イベント制作や展示会・ディスプレイ装飾、コンベンション運営などのイベント業では、1つの案件に多数の協力会社がかかわり、繁忙期には残業や休日稼働が集中します。案件ごとの売上と原価をExcelで管理していると、損益の着地が見えないまま進行し、締めてから赤字に気づくことも少なくありません。
こうした課題は、案件単位で予実・原価・工数・労務をまとめて扱える基幹システム(ERP)で解決できます。ただし「イベント業向けのERP」を調べると、案件収支を管理する基幹システムと、参加者の受付・集客を担うイベント管理システムが混在し、どちらが自社に必要か分かりにくいのが実情です。
本記事では、イベント業の案件採算を一体管理できるプロジェクト型ERP3サービスを、機能・料金・イベント業での対応状況から比較します。受付・集客系のシステムとの違いや、自社の規模・業種に合った選び方も整理しました。資料請求の判断材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲|イベント業向けERP(プロジェクト型基幹システム)とは
本記事で扱うイベント業向けERPとは、案件(イベント)ごとの売上・原価・工数・労務を1つのシステムでまとめて管理する基幹システム(ERP)です。会計・販売管理・購買・勤怠がばらばらのツールに分かれている状態を統合し、案件単位で損益をリアルタイムに把握できるようにします。
一般的な会計ソフトや販売管理システムは全社の数字を扱いますが、案件ごとの予算と実績を突き合わせる視点が弱く、イベント業のように1件ごとの採算が重要な事業には不足しがちです。案件を軸に原価と工数を積み上げるプロジェクト型のERPが、イベント業の基幹システムに適します。
受付・集客系「イベント管理システム」との違い
検索結果には、本記事が扱う基幹・収支のERPと、参加者の申込受付や集客を担う「イベント管理システム」が混在しています。両者は名前が似ていても、担う業務が異なります。
本記事のERPは、財務会計・案件別の原価・工数・勤怠労務を一体で管理し、案件ごとの採算を可視化するものです。一方の受付・集客系イベント管理システムは、参加者の申込受付・QRコードによる入場管理・チケット販売・来場データの分析が中心で、案件の収支や原価は扱いません。

社内の経理や案件採算の管理が目的であれば本記事のERPが、参加者対応や集客の効率化が目的であれば受付・集客系のイベント管理システムが、それぞれ適しています。自社の目的がどちらに当たるかを先に整理しておくと、検討がスムーズに進みます。
本記事で比較するのは、公式にイベント業を対象とする業種特化・プロジェクト型ERPの3サービスです。具体的には、クラウドERP ZAC・Reforma PSA・プロカンを取り上げます。いずれも案件単位の収支・原価・工数管理を標準で備え、イベント業での利用を公式に想定したERPです。
会計から在庫まで全社の基幹を一本化したい場合は、業種特化ではない汎用ERPも選択肢になります。まずはこの3サービスを見比べるところから始めてください。
業種を問わず、企業規模・提供形態・費用からERP(統合基幹業務システム)全般を広く見比べたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
イベント業に案件管理型ERPが必要な理由と解決できる課題
ここでは、イベント業で案件管理型ERPが必要とされる理由と、導入で解決できる課題を整理します。
イベント業では1件ごとに売上と原価が大きく動きますが、Excelや個別のツールで管理していると、進行中の案件の損益の着地が見えにくくなります。見積時には利益が出る想定でも、追加発注や仕様変更が重なり、締めてみて初めて赤字と分かる事態が起こりがちです。
1つの案件で会場設営・映像・装飾・人材など多数の協力会社へ発注するため、発注漏れや二重発注、仕入れの計上漏れも起きやすい業務構造です。発注と仕入れを案件単位で管理できないと、原価が後から膨らみ採算を崩します。
イベント開催の前後は残業や休日稼働が集中し、繁閑差が大きいのもイベント業の特徴です。勤怠やシフト、時間外労働の管理が煩雑になり、労務コンプライアンスの面でも負担が増します。
さらに、スタッフの工数が案件に紐づかないと、人件費を案件ごとの原価に反映できません。社外への支払いだけで採算を見ていると、現場の人件費を含む本当の粗利が見えなくなります。
案件管理型ERPは、これらの業務を案件という1つの軸でつなぎ、予算と実績・社外原価と人件費・勤怠までを突き合わせて採算を可視化します。二重入力や月次集計の遅れも抑えられ、赤字案件の早期発見や、繁忙期の負荷の見直しにつながります。

イベント業向けERPでできること(主な機能)
ここからは、イベント業向けERPが案件採算の管理のために備える主な機能を解説します。
