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越境ECの課題とは?物流・決済・法規制など6つの壁と対処法を解説

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越境EC支援比較表(2026年版)のプレビュー

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越境EC支援比較表(2026年版)

自社の商品を海外の消費者にも売りたい——円安やインバウンド需要の高まりを背景に、越境ECへ踏み出そうとする事業者は増えています。一方で、いざ始めようとすると「どこでつまずくのか」「何が大変なのか」が見えず、一歩を踏み出せないという声も少なくありません。

越境ECの課題は、物流・配送・通関、決済・為替、法規制・関税・税制・知財、言語・文化、集客・市場調査、そして返品・カスタマーサポート・社内体制という6つの領域に大きく分けられます。この記事では、6領域それぞれについて「何が課題で、なぜ大変か、どう対処できるか」を整理します。

あわせて、特に重い課題(物流・決済・法規制)の見極め方と、自社で対応するか・海外モールに乗るか・外部の支援サービスに任せるかという判断の軸も示します。全体像をつかんだうえで、自社ではどこが壁になりそうか、どこを外部に任せるべきかを考える材料にしてください。

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越境ECで直面する課題の全体像(6領域)

越境ECの課題は、大きく次の6領域に整理できます。まず全体像をつかんでから、自社に関係の深い領域を読み進めてください。

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課題の領域物流・配送・通関決済・為替法規制・関税・税制・知財言語・文化集客・市場調査返品・カスタマーサポート・社内体制
主なつまずきポイント送料・リードタイム、通関書類、発送できない品、返品国ごとに異なる決済手段、多通貨対応、為替変動国別の規制・認証、関税・VAT、個人情報保護、商標多言語化、翻訳とレイアウト、現地の商習慣現地での認知獲得、市場・競合の調査国際返品、多言語サポート、担当者・予算の確保

これらは、日本貿易振興機構(JETRO)や日本政策金融公庫といった公的機関のレポートでも、越境ECに取り組む企業の課題として共通して挙げられています。以下、領域ごとに「課題」「なぜ大変か」「対処の方向性」を見ていきます。

物流・配送・通関の課題

海外へ商品を送る物流は、越境ECで最初に大きな壁になりやすい領域です。JETROのJAPAN STORE参加企業(米英Amazonの支援プログラム)向けアンケートでも、米国アマゾン販売における予算投下額として「配送・物流」が全体で最も多く挙げられています。

なぜ大変か。国際配送は送料が国内より高く、商品代金に対して送料の比率が大きくなりがちです。配送日数(リードタイム)も相手国や手段によって変動し、購入後の体験に直結します。さらに、国際郵便では送り状・税関告知書に加え、内容品の総額が20万円を超える場合などにインボイス(仕入書)が必要になり、書類の準備が欠かせません。

対処の方向性。配送手段は、国際郵便(EMSなど)と民間の国際宅配便(クーリエ便)を、送る国・重量・求めるスピードに応じて使い分けます。代表的な配送手段の性質は次のとおりです。

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配送手段EMS(国際スピード郵便/日本郵便)クーリエ便(DHL・FedEx・UPS など)
区分国際郵便民間の国際宅配便
特徴国際郵便で最速のサービス。世界120以上の国や地域に送れ、重さ30kgまでの書類・荷物に対応ドア・ツー・ドアの国際速達。集荷・追跡や、関税・税金を発送側が立て替える仕組み(DDPなど)に対応する事業者もある。対応国・料金・日数は各社・条件で異なる

各サービスの対応条件は変動するため、最新の料金・対応国は各社の公式情報をご確認ください。

在庫の置き方にも選択肢があります。日本の倉庫から発送する「直送モデル」と、あらかじめ現地の保税区(輸入手続き前に商品を保管できる区域)や倉庫へ入庫しておくモデルがあり、それぞれ向き不向きが異なります。

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物流モデル直送モデル保税区モデル
在庫の置き場日本の倉庫現地の保税区・倉庫
特徴注文ごとに日本から国際発送する。在庫を分散させず始めやすい一方、1件ごとに送料・リードタイムがかかるあらかじめまとめて入庫し現地から発送する。配送が速くなりやすい一方、事前の在庫手当てと倉庫コストがかかる

