利そのものが消滅します。督促状を送るうえで、この時効の仕組みは必ず押さえておくべきポイントです。
債権の消滅時効は、民法166条で次のように定められています。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
出典:民法 第166条(債権等の消滅時効)第1項|e-Gov 法令検索
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
売掛金は支払期日が契約で決まっており、債権者はその到来を通常把握しているため、実務上は「権利を行使できることを知った時から5年」が先に満了します。売掛金の消滅時効は原則5年と考えておけばよいでしょう。2020年4月施行の改正民法で、以前の商事消滅時効(5年)や職業別の短期消滅時効は廃止され、この166条に一本化されています。
催告(督促状・催告書)による時効の完成猶予は6か月・一度きり
時効が迫っているとき、督促状や催告書を送る「催告」には、時効の完成を一定期間遅らせる効果があります。民法150条は次のように定めています。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
出典:民法 第150条(催告による時効の完成猶予)|e-Gov 法令検索
催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
ここで重要なのは、催告による完成猶予は6か月間だけで、しかも実質的に一度しか使えないという点です。条文の2項が示すとおり、猶予されている間にもう一度催告しても、さらに6か月延びるわけではありません。督促状・催告書は時間を稼ぐ手段にすぎず、時効そのものをリセット(更新)する力はありません。
時効を更新するには、6か月の猶予期間内に、裁判上の請求や支払督促といった手続きへ進む必要があります。民法147条は、裁判上の請求・支払督促などがあれば時効の完成が猶予され、確定判決などで権利が確定したときは時効が新たに進行を始める(=更新される)と定めています。したがって、時効が迫っている債権では、催告書で6か月を確保したうえで、その間に支払督促や訴訟に進むのが正しい順序です。

出典・参考資料(3件)
督促状を送っても払わない場合の法的手段(費用・申立先つき段階フロー)
督促状や催告書を送っても支払われない場合は、裁判所を通じた手続きで回収を図ります。おおまかには「督促状・催告書 → 支払督促 → (異議があれば)通常訴訟/少額訴訟 → 強制執行」という流れで、相手の出方や請求額に応じて使う手段が分かれます。ここでは、それぞれの手続きを費用と申立先とともに整理します。

支払督促(簡易裁判所へ申立て・2週間の異議・仮執行宣言)
支払督促は、裁判所の書類審査だけで相手に支払いを命じてもらえる手続きで、裁判所に出向く必要がありません。裁判所の公式説明は次のとおりです。
金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。
出典:支払督促|裁判所
申立先は、相手方(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官です。債務者が受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、債権者は仮執行宣言を申し立てられ、これが強制執行の基礎になります。ただし、相手が異議を申し立てると通常訴訟に移行する点には注意が必要です。
申立手数料は民事訴訟費用等に関する法律で請求額に応じて定められ、おおむね通常訴訟の訴え提起より低額です。2026年(令和8年)5月21日施行の改正で手数料の体系が変わり、従来別に必要だった郵便費用が申立手数料に一本化されました。
改正後の「手数料額早見表」では、支払督促の申立手数料は、請求額100万円で書面申立て7,700円・電子申立て7,500円、請求額60万円で書面申立て5,700円・電子申立て5,500円です。実際に申し立てる前には、最新の早見表で額を確認してください。
出典・参考資料(2件)
少額訴訟(60万円以下)・通常訴訟
請求額が少額の場合は、少額訴訟が選択肢になります。裁判所の説明では、少額訴訟は「60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続」です。即日に近い形で判決が出る一方、利用は同じ裁判所で1人年10回までに制限され、判決に不服がある場合も控訴はできず異議の申立てに限られます。相手が通常訴訟を求めた場合などは、通常の訴訟に移行します。
請求額が60万円を超える場合や、争いが複雑な場合は通常訴訟で回収を図ります。申立先は、原則として相手方の住所地などを管轄する簡易裁判所(少額訴訟、および請求額140万円以下の通常訴訟)または地方裁判所(請求額140万円超)です。
申立手数料は請求額に応じて決まり、改正後の「手数料額早見表」では、請求額60万円の訴えで書面申立て8,500円・電子申立て7,400円、請求額100万円で書面申立て12,500円・電子申立て11,400円です。
支払督促と同じく、2026年(令和8年)5月の改正で郵便費用が申立手数料に一本化されています。最新額は早見表で確認してください。少額訴訟・通常訴訟の確定判決は、強制執行の基礎になる債務名義(強制執行を申し立てる根拠となる公的な文書)になります。
強制執行(差押えで実際に回収する)
