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電子契約の費用対効果とは?削減できるコスト・かかる費用と自社件数での試算の考え方

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電子契約システム比較表(2026年版)のプレビュー

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電子契約システム比較表(2026年版)

紙とハンコで契約を結んでいると、収入印紙代や郵送・製本の手間が毎月の負担になりがちです。電子契約に切り替えたいと考えても、上司や経理から「導入にいくらかかって、いくら浮くのか。元は取れるのか」と問われると、答えになる数字がすぐに出てこない場面は少なくありません。

電子契約の費用対効果は、「削減できるコスト」から「電子契約にかかる費用」を差し引いて判断します。削減できるのは印紙税・郵送費・印刷代・保管費・契約業務の人件費で、かかるのは月額基本料・送信ごとの従量料金・電子証明書などです。自社の契約件数を当てはめて差し引きを見れば、導入が見合うかどうかを具体的に判断できます。

本記事では、書面契約と電子契約のコスト差額、削減項目ごとの単価、印紙税が非課税になる根拠、電子契約にかかる費用、自社の件数での試算、そして費用対効果が出にくい条件までを整理します。読み終えたとき、自社の契約件数で費用対効果を概算でき、社内でのコスト判断に使える状態になることを目指しています。

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電子契約の費用対効果とは(書面と電子のコスト対比と差額)

ここでは、電子契約の費用対効果をどう捉えるか、そして書面契約と電子契約のコストを並べると差額がどれくらいになるかを確認します。

費用対効果の考え方(削減コスト − 運用コスト)

電子契約の費用対効果は、次のシンプルな引き算で考えられます。

費用対効果 = 削減できるコスト(印紙税・郵送費・印刷代・保管費・人件費)− 電子契約にかかる費用(月額基本料・送信ごとの従量料金・電子証明書など)

削減できるコストは契約の「件数」に比例して増えるのに対し、電子契約にかかる費用は月額基本料のような固定費を含みます。そのため、契約件数が多いほど差額(=浮くお金)は大きくなり、件数が少ないと固定費の影響で効果が小さくなります。自社にとって見合うかどうかは、この両者を自社の件数で比べて判断します。

書面と電子のコストを並べた対比と差額(代表ケース)

まず、代表的なケースで書面契約と電子契約のコストを並べてみます。月50件の契約を締結し、そのうち20件が印紙税の対象(1件あたり印紙税400円と仮定)という前提で試算した一例が次の表です。郵送費は、契約書を追跡できる形で送ることを想定してレターパックプラス(600円)を単価に置いています。金額は一般的な単価にもとづく概算で、実際の額は契約の種類や選ぶサービスによって変わります。

コスト項目書面契約(月)電子契約(月)
印紙税8,000円(20件 × 400円)0円(非課税)
郵送費30,000円(50件 × 600円)0円
印刷代・用紙代2,500円(50件 × 50円)0円
契約業務の人件費25,000円(50件 × 500円)5,000円(50件 × 100円)
サービス利用料(月額・送信料)0円15,000円(月額10,000円+送信100円 × 50件)
合計65,500円20,000円
前提:月50件・印紙対象20件(1件400円)・郵送600円/件・印刷50円/件・契約業務の人件費は書面15分/件=500円、電子3分/件=100円(時給2,000円換算)・月額10,000円+送信100円/件。印紙税額は国税庁、郵送費は日本郵便の公表料金にもとづく概算。保管費は企業ごとに差が大きいため、この試算には含めていない(別途の上乗せ要素)。

このケースでは、書面65,500円に対して電子20,000円となり、月あたり約45,500円、年間で約55万円の差額が出ます。このうち人件費(書面25,000円)は現金の支出ではなく、作業時間を時給で換算した工数の価値です。

稟議では、実際に現金が減る印紙税・郵送費・印刷代だけでも書面側は月40,500円かかり、人件費を除いても削減が見込める点を押さえておくと説明しやすくなります。自社の件数や単価を当てはめて計算する手順は「自社の契約件数で費用対効果を試算する」で詳しく示します。

電子契約で削減できるコストの内訳と単価

ここからは、電子契約で何がいくら減るのかを項目ごとに見ていきます。自社の契約に当てはめられるよう、単価の目安もあわせて示します。

印紙税の削減(契約の種類ごとの額の例)

