売掛金の入金は先なのに、外注費や仕入れ、給与の支払いは待ってくれない。手元の資金を早く確保したいと考えたとき、売掛金を期日前に現金化するファクタリングは選択肢の一つになります。ただ、いざ調べると「ファクタリング やばい」「危険」「やめとけ」といった言葉が並び、手を出して大丈夫なのかと不安になる方は少なくありません。
結論から言えば、事業者向けのファクタリング自体は違法ではありません。一方で、ファクタリングを装った貸付や、個人の給与を対象にした「給与ファクタリング」など、金融庁が注意喚起している危険な取引が実在するのも事実です。「やばい」という評判は、この適法なサービスと危険な取引が混同されていることから生まれています。
この記事では、なぜ「やばい」と言われるのかを誤解と実在するリスクに分けて整理し、避けるべき取引・悪質業者の見分け方と、安全に使うための優良業者の選び方を解説します。自社が検討している取引が「普通のファクタリング」なのかを見分ける材料としてお使いください。
目次
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ファクタリングは違法ではない——ただし「やばい」取引は実在する
最初に結論をお伝えします。事業者が売掛債権を売却して資金を調達するファクタリングは、法律上は「債権の売買(債権譲渡)」にあたり、違法ではありません。売掛金を回収する権利を第三者に譲り渡すこと自体は、民法が認めている取引です。
金融庁も、ファクタリングを債権の売買契約と位置づけています。融資ではないため、借入金として貸借対照表に計上されることもありません。
一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
また、2020年4月に施行された改正民法では、譲渡を禁止・制限する特約が付いた売掛債権であっても、その譲渡は原則として有効とされています。売掛債権を使った資金調達は、法律上も裏づけられた手段だといえます。
出典・参考資料(1件)
それでもファクタリングがやばいと言われるのは、適法なサービスの周辺に、避けるべき危険な取引が実在するためです。具体的には、ファクタリングを装って貸付を行う「偽装ファクタリング」、個人の給与を対象にした「給与ファクタリング」、そして相場を大きく超える手数料や違法な取り立てを行う悪質業者です。これらは適法なファクタリングとは別物で、関わってはいけません。
つまり、押さえるべきポイントは「ファクタリングそのものが危険」ではなく、「適法なファクタリングと、危険な取引・業者をどう見分けるか」です。以降で、仕組みの基本、やばいと言われる理由、危険な取引の切り分け、悪質業者の見分け方の順に整理していきます。
そもそもファクタリングとは(仕組みと2社間・3社間)
危険な取引との違いを理解するために、まずファクタリングの基本的な仕組みを確認します。ファクタリングは、企業が持つ売掛債権(取引先に代金を請求できる権利)を、支払期日を待たずにファクタリング会社へ売却し、手数料を差し引いた金額を受け取る資金調達の方法です。融資のように返済義務を負う借入ではなく、資産である売掛債権を売る取引である点が特徴です。
契約の形態は、大きく2社間と3社間の2つに分かれます。この違いは、後述する手数料の水準や、取引先に知られるかどうかに関わるため、押さえておくと業者選びの判断がしやすくなります。
- 2社間ファクタリング:利用者とファクタリング会社の2者で契約します。取引先(売掛先)に知られずに資金化できる一方、ファクタリング会社が売掛先へ直接確認できないぶんリスクが高くなり、手数料は上がりやすい傾向があります。
- 3社間ファクタリング:利用者・ファクタリング会社・取引先(売掛先)の3者で契約します。取引先の承諾を得るため資金化まで時間はかかりますが、ファクタリング会社のリスクが下がるぶん、手数料は低く設定されやすくなります。
どちらを選ぶかは、取引先に知られたくないか、手数料を抑えたいか、といった事情によって変わります。仕組みを押さえたうえで、次に「やばい」と言われる理由を見ていきます。
ファクタリングが「やばい」と言われる理由
「やばい」と言われる理由は、制度上の事情から誤解されている面と、実際に注意すべきリスクの2つに分けて捉えると整理しやすくなります。両者を混同すると、適法なサービスまで一律に「危険」と見なして必要な資金調達の機会を逃すことにもなりかねません。

制度上の理由で「やばい」と誤解される面
ファクタリングは債権の売買であり、融資を規制する貸金業法の登録や特別な免許がなくても事業を営めます。参入のハードルが低いぶん、玉石混交になりやすく、それが「怪しい」という印象につながっています。
また、ファクタリングには手数料の上限を定めた専用の法律がありません。融資であれば利息制限法や出資法が金利の上限を定めていますが、真正な債権の売買であるファクタリングにはこれらの上限規制が及ばないためです。この点も「規制が甘くて危ない」と受け取られる一因になっています。
