経理の求人を出しても応募が集まらない。来ても実務経験が足りず、条件も折り合わない。そんな状態が続くと、「自社の求人の出し方が悪いのか、それともどの会社も採れていないのか」と気になってきます。今いる担当者が一人か少人数で、退職や休職で業務が止まるリスクを抱えている会社も少なくありません。
経理の採用が難しいのには、景気や求人票の巧拙だけでは説明できない構造的な理由があります。原因を市場全体の事情と自社の事情に切り分けられれば、次に打つ手は変わってきます。採用の打率を上げるのか、それとも採用に頼らずに経理を回す仕組みへ切り替えるのか、という判断です。
この記事では、経理採用が難しい原因を客観的な指標とともに整理し、採用できないまま放置したときに自社に生じるリスク、そして採用を成功させる打ち手と採用に頼らない打ち手を中立に並べて比較します。精神論で終わらせず、自社の次の一手を選べる材料を示します。
目次
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経理の採用はなぜ難しい?有効求人倍率が示す売り手市場
まず押さえておきたいのは、経理が採れないのは自社だけの問題ではなく、採用市場そのものが人手を確保しにくい状態にあるという点です。ここでは、その温度感を客観的な指標で確認します。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、全国の有効求人倍率は令和7年7月時点で1.22倍、正社員に限ると1.02倍でした。令和6年度の年度平均は1.25倍です。有効求人倍率は「求人数÷求職者数」で計算され、1.0を上回るほど企業が人を採りにくい売り手市場を意味します。求職者一人に対して求人が1件を超えている状態が続いているわけです。
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背景には、働き手の総数そのものの減少があります。総務省統計局の人口推計では、15〜64歳の生産年齢人口は2024年10月1日現在で7,372万8千人となり、前年から22万4千人減りました。求人倍率は景気で年ごとに上下しますが、母数が縮み続ける以上、中長期で見れば人材の確保はいっそう難しくなっていきます。
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ここで注意したいのが、職業別に見た求人倍率の読み方です。厚生労働省の職業安定業務統計で職業別の有効求人倍率を見ると、経理を含む会計事務の職業は、全職業計よりむしろ低めに出る傾向があります。これは経理が採りやすいという意味ではなく、簿記の学習者など未経験・アシスタント層の求職者が比較的多いことの表れです。
実際に採用が難しいのは、こうして応募が集まる層ではなく、月次決算や税務対応まで一人で任せられる即戦力(実務経験者)です。求人倍率という見出しの数字だけでは、この即戦力の需給の厳しさは見えてきません。次の章では、なぜ即戦力が採れないのかを含めて、採用難の根本原因を分解します。
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経理採用が難しい5つの根本原因
ここからは、経理採用が難しい理由を5つに分けて、それぞれが「なぜ採れないこと」に直結するのかまで掘り下げます。自社の状況と照らして、どの原因が効いているかを見極める手がかりにしてください。
労働人口の減少による構造的な売り手市場
前章のとおり、働き手の総数は減少を続けています。景気や採用手法の巧拙にかかわらず、母集団そのものが縮んでいくため、放っておけば採用は年を追うごとに難しくなります。これは一社の努力では動かせない構造的な前提で、他の4つの原因すべての土台になっています。
即戦力の経理経験者が転職市場に出回らない
経理は業務の性質上、腰を据えて長く働く人が多く、月次決算や税務対応を一人で回せる経験者ほど、いま働いている会社で重宝されて外に出てきません。求人サイトに登録される求職者の多くは未経験・アシスタント層で、企業が本当に欲しい即戦力とは層がずれています。応募数は一定あるのに「使える人がいない」という感覚は、この供給ギャップから生まれます。
求めるスキルの高度化(インボイス・電帳法・DX対応)
