従業員から「住民税は普通徴収にしてほしい」と相談されることがあります。また、毎月の給与から住民税を天引きして納める事務が負担に感じられ、そもそも自社に特別徴収をする義務があるのか、やらない選択肢はないのかを確かめたくなる場面もあります。
結論を先にお伝えすると、所得税を源泉徴収している事業者は、原則としてすべて特別徴収義務者になります。従業員が個人の都合で普通徴収を希望しても、それだけで普通徴収に切り替えることはできません。普通徴収にできるのは、あとで見る一定の要件に当てはまる場合に限られます。
本記事では、まず特別徴収が事業者の義務とされる法的な根拠を地方税法の条文で確認します。そのうえで、誰が義務者・対象者になるのか、普通徴収が認められる例外(普A〜普F)、年間の手続きスケジュール、従業員の入退社時の対応、納付を怠った場合の扱いまでを、実務でそのまま確認できる粒度で整理します。
目次
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住民税の特別徴収は事業者の義務(従業員の希望では普通徴収を選べない)
給与を支払う事業者には、従業員の住民税を給与から天引きして納める特別徴収が、地方税法によって義務づけられています。そのため、事業者も従業員も、都合で自由に普通徴収へ切り替えることは原則としてできません。まずは、この義務がどの条文にもとづくのかを順に確認します。
住民税(個人住民税)の納め方には、勤務先が給与から天引きして納める特別徴収と、納税者本人が納付書などで納める普通徴収の2つがあります。地方税法第321条の3第1項は、給与所得者の住民税について「特別徴収の方法によつて徴収するものとする」と定めており、会社などに勤める給与所得者の住民税は、原則として特別徴収で徴収することになっています。
そのうえで、誰に徴収させるかを定めているのが地方税法第321条の4第1項です。市区町村は、所得税を源泉徴収して納付する義務がある事業者(=給与を支払い、そこから所得税を天引きしている原則すべての会社)を、特別徴収義務者として指定しなければならないとされています。
市町村は、前条の規定により特別徴収の方法によつて個人の市町村民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者……のうち所得税法第百八十三条の規定により給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。
出典:地方税法 第321条の4第1項|e-Gov法令検索
特別徴収義務者に指定された事業者は、住民税を毎月徴収して納める義務を負います。地方税法第321条の5第1項は、その納入について次のように定めています。
前条の特別徴収義務者は、……それぞれ給与の支払をする際毎月徴収し、その徴収した月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入する義務を負う。
出典:地方税法 第321条の5第1項|e-Gov法令検索
このように、住民税を特別徴収の方法で徴収すること(第321条の3)、市区町村が事業者を義務者に指定すること(第321条の4)、指定された事業者が毎月徴収して翌月10日までに納入すること(第321条の5)が、それぞれ別の条文で定められています。義務者を指定するのは市区町村であり、事業者や従業員が任意で選べる仕組みにはなっていません。
したがって、「副業を会社に知られたくない」といった個人の都合で、特別徴収を普通徴収に変えることは原則としてできません。東京都主税局も、給与所得者の住民税は原則として特別徴収の方法で徴収しなければならず、従業員の希望による普通徴収の選択はできないことを明示しています。
事務の増加や経理担当者がいないといった理由で特別徴収を行わないことも、法令上は認められていません。普通徴収にできるのは、次章以降で見る一定の要件に該当する場合に限られます。
出典・参考資料(2件)
住民税の特別徴収とは(給与から天引きして市区町村へ納める仕組み)
特別徴収とは、事業者が従業員に支払う毎月の給与から住民税を天引きし、従業員に代わって市区町村へ納める仕組みです。市区町村が計算した年税額を12回に分け、6月から翌年5月までの毎月の給与から差し引いて、徴収した月の翌月10日までに納入します。従業員が自分で納付書を使って納める普通徴収と違い、納め忘れが起きにくく、従業員は納付の手間がかからない点が特徴です。
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誰が特別徴収義務者になり、誰が対象になるのか
特別徴収では「誰が納める義務を負うか(義務者)」と「誰の住民税を天引きするか(対象者)」を分けて押さえると、自社の状況に当てはめやすくなります。ここでは、義務者と対象者それぞれの範囲を確認します。