紙の契約書には、記載された契約金額に応じて収入印紙を貼る必要があります。電子契約ではこの印紙税がかからないため、削減額の中でも大きな柱になります。契約書に課される印紙税額の例は次のとおりです。

記載された契約金額請負に関する契約書(第2号文書)の印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1,000円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
請負に関する契約書(第2号文書)の例。国税庁「印紙税額の一覧表(No.7140)」より抜粋(令和8年4月1日現在法令等)。

印紙税額は契約書の種類によって異なります。不動産の譲渡等に関する契約書(第1号文書)は上の表とは別の金額区分で課され、継続的な取引の基本契約書(第7号文書)は契約金額の記載がなくても一律4,000円です。

1件あたりの額は数百円から数万円まで幅がありますが、締結件数が多いほど年間の負担は大きくなり、その全額が電子契約では不要になります。また、不動産の譲渡や建設工事の請負に関する契約書には、一定期間に作成されるものについて軽減措置が適用される場合があります。

出典・参考資料(1件)

請負契約などの契約の種類ごとの具体的な印紙税額や、注文請書・変更契約書の扱い、軽減措置の適用条件まで詳しく知りたい場合は、次の記事で金額の一覧とあわせて確認できます。

郵送費・印刷代・用紙代の削減(1件あたりの実勢)

紙の契約書は、相手方への送付に郵送費がかかります。契約書を信書として送る場合、定形郵便物は50グラム以内で110円、レターパックライトは430円、レターパックプラスは600円です(いずれも日本郵便の公表料金)。返送分も見込むと、1件あたり数百円から1,000円程度になります。

これに印刷代・用紙代が加わります。契約書の印刷と製本にかかる費用は1件あたり数十円程度ですが、ページ数が多い契約書や部数が増えれば無視できません。電子契約ではこれらの郵送・印刷・用紙のコストがいずれも不要になります。

出典・参考資料(1件)

保管スペース・保管コストの削減

紙の契約書は、契約期間中はもちろん、契約終了後も法定の保存期間にわたって保管する必要があります。件数が積み上がるとキャビネットや書庫のスペースを圧迫し、外部倉庫に預ければ保管料も発生します。

電子契約ではデータとして保存するため、物理的な保管スペースと保管料がかからず、必要な契約書をキーワードで検索して探せる利点もあります。保管費は企業ごとに差が大きく金額を標準化しにくいため、本記事の試算には含めず、削減が見込める上乗せ要素として扱います。

契約業務の人件費・工数の削減(作業時間 × 時給で換算)

見落とされがちなのが、契約業務そのものにかかる人件費です。紙の契約では、印刷・製本・押印・封入・郵送手配・返送待ち・ファイリングといった工程に時間がかかります。電子契約ではこれらの多くが画面上の操作に置き換わり、締結までの所要期間も短くなります。

人件費は「1件あたりの作業時間 × 担当者の時給」で概算できます。たとえば書面での作業が1件15分、電子で3分になり、時給を2,000円とすると、1件あたり500円が100円に下がる計算です。公的機関の事例でも、電子契約の導入で事務が効率化したことが報告されています。

中部地方整備局港湾空港部では,令和元(2019)年8月より発注契約事務に電子契約システムの本格導入した.同システムの導入により,印紙代コストの削減,契約締結までの事務処理日数の短縮(6日から1日へ),副本製作事務の削減,発注者受注者間での進捗管理など多くの効果を確認できた.