どちらのモデルでも、送料や配達日数は仕向地・重量で大きく変わります。「送料が高い」と一般論で済ませず、日本郵便や各配送事業者の料金・日数シミュレーションを使うとよいでしょう。自社の商品(重量・サイズ)と主な販売先を当てはめて試算し、採算が合うかを確認しておくと判断を誤りにくくなります。物流業者の選定や想定外の輸送費は、公的機関の調査でも課題として挙がっています。

出典・参考資料(4件)
  • 出典:越境ECの課題と克服ポイント(日本)|日本貿易振興機構(JETRO)(リンク)
  • 出典:国際郵便 EMS(国際スピード郵便)|日本郵便(リンク)
  • 出典:国際郵便の送り方ガイド(送り状・税関告知書・インボイス)|日本郵便(リンク)
  • 出典:越境ECに挑戦する企業が直面する課題|日本政策金融公庫(リンク)

決済・為替の課題

海外の消費者に「いつも使っている方法で払えない」と感じさせると、かご落ち(購入途中の離脱)につながります。決済は売上に直結する課題です。

なぜ大変か。主流の決済手段は国・地域によって大きく異なり、クレジットカードだけでは取りこぼす市場があります。各国・地域で使われている代表的な決済手段には、たとえば次のようなものがあります。

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地域中国韓国東南アジア欧州
主な決済手段の例Alipay、WeChat Pay、銀聯(UnionPay)クレジットカード、Toss、PAYCO、キャリア決済GrabPay、DOKU(インドネシア)、FPX(マレーシア)、Dragonpay(フィリピン)などiDEAL(オランダ)、Bancontact(ベルギー)、Przelewy24・BLIK(ポーランド)など

地域ごとに使われる決済手段は多岐にわたり、上表は一例です。対応手段は決済サービスにより異なります。

さらに、複数通貨で販売すると為替変動で手取りが動くため、価格設定や利益管理にも影響します。

対処の方向性。販売先の国で使われる決済手段に幅広く対応し、多通貨での受け取りができる決済の仕組みを整えることが基本です。自社で各国の決済事業者と個別に契約するのは負担が大きいため、現地決済手段をまとめて導入できる決済サービスを使う方法もあります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:利用可能な決済方法|KOMOJU(リンク)

どの国でどの決済手段が主流か、決済代行サービスを使うと何をまとめて導入できるかは、国・地域別の一覧とともに次の記事で詳しく整理しています。使える決済手段を具体的に押さえておきたい方はあわせてご覧ください。

法規制・関税・税制・知財の課題

海外へ販売するには、相手国の規制・税制・知的財産のルールに合わせる必要があります。国ごとに内容が異なり、知らずに進めると販売できない・違反になるといったリスクがあります。

なぜ大変か。主要な国・地域の代表的なルールを整理すると次のとおりです。いずれも、商品の種類や販売先によって自社に関係するかどうかが変わるため、早い段階での確認が欠かせません。

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国・地域米国英国中国各国共通各国共通
制度・規制FDA認証(法的規制)VAT登録(税制)ポジティブリスト(輸入規制)個人情報保護商標登録
内容の概要食品・飲料・化粧品等の輸出では、米国食品医薬品局(FDA)への製造施設・米国代理人・商品ラベルの英語化等の登録が必須1送付(consignment)£135以下の物品は、販売時点で英国の付加価値税(VAT)を課す必要があり、海外事業者もVAT登録が必須(£135超は通常の輸入VAT・関税のルール)越境ECで中国へ輸入できるのは、「越境EC小売輸入商品リスト(正面清单)」に掲載された商品に限られる米CCPA・EU GDPR・中PIPLなど。たとえばEUの消費者に商品を提供する日本事業者は、EUに拠点がなくてもGDPRの対象になり得る日本のみで商標登録している場合、現地での模倣品や先行登録のリスクがある

個人情報保護については、EUのGDPR(EU一般データ保護規則)が域外の事業者にも適用され得る点が特に重要です。第3条は適用範囲を次のように定めています。

This Regulation applies to the processing of personal data of data subjects who are in the Union by a controller or processor not established in the Union, where the processing activities are related to: (a) the offering of goods or services … to such data subjects in the Union …