近年の制度改正で、経理に求められる知識と手作業の幅が広がりました。インボイス制度(適格請求書等保存方式)は令和5年10月1日に始まり、仕入税額控除を受けるには取引先から交付された適格請求書等の保存が必要になりました。取引先の登録番号の確認や区分経理など、日常業務の手数が増えています。
電子帳簿保存法では、令和6年1月から、請求書・領収書・契約書などを電子データでやり取りした場合に、その電子データを要件に従って保存することが必要になりました。会計ソフトやクラウドツールの運用スキルも欠かせません。求める要件が上がった分、条件を満たす人材はさらに限られ、採用のハードルが上がっています。
大手企業との待遇・働き方の格差
経理経験者は複数の会社を比較して転職先を選びます。給与水準やリモートワークの可否、残業時間といった条件で、体力のある大手企業に見劣りすると、応募の段階で候補から外れてしまいます。経理は売上を直接生む部門ではないため、社内で待遇改善の優先順位が上がりにくく、この格差が広がりやすい構造もあります。
業務の属人化とミスマッチ
一人または少人数で経理を回している会社では、業務のやり方がその人固有のものになりがちです。求職者から見ると、引き継ぎ資料が整っていない職場は「入社後に苦労しそう」と映り、敬遠されます。採用する側も、自社の業務範囲や使うツールを求人票で具体的に示せていないと、入社後に「思っていた仕事と違う」というミスマッチが起き、早期離職につながります。
採用できないまま放置すると自社に起きること
採用が決まらない状態を放置すると、時間の経過とともに自社の負担が積み上がります。ここでは、対策の判断材料として、放置したときに実際に何が滞るのかを整理します。
既存担当の疲弊と離職の連鎖
人が増えないまま業務量が増えれば、いまの担当者に負荷が集中します。繁忙期の残業が常態化し、疲弊した担当者が辞めると、残った人にさらに業務が乗る離職の連鎖に陥ります。一人経理の場合、その一人が抜けた瞬間に経理機能そのものが止まるリスクを常に抱えることになります。
チェック機能の喪失によるミス・不正
経理は、記帳する人と確認する人を分けることで、入力ミスや不正な支払いを防いでいます。人手が足りず一人にすべてが集中すると、この相互チェックが働かなくなります。通帳・印鑑・支払い権限を一人が握る状態は、意図しないミスの温床になるだけでなく、内部統制の観点でも弱点になります。
月次決算の遅延と経営判断の停滞
経理が回らなくなると、まず遅れるのが月次決算です。数字の締めが遅れれば、経営者は前月の業績を見ないまま次の判断を迫られます。資金繰りや投資のタイミングを読み違えるリスクが高まり、経理の遅れが経営全体の意思決定の停滞につながります。
税務・申告の対応漏れ
人手不足で日々の記帳が追いつかないと、決算・申告の時期にしわ寄せが来ます。制度改正への対応が後回しになり、処理の正確性が落ちれば、税務調査で指摘を受けるリスクも高まります。顧問税理士がいても、日々の記帳や資料整理が滞れば、申告の前提となる数字が揃わず、対応が後手に回ります。
採用を成功させる・採用に頼らない4つの打ち手を比較
経理の人手をどう確保するかには、大きく分けて4つの打ち手があります。採用の打率を上げる方向(求人票・待遇の見直し/未経験採用・育成)と、採用に頼らず業務を回す方向(経理DX・効率化/経理アウトソーシング)です。まずは全体像を、向く会社・費用の目安・立ち上がりの速さ・注意点で並べて比較します。
| 打ち手 | 向く会社 | 費用の目安 | 立ち上がりの速さ | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ①求人票・待遇の見直し | 応募はあるが決まらない/条件が市場とずれている会社 | 求人媒体費・人材紹介手数料(紹介は理論年収の30〜40%が相場) | 応募〜入社まで数か月 | 待遇改善は固定費の増加につながる。市場相場に合わせないと応募が集まらない |
| ②未経験採用・育成 | 時間をかけて自社に合う人を育てたい会社 | 給与+教育の工数(人材開発支援助成金で訓練経費の一部を補助) | 戦力化まで半年〜 | 教えられる人・仕組みが社内に要る。育てても離職リスクは残る |
| ③経理DX・効率化 | 業務量は多いが人は増やしたくない会社 | ソフトのツール費(クラウド会計は月数千円〜、経費精算は利用人数に応じた課金が中心) | 導入・定着に数か月 | ツールを使いこなす人は必要。DXだけで属人化は完全には消えない |