案件(イベント)別の予実・収支管理
案件ごとに予算(実行予算)を登録し、売上・原価・粗利の実績と対比できる機能です。進行中の案件でも予定と実績の差異を確認できるため、着地見込みを早い段階でつかめます。
全社の損益だけでなく、案件単位・得意先単位で収支を集計できる点が、汎用の会計ソフトとの違いです。どの案件が利益を生み、どの案件が採算を崩しているかを一覧で把握できます。
原価・工数のプロジェクト配賦(直接費・間接費・人件費)
外注費や仕入れなどの直接費に加え、スタッフの工数から算出した人件費(労務費)を案件の原価へ配賦する機能です。担当者が案件と作業内容を指定して工数を入力すると、労務費として案件別に集計されます。
部門共通で発生する間接費も、配賦基準にもとづいて各案件へ振り分けられます。社外への支払いと社内の人件費の両方を含めた、案件ごとの実際原価を把握できるようになります。
1案件で複数の協力会社への発注・購買管理
1つの案件に対して複数の協力会社へ発注する業務形態に合わせ、発注書の作成から仕入れ・支払いまでを案件に紐づけて管理します。社内の部署間でやり取りする社内発注に対応する製品もあります。
発注と仕入れの状況を案件単位で追えるため、発注漏れや二重発注、計上漏れを防ぎやすくなります。支払先が法人・個人にまたがる場合でも、案件原価として一元的に扱えます。
繁閑差に対応する勤怠・シフト・労務管理
繁忙期に集中する残業や休日稼働に対応するため、勤怠やシフト、工数の登録を扱える機能です。入力した工数の実績は、そのまま案件原価の計算にも利用されます。
繁閑差の大きいイベント業では、時間外・休日労働に労使協定(いわゆる36協定)が必要になる場面が多くあります。労働基準法では、時間外・休日労働について次のように定めています。
第三十六条 使用者は、……労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、……その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十六条|e-Gov法令検索
勤怠・シフト管理を案件や工数と一体で扱えると、労務管理と案件採算の管理を別々のシステムで二重に行う手間を減らせます。残業・休日労働の実態を案件の人件費として把握できる点も、繁閑差の大きい事業では役立ちます。
見積〜受注〜発注〜仕入〜請求〜会計の一気通貫(会計・請求連携)
見積から受注、発注・仕入れ、請求、そして会計システムへの連携までを、1つの入力データでつなぐ機能です。各工程で伝票を作り直す二重入力を避け、案件の情報を一貫して引き継げます。
請求や会計の連携では、インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応も確認ポイントです。2023年(令和5年)10月1日に開始した制度で、登録を受けた適格請求書発行事業者による適格請求書の交付が必要になります。
電子帳簿保存法では、請求書・見積書などの電子データを一定の要件を満たした形で保存することが求められます。自社が使う会計ソフトやERPがこれらの制度に対応しているかを、連携範囲とあわせて確認しておきましょう。
イベント業向けERPの費用相場(初期・月額・ライセンス体系)
ここでは、イベント業向けERPの費用の目安を、初期費用・月額費用・ライセンス体系の観点から整理します(2026年10月時点の各社公式情報にもとづく目安)。
初期費用は、0円から15万円程度のサービスが見られます。導入支援の内容や初期設定の範囲によって変わり、条件つきで初期費用を無料とするサービスもあります。
月額費用は、利用する機能と人数に応じて変わる従量制が主流です。小〜中規模向けでは最低でも月額3万円程度から、という価格設定が目安になります。これとは別に、データセンター利用料にあたる固定費(月額6万円程度〜)がかかるサービスもあります。
料金は「機能(モジュール)×利用ライセンス数」で決まる仕組みが多く、販売管理・購買管理・勤怠工数管理といった必要な機能だけを選んで導入できます。ライセンス単価を公開していないサービスもあり、その場合は見積もりでの確認(要お問い合わせ)になります。
イベント業向けERPには、IT導入補助金やデジタル化・AI導入補助金の対象として案内されるサービスもあります。補助の適用可否や金額は制度や申請要件によって変わるため、導入時に各社や補助金事務局へ確認してください。各サービスの具体的な料金は、後述の比較表とサービス個別紹介で確認できます。
イベント業向けERPの選び方
自社に合うイベント業向けERPを選ぶために、確認しておきたい観点を解説します。
業種内セグメント別の重視ポイント(制作/展示会・ディスプレイ装飾/コンベンション・学会運営)