出典:Art. 3 GDPR — Territorial scope|GDPR (Regulation (EU) 2016/679)

つまり、EU域内の消費者に向けて商品・サービスを提供する日本事業者は、EUに拠点がなくてもGDPRへの対応を求められ得ます。米国のCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)は年間総売上や取り扱う個人情報の件数などの基準に該当する事業者が対象で、中国のPIPL(個人情報保護法)も中国国内の個人へ商品・サービスを提供する目的の処理などに適用されます。

自社の販売先に応じて、該当する法律への対応を確認しておく必要があります。

出典・参考資料(5件)
  • 出典:越境ECに挑戦する企業が直面する課題(国別規制の整理)|日本政策金融公庫(リンク)
  • 出典:VAT and overseas goods sold directly to customers in the UK|GOV.UK(リンク)
  • 出典:我国进一步优化调整跨境电商零售进口商品清单|中国一帯一路網(リンク)
  • 出典:Art. 3 GDPR — Territorial scope|GDPR(Regulation (EU) 2016/679)(リンク)
  • 出典:California Consumer Privacy Act (CCPA)|California Attorney General(リンク)

関税・税制の面では、商品が相手国に届く際に関税や、輸入時の付加価値税(VAT)・物品サービス税(GST)がかかり、これらは最終的に購入者が支払う「着地価格」に上乗せされます。想定より着地価格が高くなると購入の妨げになるため、誰が関税を負担するか(購入者が受け取り時に支払うか、販売側が立て替えるか)も含めて設計が必要です。

関連して、少額輸入を一定額まで免税にする「デミニミス(免税限度額)」も着地価格と通関の手間に直接響きます。米国の撤廃やEUの制度変更が進んでおり、各国の現在のしきい値と直近の制度変更、取るべき対応は次の記事で整理しています。

言語・文化の課題

サイトやサポートを現地の言語に対応させることは、海外の消費者に安心して買ってもらうための前提です。

なぜ大変か。単語を置き換えるだけの機械翻訳ではニュアンスが伝わらず、翻訳した文章の長さが変わってデザイン(レイアウト)が崩れることもあります。

翻訳が必要なのは商品ページだけではありません。問い合わせページやFAQ、購入手続きの画面に加え、在庫状況やエラー表示のような動的に変わる文言、さらに現地の検索エンジンで見つけてもらうための海外SEOまで対応範囲は広がります。現地の商習慣やサイズ・色の好みといった文化差も売れ行きに影響します。

対処の方向性。重要なページから優先して人の手による翻訳を入れ、更新のたびに翻訳が追いつく運用を整えることが現実的です。多言語対応を支援するツールや、サイト構築から多言語運用まで任せられるサービスを使う選択肢もあります。

集客・現地マーケティングと市場調査の課題

サイトを作っても、現地で知ってもらえなければ売上にはつながりません。集客と、その前提となる市場調査も越境ECの課題です。

なぜ大変か。国内で有効な集客手法が海外でそのまま通じるとは限りません。消費者が商品を探す主な場も国によって異なり、検索エンジン・現地で強いSNS・海外モール・インフルエンサーなど、どこに力を入れるべきかは市場ごとに変わります。そもそもどの国・どの層に売れる見込みがあるのかという市場調査から始める必要があり、ここに時間と手間がかかります。

対処の方向性。まずは販売先の候補国を絞り、需要や競合を調べたうえで小さく始めるのが定石です。現地の広告・SNS運用やマーケティング戦略の立案を支援するサービスを活用して、調査と集客を外部の知見で補う方法もあります。

返品・カスタマーサポート・社内体制の課題

販売後の対応や、社内でどう越境ECを回すかという体制面も、見落とされがちですが重要な課題です。

なぜ大変か。国際返品は送料や通関の手間が大きく、どこまで対応するかの線引きが必要です。問い合わせ対応も、時差のある海外の顧客に現地の言語で応じる体制が求められます。加えて、日本政策金融公庫のレポートでは、越境ECの課題として「必要な社内人材の不足」や「予算確保」が挙げられており、担当者を専任で置けず他業務と兼任しているケースも少なくありません。