特別徴収義務者になるのは、所得税を源泉徴収して納付する義務がある事業者です。これは、従業員に給与を支払い、そこから所得税を天引きして国に納めている事業者のことで、給与を支払う多くの会社・個人事業主が当てはまります。株式会社などの法人か個人事業主かは問わず、東京都主税局は、家族を従業員として雇っている場合でも特別徴収を行う義務があるとしています。
逆に、給与から所得税を源泉徴収していない場合や、家事使用人(家庭内で雇う使用人)のみを雇っている場合などは、特別徴収義務者に当たらないことがあります。まだ特別徴収を始めていない事業者に対しては、市区町村が特別徴収義務者として指定し、特別徴収を行うよう案内するのが基本の流れです。
対象となる従業員は、前年に給与所得があり、4月1日時点で在籍している人です。より正確には、前年中に給与の支払いを受けており、かつその年度の初日である4月1日時点で給与の支払いを受けている人が対象になります。住民税は前年1年間の所得に対して課されるためです。従業員が他県・他市区町村に住んでいても特別徴収の義務は変わらず、住民税の納付先は、各従業員が1月1日時点で住んでいる市区町村になります。
出典・参考資料(2件)
パート・アルバイト・役員・中途入社者などの扱い
特別徴収の対象は正社員に限りません。東京都主税局は、アルバイトやパートであっても、前年中に給与の支払いを受け、4月1日時点で在籍しているという要件に当てはまる場合には特別徴収の対象になるとしています。役員も給与(役員報酬)を受けていれば同様に対象です。雇用形態ではなく、前年の給与所得と当年度初日の在籍で判断する点がポイントです。
一方、前年に所得がなく住民税が課されていない新卒の新入社員は、入社した年に天引きする住民税がないため、特別徴収は実質的に入社2年目から始まります。中途入社者については、前職や普通徴収で納めていた住民税を自社の特別徴収に引き継げる場合があり、その手続きは後述します。複数の勤務先から給与を受けている従業員は、主たる給与を支払う勤務先で特別徴収するのが原則です。
出典・参考資料(1件)
普通徴収が認められる例外(普A〜普F)と切替の届出
特別徴収が原則とはいえ、一定の要件に当てはまる従業員は普通徴収にできます。その要件は、東京都の全区市町村で統一された基準では「普A」から「普F」までの符号で整理されています。給与支払報告書を提出する際に「普通徴収切替理由書」へ該当する符号を記載して申し出る仕組みです。東京都主税局が示す普A〜普Fの理由は次のとおりです。
| 符号 | 普A | 普B | 普C | 普D | 普E | 普F |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 普通徴収にできる理由 | 事業所の総従業員数が2人以下(他の区市町村を含む事業所全体の受給者から、普B〜普Fで普通徴収とする人を除いた人数) | 他の事業所で特別徴収を受けている | 給与が少なく、住民税を天引きできない | 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない) | 事業専従者(個人事業主のみ対象) | 退職者または退職予定者(5月末日まで)。休職などにより4月1日現在で給与の支払を受けていない人を含む |
※普A〜普Fは東京都の全区市町村で用いられる統一基準です。符号・基準の細部や切替理由書の様式は自治体によって異なる場合があるため、実際の提出先の市区町村でご確認ください。
該当する従業員がいる場合は、給与支払報告書の提出時に「普通徴収切替理由書」へ符号を記載して提出します。ここで間違えやすいのが普A(総従業員数2人以下)の数え方で、普B〜普Fを除いた従業員数で判定します。たとえば従業員が4人でも、うち2人が普B〜普Fに当てはまるなら、残り2人について普Aを適用できる、という考え方です。
特別徴収の義務そのものは地方税法にもとづき全国共通ですが、普A〜普Fは法令そのものではなく、都道府県・市区町村が特別徴収を進めるために定めた統一基準です。東京都は平成29年度から全区市町村で所得税の源泉徴収義務のある事業者を一斉に特別徴収義務者として指定しており、近隣県でも同様の推進が行われています。
切替理由書の名称・様式・記載欄は、実際に給与支払報告書を提出する市区町村のものを使ってください。
出典・参考資料(1件)
特別徴収と普通徴収は何がどう違うのか、普通徴収切替理由書は実際にどう書けばよいのか、といった点をさらに詳しく確認したい場合は、以下の記事で両者の違いや切替理由書の書き方、切替に伴う手続きを掘り下げて解説しています。
住民税の特別徴収と普通徴収の違いは?企業の切替手続き・普通徴収にできるケースまで解説