さらに、資金を調達できるという表面的な機能が融資と似ているため、貸金業と混同されがちです。金融庁がファクタリングに関する注意喚起を出していること自体が、「行政が警告するほど危険なのでは」という印象を強めている側面もあります。ただし、この注意喚起はファクタリング全般を否定するものではなく、後述する偽装ファクタリングや給与ファクタリングなど、貸付にあたる取引への警告です。
実際に「やばい」とされるリスク
誤解とは別に、実際に注意すべきリスクも存在します。第一に、参入障壁の低さを悪用した悪質業者・違法業者の存在です。ファクタリングを装って高金利の貸付を行うヤミ金融業者や、相場を大きく超える手数料を請求する業者が確認されており、金融庁も消費者へ注意を呼びかけています。
第二に、使い方によっては経営を圧迫するリスクです。ファクタリングは資金化のたびに手数料がかかるため、資金繰りの根本的な改善をしないまま繰り返し利用すると、手数料負担が積み重なって資金繰りをかえって悪化させることがあります。手数料の水準を把握し、必要な場面に絞って使うことが前提になります。
これらのリスクは、適法なサービスを選び、使い方を管理すれば避けられるものです。次章では、そもそも「ファクタリングではない」危険な取引を具体的に切り分けます。
本当に危険なのはこれ——「ファクタリングではない」やばい取引
「やばい」の実体は、適法な買取型ファクタリングではなく、その名を借りた別の取引にあります。ここでは、実質は貸付・融資でありながらファクタリングを装う危険な取引を切り分けます。自社が検討している契約がこれらに当てはまらないかを、次の対比で確認してください。
| 項目 | 適法な買取型ファクタリング | 危険な取引(実質は貸付) |
|---|---|---|
| 取引の性質 | 売掛債権の売買(債権譲渡) | 実質は金銭の貸付 |
| 対象になる債権 | 事業者の売掛債権 | 個人の給与(賃金債権)※給与ファクタリングの場合 |
| 売掛先が倒産した場合 | 買い戻し不要(ノンリコース)が原則 | 買い戻しを求められる(償還請求権あり・買戻し特約) |
| 法的な扱い | 利息制限法・出資法の上限規制は及ばない | 貸金業に該当し、無登録なら違法 |
| 詳細情報 | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください |
ポイントは、「実質的に貸付と同じ機能を持つか」です。金融庁も、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有すると思われるものは貸金業に該当するおそれがある、としています。以下、代表的な3つの危険な取引を個別に見ていきます。
偽装ファクタリング(実質は貸付=ヤミ金)
偽装ファクタリングとは、契約の形はファクタリングを装いながら、実態は高金利の貸付になっているものです。金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付を行うヤミ金融業者の存在を確認しており、契約書に債権譲渡契約と定めていても、実質が貸付と同様の機能を持つ取引は貸金業に該当するおそれがあるとしています。
ファクタリングとして行われ、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
こうした業者は、貸金業の登録を受けずに実質的な貸付を行っているため違法です。売掛債権の売買という形式をとっていても、後述する償還請求権が付いているなど、実態が貸付であれば貸金業法・出資法・利息制限法の規制対象になります。無登録での貸付は刑事罰の対象であり、契約の名称に関わらず、実態で危険を判断することが大切です。
給与ファクタリング(個人の給与を対象=貸金業に該当)
給与ファクタリングは、個人が勤務先に対して持つ給料(賃金債権)を買い取る形をとるサービスで、事業者の売掛債権を買い取る通常のファクタリングとは別物です。金融庁は、給与ファクタリングを貸金業に該当すると明言しており、利用しないよう呼びかけています。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
最高裁判所も令和5年2月20日の決定で、給与ファクタリングとして行われた金銭の交付は、貸金業法および出資法にいう「貸付け」にあたると判断しました。賃金は労働者へ直接支払われるべきもの(労働基準法24条1項)で、賃金債権を買い取ったとする業者が使用者へ直接請求することは認められません。そのため、実態は労働者への貸付と同じ機能を持つ、という理由です。