対処の方向性。国際返品は送料負担が大きいため、返品を受け付ける条件をあらかじめ決めておくとトラブルを避けやすくなります。たとえば、不良品のみ対応する、返品は受け付けず返金のみで対応する、現地の拠点や倉庫で回収する、といった選択肢があります。

そのうえで、多言語のカスタマーサポートを自社で持つか外部に委託するかを決めておくことが肝心です。社内リソースが限られる場合は、運営やサポートまで含めて任せられる支援サービスの活用も検討の対象になります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:越境ECに挑戦する企業が直面する課題(企業規模別の課題・社内人材・予算)|日本政策金融公庫(リンク)

調査データで見る「事業者が実際につまずく課題」

課題の全体像を、公的機関の調査データで裏づけておきます。いずれも調査の母集団を確認したうえで読むことが大切です。

市場そのものは拡大が続いています。経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の日米中3か国間の越境ECはいずれの国の間でも増加しました。中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)でした。市場が拡大するなかで、課題をどう乗り越えて参入するかが問われています。

事業者が実際につまずいている課題は、公的機関の調査にも表れています。主な数字は次のとおりです。

  • 中小企業は、ほとんどの項目で大企業より課題を抱える割合が多い(日本政策金融公庫レポートが引くジェトロ2022年度調査)
  • 米英Amazonの支援プログラム参加企業のうち、未出品の企業は米国で約3割・英国で約7割。理由の約半数が「商品準備に時間がかかっているため」(JETRO)
  • 越境ECの予算で最も多く投じられる項目は「配送・物流」で、物流は費用面でも重い課題(JETRO)

これらの企業規模別・出品状況の数字は、公的機関のレポートが米英Amazonの支援プログラム参加企業などを対象に調べたもので、全越境EC事業者を代表する統計ではありません。それでも、情報不足・物流・出品準備が共通してつまずきやすい点を示しており、自社が力を入れるべき課題を見極める手がかりになります。

同じ公庫のレポートでは、成功している企業の行動傾向も示されています。売上上位1割の企業は、約7割以上が1日1回以上、越境ECの管理画面を確認し、商戦イベントにも積極的に参加しているとされます。越境ECを片手間ではなく、継続的に手をかける体制づくりが成果につながることを示す結果です。

出典・参考資料(3件)
  • 出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査 結果公表資料|経済産業省(リンク)
  • 出典:越境ECに挑戦する企業が直面する課題|日本政策金融公庫(リンク)
  • 出典:越境ECの課題と克服ポイント(日本)|日本貿易振興機構(JETRO)(リンク)

重い課題の見極めと、自社運用・外部委託・モールの選び方

6領域すべてを一度に完璧に対応するのは現実的ではありません。自社にとって特に重い課題を見極め、どこを自力でやり、どこを外部に任せるかを決めることが、越境ECを前に進めるコツです。

多くの事業者にとって特に重くなりやすいのは、物流・決済・法規制の3つです。物流は費用とリードタイムが売上と利益に直結し、決済は現地の手段に対応できないと購入そのものが成立しません。法規制は、対応を誤ると販売できない・違反になるという、やり直しの効きにくい課題です。この3つをどう乗り越えるかの見通しを、参入判断の軸に置くとよいでしょう。

越境ECの課題6領域を2段で整理した図解。上段は特に重い3領域として物流・配送・通関(送料とリードタイムが売上と利益に直結)、決済・為替(現地の決済手段に対応できないと購入が成立しない)、法規制・関税・税制・知財(対応を誤ると販売できない・違反になりやり直しが効きにくい)を示し、この3つの見通しを参入判断の軸に置くと説明。下段は残りの3領域として言語・文化、集客・市場調査、返品・カスタマーサポート・社内体制を示す。

そのうえで、販売の土台をどう作るかには大きく3つの選択肢があります。それぞれ向くケースと留意点が異なります。

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選択肢海外モールに出店する自社ECサイトを構築する運営を外部の支援サービスに委託する
向くケースすでに集客力のある場で早く試したい。市場の反応をまず見たい自社ブランドとして世界観・顧客体験・データを自社で持ちたい社内に人材・ノウハウが乏しく、重い課題をまとめて任せたい
留意点手数料やモールのルールに従う必要があり、ブランドや顧客データを自社に蓄積しにくい多言語・多通貨・海外決済・配送の設計を自社で用意する必要があり、構築・運用の負担が大きい費用がかかり、ノウハウが社内に蓄積しにくい面がある。任せる範囲の線引きが要る