従業員の住民税の欄に「特別徴収」「普通徴収」と並んでいて、どちらが自社に関係するのか、何がどう違うのかが一目でつかめず手が止まることがあります。給与から天引きするのか、本人が自分で納めるのか。この違いがあいまいなままだと、入社・退職時の手続…
特別徴収の年間スケジュールと手続き
特別徴収は、年に一度の給与支払報告書の提出から始まり、毎月の徴収・納付へと続く一連の流れで回します。担当者が押さえておきたい4つのステップを順に確認します。
| ステップ | 1. 給与支払報告書の提出 | 2. 特別徴収税額決定通知書の受け取り | 3. 毎月の徴収 | 4. 納付 |
|---|---|---|---|---|
| 時期 | 1月31日まで | 5月31日ごろまで | 6月〜翌年5月 | 徴収した月の翌月10日まで |
| 内容 | 1月1日現在で給与を支払う事業者が、前年分の給与支払報告書を従業員が住む市区町村へ提出する(地方税法第317条の6) | 市区町村が住民税額を計算し、事業者あてに「特別徴収税額決定通知書」を送付する | 通知された年税額の12分の1を、毎月の給与から差し引く | 差し引いた住民税を市区町村へ納入する(6月分は7月10日が納期限) |
※提出・納付の方法(eLTAX〈地方税の電子申告システム〉・郵送・窓口)は自治体によって異なります。提出先の市区町村の案内でご確認ください。
1月1日時点で給与支払報告書を提出したあと、4月1日現在で在籍していない従業員がいる場合は、4月15日までにその旨を届け出ます。年間の流れは、給与支払報告書の提出を起点に、税額通知の受け取り、毎月の徴収、翌月10日の納付が繰り返される形になります。
出典・参考資料(2件)
なぜ6月から始まるのか・6月に担当者がすること
特別徴収の徴収が6月から始まるのは、住民税が前年1年間の所得をもとに課され、その年額の確定を待って徴収が始まるためです。市区町村から5月31日ごろまでに届く特別徴収税額決定通知書には、従業員ごとの年税額と、6月から翌年5月までの毎月の徴収額が記載されています。
6月の給与計算では、この通知書に記載された新しい月額を給与計算システムへ反映し、6月支給分から差し引きを始めます。前年度から金額が変わるため、6月の給与処理までに新しい税額を登録しておくことが、担当者の実務上のポイントになります。
納期の特例(従業員10人未満は年2回納入にできる)
特別徴収は毎月の納付が原則ですが、給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業所は、市区町村長の承認を受けることで、毎月の納付を年2回にまとめられます。これを納期の特例といい、地方税法第321条の5の2に定められています。
納付の時期は、6月から11月までに徴収した分を12月10日まで、12月から翌年5月までに徴収した分を翌年6月10日まで、と年2回にまとめられます。ただし、これは事前に申請して承認を受けた場合に利用できる制度で、自動的に適用されるものではありません。まとめられるのは「納付」の回数であり、毎月の給与からの天引き(徴収)自体はこれまでどおり必要です。
出典・参考資料(2件)
従業員が入社・退職・休職・転居したときの手続き
従業員に異動があったときは、その内容に応じて市区町村への届出が必要です。まず場面ごとの提出書類・期限・提出先を一覧で確認し、そのうえで退職時の一括徴収と中途入社時の切替を見ていきます。
| 場面 | 従業員が退職・休職・転勤した | 中途入社者の特別徴収を引き継ぐ(普→特) | 1月1日時点で提出後、4月1日時点で給与を支払わなくなった |
|---|---|---|---|
| 提出する書類 | 特別徴収に係る給与所得者異動届出書 | 特別徴収切替届出書(本人の申出。様式名は自治体で異なる) | 給与支払報告書に係る給与所得者異動届出書 |
| 期限 | 異動が生じた月の翌月10日まで | できるだけ早く(自治体の案内に従う) | 4月15日まで |
| 提出先 | その従業員の特別徴収税額決定通知書が届いた市区町村 | 従業員が住む市区町村 | 給与支払報告書を提出した市区町村 |
※書類の名称・様式や提出方法は自治体によって異なります。提出先の市区町村の案内でご確認ください。
退職時の一括徴収(退職時期で扱いが変わる)
従業員が退職すると、その時点で残っている住民税(未徴収分)の扱いが退職時期によって変わります。地方税法第321条の5第2項にもとづき、次のように分かれます。
1月1日から4月30日までの退職(特別徴収を続けている年度の1〜4月)は、5月31日までに支払う給与や退職手当から残額を一括徴収するのが原則です(支払われる給与・退職手当が残額を超える場合)。6月1日から12月31日までの退職は、本人から申し出があれば一括徴収し、申し出がなければ残額は普通徴収に切り替わります。
