国内市場が成熟するなか、自社の商品を海外の消費者へ直接売る越境ECで成果を上げる日本企業が増えています。経済産業省の調査では、2024年に中国の消費者が日本の事業者から越境ECで購入した金額は2兆6,372億円にのぼりました。
「自社の商品も海外で売れるのではないか」と検討を始めた事業者がまず知りたいのは、実際に成功した企業が何を・どの国で・どのように売ったのかという具体的な事例です。大企業だけでなく、自社に近い規模の中小企業がどう海外へ踏み出したのかが分かれば、自社での進め方も描きやすくなります。
本記事では、越境ECで成功した日本企業の事例を中小企業の例も含めて紹介し、そこから見える成功要因と失敗しやすいパターン、そして自社で始めるための販路の選び方や、決済・物流・税務といった実務のポイントまでを解説します。海外展開の最初の一歩を具体的に検討するための材料としてご活用ください。
目次
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越境ECとは?市場規模と日本企業の参入状況
越境EC(Cross-border E-Commerce)とは、インターネット通販を通じて国境を越え、海外の消費者に商品を販売する取引を指します。日本国内のECと異なり、言語・通貨・決済手段・国際配送・各国の輸入規制への対応が必要になる点が特徴です。
市場は世界規模で拡大しています。経済産業省の報告書が引用する調査(Expert Market Research)では、2024年の世界の越境EC市場規模は1.01兆USドルと推計され、2034年には6.72兆USドルまで拡大すると予測されています(2025年から2034年の年平均成長率は約23.1%)。
日本企業にとっても海外は無視できない販路です。経済産業省の同じ報告書によると、2024年に中国の消費者が日本の事業者から越境ECで購入した金額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国の消費者が日本の事業者から購入した金額は1兆5,978億円と報告されています。円安も追い風となり、国内市場の成熟を補う新しい売上源として、自社商品を海外へ届ける企業が広がっています。
出典・参考資料(1件)
越境ECで成功した日本企業の事例10選
ここからは、越境ECで成果を上げている日本企業を10社紹介します。前半は中小・ニッチな商材で世界の愛好家をつかんだ企業、後半は大手の事例という並びです。まずは全体像を見渡し、自社に近い規模・業種の事例を探してみてください。
| サムライストア株式会社 | 株式会社Bento&co | 株式会社ほたか(カキモリ) | 株式会社山ト小笠原商店(北海道お土産探検隊) | JD CREATIONS合同会社(Fake Food Japan) | 株式会社Tokyo Otaku Mode | 株式会社ネオ・ウィング(CDJapan) | ヤーマン株式会社 | 株式会社資生堂 | 株式会社ファーストリテイリング(ユニクロ) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 規模 | 中小・ニッチ | 中小・ニッチ | 中小・ニッチ | 中小・ニッチ | 中小・ニッチ | 中小・ベンチャー | 中堅 | 大手(上場) | 大手 | 大手 |
| 商材 | 新作甲冑・和装関連 | 弁当箱・関連雑貨 | オーダーノート・文具 | 北海道銘菓・土産品 | 食品サンプル(1,400種以上) | アニメ・ポップカルチャー関連グッズ | 音楽CD・アニメ関連・書籍 | 美容機器・美容家電 | スキンケア・化粧品 | カジュアル衣料 |
| 主な進出先 | 世界70カ国 | 約100カ国(欧米中心) | 約30カ国 | 中国・米国・台湾ほか | 50カ国以上 | 100カ国以上 | 150カ国以上 | 中国ほかアジア | 中国 | グレーターチャイナ・欧米 |
| 販路 | 自社サイト(Shopify)・eBay | 自社サイト(Shopify)・卸 | 自社サイト(Shopify)・実店舗 | 楽天グローバルマーケット・Amazon・eBay等 | 自社サイト(Shopify) | 自社サイト・SNS起点のメディアコマース | 自社運営の越境ECサイト(1998年開始) | Tmall(天猫)旗艦店・ライブコマース | Tmall(天猫)・天猫国際 | 現地直営店・Tmall(天猫)旗艦店 |
| 海外展開の成果 | 甲冑販売は開始5カ月で売上2,000万円、越境EC歴20年超 | 約100カ国へ発送、卸は60店舗以上 | 約30カ国へ販売、海外店舗への卸売が売上の約半分 | 越境EC売上が年間1億円を突破、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー海外販売大賞 | 50カ国以上へ出荷、海外メディアでも紹介 | Facebookで1,700万超の「いいね」、2014年クールジャパン機構の出資第1号 | 会員80万人超、越境EC売上は国内ECと同規模の約20億円 | Tmall電子美容機器カテゴリで独身の日6年連続1位、中国を中心に海外売上を拡大(2022年4月期に海外比率約35%) | 2018年の独身の日で越境EC売上を前年比3倍に | 海外ユニクロ事業の売上収益1兆7,118億円(2024年8月期・店舗含む) |
※各社の公式発表・IR・報道による(2026年10月時点)。成果の詳細と出典は以下の各社解説を参照。