イベント業と一口に言っても、イベント制作、展示会・ディスプレイ装飾、コンベンション・学会運営では、案件の規模や外注の構造、繁閑のパターンが異なります。自社がどのセグメントに当たるかで、ERPに求める機能の優先順位が変わります。
イベント制作では、1案件で多数の協力会社へ発注するため、発注・仕入れを案件単位で管理できる購買機能が効いてきます。展示会・ディスプレイ装飾では、資材や制作費の原価を案件へ正確に積み上げる原価管理が重要です。コンベンション・学会運営では、短期に多くのスタッフが稼働するため、勤怠・工数を人件費として案件原価に反映できるかが分かれ目になります。
自社の案件で最も採算を崩しやすい部分が、外注費なのか、現場の人件費なのか、資材原価なのかを起点に、重視する機能を決めるとよいでしょう。
業種特化型ERPか、汎用ERP+プロジェクト管理モジュールか
イベント業の案件採算を扱う方法は、大きく2つに分かれます。イベント業を含むプロジェクト型ビジネスに特化したERPを選ぶ方法と、会計・販売・在庫などを広くカバーする汎用ERPにプロジェクト管理モジュールを足す方法です。
業種特化型は、案件別の予実・原価・工数・複数社発注といったイベント業で必要になる機能が標準で備わっており、導入後すぐに業務へ当てはめやすいのが利点です。汎用ERPは全社の基幹業務を幅広く統合できますが、イベント業の案件採算に合わせた設定やカスタマイズが前提になりやすく、導入の負荷やコストが大きくなりがちです。

案件採算の管理が主目的で、できるだけ早く運用に乗せたいなら業種特化型が、会計から在庫まで全社の基幹を一本化することが主目的なら汎用ERP+プロジェクト管理が、それぞれ向きます。本記事で紹介するのは、イベント業を公式に対象とする業種特化・プロジェクト型のERPです。会計から在庫まで含めた汎用ERPも視野に入れる場合は、ERP全体の比較記事(本記事冒頭の案内)もあわせてご覧ください。
イベント業に限らず、受託・案件型のビジネス全般で案件別の収支や原価を管理するシステムを広く見比べたい場合は、以下の記事が参考になります。対応できる業務範囲ごとにタイプを分け、工数から人件費原価を作る仕組みや会計システムとの連携範囲まで整理しています。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
企業規模・会計/勤怠など既存システムとの連携で選ぶ
ERPは企業規模によって適した製品が変わります。従業員数十名規模までであれば、初期費用を抑えて短期間で導入できる軽量なサービスが、数十〜数百名規模で機能や設定の自由度を重視するなら、モジュールを組み合わせて拡張できるサービスが選択肢になります。
すでに使っている会計ソフトや勤怠システムがある場合は、その連携可否と連携方式(API連携かファイル連携か)を確認します。連携できないと、仕訳や勤怠データを手で転記する二重入力が残り、導入効果が下がります。
将来の利用人数や機能の増減に合わせて、ライセンスを追加・縮小できるかも、長く使ううえでの確認ポイントになります。
導入前に押さえる注意点
導入前には、料金体系の見え方・初期設定の負荷・現場への定着の3点を押さえておくと、導入後のつまずきを避けやすくなります。
料金はライセンス単価を公開していないサービスもあり、利用人数や機能構成で総額が変わります。見積もりの段階で、自社の人数・機能構成での月額総額と、初期設定費用の範囲を確認しておきましょう。
案件の登録ルールや工数入力の運用が現場に定着しないと、原価や採算の精度は上がりません。入力の手間や操作性、導入時のサポートの範囲もあわせて見ておくと安心です。
しかし、自社がどのサービスに適しているかの判断が難しい場合もあります。そのようなときでも、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】イベント業向けERPの機能・料金比較
ここからは、本記事で紹介するイベント業向けERPの機能と料金を一覧で比較します。案件別の予実・原価や工数配賦、複数社発注、勤怠労務、会計・請求連携への対応を並べて確認できます。
| サービス名 | クラウドERP ZAC | Reforma PSA | プロカン |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド |
| 対象規模・業種(イベント業での位置づけ) | 従業員50名以上が目安 公式対象業種にイベント・ディスプレイ制作を含む | 従業員50名以下が目安 公式対象業種にイベント業を含む | 中小企業が主な対象(公式に明示なし) 対応業種にイベント・映像制作を含む |
| 案件別の収支・予実管理 | ●案件別に予算と売上・原価・粗利の実績を対比 | ●実行予算を入力し仕掛中でも案件別損益を把握 | ●案件別に予算・実績・原価を集約し収支を可視化 |