出典:電子契約システムの運用による事務の効率化〜全面普及に向けた今後の課題〜|国土交通省 中部地方整備局

この事例では、契約締結までの事務処理日数が6日から1日へと短縮されています。人件費の削減額は業務量や時給によって変わりますが、工数の削減は費用対効果を押し上げる要素の一つです。

電子契約で印紙税が非課税になる根拠

削減額の柱である「電子契約は印紙税がかからない」という点について、なぜ非課税になるのか、その根拠を確認します。社内で問われたときに答えられるよう、条文と国税庁の見解を確認します。

電子契約が「課税文書の作成」に該当しない理由

印紙税は、別表第一に掲げる「文書」に課され(印紙税法第2条)、課税文書の「作成者」に納税義務が生じます(同第3条)。ここでいう「作成」の意味は、印紙税法基本通達第44条で次のように定められています。

法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

課税文書の「作成の時」とは、(中略)相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時(後略)

出典:印紙税法基本通達 第44条(作成等の意義)|国税庁

相手方に交付する目的で作られる契約書は、「交付の時」に作成されたとみなされます。電子データをメールなどで送信する場合は紙の現物を交付しないため、「作成」に至らず、印紙税の課税原因が生じません。国税庁の文書回答事例でも、請負契約の注文請書を電子データに変換して電子メールで送信するケースについて、同じ考え方が示されています。

注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(照会内容)|福岡国税局

この文書回答事例は、請負契約の注文請書という具体的なケースについて福岡国税局が示した見解です。契約の種類を問わず一般に成り立つ根拠は、現物を交付しなければ「作成」に当たらないという基本通達第44条の考え方にあり、文書回答事例はそれを具体的な事例で確認したものと位置づけられます。

注意点:電子で送った後に紙を別途交付すると課税され得る

非課税になるのは、あくまで現物の紙を交付しない場合です。同じ国税庁の文書回答事例では、電子送信した後に紙の現物を別途渡すと課税対象になると明記されています。

ただし、電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(照会内容)|福岡国税局

電子契約で印紙税の削減効果を得るには、締結を電子データで完結させ、控えとして紙を別途交付しない運用にすることが前提になります。

電子契約の導入・運用にかかる費用

費用対効果を正しく見るには、削減額だけでなく、電子契約にかかる費用も把握する必要があります。ここでは、初期費用・月額基本料・送信ごとの費用から、相手方に生じる負担までを整理します。

初期費用・月額基本料・送信従量(1件単価)の内訳

電子契約サービスの料金は、主に「月額基本料」と「送信ごとの従量料金」で構成されます。月額基本料はプランに応じた固定費で、無料プランから数万円まで幅があります。

送信料は契約を1件送るごとにかかる費用で、立会人型(メール認証で締結する方式)では1件100円台から、当事者型(電子証明書で本人確認する方式)では1件300円程度が目安です。初期費用は明示していないサービスが多い一方、オプション機能を追加すると初期費用が発生する場合もあります。

月額・送信単価の相場観

主要なサービスの公式料金(2026年10月時点)を見ると、月額基本料は無料プランのほか、有料プランで月額数千円から3万円程度に分布しています。送信料は立会人型で1件100〜220円、当事者型で1件300円台が中心です。

月額が高いプランほど、ユーザー数の上限緩和や内部統制・セキュリティ機能、契約書の管理機能が手厚くなる傾向があります。具体的な各社の料金は、記事後半の「電子契約で費用対効果を高めるサービス」の比較で確認できます。

利用料以外にかかる費用(電子証明書・社内システム構築)

月額・送信料のほかに発生しうる費用もあります。当事者型で署名する場合は電子証明書が必要で、1枚あたり年8,000円程度(税込8,800円程度)が目安です。また、既存の基幹システムや契約管理システムと連携させる場合は、設定や開発にコストがかかることがあります。無料プランや最小構成で始められるサービスも多いため、まずは自社に必要な機能から費用を見積もるとよいでしょう。

相手方(取引先)に生じる費用・負担

費用対効果を見積もるうえで見落としがちなのが、相手方に生じる負担です。立会人型なら、相手方はアカウント登録なしで署名でき、原則として費用はかかりません。一方、当事者型で相手方も署名する場合は、相手方にも電子証明書の取得(年8,000円程度)やアカウントの契約が必要になることがあります。自社だけでなく取引先の負担も含めて考えると、立会人型のほうが導入のハードルは低くなります。

料金タイプ別の特徴(月額固定・従量・無料枠)