サムライストア株式会社(甲冑・和装)
鎧兜や甲冑を世界へ販売するサムライストアは、2001年にeBay Japanから独立して自社サイトでの越境ECを始めました。現在は自社サイト(Shopify)とeBayを通じて世界70カ国へ販売した実績を持ち、越境EC歴は20年を超えます。新作甲冑の販売では、開始からわずか5カ月で売上2,000万円を記録しました。
日本の武具という、海外に代替品がほとんど存在しない商材を一点突破で尖らせた点が特徴です。国内では市場が限られる商品でも、世界に薄く広く存在する愛好家に直接届けることで事業を成立させています。
出典・参考資料(1件)
株式会社Bento&co(弁当箱)
京都に拠点を置くBento&coは、日本の弁当箱を世界へ販売する企業です。フランス人の創業者トマ・ベルトラン氏が立ち上げ、曲げわっぱからキャラクター型まで幅広い弁当箱を、自社ECサイト(Shopify)と欧米の卸60店舗以上を通じて約100カ国へ発送しています。
創業者は、売上の多くを海外向けが占めると語っています。国際的な弁当コンテストを主催するなど、「BENTO」という食文化そのものを海外に広める活動を通じて、検索されるのを待たずに需要を自ら作り出してきた点に特徴があります。
株式会社ほたか(カキモリ・オーダー文具)
東京・蔵前の文具店「カキモリ」を運営するほたかは、自分で仕様を選ぶオーダーノートやつけペン、インクといった自社開発の文具を世界へ届けています。販売国は約30カ国にのぼり、自社EC(Shopify)と実店舗を組み合わせ、国際配送はDHLを利用しています。
海外の店舗への卸売が売上の約半分を占めるまでに成長しました。SNSでものづくりの物語を発信し、熱量の高いファンを育てることで、価格競争に巻き込まれない客単価を保っている点が参考になります。
株式会社山ト小笠原商店(北海道お土産探検隊)
新千歳空港で土産店を営む山ト小笠原商店は、北海道銘菓を海外へ販売する「北海道お土産探検隊」を運営しています。楽天グローバルマーケット、Amazon.com、Yahoo!台湾、eBayといった海外モールを主な販路とし、顧客の約7割が中国、次いで米国・台湾・香港です。
多言語対応から約2年で越境EC売上が年間1億円を突破し、売上の約半分が海外向けになりました。2014年には楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーの海外販売大賞も受賞しています。訪日客がよく購入する土産品という、現地での知名度が高い商材をモール経由で広く届けた事例です。
出典・参考資料(2件)
JD CREATIONS合同会社(Fake Food Japan・食品サンプル)
Fake Food Japanは、日本独自の文化である手作りの食品サンプルを世界へ販売しています。実物大のプレートからキーホルダー、マグネットまで1,400種類以上をそろえ、自社EC(Shopify)を通じて50カ国以上へ出荷しています。工房の歴史は古く、越境EC事業は2012年に始まりました。
精巧な食品サンプルは海外で珍しく、米国の大手メディアでも取り上げられています。日本ならではの職人技を前面に出し、現地に競合がほとんどいない領域で支持を集めている事例です。
株式会社Tokyo Otaku Mode(ポップカルチャー)
Tokyo Otaku Modeは、日本のアニメやマンガなどポップカルチャー関連グッズを世界へ販売する企業です。Facebookページを起点に海外ファンを集め、自社ECサイトで100カ国以上へ商品を届けています。Facebookページは1,700万を超える「いいね」を集め、その多くが海外のユーザーです。
2014年には、官民ファンドであるクールジャパン機構の出資第1号案件に選ばれました。商品を並べて検索を待つのではなく、SNSとコンテンツで海外のコミュニティを先に育ててから物販につなげる、メディアコマース型の代表例といえます。
出典・参考資料(1件)
株式会社ネオ・ウィング(CDJapan)
ネオ・ウィングは、日本の音楽CDやアニメ関連商品、書籍などを海外へ販売する越境ECサイト「CDJapan」を1998年から運営しています。自社サイトを軸に世界150カ国以上へ届け、会員数は80万人を超えます。地域別では欧州が約4割、北米が約3割を占めます。
2015年10月期には、越境ECの売上が国内ECと同規模の約20億円に達したと報じられています。早くから越境ECに取り組み、自社で培った物流ノウハウを他社向けサービスとして外販するまでに磨き上げている点が特徴です。
出典・参考資料(1件)
ヤーマン株式会社(美容機器)
美容機器メーカーのヤーマンは、中国を中核にアジアで越境ECを展開しています。アリババが運営するTmall(天猫)の旗艦店やライブコマースを活用し、年に一度の大型セール「独身の日」では、Tmallの電子美容機器カテゴリで6年連続1位を獲得しました。
中国を中心とした海外売上は2022年4月期にかけて拡大し、同期には売上に占める海外比率が約35%に達しました。一方で、2024年4月期以降は中国の消費低迷などの影響で海外売上が減少しています。中国市場は規模が大きい半面、景気や規制の影響を受けやすく、販売先の分散が課題となることを示す事例でもあります。
出典・参考資料(1件)
株式会社資生堂(化粧品)