本件取引に基づく金銭の交付は、それが、形式的には、債権譲渡の対価としてされたものであり、また、使用者の不払の危険は被告人が負担するとされていたとしても、実質的には、被告人と顧客の二者間における、返済合意がある金銭の交付と同様の機能を有するものと認められる。このような事情の下では、本件取引に基づく金銭の交付は、貸金業法2条1項と出資法5条3項にいう「貸付け」に当たる。
出典:最高裁令和5年2月20日第三小法廷決定(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」掲載の抜粋)
貸金業の登録がない業者がこれを行えば違法です。金融庁は、給与ファクタリングをめぐって、年率換算で数百〜千数百%にのぼる手数料を支払わされたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった悪質な取り立ての被害を受けたりする危険があると注意喚起しています。事業者向けの適法なファクタリングを選ぶうえで、給与ファクタリングには関わらないことが大前提です。
出典・参考資料(2件)
償還請求権あり・買戻し特約(実質は融資)
適法な買取型ファクタリングは、原則として償還請求権のない「ノンリコース」契約です。これは、売掛先が倒産して売掛金を回収できなくなっても、利用者が買い戻す義務を負わないことを意味します。売掛先が支払えないリスクをファクタリング会社が引き受ける対価が、手数料に反映されています。
反対に、売主が債権を買い戻すこととされている、あるいは償還請求権が付いている契約は、実質的に貸付と同じ機能を持つため、貸金業に該当するおそれがあります。金融庁も、契約書にノンリコースの規定があるかといった形式だけでなく、取引の実態に照らして判断されるとしています。契約書に「償還請求権あり」「買戻し」といった条項がないかを、必ず確認してください。
ファクタリングが貸金業に該当するかについては、契約書にノンリコース(売却した売掛債権等が返済不能になっても売却した事業者に返済義務は生じないこと)の規定があるかなどの形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるものですので、注意が必要です。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
裁判所はどんな取引を「違法な貸付」と判断したか
こうした危険な取引が違法と判断された例は、実際の裁判例にも表れています。金融庁は注意喚起のなかで、ファクタリングとして行われた取引が貸金業に該当する(貸付けにあたる、あるいは公序良俗に反し無効とされた)と判断された裁判例と、真正な債権の売買と判断された裁判例の双方を、出所とともに挙げています。
貸金業に該当すると判断された側には、金銭消費貸借契約に準じるものとされた事案(大阪地裁平成29年3月3日判決)や、貸金業法上の貸付けにあたるとされた事案(東京高裁令和3年7月1日判決)、公序良俗に反し無効とされた事案(札幌高裁令和4年7月7日判決)などがあります。給与ファクタリングについては、前述の最高裁令和5年2月20日決定が「貸付け」にあたると判断しました。
共通するのは、契約の名称ではなく、償還請求権の有無や取引の実態によって貸金業に該当するかどうかが判断されているという点です。自社が検討している契約も、名称ではなく実態で見極めることが大切です。
出典・参考資料(1件)
悪質業者を見分けるチェックリスト
ここからは、適法な業者と悪質な業者を、契約前にその場で見分けるためのチェックポイントを整理します。1つでも当てはまる場合は、契約を急がず一度立ち止まってください。各項目に「なぜ危険か」を添えているので、理由とあわせて確認すると判断しやすくなります。

- 手数料が相場から大きく外れている:相場を大幅に超える手数料は、実質的な高金利貸付の疑いがあります。反対に「手数料0%・完全無料」も、別名目で費用を上乗せする手口の可能性があり、注意が必要です。
- 見積書や契約書を提示しない:手数料率・買取額・支払期日が書面で示されない業者は、契約後に条件を一方的に変えたり、不当な追加費用を請求したりする恐れがあります。
- 償還請求権あり・買戻しを求めてくる:売掛先が倒産したときに買い戻しを迫る契約は、実質的な貸付にあたり、貸金業に該当するおそれがあります。原則はノンリコース契約です。
- 会社の実態が確認できない:所在地が架空、固定電話がなく携帯番号のみ、運営会社の情報が公開されていないといった業者は、トラブル時に連絡が取れなくなるリスクがあります。
- 分割返済を持ちかけてくる:ファクタリングは債権の売買であり、返済という概念はありません。「分割返済できる」と説明する時点で、実態は貸付である疑いが濃厚です。
- 違法な取り立てを示唆する:金融庁は、業務の平穏を害するような取り立てが行われるおそれがある場合、恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があると注意喚起しています。強引な取り立てをにおわせる業者は避けてください。