電子契約サービスの料金体系は、大きく次の3つのタイプに分かれます。自社の件数に合うタイプを選ぶことが、費用を抑える第一歩になります。

料金タイプ特徴向いている企業
月額固定+従量月額基本料に加え、送信1件ごとに従量料金がかかる。機能が充実したプランが多い締結件数が中〜多めで、管理機能も使いたい企業
従量中心(基本料0円)月額基本料が無料または低額で、送信ごとに課金される締結件数が少なく、使った分だけ払いたい企業
無料枠つき無料プランに毎月または累計の送信枠があるまず少量で試したい企業、低頻度の企業

無料枠には注意が必要です。毎月リセットされる月次型のほか、累計の件数で上限に達する型があり、電子署名による締結ができず閲覧・保管のみという制限がある場合もあります。無料プランで足りるかは、送信枠の条件を確認したうえで判断します。

無料プランだけで運用できるか見極めたい場合は、各サービスの無料枠の件数や数え方、上限を超えたときにかかる費用を比較した次の記事が参考になります。

費用を抑える考え方(無料枠の活用・従量と定額の選び分け)

費用を抑えるには、自社の月間締結件数を起点に料金タイプを選ぶのが基本です。件数が少ないうちは基本料0円の従量型や無料枠つきのプランが有利で、件数が増えると、送信料がかさむ前に月額定額のプランへ切り替えたほうが総額を抑えられます。月額基本料と送信単価の両方を、自社の想定件数で掛け合わせて比較するとよいでしょう。

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自社の契約件数で費用対効果を試算する

ここでは、自社の数字に置き換えて費用対効果を概算する手順を示します。前提をそろえれば、稟議や社内説明に使える試算になります。

試算に置く前提(件数・印紙対象割合・時給・作業時間・単価)

試算には、次の前提を自社の実態に合わせて置きます。この前提をはっきりさせることが、説得力のある試算の条件です。

  • 月間の契約締結件数
  • そのうち印紙税の対象となる契約の割合と、1件あたりの印紙税額
  • 1件あたりの郵送費・印刷代
  • 契約業務にかかる作業時間と、担当者の時給
  • 導入する電子契約サービスの月額基本料と送信単価

件数別の目安(月10件・50件・100件)

先ほどの代表ケースと同じ単価(印紙対象は全体の約4割・1件400円、郵送600円/件、印刷50円/件、人件費は書面500円・電子100円/件、月額10,000円+送信100円/件)で、件数別に差し引きを試算すると次のようになります。

月間件数書面のコスト(月)電子のコスト(月)差額(月)
10件約13,100円約12,000円約1,100円
50件約65,500円約20,000円約45,500円
100件約131,000円約30,000円約101,000円
前提:印紙対象は件数の約4割・1件400円、郵送600円/件、印刷50円/件、契約業務の人件費は書面500円・電子100円/件、月額10,000円+送信100円/件。保管費は含めていない。金額は一般的な単価にもとづく概算で、契約の種類や選ぶサービスで変わります。

件数が増えるほど差額が大きくなり、月100件では月10万円規模の削減になります。一方、月10件では差額が月1,000円程度にとどまり、月額基本料の固定費が削減額の多くを打ち消しています。この「件数が少ないと効果が出にくい」という傾向を、次の章で詳しく見ます。

費用対効果が出にくいケース(損益分岐点・相手方負担・少件数)

電子契約は多くの企業でコスト削減につながりますが、条件によっては効果が小さくなることもあります。導入の線引きを誤らないよう、効果が出にくいケースも押さえておきます。

最も影響が大きいのは契約件数です。月額基本料のある定額プランでは、締結件数が少ないほど1件あたりの固定費負担が重くなります。たとえば月額10,000円のプランでは、現金で減る印紙税・郵送費・印刷代が1件あたり約810円、電子側の送信料が1件100円なので、差し引き約710円が固定費の回収に回ります。

この条件では、月額10,000円 ÷ 約710円 = およそ15件が現金ベースの損益分岐点で、これを下回ると現金では電子のほうが高くつきます。先の試算で月10件でも差額がプラスだったのは人件費の工数削減を含めたためで、実際に現金が減る分だけで見ると、月10件の定額プランはまだ見合いません。

件数が少ない企業は、月額基本料が無料の従量型や無料枠つきのプランを選べば固定費がかからず、数件からでも費用対効果を出しやすくなります。自社の件数が分岐点のどちら側にあるかを、まず現金で減るコストで確かめるとよいでしょう。