| 原価・工数のプロジェクト配賦 | ◎個別原価計算を自動化(直接費・間接費・人件費を配賦) | ●工数登録をもとに労務費・共通費を案件原価に配賦 | ●工数×労務単価で人件費を原価に換算、外注費・間接費も集約 |
| 複数社への発注・購買管理 | ●購買管理で発注〜仕入〜支払を案件に紐づけ | ●購買管理で発注・仕入・支払を案件に紐づけ | ●発注書・社内発注に対応。支払先(法人/個人)を一元管理 |
| 勤怠・労務(繁閑差対応) | ●勤怠・工数管理(打刻システムと連携し工数を原価に反映) | ●勤怠管理(工数・日報・休暇申請、フレックス対応) | △工数管理が中心(勤怠打刻・休暇管理は公式に記載なし) |
| 会計・請求との連携 | ●請求管理を内包。会計は仕訳データで連携(勘定奉行クラウド等) | ●請求書発行。勘定奉行・弥生・マネーフォワードへファイル連携 | ●見積・請求帳票。弥生・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携 |
| 料金(初期費用/月額) | 初期設定費用100,000円 月額: モジュール×ライセンス数(単価は要お問い合わせ)+データセンター利用料60,000円〜/月(いずれも税区分は要確認のため税抜税込を断定しない) | 初期費用0円 月額30,000円(税抜)〜(ライセンス従量制) | 初期費用150,000円〜(税込165,000円〜) 月額30,000円〜(税込33,000円〜、利用人数で変動) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※2026年10月時点の各社公式情報にもとづく。◎/●/△は対応度の目安です。
イベント業向けおすすめERP(サービス個別紹介)
ここからは、イベント業の案件採算を一体で管理できるERPを、特徴・料金・イベント業での対応状況とあわせて個別に紹介します。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム上場の株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種向けの統合型クラウドERPです。公式の対象業種にイベント・ディスプレイ制作が含まれ、案件別の収支管理を軸に、販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理を一元化します。公式では累計1,100社以上の導入実績を公開しています。
プロジェクト単位で原価を積み上げる個別原価計算を自動化できる点が特徴です。担当者が案件を指定して入力した工数は労務費として案件別に集計され、直接作業は指定案件へ直課(特定の案件へ直接計上すること)、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。外注費や仕入れなどの社外原価と現場の人件費を合わせた案件損益を、進行中でも把握できます。
料金は初期設定費用10万円に加え、利用する機能(モジュール)×ライセンス数の従量課金と、データセンター利用料6万円〜/月で構成されます。モジュール別の単価は公開されておらず、見積もりでの確認になります。ZAC・Reforma PSA比較ページでは、対象規模の目安を従業員50名以上としています。
2. Reforma PSA(株式会社オロ)

同じ株式会社オロが、ZACの機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した案件管理システムです。公式の対象業種にイベント業が挙げられており、販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を一元化して、プロジェクト別の予実・損益を可視化します。
初期費用は0円、月額は最低30,000円(税抜)からで、販売管理・購買管理・勤怠管理・経費管理といった機能別ライセンスを使う人数分だけ選んで契約する従量制です。ZACより短い1〜2か月程度の導入期間が目安とされ、ZAC比較ページでは対象規模の目安を従業員50名以下としています。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに入力した工数は、労務費配賦計算で案件原価に反映され、仕掛中でも案件別の損益を確認できます。会計システムとは、勘定奉行クラウドや弥生会計、マネーフォワード クラウド会計へのファイル連携に対応します。
3. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、株式会社PROCANが提供するクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約して収支をリアルタイムに可視化するもので、イベント・映像制作を含む複数業種を対象に、プロカンIT・プロカン制作・プロカン建設工事という業種別ラインナップを展開しています。