| ④経理アウトソーシング | 採用が難しい/一人経理の属人化を今すぐ解消したい会社 | 月額数万円〜(対応範囲・業務量による変動費) | 契約から数日〜数週間で稼働 | 委託範囲の線引きと社内の確認体制が要る。丸投げだけでは回らない |
①求人票・待遇の見直し
いま応募はあるのに決まらない、という会社がまず取り組めるのが求人票と待遇の見直しです。求める要件を「必須」と「歓迎」に分け、完璧な即戦力だけを追わないようにするだけで、応募の裾野は広がります。業務範囲や使う会計ソフト、残業時間を具体的に書くと、入社後のミスマッチも減ります。
求人票は、書き方の具体度で応募の質が変わります。たとえば職務内容を「経理業務全般」とだけ書くと、応募者は自分に務まるか判断できません。「月次決算と経費精算を2名体制で担当。使用ソフトは弥生会計。繁忙期(月初5営業日)は残業が発生」のように、任せる範囲・使うツール・繁忙期の実態まで具体的に書くと、要件に合う人からの応募が増えます。
面接では、経歴の確認だけでなく実務のレベルを具体的に聞くと、即戦力かどうかを見極めやすくなります。次のような質問が、任せられる業務範囲を確認する手がかりになります。
- 月次決算は一人で締めていたか、補助的な立場だったか
- 使っていた会計ソフトを、自分で設定・修正までできるか
- インボイス制度・電子帳簿保存法への対応をどこまで担当したか
応募者の経験と自社が任せたい業務がかみ合うかを、入社前にすり合わせておくことが、入社後の早期離職の防止につながります。
人材紹介(有料職業紹介)を使う場合は、費用感を押さえておきます。手数料は一般に理論年収の30〜40%程度が相場で、法律上の上限は届出制で理論年収の50%までと定められています(職業安定法)。
月次決算や税務対応まで任せられる即戦力の年収相場は役割や地域で幅がありますが、おおむね500万〜700万円程度です。たとえば理論年収600万円で採用すれば、紹介手数料だけで180万円前後(30%換算)の初期コストがかかります。これは採用に頼る打ち手の固定的なコスト構造として、後述の外注(変動費)と比較する際の目安になります。
②未経験採用・育成
即戦力にこだわらず、簿記の基礎がある未経験者を採用して自社で育てる方法です。応募が集まりやすい層なので採用自体のハードルは下がりますが、戦力になるまで半年から一年ほどかかり、教える側の工数も必要になります。
育成コストの一部は、国の助成金で補える場合があります。人材開発支援助成金(人材育成支援コース)では、中小企業が訓練を実施すると、訓練経費の45%(一定の賃金要件を満たすと60%)と、1時間あたりの賃金の一部が助成されます(令和8年度時点)。非正規から正社員化を目指す有期実習型訓練などでは助成率がさらに高くなります。助成率や要件は年度ごとに改定されるため、活用する際は最新の内容を確認してください。
出典・参考資料(1件)
未経験者を有期雇用で採用し、育成後に正社員へ転換する場合は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象になり得ます。中小企業が有期雇用の労働者を正社員に転換すると、1人あたり40万円(重点支援対象者に該当する場合は最大80万円)が支給されます(令和8年度時点)。
訓練経費を補助する人材開発支援助成金と組み合わせれば、採用から育成までのコスト負担を抑えられます。
出典・参考資料(1件)
育成を戦力化につなげるには、入社後の進め方を先に決めておくことが欠かせません。最初の1〜3か月は伝票入力や経費精算といった定型業務から任せ、到達目標を月単位で置くと、本人も自分の成長を確認しやすくなります。週に一度の振り返りで作業のやり方を書き起こして手順書に残していけば、教えた内容が特定の人だけの暗黙知にならず、属人化を防ぎながら育てられます。
③経理DX・効率化
人を増やす代わりに、経理業務そのものを効率化して必要な人数を減らす方向です。クラウド会計ソフトや経費精算システムを導入し、手入力や紙のやり取りを減らせば、少人数でも業務を回しやすくなります。制度改正への対応も、ツール側のアップデートで追随できる部分があります。