5月の退職は特別徴収サイクルの最終月にあたるため、通常どおり当月分を徴収して終了します。いずれの場合も、退職の翌月10日までに給与所得者異動届出書を提出します。
中途入社時の切替(前職・普通徴収からの引き継ぎ)
中途入社した従業員が、前職や普通徴収で納めていた住民税を新しい勤務先の特別徴収に引き継ぎたい場合は、本人の申し出により切り替えられます。地方税法第321条の4第5項は、年度の途中で給与の支払者が変わった場合に、本人の申出があれば新しい勤務先を特別徴収義務者として指定すると定めています。
実務では「特別徴収切替届出書」を従業員が住む市区町村へ提出します。すでに納期限が過ぎている普通徴収分は特別徴収に切り替えられないため、その分は本人が納付します。
特別徴収を怠るとどうなるか(督促・滞納処分・延滞金と罰則)
徴収した住民税を期限までに納めないと、まず督促が行われ、それでも納入されない場合は滞納処分に進みます。あわせて延滞金も発生します。従業員から預かった住民税を納める立場である以上、納付遅延は避けたいところです。
東京都主税局によると、特別徴収義務者が従業員から徴収すべき税額を放棄または滞納した場合、原則として納期限後20日以内に督促状が発送されます。督促状が届いても納入されない場合は、事業者に対して滞納処分が行われます。事業者が特別徴収した徴収金は、従業員からの預り金であり事業資金ではないため、必ず市区町村へ納入する必要があります。
納付が遅れると、納期限の翌日から延滞金が発生します。延滞金の割合は年度によって変わり、2026年(令和8年)については、納期限の翌日から1か月以内が年2.8%、1か月を経過した日以後が年9.1%です。この割合は地方税法にもとづき全国で共通で、市区町村ごとに異なるものではありません。特例基準割合にもとづいて毎年見直されるため、年度ごとに変わります。
さらに、預かった住民税を納入しなかった場合には、罰則が定められています。地方税法第324条第3項は、次のように定めています。
第三百二十一条の五第一項若しくは第二項ただし書……の規定により徴収して納入すべき個人の市町村民税に係る納入金の全部又は一部を納入しなかつたときは、その違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
出典:地方税法 第324条第3項|e-Gov法令検索
これは、徴収を怠ったことそのものではなく、従業員から預かった(預かるべき)住民税を納入しなかったことに対する罰則です。滞納した場合の第一義的な扱いは督促・滞納処分と延滞金であり、その先に、預り金を納めなかった場合の罰則があるという位置づけです。
出典・参考資料(3件)
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特別徴収を含む毎月の給与事務は給与計算アウトソーシングでも軽くできる
ここまで見てきたとおり、特別徴収は毎月の天引きと納付に加え、給与支払報告書の提出、税額通知の反映、入退社時の異動届、切替理由書の記載など、年間を通じた手続きが伴います。従業員数が多いほど、また異動が多い時期ほど、給与計算担当者の負担は重くなります。
こうした住民税を含む給与計算業務の事務負担を軽くする方法の一つが、給与計算アウトソーシング(給与計算代行)です。給与・賞与計算に加え、住民税の更新反映や年末調整、入退社の手続きまで委託できるサービスもあり、担当者は確認・承認に集中できるようになります。
ここでは、給与計算を中心に、住民税の天引き・納付を含む毎月の給与事務を委託できるサービスを紹介します。住民税の特別徴収の代行をどこまで対応できるかはサービスによって異なるため、まずは比較表で対応範囲や料金の目安を確認しましょう。
| サービス名 | Wheat Accounting | マネーフォワード おまかせ経理 |
|---|---|---|
| 提供形態 | 経理アウトソーシング (給与計算を含む) | 経理アウトソーシング (給与計算を含む) |
| 主な対応業務 | 記帳・請求書作成・支払・経費精算・給与計算・月次決算 (賞与計算・年末調整はオプション) | 記帳・請求書発行・支払/振込代行・入金消込・給与/賞与計算・月次試算表作成 |
| 住民税の対応 | 公式に記載なし (給与計算・振込対応の範囲で要問い合わせ) | 振込代行に税金の納付対応を含む (住民税の個別記載はなし・要問い合わせ) |
| 対応規模 | 年商数千万〜100億円 従業員1〜100人が目安 | 中小企業 従業員5〜50名・年商1億円以上が目安 |
| 料金体系 | 月額30,000円〜 (スモールプランは初年度キャンペーン価格。工数・納期に応じて変動) | 要見積もり (従業員5名程度で月額100,000円の一例) |