支払督促の仮執行宣言や、訴訟の確定判決などの債務名義を得ても、相手が任意に支払わないことがあります。その場合は、強制執行を申し立て、相手の財産(預金・売掛金・不動産・動産など)を差し押さえて回収します。
強制執行は、差し押さえる財産に応じた執行裁判所(債権差押えなら原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所)に申し立てます。申立手数料は、民事訴訟費用等に関する法律で1件の申立てにつき4,000円の定額と定められており(請求債権額の大小では変わりません)、これに郵便費用が加わります。
どの財産を差し押さえるかを特定する必要があるため、相手の取引銀行や資産を把握しておくと手続きを進めやすくなります。相手の預金口座や資産が分からない場合は、財産開示手続や、裁判所を通じて金融機関などから情報を得る第三者からの情報取得手続で、差押えの対象を調べる方法もあります。
回収可能性や手続きの負担を踏まえ、弁護士や債権回収の専門家に相談しながら進めるのが現実的な場面も多くあります。
出典・参考資料(1件)
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督促の手間と抜け漏れを減らす方法(督促自動化・代行・SMS/オートコール)
ここまで見てきたとおり、督促は一通で終わらず、相手ごとに文面を作り、段階を踏んで送り続ける作業です。取引先が増えるほど、督促状の作成・送付や、何度も続く連絡の抜け漏れが負担になります。
こうした督促業務は、郵送・メール・SMS・電話といったチャネルを自動化したり、丸ごと代行したりするサービスで、手間と抜け漏れを減らせます。督促を尽くしても回収できない場合の法的手続きは前章までのとおりですが、その手前で「督促そのものを仕組みで回す」選択肢を見ておきましょう。
督促のチャネルとしてSMSを使う場合は、送信できる時間帯や文面に守るべきルールがあり、進め方を誤ると違法と判断されることもあります。適法なSMS督促のやり方・時間帯のルール・そのまま使える例文は、次の記事で詳しく解説しています。
次の比較表で、督促の自動化・代行に使える主なサービスを整理します。
| サービス名 | DHKクラウドオートコール | オーロラSMS | SMSマルチPay | 請求まるなげロボ | 債権回収ロボ | Lecto |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社電話放送局 | 株式会社メディア4u | 株式会社ネクスウェイ(アグレックスと連携) | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ROBOT PAYMENT | Lecto株式会社 |
| タイプ | 督促自動化(オートコール) | 督促自動化(SMS配信) | 請求・未収金回収(SMS+決済) | 請求・回収代行(売掛金保証付き) | 督促自動化(多チャネルSaaS) | 督促自動化(債権管理プラットフォーム) |
| 督促チャネル | オートコール(自動音声)・SMS・メール | SMS(双方向対応) | SMS(決済URL付き) | メール・電話・弁護士法人(代行) | メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送 | メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送 |
| 初期費用 | 50,000円〜 | 0円 | 20,000円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 50,000円〜(月1,000応答まで含む) | 0円(送信成功分の従量) | 0円(送信単価20円〜) | 要問い合わせ(手数料1.0%〜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(基本料+督促数の従量) |
| 特徴 | 未入金者へ自動音声で一斉架電。応答分のみ課金(固定21円・携帯32円/件) | 双方向SMSで督促通知。最大2か月の無料トライアルあり | SMS通知から本人認証・決済まで1つの導線で完結。25種類の決済手段に対応 | 請求〜回収・督促を代行。与信通過した適格債権は売掛金を100%保証 | 4チャネルの督促シナリオを契約者名義で自動実行。督促状の印刷〜投函も自動化 | 継続課金・分割払い型の多数債権向け。督促〜入金消込を一元管理 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
1. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールは、自動音声(IVR)で督促の電話を自動発信するクラウドサービスです。あらかじめ用意した未入金者のリストに対し、システムが一斉に架電し、合成音声や録音音声で入金のお願いを流します。在宅率の高い夜間・休日にまとめて発信でき、電話がつながらず連絡が取れない件数を減らせる点が、督促での主な利点です。
料金は初期費用・月額費用とも50,000円〜(月1,000応答まで)で、以降は応答があった分のみ固定電話21円・携帯電話32円(2026年10月時点)の応答課金型のため、郵送のように全件コストがかからない点が特徴です。債権管理システムとAPI連携すれば、対象リストの登録から架電結果の取り込みまで自動化できます。