出典・参考資料(1件)
ファクタリング手数料の相場(2社間・3社間の目安)
「手数料が相場から外れているか」を判断するには、まず相場の目安を知っておく必要があります。買取型ファクタリングの手数料は、一般に2社間で10〜20%前後、3社間で1〜9%程度が目安とされます。3社間のほうが低いのは、取引先の承諾を得るぶんファクタリング会社の未回収リスクが下がるためです。
ただし、これはあくまで目安です。実際の手数料は、売掛先の信用力、売掛金の金額、支払期日までの期間、契約形態(2社間か3社間か)によって変動します。信用力の高い取引先の大口債権であれば下限に近づき、少額で取引先に知られたくない2社間なら上限に近づく、というのが実務的な考え方です。これらの相場を大きく超える率、たとえば数十%を提示された場合は、契約せずに一度立ち止まってください。
なお、この後で紹介する会社が公表する「1%〜」「4%〜」といった料率は、条件が良いときの下限にあたる最小値です。実際に適用される率は、売掛先の信用力などによって相場の範囲で決まります。危険のサインになるのは相場を下回ることではなく、相場を大きく上回る率を提示されることだと覚えておくと、下限の数字に惑わされずにすみます。
安全に使うために——優良業者の特徴と困ったときの相談先
危険な業者の見分け方の裏返しとして、安心して利用できる優良業者には共通の特徴があります。契約前に次の点を確かめられる業者を選ぶと、トラブルを避けやすくなります。
- 債権譲渡契約であることが契約書に明記されている:融資ではなく債権の売買であることが書面で明確なら、貸付を装う偽装ファクタリングのリスクを避けられます。
- 運営会社の情報が公開されている:会社名・所在地・代表者・問い合わせ先が明示されていることは、実在する事業者である最低限のサインです。
- 手数料が相場の範囲内で、上限まで開示されている:下限だけでなく上限まで示す業者は、想定外の高い手数料を提示される余地が小さく、比較もしやすくなります。
- 取引実績が豊富で、契約内容を丁寧に説明する:買取実績や取引社数を公開し、メリットだけでなく手数料や条件も説明してくれる担当者であれば、納得したうえで契約を進められます。
それでも不安が残る場合や、悪質業者とのトラブルに直面した場合は、一人で抱え込まず相談窓口を頼ってください。金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)では、違法な金融業者に関する相談を受け付けています。
また、貸金業の登録があると称する業者については、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで登録の有無を確認できます。適法なファクタリングに登録は不要ですが、貸付を装う業者の説明の裏を取る手段になります。悪質な取り立てなど被害が生じている場合は警察相談専用電話(#9110)へ、契約全般の不安は消費者ホットライン(188)や弁護士へ相談してください。
出典・参考資料(1件)
ファクタリングを使うメリットと知っておくべきデメリット
適法なサービスと危険な取引を見分けられれば、ファクタリングは資金繰りの有効な選択肢になります。使うかどうかを判断する材料として、メリットと、あらかじめ知っておくべきデメリットを整理します。
メリットは、資金化のスピードにあります。銀行融資が審査に数週間から数か月かかるのに対し、ファクタリングは条件が整えば最短即日での資金化に対応する会社もあります。借入ではないため担保や保証人が不要で、原則ノンリコース契約であれば、売掛先が倒産しても買い戻しを求められない点も安心材料です。自社が赤字や税金の滞納を抱えていても、売掛先の信用力が十分であれば利用できる可能性があります。
一方でデメリットは、手数料が発生することです。資金化のたびに手数料がかかるため、受け取れる金額は売掛金の額面より少なくなります。また、審査では売掛先の信用力が重視されるため、取引先の状況によっては希望額を資金化できないこともあります。
3社間の場合は取引先の承諾が必要になり、資金化までに時間がかかるほか、取引先にファクタリングの利用を知られる点にも留意が必要です。手数料の負担を踏まえ、必要な場面に絞って使うことが、上手な付き合い方になります。
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安全なファクタリング会社を選ぶ
ここからは、これまで挙げた優良業者の条件——債権譲渡契約であることの明示、運営会社情報の公開、相場内の手数料、豊富な取引実績——を多く満たすファクタリング会社を紹介します。
ただし、手数料の上限や償還請求権の有無をどこまで公式に開示するかは、会社によって異なります。下の比較表で「要問い合わせ」となっている項目は、資料請求や問い合わせで契約前に必ず確認してください。まずは各社の対応方式や手数料、対象を横並びで確認しましょう。