| 情報セキュリティ認証 | 公式に記載なし | ISO/IEC 27001 (マネーフォワード本体で取得) |
| 導入・処理実績 | 導入社数の公表なし | 導入200社超 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※各社の対応範囲・料金・認証は2026年9月時点で各社公式サイトおよびMCB FinTechカタログのサービスページで確認した内容にもとづきます。住民税の特別徴収の対応可否や料金は委託範囲によって変わるため、最新の詳細は各社へお問い合わせください。
Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingは、中小企業やスタートアップを対象とした経理アウトソーシングサービスです。記帳や仕訳作成、請求書発行、経費精算、振込対応、給与計算、月次決算といった経理業務全般を代行し、税務申告は税理士、社会保険や労務は社労士と連携しながら、バックオフィス全体をワンストップで支援します。
利用者は、データを決められた場所に格納することと、Wheat側のアウトプットを確認することの2点に絞って関与できる運用です。
給与計算まで含めてバックオフィスを任せられるため、毎月の給与実務にかかる負担をまとめて軽くしたい企業に向いています。住民税の特別徴収に関する個別の代行範囲は公式サイトに明示がないため、天引き額の反映や異動届の対応をどこまで任せられるかは、問い合わせ時に確認するとよいでしょう。
給与計算をアウトソーシングした場合に、毎月の処理にかかる時間や工数がどの程度変わりうるのかについて、株式会社Wheatの佃氏は、MCB FinTechカタログのインタビューで自社の事例を次のように述べています。

業務効率化の事例としては、従業員100名規模のお客様で、Excelを用いた手作業で、完了までに1週間を要していた給与計算業務の事例です。システムの最適化と人員配置の再設計を徹底した結果、2〜3日での完了を実現。コスト・工数ともに50%以上の削減に繋がりました。これは個人のスキルに頼るのではなく、業務プロセスを正しく組み立て直したことによる成果です。
マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

「マネーフォワード クラウド」の導入支援を起点に、記帳代行や請求書発行、支払管理・振込代行(税金の納付対応を含む)、給与・賞与計算までをオンラインで一括して任せられる、中小企業向けの経理・給与アウトソーシングです。実務は、経理の外部委託(BPO)を手がけてきた株式会社キャシュモ(2025年6月にマネーフォワードグループへ参加)が担う体制です。
給与計算や税金の納付対応まで含めて委託できるため、住民税の毎月の納付事務もあわせて任せたい企業に向いています。導入実績は200社を超え、料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりです(公式サイトには従業員5名程度で月額100,000円という一例が示されています。企業規模や委託範囲によって変わる目安です)。
ここで取り上げたのは一部のサービスです。住民税の特別徴収の更新や異動届出まで明示して対応するサービスを含め、給与計算アウトソーシング全体を対応範囲や料金、選び方から比較検討したい場合は、以下の記事で主要サービスの特徴を詳しく解説しています。委託を検討される方は、あわせてご覧ください。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
まとめ
所得税を源泉徴収している事業者は、原則としてすべて特別徴収義務者になり、従業員の住民税を給与から天引きして納める義務を地方税法にもとづき負います。そのため、従業員や会社の都合で普通徴収に変えることは原則できず、普通徴収にできるのは普A〜普Fのような一定の要件に該当する場合に限られます。対象となるのは、前年に給与所得があり4月1日時点で在籍する従業員で、パート・アルバイト・役員も含まれます。
実務では、給与支払報告書の提出から毎月の徴収・納付、入退社時の異動届、切替理由書の記載まで、年間を通じた手続きが続きます。納付が遅れれば督促・滞納処分や延滞金の対象となり、預かった住民税を納入しない場合には罰則も定められています。毎月・毎年繰り返すこれらの事務が負担になる場合は、住民税を含む給与実務を給与計算アウトソーシングに委託する方法も検討するとよいでしょう。
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住民税の特別徴収の義務に関するよくある質問(FAQ)