相手方の負担も見落とせません。当事者型で相手方にも電子証明書やアカウント契約が必要になると、取引先が電子契約に応じにくく、紙とのハイブリッド運用が続いて効果が薄れることがあります。

印紙税の削減を確実にするには締結を電子で完結させる必要があるため、相手方が応じやすい立会人型を選ぶか、相手方の負担が生じない方式を確認しておくと安全です。自社の件数と取引先の状況を踏まえて、無理なく運用できる方式を選ぶことが、費用対効果を安定させる鍵になります。

導入後に必要な対応:電子帳簿保存法による電子取引データの電子保存

費用対効果とあわせて把握しておきたいのが、導入後に発生する運用上の対応です。電子契約で取り交わした契約書は、電子帳簿保存法上の「電子取引」のデータに当たり、電子データのまま保存する義務があります。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

出典:電子帳簿保存法 第7条|e-Gov法令検索

保存にあたっては、改ざんを防ぐための真実性の確保(タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備のいずれか)と、検索できる状態での可視性の確保が求められます。

2024年1月以降にやり取りする電子取引データは、原則としてこの要件に沿った電子保存が必要です。ただし、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合には、ダウンロードや書面の提示に応じられるようにしておけば、要件に沿った対応が不要となる猶予措置も整備されています。

タイムスタンプを付与せず、訂正・削除の履歴が残るシステムや事務処理規程の整備によって保存要件を満たす方法もあります。その条件を詳しく知りたい場合は、次の記事で解説しています。

多くの電子契約サービスはタイムスタンプの付与や検索機能を標準で備えているため、サービス上で締結・保存すれば保存要件を満たしやすくなります。費用対効果を見積もる際は、こうした保存対応も含めて運用を考えておくと安心です。

出典・参考資料(1件)

電子契約で費用対効果を高めるサービス

ここからは、費用対効果の観点で検討しやすい電子契約サービスを紹介します。料金体系や送信方式、無料枠の有無はサービスごとに異なるため、自社の件数に合うものを見極める材料としてご覧ください。まずは主要なサービスの費用を一覧で比較します。

費用で見る電子契約サービスの比較

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費用|2026年10月時点クラウドサイン電子印鑑GMOサインマネーフォワード クラウド契約WAN-Signfreeeサイン契約大臣ベクターサイン
初期費用要問い合わせ
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要問い合わせ
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0円0円
基本プラン
要問い合わせ
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0円
全プラン共通
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月額基本料(最安の有料プラン)Light 11,000円/月(税抜)ライト 8,800円/月〜(税抜・年間契約)2,480円/月〜(税抜・年払い、ひとり法人プラン)
2027年6月に法人向け改定予定
0円
基本プラン(従量課金型)
Starter 7,180円/月
(年払い時 5,980円/月)
スターター 4,400円/月(税込)0円
基本サービス(従量課金型)
署名方式立会人型/当事者型
(マイナンバーカード署名)
立会人型/当事者型/ハイブリッド立会人型(事業者署名型)立会人型/当事者型/ハイブリッド立会人型/当事者型立会人型(電子サイン・無料)
事業者署名型の電子署名は有料オプション
立会人型
(公式に型式区分の明記なし)
無料で始められる枠フリープラン
月2件まで(1名)
お試しフリープラン
月5件まで(1名・立会人型のみ)
無料プランは送信不可(閲覧のみ)
1ヶ月無料トライアルあり
基本プラン内で無料枠
立会人型10件/月・当事者型3件/月まで
無料プラン
電子サイン月1件まで(3名)
フリープラン
累計2件まで(1名)
無料枠なし
基本サービスは1件440円の従量
送信料(立会人型・1件)220円/件(税抜)100円/件(税抜)0円(送信料なし)100円/件(税抜)
月10件まで無料
100円/件(税抜)
無料枠の超過分
0円
プランの送信枠内(スターター月20件)
440円/件(税込)
当事者型の追加費用(電子証明書など)マイナンバーカード署名 200円/件(税抜)。証明書の年額費用なし送信 300円/件+電子証明書 年8,000円/枚(いずれも税抜。証明書は1枚目無料)当事者型の対応は公式未確認送信 300円/件+電子証明書 年8,000円/署名者(いずれも税抜)電子署名 200円/件(税抜)当事者型の提供なし
電子署名オプション 220円/件(税込)は事業者署名型
当事者型の明示区分なし(公式未確認)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインのウェブサイト

クラウドサインは、メール認証で締結する立会人型の電子契約サービスです。相手方のアカウント登録が不要なため、取引先に費用負担をかけずに導入しやすい点が特徴です。

料金はフリープラン(送信月2件まで)のほか、Lightが月額11,000円(税抜)、Corporateが月額28,000円(税抜)で、送信料は1件220円(税抜)です。まず無料で試してから、締結件数に応じて有料プランへ移行できます。

電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインのウェブサイト

電子印鑑GMOサインは、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応している点が強みです。立会人型の送信料は1件100円(税抜)と割安で、相手方のアカウントは不要です。

より厳格な本人確認が必要な契約では当事者型を使え、その場合は送信料1件300円(税抜)に加えて電子証明書が年8,000円(税抜、1枚目は無料)かかります。契約の重要度に応じて署名方式を使い分けたい企業に向いています。お試しフリープラン(送信月5件まで)も用意されています。

マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド契約のウェブサイト

送信料と保管料が0円という料金設計が、マネーフォワード クラウド契約の費用面の特徴です。立会人型で締結でき、送信件数が増えても従量料金がかからないため、締結件数が多い企業ほど送信コストを抑えやすくなります。バックオフィス向けの各種クラウドサービスと連携でき、契約から会計までを一つの基盤でそろえたい企業に向いています。料金プランは時期によって改定されるため、導入時には最新の月額を確認してください。

WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

WAN-Signのウェブサイト

WAN-Signは、立会人型(認印版)と当事者型(実印版)の両方に対応する電子契約サービスです。文書管理を主力事業とする企業が提供しており、過去の紙の契約書をPDF化して一元管理したいニーズにも応えます。無料プランも用意されているため、少量から始めて自社の運用に合うかを確かめやすい点も、費用対効果を見極めるうえで役立ちます。

freeeサイン(freee株式会社)

freeeサインのウェブサイト

契約書のひな形作成から締結・保管までを一つでカバーするのが、freeeサインです。無料プランでも電子サインを月1通まで送れ、有料のStarterプラン(月額7,180円、年払い時は実質月額5,980円)では電子サインの無料枠が月50通に広がります。契約書の作成支援やテンプレート機能も備えており、ひな形づくりから電子契約までをまとめて効率化したい企業に向いています。

契約大臣(株式会社TeraDox)

契約大臣のウェブサイト

契約大臣は、月額基本料を抑えた料金設定で、中小企業や契約件数が少なめの企業が始めやすいサービスです。無料のフリープラン(累計2件まで)のほか、スタータープランは月額4,400円(税込)で月20件まで送信でき、送信ごとの従量課金がない点が特徴です。立会人型のメール送付で締結でき、必要な機能を絞って低コストで電子契約を始めたい企業に向いています。

ベクターサイン(株式会社ベクター)

ベクターサインのウェブサイト

ベクターサインは、基本料金0円で使った分だけ支払う純粋な従量型のサービスです。1通あたり440円(税込)で、月の送信数に上限はありません。まとまった件数を見込むなら、月額プラン(たとえば月100通で13,200円・税込)に切り替えると1通あたりの単価を下げられます。固定費をかけずに電子契約を始めたい企業や、月によって件数が変動する企業に向いています。

ここで取り上げたのは費用の観点で検討しやすいサービスですが、署名方式や機能も含めて自社に合う一社を絞り込みたい場合は、次の記事で料金タイプ別の選び方とあわせて主要サービスを比較できます。

まとめ

電子契約の費用対効果は、「削減できるコスト(印紙税・郵送費・印刷代・保管費・人件費)」から「電子契約にかかる費用(月額基本料・送信料・電子証明書)」を差し引いて判断します。