資生堂は、中国向けの越境ECを象徴する大手企業です。Tmall(天猫)や天猫国際に旗艦店を構え、独身の日セールを販売の主戦場としています。2018年の独身の日では、越境ECの売上高を前年比3倍に伸ばしました。
化粧品・スキンケアは、中国向け越境ECで取引額の大きい主要な商材の一つです。資生堂はブランド力を背景に、現地の大型セールに合わせて販売を集中させる手法で成果を上げています。
株式会社ファーストリテイリング(ユニクロ)
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、中国本土・香港・台湾を含むグレーターチャイナを海外最大の市場とし、現地の直営店とTmall(天猫)旗艦店などのECを組み合わせています。2024年8月期の海外ユニクロ事業の売上収益は1兆7,118億円で、過去最高を更新しました(店舗販売を含む地域全体の売上)。
ECでも中国の独身の日が象徴的で、2018年にはTmallでのセール開始から35秒で約17億円を販売したと報じられています。実店舗とECを統合し、現地の購買イベントに合わせて需要を取り込む大手の展開例です。
事例から見える越境EC成功の共通要因
紹介した10社の取り組みには、業種や規模を問わず共通する要因が見えてきます。自社で越境ECを進める際に、真似すべき勘所として整理します。

日本ならではの価値を一点突破で尖らせる
甲冑(サムライストア)、弁当箱(Bento&co)、食品サンプル(Fake Food Japan)、北海道銘菓(山ト小笠原商店)のように、海外に代替品が少ない「日本固有」の商材は、現地に競合が少なく価格競争に陥りにくい傾向があります。
国内では市場が限られる商品でも、世界に薄く広く存在する愛好家に直接届けることで、十分に事業として成立しています。市場の大きさよりも、自社だからこそ提供できる固有性で勝負する発想が共通しています。
現地のニーズに合わせてローカライズする
言語・通貨・価格表示を現地仕様に整えることは、海外の消費者が安心して購入するための前提です。資生堂やユニクロが中国の独身の日に販売を集中させているように、進出先の商習慣や購買イベントに合わせることも成果を左右します。商品説明の翻訳だけでなく、現地の文化や購買行動に沿った見せ方まで踏み込むことが重要です。
SNS・コンテンツで海外の需要を自ら作る
Tokyo Otaku ModeのFacebookページが集めた1,700万を超える「いいね」や、カキモリがInstagramで発信するものづくりの物語、Bento&coによる弁当文化そのものの普及活動のように、成功企業は検索されるのを待たず、SNSやコンテンツで海外のファンの熱量を先に育てています。
中国ではTmallのライブコマース、欧米ではInstagramというように、進出先で人気のチャネルを使い分けている点も共通します。
決済・物流という越境特有の摩擦を早期につぶす
海外の消費者は、使い慣れた決済手段がなければ購入をためらいます。進出先に合わせた決済の用意と、関税を含めた国際配送の設計は、売上を取りこぼさないための土台です。カキモリがDHLで配送網を整え、CDJapanが自社の物流ノウハウを磨き上げたように、成功企業はこの摩擦を早い段階で解消しています。決済や物流の実務は後半で詳しく解説します。
販売先を1カ国に依存しすぎない
ヤーマンの海外売上が中国の消費低迷で減少したように、特定の国に依存した体制は、その国の景気や規制の変化で売上が大きく振れます。Bento&coやCDJapanのように販売先を複数の国・地域へ広げておくことが、安定した成長につながります。最初は始めやすい市場から入り、段階的に広げていく視点が有効です。
越境ECでよくある失敗・つまずきパターン
成功要因の裏返しとして、越境ECで失敗しやすいパターンも把握しておきましょう。事前に知っておくことで、避けられるつまずきは少なくありません。
日本向けのまま展開してしまう
日本語のサイトや日本円の価格表示のまま海外へ出しても、現地の消費者には伝わりません。「日本品質なら売れるはず」という過信で、ローカライズや現地ニーズの調査を省くと、集客しても購入につながりません。言語・通貨・決済・見せ方を現地仕様に整えることが出発点です。
進出国・販路の選定を誤る
自社商品にニーズのない国を選んだり、現地で使われていないモールに出店したりすると、労力に見合う成果が得られません。どの国の・どのような消費者に向くのかを見極め、その市場で利用者の多い販路を選ぶ必要があります。最初から大きく広げず、始めやすい市場で検証してから拡大する進め方が安全です。
一つの国に売上を集中させすぎるのも注意が必要です。前述のヤーマンは中国向けのTmall販売で海外売上を伸ばした一方、中国の消費低迷の影響で2024年4月期以降は海外売上が減少しました。大手でも単一市場への依存は景気や規制の変化で振れが大きく、軌道に乗ったら販売先を分散させる視点が求められます。
物流・関税コストを見込み違いする
国際配送の送料や関税、現地での輸入時の税は、国内取引にはないコストです。これらを見込まずに価格を設定すると、売れても利益が残らない事態になりかねません。進出先ごとに異なる税制や手続きを事前に把握し、コスト構造に織り込んでおくことが欠かせません。
特に単価の低い商品ほど注意が必要です。たとえば数千円の商品に国際送料と現地の関税・輸入時の税が上乗せされると、送料・税だけで商品価格に匹敵し、粗利が消えてしまうこともあります。送料と税を含めた販売価格で利益が残るか、販売前に試算しておきましょう。具体的な制度は次章で解説します。