ただし、ツールを選び、設定し、使いこなす人は社内に必要です。DXは業務量を減らす有効な手段ですが、それだけでは特定の人しか業務を把握していない属人化を完全には解消できません。効率化と、次に述べる外注や採用を組み合わせて考えるのが現実的です。
どのクラウド会計ソフトが自社の規模や運用体制に合うかを具体的に比べたい場合は、タイプ別の選び方や料金を整理した以下の記事が参考になります。
④経理アウトソーシング
採用そのものをいったん脇に置き、経理業務を外部の専門チームに委託する打ち手です。人を雇うのではなく機能を借りる形なので、採用や育成の時間をかけずに、契約から数日〜数週間で経理を動かせます。一人経理の属人化を解消したい会社や、採用が決まるまでの空白を埋めたい会社に向きます。次の章で、採用との違いと具体的なサービスを見ていきます。
経理アウトソーシング(経理代行)とは?採用との違いと向き不向き
経理アウトソーシング(経理代行)は、記帳・仕訳、請求書発行、支払い、売掛金・買掛金の管理、経費精算、月次決算といった経理業務を、自社で雇用する代わりに外部の専門事業者へ委託するサービスです。ここでは、採用との違いを整理したうえで、掲載サービスを例に具体像を示します。
採用との一番の違いは、コストが固定費ではなく変動費になる点です。正社員を雇えば、業務量にかかわらず給与や社会保険料が毎月かかります。外注なら、委託する業務範囲や量に応じた料金で済み、繁忙期と閑散期の波にも合わせやすくなります。専門チームが担当するため、一人に業務が集中する属人化のリスクも下がります。
採用と外注を同じ土俵で並べると、違いが見えやすくなります。正社員採用は、初期に紹介手数料(理論年収600万円なら180万円前後)がかかり、その後も年600万〜700万円程度の給与に社会保険料を加えた固定費が毎年発生します。経理アウトソーシングは、初期費用を抑えられるサービスが多く、月額数万円からの変動費で、委託する業務範囲や量に応じて調整できます。
一方で、外注は万能ではありません。どこまでを任せてどこからを自社で持つのか、委託範囲の線引きが必要です。委託先が処理した内容を自社で確認する体制も要ります。丸投げして放置すれば、かえって数字の把握が遠くなることもあります。
次に、経理をまるごと任せる専業型、決算・申告まで一貫して対応する型、必要な分だけ小口で頼める汎用型という、性格の異なる3タイプのサービスを例に、費用感と体制の違いを比較します。
| サービス名 | Wheat Accounting | Tenbook(テンブック) | ロコアシ |
|---|---|---|---|
| タイプ(体制) | 経理アウトソーシング専業 (チーム体制・仕組みづくりから運用まで) | クラウド型の経理代行専業 (公認会計士・税理士+原則3名チーム) | オンライン秘書/AI BPO (生成AI+専門人材の汎用型) |
| 主な対応範囲 | 記帳・請求書作成・支払・経費精算・給与計算・月次決算 (税務申告は連携税理士、社保・労保は連携社労士) | 記帳・月次・決算書作成・法人税/住民税/事業税/消費税の申告まで (給与計算などはオプション) | 請求書管理・経理データ処理・資金繰り表など (記帳・決算まで任せられるかは要確認) |
| 料金の目安 | 月額30,000円台〜(初年度キャンペーン価格) 作業量に応じた従量課金 | 初期0円/月額29,500円〜(免税)・43,500円〜(課税) 税別・決算料は月額に内包 | 初期0円/月額45,000円〜(10時間・税別) 未消化分は翌月繰越 |
| 立ち上げの速さ | 約1ヶ月のテスト運用でフロー構築後に本運用 | 要問い合わせ(オンライン完結・全国対応) | 契約から平均1週間ほどで稼働 |
| 向く会社 | 採用の固定費・属人化を、変動費のプロ運用に置き換えたい会社 | 決算・申告まで丸ごと任せたい中小・スタートアップ(売上5億円以下が目安) | 必要な業務を小口で外注してみたい会社 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※2026年9月時点の各社公式情報に基づく。最新の料金・対応範囲は各社の資料・公式サイトで確認してください。
Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingは、スタートアップやスモールビジネスを主な対象に、経理部門の業務全般をまとめて引き受ける経理アウトソーシングです。記帳・仕訳作成、請求書発行、支払い対応、経費精算、給与計算、月次決算までを代行し、税務申告は連携する税理士、社会保険・労働保険は連携する社労士が担う体制で、バックオフィスをワンストップで支えます。
利用者に求められるのは、決まった場所へのデータの格納と、アウトプットの確認の2点に絞られています。
料金は、年商数千万円〜1億円規模を想定したスモールプラン(初年度キャンペーン価格)が月額30,000円台から用意され、企業規模に応じて段階的なプランがあります(作業量に応じた従量課金。通常価格・最新の料金は資料で確認してください)。
単なる記帳代行にとどまらず、クラウド会計の導入や業務プロセスの設計から入る「仕組みづくり」を含む点が特徴です。採用にかかる固定費や属人化を、変動費のプロ運用に置き換えたい会社に向きます。
こうした「採用の固定費・属人化を外注に置き換える」というニーズが、実際の相談現場でどう表れているのか。株式会社Wheatの佃誠吾氏は、寄せられる相談の背景を次のように話しています。

最近特に多いご相談は、「急な退職で経理が止まってしまった」「担当者にしかやり方がわからない」といった、退職と属人化にまつわる切実な課題です。自走できる経理人材を新たに採用する場合、年収600万〜700万円程度の費用負担が生じるだけでなく、採用後の教育や管理負担も決して軽くはありません。中小企業にとって、これほどの人件費を「固定費」として抱え続けることは、経営上の大きなリスクになりかねません。
Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

記帳から決算・税務申告までをオンラインで一貫して任せられるのが、クラウド型経理代行のTenbook(テンブック)です。公認会計士・税理士に加えて原則3名のチームで担当する体制をとり、担当者一人に依存しない運用でミスや業務の停滞を抑えます。経理の専任者を置かない中小企業やスタートアップ(売上5億円以下が目安)に向いています。
料金は初期費用0円で、免税事業者は月額29,500円から、課税事業者は月額43,500円から利用できます(いずれも税別)。この月額に、期中の記帳、決算書の作成、会計・税務の相談、税務申告書の作成までが含まれます。給与計算や賞与計算などはオプション扱いです。決算・申告まで含めて経理をまるごと任せたい会社にとって、費用の見通しが立てやすい選択肢です。
ロコアシ(株式会社ロコタビ)

生成AIと専門スタッフを組み合わせて幅広いバックオフィス業務を代行するのがロコアシです。経理まわりでは、請求書・見積書の作成や経理データの処理、資金繰り表の作成などに対応します。経理に特化した専業サービスではなく幅広い業務を扱うため、記帳や決算といった中核工程までどこまで任せられるかは個別の確認が必要ですが、「まず小さく外注してみたい」というニーズに応えやすい設計です。
料金は初期費用0円で、月10時間のスモールプランが月額45,000円から(税別)。契約から平均1週間ほどで稼働を始められ、使わなかった時間は翌月に繰り越せます。採用のように固定の人件費を抱えず、必要な業務を必要な分だけ小口で外に出したい会社に向きます。決算・税務まで含む深い委託を求める場合は、前述の専業型と体制・対応範囲を比べて選ぶとよいでしょう。
ここで取り上げた3社のほかにも、経理アウトソーシング(経理代行)には対応業務の範囲や料金体系、体制の異なるサービスが数多くあります。委託できる業務範囲・料金・タイプ別の選び方まで含めて横並びで比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
経理アウトソーシングおすすめ19選を比較|委託できる業務範囲・料金・タイプ別の選び方
経理担当者が一人に偏り、退職や産休で業務が止まってしまう。記帳や支払、経費精算といった定型作業に追われ、決算や資金繰りの分析に手が回らない。そんな悩みを抱える経営者や管理部門の方は少なくありません。 経理業務を外部の専門事業者に委託する「経…
自社はどの打ち手から始める?状況別の選び方