ここで取り上げるのは代表的な数社です。より多くの会社を、選び方・手数料・入金スピード・買取可能額といった観点から幅広く見比べたい場合は、ファクタリング会社を横断的に比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
ファクタリングおすすめ26選を比較|手数料・入金スピード・買取可能額で選ぶ
「取引先への請求は済んでいるのに、入金は翌々月末。仕入れや外注費、人件費の支払いだけが先に来て、手元資金が薄くなる」——売掛取引が中心の事業では、珍しくない場面です。銀行融資は審査に時間がかかり、急な資金需要には間に合わないこともあります。…
| サービス名 | ビートレーディング | PAYTODAY | 入金前払いシステム(JTC) | Mentor Capital |
|---|---|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ビートレーディング | Dual Life Partners株式会社 | 株式会社JTC | 株式会社Mentor Capital |
| 手数料(開示レンジ) | 2社間4%〜/3社間2%〜 (上限は要問い合わせ) | 1%〜9.5% | 1.2%〜10% (非通知契約の場合) | 要問い合わせ (公式サイト非開示) |
| 対応方式 | 2社間・3社間 (注文書にも対応) | 2社間中心 (3社間も案内あり) | 2社間・3社間 (2社間は取引先へ非通知) | 2社間・3社間 |
| 償還請求権 | なし(ノンリコース) | なし(ノンリコース) | なし(ノンリコース) | 要問い合わせ |
| 対象 | 法人中心 (個人事業主は要問い合わせ) | 法人・個人事業主 | 法人のみ | 法人・個人事業主 |
| 買取金額 | 1万円〜7億円(実績) | 10万円〜上限なし | 100万円〜 (上限は売掛金額内) | 数十万円〜1億円 (超過は要相談) |
| 最短入金 | 最短即日 (審査最短2時間) | 最短30分 | 最短即日 | 最短即日 (審査最短60秒) |
| 信頼性の裏づけ | 取引9.1万社以上・累計1,824億円 経営革新等支援機関認定・顧問弁護士公表 | 債権譲渡登記なし・ノンリコースを公式明示 AI審査でオンライン完結 | 累計取扱500億円超・1万件超 ISO/IEC 27001認証 | 取引実績年間3,000件以上 買取率最大98% |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※上記は2026年9月時点で各社の公式サイト・掲載企業インタビューをもとに整理したものです。手数料・買取条件・対象・登記や償還請求権の扱いは個別の売掛債権や契約形態により異なるため、最新の条件と適用可否は各社の資料・公式情報でご確認ください。
いずれも運営会社の実態や契約条件を公式に開示している会社です。以下で各社の特徴を個別に紹介します。紹介する順序は安全性の優劣を示すものではないため、条件は上の比較表とあわせてご確認ください。
ビートレーディング(株式会社ビートレーディング)

株式会社ビートレーディングは、2012年創業のファクタリング専業会社です。取引社数9.1万社以上、累計買取額1,824億円(2026年3月時点)という実績を公表しており、運営実態と取引規模を確認しやすい一社です。
2社間・3社間・注文書ファクタリングに対応し、手数料は2社間で4%から、3社間で2%からと下限を公式に開示しています。買取金額は1万円から7億円までの実績があり、審査は最短2時間です。2社間契約では債権譲渡登記を留保する選択もでき、手続きの負担を抑えられます。
顧問弁護士の起用や経営革新等支援機関の認定など、コンプライアンス体制を公式サイトで公表している点も、安心して相談しやすい材料です。上限の手数料や実際の条件は、資料請求で個別に確認できます。
PAYTODAY(Dual Life Partners株式会社)

独自のAI審査で面談不要のオンライン完結を掲げるのが、Dual Life Partners株式会社が運営するPAYTODAYです。2社間ファクタリングを主軸に、法人だけでなく個人事業主・フリーランスも対象としています。
手数料は1%から9.5%と、下限だけでなく上限まで公式のよくある質問で開示しています。買取金額は10万円からと少額に対応し、初期費用・月額費用はかからず、費用は手数料のみです。上限が10%を下回る点は、想定外の高い手数料を避けたい読者にとって比較しやすい料率です。
公式FAQでは債権譲渡登記を行わないことを明示し、売掛先が倒産しても買い戻す義務のないノンリコース契約である点も公開しています。契約の性質を書面と公式情報で確認しやすく、最短30分での入金にも対応します。