自社で越境ECを始める方法(販路3型と主要プラットフォームの違い)
ここからは、自社で越境ECを始めるための販路の選び方を整理します。大きく3つの型があり、それぞれ初期コストや運用の自由度が異なります。
販路は大きく3つの型に分かれる
越境ECの販路は、自社サイト型・海外モール出店型・越境対応カート型の3つに整理できます。以下の表でそれぞれの特徴を比較します。
| 自社サイト型 | 海外モール出店型 | 越境対応カート型 | |
|---|---|---|---|
| 概要 | 自社ドメインで海外向けECサイトを構築・運営する | Amazon・eBay・Tmall・Shopeeなど現地モールに出店する | Shopify等の越境対応ECカートで自社サイトを手早く構築する |
| 向く企業 | ブランドの世界観を重視し、顧客と直接つながりたい企業 | モールの集客力を活かして早く販売を始めたい企業 | 自社サイト型を低コスト・短期間で始めたい中小企業 |
| 初期コスト・難易度 | 高め(構築・集客を自前で行う) | 低〜中(出店は比較的容易、手数料が発生) | 中(多言語・多通貨機能が標準で使える) |
| 集客 | 自社で広告・SNS・SEOを行う必要がある | モールの集客力を利用できる | 自社で行うが、構築負担は自社サイト型より軽い |
主要プラットフォームの違い
海外モール出店型を選ぶ場合、進出先によって主要なプラットフォームが異なります。北米ではAmazonやeBay、中国ではTmall(天猫)や天猫国際、東南アジア・台湾ではShopeeやLazadaが広く使われています。紹介した事例でも、北海道お土産探検隊は楽天グローバルマーケットやAmazon、ヤーマンや資生堂はTmallと、ターゲットとする国の主要モールを選んでいました。
自社サイト型・越境対応カート型では、Shopifyのように多言語・多通貨・海外配送設定を標準で備えたプラットフォームが使われます。モールは集客力に優れる一方で手数料や規約の制約があり、自社サイトは自由度が高い反面で集客を自前で行う必要があります。どちらか一方に絞らず、両方を組み合わせる企業も多く見られます。
モール型・自社EC型それぞれのプラットフォームについて、費用や機能を踏まえた選び方をさらに詳しく比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
越境ECプラットフォーム比較|モール型・自社EC型の違いと費用・選び方を解説
国内市場の頭打ちを背景に、自社の商品を海外の消費者へ販売する越境ECに乗り出す事業者が増えています。いざ始めようとすると、Amazonのような海外モールに出すのか、Shopifyのような自社サイトを立てるのか、出店先となるプラットフォームの…
中小企業は小さく始めて検証する
自社で越境ECを始める中小企業には、いきなり多くの国へ展開するのではなく、始めやすい市場や販路から小さく検証する進め方が向いています。台湾や東南アジアは、日本製品への関心が高く地理的にも近いうえ、物流や現地決済の環境も整いつつあるため、比較的参入しやすい市場とされます。
まず越境対応カートで自社サイトを立ち上げる、あるいは現地モールに1店舗出すところから試す方法があります。そこで売れ筋や現地の反応を確かめてから販路や進出国を広げていくことで、リスクを抑えながら海外展開を進められます。
越境ECの決済・コスト・税務の実務
販路を決めたら、越境EC特有の決済・物流・税務の実務を押さえる必要があります。ここは国内ECとの違いが大きく、見落とすと利益やトラブルに直結する部分です。
決済・為替・入金まわりの実務
海外の消費者は、使い慣れた決済手段がないと購入をためらいます。クレジットカードに加え、中国ではAlipay・WeChat Pay・銀聯(UnionPay)、韓国ではNaver PayやKakao Pay、欧州では各国の銀行振込系の決済など、進出先ごとに主流の手段が異なります。
これらを個別に契約するのは負担が大きいため、複数の現地決済手段を1つの契約・管理画面で導入できる決済代行サービスを使うのが一般的です。
決済代行サービスの費用は、初期費用や月額費用が無料で決済ごとの手数料のみという料金体系が増えています。手数料率は決済手段や地域によって異なり、クレジットカードでおおむね数%程度が目安です。
売上は現地通貨で受け取ったうえで日本円に換算して入金されるため、為替変動の影響や、入金サイクル(月次・週次など)、振込手数料も事前に確認しておきます。不正利用への備えとして、3Dセキュアなどの本人認証や不正検知の仕組みが用意されているかも選定のポイントです。
進出先ごとにどのような決済手段が使われ、どの決済代行サービスが対応しているのかは、以下の記事で手段別・サービス別に整理しています。自社の販売先に合う決済を具体的にそろえたい方はこちらも参考にしてください。
越境ECの決済|使える決済手段と対応決済代行15社を解説
海外の顧客から注文が入り始めたのに手元の決済で通らない、あるいは越境ECをこれから始めたいのに現地の決済手段への対応方法が見えない——このような場面で、候補となる決済手段や決済代行サービスを短時間で絞り込みたい担当者は少なくありません。 越…
関税・税務・会計まわりの実務
越境ECでは、商品を輸出する日本側と、輸入する相手国側の双方で税の扱いが関わります。まず相手国側では、輸入時にかかる関税や付加価値税(VAT)の制度を把握しておく必要があります。制度は国によって異なり、近年は変更も相次いでいるため、最新の情報を確認することが重要です。