打ち手を選ぶ前に、まず「自社起因か、市場全体の問題か」を切り分けると、着手する順番が見えてきます。求人を出しても応募自体が集まらないなら、求人票の見せ方や待遇が市場相場とずれている可能性があります。応募はあるのに内定辞退や早期離職が多いなら、待遇・働き方や受け入れ体制に課題が残っているサインです。
そのうえで、次のような着手順・組み合わせが現実的です。どれか一つに絞る必要はなく、並行して進める場面も多くあります。
- まず着手する:求人票と待遇を市場相場に合わせて見直します。必須要件を絞り、業務範囲・使うツール・働き方を具体的に書くだけで応募の質が変わり、費用もかかりません。
- 採用に時間をかけられるなら:簿記の基礎がある未経験者を採用し、助成金も使いながら育てます。戦力化まで数か月〜1年かかるため、その間の実務を止めない工夫とセットで考えます。
- 業務量が多く人は増やしたくないなら:クラウド会計・経費精算などのDXで、少人数でも回る体制にします。ツールだけで属人化は消えないため、外注や採用と組み合わせると効果が高まります。
- 今すぐ経理を止めたくない/一人経理の属人化を解消したいなら:経理アウトソーシングで足元を固めます。採用や育成を待たずに専門チームで回せるため、採用活動と並行して空白を埋める使い方が現実的です。
大切なのは、採用と外注を二者択一で考えないことです。採用が決まるまでの空白を経理アウトソーシングで埋めておけば、実務が止まらず、既存担当の残業も抑えられます。採用を進めながら外注で足元を固める、という並行策が現実的な会社は少なくありません。経理アウトソーシングのサービスを費用や対応範囲で比べたい場合は、複数社の資料をまとめて取り寄せて、自社の委託したい範囲に合うかを確認するとよいでしょう。
まとめ
経理採用が難しいのは、労働人口の減少や即戦力不足など、複数の構造的な要因が重なっているためで、一社の求人票の工夫だけで解決できるものではありません。採れないまま放置すれば、既存担当の疲弊やチェック機能の喪失、月次決算の遅延といった形で自社の負担が積み上がります。
打ち手は、求人票・待遇の見直し、未経験採用・育成、経理DX・効率化、経理アウトソーシングの4つです。それぞれ向く会社・費用・立ち上がりの速さ・注意点が異なるため、自社の状況に合わせて選び、必要なら組み合わせます。採用に時間がかかる、一人経理の属人化を今すぐ解消したい、という場合は、採用と並行して経理アウトソーシングを検討する価値があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 経理アウトソーシング(経理代行)とは何ですか?
A. 経理アウトソーシング(経理代行)とは、記帳・仕訳、請求書発行、支払い、経費精算、月次決算などの経理業務を、自社で人を雇う代わりに外部の専門事業者へ委託するサービスです。人を採用するのではなく機能を借りる形のため、採用や育成の時間をかけずに経理を回せます。
正社員を雇うと業務量にかかわらず給与や社会保険料が毎月かかるのに対し、外注は委託する業務範囲や量に応じた変動費で済む点が採用との大きな違いです。
Q. 経理の採用はなぜこんなに難しいのですか?
A. 経理の採用が難しいのは、労働人口の減少、即戦力の経験者が転職市場に出回らない構造、インボイス・電子帳簿保存法などによる求めるスキルの高度化、大手との待遇格差、業務の属人化という複数の要因が重なっているためで、自社の求人票の巧拙だけが原因ではありません。
とくに、応募が集まるのは未経験・アシスタント層が中心で、月次決算や税務対応まで任せられる即戦力とは層がずれるため、「応募はあるのに使える人がいない」という状態が生まれます。自社起因か市場全体の問題かを切り分けると、次に打つ手を選びやすくなります。
Q. 経理は採用するのと外注(経理アウトソーシング)するのは、どちらが安いですか?
A. 一概には言えませんが、短期的なコストと固定費の観点では、外注(経理アウトソーシング)のほうが負担を抑えやすい傾向があります。正社員を採用すると、人材紹介を使えば理論年収の30〜40%程度(年収600万円なら180万円前後)の初期コストがかかり、その後も業務量にかかわらず給与・社会保険料という固定費が毎月発生します。
一方、外注は委託する業務範囲や量に応じた変動費のため、繁忙期と閑散期の波にも合わせやすくなります。ただし、長期的にどちらが有利かは委託範囲や業務量によって変わるため、自社の状況で試算することをおすすめします。