案件単位で予算・実績・原価を管理し、見積書・請求書・発注書・納品書などの帳票作成からデジタル稟議・承認、経営分析ダッシュボードまでを1つの入力データでつなぎます。Googleカレンダー連携による工数入力支援を備え、会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が業種別ページで案内されています。
料金は初期費用150,000円〜(税込165,000円〜)、月額30,000円〜(税込33,000円〜)で、利用人数(ID数)と機能に応じて変わります。累計の導入社数は公開されていませんが、プライバシーマークを取得し、IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。
まとめ
本記事では、イベント業の案件採算を一体管理できるプロジェクト型ERPについて、必要とされる理由・主な機能・費用相場・選び方を整理し、3サービスを比較しました。
選ぶうえで大切なのは、自社がイベント業のどのセグメントに当たるか、最も採算を崩しやすいのが外注費か人件費かを見極め、業種特化型か汎用ERP+プロジェクト管理かを判断することです。既存の会計・勤怠システムとの連携や、利用人数・機能構成での料金もあわせて確認しましょう。
MCB FinTechカタログでは、イベント業向けERPの機能・料金・イベント業での対応を並べて比較できます。気になるサービスは資料や問い合わせで詳細を確認し、自社の案件採算に合うシステムの比較検討にお役立てください。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. イベント業向けERPとは何ですか?
A. イベント業向けERPとは、案件(イベント)ごとの売上・原価・工数・労務を1つのシステムでまとめて管理するプロジェクト型の基幹システム(ERP)です。
会計・販売管理・購買・勤怠がばらばらのツールに分かれた状態を統合し、案件単位で損益をリアルタイムに把握できるようにします。全社の数字を扱う一般的な会計ソフトとは異なり、1件ごとの採算が重要なイベント業に合わせて案件を軸に原価と工数を積み上げる点が特徴です。
Q. イベント業向けERPは、受付・集客系の「イベント管理システム」と何が違いますか?
A. 両者は別物で、本記事のERPは案件ごとの収支・原価・工数・労務を管理するのに対し、受付・集客系の「イベント管理システム」は参加者の申込受付・入場管理・チケット販売などを担います。社内の経理や案件採算の管理が目的なら本記事のERPを選びます。詳しくは本記事冒頭の対象範囲をご覧ください。
Q. イベント業向けERPは、契約前に無料で試せますか?
A. イベント業向けERPの多くは、無料の製品デモや個別相談を用意している一方、一定期間実際の環境を試せる無料トライアルは公式に明記していない製品が目立ちます。まずは資料請求やデモ相談で画面や操作感を確認し、自社の案件管理の流れに合うかを見極めるとよいでしょう。試用の可否や範囲は製品ごとに異なるため、問い合わせ時にあわせて確認するのが確実です。
Q. イベント業向けERPは、自社の運用に合わせて設定やカスタマイズができますか?
A. イベント業向けERPは、要件に合わせた設定変更に対応する製品もあれば、標準機能に絞ってカスタマイズ範囲を限定した製品もあり、自由度は製品ごとに異なります。設定の自由度が高いほど自社の業務に合わせ込めますが、導入の負荷やコストは大きくなりがちです。標準機能で足りるか独自の運用に合わせ込みたいかを整理して選ぶとよいでしょう。
Q. イベント業向けERPは、導入後のサポートや問い合わせ窓口がありますか?
A. イベント業向けERPには、電話やメール・フォームでの問い合わせ窓口に加え、運用が定着するまでの支援やヘルプセンターを用意している製品があります。導入時の初期設定支援だけでなく、運用開始後に相談できる窓口があるかも長く使ううえで大切です。サポートの範囲や対応手段は製品ごとに異なるため、資料や問い合わせで確認しておくと安心です。
Q. イベント業向けERPは、繁忙期に集中する残業や休日稼働などの勤怠・労務まで管理できますか?
A. イベント業向けERPには、勤怠・シフト・工数の登録を扱い、繁閑差の大きいイベント業の残業や休日稼働を案件の人件費として把握できる製品があります。入力した工数の実績はそのまま案件原価の計算にも使われるため、労務管理と案件採算の管理を別々のシステムで二重に行う手間を減らせます。時間外・休日労働に労使協定(いわゆる36協定)が必要になる場面が多い業種のため、勤怠と案件を一体で扱える点が役立ちます。