入金前払いシステム(株式会社JTC)

名古屋・東京・大阪に拠点を持つ株式会社JTCは、2社間方式を「入金前払いシステム」と呼び、取引先に知られずに売掛金を早期資金化できる点を中核に据えています。
取引先に通知しない契約の場合、手数料は1.2%から10%と公式の比較表で開示しています。買取金額は100万円からで、手数料や買取率は売掛金の内容によって変動します。対象は法人に限られ、個人事業主・フリーランスは利用できない点に注意が必要です。
情報セキュリティの国際規格であるISO/IEC 27001の認証を取得し、書類はLINEやメールで提出できます。売掛先が破綻しても買い戻しの不要なノンリコース契約で、取引先への非通知を優先しながら条件を詰めたい法人に向いたサービスです。
本文で触れた償還請求権(ノンリコース)を、契約前に利用者へどう説明しているのか。株式会社JTCの池田氏は、MCB FinTechカタログのインタビューで次のように語っています。
特に償還請求権(ノンリコース)の事などの内容を詳しく説明しております。償還請求権とは売掛金を現金化(売却)いただいた後、売掛先の破綻等の理由で売掛金の支払いを受ける事ができなくなった場合でも、当社がお渡しした現金(売掛金の売却代金)をお戻ししていただく必要はございません。
Mentor Capital(株式会社Mentor Capital)

中小企業・法人・個人事業主を対象に、売掛債権の早期資金化を手がけるのが株式会社Mentor Capitalです。請求書や契約書そのものを売買する形の契約で、売掛金の入金期日を待たずに資金を確保できる、ファクタリングの基本に沿ったサービスを提供しています。
ファクタリングは借入れではなく、売掛債権という資産の売却・譲渡による資金調達である、という位置づけを公式に説明しており、最短即日入金にも対応します。少数精鋭の体制を活かし、数字だけでなく取引の継続性や事業の状況まで含めて総合的に審査する点を強みに掲げています。
売掛債権の実在性を確認し、利用者との信頼関係を重視する審査方針を公表しています。一方で、手数料率や償還請求権(ノンリコースかどうか)は公式サイトで明示されていないため、契約前に資料請求や問い合わせで確認しておくと安心です。丁寧なヒアリングを通じて契約内容を説明する姿勢は、初めてファクタリングを利用する事業者にとって相談しやすい選択肢といえます。
繰り返し利用による手数料負担への配慮について、株式会社Mentor Capitalの木方氏は、MCB FinTechカタログのインタビューで次のように語っています。

繰り返しご利用いただくお客様の中には、その分手数料が重なり、通年で見ると負担が大きくなるケースがあります。そのような状況も避けるための配慮をしています。切迫した状況のお客様はどうしても目先の資金繰りに目を奪われがちになりますが、たとえば「1000万円調達してほしい」というお話をいただいたときも、なぜ1000万円必要なのかを伺い、「今回は800万円にして、残りの200万円は次の利用で調達したほうが良い」というように、お客様の財務状況を鑑みたうえでファクタリングのご提案をしています。
まとめ
ファクタリングが「やばい」と言われるのは、適法な債権の売買である本来のサービスと、それを装った危険な取引が混同されているためです。事業者向けのファクタリング自体は違法ではなく、金融庁も債権の売買契約と位置づけています。避けるべきは、偽装ファクタリング・給与ファクタリング・償還請求権ありの契約といった、実質が貸付である取引です。
安全に使うには、契約の名称ではなく実態で判断することが大切です。手数料が相場の範囲か、償還請求権がないか、運営会社の情報や契約書が明確か、といった点を確認し、条件を開示している会社を選んでください。気になる会社があれば資料を取り寄せ、手数料や契約条件を見比べたうえで申し込みを進めましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. ファクタリングは違法ではないのですか?
A. 事業者が売掛債権を売却して資金を得るファクタリングは、法律上は「債権の売買」にあたり、違法ではありません。融資を規制する貸金業の免許・登録がなくても営めますが、これは債権譲渡が民法で認められた取引だからであり、無登録でも合法です。
ただし、ファクタリングを装って貸付を行う偽装ファクタリングや、個人の給与を対象にした給与ファクタリングは貸金業に該当し、無登録なら違法です。適法なサービスか危険な取引かは、契約の名称ではなく実態(償還請求権の有無や手数料の水準)で見分ける必要があります。
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Q. ファクタリングを利用すると取り立てはありますか?
