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外部委託先とは?管理対象の範囲と委託元の監督義務・選定から評価までの進め方

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業務の一部を外部に委託していたり、委託先の管理を任されたりしたとき、「そもそも”外部委託先”とは何を指し、どこまでを管理の対象にすればよいのか」で迷っていませんか。業務委託・人材派遣・アウトソーシング、さらにクラウドサービスや個人事業主まで、関係する相手は幅広く、線引きがあいまいなまま選定や監督を進めると抜け漏れが生まれます。

外部委託先の管理が重要なのは、委託先や再委託先を経由して情報が漏れれば委託元の責任も問われるからです。とくに個人情報を扱う業務を委託する場合は、委託元に個人情報保護法で委託先を監督する法的な義務が課されます。委託先任せにして監督を怠っていれば、情報漏えいの責任は委託元にも及びます。

本記事では、外部委託先として管理すべき範囲の線引き、委託元が負う監督義務の法的根拠、選定から契約・監督・評価・改善までの進め方、重要度に応じた管理の濃淡の付け方を具体的に解説します。あわせて、チェックシートの配信・回収・評価を仕組み化する委託先リスク管理のサービスについても紹介します。

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外部委託先とは?管理対象となる範囲の線引き

外部委託先とは、自社の業務の一部または全部を、自社に代わって遂行してもらうために委託している外部の相手を指します。管理の対象を考えるうえで重要なのは、契約の呼び方ではなく「自社の業務や情報を外部に預けているか」という実態です。

「外部委託先」という言葉は、狭くは業務を委託した相手(業務委託先)を指します。ただし管理の実務では、自社の情報やデータを預ける相手を同じ枠組みで見ます。具体的には、アウトソーシング事業者、クラウドサービスの提供事業者、個人事業主、さらにその先の再委託先まで(これらをまとめて「サードパーティ」と呼びます)が対象です。

どこまでを管理対象に含めるかは、相手の呼び方ではなく「自社の業務や情報をどれだけ預けているか」で判断するのが基本です。

この考え方にそって、委託の形態ごとに管理対象になるかどうかを一覧で整理します。

どこまでが「外部委託先」か(管理対象の範囲)

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委託の形態業務委託(請負・委任/準委任)アウトソーシング・BPOクラウドサービス・SaaS個人事業主・フリーランスへの委託再委託先(二次委託先以降)人材派遣
外部委託先に含まれるか含まれる含まれる含まれる含まれる含まれる性質が異なる
管理・監督の考え方自社の業務や情報を預ける中心的な相手。選定・契約・監督の対象業務プロセスごと任せるため、預ける情報の範囲が広く、監督の重要度が高いデータを預ける提供事業者として管理対象。接続状況や保管場所も確認する法人と同様に選定基準・契約を設ける。規模が小さくても個人情報を扱えば監督対象委託先が再委託する場合も、委託元の監督が及ぶ。事前の報告・承認と把握が必要派遣労働者は自社の指揮命令下で働くため、委託先の監督ではなく自社の管理の問題として扱う

※管理対象の広がりは、金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」のサードパーティの考え方などを参考にした一般的な整理です。

この「狭い意味の外部委託先」と「広く管理すべきサードパーティ」の関係は、金融分野のガイドラインで明確に示されています。金融庁のガイドラインは、両者を次のように区別して定義しています。

サードパーティとは、自組織がサービスを提供するために、業務上の関係や契約等を有する他の組織をいう(例:システム子会社やベンダー等の外部委託先、クラウド等のサービス提供事業者、資金移動業者等の業務提携先、API連携先)。外部委託先とは、業務を委託している組織をいう

出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(令和6年10月4日)脚注18|金融庁

ここでは「外部委託先」を業務を委託している組織と狭くとらえつつ、クラウドの提供事業者やAPI連携先まで含む「サードパーティ」全体を管理対象に広げています。これは金融分野の定義ですが、金融以外の業種でも、自社の情報やデータを預ける相手をどこまで管理対象に含めるかを考えるうえで実務的な目安になります。

サードパーティと外部委託先の包含関係を示した図解。自組織が業務上の関係や契約等を有する他の組織の全体がサードパーティで、その中に狭義の外部委託先(業務を委託している組織、システム子会社・ベンダー等)、クラウド等のサービス提供事業者、資金移動業者等の業務提携先、API連携先が含まれることを表す。