印紙税が非課税になる根拠は印紙税法基本通達第44条にあり、現物の紙を交付しなければ課税されません。削減額は契約件数に比例して大きくなる一方、件数が少ないと月額の固定費が効果を打ち消すため、自社の件数に合った料金タイプを選ぶことが重要です。

まずは本記事の前提を自社の数字に置き換えて試算し、どの料金タイプ・どのサービスが見合うかを比べてみてください。各サービスの最新の料金や機能は、資料で具体的に確認できます。

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電子契約の費用対効果に関するよくある質問(FAQ)

Q. 電子契約の費用対効果とは何ですか?

A. 電子契約の費用対効果とは、紙の契約で削減できるコスト(印紙税・郵送費・印刷代・保管費・人件費)から、電子契約サービスにかかる費用(月額基本料・送信料・電子証明書など)を差し引いた差額で、導入が見合うかを判断する考え方です。

削減できるコストは契約件数に比例して増える一方、かかる費用は月額基本料などの固定費を含むため、契約件数が多いほど差額(=浮くお金)は大きくなります。自社の件数を当てはめた考え方は「電子契約の費用対効果とは」で解説しています。

Q. 電子契約で印紙税がかからないのはなぜですか?

A. 電子契約は、契約書の現物(紙)を相手方に交付しないため、印紙税法上の「課税文書の作成」に当たらず、印紙税がかかりません。印紙税法基本通達第44条は、課税文書の「作成」を「用紙等に課税事項を記載し、当該文書の目的に従って行使すること」と定めており、紙を交付しない電子データの送信は「作成」に至らないためです。

国税庁(福岡国税局)の文書回答事例でも同じ考え方が示されています。ただし電子送信後に紙を別途交付すると課税され得る点を含め、詳しくは「電子契約で印紙税が非課税になる根拠」で解説しています。

Q. 電子契約サービスの費用相場はどれくらいですか?

A. 電子契約サービスの費用相場は、月額基本料が無料プランから3万円程度、送信料が立会人型で1件100〜220円、当事者型で1件300円台が中心です(2026年10月時点の主要サービス公式料金)。初期費用は明示していないサービスが多い一方、オプション機能を追加すると発生する場合があります。相場の詳細は「月額・送信単価の相場観」で解説しています。

Q. 電子契約は取引先(相手方)にも費用がかかりますか?

A. 相手方の費用は署名方式によって異なり、立会人型なら相手方はアカウント登録なしで署名でき原則無料、当事者型で相手方も署名する場合は電子証明書(年8,000円程度)やアカウント契約が必要になることがあります。取引先の負担まで含めて考えると、立会人型のほうが導入のハードルは低くなります。詳しくは「相手方(取引先)に生じる費用・負担」で解説しています。

Q. 契約件数が少なくても電子契約の費用対効果は出ますか?

A. 契約件数が少ない場合は、月額基本料のある定額プランだと固定費が削減額を上回り、費用対効果が出にくくなることがあります。たとえば月10件程度では、月額の固定費が削減額の多くを打ち消してしまいます。このケースでは、月額基本料が無料の従量型や無料枠つきプランを選ぶと損益分岐点を下げられます。件数別の試算と効果が出にくい条件は「費用対効果が出にくいケース」で解説しています。

Q. 当事者型と立会人型で費用はどれくらい変わりますか?

A. 送信料は、立会人型が1件100〜220円程度、当事者型が1件300円程度に加えて電子証明書が年8,000円程度(税込8,800円程度)かかるのが目安です。立会人型はメール認証で締結でき相手方の負担も少ないため、費用を抑えやすい方式です。当事者型はより厳格な本人確認が必要な契約に向きます。費用の内訳は「電子契約の導入・運用にかかる費用」で解説しています。

Q. 電子契約の導入後に必要な対応はありますか?

A. 電子契約で取り交わした契約書は、電子帳簿保存法上の「電子取引」のデータに当たり、電子データのまま保存する義務があります。改ざんを防ぐ真実性の確保(タイムスタンプの付与など)と、検索できる状態での可視性の確保が求められます。

多くの電子契約サービスはこれらの機能を標準で備えているため、サービス上で締結・保存すれば要件を満たしやすくなります。詳しくは「電子帳簿保存法による電子取引データの電子保存」で解説しています。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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