入金案内をオートコールで自動化するうえで、提供元の電話放送局は、自動化と顧客対応の両立についてこう述べています。

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面もあります。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。
2. オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMSは、支払いのリマインドや督促の通知をショートメッセージ(SMS)で送れる配信サービスです。国内の携帯電話事業者と直接接続する設計で、公式は到達率99.9%(当社検証試験の結果。受信拒否・圏外・電源OFFを除く)としています。
初期費用・月額基本料は0円で、送信に成功した分のみの従量課金(単価は要問い合わせ)、最大2か月の無料トライアルもあるため、督促のSMS運用を小さく試しながら始められます。受信にも対応しており、相手からの支払日の連絡などを受け取れるほか、配信停止URLや承認フローなど、個人情報を扱う運用に向いた管理機能も備えます。導入実績は7,500社以上(2026年6月末時点)です。
督促の連絡手段としてSMSが選ばれる理由について、提供元のメディア4uは、ほかのチャネルとの違いをこう述べています。
連絡手段としては、メールが読まれない、電話に出てもらえない、郵送はコストも時間もかかるといった課題を抱える企業が非常に多いです。その中で、SMSはプッシュ通知で気づいてもらいやすく、最終連絡手段としての確実性が高い点を評価いただいています。
3. SMSマルチPay(株式会社ネクスウェイ)

SMSを使った請求・未収金回収のサービスがSMSマルチPayです。未入金の相手にSMSで請求内容や支払いの案内を送り、メッセージ内のリンクからそのまま支払いへ進む導線をつくれる点が特徴で、郵送や電話が届きにくい相手にも、開封されやすいSMSで接触できます。
ネクスウェイのSMS配信基盤を土台としており、請求から入金までを一つの流れで設計できます。料金は初期費用20,000円〜・月額基本料0円で、送信単価は20円〜です。詳しい機能の範囲は資料で確認するとよいでしょう。
4. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求書の発行から入金確認、未入金時の督促までを一括で代行するのが請求まるなげロボです。自社で毎月行っている請求・消込・督促の作業を任せられるため、督促状を手作業で作って送り続ける負担そのものを外に出せます。
督促は段階に応じて行われ、最終的には弁護士法人による対応まで含めた督促に進む設計です。与信審査を通過した取引については売掛金の保証も用意されています(保証の対象や条件は申込時の確認が必要です)。請求業務の工数削減と未回収リスクの軽減を同時に図りたい場合の選択肢になります。
5. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボは、未入金の督促業務を自動化するクラウドサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)に加え、2026年9月からは郵送を加えた4つのチャネルを組み合わせた督促シナリオを設計し、自動で実行できます。郵送では、督促状の印刷・封入・投函までを自動化し、相手ごとの情報を差し込んだ督促状を一括で発送できるため、手作業で一通ずつ作る手間を省けます。
督促の状況や、相手ごとの受信・返信履歴を一元管理でき、属人化しやすい督促業務を標準化できる点が特徴です。契約者自身の名義で督促を自動実行する仕組みで、料金は要お問い合わせです。
6. Lecto(Lecto株式会社)

債権管理・督促・回収に特化したクラウドプラットフォームがLectoです。保有する債務者データを連携し、メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送の複数チャネルで督促を自動送信し、入金確認や回収状況の管理まで一元化できます。
ローン・クレジット・後払い・サブスクリプション・レンタルなど、継続課金や分割払いで多数の債権を扱う事業者での利用が想定されています。多数の未収債権を抱え、チャネルを使い分けながら督促を標準化したい場合に適した選択肢です。
ここで取り上げたのは督促を自動化・代行するサービスですが、回収そのものを外部に委ねる選択肢(回収代行会社・弁護士・サービサーなど)も含めて検討したい場合もあります。次の記事では、売掛金回収代行サービスを依頼先タイプ別の選び方や費用相場とあわせて比較しています。
まとめ
督促状は、支払期日を過ぎても入金されない相手に、支払いを求める意思を記録として届けるための書面です。まずは丁寧なお願いから始め、応じなければ遅延損害金と法的措置の告知を明記した督促状へ、さらに時効が近い場合は内容証明郵便による催告書へと段階を踏みます。
催告による時効の完成猶予は6か月・実質一度きりのため、その間に支払督促や訴訟へ進むのが正しい順序です。送っても支払われない場合は、支払督促・少額訴訟・通常訴訟を経て強制執行で回収を図ります。
督促を毎回手作業で続けるのが負担であれば、郵送・SMS・オートコールなどの督促を自動化・代行するサービスの活用も検討できます。各サービスの料金や機能は、資料をまとめて取り寄せて比較するのが近道です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 督促状とは何ですか?