Q. 経理代行に委託すると、社内の機密情報が漏れませんか?
A. プライバシーマークやISMS(ISO27001)などの情報セキュリティ認証を取得し、アクセス権限の管理体制が整った事業者を選べば、リスクは抑えられます。むしろ、通帳・印鑑・支払い権限を一人の担当者が握る属人化した社内体制のほうが、チェックが働かず不正やミスの温床になりやすい面もあります。
委託先を選ぶ際は、認証の有無や情報の取り扱い体制、担当者の変更時の引き継ぎ方法などを資料や商談で確認しておくと安心です。
Q. 経理の即戦力を採用するには、年収をいくら提示すればよいですか?
A. 明確な正解はありませんが、月次決算や税務対応まで任せられる即戦力の年収相場は、役割や地域で幅があるものの、おおむね500万〜700万円程度が一つの目安とされます。ただし、経理経験者は複数社を比較して転職先を選ぶため、金額だけで勝負するのは得策ではありません。
「リモートワーク可」「残業月10時間以内」といった働き方の条件や、経営者との距離の近さ・裁量の大きさなど、中小企業ならではの魅力を併せて示すことが応募につながります。
提示できる水準が市場相場に届かない場合は、未経験採用や外注など別の打ち手も検討する価値があります。
Q. 経理の即戦力が採用できないときは、どうすればよいですか?
A. 即戦力にこだわらず、簿記の基礎がある未経験者を採用して育てる「ポテンシャル採用」に切り替えるか、採用に頼らず経理DX・効率化や経理アウトソーシングで業務を回す方法があります。未経験者の育成には、中小企業が訓練を実施すると訓練経費の一部が補助される人材開発支援助成金(人材育成支援コース)を活用できる場合があります。
ただし戦力化までは半年〜1年ほどかかり教える側の工数も必要なため、その間の業務を止めないよう外注と組み合わせるのが現実的です。助成金の要件・助成率は年度ごとに改定されるため、活用時は最新の内容を確認してください。
Q. 中小企業が大手企業と競って経理人材を採用するにはどうすればよいですか?
A. 給与だけで勝負せず、選考スピードの速さ・経営者との距離の近さ・裁量の大きさといった中小企業ならではの強みを活かして差別化するのが有効です。応募から面接までを数日以内に設定して他社に先んじる、業務範囲や使う会計ソフト・働き方を求人票に具体的に書いて入社後のミスマッチを防ぐ、といった工夫で応募の質と歩留まりが変わります。
それでも即戦力の確保が難しい場合は、未経験採用の育成や経理アウトソーシングを併用して経理機能を維持する選択肢もあります。
Q. 経理代行を導入すると、今の顧問税理士との関係はどうなりますか?
A. 顧問税理士との契約はそのままに、日々の記帳・支払いなどを経理代行が担い、税務相談・申告を税理士が担う役割分担になるのが一般的です。経理代行が日々の数字を整えることで、税理士に渡す資料の精度やスピードが上がり、申告や税務相談がスムーズになる面もあります。
決算書作成や税務申告まで含めて対応するサービスもあるため、どこまでを外注し、どこからを顧問税理士に任せるかは、委託範囲を決める段階で整理しておくとよいでしょう。
Q. 経理の採用活動と外注(経理アウトソーシング)は並行して進めてもよいですか?
A. 並行して進めるのが現実的です。採用は決まるまでに数か月かかることが多く、その空白を経理アウトソーシングで埋めておけば、実務が止まらず既存担当の残業も抑えられます。採用を進めながら外注で足元を固め、良い人材を採用できたら委託範囲を見直す、という進め方は多くの中小企業で有効です。二者択一で考える必要はなく、自社の状況に合わせて組み合わせるとよいでしょう。
Q. 繁忙期(決算期)だけスポットや派遣で経理を増やすのはありですか?
A. 一時的なしのぎにはなりますが、根本的な解決にはなりにくい点に注意が必要です。繁忙期のたびにスポット人材へ業務を教え直すのは非効率で、属人化した業務を短期間で引き継ぐのは負担も大きくなります。毎年決まって業務が集中するなら、年間を通じて経理アウトソーシングで業務を標準化しておくほうが、品質も安定しやすくなります。
突発的・単発的なニーズにはスポット活用、恒常的な人手不足には外注や効率化、と使い分けるのが現実的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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