どこまでを法的な義務として行うかは、預ける情報の性質で変わります。個人データを扱う業務を委託する場合は、後述する個人情報保護法の監督義務が委託元に課されます。個人情報を主に扱わない委託でも、業務の品質・納期・財務の安定性・事業継続といった観点から委託先を管理することは、業種を問わず共通して役立ちます。

業務委託・人材派遣・外注との違い(契約類型で整理)

「外部委託」と近い言葉に、業務委託・人材派遣・外注があります。外注はほぼ外部委託と同じ意味で使われますが、業務委託と人材派遣は契約の性質が大きく異なり、管理の考え方も変わります。

業務委託は、民法上の請負・委任・準委任を総称した呼び方で、「業務委託契約」という独立した契約類型が民法にあるわけではありません。請負は仕事の完成を約束する契約(民法第632条)、委任は法律行為の事務を任せる契約(第643条)、準委任は法律行為ではない事務を任せる契約(第656条)です。いずれも、注文者や委任者が委託先の労働者に直接指示を出すことはありません。

一方、人材派遣は、派遣労働者が派遣先(自社)の指揮命令を受けて働く点で法的な性質が異なります。労働者派遣法は労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義しています。

つまり、派遣スタッフは自社の指揮命令下で業務にあたるため、「外部の相手を監督する」という外部委託先管理とは問題の立て方が異なり、自社の管理の範囲で扱います。

出典・参考資料(2件)

委託元が負う法的責任(委託先の監督義務)

外部委託先を管理しなければならない理由は、委託先に業務や情報を預けても、委託元としての責任がなくなるわけではないからです。委託先や再委託先で情報漏えいが起きれば、監督を怠っていた委託元の責任が問われます。個人情報保護委員会も、委託先への監督を怠った場合に起こりうる事故を、具体的な事例として示しています。

同委員会のガイドラインが「委託を受けた者に対して必要かつ適切な監督を行っていない事例」として示しているのは、次のようなケースです。

  • 個人データの取扱状況を契約締結時や契約更新時に確認せず、委託先に対する必要かつ適切な監督を怠った結果、委託先が個人データを漏えいした
  • 委託先に講じさせる安全管理措置の内容を委託先任せにした結果、委託先が安全管理措置を講じずに個人データを漏えいした
  • 再委託の条件に関する指示を怠り、委託先が再委託し、再委託先が個人データを漏えいした
  • 再委託先による個人データの取扱状況の把握を怠り、委託元の認知しない再委託が行われた結果、再委託先が個人データを漏えいした
出典・参考資料(1件)

これらは、監督を怠ると委託先・再委託先を経由した漏えいについて委託元の責任が問われることを示す、ガイドライン上の想定事例です。だからこそ、委託先を法律が求める水準で監督する体制が欠かせません。

個人情報保護法が求める委託先の監督(第25条)

個人データを扱う業務を外部に委託する場合、委託元には個人情報保護法で委託先を監督する義務が課されます。その根拠は第25条で、条文は次のとおりです。

(委託先の監督)第二十五条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

出典:個人情報の保護に関する法律 第25条|e-Gov 法令検索

混同されやすいのですが、委託先の監督を定めるのはこの第25条です。第23条は事業者自身が講じる「安全管理措置」、第24条は自社の「従業者の監督」を定めた別の条文で、委託先の監督とは対象が異なります。委託先の監督の根拠を社内で説明するときは、第25条を押さえておくと正確です。

個人情報保護委員会ガイドラインが示す監督の3つの柱

第25条が求める「必要かつ適切な監督」の中身は、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)が具体的に示しています。ガイドラインは、委託元が自ら講じるべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう、次の3つを行うものとしています。

  • (1)適切な委託先の選定:委託先の安全管理措置が、委託元に求められるものと同等であることを、委託する業務内容に沿ってあらかじめ確認します。
  • (2)委託契約の締結:安全管理措置として双方が同意した内容と、委託先の取扱状況を委託元が合理的に把握できることを契約に盛り込みます。
  • (3)委託先における個人データ取扱状況の把握:定期的な監査などで契約内容の実施状況を調査し、委託内容の見直しも含めて適切に評価します。