A. 督促状とは、支払期日を過ぎても入金されない相手に、支払いを求める意思を記録として届けるための書面です。やわらかく入金をお願いする催促状より強い調子で未払いを指摘し、応じない場合は法的措置に進む可能性を示せます。ただし書面自体に強制力はなく、相手が応じないときは内容証明郵便による催告書や、裁判所を通じた支払督促へ段階を進めていきます。
Q. 督促状は何回送ればよいですか?
A. 督促状の送付回数に法律上の決まりはなく、初回(丁寧なお願い)→2回目(支払期限と遅延損害金を明示)→最終(内容証明郵便による催告書)の3段階で送るのが一般的です。相手の反応を見ながら調子を強め、それでも応じなければ裁判所の支払督促など次の手続きへ進みます。時効が迫っている場合は、同じ督促状を何度も重ねても完成猶予は延びないため、早めに催告書・法的手続きへ移るほうが安全です。
Q. 督促状はメールで送ってもよいですか?
A. 督促状は、発信者・受信者と内容が明確であれば、メールやSMSなど電子的な手段で送っても督促としての効力を持ちます。ただし、いつ・どんな内容を送り、相手に届いたかを後から証明したい場合は、内容証明郵便と配達証明を併用した書面が確実です。初回のリマインドはメール・SMS、最終段階は内容証明郵便、というように場面で使い分けるとよいでしょう。
Q. 督促状はいつ内容証明郵便で送るべきですか?
A. 督促状を内容証明郵便に切り替えるのは、普通郵便やメールでの督促に相手が応じないとき、または時効の完成が近づいているときです。内容証明郵便は「いつ・どんな内容の文書を・誰から誰あてに差し出したか」を日本郵便が証明する制度で、配達証明を併用すれば相手に届いた事実も残せます。
催告による時効の完成猶予を確実にし、その後の法的手続きの証拠を残すためにも、最終段階では内容証明郵便+配達証明を使うのが実務上の基本です。
Q. 督促状の送付にはどれくらい費用がかかりますか?
A. 普通郵便で送る場合は通常の郵便料金のみ、内容証明郵便で送る場合は加算料金480円(2枚目以降は1枚ごとに290円増)に、基本の郵便料金と一般書留の料金が加わります。相手に届いた事実まで残すために配達証明を併用すると、その分の料金がさらに加算されます。インターネットで24時間差し出せる電子内容証明(e内容証明)も利用できます。
出典・参考資料(1件)
Q. 督促状に時効の進行を止める効果はありますか?
A. 督促状や催告書を送る「催告」には、その時から6か月間だけ時効の完成を猶予する効果があります(民法150条)。ただし時効をリセット(更新)する力はなく、猶予は実質一度きりです。時効を更新するには、6か月の猶予期間内に支払督促や訴訟などの裁判上の手続きへ進む必要があります。売掛金の消滅時効は原則5年です(民法166条)。
Q. 督促状を送っても支払われないときはどうすればよいですか?
A. 督促状や催告書を送っても支払われない場合は、裁判所を通じた支払督促・少額訴訟(60万円以下)・通常訴訟を経て、強制執行で相手の財産を差し押さえて回収します。支払督促の申立先は、相手方(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官です。手続きの負担や回収できる見込みの判断に不安があれば、弁護士や債権回収代行サービスへの相談も選択肢になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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