欧州連合(EU)向けでは、2021年7月1日以降、金額にかかわらず輸入物品に付加価値税(VAT)が課されます。1配送あたりの真正価額が150ユーロ以下の物品については、販売者が販売時にVATを徴収し一括で申告・納付できる「IOSS(Import One-Stop Shop、輸入ワンストップショップ)」という仕組みが用意されています。
From 1 July 2021, a number of amendments to Directive 2006/112/EC (the VAT Directive) will start to apply affecting the VAT rules applicable to cross-border business-to-consumer (B2C) e-commerce activities.(2021年7月1日から、越境の消費者向け電子商取引に適用されるVATルールに影響するVAT指令の改正が適用され始める。)
出典:Explanatory Notes on VAT e-commerce rules|European Commission(DG TAXUD)
米国向けでは、長らく「800ドル以下の輸入は免税(de minimis)」という少額免税制度が利用されてきましたが、この扱いは変わりました。米国税関・国境警備局(CBP)は、国際郵便以外の経路で到着する800ドル以下の輸入について、この少額免税を無期限に停止する規則を定めています。「米国は800ドルまで免税」という従来の前提のままコストを計算しないよう、最新の制度を確認する必要があります。
This document amends the U.S. Customs and Border Protection (CBP) regulations to implement an indefinite suspension of the de minimis administrative exemption for imports valued at $800 or less arriving via all modes other than through the international postal network.(本規則は、国際郵便網以外のすべての経路で到着する800ドル以下の輸入について、少額免税を無期限に停止する。)
出典:Indefinite Suspension of the De Minimis Exemption|U.S. Customs and Border Protection(Federal Register)
こうした少額免税(デミニミス)の引き下げ・撤廃は近年各国で相次いでおり、国ごとの免税限度額と、事業者が取るべき対応を以下の記事で国別に整理しています。相手国側のコストを見積もる前に確認しておくと、価格設定の誤りを防げます。
デミニミスとは?米国・EU撤廃で越境ECはどう変わる|各国の免税限度額と事業者が取るべき対応
越境ECや輸出入の現場で「デミニミス」という言葉を見かける機会が、この1〜2年で急に増えました。「米国のデミニミスが撤廃された」「EUも変わる」といったニュースは目にするものの、そもそもデミニミスが何を指すのかを正確に説明できる人は、意外と…
一方、日本側の税務では、海外の消費者への販売は輸出取引として消費税が免除されます。国税庁はこの輸出免税について、次のように示しています。
販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除されます。これは、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。
出典:No.6551 輸出取引の免税|国税庁
ただし、輸出免税の適用を受けるには、その取引が輸出取引であることを証明する書類(輸出許可書など)を保存する必要があります。また、国内の仕入れや経費にかかる消費税の仕入税額控除を受けるうえでは、2023年10月に始まった適格請求書等保存方式(インボイス制度)にもとづく帳簿・請求書の保存が前提となります。
海外への販売(輸出免税)と、国内の仕入れ側の控除要件は分けて考え、自社の会計処理を整えておきましょう。
出典・参考資料(1件)
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越境EC支援サービスの活用(成功要因を外部に任せて実現する)
これまで見てきた成功要因(サイト構築・多言語対応・現地決済・国際物流・集客)を、すべて自社だけでそろえるのは簡単ではありません。こうした機能を部分的に、あるいは一括で外部に任せられるのが越境EC支援サービスです。
まず海外向けの決済だけを整えたい段階から、複数モールの運用をまとめて効率化したい段階、本格的なEC基盤を腰を据えて構築する段階まで、必要な範囲は企業の規模や進み具合で変わります。以下では課題別に6サービスを紹介するので、各社の「どんな企業に向くか」を手がかりに、自社の段階に合うものを選んでください。
支援サービスは構築代行・運営代行・特化型など種類が分かれ、費用相場や選び方も異なります。本記事の数社だけでなく、越境EC支援サービス全体を見渡して比較検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