このように、委託先の監督は「選定して終わり」ではなく、契約を結び、取扱状況を継続的に把握・評価する一連の流れとして求められています。再委託が行われる場合も、委託元は委託先が再委託先に対して同じ水準の監督を果たしているかを、事前報告・承認や定期監査で確認することが望ましいとされています。

選定時に何を確認すべきか(安全管理措置の具体的な中身)は、同ガイドラインの「講ずべき安全管理措置の内容」に、組織的・人的・物理的・技術的といった区分で示されています。

金融分野のガイドラインの位置づけ

金融機関など、業種によっては個人情報保護法に加えて、より具体的な監督の枠組みが求められます。金融庁の「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」(令和6年10月4日)は、「2.6 サードパーティリスク管理」の節で、外部委託先を含むサードパーティのリスク管理を正面から扱っています。

このガイドラインは、サードパーティを特定して台帳で管理すること、リスクに応じた濃淡のある対応を行うこと、取引開始から契約・モニタリング・取引終了までのライフサイクルで管理することを求めています。自社が金融分野に該当する場合は、個人情報保護法の監督義務に加えて、こうした業種別のガイドラインの要請も満たす必要があります。

台帳による一元管理やリスクに応じた濃淡のある対応という考え方自体は、金融業に限らずどの業種の委託先管理にも応用できます。本記事でもこの後の進め方・濃淡・仕組み化の各節で、業種を問わず使える形で取り上げます。

出典・参考資料(3件)

外部委託先管理の進め方(選定・契約・監督・評価・改善)

ここからは、外部委託先管理を実際にどう進めるかを、一連の流れとして解説します。委託先の監督は、選定して契約を結ぶまでの入口と、取引開始後に監督・評価・改善を繰り返す運用に分かれます。選定だけ、あるいは契約だけで終わらせず、一連のサイクルとして回すことが、法律が求める「継続的な把握・評価」につながります。

外部委託先管理の進め方を5ステップで示したフロー図。STEP1 選定(選定基準で委託先を見極める)、STEP2 契約(監督に必要な事項を契約で定める)、STEP3 監督(取扱状況を継続的に把握するモニタリング)、STEP4 評価(結果を採点しランク分け・見直し)、STEP5 改善(是正を求め期限を決めて確認)。選定・契約で入口を固め、監督・評価・改善を継続的に繰り返す。

選定(委託先の選定基準)

選定は、委託先管理の最初の関門です。個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先の安全管理措置が委託元と同等であることを選定時に確認するよう求めています。具体的な確認項目は、委託する業務やリスクに応じて組み立てますが、代表的な観点は次のとおりです。

  • 業務の実績・遂行能力:委託する業務に関する実績や、対応できる体制・人員があるかを確認します。実績が乏しい相手に重要な業務を預けると、品質低下や納期遅延のリスクが高まります。
  • 信用・財務の安定性:委託先の倒産は業務の停止に直結します。財務状況や信用情報を確認し、継続的に業務を任せられる相手かを見極めます。
  • 安全管理措置の水準:組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置が、自社と同等に講じられているかを確認します。これは監督義務の中核にあたる確認項目です。
  • 認証の取得状況:プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの第三者認証は、安全管理措置が一定水準にあることを外部の目で確認した証拠になります。デューデリジェンスの材料として活用できます。
  • コンプライアンス意識:法令順守の体制や、過去の違反・事故の有無を確認します。再委託の可否や条件についての考え方も、この段階で擦り合わせておきます。

これらの項目は、業務の重要度や預ける情報の機微さに応じて重みづけを変えます。重要な業務ほど確認を厚くし、軽微な業務では効率を優先する、という濃淡の考え方は後述します。

契約(契約書に盛り込むべき記載事項)

選定した委託先とは、監督を実効的にするための事項を契約で明確にします。個人情報保護委員会のガイドラインは、安全管理措置の内容と、委託先の取扱状況を委託元が合理的に把握できることを契約に盛り込むよう求めています。より具体的には、金融庁のガイドラインが、契約やSLA(サービス品質の合意)に明記すべき項目を次のように挙げています。

・サードパーティとの役割分担・責任分界/・監査権限/・再委託手続/・実施すべきセキュリティ対策/・サードパーティの役職員が遵守すべきルール/・インシデント発生時の対応及び報告/・脆弱性診断等の実施及び報告/(中略)・データの所在・保管・保持・移転・廃棄に関する取決め/・契約終了の条件及び契約終了時の取決め/・外部評価等の実施