Q. イベント業向けERPは、既存の会計ソフトやインボイス制度に対応できますか?
A. イベント業向けERPは、見積〜受注〜発注〜仕入〜請求〜会計を1つの入力データでつなぎ、弥生会計・勘定奉行・マネーフォワード・freeeなどの会計ソフトと連携できる製品があります。
連携方式(API連携かファイル連携か)や対応ソフトは製品ごとに異なるため、自社が使う会計・勤怠システムとの連携範囲を確認しておくことが大切です。請求書の発行については、インボイス制度(適格請求書等保存方式)や電子帳簿保存法への対応状況もあわせて確認しておきましょう。
Q. イベント業向けERPの料金体系はどうなっていますか?
A. イベント業向けERPの料金は、「機能(モジュール)×利用ライセンス数」で決まる従量制が主流です。販売管理・購買管理・勤怠工数管理といった必要な機能だけを選び、使う人数分のライセンスを契約する仕組みで、データセンター利用料にあたる固定費が別途かかる製品もあります。ライセンス単価を公開していないサービスもあり、その場合は自社の人数・機能構成での見積もりで総額を確認します。
Q. イベント業向けERPの初期費用・月額費用の目安はどのくらいですか?
A. イベント業向けERPの費用は、初期費用が0〜15万円程度、月額費用が小〜中規模向けで最低3万円程度から、というのが目安です(2026年10月時点)。
例えばReforma PSAは初期費用0円・月額30,000円(税抜)から、プロカンは初期費用150,000円〜・月額30,000円〜、ZACは初期設定費用10万円に加えデータセンター利用料6万円〜/月という体系です。利用人数や選ぶ機能で総額が変わるため、見積もりでの確認が確実です。
Q. イベント業向けERPに、イベント業での導入実績はありますか?
A. イベント業向けERPには、イベント・ディスプレイ制作を公式の対象業種に掲げ、導入実績を公開している製品があります。例えばクラウドERP ZACは累計1,100社以上の導入実績を持ち、イベント業を対象業種としています。導入実績や事例の公開状況は製品ごとに異なるため、自社と近い業種・規模の事例があるかを資料や問い合わせで確認するとよいでしょう。
Q. イベント業向けERPは、業種特化型と汎用ERP+プロジェクト管理のどちらを選べばよいですか?
A. イベント業向けERPは、案件採算の管理が主目的で早く運用に乗せたいなら業種特化型が、会計から在庫まで全社の基幹を一本化したいなら汎用ERP+プロジェクト管理モジュールが向きます。
業種特化型は案件別の予実・原価・工数・複数社発注といった機能が標準で備わり導入後すぐ業務に当てはめやすい一方、汎用ERPは幅広く統合できるものの、イベント業の案件採算に合わせた設定やカスタマイズが前提になり、導入の負荷やコストが大きくなりがちです。
Q. イベント業向けERPは、自社の企業規模に合わせて選べますか?
A. イベント業向けERPは、企業規模によって適した製品が変わり、小規模なら初期費用を抑えて短期間で導入できる軽量なサービス、数十〜数百名規模ならモジュールを組み合わせて拡張できるサービスが選択肢になります。
例えば同じ株式会社オロの製品でも、Reforma PSAは従業員50名以下、ZACは50名以上が対象規模の目安とされています。将来の利用人数や機能の増減に合わせてライセンスを追加・縮小できるかも、長く使ううえでの確認ポイントです。
Q. イベント業向けERPの導入から利用開始までどのくらいかかりますか?
A. イベント業向けERPの導入期間は、製品や設定範囲によって異なり、標準機能に絞ったパッケージなら短いもので1〜2か月程度が目安です。機能が多く設定の自由度が高い製品ほど、導入に時間がかかる傾向があります。案件の登録ルールや工数入力の運用が現場に定着しないと原価や採算の精度は上がらないため、導入時のサポート範囲や操作性もあわせて確認しておくと安心です。
Q. イベント業向けERPの導入に、IT導入補助金などの補助金は使えますか?
A. イベント業向けERPには、IT導入補助金やデジタル化・AI導入補助金の対象として案内されるサービスがあります。例えばプロカンは、IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。補助の適用可否や金額は制度や申請要件によって変わるため、導入時に各社や補助金事務局へ確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