越境EC代行おすすめ19選|構築・運営代行・特化型の違いと費用相場・選び方
海外の消費者に自社商品を売りたい。そう考えて情報を集め始めると、越境ECには多言語対応や海外決済、国際配送、関税や現地の商習慣といった、国内ECにはない壁がいくつも立ちはだかることに気づきます。これらを自社だけで乗り越えるのは負担が大きく、…
以下は、本記事で紹介する越境EC支援サービスの比較表です。
| サービス名 | Magento / Adobe Commerce 構築・リニューアル支援 | WeChatミニプログラムFor中国越境EC | Lingble Global Guide | KOMOJU(コモジュ) | ecbeing(イーシービーイング) | AnyX |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ | 株式会社マルウェブ | Lingble Pte. Ltd. | 株式会社KOMOJU | 株式会社ecbeing | AnyMind Japan株式会社 |
| 支援の形(タイプ) | ECサイト構築 (Magento / Adobe Commerce) | 中国向けEC構築・運営 (WeChatミニプログラム) | フルマネージド型 グローバルEC運営代行 | 越境EC向け決済代行 | ECサイト構築パッケージ (越境はオプション) | EC一元管理プラットフォーム |
| 対応範囲 | 新規構築・リニューアル・保守 BtoBカスタマイズ・多言語/多通貨 | 店舗構築・運営・WeChat Pay決済 国際物流連携・CRM・現地CS代行 | 戦略立案・構築・運営・国際物流 通関(DDP)・多言語CS(24時間365日) | 国内外65種類以上の決済手段・20通貨 不正検知・3Dセキュア・ノーコード導入 | BtoC/BtoB/オムニチャネル構築 越境はGlobal-e連携で決済・関税・モール出店 | 複数モール・自社ECの一元管理 限界利益分析・在庫連携・フルフィルメント |
| 対応国・地域 | 全世界 (中国向け構築パッケージに対応) | 中国 | 34カ国で販売・170カ国へ配送 (公表実績) | 日本・中国・韓国・東南アジア 欧州・ブラジルなどの現地決済に対応 | 連携先(Global-e等)経由で対応 (単体の対応国数は非公開) | 日本・アジアのECモール等 (単体の対応国数は非公開) |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 0円 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 月額費用 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 売上に応じたレベニューシェア型 | 0円 (決済手数料のみ/国内カード3.25%) | 要お問い合わせ (最低利用期間2年) | 要お問い合わせ |
| こんな企業に向く | Magentoで腰を据えたサイトを 構築したい企業 | 中国市場に特化して 手早く始めたい企業 | 運用を丸ごと専門チームに 任せたい企業 | 決済だけを現地仕様に 強化したい企業 | 国内ECと越境ECを 同じ基盤で運用したい企業 | 複数モールの運用を 効率化したい企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
Magento / Adobe Commerce 構築・リニューアル支援(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブは、越境EC構築・運営を主軸とするWeb総合ソリューション企業です。オープンソースから商用版(Adobe Commerce)まで対応するECプラットフォーム「Magento」を用いて、新規構築からリニューアル、保守運用、BtoB向けのカスタマイズまでを一貫して手がけます。多言語・多通貨対応や複数ストアの一元管理により、海外展開を見据えたサイトづくりに対応します。
中国向けには、中国本土・香港リージョンのサーバー構築、簡体字・繁体字への対応、WeChat Pay・Alipay・銀聯といった中国の決済手段の設定、ICP登録(中国でのサイト運営に必要な届出)のサポートまでを含むパッケージを提供しています。Adobeのソリューションパートナー(ブロンズ)に認定されており、Magentoを軸に腰を据えたサイト構築を検討する企業に向くサービスです。
WeChatミニプログラムFor中国越境EC(株式会社マルウェブ)

同じく株式会社マルウェブが提供する、中国のSNS「WeChat(微信)」内で動くミニプログラム形式の越境ECサービスです。消費者は別アプリをインストールせずに利用でき、WeChatの広大なユーザー基盤に直接アプローチできます。香港上場企業の微盟(Weimob)との代理店契約にもとづいて提供されています。
ドラッグ&ドロップで編集できる管理画面、注文・出荷管理、CRM、グループ購入やライブコマースなどの販促機能を備えたオールインワン型です。WeChat Payによる決済は日本円建てで入金され、国際物流パートナーとの連携で倉庫保管型・注文都度発送型の配送にも対応します。15日間の無料トライアルが用意されており、中国市場に特化して手早く始めたい企業に適しています。
Lingble Global Guide(Lingble Pte. Ltd.)