出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(令和6年10月4日)2.6|金融庁

とくに押さえておきたいのは、再委託の制限や手続き、監査権限、役割分担と責任の分界、インシデント発生時の報告義務です。再委託を無条件に認めると管理が及ばない相手に情報が渡り、監査権限がなければ契約内容が守られているかを確認できません。これらを契約段階で定めておくことで、取引開始後の監督が実効性を持ちます。

監督・モニタリング(取扱状況の把握)

契約後は、委託先が契約どおりに安全管理措置を実施しているかを継続的に把握します。代表的な手段が、チェックシート(点検票)による定期的な確認です。委託先にセキュリティや個人情報の取扱いに関する項目を回答してもらい、エビデンスの提出を求めることで、取扱状況を書面で確認します。

チェックシートの項目は、個人情報保護委員会ガイドラインの安全管理措置の区分に沿って組み立てると、確認の漏れを防げます。代表的な点検観点とエビデンスの例は次のとおりです。

  • 組織的:情報セキュリティ・個人情報の管理規程や責任者・体制、インシデント発生時の報告ルールの有無(エビデンス例:規程類、体制図)
  • 人的:従業者への教育・研修、秘密保持の誓約、個人データにアクセスできる担当者の限定(エビデンス例:研修記録、誓約書の様式)
  • 物理的:書類・媒体・端末の保管や持ち出しの管理、作業区域の入退室管理(エビデンス例:保管・施錠の運用、入退室記録)
  • 技術的:アクセス制御・権限管理、通信や保存データの暗号化、操作ログの取得、不正アクセス・ウイルス対策(エビデンス例:設定方針、第三者認証の取得状況)
  • 再委託:再委託の有無と、再委託先に対して委託先が同等の管理を行っているか(エビデンス例:再委託先の一覧、再委託に関する契約)

委託先の数が増えるほど、どの委託先に何をどこまで確認したかを一元的に把握する必要があります。金融庁のガイドラインも、サードパーティを管理する台帳を整備し、名称・提供するサービス・自社システムへのアクセスレベル・預けるデータの種類や機密性などを記録・維持することを求めています。誰にいつ何を確認したかの記録が残っていること自体が、監督を果たした証跡になります。

評価(調査結果の採点と見直し)

回収したチェックシートや監査の結果は、あらかじめ定めた基準で評価します。回答に不備や高リスクの項目があれば、委託先に改善を求めるか、重要な業務では委託の継続可否を再検討します。評価は点数化してランク分けしておくと、担当者による判断のばらつきを抑えられ、どの委託先を重点的に見るべきかの優先順位づけにも使えます。

評価は一度きりではなく、契約更新や決算期の更新に合わせて定期的に行います。委託先の経営状況やセキュリティ体制は時間とともに変わるため、前回との差分を見ながら、委託内容や条件の見直しにつなげます。

改善フォロー(是正と形骸化の防止)

評価で課題が見つかった委託先には、改善計画を求め、期限を決めて是正状況を確認します。条件付きで取引を認めた場合に、改善されたかどうかをフォローしないまま放置すると、監督の仕組みが形だけのものになってしまいます。低い評価の委託先が是正されないまま取引が続いている状態をつくらないことが、監督を実効的に保つポイントです。

この選定から改善までの流れを、すべての委託先に一律の深さで回すのは現実的ではありません。次に、重要度に応じて管理の濃淡をどう付けるかを解説します。

重要度に応じた管理の濃淡(リスクベースでの点検深度)

委託先が数十社から数百社にのぼると、すべてを同じ深さで監督するのは人手の面で現実的ではありません。そこで考え方の軸になるのが、リスクの大きい委託先は深く、小さい委託先は軽く確認する「リスクベース」の管理です。金融庁のガイドラインも、次のようにリスクに応じた対応を求めています。

サードパーティを特定し、サードパーティやサードパーティが提供する商品・サービスの自組織業務における位置づけ・役割・重要度、重要な情報(個人情報や営業機密等)の取扱いの有無、組織内システムへの接続状況(インターネット接続等の外部からのアクセスの容易さ)などをふまえ、サードパーティのリスク評価を行い、そのリスクに応じた対応をすること。