Q. 住民税がかからない(非課税の)従業員も、特別徴収の手続きは必要ですか?
A. 住民税が課されない従業員は、給与から天引きする税額がないため徴収は生じませんが、給与支払報告書の提出は必要です。前年の所得が住民税の非課税基準以下であれば住民税は課されず、特別徴収税額決定通知書にも税額が記載されません。所得税が非課税でも住民税は課される場合があるため、課税されるかどうかは通知書で確認します。
また、非課税の従業員でも、退職・休職・転居などの異動があった場合は、特別徴収に係る給与所得者異動届出書の提出が必要です。
出典・参考資料(2件)
Q. 住民税の特別徴収は、すべての事業者に義務がありますか?
A. 所得税を源泉徴収している事業者は、原則としてすべて特別徴収義務者になり、従業員の住民税を特別徴収する義務があります。地方税法第321条の4により、市区町村は所得税の源泉徴収義務がある給与支払者を特別徴収義務者として指定し、指定された事業者は第321条の5にもとづき毎月徴収して翌月10日までに納入する義務を負います。
株式会社などの法人か個人事業主かは問わず、事務の増加や経理担当者がいないといった理由で特別徴収を行わないことは、法令上認められていません。
出典・参考資料(2件)
Q. 従業員から「副業を知られたくないので住民税を普通徴収にしてほしい」と言われたら、応じてよいですか?
A. 従業員個人の希望だけを理由に、住民税の特別徴収を普通徴収へ切り替えることはできません。給与所得者の住民税は原則として特別徴収の方法で徴収すると定められており(地方税法第321条の3)、副業を知られたくないといった個人の都合は、普通徴収に切り替える理由にはなりません。
普通徴収にできるのは、総従業員数が2人以下(普A)や他の事業所で特別徴収を受けている(普B)など、普A〜普Fの要件に該当する場合に限られます。
出典・参考資料(2件)
Q. 前年に所得がなかった新入社員も、住民税の特別徴収の対象になりますか?
A. 前年に所得がなく住民税が課されていない新卒の新入社員は、入社した年は天引きする住民税がないため、特別徴収は実質的に入社2年目から始まります。住民税は前年1年間の所得に対して課されるためです。
一方、前年に給与所得があった中途入社者は、前職や普通徴収で納めていた住民税を、本人の申し出により自社の特別徴収へ引き継げます。パート・アルバイトや役員も、前年に給与所得があり4月1日時点で在籍していれば特別徴収の対象になります。
Q. 住民税の特別徴収で納期の特例を使うと、毎月の給与天引きも年2回でよくなりますか?
A. 納期の特例でまとめられるのは市区町村への「納付」の回数だけで、毎月の給与からの天引き(徴収)はこれまでどおり必要です。給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業所が市区町村長の承認を受けると、6月〜11月に徴収した分を12月10日まで、12月〜翌年5月に徴収した分を翌年6月10日までと、納付を年2回にまとめられます(地方税法第321条の5の2)。
ただし事前に申請して承認を受けた場合に利用できる制度で、自動的に適用されるものではありません。
出典・参考資料(1件)
Q. 住民税の特別徴収を怠ると、事業者は罰則を受けますか?
A. 納付が遅れた場合の第一義的な扱いは督促と滞納処分・延滞金であり、拘禁刑や罰金といった罰則は、従業員から預かった住民税を納入しなかった場合に定められています。徴収した住民税を期限までに納めないと、原則として納期限後20日以内に督促状が発送され、それでも納入されない場合は滞納処分が行われます。
さらに地方税法第324条第3項は、徴収して納入すべき住民税を納入しなかったときは、その違反行為をした者を10年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。これは徴収そのものを怠ったことではなく、預かった住民税を納入しなかったことに対する罰則です。
出典・参考資料(2件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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