Lingble Global Guideは、ブランドの海外展開を戦略立案からサイト構築・運営・物流・多言語カスタマーサポートまで一括で引き受けるフルマネージド型のグローバルEC支援サービスです。複数の国に個別サイトを分散させるのではなく、統一した自社ドメイン上で海外向けのブランドサイトを運営する方式を特徴としています。
国際配送や通関、関税を前払いするDDP、返品交換の管理、市場ごとの価格・在庫の最適化、24時間365日の多言語カスタマーサポートまでを提供し、34カ国での販売実績・170カ国への配送実績を公表しています。コクヨやデサント、ブラザー工業などの導入実績があり、海外展開の運用を丸ごと専門チームに任せたい企業に向きます。料金は売上に応じたレベニューシェア型で、個別の見積もりとなります。
KOMOJU(コモジュ)(株式会社KOMOJU)

KOMOJUは、越境ECの決済に特化した決済プラットフォームです。国内外65種類以上の決済手段を1つのAPIで導入でき、対応通貨は日本円・米ドル・ユーロ・人民元・韓国ウォンなど20種類にのぼります。中国のAlipay・WeChat Pay・銀聯、韓国・東南アジア・欧州・ブラジルなどの現地決済手段に幅広く対応している点が、越境ECでの強みです。
初期費用・月額費用は無料で、かかるのは決済ごとの手数料のみというシンプルな料金体系です(国内のクレジットカードは3.25%など)。Shopify・WooCommerceといった主要ECプラットフォームにノーコードで導入でき、AIを活用した不正検知や3Dセキュアも無償で提供されます。導入実績は20,000サイトを超えます。
自社サイトやモールの決済だけを現地仕様に強化したい企業に適しています。
ecbeing(イーシービーイング)(株式会社ecbeing)

ecbeingは、中堅から大手企業を中心に広く使われているECサイト構築パッケージです。富士キメラ総研の調査(ECサイト構築カスタマイズ型SaaS/PaaS市場、金額ベース)で18年連続シェア1位を記録し、1,600サイト以上の構築実績を持ちます。BtoCに加えてBtoBやオムニチャネルにも対応する、本格的なEC基盤を求める企業向けのサービスです。
越境EC向けには「ecbeing越境フルサポート」を用意し、Global-e Japanとの提携による決済・通貨換算・関税対応や、Shopee・LAZADA・Tmall・RED(小紅書)といった海外モールへの出店支援を提供します。
ただしこれは国内向けECパッケージのオプションという位置づけで、越境EC専業のサービスではない点は押さえておきましょう。既存の国内ECと越境ECを同じ基盤で運用したい企業に向きます。
AnyX(AnyMind Japan株式会社)

AnyXは、複数のECモールと自社ECサイトを一元管理するECマネジメントプラットフォームです。Amazon・楽天・Shopee・Lazada・Shopify・TikTok Shopなど複数チャネルの商品・注文・在庫を1つの画面で扱え、チャネルをまたいだ運用の手間を減らせます。海外モールへ出店して販路を広げる越境ECで、管理が煩雑になりがちな課題に応えます。
販売手数料や広告費などの変動費を差し引いた限界利益を、チャネル別・商品別に算出する分析機能や、在庫連携、チャット接客、フルフィルメントまでを備えます。運営元のAnyMind Groupはアジアを中心に複数の国・地域に拠点を持ち、ISO/IEC 27001の認証も取得しています。すでに複数モールで販売しており、運用を効率化したい企業に適しています。
まとめ
越境ECで成功した日本企業の事例を見ると、超大手だけでなく、甲冑や弁当箱、食品サンプルといったニッチな商材で世界の愛好家をつかんだ中小企業も数多く存在します。共通する成功要因は、日本ならではの価値を尖らせること、現地に合わせたローカライズ、SNSやコンテンツでの需要づくり、決済・物流の摩擦の早期解消、そして販売先を1カ国に依存しない分散です。
自社で始める際は、自社サイト型・海外モール出店型・越境対応カート型という販路の違いを理解し、始めやすい市場から小さく検証する進め方が有効です。決済・関税・税務といった越境特有の実務は国内ECと大きく異なるため、最新の制度を確認しながら準備を進めましょう。これらの機能を自社だけでそろえるのが難しい場合は、越境EC支援サービスを活用して、成功要因の実現を外部の専門家に任せる選択肢もあります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 越境ECとは何ですか?