これらは排他的な選択ではありません。「まずは海外モールで試し、手応えがあれば自社ECへ」「サイト構築は支援会社に任せ、決済だけ専門サービスを使う」といった組み合わせも一般的です。自社の人材・予算・急ぎたい度合いに合わせて、どこを自力で担い、どこを外部の手を借りるかを決めていきましょう。

海外モールと自社ECサイトでは、対応国や初期費用・販売手数料、多言語・海外決済・海外配送への対応が異なります。それぞれの費用感と向き不向きを具体的に見比べて出店先を決めたい場合は、次の記事が参考になります。

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越境ECの課題解決を支援するサービスの活用

物流・決済・多言語対応・サイト構築といった重い課題は、外部の支援サービスを使って肩代わりすることもできます。ここでは、課題への向き合い方が異なる3つの代表例——自社でECサイトを構築する構築型、運営ごとまとめて任せるフルマネージド型、決済の課題に特化した決済特化型——を1つずつ取り上げ、どんな課題を解決できるのかを紹介します。

ここで挙げるのはあくまで一例です。越境EC支援サービスを横並びで比較して選びたい場合は、費用相場や選び方まで次の記事で詳しく解説しています。

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サービス名Magento / Adobe Commerce
構築支援(マルウェブ)
Lingble Global GuideKOMOJU(コモジュ)
タイプEC構築・開発(受託)フルマネージド型の運営支援決済プラットフォーム(導入型)
解決できる主な課題自社ブランドの海外向け
ECサイトを作りたい
物流・決済・多言語対応など
複数の課題をまとめて任せたい
海外の決済手段への対応
(決済の壁)を解決したい
対応範囲Magento/Adobe Commerceでの
サイト構築・多言語/多通貨・BtoB機能
(物流・輸出手続きの代行は対象外)
戦略立案〜サイト構築・運営
国際配送・通関・DDP・多言語CS
市場別の価格/在庫最適化まで一気通貫
国内外65種類以上の決済手段
20種の通貨に対応
(サイト構築・運営・物流は対象外)
費用の目安要お問い合わせ
(個別見積もり)
要お問い合わせ
(売上に応じたレベニューシェア型)
初期・月額0円
決済手数料のみ(クレジットカード3.25%)
こんな事業者に向く自社ブランドのECを
自前で持ちたい事業者
社内に人材・ノウハウが乏しく
運営ごと外部に任せたい事業者
サイトは自社で進めつつ
決済だけ対応したい事業者
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る

1. Magento / Adobe Commerce 構築・リニューアル支援(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブ Magento / Adobe Commerce 構築・リニューアル支援の公式サイト

「自社ブランドのECサイトを海外向けに作りたい」という課題に応えるのが、株式会社マルウェブのMagento / Adobe Commerce構築・リニューアル支援です。Adobe Commerce認定パートナー(Adobe Solution Partner Bronze)として、要件定義・設計・開発・デザイン調整までを一貫して手がけます。

Magento Open SourceとAdobe Commerceを用い、多言語・多通貨や国別サイト、海外向けの決済・配送を踏まえたEC構築に対応します。取引先別価格・見積依頼・承認フローといったBtoB向けの機能も設計できるため、自社の販売形態に合わせて作り込めます。

日本側でディレクションを行い、ベトナム拠点を活用する開発体制が特徴です。なお、同サービスはサイトの構築・開発・運用が対象で、商品の販売代行や物流・輸出手続きの代行は範囲に含まれません。

海外向けにサイトを構築したあと、どのくらいで成果が表れるのか。同サービスを手がける株式会社マルウェブの前山和範氏は、越境ECの成果が出る時期について次のように述べています。

株式会社マルウェブ 代表取締役
前山和範氏
独自インタビューより

台湾向けや中国向けなど越境ECの場合、一律に「何カ月で成果が出る」とは言えません。既存のブランド認知や顧客基盤、広告・SNSなどの集客施策、現地での運用体制によって大きく変わるためです。