A. 適法なファクタリングは債権の売買であり、利用者が返済を求められたり取り立てを受けたりする関係ではありません。売掛金の回収は原則としてファクタリング会社が行います(2社間契約では利用者が回収して会社へ引き渡す形もありますが、これは融資の返済ではありません)。
一方で、強引な取り立てや違法な取り立てをにおわせる業者は、実態が貸付のヤミ金である疑いが濃厚です。金融庁も、業務の平穏を害するような取り立てには恐喝罪や脅迫罪が成立する可能性があるとして注意を呼びかけています。
出典・参考資料(1件)
Q. 給与ファクタリングと事業者向けのファクタリングは何が違いますか?
A. 事業者向けファクタリングが会社の「売掛債権」を買い取るのに対し、給与ファクタリングは個人が勤務先に対して持つ「給与(賃金債権)」を買い取る、まったく別の取引です。金融庁は給与ファクタリングを貸金業に該当すると明言し、利用しないよう呼びかけています。
最高裁判所も令和5年2月20日の決定で、給与ファクタリングとして行われた金銭の交付は貸金業法・出資法にいう「貸付け」にあたると判断しました。無登録の違法業者が多く、法外な手数料や悪質な取り立ての被害につながるため、関わらないことが大前提です。
出典・参考資料(2件)
Q. 個人事業主やフリーランスでもファクタリングは利用できますか?
A. 事業として売掛債権(請求書)を持っていれば、個人事業主やフリーランスでもファクタリングを利用できます。実際に、法人だけでなく個人事業主・フリーランスを対象とするファクタリング会社もあります。対象や審査のポイントは事業規模によって変わるため、個人事業主・フリーランスに絞った会社選びは個人事業主・フリーランス向けファクタリングおすすめ13選もあわせてご確認ください。
ただし、対象を法人に限定している会社もあるため、申し込み前に利用条件を確認してください。なお、個人の「給与」を対象にする給与ファクタリングは貸金業に該当する別物なので、事業上の売掛債権を買い取る適法なサービスかどうかを見極めることが重要です。
Q. 即日で資金化できるファクタリング会社はありますか?
A. 売掛先の承諾が不要な2社間ファクタリングであれば、最短即日での資金化に対応する会社があります。オンライン完結型では、申し込みから入金まで最短数十分〜数時間をうたう会社もあります。入金スピードや締切時刻、必要書類で会社を見比べたい場合は、即日ファクタリングおすすめ31選で詳しく比較しています。
ただし、実際の入金までの時間は、審査の状況、提出書類の準備、売掛先の信用力によって変わります。即日での資金化を急ぐ場合は、請求書や通帳の写しなど必要書類を事前にそろえておくと手続きがスムーズです。
Q. ファクタリングは頻繁に利用しても大丈夫ですか?
A. 利用回数そのものに法的な制限はありませんが、資金化のたびに手数料がかかるため、繰り返し利用すると手数料負担が積み重なり、かえって資金繰りを悪化させることがあります。ファクタリングは急な資金需要を一時的にしのぐ手段と位置づけるのが適切です。入金・支払いの予定を正確に把握したうえで、根本的な資金繰りの改善や融資などの手段とあわせて検討し、必要な場面に絞って使うことをおすすめします。
Q. 売掛先に債権譲渡を禁止する特約があっても、ファクタリングは利用できますか?
A. 2020年4月施行の改正民法により、債権譲渡を禁止・制限する特約が付いていても、債権譲渡は原則として有効とされています。そのため、譲渡制限特約のある売掛債権でもファクタリングを利用できる余地があります。ただし、特約に反する譲渡が売掛先との関係に影響する可能性もあるため、実務では特約の有無を事前に確認し、必要に応じて3社間ファクタリングで売掛先の承諾を得ておくのが安全です。
出典・参考資料(1件)
Q. ファクタリングの手数料は、経理上どの勘定科目で処理しますか?
A. ファクタリングで差し引かれる手数料は、一般に「売上債権売却損」(または「債権売却損」)といった勘定科目で費用として処理します。ファクタリングは借入ではなく債権の売却であるため、手数料は融資の「支払利息」にはあたりません。ただし、具体的な仕訳や勘定科目は、会計方針や取引の内容によって異なる場合があります。処理に迷う場合は、顧問税理士に確認することをおすすめします。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