A. 越境ECとは、インターネット通販を通じて国境を越え、海外の消費者に商品を直接販売する取引のことです。国内のECと異なり、言語・通貨・決済手段・国際配送に加え、進出先ごとに異なる輸入規制や関税・税制への対応が必要になる点が特徴です。
国内市場の成熟を補う新しい売上源として、円安も追い風に日本企業の参入が広がっています。市場規模や始め方は本記事の前半で詳しく解説しています。
Q. 中小企業でも越境ECで成功できますか?
A. 越境ECは、大企業だけでなく中小企業でも十分に成功できます。本記事で紹介した事例でも、甲冑(サムライストア)、弁当箱(Bento&co)、食品サンプル(Fake Food Japan)、北海道銘菓(北海道お土産探検隊)のように、海外に代替品が少ない日本固有の商材を扱う中小企業が、世界の愛好家をつかんで成果を上げています。
国内では市場が限られる商品でも、世界に薄く広く存在するファンへ直接届けることで事業として成立します。市場の大きさよりも、自社だからこそ提供できる固有の価値で勝負する発想が成功の鍵です。
Q. 越境ECはどの国から始めるのがよいですか?
A. 越境ECは、自社商品にニーズのある国のうち、比較的参入しやすいとされる台湾や東南アジアから小さく始める方法が中小企業には向いています。いきなり多くの国へ展開するのではなく、まず1つの市場や販路で売れ筋や現地の反応を確かめ、そこから販路や進出国を広げるとリスクを抑えられます。
一方で、特定の国に依存した体制はその国の景気や規制の変化で売上が大きく振れるため、軌道に乗ったら販売先を複数の国・地域へ分散しておくことが安定した成長につながります。
Q. 越境ECの販路は自社サイトと海外モールのどちらを選ぶべきですか?
A. 越境ECの販路は自社サイト型・海外モール出店型・越境対応カート型の3つに大きく分かれ、モールの集客力を活かして早く始めたいなら海外モール出店型、ブランドの世界観や顧客との直接のつながりを重視するなら自社サイト型が向きます。
海外モール出店型はAmazon・eBay・Tmall・Shopeeなど進出先で利用者の多いモールに出店でき、集客力に優れる一方で手数料や規約の制約があります。自社サイト型は自由度が高い反面で集客を自前で行う必要があり、その構築負担を抑えたい場合はShopifyのような越境対応カートを使う選択肢があります。
どちらか一方に絞らず、両方を組み合わせる企業も多く見られます。
Q. 越境ECを始めるのにどれくらいの費用がかかりますか?
A. 越境ECを始める費用は、選ぶ販路によって異なります。一般的な目安として、海外モール出店型は販売額の数%〜十数%の手数料で比較的低コストに始められ、越境対応カート型は月額数千円〜数万円程度、自社サイト型は構築を外注すると数十万円以上かかることもあります。
決済については、初期費用・月額費用が無料で決済ごとの手数料のみという決済代行サービスが増えており、手数料率はクレジットカードでおおむね数%程度が目安です。このほか国際配送の送料や相手国での関税・輸入税など、国内ECにはないコストを価格設定に織り込んでおくことが利益を残すうえで欠かせません。
Q. 越境ECで海外の顧客向けの決済はどう用意すればよいですか?
A. 越境ECの決済は、複数の現地決済手段を1つの契約・管理画面で導入できる決済代行サービスを使うのが一般的です。海外の消費者は使い慣れた決済手段がないと購入をためらうため、クレジットカードに加え、中国ではAlipay・WeChat Pay・銀聯(UnionPay)、韓国ではNaver PayやKakao Payなど、進出先で主流の手段をそろえる必要があります。
これらを個別に契約するのは負担が大きいため、現地決済手段をまとめて導入でき、3Dセキュアなどの本人認証や不正検知も備えた決済代行サービスを利用します。売上は現地通貨から日本円に換算して入金されるため、為替変動の影響や入金サイクル、振込手数料も事前に確認しておきましょう。
Q. 越境ECで関税や消費税はどうなりますか?
A. 越境ECの税は、輸入する相手国側で関税や付加価値税(VAT)がかかり、輸出する日本側では輸出取引として消費税が免除されます。相手国側の制度は国によって異なり、近年は変更も相次いでいます。
たとえばEU向けでは2021年7月以降、金額にかかわらず輸入物品にVATが課され、150ユーロ以下の物品には販売時に一括で申告・納付できるIOSSの仕組みがあります。米国向けでは従来の「800ドル以下は免税」という少額免税(de minimis)が国際郵便以外の経路で無期限に停止されており、古い前提のままコスト計算をしないよう注意が必要です。
日本側では輸出免税を受けるために輸出を証明する書類の保存が必要で、国内の仕入れにかかる消費税の控除にはインボイス制度にもとづく帳簿・請求書の保存が前提となります。いずれも最新の制度を確認しながら準備を進めてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