システム面では、公開直後から運用効率化などの効果が出るケースもあります。一方で売上や集客については、公開後のデータを見ながら継続的に改善していくことが重要だと考えています。

2. Lingble Global Guide(Lingble Pte. Ltd.)

Lingble Global Guide の公式サイト

重い課題をまとめて外部に任せたい事業者に向くのが、Lingble Pte. Ltd.のLingble Global Guideです。グローバルEC戦略の立案から、D2C(自社が消費者に直接販売する形態)ブランドサイトの構築・運用、国際配送・通関・DDP(関税前払い)対応、多言語でのカスタマーサポート、市場別の価格・在庫の最適化までを一気通貫で引き受けるフルマネージド型の支援サービスです。

複数国にサイトを分散させるのではなく、統一した自社ドメインで海外向けブランドサイトを展開する運用モデルを特徴とし、34か国での販売・170か国への配送実績を公表しています。コクヨやデサントなどの導入が公表されており、社内にリソースがそろわない段階でも、物流・決済・多言語サポートといった複数の課題を横断して任せられます。料金はサイト売上に応じたレベニューシェア型で、詳細は問い合わせが必要です。

3. KOMOJU(コモジュ)(株式会社KOMOJU)

KOMOJU(コモジュ)の公式サイト

決済の壁をピンポイントで解消したいときに選択肢となるのが、株式会社KOMOJUの決済プラットフォームKOMOJUです。国内外65種類以上の決済手段と20種の通貨に対応し、クレジットカードやコンビニ決済に加え、韓国・中国・東南アジア・欧州・ブラジルといった地域の現地決済手段を1つの導入で扱えます。

初期費用・月額費用は無料で、発生するのは決済手数料のみというシンプルな料金体系です(手数料率は決済手段ごとに異なります)。Shopify・WooCommerceなどの主要なECプラットフォームにノーコードで導入でき、2026年7月にはWooCommerceの公式パートナーに認定されています。サイト構築や運営は自社で進めつつ、現地決済への対応だけを外部に任せたい場合に適しています。

まとめ

越境ECの課題は、物流・配送・通関、決済・為替、法規制・関税・税制・知財、言語・文化、集客・市場調査、返品・カスタマーサポート・社内体制の6領域に整理できます。それぞれに「なぜ大変か」があり、対処の選択肢も異なります。

まずは自社にとって特に重い課題(多くの場合は物流・決済・法規制)を見極め、自社で対応するか・海外モールに乗るか・支援サービスに任せるかを組み合わせて決めていくのが現実的です。全体像をつかんだうえで、重い課題から外部の手を借りることを検討すれば、参入のハードルは着実に下げられます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 越境ECとは何ですか?

A. 越境ECとは、インターネット上のECサイトを通じて、海外の消費者に自社の商品を直接販売する取引のことです。海外に拠点や店舗を持たなくても、日本から海外の顧客へ販売できる点が特徴です。

市場は拡大が続いており、経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)でした。市場が伸びている一方で、参入にはいくつかの課題を越える必要があります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査 結果公表資料|経済産業省(リンク)

Q. 越境ECの主な課題は何ですか?

A. 越境ECの主な課題は、物流・配送・通関、決済・為替、法規制・関税・税制・知財、言語・文化、集客・市場調査、返品・カスタマーサポート・社内体制の6つの領域に大きく分けられます。国際配送の送料やリードタイム、国ごとに異なる決済手段、国別の規制や関税・税制、多言語対応、現地での集客、国際返品や社内体制の確保などが、それぞれ具体的なつまずきポイントになります。

これらはJETRO(日本貿易振興機構)や日本政策金融公庫といった公的機関のレポートでも、越境ECに取り組む企業の課題として共通して挙げられています。

Q. 越境ECの課題のなかで特に重いものはどれですか?

A. 越境ECで多くの事業者にとって特に重くなりやすいのは、物流・決済・法規制の3つです。物流は送料とリードタイムが売上と利益に直結し、決済は現地で使われる手段に対応できないと購入そのものが成立しません。法規制は、対応を誤ると販売できない・違反になるという、やり直しの効きにくい課題です。