出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(令和6年10月4日)2.6|金融庁

濃淡を付ける際の判断材料になるのは、次のような要素です。これらを組み合わせて委託先を重要度で分類し、点検の頻度や深さを変えます。

重要度に応じた管理の濃淡(リスクベース)を示した図解。預ける情報の重要度・業務停止時の影響・システムへの接続状況・再委託の有無という判断材料で委託先の重要度を分け、重要度が高い委託先はチェックシートに加え立入監査・詳細なヒアリングで厚く確認し、重要度が低い委託先は簡易なチェックシートで効率的に確認する。
  • 預ける情報の重要度:個人情報や機密情報を大量に預ける委託先ほど、漏えい時の影響が大きく、点検を厚くします。
  • 業務停止時の影響:その委託先が止まると自社の業務が止まる場合、重要度は高くなります。
  • システムへの接続状況:自社システムへ接続する委託先は、外部からの侵入経路になりうるため慎重に確認します。
  • 再委託の有無:再委託が行われる委託先は、管理の及ばない相手に情報が渡るリスクがあるため、把握を手厚くします。

重要度の高い委託先には、チェックシートに加えて立入監査や詳細なヒアリングを行い、重要度の低い委託先には簡易なチェックシートで効率的に確認する、といった使い分けが現実的です。限られた人手を重要なリスクに集中させることで、管理を無理なく継続できます。

外部委託先管理を仕組み化する方法(チェックシート運用の限界とツール活用)

ここまで見てきた選定・契約・監督・評価・改善の一連を、表計算ソフトとメールだけで回すと、委託先が増えるほど運用が立ち行かなくなります。チェックシートの配信・回収・採点・再評価の期日管理を効率化する方法を解説します。

チェックシートのExcel・メール運用が限界になる課題

チェックシートをExcelで作り、メールで送って回収する運用は、委託先が数社のうちは回ります。しかし数十社から数百社に増えると、誰にいつ送ったか、未回答はどこか、去年と比べて回答がどう変わったかを、担当者が手作業で追いきれなくなります。ファイルが散在して最新版が分からなくなる、未回答者への督促が漏れる、担当者が代わると過去の確認経緯が引き継がれない、といった問題が起きやすくなります。

こうした課題を解決するのが、委託先リスク管理(TPRM:サードパーティリスク管理)のためのツールです。チェックシートの作成・配信・回収・採点と、未回答者への自動リマインド、年次の定期点検の一括依頼、委託先・再委託先の一元管理までをプラットフォーム上でまとめて行えます。評価の基準をツール側に持たせることで、担当者による判断のばらつきも抑えられます。

以下に、外部委託先の監督を仕組み化できる代表的なサービスを比較します。自社の委託先の数や、どこまで自動化したいかに合わせて検討してください。料金はいずれも公開されていません。課金の軸(委託情報の件数・委託先や再委託先の企業数・利用ユーザー数)が各社で異なるため、自社の委託先の規模に近い軸のサービスから資料を取り寄せると比較しやすくなります。

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サービス名VendorTrustLinkConoris BPSupplier Risk MT
提供会社株式会社アトミテック株式会社Conoris Technologies株式会社GRCS
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
(Salesforce基盤)
チェックシートの配信・回収●選択式・自由記述・画像/動画提出に対応●Webフォームを自由にカスタマイズ・入力エラーチェック●設問+選択肢(最大6つ)・エビデンス添付設定
回答の自動採点・分析●配点設定による自動採点・経年比較●AIレビューアシストで不備・高リスク項目を抽出(最終判断は人)●全体・個社分析、レーダーチャート・散布図
再委託先の管理△契約情報として簡易登録(ツリー管理は非対応)●再委託先までツリー構造で一元管理●再委託を含む階層をツリー表示
継続モニタリング(定期点検・リマインド)チェックシートの定期送付・未回答者への自動リマインド・期限アラート年次定期点検を一括依頼し前年度との差分を追跡回答の前年対比分析(自動リマインドは導入事例で言及)
規格・ガイドラインへの対応ISO 31000の考え方に沿って設計(認証ではない)社内規程やISO 27001などのフレームワークと照合(業界別の対応テンプレートも提供)個人情報保護法・金融庁監督指針等への対応の必要性を説明(準拠保証ではない)
無料トライアル●あり(期間非公開)●あり(期間非公開)公表なし
料金要問い合わせ
(委託情報件数・アカウント数で算定)
要問い合わせ
(委託先・再委託先の企業数で変動)
要問い合わせ
(ユーザー数に応じた年間ライセンス制)
主な導入実績・事例東証プライム上場企業に導入実績(社数非公開)大和証券、パーソルテンプスタッフ日本生命、FUNDINNO、静岡銀行
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