6領域すべてを一度に完璧に対応するのは現実的ではないため、まずこの3つをどう乗り越えるかの見通しを、参入判断の軸に置くとよいでしょう。

Q. 越境ECは自社で対応すべきですか、それとも外部に委託すべきですか?

A. 越境ECの販売の土台は、海外モールへの出店・自社ECサイトの構築・運営の外部委託という3つの選択肢(およびその組み合わせ)から、自社の人材・予算・急ぎたい度合いに応じて選ぶのが現実的です。集客力のある場で早く試したいなら海外モール、自社ブランドとして顧客体験やデータを自社に持ちたいなら自社EC、社内に人材やノウハウが乏しく重い課題をまとめて任せたいなら外部委託が向きます。

これらは排他的ではなく、「まず海外モールで試し、手応えがあれば自社ECへ」「サイト構築は支援会社に任せ、決済だけ専門サービスを使う」といった組み合わせも一般的です。

Q. 越境ECの費用はどれくらいかかりますか?

A. 越境ECの費用は、海外モール・自社EC・外部委託のどの手段を選ぶか、どの課題を外部に任せるかによって大きく変わるため、一律の相場で示すことはできません。JETROのJAPAN STORE参加企業向けアンケートでは、米国アマゾン販売における予算投下額として「配送・物流」が全体で最も多く、物流が費用面でも重い課題であることがうかがえます。

一方で、たとえば決済サービスのなかには初期費用・月額費用が無料で決済手数料のみというものもあり、課題ごとに料金体系は異なります。自社が外部に任せたい課題を絞ったうえで、各サービスの資料で費用を見比べるのが近道です。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:越境ECの課題と克服ポイント(日本)|日本貿易振興機構(JETRO)(リンク)

Q. 越境ECの決済はどう対応すればよいですか?

A. 越境ECの決済は、販売先の国で主流の決済手段に幅広く対応し、多通貨で受け取れる仕組みを整えることが基本です。主流の決済手段は国・地域によって大きく異なり、たとえば中国ではAlipayやWeChat Pay、欧州では国ごとの銀行振替系の決済が広く使われるため、クレジットカードだけでは取りこぼす市場があります。

自社で各国の決済事業者と個別に契約するのは負担が大きいため、現地決済手段をまとめて導入できる決済サービスを使う方法もあります。複数通貨で販売する場合は、為替変動で手取りが動く点も価格設定で考慮しておきましょう。

Q. 越境ECの多言語対応はどうすればよいですか?

A. 越境ECの多言語対応は、商品ページだけでなく、問い合わせページやFAQ・購入手続きの画面まで、重要なページから優先して人の手による翻訳を入れることがポイントです。単語を置き換えるだけの機械翻訳ではニュアンスが伝わらず、翻訳で文章の長さが変わってレイアウトが崩れることもあります。

更新のたびに翻訳が追いつく運用を整えることが現実的で、社内で回しきれない場合は、多言語対応を支援するツールや、サイト構築から多言語運用まで任せられるサービスを使う選択肢もあります。

Q. 越境ECで注意すべき海外の法規制・税制にはどんなものがありますか?

A. 越境ECの法規制・税制は国ごとに内容が異なり、米国のFDA認証、英国のVAT登録、中国のポジティブリスト、各国の個人情報保護法(EUのGDPR・米国のCCPA・中国のPIPL)、現地での商標登録などが代表的な確認事項です。

たとえば英国では1送付£135以下の物品は販売時点でVAT(付加価値税)を課す必要があり海外事業者もVAT登録が必須、中国の越境ECでは「越境EC小売輸入商品リスト(正面清单)」に掲載された商品しか輸入できません。

EUのGDPRは、EU域内の消費者に商品・サービスを提供する日本事業者であればEUに拠点がなくても対象になり得ます。いずれも商品の種類や販売先によって自社に関係するかが変わるため、早い段階での確認が欠かせません。

出典・参考資料(3件)
  • 出典:越境ECに挑戦する企業が直面する課題(国別規制の整理)|日本政策金融公庫(リンク)
  • 出典:VAT and overseas goods sold directly to customers in the UK|GOV.UK(リンク)
  • 出典:Art. 3 GDPR — Territorial scope|GDPR(Regulation (EU) 2016/679)(リンク)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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