ここからは、上記のうち委託先への調査票(チェックシート)の配信・回収・評価を一元化できる3サービスを個別に紹介します。

VendorTrustLinkのウェブサイト

VendorTrustLinkは、株式会社アトミテックが提供する、委託先のリスク管理に特化したクラウドサービスです。セキュリティ・コンプライアンス・品質管理などのチェックシートを自社で設計して委託先に配信し、回収から評価までを一つのプラットフォームで管理できます。

チェックシートは選択式・自由記述に加えて画像や動画の提出にも対応し、配点を設定して自動採点できます。回答は経年で比較でき、委託先同士の比較も可能です。

未回答者への自動リマインドや期限通知、評価別・未回答件数をダッシュボードで可視化する機能を備え、送付時期・結果・コメントが記録として残るため、監督のプロセスを証跡として説明できます。委託業務の重要度や個人情報の取扱区分による分類もでき、重要な委託先を見分けやすくしています。

再委託先は、契約情報として評価を簡易に登録する形で管理します(Conoris BPやSupplier Risk MTのような再委託先までのツリー構造での一元管理ではない点は、再委託先の数が多い場合は確認しておくとよいでしょう)。

2025年4月に正式リリースされた比較的新しいサービスで、公式サイトでは東証プライム上場企業への導入実績を掲げています。チェックシートの配信・回収・採点という監督業務そのものを仕組み化したい企業に向いた選択肢です。

Conoris BP(株式会社Conoris Technologies)

Conoris BPのウェブサイト

Conoris BPは、株式会社Conoris Technologiesが「外部委託先管理の支援サービス」と位置づける、委託先・再委託先のセキュリティ調査と定期点検を効率化するサービスです。委託先と再委託先を階層(ツリー)構造で管理でき、国内法人データベースとの連携で会社情報の登録を効率化します。

委託先への調査票は、Webフォームで自由にカスタマイズして作成・送付でき、回答時の記入ミスや漏れを指摘する入力エラーチェックを備えています。回収した調査票は、AIレビューアシストが回答不備や高リスク項目・追加調査項目を抽出し、社内規程やISO27001などのフレームワークと照合して一覧化します(最終的な判断は人が行う設計です)。

2年目以降の調査票の回収・チェックを一括で依頼し、前年度との差分を追跡できる年次定期点検の機能もあります。大和証券やパーソルテンプスタッフでの導入事例が公開されています。

再委託先まで含めた委託先管理を、調査票の作成から回収・分析・定期点検まで一気通貫で効率化したい企業に向いています。

Supplier Risk MT(株式会社GRCS)

Supplier Risk MT (SRMT)のウェブサイト

Supplier Risk MT(SRMT)は、GRC・セキュリティ領域を手がける株式会社GRCSが提供する、クラウド型の外部委託先リスクマネジメント支援ツールです。委託業務・契約・再委託先などの情報をWeb上で一元管理し、委託先ごとのリスクをグラフやスコアで可視化します。

点検フォーム(チェックシート)は委託元が作成し、委託先がログインして回答・送信する仕組みで、エビデンスファイルの添付要否も設定できます。委託・再委託の関係をツリーで表示し、ツリーの色や大きさに使うリスク要素を、個人情報の預託件数・会社の信用度・業務の重要性などから選べます。

自動リマインドによる期日管理や、回答を全体・個社の両面から分析する機能、立入検査結果の蓄積、CSVでの一括登録にも対応します。外部評価サービスのSecurityScorecardとの連携を別サービスとして追加することもできます。

製品ページでは、サイバーセキュリティ経営ガイドラインや個人情報保護法、金融庁の監督指針などで外部委託先管理が重要テーマとされていることを踏まえ、その対応を支援するものと説明されています。日本生命やFUNDINNO、静岡銀行などの導入事例が公表されており、金融機関を含む委託先管理の運用を仕組み化したい企業に向いています。料金はユーザー数に応じた年間ライセンス制で、金額は非公開です。

ここで取り上げた3つのほかにも委託先リスク管理(TPRM)ツールは複数あり、搭載機能や料金体系、セキュリティ格付・評価サービスとの違いまで含めて横並びで比較すると、自社の委託先の数や運用に合う一つを絞り込みやすくなります。ツール選びを本格的に進める際は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

外部委託先とは、自社の業務や情報を預ける外部の相手の総称で、業務委託先だけでなくアウトソーシング事業者・クラウドサービス・個人事業主・再委託先まで広く管理の対象になります。委託元には個人情報保護法第25条で委託先を監督する義務があり、その中身は「選定・契約・取扱状況の把握」という一連の流れとして求められています。

選定から契約・監督・評価・改善までを、重要度に応じた濃淡を付けながら継続的に回すことが、委託先管理の基本です。委託先が増えてチェックシートの手作業運用が限界になってきたら、配信・回収・採点・定期点検をまとめて行える委託先リスク管理ツールの活用も検討してみてください。

外部委託先管理に関するよくある質問(FAQ)

Q. 外部委託先とは何ですか?

A. 外部委託先とは、自社の業務の一部または全部を、自社に代わって遂行してもらうために委託している外部の相手の総称です。管理対象かどうかの判断軸は契約の呼び方ではなく「自社の業務や情報を外部に預けているか」という実態で、業務委託先だけでなく、アウトソーシング事業者、クラウドサービスの提供事業者、個人事業主、さらにその先の再委託先まで、自社の情報やデータに関わる相手が広く含まれます。

Q. 外部委託先の監督義務を定めているのは個人情報保護法の何条ですか?

A. 外部委託先の監督義務を定めているのは、個人情報保護法第25条(委託先の監督)です。混同されやすいのですが、第23条は事業者自身が講じる「安全管理措置」、第24条は自社の「従業者の監督」を定めた別の条文で、委託先の監督とは対象が異なります。委託先の監督の根拠を稟議や監査で説明するときは、第25条を押さえておくと正確です。

出典・参考資料(1件)

Q. 委託先がさらに再委託する場合も、委託元の監督は必要ですか?

A. 再委託先であっても、委託元の監督は及びます。個人情報保護委員会のガイドラインは、再委託の条件に関する指示を怠ったり、再委託先の取扱状況の把握を怠ったりした結果として起きる漏えいを、委託元が「必要かつ適切な監督を行っていない事例」として挙げています。

再委託を認める場合は、事前の報告・承認を契約で定め、委託先が再委託先に対して自社と同じ水準の監督を果たしているかを確認することが望ましいとされています。

出典・参考資料(1件)

Q. 外部委託先管理とサードパーティリスク管理(TPRM)は何が違いますか?

A. 両者はほぼ同じ取り組みを指しますが、TPRM(サードパーティリスク管理)は管理対象をより広く捉える考え方です。従来の外部委託先管理が業務を委託した相手を中心に見るのに対し、TPRMはクラウドサービスやAPI連携先、資金移動業者などの業務提携先も含むサードパーティ全体を、リスクに応じた濃淡を付けて管理します。

委託先の数が増え、関係先がクラウドや再委託先まで広がる中で、外部委託先管理をTPRMへと発展させる流れが広がっています。

Q. 外部委託先の選定ではどんな項目を確認すればよいですか?

A. 外部委託先の選定では、業務の実績・遂行能力、信用・財務の安定性、安全管理措置の水準、認証の取得状況、コンプライアンス意識の5つが代表的な確認観点です。なかでも、組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置が自社と同等に講じられているかは、個人情報保護法が求める監督義務の中核にあたります。

プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの第三者認証は、安全管理措置の水準を外部の目で確認した材料として活用できます。実際の確認項目は、委託する業務の重要度や預ける情報の機微さに応じて重みづけを変えます。

Q. 委託先が増えてチェックシートのExcel・メール運用が限界です。どうすればよいですか?

A. 委託先リスク管理(TPRM)ツールを使うと、チェックシートの作成・配信・回収・採点や、未回答者への自動リマインド、年次の定期点検までをプラットフォーム上で一元化できます。Excelとメールによる運用は、委託先が数十社から数百社に増えると、誰に送ったか・未回答はどこか・前回から回答がどう変わったかを手作業で追いきれなくなります。

評価の基準をツール側に持たせることで、担当者による判断のばらつきを抑えられ、誰にいつ何を確認したかの記録が監督を果たした証跡としても残ります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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